国民衛生の動向でみる保健師国家試験の感染症問題まとめ
「国民衛生の動向」は、昭和24年の創刊以来、時代の変化に合わせて、わが国の衛生を取り巻く最新の状況を網羅する本として幅広く利用されています。
かつては、結核をはじめとした感染症対策がその記述の中心でしたが、近年では感染症を軸とした対策から、生活習慣の改善による発症予防(一次予防)を推進する生活習慣病対策に重点が置かれてきていました。
しかし、2020年以降、新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、医療機関や保健所だけでなく、介護施設や飲食店、学校、家庭などでも感染症対策の重要性が再認識されたところです。こうした中で、保健師国家試験では、これまで以上に感染症を問う問題が出題されると考えられます。
当ページでは、110回(2024年)から99回(2013年)の12年分の試験問題の中から感染症問題をピックアップし、簡易的な説明とともに示します。問題を解きながら、「国民衛生の動向」第3編3章の感染症対策の記述を参考に、感染症法の規定、各感染症の特徴、医療機関における予防策など、総合的に把握することが大切です。
厚生の指標増刊
発売日:2024.8.27 定価:2,970円(税込) 412頁・B5判 雑誌コード:03854-08
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目次
- 国際的な感染症対策
- 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉
- エボラ出血熱
- 結核
- マラリア
- デング熱
- レジオネラ症
- ウイルス性肝炎
- 性感染症
- (季節性)インフルエンザ
- 食中毒感染症
- 新型インフルエンザ
- 予防接種法
- 学校において予防すべき感染症
国際的な感染症対策
新興感染症・再興感染症
- それまで知られていなかった新しい病原体による感染症を新興感染症、近い将来克服されると考えられていた既知の感染症が再流行したものを再興感染症という。
- わが国の再興感染症の例としては、地球温暖化等の影響によるデング熱の流行、抗体保有率の低下による麻疹・風疹の流行がみられた。
▶104回午前34
日本における再興感染症はどれか。2つ選べ。
- 麻疹
- デング熱
- エボラ出血熱
- ウエストナイル熱
- 重症急性呼吸器症候群〈SARS〉
検疫
- 検疫は、国内に常在しない新興・再興感染症が船舶や航空機を介して国内に侵入することを防ぐために実施されるもので、国内法としては検疫法に基づいて行われる。
- 海港・空港に設置される検疫所では、人の検疫や港湾衛生業務、海外感染症情報の収集と提供、申請業務などを行っている。
▶109回午後32
検疫所の説明で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 保健所に設置されている。
- 海外感染症情報の収集と提供を行う。
- 感染症サーベイランスの分析を行う。
- 国内に常在しない感染症の病原体が侵入することを防ぐ。
- 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉に基づき業務を行う。
世界保健機関(WHO)
▶105回午後2
世界保健機関〈WHO〉の行う活動で正しいのはどれか。
- 開発途上国の保健医療従事者の研修員の受け入れ
- 戦争や内戦で被害を受けている子どもの支援
- 難民に関する国際的な諸規定の監督
- 予防接種拡大計画の推進
▶100回午前25
世界保健機関〈WHO〉の機能について正しいのはどれか。
- 青年海外協力隊の派遣
- 国際社会の平和と安全の維持
- 開発途上国における学校の建設
- 新興・再興感染症の監視網の構築
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉
法成立の経緯
▶109回午後35
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉に統合され廃止された法律はどれか。2つ選べ。
- 後天性免疫不全症候群の予防に関する法律
- トラホーム予防法
- 狂犬病予防法
- 結核予防法
- らい予防法
感染症発生動向調査
▶107回午前12
健康危機の発生の未然防止に該当するのはどれか。
- 緊急相談窓口の設置
- 感染症サーベイランス
- 避難行動要支援者の把握
- 心的外傷後ストレス障害〈PTSD〉のある人への支援
▶106回午前13
感染症サーベイランスで、医療機関、保健所、都道府県を経て厚生労働省に報告されるのはどれか。
- 積極的疫学調査
- 感染症発生動向調査
- 感染症流行予測調査
- 院内感染サーベイランス事業
▶102回午後14
感染症に対する健康危機管理の平常時の対応はどれか。
- 空港での水際対策
- 積極的疫学調査の実施
- 感染症発生動向調査の実施
- 厚生労働省対策本部の設置
積極的疫学調査
▶109回午後14
健康危機管理で感染症の発生時の対応はどれか。
- 積極的疫学調査の実施
- 感染症指定医療機関の指定
- 感染症発生動向調査の実施
- 地域DOTSの関係機関への研修の実施
▶103回午後2
市町村の保健師の活動として適切でないのはどれか。
- 細菌性赤痢の患者の積極的疫学調査
- 老人クラブでの健康教育の実施
- 統合失調症患者への家庭訪問
- 16歳の妊婦への保健指導
感染症の分類
感染症法では、対象とする感染症の感染力や罹患した場合の症状の重篤性などに基づいて1~5類感染症、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症、新感染症に分類している。
【対象感染症の一例】
- 1類感染症:エボラ出血熱、痘そう、ペスト
- 2類感染症:急性灰白髄炎、結核、重症急性呼吸器症候群〈SARS〉、鳥インフルエンザ(H5N1、H7N9)
- 3類感染症:コレラ、腸管出血性大腸菌感染症
- 4類感染症:A型肝炎、E型肝炎、マラリア、日本脳炎
- 5類感染症:後天性免疫不全症候群〈AIDS〉、梅毒、B型肝炎、C型肝炎、麻疹、風疹、細菌性髄膜炎、水痘
▶104回午前36
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉における1類感染症はどれか。2つ選べ。
- コレラ
- 痘そう
- ペスト
- マラリア
- 急性灰白髄炎
感染症法に基づく届出基準
- 1~4類感染症と、5類感染症の一部(侵襲性髄膜炎菌感染症、風疹および麻疹)、新型インフルエンザ等感染症を診断した医師は、直ちに最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出なければならない。
- 上記以外の5類感染症で全数把握対象疾患となっているものについては7日以内に届け出なければならない。また、全数把握対象疾患を除く5類感染症については、定点把握対象疾患として定点医療機関の協力の下に週単位、月単位などの届出により流行状況を把握している。
▶109回午前36・101回午前37類問
健康危機管理に関する保健所の業務はどれか。2つ選べ。
- 食中毒発生時の調査
- 狂犬病発生時の厚生労働大臣への報告
- 感染症患者を診断した医師からの届け出の受付
- 保育所で乳児が突然死したときの届け出の受理
- 虐待が認定された介護老人福祉施設の指定の取り消し
▶101回午後12
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に基づき、診断した医師が直ちに届け出なければならないのはどれか。
- 結核
- 梅毒
- アメーバ赤痢
- 流行性角結膜炎
▶105回午前33
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉の五類感染症のうち、直ちに届け出る必要があるのはどれか。2つ選べ。
- 麻しん
- 百日咳
- 破傷風
- 侵襲性髄膜炎菌感染症
- Creutzfeldt-Jakob〈クロイツフェルト・ヤコブ〉病
▶109回午前39
感染症発生動向調査で全数把握の対象となるのはどれか。2つ選べ。
- 結核
- 麻疹
- 手足口病
- マイコプラズマ肺炎
- 性器クラミジア感染症
▶103回午前34
感染症発生動向調査において全数把握の対象となるのはどれか。2つ選べ。
- 風疹
- 百日咳
- 日本脳炎
- マイコプラズマ肺炎
- 性器クラミジア感染症
▶108回午前32
平常時に指定医療機関から患者発生数の報告を受けて流行状況を把握する定点把握対象疾患はどれか。2つ選べ。
- 結核
- コレラ
- 急性出血性結膜炎
- 鳥インフルエンザ
- 性器クラミジア感染症
入院勧告制度
- 感染症患者が感染症法に基づいて入院する場合、十分な説明と同意に基づいた入院を期待する入院勧告制度がとられ、感染症指定医療機関での医療費が公費負担される。
- 感染症指定医療機関については、厚生労働大臣が指定する特定感染症指定医療機関(新感染症患者対象)と、都道府県知事が指定する第1種感染症指定医療機関(1類感染症患者対象)・第2種感染症指定医療機関(2類感染症患者対象)が法定化されている。
▶103回午後22
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉について正しいのはどれか。
- 予防接種を行う疾病を定めている。
- 十分な説明と同意に基づいた入院勧告制度がある。
- 特定感染症指定医療機関は都道府県知事が指定する。
- 4類感染症を診断した医師は7日以内に届出を行わなければならない。
▶107回午前22
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉について正しいのはどれか。
- 入院勧告によって感染症指定医療機関で受ける入院治療の医療費は公費負担となる。
- 感染症まん延防止のために予防接種を勧奨する疾患について規定されている。
- 無症状病原体保有者についての届出は定められていない。
- A型肝炎は三類感染症である。
就業制限
- 感染症法に基づき、1類感染症~3類感染症または新型インフルエンザ等感染症の患者で、飲食物に直接接触する業務に従事している者については、感染のおそれがなくなるまでその業務の就業を制限している。
- 症状がありかつ病原体を有する者のほか、無症状であるが病原体を保有している者も就業制限の対象である。
▶109回午後16
A事業所の社員食堂で毎月行う調理従事者20名の便の細菌検査で、Bさんから腸管出血性大腸菌が検出された。Bさんは特に症状がないが、受診した診療所の医師から腸管出血性大腸菌の無症状病原体保有者と診断された。
この診断後の対応で正しいのはどれか。
- Bさんは感染症指定医療機関に入院する必要がある。
- 2類感染症として受診した診療所の医師から発生届が提出される。
- 社員食堂はBさんが職場に復帰できるまで業務を休止しなければならない。
- Bさんは病原体を保有しなくなるまで飲食物に直接触れる業務への就業が制限される。
エボラ出血熱(1類感染症)
概要
- エボラ出血熱は、エボラウイルス感染者の体液との接触を主な感染経路とするウイルス性出血熱である。
- 致死率は、ザイール型で約90%、スーダン型で約50%と極めて高く、わが国では流行の可能性は低いが、検疫の強化を図っている。
▶101回午後32
エボラ出血熱について正しいのはどれか。2つ選べ。
- 空気感染する。
- 一類感染症である。
- 定点把握対象疾患である。
- 致命率〈致死率〉は10%である。
- 患者は感染症指定医療機関に移送される。
結核(2類感染症)
概要
- 結核は、結核菌によって発生するわが国の主要な感染症の一つである。結核菌に感染した場合、必ずしもすぐに発症するわけではなく、長期にわたり体内に潜伏したのち再び活動を開始し、発症することがある。
- 主な感染経路である空気感染対策として、N95マスクの装着や陰圧室への入室などの措置がとられる。
▶109回午後26
潜伏期間が最も長い感染症はどれか。
- 風疹
- 肺結核
- 百日咳
- インフルエンザ
- 流行性耳下腺炎
▶103回午前16
保健所で医療機関から感染症の発生の届出を受けた。
保健師が患者を訪問するときに、N95マスクの着用が必須である感染症はどれか。
- デング熱
- 開放性結核
- レジオネラ肺炎
- 中東呼吸器症候群〈MERS〉
BCGワクチン
- 結核の特異的予防(一次予防)として、予防接種法に基づきBCGワクチンの定期予防接種が行われており、生後1歳に至るまでの間に定期接種を行う。
- 接種後5~6週間頃に針の痕に一致して発赤や膿がみられることがあるが、正常な反応とされる。ただし、接種から約10日以内にこうした反応が生じた場合は、すでに結核菌に感染しているおそれもあり、速やかに医療機関に相談・受診する必要がある。
▶107回午後3
結核に対する特異的予防はどれか。
- 栄養改善
- 再発予防
- BCG接種
- 重症化予防
▶105回午前4
Aちゃん(生後5か月、男児)。定期予防接種であるBCG接種を受けた。接種7日後に、母親が保健センターに来所し、地区担当保健師に「接種したところが腫れているが大丈夫か」と相談があった。接種部位の写真を別に示す。
母親に対する地区担当保健師の対応で正しいのはどれか。
- 「入浴は控えましょう」
- 「免疫がついた証拠です」
- 「すぐに小児科を受診してください」
- 「接種後3か月程度で自然に治ります」
結核に対する健康診断
▶99回午後22
日本の結核対策で正しいのはどれか。
- 生後3か月に達するまでにBCGを接種する。
- 潜在性結核感染症は医師の届け出の対象ではない。
- 接触者健康診断は接触者の居住地の保健所が実施する。
- 定期健康診断は都道府県知事が実施義務者となって行われる。
地域DOTS
結核患者の服薬管理を徹底するため、日本版21世紀型DOTS戦略推進体系図に基づき、全結核患者(潜在性結核感染症含む)に対する地域DOTS(直接服薬確認)が推進されており、患者のリスク等に応じて服薬確認頻度と方法を以下のとおり選択することとされる。
- 治療中断のリスクが高い患者(住所不定者、アルコール依存者等)→原則毎日
- 服薬支援が必要な患者(要介護・独居等高齢者等)→週1~2回以上
- 上記以外の患者→月1~2回以上
▶104回午後26
日本版21世紀型DOTS戦略推進体系図を示す。
【A】から【C】に入る語句の組合せで正しいのはどれか。
【A】――【B】――【C】
- 潜在性結核感染症の者を除く結核患者――訪問DOTS ――連絡確認DOTS
- 潜在性結核感染症の者を除く結核患者――地域DOTS――コホート検討会
- 喀痰塗抹陽性の結核患者――訪問DOTS――連絡確認DOTS
- 全結核患者及び潜在性結核感染症の者――外来DOTS――連絡確認DOTS
- 全結核患者及び潜在性結核感染症の者――地域DOTS――コホート検討会
▶107回午前13
地域における結核の個別患者支援計画で週1、2回の服薬確認が適切と判断する患者特性はどれか。
- 結核の既往がある。
- 要介護4の独居高齢者である。
- アルコール依存症患者である。
- 診断時、住所不特定者であった。
マラリア(4類感染症)
概要
- マラリアはハマダラカ(蚊)により媒介される感染症で、熱帯・亜熱帯地域に広く分布している。
- 地球温暖化や気候変動に伴い、ハマダラカの生息域が広がることなどから、マラリアの発生する地域の範囲が広がるおそれがある。
▶109回午前22
地球温暖化によって発生が増加するおそれがある感染症はどれか。
- 後天性免疫不全症候群〈AIDS〉
- ポリオ〈急性灰白髄炎〉
- マラリア
- 痘そう
- 結核
デング熱(4類感染症)
概要
▶107回午前26
人から人への直接の伝播がない感染症はどれか。
- 痘そう
- ペスト
- 腸チフス
- デング熱
- 腸管出血性大腸菌感染症
レジオネラ症(4類感染症)
概要
- レジオネラ症は自然界(河川、湖水、温泉や土壌など)に生息しているレジオネラ属菌の感染により発症し、主な病型として重症の肺炎を引き起こすレジオネラ肺炎がある。
- 浴槽の湯を濾過器を通して循環させる循環式浴槽では、換水や消毒、清掃を怠ることでレジオネラ属菌が繁殖する危険性が高い。
▶106回午後14
レジオネラ症患者発生の届出を受けた保健所が感染の原因を調査する際に、最も重要な情報はどれか。
- 入浴施設の利用歴
- 発症前の食事内容
- 蚊による刺咬の有無
- レジオネラ症患者との接触歴の有無
▶101回午前18
医療機関から男性(56歳)のレジオネラ症による肺炎が確認されたと保健所に連絡があった。男性は妻と息子の3人暮らしであり、自宅の風呂のほか、公衆浴場を週に1回利用している。
初動対応として最初に情報収集する者で正しいのはどれか。
- 近隣住民
- 環境衛生監視員
- 同居している家族
- 浴場組合の組合員
ウイルス性肝炎
B型肝炎・C型肝炎(5類感染症)
- B型肝炎、C型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)の感染による肝疾患である。
- B型肝炎にはワクチンがあり、定期予防接種の対象となっている。
- 治療としては主にインターフェロン治療がとられ、C型肝炎については内服薬のみでウイルス排除が可能なインターフェロンフリー治療の医療費助成を行っている。
▶110回午前33
ウイルス性肝炎について正しいのはどれか。2つ選べ。
- C型肝炎は四類感染症である。
- B型肝炎は定期予防接種の対象である。
- 健康増進法に基づく肝炎ウイルス検診は都道府県が実施主体である。
- C型慢性肝炎のインターフェロンフリー治療は公費助成の対象である。
- 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉に基づき肝炎対策の推進に関する基本的な指針が策定されている。
性感染症(5類感染症)
後天性免疫不全症候群〈エイズ〉
- 後天性免疫不全症候群は、ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉の感染によって引き起こされる細胞性免疫不全状態を主な病態とする疾患である。
- HIVの主な感染経路は、①HIV感染者との性行為、②血液または血液製剤の輸注、③母子感染(垂直感染)の3つであり、中でも新規HIV感染者の感染経路では性的接触が83.8%と大部分を占め、特に男性の同性間性的接触の割合が高い。
- 新規HIV感染者の推移をみると、平成25年(2013年)以降減少傾向にあり、令和3年(2021年)では742人となっている。性別・国籍別にみると日本国籍男性が多数を占める。
▶108回午前12改題
令和3年(2021年)の日本におけるHIV感染者の患者動向で正しいのはどれか。
- 新規感染の約60%は性的接触である。
- 発生の総数は2008年から増加している。
- 男性では外国籍の者が半数以上を占めている。
- 日本国籍女性の感染経路は異性間の性的接触が最も多い。
性感染症の状況
▶106回午前6改題
平成22年(2010年)と比較した令和3年(2021年)の日本の性感染症の状況はどれか。2つ選べ。
- 10代の梅毒患者数が増加している。
- HIV感染者の療養期間が短くなっている。
- 新規HIV感染は異性間性的接触が最も多い。
- 性器ヘルペスウイルス感染症の定点報告数が増加している。
ピア・エデュケーター
▶102回午前3
保健所の保健師はエイズ予防週間に合わせて、大学の学園祭で若者を対象にヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉感染症および性感染症〈STD〉に関する健康教育を行うことにした。
対象者が予防行動をとることを目標に設定し、実施する方法として最も適切なのはどれか。
- 性感染症〈STD〉に関するパネル展示
- ピア・エデュケーターによる相談
- 性感染症〈STD〉に関する講演会
- 希望者へのHIV検査
(季節性)インフルエンザ(5類感染症)
流行時期
▶109回午前10
令和元年(2019年)における五類感染症で、週単位で報告される定点把握疾患のうち、インフルエンザ、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、感染性胃腸炎、突発性発しんの各週の定点当たり報告数の図を示す。
インフルエンザの報告数はどれか。
- A
- B
- C
- D
インフルエンザの感染拡大防止策
▶106回午後32
介護老人福祉施設から保健所に、インフルエンザを発症する入所者が増加しており集団感染が懸念されるので、どのように対応したらよいかとの相談があった。
感染拡大防止のために保健所が施設に行う指導として適切なのはどれか。2つ選べ。
- 未発症の入所者にN95マスクを着用させる。
- 発症した職員の復帰は解熱の翌日からとする。
- インフルエンザワクチン未接種の職員は自宅待機させる。
- 多数の入所者が集まって実施しているレクリエーション活動を休止する。
- 職員および面会者が入所者の部屋へ入退室する時にアルコールで手指消毒を行う。
▶99回午前37
地震発生後の避難所でインフルエンザが発生した。電気は復旧しているが、水道は復旧していない。
保健師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 高齢者を福祉避難所に移動する。
- 室内に次亜塩素酸ナトリウムを噴霧する。
- インフルエンザに罹患した避難者は別室に移す。
- 避難者にアルコールによる手指消毒を啓発する。
- 避難者の個人スペースを高さ100cmの段ボールで仕切る。
食中毒感染症
腸管出血性大腸菌感染症
- 腸管出血性大腸菌感染症は感染症法上の3類感染症に分類され、令和3年(2021年)には3,243件報告されている。
- 加熱が不十分である食品を介した食中毒事案として多発し、約3~8日の潜伏期を置いて激しい腹痛、著しい血便などの症状がみられるほか、小児等では溶血性尿毒症症候群(HUS)を合併することがある。
▶105回午前13改題
令和3年(2021年)1月から12月の感染症発生動向調査報告において、国内で発生が報告されているのはどれか。
- エボラ出血熱
- 腸管出血性大腸菌感染症
- 中東呼吸器症候群(MERS)
- 重症急性呼吸器症候群(SARS)
▶106回午後13改題
腸管出血性大腸菌による食中毒で正しいのはどれか。
- 潜伏期は6~24時間である。
- 加熱が不十分な牛肉が原因となることが多い。
- 合併症である溶血性尿毒症症候群〈HUS〉の発症は成人に多くみられる。
- 令和4年(2022年)の食中毒事件数はカンピロバクターが原因のものよりも多い。
ノロウイルス(感染性胃腸炎)
- ノロウイルス感染症は感染症法における5類感染症の感染性胃腸炎の一部に分類される。
- 対策として食品の十分な加熱のほか、手指の消毒にはアルコール、物品の消毒等には次亜塩素酸ナトリウムを用いる。また、乾燥すると空中に漂いやすいため、嘔吐物は乾燥する前に速やかに処理する必要がある。
▶106回午前38・110回午前35類問
高齢者が入所している施設で、ノロウイルスによる感染性胃腸炎症状が複数の入所者と職員に発生している。
施設が行うべき感染拡大防止のための対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 発症者と未発症者で居室を分ける。
- 入所者に提供する食事は十分に加熱する。
- 発症者の嘔吐物は十分に乾燥させてから清掃する。
- 手指の消毒に次亜塩素酸ナトリウム溶液を使用する。
- 発症した食品調理従事者の業務への復帰は胃腸炎症状が消失した日からとする。
サルモネラ症
- サルモネラ症は、感染症法における5類感染症の感染性胃腸炎の一部に分類される。
- 卵や肉、生乳など動物に由来する食品に含まれる細菌により起こる食中毒である。
▶100回午後11
管内のA病院から、下痢のため3日前に入院した8歳女児の便から、サルモネラが検出されたと保健所に電話があった。同日、B病院からも同じ菌を検出したとの電話があった。
保健所の対応で適切なのはどれか。
- 患児の自宅を消毒する。
- 患児の喫食調査を実施する。
- A病院の検食の病原体検査を行う。
- 患児を第1種感染症指定医療機関に移送する。
アニサキス症
▶109回午前16
感染症とその病原体の宿主の組合せで正しいのはどれか。
- アニサキス症――魚
- ウエストナイル熱――ダニ
- エキノコックス症――蚊
- トキソプラズマ症――貝
新型インフルエンザ
概要
- 平成21年(2009年)ころに世界的に流行した新型インフルエンザの教訓を踏まえ、平成24年(2012年)に新型インフルエンザ等対策特別措置法が成立し、病原性が高い新型インフルエンザ発生時などに国民の生命・健康を保護するとともに、国民生活と国民経済に及ぼす影響を最小限にするため、新型インフルエンザ等緊急事態宣言の事項が盛り込まれた。
- 令和2年(2020年)の改正では新型コロナウイルス感染症を対象に追加し、流行状況に応じて数次にわたる緊急事態宣言が発令された。
▶108回午後15
平成24年(2012年)施行の新型インフルエンザ等対策特別措置法で規定されたのはどれか。
- 緊急事態宣言の発令
- 感染症発生動向調査の実施
- 特定感染症指定医療機関の指定
- 都道府県による予防計画の策定
予防接種法
定期予防接種の対象(令和3年4月現在)
【生ワクチン】
BCG(結核)、麻疹・風疹混合、麻疹、風疹、水痘、ロタウイルス
【不活化ワクチン・トキソイド】
ポリオ(急性灰白髄炎)、ジフテリア・破傷風混合トキソイド、百日せき・ジフテリア・破傷風混合、百日せき・ジフテリア・破傷風・不活化ポリオ混合、日本脳炎、インフルエンザ、B型肝炎、肺炎球菌、インフルエンザ菌b型(Hib)、ヒトパピローマウイルス(HPV)
▶108回午前13
乳幼児の予防接種が任意接種である疾病はどれか。
- B型肝炎
- 急性灰白髄炎
- 流行性耳下腺炎
- ロタウイルス感染症
▶106回午前32
小児を対象にした麻しんと風しんの定期予防接種に関する説明で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 1期と2期がある。
- 生ワクチンである。
- 1期には3回接種する。
- 1歳未満が対象である。
- 抗体価が低い場合に接種する。
▶100回午後30
予防接種で生ワクチンはどれか。2つ選べ。
- 肺炎球菌
- B型肝炎
- おたふくかぜ
- 麻疹・風疹混合
- Hib〈インフルエンザ菌b型〉
A類疾病・B類疾病
- 定期予防接種は、集団予防目的に比重を置いたA類疾病(旧・一類疾病)と、個人予防目的に比重を置いたB類疾病(旧・二類疾病)に類型化されている。
- B類疾病として、インフルエンザ(高齢者対象)、高齢者の肺炎球菌感染症が対象となっている。
▶107回午前27
予防接種法に基づく定期予防接種の対象疾病のうち、目的として個人の発病または重症化を防止し、併せてこれによりそのまん延の予防に資するために定期的に行う必要があるのはどれか。
- 結核
- 麻しん
- 破傷風
- B型肝炎
- インフルエンザ
▶103回午後10
インフルエンザの予防接種について正しいのはどれか。
- 二次予防である。
- ワクチンの種類はトキソイドである。
- 予防接種法におけるB類疾病である。
- 定期予防接種の対象は15歳未満である。
予防接種の実施と救済
- 厚生労働大臣(国)は、予防接種に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るために予防接種基本計画を策定しなければならない。
- 定期の予防接種の実施主体は市町村で、被接種者は「受けるように努めなければならない」(努力義務)とされている。
- 定期の予防接種による健康被害については、予防接種法による健康被害救済制度を実施しており、厚生労働大臣が認定した場合は市町村から給付が行われる。
▶110回午後10
予防接種について正しいのはどれか。
- 定期接種の実施主体は都道府県である。
- 学校などでの集団接種を原則としている。
- 流行性耳下腺炎は定期接種の対象である。
- 定期接種による健康被害には予防接種健康被害救済制度がある。
▶109回午後10
予防接種について正しいのはどれか。
- 予防接種法では定期接種と任意接種に分類される。
- 市町村長は予防接種基本計画を策定する義務がある。
- 予防接種による健康被害の救済措置は都道府県知事が行う。
- A類疾病に対しては疾病の発生とまん延の予防を目的に実施する。
▶105回午前36
予防接種法で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 予防接種を受けることは国民の義務である。
- 定期予防接種の実施責任者は都道府県知事である。
- 定期予防接種は一類疾病と二類疾病に類型化されている。
- 定期予防接種の副反応による健康被害の救済が規定されている。
- 予防接種の総合的な推進を図るための予防接種基本計画が定められている。
▶104回午前17
高齢者の肺炎球菌感染症の予防接種について正しいのはどれか。
- 施設に入所する高齢者への予防接種の実施は都道府県知事の責務である。
- 平成28年(2016年)4月から定期の予防接種が開始された。
- 予防接種法による健康被害の救済措置の対象となる。
- 予防接種法においてA類疾病に指定されている。
学校において予防すべき感染症
概要
▶100回午後26
学校保健安全法施行規則で規定されている疾病と出席停止の期間の基準の組合せで正しいのはどれか。
- 結核――特有の咳が消失するまで
- 水痘――すべての発しんが痂皮化するまで
- 風しん――解熱後2日を経過するまで
- 麻しん――特有の発しんが消失するまで
- インフルエンザ――解熱後1日を経過するまで
テーマ別
必修問題まとめ
①国民衛生の動向対応/②看護の倫理・対象/③人体の構造と機能・健康障害・薬物/④看護技術
年次別
第113回/第112回/第111回/第110回/第109回/第108回/第107回/第106回/第105回/第104回/第103回/第102回