論文
第62巻第4号 2015年4月 国民生活基礎調査の匿名データによる
世古 留美(セコ ルミ) 川戸 美由紀(カワド ミユキ) |
目的 女性の喫煙状況について,世帯の種類および配偶者・父親・母親の喫煙状況との関連性を,平成16年国民生活基礎調査の匿名データに基づいて解析した。
方法 統計法36条に基づく匿名データを利用した。20歳以上の女性から,喫煙状況が不詳の3,510人と過去喫煙の415人を除く37,772人を解析対象者とした。女性の現在喫煙割合について,世帯の種類,配偶者・父親・母親の喫煙状況別に算定・比較した。年齢構成の影響を調整して比較するために,女性の現在喫煙者数の観察値を分子,その期待値を分母とする比(女性の現在喫煙割合の年齢調整比)を算定した。
結果 女性の現在喫煙割合は20~44歳で18.3~22.9%で,その後,年齢とともに低下した。女性の現在喫煙割合の年齢調整比は女性全体で1に対して,三世代世帯と夫婦と未婚の子のみの世帯で有意に小さく,ひとり親と未婚の子のみの世帯と単独世帯で有意に大きく,夫婦のみの世帯で有意でなかった。配偶者が非喫煙での女性の現在喫煙割合の年齢調整比は三世代世帯,夫婦と未婚の子のみの世帯,夫婦のみの世帯で0.27~0.49と有意に小さかった。母親が現在喫煙での年齢調整比は三世代世帯,夫婦と未婚の子のみの世帯,ひとり親と未婚の子のみの世帯で1.57~2.15と有意に大きく,父親が現在喫煙での年齢調整比はひとり親と未婚の子のみの世帯のみで有意に大きかった。
結論 女性の喫煙状況について,世帯の種類で異なること,配偶者と母親の喫煙状況と強く関連することが示唆され,匿名データ利用に有用性があると考えられた。
キーワード 国民生活基礎調査,匿名データ,喫煙,世帯の種類