論文
第63巻第3号 2016年3月 保健福祉の専門職による住民主体,行政,民間による
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目的 住民主体,行政,民間による配食サービスおよび訪問介護による食事提供の特徴や機能の違いを,介護予防および高齢者ケアの第一線にいる地域包括支援センターの職員やケアマネジャーを対象とした調査に基づき量的に明らかにすることである。
方法 分析対象は,東京都調布市で活動している地域包括支援センターの職員とケアマネジャーとし,2012年2月1日から28日までの期間に,郵送調査で回答した102名である。調査期間は2012年2月1日から同年2月28日までであった。評価を求めたのは,住民主体の食事サービスを提供している調布ゆうあい福祉公社,行政,民間の各々による配食サービスと訪問介護による食事作りの4形態である。分析には,コレスポンデンス分析を用いた。
結果 地域包括支援センターの職員とケアマネジャーを併せた分析結果では,住民主体の配食サービスに対しては利用者の安全性と日頃からの住民育成,行政の配食サービスに対しては利用者の安全性と見守り,民間の配食サービスに対しては利用者の利便性,訪問介護による食事提供については利用者の安全性と緊急時即応性に対して,高く評価していた。一方,地域包括支援センターの職員とケアマネジャーを個々に分析すると,住民主体と民間の配食サービスについては,それぞれの提供主体の近くに同じ項目が位置し,全体で分析した結果と同様であった。しかし,行政の配食サービスと訪問介護による食事提供については結果が異なっていた。地域包括支援センターの職員では,行政の配食サービスと訪問介護による食事提供のいずれに対しても,緊急時即応性の面から評価が高かった。他方ケアマネジャーの場合は,訪問介護による食事提供に対してのみ,緊急時即応性への評価が高かった。
結論 住民主体,行政,民間による配食サービスおよび訪問介護による食事提供は,保健福祉の相談専門職から異なるものとして評価されており,それぞれの特徴を生かし,地域包括ケアに活用していくことが必要であることが示唆された。
キーワード 配食サービス,住民主体,機能評価,訪問介護,地域包括支援センター,ケアマネジャー