第108回看護師国家試験―「国民衛生の動向」対応問題・回答
平成31年2月17日(日)に実施された第108回看護師国家試験について、全問題の正答と解説を示します。
また、「国民衛生の動向2024/2025」で内容を解説している問題に関しては、その参照章・ページを示しているので、同書を併用しながらの利用をおすすめします。
厚生の指標増刊
発売日:2024.8.27 定価:2,970円(税込) 412頁・B5判 雑誌コード:03854-08
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必修問題まとめ
①国民衛生の動向対応/②看護の倫理・対象/③人体の構造と機能・健康障害・薬物/④看護技術
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第108回看護師国家試験目次
第108回看護師国家試験・必修問題(50問)
疾病や障害に対する二次予防はどれか。
- 早期治療
- 予防接種
- 生活習慣の改善
- リハビリテーション
日本における令和4年(2022年)の部位別にみた悪性新生物〈腫瘍〉の死亡数で、男性で最も多い部位はどれか。
- 胃
- 肝及び肝内胆管
- 気管、気管支及び肺
- 結腸と直腸S状結腸移行部及び直腸
セリエ, H.が提唱した理論はどれか。
- 危機モデル
- ケアリング
- セルフケア
- ストレス反応
介護保険制度における保険者はどれか。
- 市町村及び特別区
- 都道府県
- 保健所
- 国
業務に従事する看護師は、( )年ごとに保健師助産師看護師法に定める届出をしなければならない。
( )に入る数字はどれか。
- 1
- 2
- 3
- 4
胎児循環で酸素を最も多く含む血液が流れているのはどれか。
- 肺動脈
- 肺静脈
- 臍動脈
- 臍静脈
母乳中に含まれている免疫グロブリンで最も多いのはどれか。
- IgA
- IgE
- IgG
- IgM
思春期にある人が親密な関係を求める対象はどれか。
- 教師
- 祖父母
- 友人
- 両親
令和元年(2019年)の国民健康・栄養調査の結果で、該当年代の男性における肥満者(BMI≧25.0)の割合が最も高い年代はどれか。
- 15~19歳
- 30~39歳
- 40~49歳
- 70歳以上
平成18年(2006年)の介護保険法改正で、地域住民の保健医療の向上および福祉の増進を支援することを目的として市町村に設置されたのはどれか。
- 保健所
- 市町村保健センター
- 地域包括支援センター
- 訪問看護ステーション
胆汁の作用はどれか。
- 殺菌
- 脂肪の乳化
- 蛋白質の分解
- 炭水化物の分解
チアノーゼで増加しているのはどれか。
- 血中酸素分圧
- 還元ヘモグロビン
- 酸化ヘモグロビン
- 血中二酸化炭素分圧
鮮紅色の下血が見られた時の出血部位で正しいのはどれか。
- 胃
- 食道
- 直腸
- 十二指腸
感染症の潜伏期間で最も長いのはどれか。
- インフルエンザ
- 結核
- ノロウイルス性胃腸炎
- 流行性耳下腺炎
骨髄抑制が出現するのはどれか。
- 麻薬
- 利尿薬
- 抗癌薬
- 強心薬
心音の聴取でⅠ音がⅡ音より大きく聴取されるのはどれか。
ただし、●は聴取部位を示す。
成人において胃食道逆流を防ぐために食後30分から1時間程度とるとよい体位はどれか。
- 左側臥位
- 半側臥位
- 仰臥位
- 坐位
動作を安定させるために行うのはどれか。
- 重心位置を低くする。
- 足を閉じた姿勢にする。
- 底が滑らかな素材の靴を履く。
- 重心線を支持基底面の中心より遠くする。
一般的な病室における冬季の湿度で適切なのはどれか。
- 約10%
- 約30%
- 約50%
- 約70%
黄色のバイオハザードマークが表示された感染性廃棄物の廃棄容器に入れるのはどれか。
- 病理廃棄物
- 使用済み手袋
- 使用済み注射針
- 血液が付着したガーゼ
成人の採血検査で最も用いられるのはどれか。
- 外頸静脈
- 大腿静脈
- 大伏在静脈
- 肘正中皮静脈
感染を伴わない創傷の治癒を促進させる方法で適切なのはどれか。
- 乾燥
- 消毒
- 洗浄
- ガーゼ保護
臓器の移植に関する法律における脳死の判定基準で正しいのはどれか。
- 瞳孔径は左右とも3mm以上
- 脳波上徐波の出現
- 微弱な自発呼吸
- 脳幹反射の消失
- 浅昏睡
副腎皮質ステロイドの作用はどれか。
- 体重の減少
- 血糖の低下
- 血圧の低下
- 免疫の促進
- 炎症の抑制
日本における令和4年(2022年)の総人口に占める老年人口の割合で最も近いのはどれか。
- 19%
- 29%
- 39%
- 49%
令和元年(2019年)の国民生活基礎調査における通院者率が男女ともに最も高いのはどれか。
- 糖尿病
- 腰痛症
- 高血圧症
- 眼の病気
労働安全衛生法に規定されているのはどれか。
- 失業手当の給付
- 労働者に対する健康診断の実施
- 労働者に対する労働条件の明示
- 雇用の分野における男女の均等な機会と待遇の確保
看護師が行う患者のアドボカシーで最も適切なのはどれか。
- 多職種と情報を共有する。
- 患者の意見を代弁する。
- 患者に害を与えない。
- 医師に指示を聞く。
看護師の免許の取消しを規定するのはどれか。
- 刑法
- 医療法
- 保健師助産師看護師法
- 看護師等の人材確保の促進に関する法律
マズロー, A. H.の基本的欲求の階層で、食事・排泄・睡眠の欲求はどれか。
- 安全の欲求
- 自己実現の欲求
- 承認の欲求
- 生理的欲求
生後4か月の乳児の発達を評価するのはどれか。
- 寝返り
- お座り
- 首のすわり
- つかまり立ち
エリクソン, E. H.の乳児期の心理・社会的発達段階で正しいのはどれか。
- 親密
- 同一性
- 自主性
- 基本的信頼
成人の体重に占める体液の割合で最も高いのはどれか。
- 血漿
- 間質液
- 細胞内液
- リンパ液
要介護者に対し、看護・医学的管理の下で必要な医療や日常生活上の世話を行うのはどれか。
- 介護老人保健施設
- 短期入所生活介護
- 保健センター
- 有料老人ホーム
運動性言語中枢はどれか。
- 中心後回
- 大脳基底核
- Broca〈ブローカ〉野
- Wernicke〈ウェルニッケ〉野
ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉のⅢ(3桁)で表現される意識レベルはどれか。
- 意識清明の状態
- 刺激すると覚醒する状態
- 刺激しても覚醒しない状態
- 刺激しなくても覚醒している状態
最も緊急性の高い不整脈はどれか。
- 心房細動
- 心室細動
- 心房性期外収縮
- Ⅰ度房室ブロック
浮腫の原因となるのはどれか。
- 膠質浸透圧の上昇
- リンパ還流の不全
- 毛細血管内圧の低下
- 毛細血管透過性の低下
狭心症発作時に舌下投与するのはどれか。
- ヘパリン
- ジゴキシン
- アドレナリン
- ニトログリセリン
緑内障患者への投与が禁忌なのはどれか。
- コデイン
- アスピリン
- アトロピン
- フェニトイン
看護師が行う看護過程で適切なのはどれか。
- 問題解決思考である。
- 医師の指示の下で計画を立てる。
- 看護師の価値に基づいてゴールを設定する。
- アセスメント、計画立案、評価の3段階で構成される。
成人のグリセリン浣腸で肛門に挿入するチューブの深さはどれか。
- 2cm
- 5cm
- 12cm
- 15cm
右前腕に持続点滴をしている患者の寝衣交換で適切なのはどれか。
- 左袖から脱ぎ、右袖から着る。
- 左袖から脱ぎ、左袖から着る。
- 右袖から脱ぎ、左袖から着る。
- 右袖から脱ぎ、右袖から着る。
転倒・転落の危険性が高い成人の入院患者に看護師が行う対応で正しいのはどれか。
- 夜間はおむつを使用する。
- 履物はスリッパを使用する。
- 離床センサーの使用は控える。
- 端坐位時に足底が床につくベッドの高さにする。
中心静脈から投与しなければならないのはどれか。
- 脂肪乳剤
- 生理食塩液
- 5%ブドウ糖液
- 高カロリー輸液
赤色のトリアージタグが意味するのはどれか。
- 死亡群
- 保留群
- 最優先治療群
- 待機的治療群
温罨法の作用で正しいのはどれか。
- 平滑筋が緊張する。
- 局所の血管が収縮する。
- 還流血流量が減少する。
- 痛覚神経の興奮を鎮静する。
体温調節中枢があるのはどれか。
- 橋
- 延髄
- 小脳
- 大脳皮質
- 視床下部
腎機能を示す血液検査項目はどれか。
- 中性脂肪
- ビリルビン
- AST〈GOT〉
- クレアチニン
- LDLコレステロール
第108回看護師国家試験・一般問題(130問)
▶午前26
三叉神経を求心路として起こるのはどれか。
- 瞬目反射
- 対光反射
- 追跡運動
- 輻輳反射
▶午前27
人工弁置換術の術後合併症で早期離床による予防効果が高いのはどれか。
- 反回神経麻痺
- 術後出血
- 縦隔炎
- 肺炎
▶午前28
成人の鼠径ヘルニアで正しいのはどれか。
- 内鼠径ヘルニアと外鼠径ヘルニアに分けられる。
- 患者の男女比は約1:3である。
- やせている人に多い。
- 保存的治療を行う。
▶午前29
Aさん(45歳、男性)は、10年ぶりに会った友人から顔貌の変化を指摘された。顔貌変化を図に示す。
Aさんの顔貌変化を引き起こしたホルモンはどれか。
- 成長ホルモン
- 副甲状腺ホルモン
- 副腎皮質ホルモン
- 甲状腺刺激ホルモン
▶午前30
低血糖時の症状はどれか。
- 発疹
- 徐脈
- 冷汗
- 多幸感
▶午前31
手の写真を別に示す。
写真の斜線部分で、正中神経の圧迫によって知覚異常を生じる部位を示しているのはどれか。
- A
- B
- C
- D
▶午前32
疫学的因果関係があると判断できるのはどれか。
- 要因と疾病の関係が生物学的研究で得られた事実と異なる。
- 特定の要因と疾病の関係に特異的な関連が存在する。
- 要因と疾病の関係でオッズ比が1である。
- 要因と疾病の関係が散発的である。
令和3年(2021年)の日本の結核対策で増加が問題とされているのはどれか。
- 新登録結核患者数
- 菌喀痰塗抹陽性の肺結核患者数
- 外国生まれの新登録結核患者の割合
- 結核による死亡数
トータル・ヘルスプロモーション・プラン〈THP〉で実施されるのはどれか。
- がん検診
- 健康測定
- 一般健康診断
- 特定健康診査
健康寿命の説明で適切なのはどれか。
- 生活習慣病の予防は健康寿命を伸ばす。
- 2019年の健康寿命は2016年よりも短い。
- 2019年の健康寿命は女性より男性のほうが長い。
- 平均寿命と健康寿命の差は健康上の問題なく日常生活ができる期間である。
▶午前36
指鼻指試験で評価する項目はどれか。
- 小脳機能
- 表在反射
- 深部知覚
- 複合知覚
▶午前37
静脈血採血時に使用する器具の取り扱いで適切なのはどれか。
- 真空採血管で採血する場合は素手で行う。
- 抜針した採血針はキャップをして破棄する。
- 針専用の廃棄容器は実施者の手の届く範囲に置く。
- 針専用の廃棄容器は廃棄物が投入口まで達したら交換する。
▶午前38
便秘を訴えている患者の打診のアセスメント項目で適切なのはどれか。
- 固い腫瘤
- 筋性防御
- 叩打痛
- 鼓腸
▶午前39
夜間の睡眠を促す方法で適切なのはどれか。
- 朝、起床後に日光を浴びる。
- 2時間以上昼寝をする。
- 夕食後、カフェインが含まれる飲み物を摂取する。
- 就寝前に過ごす部屋の照明は1,000ルクスとする。
▶午前40
歯ブラシを用いたブラッシングで歯周ポケットの清掃に適しているのはどれか。
- バス法
- スクラブ法
- ローリング法
- フォーンズ法
▶午前41
右中葉領域で粗い断続性副雑音〈水泡音〉が聴取された場合の体位ドレナージの体位を図に示す。
適切なのはどれか。
20℃から24℃で保存するのはどれか。
- 全血製剤
- 血漿製剤
- 赤血球液
- 血小板製剤
▶午前43
穿刺と穿刺部位の組合せで適切なのはどれか。
- 胸腔穿刺――胸骨体第2肋間
- 腹腔穿刺――剣状突起と臍窩を結ぶ直線の中間点
- 腰椎穿刺――第1・2腰椎間
- 骨髄穿刺――後腸骨稜
作業と健康障害の組合せで正しいのはどれか。
- VDT作業――栄養機能障害
- 有機溶剤を扱う作業――呼吸機能障害
- 電離放射線を扱う作業――造血機能障害
- 石綿〈アスベスト〉を扱う作業――排尿機能障害
▶午前45
救急外来を受診した成人患者で、治療の緊急度が最も高いのはどれか。
- 2時間ほど前から右上下肢に力が入らず、ろれつが回らない。
- 3日前にペットの葬儀が終わり、食欲がなく、夜眠れない。
- プールでの日焼けによって背部全体が発赤している。
- 市販の風邪薬を通常の2倍量服用した。
がん診療連携拠点病院に設置されている「がん相談支援センター」の業務はどれか。
- 就労の斡旋
- がん検診の実施
- がんについての情報提供
- セカンドオピニオン外来の開設
▶午前47
胸腔ドレーン挿入中の患者の看護で適切なのはどれか。
- ミルキングは禁忌である。
- 持続的に陽圧となっているか観察する。
- ドレーンチューブに触れた後は手指衛生を行う。
- ドレーンバッグは挿入部より高い位置に設置する。
▶午前48
慢性心不全患者の生活指導で、心臓への負担を少なくするのはどれか。
- 肺炎球菌ワクチン接種の回避
- 蛋白質を制限した食事
- 食直後の散歩
- 排泄後の休息
▶午前49
Crohn〈クローン〉病の患者の食事指導で適切なのはどれか。
- 「食物繊維を多く含む食事にしましょう」
- 「蛋白質の多い食事にしましょう」
- 「脂肪分の多い食事にしましょう」
- 「炭水化物を控えましょう」
▶午前50
高カリウム血症の患者でみられるのはどれか。
- Trousseau〈トルソー〉徴候
- 心電図でのT波の増高
- 腸蠕動音の低下
- 四肢の麻痺
▶午前51
開頭術を受けた患者の看護で適切なのはどれか。
- 頭部を水平に保つ。
- 緩下薬は禁忌である。
- 髄膜炎症状の観察を行う。
- 手術後1週間は絶飲食とする。
▶午前52
Aさん(47歳、男性、会社員)は、痛風の既往があり、ほぼ毎日、飲酒を伴う外食をしている。1週前に尿管結石による疝痛発作があり、体外衝撃波結石破砕術〈ESWL〉を受けた。その結果、排出された結石は尿酸結石であることがわかった。
Aさんへの結石の再発予防に対する生活指導で適切なのはどれか。
- 「飲酒量に制限はありません」
- 「負荷の大きい運動をしましょう」
- 「1日2L程度の水分摂取をしましょう」
- 「動物性蛋白質を多く含む食品を摂取しましょう」
▶午前53
高齢者に対する生活史の聴き方で適切なのはどれか。
- 認知機能の評価尺度を用いる。
- 事実と異なる聴取内容を訂正する。
- 話を聴く前に文書による同意を得る。
- 高齢者が話しやすい時代の思い出から聴く。
令和3年(2021年)の国民生活基礎調査における高齢者世帯の所得のうち62.3%を占めるものは何か。
- 稼働所得
- 財産所得
- 公的年金・恩給
- 年金以外の社会保障給付金
▶午前55
Aさん(80歳、男性)は、空腹時の胃の痛みが2週間続くため受診し、1週後に胃内視鏡検査を受けることになった。
検査を受けるAさんへの看護で適切なのはどれか。
- 検査前日の夜に下剤を服用することを伝える。
- 検査前に前立腺肥大症の既往の有無を確認する。
- 検査中は仰臥位の姿勢を保持する。
- 検査後はすぐに食事ができることを説明する。
▶午前56
軽度の老人性難聴の特徴はどれか。
- ゆっくり話すと聞き取りにくい。
- 母音よりも子音が聞き分けにくい。
- 高音よりも低音が聞き取りにくい。
- イントネーションが理解しにくい。
▶午前57
Aさん(90歳、男性)は、脳梗塞による軽度の左半身麻痺がある。要介護2。最近、娘(65歳)とその家族と同居を始めた。Aさんの受診に付き添ってきた娘が看護師に「同居を始めてから疲れます」と話した。
この時の娘に対する看護師の対応で最も適切なのはどれか。
- 心療内科の受診を勧める。
- 娘の幼少期の親子関係を聞く。
- Aさんの介護老人保健施設への入所を勧める。
- 同居後に家族の生活がどのように変化したかを聞く。
Aさん(75歳、女性)は、腰部脊柱管狭窄症と診断されており、要介護1、障害高齢者の日常生活自立度判定基準A-1である。
Aさんが介護保険による貸与を受けられる福祉用具はどれか。
- 車椅子
- 歩行器
- 電動ベッド
- 入浴用椅子
乳幼児健康診査を規定しているのはどれか。
- 母子保健法
- 児童福祉法
- 次世代育成支援対策推進法
- 児童虐待の防止等に関する法律
▶午前60
小児の呼吸法が、腹式呼吸から成人と同じ胸式呼吸に変化する時期はどれか。
- 生後6か月
- 3歳
- 7歳
- 12歳
▶午前61
新生児の養育者に対する看護師の指導で正しいのはどれか。
- 「脂漏性湿疹は石けんで洗いましょう」
- 「臍帯はおむつで覆いましょう」
- 「うつぶせ寝にしましょう」
- 「日光浴をしましょう」
▶午前62
先天異常で正しいのはどれか。
- 軟骨無形成症は低身長になる。
- Turner〈ターナー〉症候群は高身長になる。
- Klinefelter〈クラインフェルター〉症候群は低身長になる。
- Pierre Robin〈ピエール・ロバン〉症候群は巨舌症がある。
▶午前63
平成16年(2004年)に性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律が施行され、戸籍上の性別を変更することが可能になった。
その変更の条件で正しいのはどれか。
- 15歳以上であること
- うつ症状を呈していること
- 現に未成年の子がいないこと
- 両親の同意が得られていること
日本における母の年齢階級別出生率の推移を図に示す。
図の矢印で示してある年齢階級はどれか。
- 20~24歳
- 25~29歳
- 30~34歳
- 35~39歳
▶午前65
女性を中心としたケア〈Women centered care〉の概念で適切なのはどれか。
- 父権主義を否定している。
- 周産期にある女性を対象とする。
- 全人的な女性という視点を重視する。
- 女性特有の疾患に関する看護を行う。
▶午前66
入院患者のせん妄に対する予防的介入で適切なのはどれか。
- 可能な限り離床を促す。
- 昼間は部屋を薄暗くする。
- 家族や知人の面会は必要最低限にする。
- 夕方に短時間の睡眠をとることを勧める。
注意欠如・多動性障害〈ADHD〉の症状はどれか。
- 音声チックが出現する。
- 計算を習得することが困難である。
- 課題や活動に必要なものをしばしば失くしてしまう。
- 読んでいるものの意味を理解することが困難である。
精神医療審査会で審査を行うのはどれか。
- 精神保健指定医の認定
- 入院患者からの退院請求
- 退院後生活環境相談員の選任
- 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律による処遇の要否
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律で、平成25年(2013年)に改正された内容はどれか。
- 保護者制度の廃止
- 自立支援医療の新設
- 精神保健指定医制度の導入
- 精神分裂病から統合失調症への呼称変更
令和元年(2019年)の国民生活基礎調査において、要介護者等のいる世帯に同居している主な介護者全数の特徴で正しいのはどれか。
- 性別は女性が多い。
- 続柄は子が最も多い。
- 年齢は70~79歳が最も多い。
- 介護時間は「ほとんど終日」が最も多い。
▶午前71
Aさん(74歳、女性)は、1人暮らし。要介護1、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準Ⅱa。頻尿のため、自室からトイレへの移動中に廊下で失禁することが頻繁にある。1日3食の高齢者向け配食サービスを利用している。
現時点でのAさんの日常生活で最も起こりやすいのはどれか。
- 窒息
- 転倒
- 熱傷
- 徘徊
▶午前72
Aさん(77歳、男性)は、脳梗塞による左片麻痺があり、右膝の痛みにより立位が困難である。端坐位で殿部をわずかに持ち上げることはできる。妻(77歳)は小柄で、体格差のある夫の移乗の介助に負担を感じている。
Aさんのベッドから車椅子への移乗の際、妻の介護負担を軽減する福祉用具で適切なのはどれか。
- 歩行器
- ベッド柵
- 電動介助リフト
- トランスファーボード
▶午前73
Aさん(82歳、男性)は、妻(75歳)と2人暮らし。障害高齢者の日常生活自立度判定基準B-1。日中は車椅子に座っていることが多い。Aさんの仙骨部に発赤があるのを発見したため、訪問看護師は妻にAさんへの介護方法を指導することにした。
妻に指導する内容で正しいのはどれか。
- 「仙骨部をマッサージしましょう」
- 「夜間は2時間毎に体位変換をしましょう」
- 「時々お尻を浮かすよう声をかけましょう」
- 「車椅子に座らせるときは円座を使いましょう」
地域包括ケアシステムにおける支援のあり方で、「互助」を示すのはどれか。
- 高齢者が生活保護を受けること
- 住民が定期的に体重測定すること
- 要介護者が介護保険サービスを利用すること
- 住民ボランティアが要支援者の家のごみを出すこと
医療提供の理念、病院・診療所等の医療を提供する場所、その管理のあり方を定めたのはどれか。
- 医療法
- 医師法
- 健康保険法
- 保健師助産師看護師法
▶午前76
看護師Aが患者Bの点滴ボトルに薬剤を注入しているとき、新人看護師から患者Cについて相談を受けた。看護師Aが作業を中断し新人看護師に対応した後、患者Bの点滴ボトルに患者Cの名前を記入するというヒヤリハットが発生した。
この病棟の看護師長が行う再発防止策で適切なのはどれか。
- 看護師Aに対策を考えさせる。
- 看護師Aを注射の業務から外す。
- 作業中断の対策を病棟チームで検討する。
- 再発防止カンファレンスを1か月後に計画する。
日本における政府開発援助〈ODA〉の実施機関として正しいのはどれか。
- 国際協力機構〈JICA〉
- 世界保健機関〈WHO〉
- 国連児童基金〈UNICEF〉
- 国連世界食糧計画〈WFP〉
▶午前78
災害に関する記述で正しいのはどれか。
- 災害時の要配慮者には高齢者が含まれる。
- 人為的災害の被災範囲は局地災害にとどまる。
- 複合災害は同じ地域で複数回災害が発生することである。
- 発災直後に被災者診療を行う場では医療の供給が需要を上回る。
▶午前79
血漿の電解質組成を陽イオンと陰イオンに分けたグラフを示す。
矢印で示すのはどれか。
- ナトリウムイオン
- カリウムイオン
- リン酸イオン
- 塩化物イオン
- 重炭酸イオン
▶午前80
血液中のカルシウムイオン濃度が低下した際に、ホルモン分泌量が増加するのはどれか。
- 膵島
- 甲状腺
- 下垂体
- 副腎皮質
- 副甲状腺
ネグレクトを受けている児の一時保護を決定するのはどれか。
- 家庭裁判所長
- 児童相談所長
- 保健所長
- 警察署長
- 市町村長
▶午前82
新生児の殿部の写真を別に示す。
考えられるのはどれか。
- ポートワイン母斑
- サーモンパッチ
- ウンナ母斑
- 太田母斑
- 蒙古斑
▶午前83
排便反射の反射弓を構成するのはどれか。2つ選べ。
- 下腸間膜神経節
- 腹腔神経節
- 骨盤神経
- 腰髄
- 仙髄
▶午前84
アセチルコリンで収縮するのはどれか。2つ選べ。
- 心筋
- 排尿筋
- 腓腹筋
- 立毛筋
- 瞳孔散大筋
▶午前85
内臓の痛みを引き起こすのはどれか。2つ選べ。
- 虚血
- 氷水の摂取
- 48℃の白湯の摂取
- 平滑筋の過度の収縮
- 内視鏡によるポリープの切除
▶午前86
心電図検査における肢誘導はどれか。2つ選べ。
- Ⅰ
- V1
- V2
- V3R
- aVR
日本の公的医療保険制度に含まれるのはどれか。2つ選べ。
- 年金保険
- 雇用保険
- 船員保険
- 組合管掌健康保険
- 労働者災害補償保険
▶午前88
糖尿病末梢神経障害による感覚障害のある患者へのフットケア指導で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 両足部を観察する。
- 熱めの湯をかけて洗う。
- 靴ずれしない靴を選ぶ。
- なるべく素足で過ごす。
- 爪は足趾の先端よりも短く切る。
▶午前89
出生直後の正常新生児に当てはまる特徴はどれか。2つ選べ。
- 生理的に多血である。
- 腸内細菌叢が定着している。
- 噴門部の括約筋は発達している。
- Babinski〈バビンスキー〉反射がみられる。
- 胎盤を通じて母体からIgMが移行している。
身長170cm、体重70kgの成人の体格指数(BMI)を求めよ。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。
解答:① ②
▶午後26
嗅覚の一次中枢はどれか。
- 嗅球
- 嗅上皮
- 後頭葉
- 上鼻甲介
▶午後27
標的細胞の細胞膜に受容体があるのはどれか。
- 男性ホルモン
- 甲状腺ホルモン
- 糖質コルチコイド
- 甲状腺刺激ホルモン
▶午後28
開心術後の心タンポナーデで正しいのはどれか。
- 徐脈
- 心音増強
- 心拍出量の増加
- 中心静脈圧の上昇
介護保険の第1号被保険者で正しいのはどれか。
- 介護保険料は全国同額である。
- 介護保険被保険者証が交付される。
- 40歳以上65歳未満の医療保険加入者である。
- 介護保険給付の利用者負担は一律3割である。
発達障害者支援法で発達障害と定義されているのはどれか。
- 学習障害
- 記憶障害
- 適応障害
- 摂食障害
自殺対策基本法で都道府県に義務付けられているのはどれか。
- 自殺総合対策推進センターの設置
- 自殺総合対策大綱の策定
- ゲートキーパーの養成
- 自殺対策計画の策定
▶午後32
ハヴィガースト, R. J.の発達課題に関する説明で適切なのはどれか。
- 成長に伴い発達課題は消失する。
- 各発達段階の発達課題は独立している。
- 身体面の変化と発達課題は無関係である。
- 発達課題の達成は個人の生活と関連する。
風疹の疑いがある入院患者の隔離予防策で適切なのはどれか。
- 標準予防策
- 標準予防策と接触感染予防策
- 標準予防策と飛沫感染予防策
- 標準予防策と空気感染予防策
▶午後34
死後の処置で適切なのはどれか。
- 枕は氷枕にする。
- 義歯を装着する。
- 肛門には青梅綿、脱脂綿の順で詰める。
- 和装の更衣の場合、襟は右前に合わせる。
▶午後35
嚥下障害を評価する改訂水飲みテストで正しいのはどれか。
- 嚥下後10秒間で評価する。
- 嚥下動作の準備期を評価する。
- 嚥下後の呼吸状態を評価する。
- 80mLの水の嚥下状況を評価する。
▶午後36
入浴時に全身の血液循環を促進する作用はどれか。
- 鎮静作用
- 浮力作用
- 抗酸化作用
- 静水圧作用
▶午後37
1回換気量に関係なく吸入酸素濃度を調節できる器具はどれか。
- 鼻カニューレ
- フェイスマスク
- ベンチュリーマスク
- リザーバー付酸素マスク
▶午後38
成人患者への薬剤の投与方法で正しいのはどれか。
- 筋肉内注射は大殿筋に行う。
- 点眼薬は結膜囊に滴下する。
- 皮下注射は前腕内側に行う。
- 食間の指示の経口薬は食事中に服用させる。
▶午後39
永久的止血法に含まれるのはどれか。
- 止血帯法
- タンポン法
- 血管結紮法
- 間接圧迫止血法
▶午後40
成人に行う頭部MRI検査で正しいのはどれか。
- 造影を伴わない場合は検査直前まで飲食してよい。
- 使い捨てカイロは装着したままでよい。
- 検査中は手足を自由に動かしてよい。
- 補聴器は装着したままでよい。
▶午後41
Aさん(48歳、男性)は、仕事中に生じた胸部と右肩の違和感を主訴に来院した。バイタルサインは安定しているが、スタンフォード分類B型の急性大動脈解離と診断され、医師から手術を勧められた。
治療の選択で迷っている様子のAさんへの対応で適切なのはどれか。
- 「医師からの治療のリスクや合併症の説明で、不明な点はありますか」
- 「手術を受けるか受けないか、すぐに決めたほうがよいです」
- 「医師の判断に任せるのが一番よいと思います」
- 「緊急度が高いので、話はあとにしましょう」
▶午後42
Aさん(64歳、男性)は、2年前に前立腺癌と診断され、内分泌療法を受けていた。1か月前から体動時に強い痛みが腰部に生じるようになり、外来を受診したところ腰椎転移と診断された。
Aさんに生じている痛みで最も考えられるのはどれか。
- 関連痛
- 体性痛
- 中枢痛
- 内臓痛
▶午後43
成人患者の気管支喘息の治療で正しいのはどれか。
- テオフィリンの投与中は血中濃度の測定が必要である。
- 副腎皮質ステロイド薬吸入後の含嗽は必要ない。
- インフルエンザワクチン接種は禁忌である。
- 発作時にはβ遮断薬を内服する。
▶午後44
経皮的腎生検を受ける患者への説明で適切なのはどれか。
- 検査中の体位は仰臥位とする。
- 穿刺時にくり返し深呼吸をする。
- 検査後はベッド上安静とする。
- 検査後2日間は禁食にする。
▶午後45
糖質コルチコイドの分泌が長期に過剰となった状態の身体所見で正しいのはどれか。
- 眼球突出
- 甲状腺腫大
- 頻脈
- 満月様顔貌
▶午後46
慢性副鼻腔炎の手術を受けた患者に対する説明で適切なのはどれか。
- 咽頭にたまった分泌物は飲んでも良い。
- 臥床時は頭部を低く保つ。
- 手術当日から入浴が可能である。
- 物が二重に見えるときは看護師に伝える。
▶午後47
サクセスフルエイジングの説明で適切なのはどれか。
- 老化の過程にうまく適応する。
- 権威のある者によって一方的に守られる。
- 生命あるものに共通して起こる現象である。
- 社会的な役割から離脱することで自由になる。
判断能力が不十分な認知症高齢者の権利擁護を目的とするのはどれか。
- 公的年金制度
- 生活保護制度
- 後期高齢者医療制度
- 日常生活自立支援事業
▶午後49
Aさん(76歳、女性)は、ステージ2の慢性腎臓病と診断された。身長146cm、体重50kg。日常生活は自立し、毎日家事をしている。週2回、ビールをグラス1杯程度飲んでいる。
Aさんへの生活指導の内容で優先されるのはどれか。
- 安静
- 禁酒
- 減塩
- 体重の減量
▶午後50
認知症高齢者との対話で適切なのはどれか。
- 表情を見せながら話す。
- 高齢者の横から話しかける。
- 会話の内容を記憶しているか確認する。
- 言葉が出てこない時は思い出すまで待ち続ける。
介護保険制度における地域密着型サービスはどれか。
- 介護老人保健施設
- 介護老人福祉施設
- 通所リハビリテーション
- 認知症対応型共同生活介護〈認知症高齢者グループホーム〉
令和3年(2021年)の人口動態調査で、5~9歳の死因における不慮の事故の原因で最も多いのはどれか。
- 窒息
- 交通事故
- 転倒・転落
- 溺死および溺水
小児慢性特定疾病対策における医療費助成で正しいのはどれか。
- 対象は5疾患群である。
- 対象年齢は20歳未満である。
- 医療費の自己負担分の一部を助成する。
- 難病の患者に対する医療等に関する法律に定められている。
▶午後54
乳幼児の正常な言語発達で正しいのはどれか。
- 生後1か月で喃語が出始める。
- 生後6か月で意味のある1語が言える。
- 1歳2か月で2語文を話す。
- 4歳で4つの色を正しく言える。
▶午後55
離乳の開始で正しいのはどれか。
- 離乳食は1日2回から開始する。
- 人工乳はフォローアップミルクにする。
- 哺乳反射の減弱が開始時の目安のひとつである。
- 離乳食は歯ぐきでつぶせる硬さのものから始める。
▶午後56
障害のレベルを運動機能と知能指数で区分するのはどれか。
- 大島分類
- NYHA分類
- 国際生活機能分類〈ICF〉
- Hugh-Jones〈ヒュー・ジョーンズ〉分類
▶午後57
人間の性の意義と特質の組合せで適切なのはどれか。
- 快楽性としての性――種の保存
- 生殖性としての性――心理・社会的属性
- 性役割としての性――性的指向
- 連帯性としての性――人間関係の形成
▶午後58
出生前診断を目的とした羊水検査で適切なのはどれか。
- 先天性疾患のほとんどを診断することができる。
- 診断された染色体異常は治療が可能である。
- 合併症として流早産のリスクがある。
- 妊娠22週以降は検査できない。
新生児聴覚スクリーニング検査で正しいのはどれか。
- 空腹時に行う。
- 泣いていない時に行う。
- タンデムマス法で行う。
- 生後24時間以内に行う。
▶午後60
リエゾン精神看護の活動はどれか。
- 行動制限の指示
- 向精神薬の処方
- 他科への転棟指示
- コンサルテーションへの対応
知的障害〈精神遅滞〉の原因となる疾患はどれか。
- 統合失調症
- フェニルケトン尿症
- Alzheimer〈アルツハイマー〉病
- Creutzfeldt-Jakob〈クロイツフェルト・ヤコブ〉病
▶午後62
Aさん(24歳、男性)は、昼間の過剰な眠気を主訴に来院した。半年前に居眠り運転で交通事故を起こした。入眠時の幻視や睡眠と覚醒の移行期に体を動かせなくなることがある。また、笑ったり、怒ったりしたときに脱力してしまうこともある。
最も考えられる疾患はどれか。
- 睡眠時遊行症
- ナルコレプシー
- 睡眠時無呼吸症候群
- 睡眠・覚醒スケジュール障害
現在の日本の精神医療で正しいのはどれか。
- 精神保健福祉センターは各市町村に設置されている。
- 精神病床に入院している患者の疾患別内訳では認知症が最も多い。
- 精神障害者保健福祉手帳制度によって通院医療費の給付が行われる。
- 人口当たりの精神病床数は経済協力開発機構〈OECD〉加盟国の中では最も多い。
Aさん(60歳、女性)は、統合失調症で10年間入院していた。来月退院予定となったため、Aさん、医師、看護師でチームを作り、退院支援計画を立てることになった。Aさんは「両親も亡くなってしまい、これからの生活費や住む場所がとても心配だ」と訴えてきた。
退院支援を進めるにあたり、チームに加わるメンバーで最も適切なのはどれか。
- 薬剤師
- 精神保健福祉士
- ピアサポーター
- 臨床心理技術者(臨床心理士・公認心理師等)
訪問看護制度で正しいのはどれか。
- 管理栄養士による訪問は保険請求できる。
- 精神科訪問看護は医療保険から給付される。
- 医療処置がなければ訪問看護指示書は不要である。
- 訪問看護事業所の開設には常勤換算で3人以上の看護職員が必要である。
▶午後66
Aさん(85歳、女性)は、1人暮らし。日常生活は自立しており、健康のために毎日20〜30分のウォーキングをしている。夜間は、廊下を歩いて1、2回トイレに行く。
Aさんの現時点での家屋環境の整備で最も優先されるのはどれか。
- 便座の高さを高くする。
- 廊下に手すりを設置する。
- トイレの扉を引き戸にする。
- 廊下に足元照明を設置する。
Aさん(52歳、男性、独身)は、銀行員。切除不能の大腸癌と診断され、外来で抗癌薬の点滴静脈内注射を受けることになった。Aさんは「治療を受けながら仕事を続けたいのですが、どうすれば良いか教えてください」と外来看護師に相談した。
外来看護師が行うAさんへの助言で最も適切なのはどれか。
- 「所属部署の変更を上司に申し出ましょう」
- 「副作用が出てから対応を考えましょう」
- 「会社の健康管理部門に相談しましょう」
- 「有給休暇を使って治療を受けましょう」
家族からネグレクトを受けている高齢者について、地域包括支援センターに通報があった。
この通報を受けた地域包括支援センターが行う業務はどれか。
- 権利擁護
- 総合相談支援
- 介護予防ケアマネジメント
- 包括的・継続的ケアマネジメント支援
▶午後69
病院では、育児中の時短勤務、夜勤専従、非常勤など多様な労働時間や雇用形態の看護師が働いている。
看護管理者が行うマネジメントで最も優先するのはどれか。
- 夜勤専従の看護師の休暇を増やす。
- 育児中の看護師の院内研修を免除する。
- 非常勤看護師は患者の受け持ちを免除する。
- 特定の看護師に仕事が集中しないよう調整する。
▶午後70
診療情報の取り扱いで適切なのはどれか。
- 診療情報の開示請求は患者本人に限られる。
- 医療者は患者が情報提供を受けることを拒んでも説明する。
- 2類感染症の届出は患者本人の同意を得なければならない。
- 他院へのセカンドオピニオンを希望する患者に診療情報を提供する。
医療法における病院の医療安全管理体制で正しいのはどれか。
- 医療安全管理のために必要な研修を2年に1回行わなければならない。
- 医療安全管理のための指針を整備しなければならない。
- 特定機能病院の医療安全管理者は兼任でよい。
- 医薬品安全管理責任者の配置は義務ではない。
看護師等の人材確保の促進に関する法律における離職等の届出で適切なのはどれか。
- 届出は義務である。
- 届出先は保健所である。
- 離職を予定する場合に事前に届け出なければならない。
- 免許取得後すぐに就職しない場合は届け出るよう努める。
国際社会が抱えるヘルスケアを含む課題に対して、すべての国に適用される普遍的(ユニバーサル)な目標で、2015年の国連サミットで採択されたのはどれか。
- ヘルスフォーオール21(HFA21)
- ミレニアム開発目標(MDGs)
- 持続可能な開発目標(SDGs)
- 国連開発目標(IDGs)
▶午後74
採血の際、血液が凝固するのを防ぐために試験管にクエン酸の結晶を入れておくことがある。
クエン酸によって血液から除かれるのはどれか。
- トロンビン
- プラスミン
- カルシウムイオン
- ナトリウムイオン
- フィブリノーゲン
▶午後75
胃底腺の主細胞の分泌物に由来するタンパク分解酵素はどれか。
- アミラーゼ
- キモトリプシン
- トリプシン
- ペプシン
- リパーゼ
▶午後76
成人で、骨髄が脂肪組織になっているのはどれか。
- 寛骨
- 胸骨
- 大腿骨の骨幹
- 椎骨の椎体
- 肋骨
▶午後77
臓器と産生されるホルモンの組合せで正しいのはどれか。
- 膵臓――グルカゴン
- 副腎――プロラクチン
- 腎臓――アルドステロン
- 脳下垂体――インクレチン
- 視床下部――テストステロン
▶午後78改題
抗甲状腺薬の副作用〈有害事象〉で正しいのはどれか。
- 頻脈
- 肝障害
- 不整脈
- 眼球突出
▶午後79
Barthel〈バーセル〉インデックスで評価するのはどれか。
- 栄養状態
- 疼痛の強さ
- 褥瘡の深さ
- 日常生活動作
- 呼吸困難の程度
▶午後80
急性心筋梗塞患者の合併症を早期に発見するための徴候で正しいのはどれか。
- 皮疹の出現
- 頻脈の出現
- 時間尿の増加
- 腹壁静脈の怒張
- うっ血乳頭の出現
Alzheimer〈アルツハイマー〉型認知症の患者にみられる実行機能障害はどれか。
- シャツを前後反対に着る。
- 調理の手順がわからなくなる。
- 物音がすると食事を中断する。
- 鏡に映った自分の姿に話しかける。
- 歯ブラシで髪の毛をとかそうとする。
▶午後82
副交感神経を含む脳神経はどれか。2つ選べ。
- 嗅神経
- 視神経
- 動眼神経
- 三叉神経
- 迷走神経
糖尿病性腎症の食事療法で制限するのはどれか。2つ選べ。
- 脂質
- 塩分
- 蛋白質
- 炭水化物
- ビタミン
▶午後84
アナフィラキシーショックで正しいのはどれか。2つ選べ。
- 徐脈になる。
- 重症例では死に至る。
- 気道粘膜の浮腫を生じる。
- Ⅲ型アレルギー反応である。
- 副腎皮質ステロイドは禁忌である。
▶午後85
前立腺肥大症で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 進行すると水腎症となる。
- 外科治療は経尿道的前立腺切除術を行う。
- 直腸診で石の様な硬さの前立腺を触知する。
- 前立腺を縮小させるために男性ホルモン薬を用いる。
- 前立腺特異抗原〈prostate specific antigen:PSA〉値が100ng/mL以上となる。
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉に基づく五類感染症はどれか。2つ選べ。
- 後天性免疫不全症候群〈AIDS〉
- 腸管出血性大腸菌感染症
- つつが虫病
- 日本脳炎
- 梅毒
▶午後87
感覚性失語のある成人患者とのコミュニケーションで適切なのはどれか。2つ選べ。
- 短文で話しかける。
- 身振りを加えて話す。
- 多くの話題を提供する。
- 耳元に近づき大きな声で話す。
- open-ended question〈開かれた質問〉を用いる。
▶午後88
交通事故によって脊髄損傷で入院した下肢に麻痺のある成人患者。職場復帰に向けて、看護師が患者に説明する内容で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 自己導尿は自宅で行う。
- 仕事中は飲水を制限する。
- 車椅子には体圧分散マットを使用する。
- 残業する場合の休憩時間は不要である。
- 職場の担当者に自分の病気について伝える。
▶午後89
人工肛門を造設した患者へのストーマケアの指導内容で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 装具の交換は便が漏れない限り不要である。
- 装具をはがした時は皮膚保護材の溶解の程度を観察する。
- 洗浄後のストーマはドライヤーで乾かす。
- 装具の穴はストーマと同じ大きさにする。
- 装具を貼る時は腹壁のしわを伸ばす。
▶午後90
妊娠36週の妊婦にNST〈non-stress test〉を行うため、分娩監視装置を装着することになった。
妊婦への説明で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 「胎児の健康状態を判定します」
- 「所要時間は10分です」
- 「排尿を済ませて下さい」
- 「仰向けで行います」
- 「固定用ベルトを1本使用します」
第108回看護師国家試験・状況設定問題(60問)
▶次の文を読み91〜93の問いに答えよ。
Aさん(20歳、男性、大学生)は、炎天下で長時間サッカーをしていたところ転倒し、左膝と左側腹部を強打した。「左膝がカクッと折れて力が入らない。左腹部が痛い」ことを主訴に救急外来を受診した。
受診時のバイタルサインは、体温37.0℃、呼吸数14/分、脈拍98/分、血圧102/58mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%。血液検査の結果、赤血球550万/μL、Hb16.0g/dL、Ht55%、白血球8,900/μL、CRP0.3mg/dLであった。尿検査は尿潜血(-)、尿比重1.025、濃縮尿であった。胸部・腹部・下肢のエックス線写真に異常なし。胸腹部CTでは脾臓損傷を否定できなかった。このため、左半月板損傷と外傷性脾臓損傷を疑い入院となった。
▶午前91
Aさんの状態をアセスメントするために、救急外来受診時に優先して観察すべき項目はどれか。
- 尿の性状
- 腸蠕動音
- 脈拍数
- 体温
▶午前92
入院後3日、腹部CTの再検査で脾臓損傷は否定された。また、左膝のMRI検査では、左半月板損傷と確定診断され、自宅療養することとなった。退院準備中のAさんから「ベッドから立ち上がろうとしたら、左膝が曲がったままで伸びない。痛みはそれほどでもないです」と訴えがあった。
この時、医師への連絡と同時に看護師が実施することで適切なのはどれか。
- 作業療法士へ相談する。
- 下肢の関節可動域を確認する。
- 処方された鎮痛薬を服用させる。
- 下肢の徒手筋力テストを実施する。
▶午前93
医師による診察の結果、退院は中止になり、入院後5日に膝関節鏡を用いた手術を受けた。手術後1週の診察で退院が決まり、医師から「取り外し可能なギプスを装着し、次の受診まで松葉杖を使い左足には負荷をかけないで生活をしてください」と説明された。
看護師がAさんに行う退院指導で、正しいのはどれか。
- 「負荷をかけない」とは痛くない程度に体重をかけることである。
- 患側膝関節の屈曲伸展を繰り返す運動をしてよい。
- 患側下肢の等尺性運動を実施する。
- 松葉杖は腋窩に密着させる。
▶次の文を読み94〜96の問いに答えよ。
Aさん(37歳、女性、会社員)は、夫(38歳)と2人暮らし。身長155cm、体重57kg。Aさんは、入浴中に右胸のしこりに気づき、病院を受診した。乳房超音波検査で右乳房外側下部に、直径約3cmの腫瘤が認められた。医師から乳癌の可能性が高いと説明され、検査を受けたところ、右乳癌と診断された。
▶午前94
確定診断のため、Aさんに行われた検査はどれか。
- MRI
- 針生検
- PET-CT
- マンモグラフィ
▶午前95
Aさんは、乳房温存療法を希望したが、腫瘤が大きいため手術前に化学療法を受けることになった。術前化学療法としてEC療法(エピルビシン、シクロホスファミド)を3週ごとに、4サイクル受ける予定である。
Aさんに起こりやすい障害はどれか。
- 嗅覚障害
- リンパ浮腫
- 卵巣機能不全
- 末梢神経障害
▶午前96
Aさんは、職場の上司と相談し、仕事を継続しながら化学療法を受けることになった。2サイクル目の治療のため、化学療法センターに来院した。Aさんは「1回目の治療のあと、数日間身体がだるくて食欲もなく、体重が1キロ減りました。仕事も休みました」と看護師に話した。
身体所見:体温36.8℃、呼吸数16/分、脈拍70/分、血圧120/74mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%。
検査所見:赤血球400万/μL、Hb12.5g/dL、Ht37%、白血球2,300/μL(好中球55%、単球5%、好酸球4%、好塩基球1%、リンパ球35%)、血小板18万/μL、総蛋白7.0g/dL、アルブミン4.5g/dL、尿素窒素13mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、CRP0.3mg/dL。
2サイクル目の化学療法を受けたAさんに行ってもらうセルフモニタリングで最も重要なのはどれか。
- 脈拍数
- 体温
- 血圧
- 体重
▶次の文を読み97〜99の問いに答えよ。
Aさん(68歳、女性)は、1人暮らし。隣の市に娘がいる。日常生活は自立している。10年前に糖尿病と診断され、血糖降下薬を服用している。最近の血液検査でHbA1cが8.5%のため、インスリンの自己注射を導入するかどうかを検討することになった。医師からAさんには自己注射についてまだ説明されていない。
▶午前97
Aさんに自己注射を導入できるかを判断するための情報で最も重要なのはどれか。
- 細かい文字が読める。
- 運動療法を行っている。
- 近所に支援をしてくれる人がいる。
- 食品交換表の使い方を理解できている。
▶午前98
Aさんは、医師から自己注射について説明された。Aさんは医師に質問はないと答えたが、考え込んでいたため、看護師はAさんに心配なことがあるか質問した。Aさんは「10年間、食事療法をがんばってきたのに、注射になるのですね。今後どうしたら良いかわからなくなりました」と話した。
この時の看護師の言葉かけで適切なのはどれか。
- 「もう少しがんばれると良かったですね」
- 「治療食の配食サービスを利用しましょう」
- 「私たちの指導通りに行えばうまくいきます」
- 「これまでの食事で工夫したことを一緒に振り返りましょう」
▶午前99
朝食前の自己注射によって、Aさんの血糖値は安定していた。6年後、Aさんはサービス付き高齢者向け住宅に転居した。転居後の外来受診時、Aさんは外来看護師に「施設の食堂で食事をしている。食堂に行く前は化粧で忙しいが、毎日楽しい。間食はしていない」と話す。転居後2か月のHbA1c値が上昇していたため、外来看護師がAさんに質問すると「引っ越してから、注射を忘れることがあった」と話した。Aさんの自己注射の手技に問題はなく、Mini-Mental State Examination〈MMSE〉は29点だった。Aさんの娘に確認すると、Aさんの自室の冷蔵庫に、未使用のインスリンが余っていることが分かった。
外来の看護師からAさんと娘への助言で最も適切なのはどれか。
- 訪問看護師に注射を依頼する。
- 注射をしたらカレンダーに印をつける。
- 化粧で使う鏡に「朝食前に注射」のメモを貼る。
- サービス付き高齢者向け住宅の職員にインスリンの残量を数えてもらう。
▶次の文を読み100〜102の問いに答えよ。
Aさん(89歳、女性)は、息子夫婦と3人暮らし。障害高齢者の日常生活自立度判定基準A-2。腹部膨満感とふらつきを自覚したため受診したところ、原発不明の癌による多臓器への転移と腹水貯留が認められ、入院した。入院時に、医師からAさんと家族に、回復の見込みが低いことが伝えられた。看護師に、Aさんは「もう十分長生きできましたから、自然に最期を迎えたいです」と話した。
身体所見:身長148cm、体重43kg、腹囲80cm。体温36.8℃、血圧128/80mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉97%。意識レベル清明。
検査所見:Hb6.9g/dL、総蛋白4.5g/dL、アルブミン2.9g/dL、AST〈GOT〉45IU/L〈U/L〉、ALT〈GPT〉60IU/L〈U/L〉、Na130mEq/L、K4.2mEq/L。
▶午前100
Aさんは全身の衰弱がみられるものの、Aさんの希望で病室のトイレには歩いて行くことになった。看護師は、Aさんは転倒するリスクが高いと判断した。
Aさんの転倒要因はどれか。2つ選べ。
- 貧血
- 腹水貯留
- 肝機能低下
- 低酸素血症
- 低カリウム血症
▶午前101
Aさんは昼間も寝ていることが多くなった。Aさんは「食事はいらないけど冷たいものはほしい」と言い、看護師が準備した氷を少量食べることがある。維持輸液を行っている。医師から家族にAさんの臨終が近いとの説明があった。家族は看護師に「食事をとらないと体力がなくなってしまう。苦痛なく最期を迎えさせてあげたいけれど、少しでも長く生きていてほしい」と言っている。
家族に対する看護師の説明で最も適切なのはどれか。
- 「食事を介助してください」
- 「点滴をしているので大丈夫です」
- 「食事に栄養補助食品を取り入れます」
- 「Aさんが食べたい物を持ってきてください」
▶午前102
1週後、Aさんは反応がなくなり、尿量の減少、血圧の低下、下顎呼吸、チアノーゼがみられるようになり、家族が病室に集まった。「最期に何かしてあげたいけれど、何ができるのかわかりません」と看護師に話した。
家族に対する看護師の対応で最も優先順位が高いのはどれか。
- Aさんに話しかけるように勧める。
- Aさんの全身清拭を行うように勧める。
- Aさんの背部にクッションを入れるように勧める。
- Aさんの好んでいた服に着がえさせるように勧める。
▶次の文を読み103〜105の問いに答えよ。
Aちゃん(1歳6か月、男児)は、5日前から発熱し、自宅近くのかかりつけ医に通院していたが解熱せず、昨日から眼球結膜の充血、口唇の発赤と亀裂が出現したため入院した。診察では、体幹の発疹と手足の浮腫もあり、川崎病および脱水症と診断された。Aちゃんに対し、点滴静脈内注射による脱水症の治療が開始され、左手掌から前腕までシーネで固定された。Aちゃんは機嫌が悪く、両手をバタバタと上下に動かしながら泣いている。左手背の留置針刺入部には、腫脹や発赤はない。
▶午前103
Aちゃんに対する看護師の対応で最も適切なのはどれか。
- 四肢の抑制を行う。
- 気をそらすよう工夫する。
- 点滴静脈内注射のラインを短くする。
- 点滴静脈内注射の必要性を説明する。
▶午前104
Aちゃんの血液検査の結果は、白血球15,000/μL、血小板45万/μL、CRP4.8mg/dLであり、心臓超音波検査に異常はなかった。γ-グロブリン製剤の点滴静脈内注射が開始された。10分後にAちゃんは腹部をかきはじめ、全身にかゆみを伴う膨隆疹と喘鳴、口唇のチアノーゼが出現した。
Aちゃんの状態として最も考えられるのはどれか。
- イレウス
- 心筋梗塞
- アレルギー反応
- クループ症侯群
▶午前105
Aちゃんの心臓超音波検査結果では、冠状動脈瘤の所見はなかった。Aちゃんは、全身状態が安定したため退院することになった。
看護師からAちゃんの家族への退院指導で適切なのはどれか。
- 運動の制限がある。
- 定期受診が必要である。
- 水分摂取量の制限がある。
- 保育所への通所は2週間禁止する。
▶次の文を読み106〜108の問いに答えよ。
Aさん(34歳、初産婦)は、夫(37歳、会社員)と2人暮らし。事務の仕事をしている。身長157cm、非妊時体重54kg。妊娠24週4日の妊婦健康診査時の体重58kgで4週前から1.5kg増加している。血圧128/88mmHg。尿蛋白(±)、尿糖(-)。浮腫(±)。Hb10g/dL、Ht30%。子宮底長22.5cm、腹囲84cm。胎児推定体重700g。非妊時より白色の腟分泌物は多いが、搔痒感はない。
▶午前106
Aさんの妊婦健康診査時のアセスメントで適切なのはどれか。
- 妊娠性貧血
- 腟カンジダ症
- 胎児発育不全〈FGR〉
- 妊娠高血圧症候群〈HDP〉
▶午前107
妊婦健康診査後、Aさんは看護師に「毎朝30分、電車内で立ち続けているので職場までの通勤がとても疲れます」と話した。看護師はAさんに、就労する妊娠中の女性に関する制度について説明した。
Aさんがこの時点で取得できるのはどれか。
- 産前休業
- 時差出勤
- 就業の制限
- 所定労働時間の短縮
▶午前108
Aさんは夫に付き添われ、妊娠35週4日に妊婦健康診査を受けた。体重62kg、血圧126/76mmHg。尿蛋白(-)、尿糖(-)。浮腫(±)。子宮底長30cm、腹囲88cm。Aさんは看護師に「膝の裏の血管が膨らんで、青く浮き出てきました。夕方になると足がだるくなり、夕食の準備のため立っているとつらくなります」と言う。
Aさんへの指導で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 「水分を控えましょう」
- 「体重を減らしましょう」
- 「ガードルを着用しましょう」
- 「弾性ストッキングを着用しましょう」
- 「寝るときは足を高くして横になりましょう」
▶次の文を読み109・111の問いに答えよ。
Aさん(30歳、初産婦、会社員)は、夫と2人暮らし。妊娠38週6日で3,200gの児を正常分娩した。分娩後から母児同室を開始しており、母乳育児を希望している。
▶午前109
産褥2日。乳房の緊満はなく、熱感がある。初乳から移行乳へと変化している。Aさんの児の抱き方はぎこちなく、乳頭をくわえさせるのに時間がかかっている。産褥1日から2日にかけた24時間で、14回の直接授乳をしている。児の体重は3,060gで、体重減少率は4.4%、排尿は3回/日、排便は2回/日である。Aさんは「あまり母乳が出ていないようですが、人工乳を足した方がよいですか」と看護師に相談した。
この時、看護師がアセスメントする項目で最も重要なのはどれか。
- 直接授乳の回数
- 母乳の分泌状態
- 児の体重減少率
- 児の排泄状況
▶午前111
産褥4日。Aさんは乳頭を児にうまくくわえさせられず「上手におっぱいがあげられない。退院してからも続けていけるか心配です」と言う。Aさんの乳房からは移行乳の分泌がみられる。児の体重は3,040g、排尿は5回/日、排便は4回/日である。
Aさんへの授乳時のアドバイスとして、適切なのはどれか。2つ選べ。
- 3時間ごとに授乳させる。
- 児が前屈姿勢になるように支える。
- 児が啼泣している時に授乳させる。
- 児の舌の上に乳頭がのるようにくわえさせる。
- 児が大きく口を開けたタイミングで乳頭をくわえさせる。
▶次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
Aさん(37歳、女性、会社員)は、1人暮らし。11月に経理部へ異動となった。新しい人間関係と慣れない仕事で帰宅後も緊張が取れず、眠れない日が続いていた。異動から3週目の朝、会社のエレベーターに乗ると、息苦しさ、動悸からパニック発作を起こした。その後も不眠とパニック発作が出現したため、異動から2か月後、精神科クリニックを受診し、パニック障害と診断された。主治医からは、短時間型の睡眠薬と選択的セロトニン再取り込み阻害薬〈SSRI〉が処方された。また、職場の協力を得て仕事量の調整をしてもらうことになった。受診から5日後、Aさんから「昨日の朝から気分が悪くなり、下痢をするようになった」と電話があった。
▶午前112
受診後のAさんの状況に対する看護師のアセスメントで適切なのはどれか。
- ストレスの増大
- うつ症状の悪化
- 睡眠薬の持ち越し効果
- SSRIの副作用〈有害事象〉
▶午前113
受診から1か月後、Aさんは11階の職場に向かう途中、エレベーターの中でパニック発作を再び起こした。その時は、息が止まってしまうように感じた。それ以来、エレベーターを見ると、また同じようになってしまうかもしれないと思うようになり、怖くて乗れなくなり、仕事にも支障が出るようになった。
Aさんへの看護師の対応で最も適切なのはどれか。
- 「エレベーターの中で息が止まる」という認知による感情・行動を修正する。
- 同じ症状を持つ人々との話し合いを通じて症状の軽減を図る。
- 抗うつ薬の効果についての正しい知識を教育する。
- ロールプレイを通じて社会生活技能を訓練する。
▶午前114
Aさんのパニック発作は消失し、不眠も改善したため、睡眠薬の処方は終了となった。Aさんは「もともと手足が冷えて寝つきが悪かったから、睡眠薬がなくなることが少し心配です。自分で工夫できることはあるでしょうか」と看護師に尋ねてきた。看護師が以前の睡眠状況を尋ねると、睡眠時間は23時から6時までの7時間であったこと、手足が冷えて眠れない時は熱いシャワーを浴びてから布団に入っていたことを話した。
Aさんの睡眠へのセルフケアに対する看護師の指導で適切なのはどれか。
- 「休日は昼まで寝るようにしましょう」
- 「布団に入る時間を21時に早めましょう」
- 「ぬるい温度のお風呂にゆっくり入るようにしましょう」
- 「眠れるまで布団の中でじっとしているようにしましょう」
▶次の文を読み115〜117の問いに答えよ。
Aさん(75歳、女性)は、夫とは3年前に死別し、1人暮らし。喫煙歴があり、5年前に慢性閉塞性肺疾患と診断された。長女は隣県に住んでおり、時々様子を見に来ている。Aさんは受診を継続しながら、ほぼ自立して生活していた。今回、咳・痰の症状に加え呼吸困難が増強したため入院となった。入院後は酸素療法(鼻カニューレ:2L/分)と薬物療法を受け、症状が改善し、在宅酸素療法を導入し退院することになった。Aさんは初めて要介護認定を受けたところ、要支援2であった。
▶午前115
病棟看護師がAさんに行う在宅酸素療法に関する指導で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 電磁調理器の使用を勧める。
- 外出時にデマンドバルブの作動を確認する。
- 在宅酸素療法の機材が介護保険で給付される。
- 酸素濃縮器は日当たりのよいところに設置する。
- 呼吸困難時にAさんの判断で酸素流量を変更してよい。
▶午前116
退院後の生活での問題点の確認のため、カンファレンスを開催することになった。Aさんは、自宅での療養を強く希望しており、2L/分の酸素投与下で呼吸状態や日常生活動作〈ADL〉については入院前と同程度まで回復してきているが、まだ退院後の買い物や洗濯などは負荷が強く、支援が必要と判断された。また、Aさんは、呼吸困難の再発について不安を訴えている。
カンファレンスの検討内容で優先度が高いのはどれか。
- 電動ベッドの導入
- 娘の居宅への転居
- 急性増悪時の対応方法
- 介護予防短期入所生活介護の利用
▶午前117
Aさんの退院後、訪問介護員は日常生活の支援のために週1回、訪問看護師は健康状態の確認と在宅酸素療法等について必要な指導を行うため月2回訪問することとなった。退院後2週。訪問看護師が訪問すると、Aさんは時々、食後に軽い呼吸困難が生じると訴えた。
この時の訪問看護師の指導で適切なのはどれか。
- 1回の食事量を減らし、食事回数を増やす。
- 買い物を兼ねた外出の頻度を減らす。
- 食事の準備は訪問介護員に任せる。
- 食後すぐに排泄をする。
▶次の文を読み118〜120の問いに答えよ。
Aさん(81歳、女性)は、1人暮らし。7年前から糖尿病、高血圧症、便秘症で病院の内科に定期的に通院しており、近所に住む長女が時々様子を見に来ていた。本日、長女がAさん宅を訪ねたところ、Aさんは床に倒れて起き上がれなくなっていた。受診の結果、胸椎と腰椎の圧迫骨折で病院に入院した。入院時、Aさんは病棟看護師に「朝食は食べていません。朝の薬を飲んだと思うが、はっきり覚えてません。家に帰ればわかります」と話した。病棟看護師が体のことで心配なことはあるかを問うと「この半年で体重が2kg減りました。最近は疲れやすく歩くのもゆっくりで、握力も弱くなり荷物を持つのがつらいです。このまま寝たきりになるのではないかと不安です」と話した。内科のカルテには1か月前の計測で身長150cm、体重41kgと記載されていた。入院時のバイタルサインは、体温36.6℃、呼吸数16/分、脈拍80/分、血圧144/88mmHg。血糖値114mg/dLで、軽度の皮膚湿潤があった。改訂長谷川式簡易知能評価スケールは29点であった。
▶午前118
入院時のアセスメントで適切なのはどれか。
- 頻脈がある。
- 低血糖である。
- フレイルである。
- 高度な認知機能の低下がある。
▶午前119
入院後、Aさんに活性型ビタミンD製剤と鎮痛薬、胃薬が追加で処方された。追加された薬の説明は薬剤師から受けていたが、Aさんは病棟看護師に「薬は飲みたくない」と訴えた。
Aさんの訴えに対して病棟看護師が行う対応で最も適切なのはどれか。
- 医師に相談する。
- 薬を一包化する。
- 服薬の必要性を説明する。
- 服薬に対する思いを聞く。
- 薬剤師に説明してもらう。
▶午前120
Aさんは、入院中に要介護1と認定された。退院後は週2回の家事援助サービスを利用した。退院3か月後、Aさんは長女と病院の整形外科外来を受診した。長女は診察を待つ間、外来看護師に「母は最近、ご飯を食べたのに食べていない、と近所の人に言うので困っている。薬の飲み忘れも目立ってきた。どうしたらよいか」と話した。
外来看護師が長女に説明する内容で適切なのはどれか。
- 「介護度の見直しについて、介護支援専門員に相談しましょう」
- 「食べ物を目につく場所に置きましょう」
- 「近所に出かけないよう説明しましょう」
- 「入院した高齢者によくある症状です」
▶次の文を読み91〜93の問いに答えよ。
Aさん(52歳、男性)は、5年前にC型肝炎、肝硬変と診断され、1回の入院歴がある。退院後、医療機関への受診を中断し3年が経過している。毎日、ウイスキーを約300mL飲んでいる。夕食の2時間後に約1,100mLの吐血があり、緊急入院となった。
身体所見:体温35.4℃、呼吸数26/分、脈拍122/分、血圧86/42mmHg、顔面は蒼白、冷汗を認める。意識は清明だが不安げな表情をしている。
検査所見:赤血球278万/μL、Hb8.4g/dL、総ビリルビン4.1mg/dL、アンモニア188μg/dL、K3.9mEq/L、血糖102mg/dL。
▶午後91
入院時のAさんの状態として考えられるのはどれか。
- 急性アルコール中毒
- 食道静脈瘤破裂
- 迷走神経反射
- 低血糖発作
▶午後92
入院から4日が経過し、Aさんは医師から「C型肝炎、肝硬変の患者は肝細胞癌を発症することがある」と説明を受けた。Aさんはスクリーニングの目的で、肝臓から骨盤内臓器までの範囲で腹部超音波検査を受けることになった。
検査前日に看護師が行う説明で正しいのはどれか。
- 「検査直前に排尿を済ませてください」
- 「おならは検査が終わるまで我慢してください」
- 「造影剤のアレルギーがあれば教えてください」
- 「検査当日は、起床時から飲食物を摂取しないでください」
▶午後93
検査の結果、C型肝炎に対し抗ウイルス療法が開始され、退院後は定期的に外来通院することになった。
退院に向けたAさんへの食事指導で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 禁酒する。
- 食物繊維を控える。
- 高蛋白食を摂取する。
- カリウム制限をする。
- 熱い食べものを避ける。
▶次の文を読み94〜96の問いに答えよ。
Aさん(58歳、男性、会社員)は、妻(55歳)と2人暮らし。5年前から高血圧症、脂質異常症を指摘され、降圧薬を内服していた。自宅で左半身に脱力感が出現し、救急車で搬送された。救急外来でCT及びMRI検査を行った結果、右中大脳動脈領域に脳梗塞の所見が認められた。入院時は、グラスゴー・コーマ・スケール〈GCS〉E3V4M5、体温36.8℃、呼吸数16/分、脈拍66/分(不整)、血圧160/85mmHg、HbA1c5.8%、心電図では、RR間隔は不定で心拍数100/分であった。入院後、血栓溶解療法を受け、2日後からリハビリテーションが開始された。1週後には回復期リハビリテーション病棟へ転棟した。
▶午後94
Aさんの脳梗塞の原因で考えられるのはどれか。2つ選べ。
- 糖尿病
- 胃潰瘍
- 高血圧症
- 心房細動
- 心房粗動
▶午後95
入院から3週が経過し、リハビリテーションによって日常生活動作〈ADL〉は改善しているが、夜間は眠れず、食欲も低下している。Aさんは「なかなか良くならない。何もできなくなってしまった」と話している。
現在のAさんへの声かけで、最も適切なのはどれか。
- 「時間が経てば良くなりますよ」
- 「リハビリをがんばりましょう」
- 「同じ病気の患者さんをご紹介しますね」
- 「なかなか良くならないと感じているのですね」
▶午後96
転棟から6週が経過し、退院に向けて多職種チームでカンファレンスを開催することになった。Aさんは、外来でのリハビリテーションを継続しながら元の職場への復帰を希望している。
Aさんの退院前のカンファレンスで適切なのはどれか。
- チームリーダーの職種は医師である。
- カンファレンスにAさんの妻の参加は不要である。
- Aさんのリハビリテーションの目標は医師が決定する。
- Aさんのリハビリテーションの内容はチームで評価する。
▶次の文を読み97〜99の問いに答えよ。
Aさん(82歳、女性)は、Alzheimer〈アルツハイマー〉型認知症で、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準Ⅱb、要介護1である。息子と2人暮らしであったが、1年前から認知症対応型共同生活介護〈認知症高齢者グループホーム〉に入所している。息子は仕事が忙しいため、2か月に1回面会に来所する。Aさんは2日前から活気がなくなり、食事量も減少した。本日、発熱や下痢を主訴に介護職員に付き添われて外来を受診した。外来の看護師が介護職員に普段の健康状態の把握の方法を尋ねると、1日1回の体温と血圧の測定、月1回の体重測定、レクリエーションへの参加の様子を確認しているという回答を得た。Aさんは、看護師の簡単な質問に答えることができる。
身体所見:体温37.0℃、呼吸数24/分、脈拍72/分、血圧132/82mmHg、呼吸音は異常なし。水様便が3回/日、濃縮尿、手指の冷感あり、顔色は不良。皮膚の乾燥あり。体重45.8kg。
検査所見:Ht40%、白血球9,800/μL、尿素窒素25mg/dL。Na150mEq/L、尿比重1.030。
▶午後97
外来の看護師が介護職員から追加で収集するAさんの情報で、最も優先するのはどれか。
- 過去1週間の体温の変動
- 昨日の睡眠状態
- 全身の皮膚状態
- 入所時の体重
▶午後98
Aさんは入院し、点滴静脈内注射が開始された。Aさんの顔色は良くなり眠っているため、介護職員は施設に戻った。看護師がAさんの様子を確認するため病室へ行くと、目が覚めたAさんは「誰かいないの」と大声を出し、興奮した様子で点滴静脈内注射のラインを外そうとしていた。
看護師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 睡眠薬を与薬する。
- 入院中であることを伝える。
- 興奮が落ち着くまで身体拘束を行う。
- 息子に退院まで付き添うよう連絡する。
- 点滴静脈内注射のラインを見えないようにする。
▶午後99
入院後3日。Aさんは開始された食事を全量摂取し、活気が出てきた。Aさんは自ら水分を摂ることはなかったが、看護師がお茶を勧めると、少量ずつ摂取している。体重47kg。Aさんの尿の性状は淡黄色で尿臭はなく、血液検査データは改善して基準値となったため、点滴静脈内注射が中止となり、退院が決まった。
Aさんが外来受診時と同じ状態を起こさないために、看護師が介護職員に伝える予防策で適切なのはどれか。
- 室温は30℃に保つ。
- 8g/日の食塩を摂取する。
- カフェインを含む水分を摂取する。
- 熱の放散を抑制する衣類を選択する。
- 食事を含めて1,300mL/日の水分を摂取する。
▶次の文を読み100〜102の問いに答えよ。
Aちゃん(8歳、女児)は、両親と妹(3歳)の4人家族である。2歳時に気管支喘息と診断された。5歳までは喘息発作のため救急外来を受診することも多く、年に1回は入院していた。6歳から発作を起こすこともなくなり、定期受診はしなくなっていた。アレルゲンは、ダニとハウスダストである。
▶午後100
Aちゃんは、学校から帰ってきた後から咳嗽がみられ、元気がなかった。夕食はあまり食べずに就寝した。夜間になり「苦しくて眠れない」と訴え、母親とともに救急外来を受診した。口元での喘鳴が著明であり、問診すると途切れ途切れに話した。救急外来受診時のバイタルサインは、体温36.9℃、呼吸数36/分、心拍数120/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉92%であった。
Aちゃんの気管支喘息の発作強度はどれか。
- 小発作
- 中発作
- 大発作
- 呼吸不全
▶午後101
救急外来で気管支拡張薬の吸入が行われたが、吸入後も呼吸数32/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉94%であったため入院することになった。入院後、鼻カニューレによる酸素投与と点滴静脈内注射が開始され、1日3回のステロイド薬の静脈内注射と1日4回の気管支拡張薬の吸入が開始された。翌日、酸素投与は中止された。バイタルサインは、体温36.8℃、呼吸数22/分、心拍数94/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉97%。聴診で喘鳴が聴取された。Aちゃんは「楽になった」と話し、笑顔が見られるようになった。
この時のAちゃんへの看護で適切なのはどれか。
- 排痰を促す。
- 胸式呼吸を促す。
- 水分摂取を控える。
- ベッド上安静とする。
▶午後102
気管支喘息による発作は軽快して点滴静脈内注射が中止された。咳嗽が軽度あるが全身状態は良好であるため、退院が決定した。Aちゃんに学校での生活状況を確認すると「最近、喘息発作はなかったけど、体育の時は咳が出たり苦しくなったりすることが時々あった」と話した。そのため、Aちゃんと母親に、退院後も抗アレルギー薬の内服と副腎皮質ステロイド薬の吸入を続けるように医師から説明された。
看護師のAちゃんに対する退院後の指導で適切なのはどれか。
- 「咳が出なくても体育の授業は見学しましょう」
- 「学校で咳が続くときは先生に伝えましょう」
- 「咳が出なくなったら薬はやめましょう」
- 「部屋の空気の入れ替えはやめましょう」
▶次の文を読み103〜105の問いに答えよ。
Aちゃん(生後10か月)は、それまで機嫌よく過ごしていたが、夕方から突然不機嫌になり、15〜20分ごとに激しく泣いては、泣き止むことを繰り返した。Aちゃんは夕食の離乳食を食べず哺乳もしなかったが、嘔吐したため21時に保護者と救急病院を受診した。担当医師は保護者に、腸重積症が疑われるためグリセリン浣腸を行って便性を確認する、と説明した。体温は37.1℃であった。
▶午後103
浣腸後に想定される反応便はどれか。
- 兎糞便
- タール便
- 灰白色便
- 米のとぎ汁様便
- イチゴゼリー様便
▶午後104
Aちゃんへの腹部超音波検査の結果、腸重積症の診断が確定し、静脈内注射による鎮静下で高圧浣腸が行われることになった。
看護師が一連の処置の準備をするにあたり、最も重要な物品はどれか。
- 潤滑ゼリー
- 替えのおむつ
- ガーグルベースン
- 経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉モニター
▶午後105
Aちゃんは、高圧浣腸により重積が整復され、経過観察のため入院した。翌朝、経口摂取が可能となり、状態も落ちついているため退院が決定した。保護者から「退院後に何か注意することはありますか」と看護師に質問があった。
保護者への説明で適切なのはどれか。
- 「月1回の受診をしてください」
- 「3日間は入浴を控えてください」
- 「1週間は離乳食を1日1回にしてください」
- 「同じような症状が出たら受診してください」
▶次の文を読み106〜108の問いに答えよ。
Aさん(28歳、初産婦)は、夫(30歳)と2人暮らし。妊娠25週4日に妊娠糖尿病〈GDM〉と診断され、インスリンの自己注射を行っている。胎位が骨盤位であったため妊娠38週2日に予定帝王切開術を受け、3,050gの男児を出産した。麻酔は脊髄くも膜下麻酔で、術中の経過に異常はなく、出血量は480mLであった。弾性ストッキングを着用している。児のApgar〈アプガー〉スコアは1分後8点、5分後10点。児のバイタルサインは直腸温37.3℃、呼吸数45/分、心拍数154/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉99%であった。
▶午後106
児への対応で最も優先するのはどれか。
- 沐浴
- 血糖値の測定
- 経皮的黄疸計での測定
- ビタミンK2シロップの与薬
▶午後107
手術後1日。Aさんのバイタルサインは、体温37.3℃、脈拍68/分、血圧124/66mmHgであった。排ガスはあるが、排便はない。Aさんは膀胱留置カテーテルの抜去後、看護師に付き添われ歩いて室内のトイレに行った。排尿後、すぐにベッドに横になった。Aさんは「起き上がってから頭が痛くなりました。めまいやふらつきはありませんでした」と看護師に話す。子宮底の高さは臍高、子宮は硬く触れ、血性悪露が中等量みられた。後陣痛はない。
Aさんへの対応で適切なのはどれか。
- 手術前から着用している弾性ストッキングを脱がせる。
- 腹部の冷罨法を行う。
- 床上排泄を促す。
- 水分摂取を促す。
▶午後108
手術後7日。Aさんの術後の経過は良好である。Aさんの母乳分泌は良好で、母乳で育てていくことを希望している。Aさんは「2年後にもう1人、子どもが欲しいと思っています。避妊をどうしたらいいでしょうか」と話す。
Aさんに対する看護師の説明で適切なのはどれか。
- 「子宮内避妊器具〈IUD〉は使用できません」
- 「低用量ピルは産後1か月から使用できます」
- 「母乳を与えている間は避妊の必要はありません」
- 「コンドームは性生活を再開するときから使用できます」
▶次の文を読み109〜111の問いに答えよ。
Aさん(19歳、男性、専門学校生)は、1人暮らし。「皆が自分を嫌っている」と言い、昨年から学校を休学し、アパートに引きこもるようになった。先週、夜中に大声で叫ぶ日が続いたため、アパートの管理人が両親へ連絡をした。連絡の翌日、Aさんの両親が訪ねてみると、Aさんは「隣の人に嫌がらせを受けている。助けてくれ」と叫び続けたため、両親とともに精神科病院へ行き、その日のうちに任意入院となった。Aさんは統合失調症と診断され、抗精神病薬による治療が開始された。
▶午後109
Aさんは、入院後10日から日中に臥床するようになった。夜間は熟睡している。食事の時間に食堂に遅れてくることが多い。看護師と会話をするようになったが、他の入院患者への被害妄想がある。
この時期の看護師の対応で最も適切なのはどれか。
- 食事介助をする。
- 一緒に院内を散歩する。
- 他の入院患者との交流を促す。
- 日中に臥床しているときは声かけを控える。
▶午後110
入院後1か月。Aさんは洗面所でボーッとしていることが多くなり、頭痛や倦怠感を訴えることが多くなった。
身体所見:身長170cm、6時の体重60kg、17時の体重63kg、体温36.4℃、呼吸数18/分、脈拍76/分、血圧124/70mmHg。
検査所見:クレアチンキナーゼ〈CK〉190IU/L〈U/L〉、空腹時血糖102mg/dL、HbA1c5.0%、Na128mEq/L、K3.5mEq/L、総コレステロール180mg/dL、HDLコレステロール45mg/dL。
Aさんの状況で最も考えられるのはどれか。
- 水中毒
- 悪性症候群
- セロトニン症候群
- メタボリック症候群
▶午後111
入院後2か月。Aさんは症状も落ち着いてきたため、退院の準備をすることになった。Aさんは看護師に「病気はすっかりよくなったのに、ずっと薬を飲まなければならないのか。体がだるく、体力が落ちた気がする。朝から学校へ行けるかどうか心配だ」と話した。
Aさんの退院の準備のために行う支援で優先度が高いのはどれか。
- 服薬心理教育
- 食事への援助
- 筋力トレーニングの指導
- アサーティブトレーニングの指導
▶次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
Aさん(40歳、男性、会社員)は、うつ病と診断されていた。最近、仕事がうまくいかず、大きなミスを起こし、会社に損失を与えたことから自分を責め不眠となり、体重が減少した。ある朝、リビングの床で寝ているAさんを妻が発見し、大きな声で呼びかけたところ、Aさんは1度目を開けたが、すぐ目を閉じてしまった。ごみ箱に、からになった薬の袋が大量に捨ててあり、机には遺書があった。救急搬送後、意識が清明となり、身体的問題がないため精神科病院に入院となった。
▶午後112
入院時の看護師のAさんに対する関わりで適切なのはどれか。
- いま死にたい気持ちがあるか尋ねる。
- 命を大切にしたほうがよいと伝える。
- 死ぬ気があれば何でもできると話をする。
- 家族が悲しむから死んではいけないと伝える。
▶午後113
入院後1か月、Aさんのうつ症状は改善を認めたが、同室患者とトラブルが続き、不眠や多弁傾向となった。また焦燥感が強く落ち着いて食事ができなくなった。そのため双極性障害と診断され、主治医から炭酸リチウムの内服の指示が出た。Aさんは炭酸リチウムを服用して1週後、手の震え、嘔気が出現した。
Aさんの手の震え、嘔気の原因を判断するための検査で最も適切なのはどれか。
- 尿検査
- 髄液検査
- 頭部MRI検査
- 薬物血中濃度検査
▶午後114
入院後3か月、Aさんは退院予定となり、元の職場に戻るための準備をすることになった。Aさんは「すぐに仕事に戻るのではなく、規則正しく生活することなどから、段階的に取り組むほうがいいのではないか」と訴えていた。
Aさんの職場復帰を含めた退院後の生活を支援するために適切なのはどれか。
- 自立訓練
- 就労移行支援
- 就労継続支援
- 精神科デイケア
▶次の文を読み115〜117の問いに答えよ。
Aさん(70歳、男性)は、妻(68歳)と2人暮らし。3年前に筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉と診断され、在宅で療養生活を続けていた。その後、Aさんは症状が悪化し、入院して気管切開下の人工呼吸療法、胃瘻による経管栄養法を受けることになった。妻は、退院後に必要なケアの技術指導、人工呼吸器や胃瘻の管理方法、緊急・災害時の対応について病棟看護師から指導を受けた。退院前カンファレンスにおいて、訪問看護のほかに必要な在宅サービスについて検討することになった。妻は慢性腎不全のため、週に3回の血液透析を受けており、1回に約6時間の外出が必要である。
▶午後115
Aさんが利用する在宅サービスで最も優先度が高いのはどれか。
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
- 通所リハビリテーション
- 短期入所生活介護
- 療養通所介護
▶午後116
退院から1週後に妻から訪問看護ステーションに連絡があり「人工呼吸器のアラームが鳴り続けていて、どうしたらいいのかわかりません。低圧アラームが点灯しています。気管カニューレも抜けていないし、呼吸もいつも通りにしているように見えます」と尋ねた。
この時の訪問看護師の妻への回答で正しいのはどれか。
- 「気管内の吸引を行ってください」
- 「回路にゆるみがないか確認してください」
- 「電源プラグが抜けていないか確認してください」
- 「ウォータートラップに水が溜まっていないか確認してください」
▶午後117
退院から2週後、妻から「昨日、私が透析を受けている病院で災害が発生した場合の診療について説明がありました。在宅での生活にも少し慣れてきたし、夫のことも気になるので、あらためて災害に備えておきたいのですが、何から始めればよいでしょうか」と訪問看護師に相談があった。
訪問看護師が妻に指導する内容で最も優先度が高いのはどれか。
- 予備の電源の選び方
- 福祉避難所への移動手段
- 災害用持ち出し物品の準備
- 足踏み式吸引器の使用方法
▶次の文を読み118〜120の問いに答えよ。
Aさん(55歳、男性、自営業)は、父親(78歳)と2人暮らし。Aさんは、2年前から食後に心窩部痛を感じていたが、医療機関を受診していなかった。午後3時、Aさんは胃部不快感を訴えた直後、突然コップ1杯程度の吐血があり倒れた。父親が救急車を呼び、救急病院に搬送された。到着時、意識はジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉Ⅰ-3。バイタルサインは、体温36.4℃、呼吸数20/分、脈拍124/分、整、血圧86/50mmHg。経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉95%。顔面は蒼白で、皮膚は湿潤している。四肢冷感を認める。眼瞼結膜は軽度貧血様であるが、黄染を認めない。腹部は平坦で腸蠕動音は微弱、心窩部に圧痛を認めるが、筋性防御はない。胃部不快感は受診前よりも改善している。担当した医師に父親が「息子は黒い便が出ると言っていた」と伝えた。
▶午後118
Aさんの状態で考えられるのはどれか。
- 出血性ショック
- イレウス
- 低血糖
- 脱水
▶午後119
Aさんは緊急入院となり、医師から「少なくとも2週間程度の入院が必要です」と説明を受けた。立ち会っていた看護師長にAさんは「最近、父の物忘れがひどくて、1人でどこかに行ってしまったこともあるので、家に帰せません。何とかなりませんか」と訴えた。父親は要介護認定を受けているが、現在は介護保険サービスを利用せず、Aさんが介護をしながら生活していた。
Aさんの父親に対する看護師長の対応で適切なのはどれか。
- 自院への入院を調整する。
- 地域包括支援センターに相談する。
- 精神保健福祉センターに相談する。
- 特別養護老人ホームに入所相談する。
▶午後120
Aさんは、医師から「検査の結果、スキルス胃癌でした。膵臓や広範囲な腹膜への転移があって手術ができない状態でした。おそらく余命半年だと思います」と告知され、1週後に退院となった。退院後3か月、Aさんは外来看護師に「ずいぶん腰痛と腹痛がひどく、腹水が溜まって動くのも大変になってきました。最期は人工呼吸器の装着など延命をしたくないのですが、それを意識がなくなったあとにも医師に伝える方法はありますか」と尋ねた。そこで、看護師はAさんにリビングウィルの説明をすることにした。
Aさんに対して看護師が行うリビングウィルの説明で正しいのはどれか。
- 「法律で定められた文書です」
- 「父親のグリーフケアに必要な書類です」
- 「Aさんの自由意思で作成することができます」
- 「一度作成すると内容を変更することはできません」
資料 厚生労働省「第105回保健師国家試験、第102回助産師国家試験、第108回看護師国家試験の問題および正答について」
注 当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。
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①国民衛生の動向対応/②看護の倫理・対象/③人体の構造と機能・健康障害・薬物/④看護技術
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