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論文記事:乳幼児を持つ親の子育て観尺度開発 201603-02 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第63巻第3号 2016年3月

乳幼児を持つ親の子育て観尺度開発

-保育者が子育て支援を行う視点から-
山城 久弥(ヤマシロ ヒサヤ)

目的 近年,家族構造や社会経済状況の変化などにより,児童とその家庭を取り巻く環境は厳しい状況となっている。そうした中,地域の保育所をはじめとした保育士の子育て支援機能が重要視されている。そこで,本研究では保育者が子育て支援を行う視点から,「喜びや楽しみ」「悩みや不安」「責任感」の3つの下位概念に着目しながら,乳幼児を持つ親の「子育て観尺度」を開発することを目的とした。

方法 先行研究から,子育て観に関する27項目の質問項目を採用し,保育所を利用している乳幼児を持つ5,460名の保護者を対象に郵送留置調査法を実施し,回収数は2,060名(回収率37.7%)であった。その中から,親(母親か父親)で年齢や子育て観に関する質問項目にすべて回答している1,680名を分析対象者とした。分析方法として,子育て観を尺度の項目に対し探索的因子分析を行った。信頼性については,内的整合性(Cronbachのα係数)を算出した。

結果 「子育て観尺度」は,因子分析の結果から「子育てに対する負担」「子育てによる自身の成長の楽しみや喜び」「親としての責任感」の3つの下位尺度から構成された。各下位尺度のα係数は0.66~0.81であり,3因子構造が示された。さらに,3つの下位尺度を構成する項目が同一因子に0.4以上の因子負荷量を有し,構成概念の妥当性をある程度確保していることも示唆された。

結論 乳幼児を持つ親の「子育て観」を把握するための尺度として,「価値」と「態度」を網羅した概念で構成され,ある程度の信頼性と妥当性が確認された。今後の課題としては,尺度の改良を重ね,さらなる信頼性と妥当性の確保や実際の保育現場で活用されるよう尺度の短縮版が必要となるだろう。

キーワード 子育て観,乳幼児を持つ親,保育者,子育て支援

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