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第58巻第13号 2011年11月

三重県の高齢者入所施設における
季節性・新型インフルエンザワクチンの接種状況

豊島 泰子(トヨシマ ヤスコ) 鷲尾 昌一(ワシオ マサカズ) 高橋 裕明(タカハシ ヒロアキ)
大熊 和行(オオクマ カズユキ) 井手 三郎(イデ サブロウ) 荒井 由美子(アライ ユミコ)

目的 高齢者入所施設にインフルエンザウイルスが持ち込まれるとインフルエンザの集団発生に結びつく。本研究では2009/2010シーズンの新型インフルエンザの流行時における高齢者施設の入所者および看護・介護職員を対象として,季節性・新型インフルエンザの罹患状況とインフルエンザワクチン接種の現状を調査した。

方法 三重県内の全高齢者入所施設(224施設)のインフルエンザワクチン担当者を対象に,2009/2010シーズン終了後の2010年4月に郵送で,入所者および看護・介護職員の季節性・新型インフルエンザ罹患とインフルエンザワクチン接種に関する無記名のアンケート調査を行った。

結果 224施設中155施設から回答が得られた(回収率69.2%)。入所者にインフルエンザの罹患を認めた施設は季節性5.2%,新型3.2%,不明1.9%であった。看護・介護職員にインフルエンザの罹患を認めた施設は季節性20.6%,新型54.8%,不明10.3%であった。入所者のインフルエンザワクチン接種が70%以上の施設は季節性90.3%,新型72.9%であり,看護・介護職員のインフルエンザワクチン接種が70%以上の施設は季節性91.0%,新型61.9%であった。季節性インフルエンザワクチン接種割合が70%以上の施設は,入所者と看護・介護職員ともに,新型インフルエンザワクチン接種割合が70%以上の施設に比べて有意に多かった(p<0.01)。新型インフルエンザワクチン接種割合は,入所者が看護・介護職員に比べて有意に高かった(p<0.01)。看護・介護職員のインフルエンザワクチン接種に対する費用負担は,季節性では全額施設負担が58.1%,一部施設負担が32.3%,全額自己負担が9.7%であった。一方,新型では全額施設負担が45.2%,一部施設負担が29.7%,全額自己負担が23.2%であった。

結論 看護・介護職員の季節性インフルエンザワクチン接種率は入所者とほぼ同様であったが,新型インフルエンザワクチンの接種率は有意に低く,看護・介護職員の新型インフルエンザの罹患者が多く,外部からの持ち込みの防止には看護・介護職員の新型インフルエンザワクチン接種率の向上が必要であった。また面会の家族や出入りの業者に対するインフルエンザワクチン接種の勧奨の取り組みが少なく,インフルエンザの感染予防対策の見地からも改善の必要があると考えられた。

キーワード 看護・介護職員,高齢者入所施設,ワクチン,季節性インフルエンザ,新型インフルエンザ

 

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