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第51巻第10号 2004年9月

保健機関が実施する母子訪問対象者の
産後うつ病全国多施設調査

鈴宮 寛子(スズミヤ ヒロコ) 山下 洋(ヤマシタ ヒロシ) 吉田 敬子(ヨシダ ケイコ)

目的 保健機関で実施されている母子訪問の対象者について,産後うつ病などのメンタルヘルスの実態を把握し,地域母子保健における精神保健対策の必要性を検討した。
方法 出産後120日以内の母親を対象とした母子訪問時に,エジンバラ産後うつ病質問紙票(以下「EPDS」),産後うつ病発症のハイリスク因子に関する質問票,赤ちゃんへの気持ち質問票および虐待のリスクに関連する追加設問に母親が自己記入した。
結果 全国12地域(38保健機関)から協力が得られ,総計3,370人が調査を完了した。全対象者中,産後うつ病スクリーニングの区分点とされているEPDSが9点以上であった母親の比率は13.9%であった。訪問時産後日数でみると,9点以上の高得点者(高得点群)の頻度は,出産後28日以内が19.2%と最も高かった。高得点群では,赤ちゃんへの気持ち質問票の全10項目中6項目で否定的な気持ちを表す母親の比率が有意に高く,ほとんどの項目は乳児への拒絶や怒りに関連していた。虐待のリスクに関する追加設問の結果は,虐待傾向を疑われた母親の割合は高得点群において3.2%で,低得点群の2倍近い頻度であった。
結論 産後うつ病を疑われるEPDS9点以上の母親は,出産後120日以内に13.9%存在し,EPDSの高得点者は産後早期ほど高い傾向にあった。EPDS高得点群では,愛着障害を示唆する赤ちゃんへの気持ち質問票得点が高く,『虐待傾向』を疑われる母親の頻度も有意に高い結果となった。保健機関のスタッフによる精神面支援の観点からは,母子訪問をより早い時期に実施することによって,母親の精神保健のニーズを早期に見いだし,時期を逃さず支援することが可能になると考えられた。
キーワード 産後うつ病,愛着障害,EPDS

 

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