論文
第62巻第1号 2015年1月 地域子育て支援拠点の利用状況による
及川 直樹(オイカワ ナオキ) |
目的 地域子育て支援拠点(従来のひろば型)の利用状況により,幼児の生活リズム・習慣が異なるかどうか検討することを目的とした。
方法 長野県のA市内にある地域子育て支援拠点(以下,ひろば)のBひろばを利用する未就園の幼児と,その母親90組を対象とした。幼児は,0歳18名,1歳34名,2歳33名,3歳5名の計90名(男児38名,女児52名),月齢は5~41カ月(平均21.7±9.2カ月)であった。母親に対し,幼児の基本属性と平日の生活リズム・習慣に関する無記名の質問紙調査を実施した。ひろばの利用日数をもとに,週に1日以上利用するケースを定期利用群(53名,58.9%),それより少なく利用するケースを不定期利用群(37名,41.1%)とし,幼児の生活リズム・習慣の各項目における2群間の差を分析した。
結果 ひろばの定期利用群の方が不定期利用群よりも,ひろばを午前から利用することが多かった(p<0.05)。夜間の就寝・起床時刻と睡眠時間,昼寝の開始・終了時刻と睡眠時間,メディアの視聴時間といった幼児の生活リズムに関する項目において,起床時刻は定期利用群の方が不定期利用群よりも早い傾向が認められたが(p<0.10),その他の項目では有意な差が認められなかった。朝食摂取頻度,運動実施状況,主な遊び場所といった幼児の生活習慣に関する項目については,運動実施状況で定期利用群の方が不定期利用群よりも,積極的に体を動かすことが多かった(p<0.01)。主な遊び場所では,定期利用群の方が不定期利用群よりも,室内と戸外で同じくらい遊ぶことが多かった(p<0.01)。
結論 ひろばを定期的に午前から利用することは,ひろばの開所時刻に合わせた家庭生活を送ることにつながり,幼児の起床時刻に影響する可能性が示唆された。さらに,ひろばの豊かな物的・人的環境を定期的に利用することは,積極的に体を動かしたり,室内と戸外でバランスよく遊んだりするといった望ましい遊び方を幼児に定着させることが推察された。
キーワード 地域子育て支援拠点,利用頻度,未就園児,生活リズム,生活習慣