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論文記事:東日本大震災被災地岩手県大槌町における精神的健康 201503-02 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第62巻第3号 2015年3月

東日本大震災被災地岩手県大槌町における精神的健康

-居住形態ごとのQOLの比較-
白神 敬介(シラガ ケイスケ) 川野 健治(カワノ ケンジ)
立森 久照(タチモリ ヒサテル) 竹島 正(タケシマ タダシ)

目的 東日本大震災の被災地域において,QOLを中心とした住民の精神的健康状態を把握し,地域でのこころの健康づくりを推進するための基礎資料の解析を行うことを目的とした。特に仮設住宅やみなし仮設といった居住形態と住民の精神的健康との関連に焦点を当てた。

方法 東日本大震災によって大きな被害を受けた,岩手県大槌町で実施された住民健康調査で得られたデータを分析した。住民健康調査は,大槌町に居住する18歳以上の者を対象とし,2012年8月から同年10月に行われた。精神的健康状態の把握のため,SF-36とK6が用いられた。

結果 調査票の回収率は33.2%であった。全体の傾向として,調査対象者の精神的健康が低い状態にあることが示された。SF-36に基づくQOLの指標では,特に身体的側面が低い傾向が示された。居住形態別の分析から,仮設住宅居住者は一般住宅居住者と比べた場合,精神的側面のQOLが低い,平均睡眠時間が短い,相談できる人物がいない,居住地の利便性において不便を感じるといった回答の割合が高い傾向がみられた。

結論 震災発生から1年半後の状況での,被災地の全般的な精神的健康状態の低さが確認された。また,居住環境によってQOLの程度が異なり,特に女性,高齢者のリスクの高さが示された。こうしたハイリスク者への継続的な支援が可能となるよう,被災地の個別の状況に応じた援助のあり方を検討していく必要がある。

キーワード 東日本大震災,QOL,居住形態,住民健康調査,精神的健康

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