第108回看護師国家試験 午後必修・一般問題
平成31年2月17日(日)に実施された第108回看護師国家試験について、午後問題のうち必修問題と一般問題の正答と解説を示します。
「国民衛生の動向2024/2025」で内容を解説している問題に関しては、その参照章・ページを示しているので、同書を併用しながらの利用をおすすめします。
▼第108回看護師国家試験
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厚生の指標増刊
国民衛生の動向 2024/2025
発売日:2024.8.27
定価:2,970円(税込)
412頁・B5判
雑誌コード:03854-08
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▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向
午後 必修問題
▶午後1改題
日本における令和4年(2022年)の総人口に占める老年人口の割合で最も近いのはどれか。
- 19%
- 29%
- 39%
- 49%
② 29%
令和4年(2022年)の年齢3区分別人口構成割合は、年少人口(0~14歳)が11.6%、生産年齢人口(15~64歳)が59.4%、老年人口(65歳以上)が29.0%となっている。少子高齢化により、年少人口と生産年齢人口は減少傾向、老年人口は増加傾向にある。
*第2編1章 1.2〕年齢別人口 p41~42
▶午後2改題
令和元年(2019年)の国民生活基礎調査における通院者率が男女ともに最も高いのはどれか。
- 糖尿病
- 腰痛症
- 高血圧症
- 眼の病気
③ 高血圧症
令和元年(2019年)の傷病で通院している者(通院者)は、人口千人当たり404.0(男388.1・女418.8)であり、傷病別にみると、男女ともに高血圧症が最も高い(男129.7・女122.7)。
*第2編4章 1.2〕通院者の状況 p74~75
▶午後3
労働安全衛生法に規定されているのはどれか。
- 失業手当の給付
- 労働者に対する健康診断の実施
- 労働者に対する労働条件の明示
- 雇用の分野における男女の均等な機会と待遇の確保
② 労働者に対する健康診断の実施
労働安全衛生法では、「作業環境管理」「作業管理」「健康管理」の労働衛生の3管理を整備しており、健康管理については健康診断とその結果に基づく事後措置、健康指導を規定している。
×① 失業手当の給付
雇用保険法に規定されている。
×③ 労働者に対する労働条件の明示
労働基準法に規定されている。
×④ 雇用の分野における男女の均等な機会と待遇の確保
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律〈男女雇用機会均等法〉に規定されている。
*第8編 3.労働衛生管理の基本 p300~301
▶午後4
看護師が行う患者のアドボカシーで最も適切なのはどれか。
- 多職種と情報を共有する。
- 患者の意見を代弁する。
- 患者に害を与えない。
- 医師に指示を聞く。
② 患者の意見を代弁する。
アドボカシーは、権利擁護、代弁などの意で、患者や認知症高齢者など本人の意思や自己決定を尊重し、本人の保護を図ることが求められる。
*第5編2章 7.権利擁護〈アドボカシー〉 p245
▶午後5
看護師の免許の取消しを規定するのはどれか。
- 刑法
- 医療法
- 保健師助産師看護師法
- 看護師等の人材確保の促進に関する法律
③ 保健師助産師看護師法
保健師助産師看護師法に基づき、看護師免許付与における相対的欠格事由として以下を定め、いずれかに該当した場合は免許を与えないことがあり、看護師が該当した場合は厚生労働大臣が免許の取消し等の処分をすることができる。
- 罰金以上の刑に処せられた者
- 医事に関し犯罪または不正の行為のあった者
- 心身の障害により看護師の業務を適正に行うことができない者
- 麻薬、大麻またはあへんの中毒者
*第4編1章 4.4〕看護職員等 p193~197
▶午後6
マズロー, A. H.の基本的欲求の階層で、食事・排泄・睡眠の欲求はどれか。
- 安全の欲求
- 自己実現の欲求
- 承認の欲求
- 生理的欲求
④ 生理的欲求
マズローの欲求階層説では、低階層から、「生理的(食事、排泄、睡眠等)欲求」「安全(危険回避)の欲求」「社会的(所属・愛情)欲求」「自尊(承認)の欲求」「自己実現の欲求」の5段階となっており、人間は低階層の欲求が満たされると高階層の欲求に移っていくことをあらわす。
▶午後7
生後4か月の乳児の発達を評価するのはどれか。
- 寝返り
- お座り
- 首のすわり
- つかまり立ち
③ 首のすわり
DENVERⅡ(デンバー発達判定法)が示す乳児の粗大運動の発達目安では、③3~4か月に首のすわり、①5~6か月に寝返り、②7~8か月にお座り、④9~10か月につかまり立ちとされる。
▶午後8
エリクソン, E. H.の乳児期の心理・社会的発達段階で正しいのはどれか。
- 親密
- 同一性
- 自主性
- 基本的信頼
④ 基本的信頼
エリクソンは成長段階ごとに果たすべき発達課題を示しており、乳児期は母親に対する基本的信頼感を得る過程で、不信感との葛藤が生じる。
×① 親密
成人前期(18歳から40歳ころ)の発達課題であり、自己を確立した上で友人や恋人、配偶者など他者と親密な関係を結ぶ過程で、孤立との葛藤が生じる。
×② 同一性
青年期(13歳から18歳ころ)の発達課題であり、自分は何者であるかという自己同一性〈アイデンティティ〉の確立を達成する過程で、自己同一性の拡散(自分が何者であるかわからなくなる)との葛藤が生じる。
×③ 自主性
幼児後期(3歳から6歳ころ)の発達課題であり、幼児前期(1歳半から3歳ころ)に獲得した自律性を基に主体的・自主的な行動を達成する過程で、周囲からの注意などから罪悪感との葛藤が生じる。
▶午後9
成人の体重に占める体液の割合で最も高いのはどれか。
- 血漿
- 間質液
- 細胞内液
- リンパ液
③ 細胞内液
成人の体重に占める水分量は約60%(高齢者は50~55%)であり、このうち細胞内液が約40%を占める。
×① 血漿
細胞外液のうち、血漿は約5%である。
×② 間質液
×④ リンパ液
細胞外液のうち、間質液(リンパ液含む)は約15%である。
▶午後10
要介護者に対し、看護・医学的管理の下で必要な医療や日常生活上の世話を行うのはどれか。
- 介護老人保健施設
- 短期入所生活介護
- 保健センター
- 有料老人ホーム
① 介護老人保健施設
介護老人保健施設は介護保険制度の施設サービスの一つで、症状が安定期にある要介護者に対し、看護、医学的管理の下における必要な医療や日常生活上の世話を行う。
*第5編1章 3.3〕施設サービス p224~225
▶午後11
運動性言語中枢はどれか。
- 中心後回
- 大脳基底核
- Broca〈ブローカ〉野
- Wernicke〈ウェルニッケ〉野
③ Broca〈ブローカ〉野
言語野(言語に関与する脳の領域)として、ブローカ野(運動性言語中枢)は前頭葉に、ウェルニッケ野(感覚性言語中枢)は側頭葉に、視覚性言語中枢は後頭葉にある。
▶午後12
ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉のⅢ(3桁)で表現される意識レベルはどれか。
- 意識清明の状態
- 刺激すると覚醒する状態
- 刺激しても覚醒しない状態
- 刺激しなくても覚醒している状態
③ 刺激しても覚醒しない状態
意識レベルを評価するスケールとして、ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉とグラスゴー・コーマ・スケール〈GCS〉が用いられる。JCSでは、覚醒の程度に応じて、意識清明の0、刺激しなくても覚醒している状態であるⅠ桁、刺激すると覚醒する状態であるⅡ桁、刺激しても覚醒しない状態であるⅢ桁に分類している。
▶午後13
最も緊急性の高い不整脈はどれか。
- 心房細動
- 心室細動
- 心房性期外収縮
- Ⅰ度房室ブロック
② 心室細動
致死性不整脈である心室細動は緊急性が高い。電気ショックによりこれを取り除く自動体外式除細動器(AED)が、一次救命処置において重要である。
▶午後14
浮腫の原因となるのはどれか。
- 膠質浸透圧の上昇
- リンパ還流の不全
- 毛細血管内圧の低下
- 毛細血管透過性の低下
② リンパ還流の不全
浮腫(むくみ)は、細胞間の水分がたまり、排泄されない状態をいう。リンパは毛細血管から漏れ出した不要な水分や老廃物を回収し、リンパ管・リンパ節を通って静脈(心臓)に送っており、リンパの還流が不全状態になると浮腫が生じる原因となる。
▶午後15
狭心症発作時に舌下投与するのはどれか。
- ヘパリン
- ジゴキシン
- アドレナリン
- ニトログリセリン
④ ニトログリセリン
ニトログリセリンなどの硝酸薬は、虚血性心疾患の一つである狭心症に対する速効性の薬剤で、狭心症発作時に舌の下に入れて口内の粘膜で吸収し(舌下投与)、血管が拡張することで症状を緩和する。なお、副作用の一つとして、血管拡張による血圧低下(降圧)がある。
▶午後16
緑内障患者への投与が禁忌なのはどれか。
- コデイン
- アスピリン
- アトロピン
- フェニトイン
③ アトロピン
アトロピンは副交感神経に作用する鎮痙薬で、眼科においては瞳孔を広げる散瞳薬としても用いられる。ただし眼圧を上昇させるため、眼圧の上昇が原因である緑内障患者の症状を悪化させることがあり、禁忌とされる。
▶午後17
看護師が行う看護過程で適切なのはどれか。
- 問題解決思考である。
- 医師の指示の下で計画を立てる。
- 看護師の価値に基づいてゴールを設定する。
- アセスメント、計画立案、評価の3段階で構成される。
① 問題解決思考である。
看護過程は、「アセスメント(情報収集等)」「看護診断」「計画立案」「実施」「評価」の5段階からなり、効率的に看護目標を達成するためのプロセスである。根拠に基づいた問題解決思考は、看護過程の展開を行う上で重要となる能力である。
▶午後18
成人のグリセリン浣腸で肛門に挿入するチューブの深さはどれか。
- 2cm
- 5cm
- 12cm
- 15cm
② 5cm
グリセリン浣腸は腸管の蠕動を促進し、排泄を促進させる。直腸穿孔の危険性があるため、立位による浣腸は危険であり、左側臥位による5~6cm程度のチューブ挿入を実施する。
▶午後19
右前腕に持続点滴をしている患者の寝衣交換で適切なのはどれか。
- 左袖から脱ぎ、右袖から着る。
- 左袖から脱ぎ、左袖から着る。
- 右袖から脱ぎ、左袖から着る。
- 右袖から脱ぎ、右袖から着る。
① 左袖から脱ぎ、右袖から着る。
片腕の持続点滴患者や片麻痺のある者の衣類の着脱(介助)時には脱健着患が原則で、脱ぐときは健側から、着るときは患側から行う。本問の場合は、点滴をしていない左袖(健側)から脱ぎ、点滴をしている右袖(患側)から着る。
▶午後20
転倒・転落の危険性が高い成人の入院患者に看護師が行う対応で正しいのはどれか。
- 夜間はおむつを使用する。
- 履物はスリッパを使用する。
- 離床センサーの使用は控える。
- 端坐位時に足底が床につくベッドの高さにする。
④ 端坐位時に足底が床につくベッドの高さにする。
ベッドからの移乗・移動時の転倒・転落事故や、転落時の重大事故を避けるため、転倒・転落リスクの高い患者では、端座位時に膝関節が90度で、足底全体が床につくベッドの高さが望ましい。
×① 夜間はおむつを使用する。
夜間のトイレ移動時に転倒・転落事故が発生するおそれはあるが、その防止を目的としたおむつの使用は、患者の自尊心を傷つけるおそれもあり、適切ではない。
×② 履物はスリッパを使用する。
スリッパの使用により床との摩擦が低下するため、転倒のリスクを高める。
×③ 離床センサーの使用は控える。
離床センサーは、認知症等により転倒・転落リスクの高い患者に対し、離床したことを検知し、通知するもので、転倒・転落防止のために使用することは適切である。
▶午後21
中心静脈から投与しなければならないのはどれか。
- 脂肪乳剤
- 生理食塩液
- 5%ブドウ糖液
- 高カロリー輸液
④ 高カロリー輸液
高カロリー輸液は、輸液剤の浸透圧が高い高張液で、静脈炎等を引き起こすおそれがあるため、中心静脈から投与される。①脂肪乳剤や②生理食塩液(0.9%塩化ナトリウム)、③5%ブドウ糖液は、血漿と浸透圧がほぼ等しい等張液のため末梢静脈から投与ができる。
▶午後22
赤色のトリアージタグが意味するのはどれか。
- 死亡群
- 保留群
- 最優先治療群
- 待機的治療群
③ 最優先治療群
トリアージ(災害時等の治療優先度の決定)の際にはトリアージタグ(識別票)を利用し、傷病者の緊急度に応じて、優先順に赤(Ⅰ:最優先治療群・重症群)、黄(Ⅱ:待機的治療群・中等症群)、緑(Ⅲ:保留群・軽症群)、黒(0:不処置群・死亡群)と分類する。
▶午後23
温罨法の作用で正しいのはどれか。
- 平滑筋が緊張する。
- 局所の血管が収縮する。
- 還流血流量が減少する。
- 痛覚神経の興奮を鎮静する。
④ 痛覚神経の興奮を鎮静する。
温罨法(おんあんぽう)は、湯たんぽなどにより身体の一部に温熱刺激を与える方法である。効果としては、血管の拡張、血流の増加、新陳代謝の促進、平滑筋の弛緩、感覚・痛覚神経の興奮の鎮静(疼痛緩和)などが認められる。
▶午後24
体温調節中枢があるのはどれか。
- 橋
- 延髄
- 小脳
- 大脳皮質
- 視床下部
⑤ 視床下部
視床下部は間脳に位置し、自律神経機能や内分泌機能の調節を行っている中枢で、体温調節や摂食・飲水行動の調節のはたらきなどを持つ。
▶午後25
腎機能を示す血液検査項目はどれか。
- 中性脂肪
- ビリルビン
- AST〈GOT〉
- クレアチニン
- LDLコレステロール
④ クレアチニン
腎機能の働きを調べる血液検査では、血清クレアチニン(基準0.65~1.07mg/dL)や血中尿素窒素(基準8~20mg/dL)が主な項目として挙げられる。
×① 中性脂肪
×⑤ LDLコレステロール
脂質異常症を診断する検査項目である。
×② ビリルビン
黄疸を診断する検査項目である。
×③ AST〈GOT〉
肝機能などの状態を調べる検査項目である。
午後 一般問題
▶午後26
嗅覚の一次中枢はどれか。
- 嗅球
- 嗅上皮
- 後頭葉
- 上鼻甲介
① 嗅球
空気中のにおいは嗅上皮の嗅細胞が受容し、嗅神経を経由して一次中枢である嗅球へと情報が伝えられる。
▶午後27
標的細胞の細胞膜に受容体があるのはどれか。
- 男性ホルモン
- 甲状腺ホルモン
- 糖質コルチコイド
- 甲状腺刺激ホルモン
④ 甲状腺刺激ホルモン
甲状腺刺激ホルモンなどの水溶性ホルモンは細胞膜を通過することができないため、標的細胞の細胞膜にある特異的な受容体に結合する。一方、標的細胞の細胞内に受容体がある脂溶性ホルモンとしては、ステロイドホルモン(①性ホルモン・③糖質コルチコイド)や②甲状腺ホルモンがある。
▶午後28
開心術後の心タンポナーデで正しいのはどれか。
- 徐脈
- 心音増強
- 心拍出量の増加
- 中心静脈圧の上昇
④ 中心静脈圧の上昇
心タンポナーデは、心臓と心外膜の間にある心嚢液が大量に貯留し、心臓の拡張が抑制された状態をいう。心拍出量が低下するため、血圧低下や頻脈、中心静脈圧の上昇が起きる。このほか、心音減弱、尿量減少、胸部エックス線写真での心拡大像などの徴候がみられる。
▶午後29
介護保険の第1号被保険者で正しいのはどれか。
- 介護保険料は全国同額である。
- 介護保険被保険者証が交付される。
- 40歳以上65歳未満の医療保険加入者である。
- 介護保険給付の利用者負担は一律3割である。
② 介護保険被保険者証が交付される。
×① 介護保険料は全国同額である。
市町村ごとに介護サービス量などに応じた定額保険料が設定される。
○② 介護保険被保険者証が交付される。
×③ 40歳以上65歳未満の医療保険加入者である。
第1号被保険者は65歳以上の者で、年齢が達した際に介護保険被保険者証が交付される。なお、40~64歳の医療保険加入者は第2号被保険者であり、特定疾病に罹患して要介護等の認定を受けた場合に介護保険被保険者証が交付される。
×④ 介護保険給付の利用者負担は一律3割である。
利用者は費用の1割(所得により2割または3割)を負担して介護サービスを受ける。
*第5編1章 2.保険給付の手続き p221~222
▶午後30
発達障害者支援法で発達障害と定義されているのはどれか。
- 学習障害
- 記憶障害
- 適応障害
- 摂食障害
① 学習障害
発達障害者支援法では、発達障害を広汎性発達障害(自閉症、アスペルガー症候群など)、学習障害、注意欠陥多動性障害など、通常低年齢で発症する脳機能の障害と定義している。学習障害は、読み書きや計算能力の獲得の困難さを特徴とする。
*第3編2章 4.6〕(4)発達障害者支援 p115~116
▶午後31
自殺対策基本法で都道府県に義務付けられているのはどれか。
- 自殺総合対策推進センターの設置
- 自殺総合対策大綱の策定
- ゲートキーパーの養成
- 自殺対策計画の策定
④ 自殺対策計画の策定
自殺対策基本法に基づき、政府には自殺総合対策大綱の策定を、都道府県や市町村には自殺対策計画の策定を義務づけている。
*第3編2章 6.自殺対策 p121~122
▶午後32
ハヴィガースト, R. J.の発達課題に関する説明で適切なのはどれか。
- 成長に伴い発達課題は消失する。
- 各発達段階の発達課題は独立している。
- 身体面の変化と発達課題は無関係である。
- 発達課題の達成は個人の生活と関連する。
④ 発達課題の達成は個人の生活と関連する。
ハヴィガーストは成長段階(乳幼児期・児童期・青年期・壮年期・中年期・老年期)ごとに果たすべき課題(発達課題)を示している。個人の生活や身体面の変化は、発達課題と密接に関わる。
▶午後33
風疹の疑いがある入院患者の隔離予防策で適切なのはどれか。
- 標準予防策
- 標準予防策と接触感染予防策
- 標準予防策と飛沫感染予防策
- 標準予防策と空気感染予防策
③ 標準予防策と飛沫感染予防策
手指衛生などの標準予防策に加えて、感染経路予防策として風疹の主な感染経路である飛沫感染予防策を講じる必要がある。
*第3編3章 3.5〕風しん・麻しん p138
▶午後34
死後の処置で適切なのはどれか。
- 枕は氷枕にする。
- 義歯を装着する。
- 肛門には青梅綿、脱脂綿の順で詰める。
- 和装の更衣の場合、襟は右前に合わせる。
② 義歯を装着する。
死後の処置(エンゼルケア)では、故人を生前の顔貌に近づけ、清潔にするためのケアを行う。義歯は死後硬直の始まる2時間以内に装着する。
×① 枕は氷枕にする。
通常の枕を用いる。
×③ 肛門には青梅綿、脱脂綿の順で詰める。
吸水性のある脱脂綿、防水性のある青梅綿の順で詰めることで、体液の漏出を防ぐ。
×④ 和装の更衣の場合、襟は右前に合わせる。
和装着物では襟を左前、ひもを縦結びとすること(いわゆる死装束)。
▶午後35
嚥下障害を評価する改訂水飲みテストで正しいのはどれか。
- 嚥下後10秒間で評価する。
- 嚥下動作の準備期を評価する。
- 嚥下後の呼吸状態を評価する。
- 80mLの水の嚥下状況を評価する。
③ 嚥下後の呼吸状態を評価する。
改訂水飲みテストは、嚥下の第3段階である口腔期から第5段階である食道期を評価するもので、3mLほどの少量の水の嚥下を2度行い、むせこみや呼吸状態、声の変化を確認する。
▶午後36
入浴時に全身の血液循環を促進する作用はどれか。
- 鎮静作用
- 浮力作用
- 抗酸化作用
- 静水圧作用
④ 静水圧作用
静止した水に浸かることで水圧による全身のマッサージ効果が生まれ、血液循環が促進される(静水圧作用)。なお、②浮力効果では腰痛や関節痛等の緩和効果がある。
▶午後37
1回換気量に関係なく吸入酸素濃度を調節できる器具はどれか。
- 鼻カニューレ
- フェイスマスク
- ベンチュリーマスク
- リザーバー付酸素マスク
③ ベンチュリーマスク
ベンチュリーマスクは酸素療法で用いる酸素投与器具で、ダイリューターで24~50%の酸素濃度を調節し、酸素流量を設定することで、患者の1回換気量に左右されず安定した投与ができる。
▶午後38
成人患者への薬剤の投与方法で正しいのはどれか。
- 筋肉内注射は大殿筋に行う。
- 点眼薬は結膜囊に滴下する。
- 皮下注射は前腕内側に行う。
- 食間の指示の経口薬は食事中に服用させる。
② 点眼薬は結膜囊に滴下する。
点眼時は下眼瞼を軽く下に引き、容器の先端を当てないように下眼瞼結膜の中央に滴下する。
×① 筋肉内注射は大殿筋に行う。
筋肉内注射は中殿筋や三角筋に行い、皮下組織の奥にある筋肉内に直接注射するため、確実に届くように45~90度の角度で刺入する。
×③ 皮下注射は前腕内側に行う。
皮下注射は上腕外側に行い、皮下脂肪が5mm以上の部位の皮膚をつまみ上げて、10~30度の角度で刺入する。
×④ 食間の指示の経口薬は食事中に服用させる。
食間は食事と食事の間を指し、食間指示の経口薬は食後の約120分(2時間)後に服用する。
▶午後39
永久的止血法に含まれるのはどれか。
- 止血帯法
- タンポン法
- 血管結紮法
- 間接圧迫止血法
③ 血管結紮法
血管を縫合する血管結紮法は永久的止血法の一つである。
×① 止血帯法
止血帯で圧迫する止血帯法は、一次止血法の一つである。
×② タンポン法
創腔にガーゼを詰めるタンポン法は、一次止血法の一つである。
×④ 間接圧迫止血法
出血部位に近い中枢側(心臓側)の動脈を圧迫する間接圧迫止血法は、一次止血法の一つである。
▶午後40
成人に行う頭部MRI検査で正しいのはどれか。
- 造影を伴わない場合は検査直前まで飲食してよい。
- 使い捨てカイロは装着したままでよい。
- 検査中は手足を自由に動かしてよい。
- 補聴器は装着したままでよい。
① 造影を伴わない場合は検査直前まで飲食してよい。
頭部画像の診断を容易にする造影剤を使用する場合は、検査前に飲食の制限が必要であるが、造影を伴わない場合は飲食の制限はない。
×② 使い捨てカイロは装着したままでよい。
×④ 補聴器は装着したままでよい。
強力な磁場を発生させるMRI検査では、正確な診断のために磁性のある使い捨てカイロや金属部を含む補聴器を外す必要がある。
×③ 検査中は手足を自由に動かしてよい。
正確な診断のため、検査中は体を動かさないようにする。
▶午後41
Aさん(48歳、男性)は、仕事中に生じた胸部と右肩の違和感を主訴に来院した。バイタルサインは安定しているが、スタンフォード分類B型の急性大動脈解離と診断され、医師から手術を勧められた。
治療の選択で迷っている様子のAさんへの対応で適切なのはどれか。
- 「医師からの治療のリスクや合併症の説明で、不明な点はありますか」
- 「手術を受けるか受けないか、すぐに決めたほうがよいです」
- 「医師の判断に任せるのが一番よいと思います」
- 「緊急度が高いので、話はあとにしましょう」
① 「医師からの治療のリスクや合併症の説明で、不明な点はありますか」
○① 「医師からの治療のリスクや合併症の説明で、不明な点はありますか」
×② 「手術を受けるか受けないか、すぐに決めたほうがよいです」
×③ 「医師の判断に任せるのが一番よいと思います」
医療提供の際には、医療提供者が患者に対して不安の残らないように十分な説明を行うこと、それを受けて患者が理解し同意すること(インフォームド・コンセント)が適切である。
×④ 「緊急度が高いので、話はあとにしましょう」
大動脈解離の緊急度を判定するスタンフォード分類では、上行大動脈に解離が及んでいるA型(緊急手術が必要)と、上行大動脈に解離が及んでいないB型に分類しており、当患者はB型であるため緊急性が高いとはいえない。
▶午後42
Aさん(64歳、男性)は、2年前に前立腺癌と診断され、内分泌療法を受けていた。1か月前から体動時に強い痛みが腰部に生じるようになり、外来を受診したところ腰椎転移と診断された。
Aさんに生じている痛みで最も考えられるのはどれか。
- 関連痛
- 体性痛
- 中枢痛
- 内臓痛
② 体性痛
体性痛は皮膚や骨、関節、筋肉などの体性組織の障害により生じる局所的な痛みであり、本問の腰椎転移による腰部局所の強い痛みは体性痛と考えられる。なお、④内臓痛は管腔臓器の急激な拡張等により起こる鈍痛で局所が不明瞭である。
▶午後43
成人患者の気管支喘息の治療で正しいのはどれか。
- テオフィリンの投与中は血中濃度の測定が必要である。
- 副腎皮質ステロイド薬吸入後の含嗽は必要ない。
- インフルエンザワクチン接種は禁忌である。
- 発作時にはβ遮断薬を内服する。
① テオフィリンの投与中は血中濃度の測定が必要である。
テオフィリンは気管支喘息の治療に用いられる治療薬であるが、患者の年齢や併用薬物等により血中濃度が不安定となり、悪心や嘔吐などの副作用が生じることがあるため、テオフィリンの投与中は血中濃度の確認が必要である。
×② 副腎皮質ステロイド薬吸入後の含嗽は必要ない。
吸入ステロイド薬は抗炎症作用をもち喘息発作の予防に用いられるが、カンジダ症や嗄声など口腔の副作用〈有害事象〉のおそれがあるため、吸入後は必ず含嗽(うがい)をする必要がある。
×③ インフルエンザワクチン接種は禁忌である。
喘息患者においては、インフルエンザの罹患による重症化や合併症のリスクを下げるため、患者の健康状態や体質を勘案した上でインフルエンザワクチンの接種を行うことができる。
×④ 発作時にはβ遮断薬を内服する。
発作時には気管支拡張作用(β作用)をもつβ2刺激薬を用いる。β作用の遮断薬は気管支喘息を悪化させるため禁忌である。
▶午後44
経皮的腎生検を受ける患者への説明で適切なのはどれか。
- 検査中の体位は仰臥位とする。
- 穿刺時にくり返し深呼吸をする。
- 検査後はベッド上安静とする。
- 検査後2日間は禁食にする。
③ 検査後はベッド上安静とする。
腎生検とは、腎臓の組織を採取し、腎臓の状態を正確に診断するものである。検査後は半日~1日ベッド上安静とし、退院後も腹圧のかかる動作や激しい運動を避ける必要がある。
×① 検査中の体位は仰臥位とする。
背中側から針を刺すため、通常検査中は腹臥位である。
×② 穿刺時にくり返し深呼吸をする。
腎臓が動いて組織を損傷しないよう、穿刺時は呼吸を止める。
×④ 検査後2日間は禁食にする。
検査後、問題がなければ飲食は可能である。
▶午後45
糖質コルチコイドの分泌が長期に過剰となった状態の身体所見で正しいのはどれか。
- 眼球突出
- 甲状腺腫大
- 頻脈
- 満月様顔貌
④ 満月様顔貌
副腎皮質ホルモンである糖質コルチコイド(コルチゾール)の長期過剰により、満月様顔貌〈ムーンフェイス〉や高血糖、高血圧、易感染性、骨粗鬆症、体重増加、月経不順などが症状として表れる(クッシング症候群)。なお、①~③は甲状腺ホルモンの過剰による甲状腺機能亢進症(バセドウ病)にみられる特徴である。
▶午後46
慢性副鼻腔炎の手術を受けた患者に対する説明で適切なのはどれか。
- 咽頭にたまった分泌物は飲んでも良い。
- 臥床時は頭部を低く保つ。
- 手術当日から入浴が可能である。
- 物が二重に見えるときは看護師に伝える。
④ 物が二重に見えるときは看護師に伝える。
慢性副鼻腔炎は炎症によって慢性的に副鼻腔内に膿がたまる病気で、手術治療としては炎症を起こした粘膜や鼻ポリープ(鼻茸)の切除が行われる。手術の合併症としてごくまれに距離の近い目の壁を傷つけて、複視や視力低下が起きる可能性がある。
×① 咽頭にたまった分泌物は飲んでも良い。
合併症である出血を観察するため、分泌物は吐き出すようにする。
×② 臥床時は頭部を低く保つ。
×③ 手術当日から入浴が可能である。
合併症である出血を防止するため、頭部を高く保つ、入浴を避ける。
▶午後47
サクセスフルエイジングの説明で適切なのはどれか。
- 老化の過程にうまく適応する。
- 権威のある者によって一方的に守られる。
- 生命あるものに共通して起こる現象である。
- 社会的な役割から離脱することで自由になる。
① 老化の過程にうまく適応する。
サクセスフルエイジングは幸福に老いることを指し、老化に伴う変化にうまく適応しながら、身体的・精神的・社会的に生活の質〈QOL〉を維持・向上させることが重要である。
▶午後48
判断能力が不十分な認知症高齢者の権利擁護を目的とするのはどれか。
- 公的年金制度
- 生活保護制度
- 後期高齢者医療制度
- 日常生活自立支援事業
④ 日常生活自立支援事業
認知症や精神障害等により判断能力が不十分な人の権利擁護(アドボカシー)として、社会福祉協議会が福祉サービスの利用に関する援助などを行う日常生活自立支援事業や、財産の管理などに関する事務を成年後見人等が代理で行う成年後見制度がある。
*第5編2章 7.権利擁護〈アドボカシー〉 p245
▶午後49
Aさん(76歳、女性)は、ステージ2の慢性腎臓病と診断された。身長146cm、体重50kg。日常生活は自立し、毎日家事をしている。週2回、ビールをグラス1杯程度飲んでいる。
Aさんへの生活指導の内容で優先されるのはどれか。
- 安静
- 禁酒
- 減塩
- 体重の減量
③ 減塩
ステージ2の慢性腎臓病は軽度の機能低下であり、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの危険因子を減らすために、エネルギーや塩分制限など食事療法が中心となる。
×① 安静
適度な有酸素運動などは慢性腎臓病の運動療法として適切である。
×② 禁酒
節度ある適度な飲酒量として1日平均純アルコール約20g(ビール中瓶1本500ml)とされており、本問の飲酒量は適切である。
×④ 体重の減量
体格指数であるBMI(体重(kg)÷身長(m)2)は、50÷(1.46×1.46)≒23.5で肥満(BMI≧25.0)に当たらないため、直ちに減量は必要ない。
▶午後50
認知症高齢者との対話で適切なのはどれか。
- 表情を見せながら話す。
- 高齢者の横から話しかける。
- 会話の内容を記憶しているか確認する。
- 言葉が出てこない時は思い出すまで待ち続ける。
① 表情を見せながら話す。
理解力の低下した認知症患者との対話において、表情などの非言語コミュニケーションを会話に取り入れることで、対話を円滑に行うための補助となる。
×② 高齢者の横から話しかける。
高齢者では加齢性難聴が多く、話しかける際は正面からアイコンタクトを取って話しかける。
×③ 会話の内容を記憶しているか確認する。
高齢者の自尊心を傷つけないよう、記憶力を確かめるやりとりを避ける。
×④ 言葉が出てこない時は思い出すまで待ち続ける。
無理に思い出させようとせずに、異なる角度から対話を続ける。
▶午後51
介護保険制度における地域密着型サービスはどれか。
- 介護老人保健施設
- 介護老人福祉施設
- 通所リハビリテーション
- 認知症対応型共同生活介護〈認知症高齢者グループホーム〉
④ 認知症対応型共同生活介護〈認知症高齢者グループホーム〉
認知症対応型共同生活介護(グループホーム〉は介護保険制度における地域密着型サービスの一つで、比較的安定した状態にある認知症の要介護者(要支援者)が、共同生活(1ユニット5~9人)を営む住居で日常生活上の世話や機能訓練を受けるものである。
×① 介護老人保健施設
介護老人保健施設は介護保険制度における「施設サービス」の一つで、症状が安定期にある要介護者に対し、看護、医学的管理の下における必要な医療や日常生活上の世話を行う。
×② 介護老人福祉施設
介護老人福祉施設は介護保険制度における「施設サービス」の一つで、原則要介護3以上の要介護者に対し、日常生活上の世話、機能訓練、健康管理および療養上の世話を行う。
×③ 通所リハビリテーション
通所リハビリテーションは介護保険制度における「居宅サービス」の一つで、介護老人保健施設、介護医療院、病院・診療所等に通って、心身の機能の維持回復・日常生活の自立のためのリハビリテーションを受けるサービスをいう。
*第5編1章 3.介護給付 p222~225
▶午後52改題
令和3年(2021年)の人口動態調査で、5~9歳の死因における不慮の事故の原因で最も多いのはどれか。
- 窒息
- 交通事故
- 転倒・転落
- 溺死および溺水
② 交通事故
令和3年(2021年)の不慮の事故の原因は、0歳では窒息、1~4歳では溺死及び溺水、5~9歳では交通事故、10~14歳では交通事故が最も多い。
*第2編2章 3.7〕(1)不慮の事故 p61
▶午後53
小児慢性特定疾病対策における医療費助成で正しいのはどれか。
- 対象は5疾患群である。
- 対象年齢は20歳未満である。
- 医療費の自己負担分の一部を助成する。
- 難病の患者に対する医療等に関する法律に定められている。
③ 医療費の自己負担分の一部を助成する。
児童福祉法の規定により、小児慢性特定疾病(令和3年11月1日現在、16疾患群788疾病)にかかっている18歳未満(引き続き治療が必要であると認められる場合は20歳未満)の児童等を対象に、医療費の自己負担分の一部を助成している。
*第3編4章 2.7〕小児慢性特定疾病対策 p157
▶午後54
乳幼児の正常な言語発達で正しいのはどれか。
- 生後1か月で喃語が出始める。
- 生後6か月で意味のある1語が言える。
- 1歳2か月で2語文を話す。
- 4歳で4つの色を正しく言える。
④ 4歳で4つの色を正しく言える。
乳幼児の発達スクリーニング検査として用いられるDENVERⅡ(デンバー発達判定法)では、①喃語は3か月、②意味のある1語は1歳、③2語文は1歳10か月、④4つの色(赤・青・黄・緑)の区別は3歳6か月ころに半数程度の乳幼児が可能となる。
▶午後55
離乳の開始で正しいのはどれか。
- 離乳食は1日2回から開始する。
- 人工乳はフォローアップミルクにする。
- 哺乳反射の減弱が開始時の目安のひとつである。
- 離乳食は歯ぐきでつぶせる硬さのものから始める。
③ 哺乳反射の減弱が開始時の目安のひとつである。
離乳の開始目安は、首のすわりがしっかりする、寝返りができる、5秒以上座れる、スプーンなどを口に入れても舌で押し出すことが少なくなる(哺乳反射の減弱)などである。
×① 離乳食は1日2回から開始する。
×④ 離乳食は歯ぐきでつぶせる硬さのものから始める。
生後5~6か月ころの離乳初期はなめらかにすりつぶした状態の食物で1日1回から開始し、7~8か月ころの離乳中期には舌でつぶせる固さのものを1日2回、9~11か月の離乳後期には歯ぐきでつぶせる固さのものを1日3回与える。
×② 人工乳はフォローアップミルクにする。
フォローアップミルクは離乳食が順調に進まず、鉄分不足のリスクが高い場合などに、離乳食の補完として使用するもので、生後9か月ころから利用できる。母乳代替食品ではない。
▶午後56
障害のレベルを運動機能と知能指数で区分するのはどれか。
- 大島分類
- NYHA分類
- 国際生活機能分類〈ICF〉
- Hugh-Jones〈ヒュー・ジョーンズ〉分類
① 大島分類
大島分類は重症心身障害児(者)の判定に用いられる方法で、横軸に運動機能、縦軸に知能指数〈IQ〉を示し、その交差する数値により障害のレベルを評価する。
×② NYHA分類
NYHA分類は心疾患のレベルを評価する。
×③ 国際生活機能分類〈ICF〉
国際生活機能分類〈ICF〉は心身機能・身体構造、活動、参加からなる生活機能等を評価する。
×④ Hugh-Jones〈ヒュー・ジョーンズ〉分類
ヒュー・ジョーンズ分類は呼吸困難のレベルを判定する。
▶午後57
人間の性の意義と特質の組合せで適切なのはどれか。
- 快楽性としての性――種の保存
- 生殖性としての性――心理・社会的属性
- 性役割としての性――性的指向
- 連帯性としての性――人間関係の形成
④ 連帯性としての性――人間関係の形成
×① 快楽性としての性――種の保存
生殖性としての性(セックス)の特質である。
×② 生殖性としての性――心理・社会的属性
性役割としての性(ジェンダー)の特質である。
×③ 性役割としての性――性的指向
恋愛感情が同性・異性・両方と向かう方向性(セクシュアル)の特質である。
▶午後58
出生前診断を目的とした羊水検査で適切なのはどれか。
- 先天性疾患のほとんどを診断することができる。
- 診断された染色体異常は治療が可能である。
- 合併症として流早産のリスクがある。
- 妊娠22週以降は検査できない。
③ 合併症として流早産のリスクがある。
羊水検査は子宮内穿刺を行って羊水の採取を行い、胎児の染色体異常等を検査する確定的検査である。侵襲的検査のため、合併症としてまれではあるが流早産のリスクを伴う。
×① 先天性疾患のほとんどを診断することができる。
羊水検査では一部の先天性疾患を検査する。
×② 診断された染色体異常は治療が可能である。
診断された染色体異常を治療することはできない。
×④ 妊娠22週以降は検査できない。
羊水検査は一般的に妊娠15~18週に行うものであるが22週以降も可能である。
▶午後59
新生児聴覚スクリーニング検査で正しいのはどれか。
- 空腹時に行う。
- 泣いていない時に行う。
- タンデムマス法で行う。
- 生後24時間以内に行う。
② 泣いていない時に行う。
新生児聴覚スクリーニング検査は生後すぐの新生児を対象にした聴覚簡易検査である。検査時に泣いたり動いたりすると、正確な判定が行えない可能性がある。
×① 空腹時に行う。
空腹時には児が意思表示として泣き出すおそれがあるため、授乳後の入眠時に行う。
×③ タンデムマス法で行う。
自動調整脳幹反応検査装置(AABR)などの装置を使用する。なお、タンデムマス法は新生児マススクリーニング(先天性代謝異常等検査)に用いる。
×④ 生後24時間以内に行う。
おおむね生後3日以内に実施する「初回検査」と、初回検査においてリファー(要再検)であった児を対象として、おおむね生後1週間以内に実施する「確認検査」がある。
*第3編2章 1.7〕(2)新生児スクリーニング(聴覚検査) p102
▶午後60
リエゾン精神看護の活動はどれか。
- 行動制限の指示
- 向精神薬の処方
- 他科への転棟指示
- コンサルテーションへの対応
④ コンサルテーションへの対応
リエゾンは連携や橋渡しを意味し、リエゾン精神看護では精神科と精神科以外をつなぐケアを指す。精神科を専門とするリエゾン看護師の役割の一つとして、異なる専門性をもつ者からの相談に応じて特定の対象を援助するためのあり方を検討するコンサルテーションへの対応が挙げられる。
▶午後61
知的障害〈精神遅滞〉の原因となる疾患はどれか。
- 統合失調症
- フェニルケトン尿症
- Alzheimer〈アルツハイマー〉病
- Creutzfeldt-Jakob〈クロイツフェルト・ヤコブ〉病
② フェニルケトン尿症
知的障害〈精神遅滞〉は、発達期(おおむね18歳まで)にあらわれる知的機能・適応機能両面の欠陥を含む障害とされる。その原因の一つとして、先天性アミノ酸代謝異常であるフェニルケトン尿症があり、通常新生児マススクリーニング検査で診断され、早期発見・早期治療により知的障害の発生を予防することが可能である。
*第3編2章 1.7〕(1)新生児マススクリーニング p101~102
▶午後62
Aさん(24歳、男性)は、昼間の過剰な眠気を主訴に来院した。半年前に居眠り運転で交通事故を起こした。入眠時の幻視や睡眠と覚醒の移行期に体を動かせなくなることがある。また、笑ったり、怒ったりしたときに脱力してしまうこともある。
最も考えられる疾患はどれか。
- 睡眠時遊行症
- ナルコレプシー
- 睡眠時無呼吸症候群
- 睡眠・覚醒スケジュール障害
② ナルコレプシー
ナルコレプシーは日中突然の強い眠気をもたらす過眠症であり、特徴的な症状として、驚いたときや笑ったときに脱力する、入眠時に幻覚や金縛りを体験することが挙げられる。
×① 睡眠時遊行症
睡眠時遊行症(夢遊病)は深いノンレム睡眠中に、ほぼ無意識に動き回る症状をいう。一方、浅いレム睡眠中に大声を上げる、暴れるなどの動作をとる症状をレム睡眠行動障害という。
×③ 睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に何度も呼吸が止まり、低酸素状態が生じるもので、いびきや起床時の頭痛・めまい、日中の眠気などの症状を起こす。
×④ 睡眠・覚醒スケジュール障害
生物は地球の自転による昼夜変化に同調して、約24時間周期のサーカディアンリズム(概日リズム)に則り体内環境を変化させるが、不規則な勤務や生活等によりその調整ができなくなった睡眠障害を睡眠・覚醒スケジュール障害という。
▶午後63
現在の日本の精神医療で正しいのはどれか。
- 精神保健福祉センターは各市町村に設置されている。
- 精神病床に入院している患者の疾患別内訳では認知症が最も多い。
- 精神障害者保健福祉手帳制度によって通院医療費の給付が行われる。
- 人口当たりの精神病床数は経済協力開発機構〈OECD〉加盟国の中では最も多い。
④ 人口当たりの精神病床数は経済協力開発機構〈OECD〉加盟国の中では最も多い。
令和3年(2021年)の精神病床数は32.4万床(人口10万人対257.8床)、精神病床の平均在院日数は275.1日で、以前と比べて減少・短縮しているものの、ともに国際的にみても非常に高い水準にある。
×① 精神保健福祉センターは各市町村に設置されている。
精神保健福祉センターは都道府県・指定都市に設置され、地域精神保健業務を技術面から指導・援助する。
×② 精神病床に入院している患者の疾患別内訳では認知症が最も多い。
精神病床に入院している患者では、「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」が最も多く、半分以上を占めている(令和2年)。
×③ 精神障害者保健福祉手帳制度によって通院医療費の給付が行われる。
障害者総合支援法に基づく自立支援医療(精神通院医療)として、対象となる精神疾患を有する者に医療費の公費負担が行われている。精神保健福祉法に基づく精神障害者保健福祉手帳の有無は問わない。
*第3編2章 4.精神保健 p111~118
▶午後64
Aさん(60歳、女性)は、統合失調症で10年間入院していた。来月退院予定となったため、Aさん、医師、看護師でチームを作り、退院支援計画を立てることになった。Aさんは「両親も亡くなってしまい、これからの生活費や住む場所がとても心配だ」と訴えてきた。
退院支援を進めるにあたり、チームに加わるメンバーで最も適切なのはどれか。
- 薬剤師
- 精神保健福祉士
- ピアサポーター
- 臨床心理技術者(臨床心理士・公認心理師等)
② 精神保健福祉士
精神保健福祉士は、精神障害者の社会復帰に向けた自助努力を支援するため、精神障害者が日常生活を営んでいく上での様々な相談や助言、指導を行う。
*第3編2章 4.6〕(3)精神保健福祉士 p115
▶午後65
訪問看護制度で正しいのはどれか。
- 管理栄養士による訪問は保険請求できる。
- 精神科訪問看護は医療保険から給付される。
- 医療処置がなければ訪問看護指示書は不要である。
- 訪問看護事業所の開設には常勤換算で3人以上の看護職員が必要である。
② 精神科訪問看護は医療保険から給付される。
訪問看護は、要介護者等には介護保険から給付されるが、厚生労働大臣が定める疾病等の利用者、主治医による特別訪問看護指示書の交付を受けた者、認知症以外の精神障害を有する者には医療保険から給付される。
×① 管理栄養士による訪問は保険請求できる。
訪問看護を行うことができる職種は、看護師、保健師、准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士とされる。
×③ 医療処置がなければ訪問看護指示書は不要である。
訪問看護サービスは、内容にかかわらず医師の訪問看護指示書の下に行われる。
×④ 訪問看護事業所の開設には常勤換算で3人以上の看護職員が必要である。
指定訪問看護ステーションには、看護職員(保健師、看護師、准看護師)を常勤換算で2.5人以上(うち1名は常勤)を置く必要がある。
*第4編1章 3.2〕訪問看護 p170~172
▶午後66
Aさん(85歳、女性)は、1人暮らし。日常生活は自立しており、健康のために毎日20〜30分のウォーキングをしている。夜間は、廊下を歩いて1、2回トイレに行く。
Aさんの現時点での家屋環境の整備で最も優先されるのはどれか。
- 便座の高さを高くする。
- 廊下に手すりを設置する。
- トイレの扉を引き戸にする。
- 廊下に足元照明を設置する。
④ 廊下に足元照明を設置する。
歩行を含めて日常生活は自立しているため、現状では夜間1、2回のトイレへの歩行時の転倒を防止するため、足元照明の設置が優先される。
▶午後67
Aさん(52歳、男性、独身)は、銀行員。切除不能の大腸癌と診断され、外来で抗癌薬の点滴静脈内注射を受けることになった。Aさんは「治療を受けながら仕事を続けたいのですが、どうすれば良いか教えてください」と外来看護師に相談した。
外来看護師が行うAさんへの助言で最も適切なのはどれか。
- 「所属部署の変更を上司に申し出ましょう」
- 「副作用が出てから対応を考えましょう」
- 「会社の健康管理部門に相談しましょう」
- 「有給休暇を使って治療を受けましょう」
③ 「会社の健康管理部門に相談しましょう」
治療と仕事の両立には職場の理解・支援体制が不可欠であり、労働者自身が疾病を十分理解した上で、事業者や健康管理部門(人事労務担当)、産業保健スタッフに相談することが適切である。
*第8編 9.7〕治療と仕事の両立支援 p310
▶午後68
家族からネグレクトを受けている高齢者について、地域包括支援センターに通報があった。
この通報を受けた地域包括支援センターが行う業務はどれか。
- 権利擁護
- 総合相談支援
- 介護予防ケアマネジメント
- 包括的・継続的ケアマネジメント支援
① 権利擁護
介護保険法に基づき市町村に設置される地域包括支援センターの地域支援事業(包括的支援事業)として、虐待の防止や早期発見などの権利擁護業務がある。
*第5編1章 6.地域支援事業 p225~226
▶午後69
病院では、育児中の時短勤務、夜勤専従、非常勤など多様な労働時間や雇用形態の看護師が働いている。
看護管理者が行うマネジメントで最も優先するのはどれか。
- 夜勤専従の看護師の休暇を増やす。
- 育児中の看護師の院内研修を免除する。
- 非常勤看護師は患者の受け持ちを免除する。
- 特定の看護師に仕事が集中しないよう調整する。
④ 特定の看護師に仕事が集中しないよう調整する。
看護管理者は一般に病院や病棟の看護部門を束ねる者で、組織内の人的資源の管理(マネジメント)はその役割の一つである。多様な労働時間や雇用形態の看護師がいる中で、各々の状況を把握し、業務に偏りがないよう調整することは、看護師本人の健康だけでなく受け持つ患者に対する看護の質にも直結するため、最も優先される。
▶午後70
診療情報の取り扱いで適切なのはどれか。
- 診療情報の開示請求は患者本人に限られる。
- 医療者は患者が情報提供を受けることを拒んでも説明する。
- 2類感染症の届出は患者本人の同意を得なければならない。
- 他院へのセカンドオピニオンを希望する患者に診療情報を提供する。
④ 他院へのセカンドオピニオンを希望する患者に診療情報を提供する。
患者は医療機関等の選択の自由を権利として有し、診療情報の提供を受けた上で主治医以外の医師や他院の医師による助言(セカンドオピニオン)を受けることができる。
×① 診療情報の開示請求は患者本人に限られる。
開示請求は原則として患者本人が行うが、法定代理人や任意後見人なども患者に代わって開示を求め、診療記録を閲覧することができる。
×② 医療者は患者が情報提供を受けることを拒んでも説明する。
医療従事者は、患者が「知らないでいたい希望」を表明した場合、これを尊重しなければならない。
×③ 2類感染症の届出は患者本人の同意を得なければならない。
結核など2類感染症を診断した医師は直ちに最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出なければならないが、本人の同意は必要としない。
▶午後71
医療法における病院の医療安全管理体制で正しいのはどれか。
- 医療安全管理のために必要な研修を2年に1回行わなければならない。
- 医療安全管理のための指針を整備しなければならない。
- 特定機能病院の医療安全管理者は兼任でよい。
- 医薬品安全管理責任者の配置は義務ではない。
② 医療安全管理のための指針を整備しなければならない。
医療法に基づき、病院の管理者は、医療に係る安全管理のための指針の整備、委員会の開催、職員研修の実施などの体制を整備しなければならない。
×① 医療安全管理のために必要な研修を2年に1回行わなければならない。
医療安全管理のため、年2回程度の職員研修の実施体制を確保する。
×③ 特定機能病院の医療安全管理者は兼任でよい。
病院には医療安全管理者を配置することとされ、特に高度医療等を提供する特定機能病院では専任であることが要件である。
×④ 医薬品安全管理責任者の配置は義務ではない。
病院の管理者は、医療品の安全使用のため、医薬品安全管理責任者を配置しなければならない。
*第4編1章 3.9〕医療安全管理体制 p178~179
▶午後72
看護師等の人材確保の促進に関する法律における離職等の届出で適切なのはどれか。
- 届出は義務である。
- 届出先は保健所である。
- 離職を予定する場合に事前に届け出なければならない。
- 免許取得後すぐに就職しない場合は届け出るよう努める。
④ 免許取得後すぐに就職しない場合は届け出るよう努める。
看護師等の人材確保の促進に関する法律において、看護師等は、病院等を離職した場合・該当の業に従事しなくなった場合・免許を受けた後すぐに従事する見込みがない場合、都道府県ナースセンターに届け出るよう努めなければならないとし、この届出制度を活用し、無料職業紹介等により潜在看護師等の復職支援の強化を図っている。
*第4編1章 4.4〕看護職員等 p193~197
▶午後73
国際社会が抱えるヘルスケアを含む課題に対して、すべての国に適用される普遍的(ユニバーサル)な目標で、2015年の国連サミットで採択されたのはどれか。
- ヘルスフォーオール21(HFA21)
- ミレニアム開発目標(MDGs)
- 持続可能な開発目標(SDGs)
- 国連開発目標(IDGs)
③ 持続可能な開発目標(SDGs)
持続可能な開発目標〈SDGs〉は、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標で、2015年の国連サミットで採択された。なお、②ミレニアム開発目標〈MDGs〉はその前身として2001年に策定されたものである。
*第1編2章 11.国際協力 p33~36
▶午後74
採血の際、血液が凝固するのを防ぐために試験管にクエン酸の結晶を入れておくことがある。
クエン酸によって血液から除かれるのはどれか。
- トロンビン
- プラスミン
- カルシウムイオン
- ナトリウムイオン
- フィブリノーゲン
③ カルシウムイオン
クエン酸は血液凝固因子の一つであるカルシウムイオンと結合し、血漿から除去することで、抗凝固作用を発揮する。
▶午後75
胃底腺の主細胞の分泌物に由来するタンパク分解酵素はどれか。
- アミラーゼ
- キモトリプシン
- トリプシン
- ペプシン
- リパーゼ
④ ペプシン
ペプシンは胃粘膜(胃底腺)の主細胞から分泌されるタンパク分解酵素である。
×① アミラーゼ
アミラーゼは膵臓や唾液腺から分泌されるデンプン分解酵素である。
×② キモトリプシン
×③ トリプシン
キモトリプシンとトリプシンは膵臓から分泌されるタンパク分解酵素である。
×⑤ リパーゼ
リパーゼは膵臓から分泌される脂肪分解酵素である。
▶午後76
成人で、骨髄が脂肪組織になっているのはどれか。
- 寛骨
- 胸骨
- 大腿骨の骨幹
- 椎骨の椎体
- 肋骨
③ 大腿骨の骨幹
骨髄のうち造血機能が活発なものを赤色骨髄といい、胎児や新生児ではすべての骨髄が赤色骨髄に当たるが、成長とともに脂肪化して造血機能を失った黄色骨髄に置き換わる。成人では①寛骨、②胸骨、④椎骨椎体、⑤肋骨などのみが赤色骨髄をとどめ、そのほかは黄色脊髄となる。
▶午後77
臓器と産生されるホルモンの組合せで正しいのはどれか。
- 膵臓――グルカゴン
- 副腎――プロラクチン
- 腎臓――アルドステロン
- 脳下垂体――インクレチン
- 視床下部――テストステロン
① 膵臓――グルカゴン
グルカゴンは膵臓で生成され、空腹時など血糖値が低下した際に、肝臓で貯蔵しているグリコゲンをブドウ糖(グルコース)に分解することで血糖値を上昇させるはたらきを持つ。
×② 副腎――プロラクチン
プロラクチンは視床下部の下垂体前葉から分泌され、分娩後の授乳刺激により乳汁産生を促進するなど乳汁分泌作用を持つ。
×③ 腎臓――アルドステロン
アルドステロンは副腎皮質から分泌され、腎臓の遠位尿細管に作用することでナトリウムの再吸収を促進し、血圧の調節が行われる。
×④ 脳下垂体――インクレチン
インクレチンは小腸から分泌され、インスリン分泌を促進する。
×⑤ 視床下部――テストステロン
男性ホルモンであるテストステロンは精巣から分泌され、タンパク合成を促進することにより骨格筋の成長・維持を行う。
▶午後78改題
抗甲状腺薬の副作用〈有害事象〉で正しいのはどれか。
- 頻脈
- 肝障害
- 不整脈
- 眼球突出
② 肝障害
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)では①頻脈など③不整脈、④眼球突出がみられる。その治療薬である抗甲状腺薬の副作用〈有害事象〉としては、主に肝(機能)障害や無顆粒球症が挙げられる。
▶午後79
Barthel〈バーセル〉インデックスで評価するのはどれか。
- 栄養状態
- 疼痛の強さ
- 褥瘡の深さ
- 日常生活動作
- 呼吸困難の程度
④ 日常生活動作
高齢者や障害者の身体能力や日常生活レベルを図るための指標としてADL(日常生活動作)が用いられており、バーセルインデックスはその評価方法の一つである。
▶午後80
急性心筋梗塞患者の合併症を早期に発見するための徴候で正しいのはどれか。
- 皮疹の出現
- 頻脈の出現
- 時間尿の増加
- 腹壁静脈の怒張
- うっ血乳頭の出現
② 頻脈の出現
急性心筋梗塞等により心臓のポンプ機能が低下することで、急性の循環不全等の心原性ショックが起こる。1回の心拍で送り出される血液量が減少することで血圧は低下し、脈拍は弱く速くなる(頻脈性不整脈)。
▶午後81
Alzheimer〈アルツハイマー〉型認知症の患者にみられる実行機能障害はどれか。
- シャツを前後反対に着る。
- 調理の手順がわからなくなる。
- 物音がすると食事を中断する。
- 鏡に映った自分の姿に話しかける。
- 歯ブラシで髪の毛をとかそうとする。
② 調理の手順がわからなくなる。
アルツハイマー型認知症は、認知症の中でも最も多く、脳神経が変性して脳の一部が萎縮していく過程で起きる認知症である。中核症状の一つとされる実行機能障害では、計画や段取りを立てて、それを実行できないことを特徴とする。
▶午後82
副交感神経を含む脳神経はどれか。2つ選べ。
- 嗅神経
- 視神経
- 動眼神経
- 三叉神経
- 迷走神経
③ 動眼神経
⑤ 迷走神経
脳神経のうち副交感神経を含むものは、動眼神経、顔面神経、舌咽神経、迷走神経である。
▶午後83
糖尿病性腎症の食事療法で制限するのはどれか。2つ選べ。
- 脂質
- 塩分
- 蛋白質
- 炭水化物
- ビタミン
② 塩分
③ 蛋白質
糖尿病性腎症は糖尿病の合併症の一つで、持続的な高血糖により腎臓(糸球体)の濾過機能が低下し、水分やナトリウムの排泄が低下し、血液量が増加して高血圧が起こる。食事療法としては、高血圧につながる食塩(塩分)、排泄時に腎臓に負担をかける蛋白質の過剰摂取を制限する。
▶午後84
アナフィラキシーショックで正しいのはどれか。2つ選べ。
- 徐脈になる。
- 重症例では死に至る。
- 気道粘膜の浮腫を生じる。
- Ⅲ型アレルギー反応である。
- 副腎皮質ステロイドは禁忌である。
② 重症例では死に至る。
③ 気道粘膜の浮腫を生じる。
アナフィラキシーショックによる症状として、血管透過性の亢進による浮腫がみられ、重症化した場合は死に至る。
×① 徐脈になる。
血圧の低下により頻脈になる。
×④ Ⅲ型アレルギー反応である。
アナフィラキシーショックはⅠ型アレルギー(即時型アレルギー)に分類され、体内に入った特定の原因物質(抗原)に対するIgE抗体の反応による急性の過敏反応である。
×⑤ 副腎皮質ステロイドは禁忌である。
治療としては血圧を上昇させるアドレナリンが第一選択で、重症の程度によって抗炎症作用をもつ副腎皮質ステロイドを使用する。
▶午後85
前立腺肥大症で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 進行すると水腎症となる。
- 外科治療は経尿道的前立腺切除術を行う。
- 直腸診で石の様な硬さの前立腺を触知する。
- 前立腺を縮小させるために男性ホルモン薬を用いる。
- 前立腺特異抗原〈prostate specific antigen:PSA〉値が100ng/mL以上となる。
① 進行すると水腎症となる。
② 外科治療は経尿道的前立腺切除術を行う。
① 前立腺肥大症の進行によって尿道が圧迫されて排尿障害が生じ、尿閉により尿が腎臓にたまる水腎症となる。
② 前立腺肥大症に対する外科治療として、内視鏡を用いた経尿道的前立腺切除術〈TUR-P〉が標準的治療とされる。
×③ 直腸診で石の様な硬さの前立腺を触知する。
肛門から直接指を入れて前立腺を調べる直腸内指診(直腸診)で、前立腺肥大症かどうかを診断する。前立腺が石の様に硬い場合は前立腺癌が疑われる。
×④ 前立腺を縮小させるために男性ホルモン薬を用いる。
前立腺肥大症の原因として男性ホルモンが関与しており、薬物治療としては男性ホルモンの作用を抑える5α還元酵素阻害薬や抗アンドロゲン薬などが用いられる。
×⑤ 前立腺特異抗原〈prostate specific antigen:PSA〉値が100ng/mL以上となる。
PSA検査は前立腺癌を早期に発見することに適した検査で、正常値は4ng/mL以下であり、PSA値が100ng/mL以上の急激な上昇では前立腺癌が強く疑われる。前立腺肥大症でも軽度の上昇が見られる場合がある。
▶午後86
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉に基づく五類感染症はどれか。2つ選べ。
- 後天性免疫不全症候群〈AIDS〉
- 腸管出血性大腸菌感染症
- つつが虫病
- 日本脳炎
- 梅毒
① 後天性免疫不全症候群〈AIDS〉
⑤ 梅毒
感染症法では、対象とする感染症の感染力や罹患した場合の症状の重篤性などに基づいて1~5類感染症などに分類している。②は3類感染症、③と④は4類感染症である。
*第3編3章 3.4〕HIV・エイズ〈AIDS〉 p135~137
*第3編3章 3.6〕性感染症 p138~139
▶午後87
感覚性失語のある成人患者とのコミュニケーションで適切なのはどれか。2つ選べ。
- 短文で話しかける。
- 身振りを加えて話す。
- 多くの話題を提供する。
- 耳元に近づき大きな声で話す。
- open-ended question〈開かれた質問〉を用いる。
① 短文で話しかける。
② 身振りを加えて話す。
感覚性失語(ウェルニッケ失語)は、感覚性言語中枢であるウェルニッケ野に損傷が起きることで生じる言語障害である。話し言葉や書き言葉の理解が困難になるため、ジェスチャーを交えながらゆっくり短文で話すなどのコミュニケーション方法が適切である。
▶午後88
交通事故によって脊髄損傷で入院した下肢に麻痺のある成人患者。職場復帰に向けて、看護師が患者に説明する内容で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 自己導尿は自宅で行う。
- 仕事中は飲水を制限する。
- 車椅子には体圧分散マットを使用する。
- 残業する場合の休憩時間は不要である。
- 職場の担当者に自分の病気について伝える。
③ 車椅子には体圧分散マットを使用する。
⑤ 職場の担当者に自分の病気について伝える。
③ 長時間の車椅子での坐位により、とくに仙骨部に圧迫がかかり褥瘡のリスクが高まるため、体圧分散マットで特定の部位に圧力が集中することを避けることが適切である。
⑤ 治療と仕事の両立には職場の理解・支援体制が不可欠であり、労働者自身が疾病を十分理解した上で、事業者や健康管理部門(人事労務担当)、産業保健スタッフに相談することが適切である。
×① 自己導尿は自宅で行う。
×② 仕事中は飲水を制限する。
自己導尿は職場においても行うことができ、適度な飲水を制限する必要はない。
×④ 残業する場合の休憩時間は不要である。
残業時に限らず、体調に応じて適宜休憩を認めるなどの配慮が必要である。
▶午後89
人工肛門を造設した患者へのストーマケアの指導内容で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 装具の交換は便が漏れない限り不要である。
- 装具をはがした時は皮膚保護材の溶解の程度を観察する。
- 洗浄後のストーマはドライヤーで乾かす。
- 装具の穴はストーマと同じ大きさにする。
- 装具を貼る時は腹壁のしわを伸ばす。
② 装具をはがした時は皮膚保護材の溶解の程度を観察する。
⑤ 装具を貼る時は腹壁のしわを伸ばす。
② 人工肛門(ストーマ)から便を集める装具を剥がした際には、皮膚保護材の溶解の程度により皮膚障害のおそれがあるため、注意深く観察する。
⑤ 便が漏れ出ることのないよう、腹壁のしわを伸ばしてストーマ装具を貼る。
×① 装具の交換は便が漏れない限り不要である。
装具の交換は、皮膚保護材が剥がれ、便が漏れ出す前に行う。
×③ 洗浄後のストーマはドライヤーで乾かす。
洗浄後のストーマをドライヤーで乾かすと、皮膚や粘膜を傷つけるため使用しない。
×④ 装具の穴はストーマと同じ大きさにする。
ストーマは腸管の動きに伴い大きさが変わるため、装具の穴はストーマよりも大きくする。
▶午後90
妊娠36週の妊婦にNST〈non-stress test〉を行うため、分娩監視装置を装着することになった。
妊婦への説明で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 「胎児の健康状態を判定します」
- 「所要時間は10分です」
- 「排尿を済ませて下さい」
- 「仰向けで行います」
- 「固定用ベルトを1本使用します」
① 「胎児の健康状態を判定します」
③ 「排尿を済ませて下さい」
① ノンストレステスト〈NST〉は胎児に影響を与えずに、分娩監視装置を装着して胎児の心拍と妊婦の子宮収縮の状態を確認するもので、概ね妊娠36週以降に行われる。
③ 妊娠期は全期間を通じて頻尿が生じやすく、検査前に排尿を行うことが望ましい。
×② 「所要時間は10分です」
所要時間は20~40分で場合によっては長引くこともある。
×④ 「仰向けで行います」
妊娠後期では、仰向け時に増大した子宮の圧迫に伴う低血圧(仰臥位低血圧症候群)が生じやすいため、側臥位等で行う。
×⑤ 「固定用ベルトを1本使用します」
固定用ベルトは、胎児心拍測定用と子宮収縮測定用の2本を使用する。
資料 厚生労働省「第105回保健師国家試験、第102回助産師国家試験、第108回看護師国家試験の問題および正答について」
注 当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。
▼第108回看護師国家試験
▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向
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