論文
第62巻第2号 2015年2月 静岡県健康長寿プログラム(ふじ33プログラム)が
尾関 佳代子(オゼキ カヨコ) 筒井 秀代(ツツイ ヒデヨ) 野田 龍也(ノダ タツヤ) |
目的 静岡県では県民の健康寿命の延伸を目指し,働き盛り世代からの生活習慣改善を図る「ふじ33プログラム」を開発した。このプログラムの柱である運動・食生活・社会参加の3項目から社会参加に焦点を当て,プログラムの効果を検討した。
方法 ふじ33プログラムは3人1組で3カ月間行う健康増進プログラムであり,2012年に実施され,延べ109人の参加者があった。プログラム参加前後に記入を行った自己チェック票から,社会参加に関する項目の実行割合を求め,前後値の比較のためにマクネマー検定を行った。また,プログラム参加前後のMedical Outcomes Study Short Form 36-Item Health Survey (SF-36)の下位尺度[身体機能,日常役割機能(身体),体の痛み,全体的健康感,活力,社会的機能,日常役割機能(精神),心の健康]の平均値を用いて,役割/社会的健康をあらわすコンポーネント・サマリースコア(Role-social component score:RCS)の平均値を求め,それの前後値の比較のために対応のあるt検定を行った。
結果 プログラム参加前後における社会参加の割合は「この3カ月間に家族以外の人と運動(スポーツ)をした」(プログラム参加前64.9%→プログラム参加後74.2%),「この3カ月間に家族以外の人とレクリエーションをした」(64.9%→78.4%),「この3カ月間に家族以外の人と奉仕活動を行った」(46.4%→57.7%),「職場や地域の趣味・文化・教育サークルに参加している」(44.9%→53.1%),「防災活動(地域防災訓練,防災組織,消防団等)に参加している」(51.5%→63.9%)が有意に増加していた。また,参加者全体のRCSの平均値の変化(53.65→55.44)は境界域有意であり,増加の傾向を示した。女性(52.53→55.30),60歳以下(54.65→56.65)においては有意に増加していた。実施後アンケートにおいても1人でプログラムを行うよりも3人1組のグループで行ったことが良かったという回答が多くみられた。
結論 プログラム修了後に社会参加に関して有意に増加した項目が複数あったことから,グループで励ましあいながら実施する「ふじ33プログラム」は,参加者の社会参加意欲を向上させる効果があったと考えられる。
キーワード 健康寿命,社会参加,健康長寿プログラム,グループ参加,SF-36,Role-social component score(RCS)