保健師国家試験 疫学・保健統計学問題まとめ
保健師国家試験の出題分野の一つである疫学・保健統計学は、聞き慣れない専門用語が多く登場し、また計算問題も多くあるため、受験生が苦手意識を持ちやすい分野です。しかし、しっかりと理解すれば必ず得点に結びつき、他の受験生と差を付けやすい分野でもあり、かつ保健師実務上でも使用するシーンは多く、保健師を目指す上で避けては通れない分野でもあります。
疫学・保健統計学の勉強方法としては、複雑な理論を一つ一つ理解していくこと、さらになるべく多くの問題を解いて応用的な知識を定着させていくことが最も重要となります。
当ページでは、保健師国家試験出題基準(令和5年版)に沿って用語等の解説を行いながら、110回試験(2024年)から90回試験(2004年)までの21年分の過去問題の中から関連する問題を取り上げ、十分な理解とアウトプットを図れるように構成しています。
公衆衛生テキスト「国民衛生の動向」を合わせて活用しながら、効果的に保健師国家試験の勉強を進めていただければ幸いです。
厚生労働統計協会では、「生物統計学の道標」「厚生統計テキストブック」など実践的な統計学のテキストを出版しています。身に付けた統計知識をより深く理解したい方におすすめいたします。
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目次
疫学の概念・方法
疫学研究
- 疫学研究は、人間集団を対象として疾病発症などの頻度や分布を調査し、その要因を明らかにして集団の治療や予防につなげる科学研究である。
- 疫学研究を行うに当たっては、倫理指針に基づいて研究対象者の個人の尊厳と人権を守ることが重要となる。
▶90回午前59
疫学について誤っているのはどれか。
- 人間集団を対象としている。
- 作用因子と健康状態との関係を明らかにする。
- 個人の疾病の原因究明が主な目的である。
- 経験論的法則を導き出す。
▶101回午前23
疫学研究を行う上で最も重要なのはどれか。
- 研究の科学的価値
- 参加者の人権の尊重
- 地域の生活水準の向上
- 参加者への利益の還元
曝露
- 疫学における曝露とは、人の健康に危害を加える要因(危険因子)にさらされることをいう。例えば感染症や食中毒においては、細菌やウイルスなどの感染源・感染経路が危険因子となる。
- 横軸に日付、縦軸に患者数を設定したグラフでは、単一曝露では1峰性、複数回の曝露では2峰性、持続的な連続曝露では多峰性を特徴とする。
▶91回午前66
ある小学校で、腹痛と下痢を訴えて休む児童が集団発生した。図は患者発生数である。
解釈で正しいのはどれか。
- 9月1日の患者は誤分類である。
- 食中毒の集団発生である。
- 単一曝露による集団発生である。
- 2次感染が認められる。
▶99回午前24
A小学校で発生した感染症の発症状況を図に示す。
感染源への曝露について最も考えられるのはどれか。
- 単一曝露があった。
- 多量曝露があった。
- 連続曝露があった。
- 複数回の曝露があった。
介入研究
- 介入研究は、発症頻度の高い疾患について、研究者が調査対象者に対して意図的に介入を行い、介入を行わない群と比較してその影響を検討する。
- 介入研究の特徴として、介入と結果の間の時間的関係が明確で、観察研究よりもエビデンスレベルが高いことが挙げられる。
- 対象者を2群に振り分ける際に無作為化(ランダム化)を行うものを無作為化比較試験、行わないものを非無作為化比較試験という。
▶95回午後28・92回午前65類問
市内の中学校10校を無作為に2群に分け、一方の生徒に肥満予防のパンフレット配布に加え肥満予防教育の授業を実施し、他方の生徒に肥満予防のパンフレット配布のみを行った。実施の前後に肥満予防行動について意識調査を行った。
この調査方法はどれか。
- 介入調査
- 横断的調査
- 生態学的調査
- 症例対照調査
▶96回午後21
エビデンスレベルが最も高い研究デザインはどれか。
- 横断研究
- 症例対照研究
- コホート研究
- 無作為化比較試験
▶97回午前22
介入研究として正しいのはどれか。
- 発生頻度の低い疾患に適用可能である。
- 仮説設定のために用いられることが多い。
- 介入と結果との時間的関係が明確である。
- 複数の曝露要因の影響を検討することはできない。
▶101回午前38
介入研究で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 仮説設定のために用いられる。
- 無作為化(割付)を前提としている。
- 介入と結果との時間的関係が明確である。
- 複数の曝露要因の影響を検討することはできない。
- 観察研究より高いレベルのエビデンスを提供する。
記述疫学
●生態学的研究
国や都道府県、市町村などの集団(地域)単位で、異なる集団との比較を行う。
●横断研究(断面研究)
ある一時点における疾病の発症(有病率)と曝露との関連性を調べる。
▶97回午後21
ある時点における世界各国の一人当たり食塩摂取量と高血圧症有病率との関係を図示し、相関係数を求めた。
この研究方法はどれか。
- 横断研究
- 生態学的研究
- コホート研究
- 症例対照研究
▶91回午前60
断面調査で明らかにできる疾病頻度指標はどれか。
- 罹患率
- 有病率
- 死亡率
- 致命率
▶96回午前22
市の全住民を対象とした横断調査で喘息の患者は7%であった。
この数値が示すのはどれか。
- 有病率
- 罹患率
- 相対危険
- 寄与危険割合
分析疫学
●症例対照研究
目的となる疾患に罹患した集団(症例群)と罹患したことのない集団(対照群)を選び、仮説要因に過去に曝露した者の割合を比較することで、算出されたオッズ比などから疾病の原因を探る方法である。
●(前向き)コホート研究
対象となる集団(コホート)を要因(曝露・非曝露)ごとに分類し、将来に向かって追跡して疾病等の発生状態を観察し、相対危険度や寄与危険度などから疾病の原因を探る方法である(縦断調査)。
症例対照研究は調査時点から過去に向かって調査するため後ろ向き研究、コホート研究は調査時点から将来に向かって調査するため前向き研究という。
▶103回午後34
因果関係を推測することができる研究デザインはどれか。2つ選べ。
- 横断研究
- 記述疫学
- 生態学的研究
- コホート研究
- 症例対照研究
▶95回午後26
分析疫学はどれか。
- 断面調査で喫煙習慣と飲酒習慣との関係を検討した。
- 食中毒発生状況について季節変動の関係を検討した。
- 縦断調査で喫煙習慣と胃癌罹患率との関係を検討した。
- 脳血管疾患の死亡率について都道府県ごとの差異を検討した。
▶108回午前28
症例対照研究で計算が可能な指標はどれか。
- 受療率
- オッズ比
- 寄与危険
- 推計患者数
- 5年生存率
▶106回午後26
症例対照研究で正しいのはどれか。
- 寄与危険の近似値を推定できる。
- 研究対象とする疾病が治癒した者を対照群とする。
- 症例群と対照群の過去の要因曝露状況を比較する。
- 症例群と対照群を追跡調査して死亡率を比較する。
- 症例群に試験薬、対照群に偽薬〈プラセボ〉を投与する。
▶91回午前63
A市保健所は多施設共同疫学研究に参加し、がんの発生要因について調査することになった。住民票から無作為に選ばれた40歳以上の男女それぞれ100名の協力を得て、現在の健康状態および過去の生活習慣を把握した。協力者には以後毎年の基本健康診査の受診を勧奨し、死亡小票ともマッチングさせ、死亡および疾病発症を追跡した。
この調査方法はどれか。
- 横断的調査
- 症例対照調査
- 前向きコホート調査
- 無作為割付臨床試験
▶94回午前62
原子力発電所の事故による放射能汚染の人体への影響について、事故後から継続的に調査する疫学の手法はどれか。
- 横断調査
- 後ろ向き調査
- 症例対照調査
- 縦断調査
▶93回午前59
コホート調査はどれか。
- 都道府県別に肝臓癌の死亡率を調べて比較した。
- 胃癌患者群と胃潰瘍患者群との飲酒習慣を比較した。
- 喫煙習慣のある集団とない集団との脳卒中発生状況を経年的に追跡した。
- 1人当たりの牛乳消費量と大腿骨頸部骨折発生率との国際比較を行った。
▶105回午前28
コホート研究と比較した症例対照研究の特徴で正しいのはどれか。
- 研究期間が長い。
- 相対危険が直接計算できる。
- まれな疾病の研究に適している。
- 事象の発生順序が明らかである。
- 情報の偏り〈バイアス〉が少ない。
▶102回午前17
疫学研究に関する記述で正しいのはどれか。
- 記述疫学には介入研究が含まれる。
- 横断研究によって因果関係を証明できる。
- 分析疫学は記述疫学よりも疾病と要因との関連を示しやすい。
- 前向きコホート研究は稀少疾病の罹患リスクを検討するのに優れている。
▶94回午前59
疫学調査法で正しいのはどれか。
- 前向き調査は原因不明の疾患の発生要因の研究に適している。
- 生態学的研究は個人を分析の対象とする。
- 症例対照研究は介入研究の1つである。
- コホート研究は希少疾患の研究に適している。
因果関係
- 強固性:要因と疾病の間に強い関係があること。相対危険やオッズ比が大きいほど強い関連がある。
- 一致性:異なる条件下でも同じ結果が反復されること。一致性は因果推論を強める。
- 時間性(前後関係):要因と疾病の関係が続発的であること。時間性は因果推論に必須の必要条件である。
- 特異性:特定の要因が特定の疾病をもたらすこと。
- 整合性:異なる研究で得られた事実と一致すること。
▶110回午後23・96回午前21類問
因果関係を推論する上で相対危険やオッズ比の大きさが指標となるのはどれか。
- 関連の一致性
- 関連の強固性
- 関連の時間性
- 関連の整合性
- 関連の特異性
▶93回午前60
疫学研究における因果推論で正しいのはどれか。
- 特異性は因果推論に必須である。
- 関連の一致性は因果推論を強める。
- 統計学的に有意な相関は因果関係である。
- 時間的関係性は因果推論の十分条件である。
▶100回午後32
疫学研究における因果関係の推論で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 関連の一致性は因果推論を強める。
- 統計学的に有意な関連は因果関係である。
- 関連の整合性は因果推論の十分条件である。
- 関連の特異性は因果推論の必要十分条件である。
- 関連の時間的関係性は因果推論の必要条件である。
▶97回午後30
疫学的因果関係について正しいのはどれか。
- 関連の特異性は必須の条件である。
- 相対危険度が高いことは関連の強固性を示す。
- 有意な関連があれば因果関係があると判断する。
- 関連の一致性とは、動物実験で同様の結果となることを指す。
- 関連の時間性とは、曝露から発病までの時間が短いことである。
▶101回午後17・94回午前60類問
過去5年間にA工場(従業員数1,000人)で15人、B工場(従業員数850人)で9人の肝癌患者が発生していたことがわかった。両工場では機械の洗浄に薬品Cを使用している。
薬品Cと肝癌の疫学的関係で最も適切なのはどれか。
- 薬品Cは肝癌の原因である。
- 薬品Cと肝癌には関連がある。
- 薬品Cと肝癌には因果関係はない。
- 薬品Cと肝癌との関係は不明である。
必要条件・十分条件
- 「Aならば必ずB」の関係が成立するとき、BはAの必要条件、AはBの十分条件という。
- 「Aならば必ずB」「Bならば必ずA」両方の関係が成立するとき、A(B)はB(A)の必要十分条件という。
▶99回午前23
インフルエンザの原因と発症との因果関係で正しいのはどれか。
- ウイルスは発症の必要条件である。
- ウイルスは発症の十分条件である。
- ウイルスは発症の必要十分条件である。
- ウイルスは発症の必要条件でも十分条件でもない。
▶98回午前23
ある疾患の原因A・B・Uの状況を表に示す。A、Bは既知の原因、Uはその他の未知の原因である。A・B・Uの原因が重なって十分条件を満たすことになり罹患した「パターン1」の患者が全患者の30%、同様にA・Uの原因が重なって罹患した「パターン2」の患者が40%、B・Uの原因が重なって罹患した「パターン3」の患者が20%、Uの原因で罹患した「パターン4」の患者が10%であった。
Aの原因を完全に除去できたと仮定すると、この疾患の罹患を減らすことができる割合はどれか。
- 30%
- 40%
- 70%
- 100%
疾病頻度の指標
有病率
▶107回午前29
A市のある一時点におけるC型肝炎を有している人の割合を示す指標はどれか。
- 罹患率
- 被患率
- 有病率
- 寄与危険
- 相対頻度
▶102回午後19・98回午後18類問
有病率を上昇させる要因はどれか。
- 罹患率が低くなる。
- 平均有病期間が長くなる。
- 観察集団に健康な人が流入する。
- 重症化して短期間に死亡する人が増える。
▶92回午前61
基本健康診査の結果を表に示す。
受診者における疾病Aの有病率はどれか。
- 1.5%
- 2.5%
- 10.0%
- 16.7%
罹患率
- 罹患率は、一定期間に発生した疾病の患者数を、その期間の対象集団の観察人年で割った率をいう。
- 分母に用いる観察人年は、死亡率と同様に人数(人)と期間(年)を掛け合わせた数値を使用する(人年法)。
▶103回午前27
人口10万人の市において、ある一定期間の結核患者の発生頻度を表現する指標として適切なのはどれか。
- 罹患率
- 有病率
- 被患率
- 受療率
- 相対頻度
▶97回午前21
次の計算式で求められるのはどれか。
〈ある期間のある疾病の新規発症者数〉÷〈同一期間の対象集団の観察人年〉
- 罹患率
- 有病率
- 受療率
- 累積罹患率
▶107回午後35
計算するときに人年法を用いるのはどれか。2つ選べ。
- 死亡率
- 有病率
- 被患率
- 有訴率
- 罹患率比
▶99回午後35
人口122万人の市。1年間の結核新登録者数は183人、年末の活動性結核患者数は159人、年末の結核総登録患者数は549人であった。
年間の結核罹患率(人口10万人対)を求めよ。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。
解答: ① ②
▶93回午前62
人口1,000人のA村で10年間での死亡数は20人であった。
人年法によるA村の死亡率(10万人年対)はどれか。
- 20人
- 100人
- 200人
- 1,000人
累積罹患率
- 累積罹患率は、一定期間に発生した疾病の患者数を、観察開始時点の対象集団の人口で割った割合をいう。
- 罹患率とは異なり、分母に観察人年を用いない。
▶110回午前29
観察開始時点での観察集団の人数に占める、一定の観察期間内に新たに発生した患者数の割合はどれか。
- 罹患率
- 罹患率比
- 累積罹患率
- 寄与危険割合
- 人口(集団)寄与危険
▶100回午前38
分母に集団の人口全体を用いる指標はどれか。2つ選べ。
- 有病率
- 累積罹患率
- 致命率〈致死率〉
- 死因別死亡割合
- PMI〈proportional mortality indicator〉
▶109回午前37・96回午後16類問
累積罹患率の計算に必要なのはどれか。2つ選べ。
- 観察開始時点での患者数
- 各観察対象者の観察期間の総和
- 観察期間に新たに発生した患者数
- 観察開始時点での観察対象集団の人数
- 観察終了時点での観察対象集団の人数
▶95回午後27
女性1,000人を5年間追跡調査したところ、50人が子宮癌になり、そのうち20人が死亡した。
子宮癌の累積罹患割合(累積罹患率)で正しいのはどれか。
- 0.4%
- 1%
- 2%
- 5%
致命率
▶93回午前61
致命割合(致命率)で正しいのはどれか。
- 慢性疾患では計算できない。
- 罹患した後の累積死亡割合である。
- 算定には1年以上の観察期間が必要である。
- 地域人口の中で単位観察期間に死亡する危険の大きさを示す。
▶92回午前62
ある高齢者施設の入所者に感染症が集団発生した。その結果を表に示す。
致命率はどれか。
- 4%
- 10%
- 33%
- 40%
▶108回午前40
A市におけるある年の肺炎の罹患患者数は1,000人であり、そのうち死亡数は50人であった。これらの肺炎患者のうち感染症Bによるものは100人であり、そのうち死亡数は15人であった。
感染症Bによる致命率〈致死率〉を求めよ。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。
解答: ① ② %
▶90回午前60
100人の会食で40人が食中毒を発症し、そのうち4人が死亡した。
正しい組合せはどれか。
- 罹患率――40%
- 有病率――40%
- 死亡率――10%
- 致命率――10%
相対頻度
▶104回午前31
分母として人口データが得られない場合に、疾病の罹患や死亡などの全発生数を分母に用いて、ある疾病や年齢区分での発生が占める割合を示す指標はどれか。
- 相対危険
- 相対頻度
- 累積罹患率
- 人口寄与危険
- 人口寄与危険割合
▶109回午前28
相対頻度に含まれるのはどれか。
- 有病率
- 寄与危険
- 寄与危険割合
- 死因別死亡割合
- 年齢調整死亡率
▶107回午前40
人口10万人のA市におけるある年度の死亡数は1,000人であった。悪性新生物の罹患数は300人であり、その死亡数は200人であった。
死亡に占める悪性新生物の相対頻度を求めよ。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。
解答: ① ② %
曝露効果の指標
相対危険度(リスク比)
- 相対危険度は、疾病要因に対する曝露群・非曝露群など異なる2つのグループ間のリスク比を表し、曝露群の発生率(罹患率)÷非曝露群の発生率(罹患率)で求める。
- 相対危険度が高いことは、曝露と疾病との間の関連の強固性を示す。
▶105回午前27
危険因子に曝露した群の罹患リスクの、曝露していない群の罹患リスクに対する比はどれか。
- 罹患率
- 有病率
- 致命率
- 寄与危険
- 相対危険
▶100回午後14
40歳代男性を対象とした研究で、虚血性心疾患死亡率(人口10万人対)を観察した。喫煙群では20.0、非喫煙群では10.0であった。
次の計算で求めたのはどれか。
20.0÷10.0=2.0
- オッズ比
- 寄与危険
- 相対危険
- 寄与危険割合
▶98回午後19
脳卒中発症に対する喫煙の影響を調べるために、コホート研究を行った。10年間の追跡期間に、各対象者について、発症日または転出等によって追跡から脱落した日を特定することができた。
相対危険を計算する場合に最も適しているのはどれか。
- オッズ比
- 有病率比
- 罹患率比
- 累積罹患率比
▶92回午前64
多量飲酒者2,000人と非飲酒者3,000人とを5年間追跡し、多量飲酒者から200人、非飲酒者から150人のがん罹患を確認した。
多量飲酒のがん罹患に対するリスク比はどれか。
- 0.29
- 0.50
- 2.00
- 2.11
▶92回午前70
小学校で下痢、腹痛を発症した児童が集団発生し、原因曝露日と推定された日の学校給食の喫食調査を行った。
結果を表に示す。
解釈で正しいのはどれか。
- パンが原因食品である可能性が低い。
- 牛乳が原因食品である可能性が高い。
- サラダは予防要因である可能性が高い。
- 焼魚が原因食品である可能性が高い。
オッズ比
- 症例対照研究等で用いられるオッズとは、曝露を受けた割合と曝露を受けなかった割合の比を指し、症例群のオッズと対照群のオッズの比をオッズ比という。
- オッズ比が1よりも大きい場合は曝露因子が発症の危険因子、1よりも小さい場合は曝露因子が発症の予防因子とされる。
▶93回午前64
症例対照調査研究の結果を表に示す。
オッズ比はどれか。
- 0.3
- 1.8
- 2.0
- 3.5
▶103回午後35
心筋梗塞発症者100人と性・年齢をマッチングした心筋梗塞非発症者100人の5年前の健康診査の結果を調査し、糖尿病の有無を確認した。その結果、心筋梗塞発症者で20人、心筋梗塞非発症者で15人が糖尿病であった。
糖尿病であることの心筋梗塞発症に対するオッズ比を求めよ。
ただし、小数点以下第2位を四捨五入すること。
解答: ① .②
▶108回午後23
要因A「あり」の要因A「なし」に対する疾病B「あり」のオッズ比と95%信頼区間を求めた。
疾病Bの危険因子として統計学的に有意なのはどれか。なお、有意水準は5%と設定する。
- オッズ比2.0 95%信頼区間(1.5〜2.7)
- オッズ比2.0 95%信頼区間(0.5〜8.0)
- オッズ比1.0 95%信頼区間(0.5〜2.0)
- オッズ比0.5 95%信頼区間(0.1〜2.5)
- オッズ比0.5 95%信頼区間(0.4〜0.6)
寄与危険度(リスク差)
▶101回午後19
差をとって寄与危険を計算できる指標はどれか。
- 罹患率
- 有病率
- オッズ比
- 致命率〈致死率〉
▶91回午前62
寄与危険度で正しいのはどれか。
- 曝露を除くと曝露群の罹患率がどの程度減少するかを示す。
- 非曝露群の罹患率と比べ曝露群の罹患率が何倍になるかを示す。
- オッズ比を近似値とすることができる。
- コホート調査では間接的に算出する。
▶96回午後17
ある集団の喫煙者1,000人のうち肺癌になったのは50人、非喫煙者2,000人のうち肺癌になったのは40人であった。
人口千対の罹患率から求めた喫煙によって肺癌になる寄与危険はどれか。
- 1.25
- 2.50
- 10
- 30
▶93回午前63
大量喫煙者と非喫煙者の5年間の心疾患による死亡データを表に示す。
10万人年対の寄与危険はどれか。
- 1.2
- 1.25
- 40
- 200
▶98回午前25・92回午前63類問
ある地域における喫煙者と非喫煙者とに分けた疾患の罹患率(人口10万人年対)について調査した結果を表に示す。
喫煙による寄与危険が最も大きな疾患はどれか。
- 肺癌
- 咽頭癌
- 慢性閉塞性肺疾患
- 虚血性心疾患
寄与危険割合
▶99回午前31
アスベスト曝露の肺がん罹患に対する寄与危険割合の算出のために十分な情報を持つ指標はどれか。
- アスベスト曝露群の肺がんの罹患率
- アスベスト非曝露群の肺がんの罹患率
- アスベスト曝露の肺がん罹患に対する相対危険
- アスベスト曝露の肺がん罹患に対する寄与危険
- 全人口に対するアスベスト曝露を受けた者の割合
▶94回午前61
喫煙による肺がん発症のリスク比が8の場合の寄与危険割合はどれか。
- 12.5%
- 25.0%
- 75.0%
- 87.5%
▶109回午前40・104回午前40類問
40歳以上の男性を対象とした疫学研究で、虚血性心疾患死亡率(10万人年対)を観察した。虚血性心疾患死亡率は、喫煙群では50.0、非喫煙群では25.0であった。
このときの寄与危険割合を百分率で求めよ。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。
解答: ① ② %
人口〈集団〉寄与危険割合
▶105回午後13
人口〈集団〉寄与危険割合を直接計算するのに必要な情報はどれか。
- 全死亡数
- 累積罹患数
- 平均有病期間
- 対象集団の疾病頻度
▶97回午前30
人口10万人当たりの年間の肺がん死亡率が、喫煙者では100、非喫煙者では20、集団全体では50であった。
人口寄与危険割合はどれか。
- 30%
- 40%
- 50%
- 60%
- 80%
疫学調査法
悉皆調査・標本調査
- 疫学調査に当たっては、対象となる集団(母集団)すべてを対象とする悉皆(全数)調査と、母集団から一部の標本を抽出(サンプリング)する標本調査がある。
- 悉皆調査としては人口静態を把握するために5年に1度実施される国勢調査が挙げられる。
▶94回午前69
悉皆調査はどれか。
- 国勢調査
- 患者調査
- 国民生活基礎調査
- 国民健康・栄養調査
無作為抽出
▶105回午前44
人口10万人のA市では、脳血管疾患の死亡割合が全国と比較して大きいことが明らかになった。そこで、脳血管疾患の予防対策の一環として血圧に注目し、一部の市民を対象とした塩分摂取量の把握のための聞き取りによる食事調査を行うこととした。
調査者の主観が影響しにくい標本を選ぶ方法はどれか。
- 制限
- 応募法
- 無作為抽出
- マッチング
- 無作為化(割付)
▶99回午前26
市の保健師が市内在住の成人の生活実態把握のために横断調査を行う。
対象者の選定で適切なのはどれか。
- 市内の主要駅の通行人
- 無作為に選定した1地区の成人全員
- 市の住民基本台帳から無作為に選定した成人
- インターネットで募集した成人
系統誤差
●選択の偏り〈バイアス〉
調査対象者の選択やその脱落により生じるバイアス。
●情報の偏り〈バイアス〉
対象から得た情報が検者間の測定方法や基準の相違、面接者の偏った質問等により発生するバイアス。
▶96回午後18
市全体のクラミジア感染率を推計するため、市内のある大学の学生から希望者を募り、抗体検査を実施した。
この方法で最も大きなバイアスはどれか。
- 選択バイアス
- 交絡バイアス
- リコールバイアス
- インフォメーションバイアス
▶94回午前63
社員数1万人のA社で職員の飲酒と肝機能に関する調査をするため、職員の約1割を標本として抽出することにした。
選択の偏りが最も小さいのはどれか。
- 誕生月が10月の者
- 日本酒換算で1日2合以上の飲酒者
- 会社の健康教室参加者
- 年齢の若い社員順
▶104回午後19・97回午後22類問
耐糖能異常の頻度の地域比較調査を行ったところ、A地区では空腹時血糖で評価し、B地区では随時血糖で評価していたことが明らかになった。
疫学調査法におけるこのような問題点はどれか。
- 交絡
- 偶然誤差
- 選択の偏り〈バイアス〉
- 情報の偏り〈バイアス〉
▶105回午後20
系統誤差の原因はどれか。
- マッチング
- 高い追跡率
- 低い抽出率
- 無作為化〈割付〉
- 検者間の測定差
▶95回午前31
情報バイアスが生じる可能性が高いのはどれか。
- 調査対象者を雑誌で公募した。
- 症例対照調査で肺癌患者に喫煙歴を詳細に尋ねた。
- 調査対象者をくじ引きで2グループに分けて比較した。
- 症例対照調査で対照群を大学病院の外来患者から選んだ。
信頼性・妥当性
- 疫学調査においては、同一対象に対して検査を繰り返しても同じ結果が得られる精度(信頼性)と、適切な調査デザインにより対象の特性を正確に測定できる精度(妥当性)の高さが重要となる。
- 信頼性は偶然誤差が小さいほど、妥当性は系統誤差が小さいほど高くなる。
▶102回午後29
保健活動で用いる尺度の妥当性の説明として正しいのはどれか。
- 測定する側が実施しやすい。
- 測定される側が受け入れやすい。
- 測定したい特性が正しく測定できている。
- 調査対象の測定結果が全体を代表している。
- 同一対象に対して繰り返し測定すると同じ値が得られる。
▶97回午後23
スクリーニングに用いられる検査方法の信頼性または妥当性で正しいのはどれか。
- 系統誤差が小さければ妥当性が高い。
- データ分布のばらつきの大きい検査方法は信頼性が高い。
- 同じ標本について反復した測定値がほぼ一定であるときは、妥当性が高い。
- 同じ目的で使用される別の検査方法との相関が高いときは、信頼性が高い。
交絡
- 交絡とは、原因(曝露)と結果の間にあると推定された因果関係とは別に、歪みを生じさせる交絡因子により生じるバイアスをいう。
- 例えば「飲酒者では肺癌の発症が多い」という結果の裏には、多くの飲酒者が喫煙しているという交絡因子が存在しており、実際は「喫煙者では肺癌の発症が多い」が正確となる。
▶92回午前66
多量飲酒と肺癌に関する症例対照調査を実施した。多量飲酒の肺癌発生に対するオッズ比は2.0であったが、多量飲酒と喫煙との関連が強いので、喫煙有無別に集計した。喫煙有群、喫煙無群ともにオッズ比は1.0となった。
多量飲酒と肺癌との関係に影響を与えている喫煙の作用はどれか。
- 危険因子
- 交絡因子
- 情報バイアス
- 選択バイアス
交絡因子の制御
【計画段階】
- 無作為化(割付):曝露群と非曝露群を無作為(ランダム)に振り分ける方法。
- 制限(限定):交絡因子となりうる要因を持つ人を対象者に限定する方法。
- マッチング:曝露群と非曝露群の間で性・年齢など交絡因子となりうる要因を一致させる方法。
【分析段階】
- 層化抽出:母集団を性・年齢などのグループに分けて(層化)、グループごとに標本を抽出する方法。
- 多変量解析:複数の変数・変量データを基にその関連性の発見や予測を行う方法。
▶94回午前64・110回午後16類問
分析時にできる交絡要因の制御方法はどれか。
- 層化
- 無作為抽出
- 無作為割付
- マッチング
▶90回午前62
交絡因子の制御方法と特徴との組合せで正しいのはどれか。
- 無作為化――観察研究で用いる。
- マッチング――交絡因子の分布が等しくなるよう対象者を調整する。
- 制限――交絡因子が完全に制御できる。
- 層化――結果の解釈が比較的困難である。
▶105回午前29
症例対照研究における交絡因子の制御方法はどれか。
- 無作為化
- マッチング
- 単変量解析
- ブラインド法
- 対象者数の増加
▶93回午前65
マッチングで正しいのはどれか。
- 後向き調査では用いない。
- 層化解析の一種である。
- 交絡因子の制御法である。
- 年齢の影響は調整できない。
▶96回午前25
市におけるある疾病の罹患率の調査をするために、20歳未満の群と20歳以上の群とに分け、それをさらに男女別に分け、各群の10%を抽出した。
この標本の抽出方法はどれか。
- 単純無作為抽出
- 層化抽出
- 系統抽出
- 多段抽出
年齢の標準化
- 疫学研究において年齢は交絡因子になり得る。例えば都道府県間で心疾患の死亡率を比較する際、心疾患は高齢になるほど発症リスクが高くなるため、高齢化率の高い県では必然的に心疾患死亡率が高くなる。
- 年齢構成の歪みを補正して異なる集団間で比較を行えるようにするために、年齢の標準化(年齢調整)が行われている。
▶92回午前67
基本健康診査の結果を中学校区別(人口数千人単位)に集計した。総コレステロール値が高い者の校区別割合に差があった。
次に行うことで正しいのはどれか。
- 年齢調整をして比較する。
- 症例対照調査を企画する。
- 小学校区別に集計する。
- 回帰分析を行う。
年齢調整死亡率(直接法)
▶104回午後32
直接法による年齢調整死亡率を算出する際に必要な情報はどれか。2つ選べ。
- 基準集団の死亡率
- 観察集団の死亡実数
- 観察集団の年齢別人口
- 基準集団の年齢別人口
- 観察集団の年齢別死亡率
▶102回午前38
直接法による年齢調整死亡率の特徴はどれか。2つ選べ。
- 小規模な集団の観察に適している。
- 高齢者の多い集団では高くなりやすい。
- 値は標準化死亡比〈SMR〉として示される。
- 異なる観察集団の死亡率を直接比較できる。
- 計算には観察集団の年齢階級別死亡率が必要である。
▶98回午前24
基準集団とA市との年齢階級別人口と死亡数とを表に示す。
直接法によるA市の人口10万人当たりの年齢調整死亡率はどれか。
- 160
- 200
- 320
- 370
標準化死亡比(SMR)
▶103回午後20
標準化死亡比〈SMR〉を求めるために必要な指標はどれか。
- 基準集団の死亡率
- 基準集団の年齢別人口
- 観察集団の年齢別人口
- 観察集団の年齢別死亡率
▶106回午後28改題
標準化死亡比〈SMR〉で正しいのはどれか。
- 人口の大きな集団ほど高くなる。
- 高齢化率の高い集団ほど高くなる。
- 平成27年モデル人口を基準人口として用いる。
- 計算には観察集団の年齢階級別人口が必要である。
- 直接法による年齢調整死亡率の計算過程で得られる。
スクリーニング
目的・要件
- 確定診断、治療方法が確立した疾病であること。
- 疾病の経過(自然史)が明らかで、発病までの無症状期間が長い疾病を対象とすること。
- 侵襲性が低く対象者に受け入れやすい検査であること。
- 測定者によって検査結果の変動が少ないこと。
▶104回午前37
疾病の罹患群や非罹患群のスクリーニングの要件で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 検査方法が対象者よりも測定者にとって受け入れやすい。
- 確定診断の手法が確立していない疾病も対象となる。
- 治療法が確立していない疾病も対象となる。
- 疾病予防対策の効率の向上が期待される。
- 測定者による結果の変動が少ない。
▶106回午前27
疾病のスクリーニングの要件で正しいのはどれか。
- 疾病の自然史が不明でも対象になる。
- 無症状の期間が無い疾病が対象となる。
- 治療方法が確立していなくても対象となる。
- 検査方法が、対象者より検者に受け入れやすい。
- スクリーニング陽性者の確定診断の手技が確立している。
▶95回午前32
スクリーニング検査で正しいのはどれか。
- 陽性判定の基準値は固定されている。
- 侵襲性の低いものでなければならない。
- 異常と判定されれば直ちに治療を開始する。
- 臨床的徴候の出現から発病までが短期間の疾患に適している。
▶97回午前39
スクリーニング検査で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 疾病の一次予防として行われる。
- 多疾患を対象とするものをマススクリーニングという。
- 偽陰性が多くても、偽陽性が少ない検査が適している。
- 早期発見した場合、治療法が存在する疾患を対象とする。
- スクリーニング陽性者に対して診断確定する方法がある疾患を対象とする。
敏感度
- 疾病を有する人を正しく陽性と判定する確率を敏感度といい、敏感度が低いと疾病を有する人を誤って陰性と判定する確率(偽陰性率)が高くなる。
- 計算には、疾病があるかつ陽性の者を分子、疾病がある者を分母に用いる。
▶93回午前66
スクリーニングで敏感度が低い場合の問題点はどれか。
- 判定に時間がかかる。
- 患者の見落としが多くなる。
- 精密検査の対象者が増える。
- 測定者によって結果に変動が起こる。
▶96回午前29
ある疾病に関するスクリーニング検査の結果を表に示す。
この検査の敏感度はどれか。
- 0.72
- 0.76
- 0.80
- 0.89
- 0.91
▶94回午前65
1,200人を対象とした疾病Aのスクリーニングの結果と精密検査の結果とを表に示す。
敏感度はどれか。
- 10.0%
- 80.0%
- 84.7%
- 99.5%
特異度
- 疾病を有していない人を正しく陰性と判定する確率を特異度といい、特異度が低いと疾病を有していない人を誤って陽性と判定する確率(偽陽性率)が高くなる。
- 計算には、疾病がないかつ陰性の者を分子、疾病がない者を分母に用いる。
▶92回午前68
集団健診で行うスクリーニング検査の特異度が低い場合の問題点はどれか。
- 判定に時間がかかる。
- 測定者によって結果に変動が起こる。
- 患者の見落としが多くなる。
- 精密検査の対象者が増える。
▶98回午後20
ある集団に対してスクリーニング検査と確定診断とを同時に実施した結果を表に示す。
特異度はどれか。
- 50.0%
- 62.5%
- 88.8%
- 95.2%
▶102回午前40
疾病Aの新しいスクリーニング検査の性能を評価するために、疾病Aの患者100人と疾病Aでない者100人に対して検査を実施した。疾病Aの患者のうち60人と、疾病Aでない者のうち10人とが検査の結果陽性であった。
特異度を求めよ。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。
解答: ① ② %
トレードオフ・ROC曲線
- 敏感度が上昇すると特異度は低下し、特異度が上昇すると敏感度は低下する(トレードオフの関係)。
- 縦軸を敏感度、横軸を1-特異度(偽陽性率)としたグラフをROC曲線といい、スクリーニング検査の妥当性を評価することができる。この曲線が左上隅に近づくほどより精度の高い検査であるといえる。
▶107回午後19
同じ集団における同一のスクリーニング検査で、基準値を変えて敏感度を上げた場合に上昇するのはどれか。
- 特異度
- 偽陽性率
- 偽陰性率
- 陰性者数
▶100回午前34
3種類のスクリーニング検査A、B、Cの受信者動作特性(ROC)曲線を示す。
検査の正確さについて正しいのはどれか。
- 3検査のうちAが最も正確な検査である。
- 3検査のうちBが最も正確な検査である。
- 3検査のうちCが最も正確な検査である。
- 正確さを評価するには足りない情報がある。
- この曲線は検査の正確さの評価には適していない。
▶97回午後31
ある事業所から発熱下痢の集団発生があった旨の連絡があり、疫学調査を行った。
分析において有用性が低いのはどれか。
- 流行曲線
- ROC曲線
- 量-反応関係
- 職場別発生地図
- マスターテーブル
陽性反応的中度・陰性反応的中度
検査で陽性と判定された人のうち実際に疾病を有している人の割合を陽性反応的中度という。
●陰性反応的中度
検査で陰性と判定された人のうち実際に疾病を有していない人の割合を陰性反応的中度という。
▶108回午後24
検査で陽性と判定された人のうち実際に疾病を有している人の割合を示す指標はどれか。
- 特異度
- 敏感度
- 有効度
- 偽陽性率
- 陽性反応的中度
▶106回午後16改題
陽性反応的中度が上昇する理由で適切なのはどれか。
- 疾患の治療法が進歩した。
- 疾患の有病率が上昇した。
- 検査を受けた人数が増加した。
- 検査の感度は変わらず特異度が低下した。
- 基準値の変更で陽性者が増加した。
▶101回午後20
スクリーニングについて正しいのはどれか。
- 確定診断を目的とする検査である。
- 敏感度100%の検査で陽性結果であれば疾患がある。
- 陽性反応的中度は有病率の影響を受けにくい指標である。
- 同一検査で敏感度と特異度の両方を改善することはできない。
統計グラフ
折れ線グラフ
▼例:108回保健師国家試験午前29問
▶106回午後18
結核の有病者数の年次推移を表す図表で適切なのはどれか。
- 散布図
- 円グラフ
- 帯グラフ
- 折れ線グラフ
円グラフ
▶104回午前25
A市の20歳から24歳までの年齢層における死因の内訳を表に示す。
表に示した内容を図で表現する場合に適しているのはどれか。
- 散布図
- 円グラフ
- 折れ線グラフ
- ヒストグラム
散布図
▼例:ある高校の男子生徒の身長と体重の分布
散布図の特徴の一つとして、図の右下にあるような他の値から極端に離れた外れ値を見つけやすい。
▶102回午後21・94回午前71類問
特定健康診査を受診した100人の腹囲とHbA1c値について、個人ごとの2つのデータを一度に示し両者の関連を表現するのに優れているのはどれか。
- 折れ線グラフ
- ヒストグラム
- 円グラフ
- 散布図
▶109回午後34
散布図から分かるのはどれか。2つ選べ。
- 相関
- 割合
- 中央値
- 年次推移
- はずれ値
ヒストグラム
▼例:所得金額階級別世帯数の相対度数分布(令和4年国民生活基礎調査)
▶103回午前29
ある集団の特定健康診査で得られたヘモグロビンA1c値の頻度の分布を確認するのに最も優れているのはどれか。
- 散布図
- 円グラフ
- 帯グラフ
- ヒストグラム
- 折れ線グラフ
▶100回午前23
ヒストグラムについて正しいのはどれか。
- 連続量や度数の経時的変化を折れ線で示す。
- 名義尺度の度数の分布を棒の高さとして示す。
- ある範囲にある連続量の度数を面積の大きさとして示す。
- 標本のもつ2つの連続量をプロットしてその関連を示す。
代表値と散布度
データの中心(代表値)
- 平均値:一般にも最も用いられる代表値で、例では(1+2+4+7+9+9+10)÷7=6となる。
- 中央値:データを小さな順で並べた際の真ん中の数値で、例では7となる。
- 最頻値:データの内で最も多く出現している値で、例では9となる。
▶108回午前36
代表値はどれか。2つ選べ。
- 分散
- 平均
- 最頻値
- 標準誤差
- 標準偏差
▶95回午前34
25人の体重(kg)のデータを表に示す。
中央値はどれか。
- 57
- 58
- 59
- 60
代表値の選択
▶91回午前71
図は健康教室参加者20人の収縮期血圧の分布である。主な代表値は以下のとおりである。
平均値147.3mmHg
幾何平均値145.5mmHg
中央値139mmHg
最頻値130~139mmHg
この集団の代表値で最も適切なのはどれか。
- 平均値
- 幾何平均値
- 中央値
- 最頻値
▶96回午後23
集団に対して、ある物質の血中濃度を測定した結果を示す。
この集団を代表するのに適した数値はどれか。
- 300
- 250
- 200
- 150
- 100
分散・標準偏差
▶105回午前30
散布度に含まれるのはどれか。
- 中央値
- 最頻値
- 相関係数
- 標準偏差
- 平均(算術平均)
▶104回午後33
測定値の偶然誤差の大きさを表す指標として適切なのはどれか。2つ選べ。
- 分散
- 中央値
- 算術平均
- 標準偏差
- 最頻値〈モード〉
▶110回午前37
標準偏差の説明で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 分散をもとに計算する。
- 変動係数の計算に用いる。
- 測定値の中で出現頻度が最大の値である。
- 測定値の合計をデータ数で除した値である。
- 標準偏差が大きいほどばらつきが小さいことを意味する。
▶101回午後21
分布の指標について正しいのはどれか。
- ヒストグラムで最も頻度が高い値は中央値である。
- 広く散らばった分布は標準偏差が小さい。
- 対象数が増えると標準偏差は大きくなる。
- 平均値は外れ値の影響を受けやすい。
▶97回午後25
デジタル血圧計で測定した被検者10名の収縮期血圧を表に示す。この表から(A)の数値を算出した。
(A)が表しているのはどれか。
- 分散
- 幾何平均
- 平均偏差
- 標準偏差
四分位偏差
- 四分位偏差とは、データを小さい順から並べたときに、25%になるものを第1四分位点、50%になるものを第2四分位点(=中央値)、75%になるものを第3四分位点とし、(第3四分位点-第1四分位点)÷2の値を指す。
- 第1四分位点は第2四分位点より小さいデータの中央値、第3四分位点は第2四分位点より大きいデータの中央値で求められる。
▶98回午前28
単位が同じである統計値の組合せで正しいのはどれか。
- 中央値――四分位偏差
- 平均値――分散
- 最頻値――変動係数
- 分散――範囲
▶94回午前70
ある町の基本健康診査受診者の最高血圧の度数分布を表に示す。低い方から第3四分位点はどの範囲に属するか。
- 130~139
- 140~149
- 150~159
- 160~169
▶110回午前40
12人の体重(kg)のデータを値の大きさ順に表に示す。
第3四分位数の値を求めよ。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第2位を四捨五入すること。
解答:①②.③kg
範囲
▶106回午前19
健康寿命の都道府県格差を評価するための指標で適切なのはどれか。
- 範囲
- 最頻値
- 中央値
- 幾何平均
確率分布
正規分布
- 平均値、中央値、最頻値を中央の峰(ピーク)とする一峰性である。
- 平均値±1標準偏差の範囲に68.27%、平均値±2標準偏差の範囲に95.45%のデータが含まれる。
▶99回午前32
正規分布について誤っているのはどれか。
- 一峰性である。
- 左右対称である。
- 平均値と中央値が一致する。
- 平均値が決まれば一意に定まる。
- 平均値±2×標準偏差の範囲に全体の約95%が含まれる。
▶90回午前69
正規分布で正しいのはどれか。
- 中央値と最頻値は異なる。
- 平均値±標準偏差の範囲に対象の95%が含まれる。
- ヒトの身長は正規分布に従う。
- 二峰性である。
▶92回午前73
ある集団1,000人の体重を測定した結果、平均値55kg、標準偏差5kgで正規分布を示した。
正しいのはどれか。
- 中央値は平均値よりも大きい。
- 55kgから65kgの範囲におよそ339人いる。
- 60kg以上の人はおよそ49人である。
- 45kg以下の人はおよそ23人である。
二項分布
▶108回午前22
大きな集団から無作為に1,000人選び出したとき、その中の高血圧者数が従う分布はどれか。
- t分布
- 正規分布
- 二項分布
- χ2〈カイ2乗〉分布
▶100回午後16
日本人の血液型のうちAB型の割合が10%であるとする。無作為に選んだ100人の日本人集団の中にAB型の人が20人以上いる確率を知りたい。
この集団の中に含まれるAB型の人数が従う分布として最も適切なのはどれか。
- t分布
- F分布
- 正規分布
- 二項分布
関連の指標
相関
- 2つの変数の関係(相関)は散布図を用いることで視覚的に明らかとなり、それが直線関係にどれほど近いかを表した指標が相関係数である。
- 相関係数は1から-1の範囲で示され、1(右上がりの直線)や-1(右下がりの直線)に近いほど相関関係が強く、0の時は無相関となる。
▶108回午後26
2つの連続変数間の直線的な関係の強さを示すのはどれか。
- 分散
- 正規分布
- 相関係数
- 標準偏差
- クロス集計
▶103回午前28・109回午前30類問
生態学的研究によって、世界各国の1人当たりの食塩摂取量と高血圧症有病率との関連の程度を評価するために計算するのはどれか。
- 寄与危険
- 変動係数
- 相対危険
- 相対頻度
- 相関係数
▶100回午前35
相関について正しいのはどれか。
- 因果関係の必須項目である。
- 相関係数が大きいほど相関関係は強い。
- 相関が全くないときの相関係数は0である。
- 相関係数は0から100までの数値で示される。
- 2つの連続量の一方を使用して他方を推計することをいう。
回帰
▶104回午前38
ある集団の特定健康診査で得られたBMIと血圧との関連を表すのに適した指標はどれか。2つ選べ。
- 散布度
- 四分位数
- 相関係数
- 変動係数
- 回帰係数
クロス集計
▶97回午前25
健康診査受診者を対象に、肥満の予防方法の理解度について5項目のテストを実施した。テストの合計得点を求めた後に理解できている群とできていない群に分類した。
健康教室参加の有無との関係を調べるのに使用するのはどれか。
- 相関図
- 回帰直線
- クロス表
- 平均値の棒グラフ
統計分析
帰無仮説・対立仮説
- ある集団に関して仮定された命題を統計学的に検証することを仮説検定という。
- 仮説検定では、誤っているとして否定したい帰無仮説(相関なし)に加え、帰無仮説が否定された場合に正しいと判断される対立仮説(相関あり)を設定する。
- 帰無仮説を否定するには有意水準を用いて判断し、有意差があれば(統計学的に有意であれば)帰無仮説を棄却して対立仮説を採択し、有意差がなければ(統計学的に有意でなければ)帰無仮説が正しいかどうかわからない。
▶106回午前28
A市の2地区間で、喫煙率が異なると予想して両地区で喫煙状況に関する標本調査を行った。統計学的検定を行い「仮説B:2地区の母喫煙率は等しい」が棄却されたので、2地区の喫煙率には有意差があると判断した。
仮説Bはどれか。
- 閾値仮説
- 帰無仮説
- 研究仮説
- 対立仮説
- 直線仮説
▶96回午後19
検定の結果、有意差(有意確率0.05)が認められなかった。帰無仮説の解釈で正しいのはどれか。
- 帰無仮説は正しい。
- 帰無仮説は誤りである。
- 帰無仮説は5%の確率で起こり得る。
- 帰無仮説は正しいかどうか分からない。
▶99回午前25
共に正規分布すると仮定できる2つの連続変数X、Yについて散布図を描いた。標本数は300である。散布図は全体的に右上がりであり、特に外れ値はなかった。Pearson〈ピアソン〉の相関係数を計算したところ、r=0.60であった。「母相関係数は0である」とする帰無仮説を立て、統計学的検定を行ったところ、有意水準5%にて棄却された。
XとYとの相関について適切なのはどれか。
- 全く相関はない。
- 有意な相関がある。
- 相関の有意性は棄却される。
- 相関の有無については判断できない。
χ2検定
▶108回午前37・106回午後27類問・102回午前39類問
割合の差の検定について正しいのはどれか。2つ選べ。
- 回帰分析で用いる。
- 相関係数が計算できる。
- クロス集計表は有用である。
- 検定の際に散布図を用いる。
- χ2〈カイ2乗〉検定で有意差を検定する。
▶110回午前18
喫煙習慣の有無と性別の関連を調べる検定方法で適切なのはどれか。
- t検定
- 相関係数の検定
- 一元配置分散分析
- χ2〈カイ2乗〉検定
▶107回午前7
A市の新生児訪問のデータを表に示す。
このデータの統計分析に適切なのはどれか。
- F検定
- t検定
- U検定
- χ2〈カイ2乗〉検定
▶103回午前36
A市の2地区でデータを収集した。各項目について地区間に差があるかどうかを統計学的に検定する。
χ2〈カイ2乗〉検定が適している項目はどれか。2つ選べ。
- 年齢
- 通院の有無
- 高血圧症の有病率
- 1日当たり飲酒量
- 1日当たり喫煙本数
t検定
▶105回午後15
2群間の平均の差の検定に用いるのはどれか。
- t検定
- 回帰分析
- χ2〈カイ2乗〉検定
- Fisher〈フィッシャー〉の直接確率法
▶97回午前31
特定健康診査時と1年後の特定健康診査時の体重変化量について、その間に行われた特定保健指導実施群と非実施群との間で平均値の差を検定したい。
用いる検定はどれか。
- F検定
- t検定
- χ2検定
- フィッシャー検定
- ウィルコクソン検定
▶99回午後23
A市の2地区でデータを取った。各項目について2地区間に差があるかどうかを統計学的に検定する。
t検定が適している項目はどれか。
- 性別
- 体重
- 年齢区分
- 5段階の自覚的健康度
▶98回午後22
男性の特定健康診査受診者について定期的運動の有無と腹囲との関連を分析し、t検定を行った結果を表に示す。
この結果で正しいのはどれか。
- 運動あり群の方が腹囲が2.4%小さい。
- 運動あり群の方が腹囲が小さくなる確率は2.4%である。
- 両群で腹囲に差がないのに、偶然これだけの差が出る確率が2.4%である。
- 運動あり群のうち運動なし群の平均よりも腹囲が大きいのは2.4%である。
U検定
▶109回午前29
2つの非正規分布の母集団の数量データの比較に用いるのはどれか。
- t検定
- 分散分析
- 多変量解析
- χ2〈カイ二乗〉検定
- Mann-Whitney〈マン・ホイットニー〉のU検定
テーマ別
必修問題まとめ
①国民衛生の動向対応/②看護の倫理・対象/③人体の構造と機能・健康障害・薬物/④看護技術
年次別
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