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第48巻第8号 2001年8月

死因別の乳児死亡率と出生時要因との関連:1995年~1998年

藤田 利治(フジタ トシハル)

目的 1995年から病死した乳児については,出生体重,単胎・多胎の別,妊娠週数,母の年齢,出生児数および死産経験などの追加事項が死亡診断書に記載されるようになった。本報告では,人口動態統計を用いて,死因別乳児死亡に関連するリスク要因を明らかにする。
方法 1995年から1998年までの4 年間の人口動態調査死亡票および出生票を用い,出生体重が判明 している4,787,537人の出生児と16,327人の病死乳児を対象とした。単産・複産別に,人口動態調査により把握された出生体重などの出生時要因と死因別乳児死亡との関連を,単変量解析とともにボアソン回帰分析による多変量解析を用いて検討した。
成績 1995年から1998年にかけての4 年間での病死による乳児死亡率(出生1000人当たり) は,単産で3.2,複産で17.7であったが,出生体重の影響を調整した相対リスクは0.74倍と複産の方が低くなっていた。ポアソン回帰分析による多変量解析の結果,単産において「先天異常」による乳児死亡リスクの高い特性は,低出生体重,古い年次,「住所地」が関東や東海・北陸など, 男児,「世帯主の主な仕事」が無職・不詳,母が高年齢,短い妊娠期間,遅い出生順位,母に「死産経験』ありであった。「周産期に発生した病態J」での乳児死亡では,出生体重が極めて強く関連し,その次に古い年次、「住所地」が東海・北陸など,「世帯主の主な仕事」が無職・不詳, 遅い出生順位,母に「死産経験」ありであり,母の年齢は有意な関連を示さなかった。また,「乳幼児突然死症候群」については,低出生体重,10代の母,遅い出生順位,男児,「世帯主の主な仕事」が無職・不詳,「死産経験」ありが死亡リスク増大と関連していた。さらに,「心疾患」,「肺炎」ないし,「敗血症」による乳児死亡と出生時要因との関連についても報告した。
結論 死因別乳児死亡と出生時要因の関連について,わが国で初めて全国レベルで定量的に検討した成績を報告した。病死による乳児死亡にかかわるリスク要因の解明が人口動態統計によって格段に詳細に行いえる状況になったことから,乳児死亡率の一層の改善のための効率的対策が推進されることが期待される。
キーワード 乳児死亡率,出生体重,リスク要因,先天異常,周産期に発生した病態,乳幼児突然死症候群

 

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