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看護師国家試験必修問題まとめ(4)【看護技術】 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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看護師国家試験必修問題まとめ(4)【看護技術】

看護師国家試験の必修問題の詳細については、看護師国家試験必修問題まとめ(1)【国民衛生の動向対応】をご確認下さい。

 

当ページでは、保健師助産師看護師国家試験出題基準の必修問題の大項目として示される「看護における基本技術」「日常生活援助技術」「患者の安全・安楽を守る看護技術」「診療に伴う看護技術」を中心に、第113回(2024年)から第102回(2013年)看護師国家試験までの必修問題の中からピックアップし、解説とともに掲載します。

 

必修問題まとめ(1)【国民衛生の動向対応】必修問題まとめ(2)【看護の倫理・対象】必修問題まとめ(3)【人体の構造と機能・健康障害・薬物】と合わせて、12年分のほぼすべての必修問題を網羅していますので、学習や確認にご活用下さい。

 

Eisei22 23 hyo    厚生の指標増刊

国民衛生の動向 2024/2025

 

発売日:2024.8.27

定価:2,970円(税込)

412頁・B5判

雑誌コード:03854-08

 

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▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向

 

必修問題目次

 

 

看護における基本技術

患者とのコミュニケーション

患者とのコミュニケーションにおいては、患者からの言語的・非言語的な情報を、否定的感情を含めて積極的に受け取ること(傾聴・観察)が重要である。

 

▶109回午後19

患者とのコミュニケーションで適切なのはどれか。

 

  1. 否定的感情の表出を受けとめる。
  2. 沈黙が生じた直後に会話を終える。
  3. 看護師が伝えたいことに重点をおく。
  4. 患者の表情よりも言語による表現を重視する。

 

 


 
▶104回午後18

患者とのコミュニケーションで適切なのはどれか。

 

  1. 専門用語を用いて説明する。
  2. 視線を合わせずに会話をする。
  3. 沈黙が生じたら会話を終える。
  4. 患者の非言語的な表現を活用する。

 

 

Open-ended question〈開かれた質問〉

Open-ended question〈開かれた質問〉は、質問者があらかじめ知っている情報を確認する質問や、暗に方向付けることを避け、相手自身の言葉で語ってもらう質問の進め方をいう。

 

▶111回午前16・107回午前18類問

Open-ended question〈開かれた質問〉はどれか。

 

  1. 「頭は痛みませんか」
  2. 「昨夜は眠れましたか」
  3. 「気分は悪くありませんか」
  4. 「自宅ではどのように過ごしていましたか」

 

 

看護過程

  • 看護過程は、①アセスメント(情報収集等)、②看護診断、③計画立案、④実施、⑤評価の5段階からなり、効率的に看護目標を達成するためのプロセスである。
  • 根拠に基づいた問題解決思考は、看護過程の展開を行う上で重要となる能力である。

 

▶108回午後17

看護師が行う看護過程で適切なのはどれか。

 

  1. 問題解決思考である。
  2. 医師の指示の下で計画を立てる。
  3. 看護師の価値に基づいてゴールを設定する。
  4. アセスメント、計画立案、評価の3段階で構成される。

 

 

フィジカルアセスメント

  • フィジカルアセスメントの一般的な順番として、「問診」「視診」「触診」「打診」「聴診」と、侵襲度(物理的接触)の低い方法から行う。
  • このうち触診では、皮下に存在するリンパ節の腫脹の有無を体表から確認することができる。

 

▶113回午後18

フィジカルアセスメントで問診の次に行うのはどれか。

 

  1. 視診
  2. 触診
  3. 打診
  4. 聴診

 

 


 
▶110回午後19

フィジカルアセスメントにおいて触診で有無を判断するのはどれか。

 

  1. 腱反射
  2. 瞳孔反射
  3. 腸蠕動運動
  4. リンパ節の腫脹

 

 

心音の聴取

  • 心音は胸壁の上から聴取する心臓の収縮・拡張音であり、低く長いⅠ音と高く短いⅡ音が聴取される。
  • 第5肋間左鎖骨中線上心尖部では、僧帽弁が発するⅠ音を聴取しやすい。

 

▶108回午前17

心音の聴取でⅠ音がⅡ音より大きく聴取されるのはどれか。
ただし、●は聴取部位を示す。

 

108am17

 

 

異常呼吸音

異常呼吸音(副雑音)は、断続性副雑音(細かい捻髪音と粗い水泡音)、連続性副雑音(低調性のいびき音と高調性の笛音)、胸膜摩擦音に分類される。

 

▶107回午前19

異常な呼吸音のうち高調性連続性副雑音はどれか。

 

  1. 笛のような音〈笛音〉
  2. いびきのような音〈類鼾音〉
  3. 耳元で髪をねじるような音〈捻髪音〉
  4. ストローで水に空気を吹き込むような音〈水泡音〉

 

 


 
▶113回午前18

異常な呼吸音のうち低調性連続性副雑音はどれか。

 

  1. 笛のような音〈笛音〉
  2. いびきのような音〈類鼾音〉
  3. 耳元で髪をねじるような音〈捻髪音〉
  4. ストローで水に空気を吹き込むような音〈水泡音〉

 

 

圧痛点

  • 圧痛点は、指などで圧迫した際に強い痛みを感じる部分をいい、疾患によって特定の圧痛点があり、診断に用いられる。
  • 右下腹部にあるマックバーネー点急性虫垂炎の圧痛点である。

 

▶112回午後25

腹部前面を図に示す。
112pm25
McBurney〈マックバーニー〉圧痛点はどれか。

 

 

 


 
▶102回午後22

McBurney〈マックバーネー〉点の圧痛を特徴とする疾患はどれか。

 

  1. 胃潰瘍
  2. 急性膵炎
  3. 尿管結石症
  4. 急性虫垂炎
  5. 子宮内膜症

 

 

脈拍の測定方法

橈骨動脈が通り、拍動が測りやすい部分(母指側)に、示指、中指、薬指の指先を添えて脈拍の回数を数える。

 

▶109回午前15

成人の橈骨動脈における脈拍の測定方法で正しいのはどれか。

 

109am15

 

 

脈拍数の基準値

脈拍数の基準値(目安)は、新生児期で120~140/分、乳児期で110~130/分、幼児期で90~110/分、学童期で80~100/分、成人期で60~100/分とされ、加齢とともに低くなる。

 

▶111回午前8・105回午後6類問

学童期の脈拍数の基準値はどれか。

 

  1. 50〜70/分
  2. 80〜100/分
  3. 110〜130/分
  4. 140〜160/分

 

 


 
▶104回午後19

成人の安静時における所見で異常なのはどれか。

 

  1. 体温36.2℃
  2. 呼吸数12/分
  3. 脈拍116/分
  4. 血圧128/84mmHg

 

 

徐脈性不整脈

成人の標準的な脈拍は1分間に約60~100回であるが、これが60回未満になる徐脈性不整脈では、めまいや失神、眼前暗黒感の症状が現れることがある。

 

▶105回午前14

徐脈性の不整脈で起こりやすいのはどれか。

 

  1. 失語
  2. 失行
  3. 失神
  4. 失明

 

 

血圧測定

血圧測定の際には腕にマンシェットを巻くが、以下のような点に留意する。

 

  • 血圧の変動を避けるために心臓と同じ高さに巻く。
  • 指が1、2本入る程度の強さで巻く。
  • マンシェットの幅は14cm程度とする。
  • マンシェットの下端は肘関節よりも2~3cm上方になるように巻く。

 

▶112回午後17

上腕動脈で行う聴診法による血圧測定で適切なのはどれか。

 

  1. 成人では9〜10cm幅のマンシェットを用いる。
  2. マンシェットの下端と肘窩が重なるように巻く。
  3. マンシェットの装着部位と心臓が同じ高さになるようにする。
  4. マンシェットと腕の間に指が3、4本入る程度の強さで巻く。

 

 

赤血球数の基準値

赤血球数の基準値は検査施設等により異なるが、男性450~550万/μL、女性350~500万/μL程度とされる。

 

▶111回午前15

成人女性の赤血球数の基準値はどれか。

 

  1. 150〜250万/μL
  2. 350〜450万/μL
  3. 550〜650万/μL
  4. 750〜850万/μL

 

 

意識レベルの評価スケール

意識レベルを評価するスケールとしては、グラスゴー・コーマ・スケール〈GCS〉ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉が用いられる。

 

▶109回午後16

意識レベルを評価するスケールはどれか。

 

  1. Borg〈ボルグ〉スケール
  2. フェイススケール
  3. ブリストルスケール
  4. グラスゴー・コーマ・スケール〈GCS〉

 

 

ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉

意識レベルを評価するジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉では、覚醒の程度に応じて、意識清明の0、刺激しなくても覚醒している状態であるⅠ桁(1・2・3)、刺激すると覚醒する状態であるⅡ桁(10・20・30)、刺激しても覚醒しない状態であるⅢ桁(100・200・300)に分類している。

 

▶108回午後12

ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉のⅢ(3桁)で表現される意識レベルはどれか。

 

  1. 意識清明の状態
  2. 刺激すると覚醒する状態
  3. 刺激しても覚醒しない状態
  4. 刺激しなくても覚醒している状態

 

 


 
▶106回午後18

ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉で「刺激しても覚醒せず痛み刺激に対して払いのけるような動作をする」と定義されるのはどれか。

 

  1. Ⅰ-3
  2. Ⅱ-20
  3. Ⅲ-100
  4. Ⅲ-300

 

 


 
▶103回午前11

普通の呼びかけで容易に開眼する場合、ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉による評価はどれか。

 

  1. Ⅰ-3
  2. Ⅱ-10
  3. Ⅱ-30
  4. Ⅲ-100

 

 

徒手筋力テスト

徒手筋力テスト(MMT)は、検査者が手を使って患者の筋力を判定する方法で、筋収縮が全くない0から、強い抵抗を加えても完全に可動域全体を動かせる5までの、6段階で評価される。

 

▶103回午前25

徒手筋力テストの判定基準は[ ]段階である。
[ ]に入るのはどれか。

 

  1. 2
  2. 3
  3. 4
  4. 5
  5. 6

 

 

膝蓋腱反射

膝蓋腱反射は、大腿四頭筋の腱を膝蓋の下で叩くと下肢が上がる伸展反射で、ビタミンB1(チアミン)欠乏による脚気の進行に伴い、その反射が低下する。

 

▶113回午前19

膝蓋腱反射の低下で疑われる病態はどれか。

 

  1. 脚気
  2. 壊血病
  3. くる病
  4. 夜盲症

 

 

 

日常生活援助技術

嚥下障害

  • 食物が口から胃に入るまでの嚥下過程に障害があることを嚥下障害という。
  • 嚥下障害の原因として、口腔や咽頭、食道などの器官に解剖学的な構造異常がある器質的変化と、構造異常はないが嚥下動作に異常が見られる機能的な原因がある。
  • 食道粘膜の細胞ががん化する食道癌では、器質的変化に伴う食道狭窄等により嚥下障害が出現する。

 

▶113回午後14

器質的変化で嚥下障害が出現する疾患はどれか。

 

  1. 食道癌
  2. 脳血管疾患
  3. 筋強直性ジストロフィー
  4. Guillain-Barré〈ギラン・バレー〉症候群

 

 

食事介助

嚥下障害のある患者の食事介助時には、食物が気管に入る誤嚥に細心の注意を払う必要があり、以下のような点に留意する。

 

  • 顎を上げる頸部後屈では咽頭と気管が直線的になり誤嚥が生じやすいため、頸部前屈の体位で行う。
  • 嚥下しやすいように適度な水分摂取は必要であるが、誤嚥しやすいためとろみをつける。

 

▶110回午後18・106回午前18類問

自力での摂取が困難な成人患者の食事介助で適切なのはどれか。

 

  1. 水分の少ない食べ物を準備する。
  2. 時間をかけずに次々と食物を口に入れる。
  3. 患者に食事内容が見える位置に食器を配置する。
  4. 患者の下顎が上がるよう高い位置からスプーンを操作する。

 

 


 
▶109回午前16・107回午後17類問

誤嚥しやすい患者の食事の援助で適切なのはどれか。

 

  1. 食材は細かく刻む。
  2. 水分の摂取を促す。
  3. 粘りの強い食品を選ぶ。
  4. 頸部を前屈した体位をとる。

 

 


 
▶102回午後15

嚥下障害のある患者の食事介助で適切なのはどれか。

 

  1. 水分はとろみをつける。
  2. 頸部を伸展する。
  3. 一口量を多くする。
  4. むせたときには水を飲ませる。

 

 

胃食道逆流

胃食道逆流は胃酸が食道へ逆流することをいい、加齢等による下部食道括約筋の弛緩によって生じる。食後に起こりやすく、食後は上半身を起こした坐位や半坐位(ファウラー位)をとることが望ましい。

 

▶108回午前18・112回午前18類問

成人において胃食道逆流を防ぐために食後30分から1時間程度とるとよい体位はどれか。

 

  1. 左側臥位
  2. 半側臥位
  3. 仰臥位
  4. 坐位

 

 

排泄の援助

  • 差し込み便器は床上で行う排泄の援助時に用いるもので、女性患者には高まっている幅の広い側を殿部にし、肛門が中央に位置するように差し込む。
  • 床上での排便時は、上半身を軽く挙上した半坐位(ファウラー位)であると、腹圧がかけやすく排便しやすい。

 

▶104回午前19

女性患者の床上排泄で洋式便器をあてる位置を図に示す。
適切なのはどれか。

 

104am19

 

 


 
▶113回午後20

床上で排便しやすい体位はどれか。

 

  1. 仰臥位
  2. 側臥位
  3. Sims〈シムス〉位
  4. Fowler〈ファウラー〉位

 

 

導尿

  • 導尿は、導尿カテーテルを尿道に挿入し、膀胱内の尿を排出させることである。
  • 男性の導尿では尿道が屈曲しているため、陰茎を腹膜に対し約90度引き上げて開始し、約18~20cmを挿入する。
  • 女性の導尿では約4~7cmを挿入する。

 

▶107回午後18・113回午後19類問

男性に導尿を行う際、カテーテル挿入を開始するときの腹壁に対する挿入角度で最も適切なのはどれか。

 

  1. 30〜40度
  2. 80〜90度
  3. 120〜130度
  4. 160〜170度

 

 


 
▶104回午後20

成人男性の間欠的導尿においてカテーテルを挿入する長さで適切なのはどれか。

 

  1. 6〜8cm
  2. 12〜14cm
  3. 18〜20cm
  4. 24〜26cm

 

 


 
▶102回午前16

成人女性に一時的な導尿を行う際に、カテーテルを挿入する長さはどれか。

 

  1. 1〜3cm
  2. 5〜7cm
  3. 9〜11cm
  4. 18〜20cm

 

 

グリセリン浣腸

  • グリセリン浣腸は腸管の蠕動を促し、排泄を促進させる目的で使用する。
  • 直腸穿孔のおそれがあるため立位による浣腸は危険であり、左側臥位による5~6cm程度のチューブ挿入を実施する。
  • 浣腸液の温度は直腸温(深部体温)よりもやや高い約40℃とする。

 

▶107回午前16

排便を促す目的のために浣腸液として使用されるのはどれか。

 

  1. バリウム
  2. ヒマシ油
  3. グリセリン
  4. エタノール

 

 


 
▶106回午後19・102回午後16類問

グリセリン浣腸を実施する際、腸管孔の危険性が最も高い体位はどれか。

 

  1. 立位
  2. 仰臥位
  3. 腹臥位
  4. 左側臥位

 

 


 
▶108回午後18

成人のグリセリン浣腸で肛門に挿入するチューブの深さはどれか。

 

  1. 2cm
  2. 5cm
  3. 12cm
  4. 15cm

 

 


 
▶103回午前16・112回午後18類問

注入時の浣腸液の温度で適切なのはどれか。

 

  1. 32~33℃
  2. 36~37℃
  3. 40~41℃
  4. 44~45℃

 

 

ファウラー位(半坐位)

ファウラー位(半坐位)は上半身を45度程度上げる体位で、肺の圧迫を軽減するため呼吸が楽になるほか、経鼻経管栄養法による栄養剤の逆流や、食事中・食後の胃食道逆流を防ぐ際にも適している。

 

▶102回午前24

体位の写真を別に示す。
102am24
Fowler〈ファウラー〉位はどれか。

 

 

 

シムス位

Sims〈シムス〉位は、特に妊娠中の安楽体位として用いられる。

 

▶106回午後20

体位を図に示す。
Sims〈シムス〉位はどれか。

 

106pm20

 

 

患者の水平移動時の移送

  • ストレッチャー等で水平の移動をする際には、患者の足側の方向に進む。
  • 先行する看護者は進行方向の安全や進路を確認するため前を向き、後行する看護者は患者の状態を観察しながら移送する。

 

▶103回午前17

水平移動時の移送方法の写真を別に示す。
103am17
適切なのはどれか。

 

 

 

片麻痺

片麻痺とは、脳梗塞などにより左右どちらかの半身に麻痺の症状がみられるものをいう。

 

▶110回午後14

四肢のうち麻痺している部位を斜線で図に示す。
片麻痺はどれか。

 

110pm14

 

 

脱健着患

片麻痺等のある者や片腕の持続点滴患者の衣類の着脱(介助)時には脱健着患が原則で、脱ぐときは健側から、着るときは患側から行う。

 

▶111回午後20・103回午後18類問

左片麻痺患者の上衣の交換で適切なのはどれか。

 

  1. 左腕から脱がせ、左腕から着せる。
  2. 左腕から脱がせ、右腕から着せる。
  3. 右腕から脱がせ、左腕から着せる。
  4. 右腕から脱がせ、右腕から着せる。

 

 


 
▶108回午後19

右前腕に持続点滴をしている患者の寝衣交換で適切なのはどれか。

 

  1. 左袖から脱ぎ、右袖から着る。
  2. 左袖から脱ぎ、左袖から着る。
  3. 右袖から脱ぎ、左袖から着る。
  4. 右袖から脱ぎ、右袖から着る。

 

 

片麻痺のある患者の車椅子への移乗介助

左片麻痺のある患者の車椅子への移乗時は、麻痺のない右側に車椅子を約15~30度の角度で近づけ、車椅子の外側の肘掛け部分に右手を置いて立ち上がり、右足を軸に体を回転して腰を下ろす(右片麻痺患者では左右反対)。

 

▶107回午前20

患者をベッドから車椅子へ移乗介助するときの車椅子の配置を図に示す。
左片麻痺のある患者の介助で最も適切なのはどれか。

 

107am20

 

 

ボディメカニクス

体重等を支える床面積を支持基底面といい、両足を広げて支持基底面を広げるほど、膝を曲げて支持基底面に重心を近づけるほど動作は安定する。

 

▶108回午前19

動作を安定させるために行うのはどれか。

 

  1. 重心位置を低くする。
  2. 足を閉じた姿勢にする。
  3. 底が滑らかな素材の靴を履く。
  4. 重心線を支持基底面の中心より遠くする。

 

 


 
▶104回午前20

シーツ交換時にシーツを引っ張る動作でボディメカニクスを応用した姿勢はどれか。

 

  1. 両足を前後に開き、両膝を伸ばす。
  2. 両足を前後に開き、両膝を曲げる。
  3. 両足をそろえ、両膝を伸ばす。
  4. 両足をそろえ、両膝を曲げる。

 

 

入浴の効果

入浴による温熱作用により、手足の末梢血管が拡張することで、血行が促進(循環血液量の増加)される。また、筋肉の緊張が緩むことで、リラックス効果、疼痛の緩和、睡眠促進される。

 

▶109回午後20

入浴の温熱作用はどれか。

 

  1. 筋緊張が増す。
  2. 末梢血管が拡張する。
  3. 慢性疼痛が増強する。
  4. 循環血液量が減少する。

 

 

入浴の援助

  • 入浴の援助として、入浴前には温度の急激な変化による血圧の大幅な変動を避けるために浴室と脱衣所の温度差を小さくし、脱水を避けるために十分な水分を摂取する。
  • 入浴時には徐々に湯温に慣れるため、始めにシャワーで全身を洗ってから、38~40℃程度の湯に5分程度浸かる。

 

▶112回午後20

入浴の援助で正しいのはどれか。

 

  1. 入浴前後は水分制限をする。
  2. 入浴時の湯温は45℃とする。
  3. 脱衣室と浴室の温度差を小さくする。
  4. 浴室に入り、始めに浴槽に浸かるように促す。

 

 

全身清拭

  • 全身清拭時に皮膚に触れるタオルの温度は40℃程度が適している。
  • 一方、洗面器に準備する湯の温度は、準備時間やタオルで湯を絞る際に温度が下がるため50〜55℃とされる。

 

▶112回午前19

全身清拭時に皮膚に触れるタオルの温度で適切なのはどれか。

 

  1. 20〜22℃
  2. 30〜32℃
  3. 40〜42℃
  4. 50〜52℃

 

 


 
▶105回午後19

全身清拭時、洗面器に準備する湯の温度で適切なのはどれか。

 

  1. 20〜25℃
  2. 30〜35℃
  3. 40〜45℃
  4. 50〜55℃

 

 

口腔ケア

  • 口腔ケアは、歯肉出血がある場合でも、含嗽ができない場合でも、経口摂取をしていない場合でも実施する(できる)。
  • 義歯の下の歯茎や粘膜の衛生を保つため、口腔ケア時や就寝時には義歯を外すことが望ましい。

 

▶105回午前19

口腔ケアで適切なのはどれか。

 

  1. 歯肉出血がある場合は実施しない。
  2. 含嗽ができない患者には禁忌である。
  3. 経口摂取の有無に関係なく実施する。
  4. 総義歯の場合は義歯を入れた状態で実施する。

 

 


 
▶111回午前19

高齢者の義歯の取り扱い方法で正しいのはどれか。

 

  1. 就寝時に外す。
  2. 熱湯で洗浄する。
  3. 保管時は乾燥させる。
  4. 総義歯は奥歯を起点に外す。

 

 

洗髪の介助

洗髪の介助では、40℃前後のお湯で、頭をあまり揺らさず、地肌を傷つけないように指の腹で揉むように洗う。

 

▶110回午後20・105回午後18類問

患者の洗髪の介助方法で適切なのはどれか。

 

  1. 30℃の湯をかける。
  2. 脱脂綿で耳栓をする。
  3. 指の腹を使って洗う。
  4. 強い振動を加えて洗う。

 

 

足浴

  • 足浴は全身浴と比べて心臓への負担が少なく、血行や睡眠の促進効果が認められる。
  • 湯の適温は体温より少し高い38〜40℃程度とされる。

 

▶106回午前19

足浴の効果で最も期待されるのはどれか。

 

  1. 食欲増進
  2. 睡眠の促進
  3. 筋緊張の亢進
  4. 皮膚温の低下

 

 


 
▶110回午前20

足浴に使用する湯の温度で最も適切なのはどれか。

 

  1. 26〜28℃
  2. 32〜34℃
  3. 38〜40℃
  4. 44〜46℃

 

 

陰部洗浄

陰部洗浄に用いる湯は、湯の適温は体温より少し高い38〜40℃程度とされる。

 

▶109回午前17

陰部洗浄に使用する湯の温度で最も適切なのはどれか。

 

  1. 30〜31℃
  2. 34〜35℃
  3. 38〜39℃
  4. 42〜43℃

 

 

爪の切り方

爪の割れや剥がれを防止し、接触する人や物を傷つけることのないように、爪の長さは指の先端と同じにし、角に丸みを出す。

 

▶102回午前17

爪の切り方の模式図を示す。
爪のケアとして適切な切り方はどれか。

 

102am17

 

 

 

患者の安全・安楽を守る看護技術

身体拘束

  • 医療施設等で身体の自由を奪う身体拘束は、生命または身体を保護するために緊急やむを得ない場合を除き行ってはならない。
  • 自分で降りられないようにベッドを柵(サイドレール)で囲むことは身体拘束の禁止対象となる行為とされる。

 

▶113回午後4

平成13年(2001年)の「身体拘束ゼロの手引き」において身体拘束の禁止対象となる行為はどれか。

 

  1. L字バーを設置する。
  2. 離床センサーを設置する。
  3. 点滴ルートを服の下に通して視野に入らないようにする。
  4. ベッドを柵(サイドレール)で囲んで降りられないようにする。

 

 

転倒・転落の防止

重大な転倒・転落事故を避けるために、その危険性が高い患者については以下のような点に留意する。

 

  • ベッドを端座位時に膝関節が90度で足底全体が床につく高さとする。
  • 転倒・転落防止のため、離床を検知・通知する離床センターを使用する。
  • 床との摩擦が低下するスリッパを使用しない。

 

▶108回午後20

転倒・転落の危険性が高い成人の入院患者に看護師が行う対応で正しいのはどれか。

 

  1. 夜間はおむつを使用する。
  2. 履物はスリッパを使用する。
  3. 離床センサーの使用は控える。
  4. 端坐位時に足底が床につくベッドの高さにする。

 

 

転倒・転落リスクを高める薬

降圧薬による血圧の低下により、起立性低血圧などめまいやふらつき、意識障害が起こり、転倒・転落を起こすリスクが高まる。

 

▶111回午後21・103回午後19類問

転倒・転落を起こすリスクを高める薬はどれか。

 

  1. 降圧薬
  2. 抗凝固薬
  3. 気管支拡張薬
  4. 副腎皮質ステロイド薬

 

 

転倒による骨折部位

  • 大腿骨頸部は、大腿骨の骨頭を支える部分であり、骨盤と関節を作っている。
  • 加齢や運動低下に伴う骨密度の減少した高齢者の転倒により、骨折が多くみられる(大腿骨頸部骨折)部位である。

 

▶111回午前11

右大腿骨前面を図に示す。
111am11
大腿骨頸部はどれか。

 

 

 


 
▶103回午前23

高齢者の転倒による骨折が最も多い部位はどれか。

 

  1. 頭蓋骨
  2. 肩甲骨
  3. 肋骨
  4. 尾骨
  5. 大腿骨

 

 

与薬時の誤認防止

患者の誤認を防止するため、名前(フルネーム)の聞き取りや、入院時から付ける患者識別バンド(ネームバンド)により、本人の確認・照合を行う。

 

▶106回午後7

入院患者の与薬時に誤認を防止するために確認するのは患者の名前とどれか。

 

  1. 診察券
  2. お薬手帳
  3. 健康保険証
  4. ネームバンド

 

 

滅菌物の取扱い

手術や検査等の医療行為時には、滅菌された器具の無菌状態を保ちながら操作する必要がある(無菌操作)。

 

  • 外装である滅菌パックは、開封面を上向きに、ハサミを用いずに外側にめくるように手で開く。
  • 器具を個包装した滅菌包みは、清潔な内側には触れず、外側の端を手でつまんで開く。
  • 鑷子(ピンセット)を滅菌包みから取り出す際は先端を下向きに、外部環境に触れないように閉じた状態で取り出す。

 

▶109回午前18

滅菌物の取り扱いで正しいのはどれか。

 

  1. 鉗子の先端は水平より高く保つ。
  2. 鑷子の先端を閉じた状態で取り出す。
  3. 滅菌パックはハサミを用いて開封する。
  4. 滅菌包みは布の内側の端を手でつまんで開く。

 

 

オートクレーブ(高圧蒸気滅菌)

オートクレーブを用いた滅菌を高圧蒸気滅菌といい、乾熱滅菌等に比べて低温・短時間での滅菌ができる。

 

▶106回午前21・112回午前21類問

オートクレーブによる滅菌法はどれか。

 

  1. 乾熱滅菌
  2. プラズマ滅菌
  3. 高圧蒸気滅菌
  4. 酸化エチレンガス滅菌

 

 

 

診療に伴う看護技術

経腸栄養法

  • 経腸栄養法は、口からの食事が十分でない者に対して消化管機能を活用するもので、投与のルートやチューブの留置箇所により経鼻経管栄養法や胃瘻などがある。
  • 不適切な経腸栄養剤の浸透圧、投与量・速度、または栄養剤の細菌感染等により、下痢症状が生じることがある。

 

▶107回午前21

経腸栄養剤の副作用〈有害事象〉はどれか。

 

  1. 咳嗽
  2. 脱毛
  3. 下痢
  4. 血尿

 

 

経鼻経管栄養法

  • 経鼻胃管による栄養注入などを実施する際、先端が胃内にない場合、誤嚥等の事故につながるおそれがあるため、注入前に胃内容物を吸引し、胃液等を確認することで、胃内に胃管の先端が留置されていることを確認する必要がある。
  • 注入時に栄養剤の逆流を防ぐため、上半身を45度程度上げる半坐位(ファウラー位)が適している。

 

▶110回午前22

経鼻胃管の先端が胃内に留置されていることを確認する方法で正しいのはどれか。

 

  1. 腹部を打診する。
  2. 肺音の聴取を行う。
  3. 胃管に水を注入する。
  4. 胃管からの吸引物が胃内容物であることを確認する。

 

 


 
▶109回午前20・105回午後21類問

経鼻経管栄養法を受ける成人患者の体位で適切なのはどれか。

 

  1. 砕石位
  2. 半坐位
  3. 腹臥位
  4. Sims〈シムス〉位

 

 

鼻孔から噴門の長さ

鼻孔から噴門(胃の入り口)は、個人差もあるが45〜55cmとされる。経鼻経管栄養法では、チューブの先端を留置する長さを決める際に目安となる。

 

▶104回午後22

成人の鼻孔から噴門までの長さで適切なのはどれか。

 

  1. 5〜15cm
  2. 25〜35cm
  3. 45〜55cm
  4. 65〜75cm

 

 

坐薬

坐薬は肛門に挿入して使用する薬剤で、徐々に溶け出して有効成分が直腸から直接吸収されるため、排出されないように挿入後しばらく肛門を押さえる必要がある。

 

▶113回午前22

成人への坐薬の挿入方法で正しいのはどれか。

 

  1. 息を止めるよう説明する。
  2. 右側臥位になるよう説明する。
  3. 挿入後1、2分肛門を押さえる。
  4. 肛門から2cmの位置に挿入する。

 

 

点滴静脈内注射

持続点滴静脈内注射は、主に肘や手首から離れた前腕内側の末梢静脈が選択される。

 

▶110回午後23

成人の持続点滴静脈内注射のために選択される部位で最も適切なのはどれか。

 

  1. 足背
  2. 鼠径
  3. 前腕内側
  4. 肘関節付近

 

 

点滴静脈内注射時の血管外漏出

点滴静脈内注射の際に、刺入部位の腫脹や疼痛、発赤などが生じた場合、血管外漏出の初期症状である。周辺組織の炎症や壊死につながり、重症化するおそれもあるため、直ちに注入を中止する必要がある。

 

▶103回午後21

点滴静脈内注射の血管外漏出で注意すべき初期症状はどれか。

 

  1. 疼痛
  2. 水疱
  3. 潰瘍
  4. 皮膚壊死

 

 


 
▶106回午前22

点滴静脈内注射中の刺入部位の腫脹を確認したときに、最初に実施するのはどれか。

 

  1. 体位を変える。
  2. 注入を中止する。
  3. 刺入部位を挙上する。
  4. 周囲のマッサージを行う。

 

 

輸液ポンプ

点滴静脈内注射で使用する輸液ポンプは、輸液の流量と予定量を設定し、一定の速度・正確な量で投与するための医療機器である。

 

▶110回午前23

輸液ポンプを使用する目的はどれか。

 

  1. 感染の防止
  2. 薬液の温度管理
  3. 薬物の効果判定
  4. 薬液の注入速度の調整

 

 


 
▶111回午後23・104回午後23類問

点滴静脈内注射で輸液ポンプを使用する際に設定する項目はどれか。

 

  1. 薬剤名
  2. 終了時間
  3. 投与月日
  4. 1時間あたりの流量

 

 

成人用輸液セット1mL当たり滴下数

成人用輸液セット1mL当たりの滴下数は20滴である。

 

▶105回午後22

成人用輸液セット1mL当たりの滴下数はどれか。

 

  1. 20滴
  2. 40滴
  3. 60滴
  4. 80滴

 

 

1分間の輸液セット滴下数の計算

1分あたりの輸液セット滴下数は、(総輸液量×1mLあたりの滴下数)÷時間(分)で計算する。

 

▶102回午後18

点滴静脈内注射1,800ml/日を行う。
一般用輸液セット(20滴≒1ml)を使用した場合、1分間の滴下数はどれか。

 

  1. 19滴
  2. 25滴
  3. 50滴
  4. 75滴

 

 

血中濃度の上昇が最も速い与薬方法

静脈内注射は、直接薬剤を血管内に投与し、全身に循環されるため、薬剤の吸収速度、血中濃度の上昇は最も速い。

 

▶105回午前22・112回午前22類問

薬剤の血中濃度の上昇が最も速い与薬方法はどれか。

 

  1. 坐薬
  2. 経口薬
  3. 筋肉内注射
  4. 静脈内注射

 

 

等張液

5%ブドウ糖液生理食塩液(0.9%塩化ナトリウム)は、血漿と浸透圧がほぼ等しい等張液である。

 

▶106回午後17

血漿と等張のブドウ糖溶液の濃度はどれか。

 

  1. 5%
  2. 10%
  3. 20%
  4. 50%

 

 


 
▶104回午前21

生理食塩水の塩化ナトリウム濃度はどれか。

 

  1. 0.9%
  2. 5%
  3. 9%
  4. 15%

 

 

高張液の希釈

15%塩化カリウム(高張液)の原液投与は、高カリウム血症による不整脈や心停止を起こす危険があり、必ず5%ブドウ糖液や0.9%塩化ナトリウム(生理食塩水)などの等張液で希釈して用いる。

 

▶107回午前22

静脈内注射を行う際に、必ず希釈して用いる注射液はどれか。

 

  1. 5%ブドウ糖
  2. 15%塩化カリウム
  3. 0.9%塩化ナトリウム
  4. 7%炭酸水素ナトリウム

 

 

中心静脈からの投与

高カロリー輸液は、浸透圧が高い高張液のため、末梢静脈からの投与では静脈炎等を引き起こすおそれがあり、中心静脈から投与される(中心静脈栄養法)。

 

▶108回午後21

中心静脈から投与しなければならないのはどれか。

 

  1. 脂肪乳剤
  2. 生理食塩液
  3. 5%ブドウ糖液
  4. 高カロリー輸液

 

 

気胸

気胸は、外傷等により胸膜が損傷し、胸腔内に空気が漏れ出て肺が縮むことをいう。中心静脈カテーテルを用いて高カロリー輸液などを投与する際、中心静脈のそばにある肺を誤って穿刺することでも、気胸が生じるおそれがある。

 

▶103回午後20

鎖骨下静脈へ中心静脈カテーテルを挿入する際に起こりやすい合併症はどれか。

 

  1. 肺炎
  2. 気胸
  3. 嗄声
  4. 無気肺

 

 

採血検査の注射部位

成人の採血においては前腕の静脈が多く用いられ、橈側皮静脈、肘正中皮静脈、尺側皮静脈などが選択される。

 

▶108回午前22・103回午前20類問・113回午後22類問

成人の採血検査で最も用いられるのはどれか。

 

  1. 外頸静脈
  2. 大腿静脈
  3. 大伏在静脈
  4. 肘正中皮静脈

 

 

静脈血採血の手順

静脈血採血を行う際は、駆血帯を採血部位の5~10cm上部(中枢側)に巻き、21~23Gの太さの注射針で、血管の走行に合わせ10~30度の角度で刺入する。採血後はアルコール消毒綿を軽く当ててまっすぐ抜針し、刺入部位を5分程度圧迫止血する。

 

▶109回午後25

成人の静脈血採血で通常用いられる注射針の太さはどれか。

 

  1. 14G
  2. 18G
  3. 22G
  4. 26G

 

 


 
▶104回午前23・112回午後23類問

静脈血採血の穿刺時の皮膚に対する針の適切な刺入角度はどれか。

 

  1. 10〜30度
  2. 35〜40度
  3. 55〜60度
  4. 75〜80度

 

 


 
▶102回午前25

肘正中皮静脈からの採血における駆血部位の写真を別に示す。
102am25
正しいのはどれか。
ただし、×は刺入部である。

 

 

 


 
▶111回午前21

成人の静脈血採血で適切なのはどれか。

 

  1. 採血部位から2、3cm中枢側に駆血帯を巻く。
  2. 血管の走行に合わせ60度の角度で刺入する。
  3. 採血後は刺入部位を圧迫しながら抜針する。
  4. 刺入部位は5分以上圧迫し、止血する。

 

 

筋肉内注射の角度

筋肉内注射は、皮下組織の奥にある筋肉内に直接注射するため、確実に届くように45~90度の角度で刺入する。

 

▶111回午後22・105回午前21類問

注射針の刺入角度が45〜90度の注射法はどれか。

 

  1. 皮下注射
  2. 皮内注射
  3. 筋肉内注射
  4. 静脈内注射

 

 

皮下注射の手順

皮下注射では、23~25Gの注射針を使用し、皮下脂肪が5mm以上の部位の皮膚をつまみ上げ10~30度の角度で刺入する。

 

▶109回午前23

皮下注射で適切なのはどれか。

 

  1. 注射部位を伸展する。
  2. 注射針は18〜20Gを使用する。
  3. 針の刺入角度は45〜90度にする。
  4. 皮下脂肪が5mm以上の部位を選択する。

 

 

酸素ボンベ等の取り扱い

酸素は燃焼を助ける性質が強いガスであり、酸素ボンベ等の使用時、保管時は火気厳禁である。

 

▶107回午前23

充塡された酸素ボンベの保管方法で正しいのはどれか。

 

  1. 横に倒して保管する。
  2. 保管場所は火気厳禁とする。
  3. バルブを開放して保管する。
  4. 日当たりの良い場所で保管する。

 

 


 
▶103回午前21

酸素吸入中に使用を禁止するのはどれか。

 

  1. 携帯電話
  2. ライター
  3. 電動歯ブラシ
  4. 磁気ネックレス

 

 


 
▶104回午後24

医療用酸素ボンベと酸素流量計とを図に示す。
104pm24
酸素の流量を調節するのはどれか。

 

 

 

ベンチュリーマスク

ベンチュリーマスクは酸素療法で用いる酸素投与器具で、色別されたダイリューターで24~50%の酸素濃度を調節し、酸素流量を設定することで、患者の1回換気量に左右されず安定した投与ができる。

 

▶105回午前24

ベンチュリーマスクの写真を別に示す。
105am24
酸素流量の設定と併せて吸入酸素濃度を調節するのはどれか。

 

 

 

鼻腔内吸引

  • 鼻腔内吸引は、吸引カテーテルを用いて鼻腔内の喀痰を体外に吸い出すものである。
  • カテーテルは、鼻孔粘膜を傷つけないように陰圧(吸引圧)をかけずに深部まで挿入し、陰圧をかけて回転させながら引き抜きつつ吸引する。
  • 1回の吸引時間は10~15秒を目安し、できるだけ短時間とする(低酸素血症の防止)。

 

▶105回午後24

鼻腔内の吸引で正しいのはどれか。

 

  1. 無菌操作で行う。
  2. 吸引圧をかけた状態で吸引チューブを挿入する。
  3. 鼻翼から一定の距離で固定して吸引する。
  4. 吸引チューブを回転させながら吸引する。

 

 


 
▶110回午前24

1回の鼻腔内吸引時間の目安で適切なのはどれか。

 

  1. 10〜15秒
  2. 20〜25秒
  3. 30〜35秒
  4. 40〜45秒

 

 

気管内吸引

  • 気管内吸引では、挿入開始から終了までの時間は15秒以内にすることが推奨され、30秒以上実施した場合、動脈血酸素飽和度〈SaO2〉が低下し、低酸素血症をきたすことがある。
  • 気管の粘膜を傷つけないために吸引圧は-100〜-150mmHgに調整する。

 

▶111回午前22

1回の気管内吸引を30秒以上実施した場合に生じるのはどれか。

 

  1. 嘔吐
  2. 感染
  3. 低酸素血症
  4. 気道粘膜の損傷

 

 


 
▶103回午後23

気管内吸引の時間が長いと低下しやすいのはどれか。

 

  1. 血圧
  2. 体温
  3. 血糖
  4. 動脈血酸素飽和度〈SaO2

 

 


 
▶106回午前23

成人患者の気管内の一時的吸引における吸引圧で正しいのはどれか。

 

  1. -100〜-150mmHg
  2. -200〜-250mmHg
  3. -300〜-350mmHg
  4. -400〜-450mmHg

 

 

無菌操作

  • 無菌操作は、外科処置による感染リスクを抑えるため、滅菌された防護具、滅菌器具を用いて、無菌状態を保持しながら取り扱うことをいう。
  • 原則無菌状態である下気道に挿管する気管内吸引や、尿路感染のリスクが高い尿道カテーテル挿入時には無菌操作を行う。

 

▶102回午前19・113回午前21類問

無菌操作を必要とするのはどれか。

 

  1. 鼻腔吸引
  2. 気管内吸引
  3. 口腔内吸引
  4. 胃内容物の吸引

 

 


 
▶112回午前22

看護師が行う処置で滅菌手袋を使用すべきなのはどれか。

 

  1. 筋肉内注射
  2. 口腔内吸引
  3. ストーマパウチの交換
  4. 尿道カテーテルの挿入

 

 

体位ドレナージ

体位ドレナージは、痰が貯留した肺の部位を上にした体位をとり、重力により気道分泌物の排出(排痰)を促すことをいう。

 

▶104回午前24

体位ドレナージの直接の目的はどれか。

 

  1. 痛みの軽減
  2. 睡眠の導入
  3. 排痰の促進
  4. 廃用症候群の予防

 

 

一次救命処置(BLS)の手順

  • 傷病者の反応がない場合、応援を呼ぶ・通報する・自動体外式除細動器〈AED〉を要請する。
  • 呼吸がない場合または死戦期呼吸の場合、胸骨圧迫30回(約5cmの強さ、100~120回/分の速さ)と人工呼吸2回の組み合わせによる処置を行う。
  • 正常な呼吸がある場合は、回復体位(横向きに寝た姿勢)にして気道を確保する。

 

▶111回午前24

成人に対する一次救命処置(BLS)において、胸骨圧迫と人工呼吸の回数比は( ):2である。
( )に入るのはどれか。

 

  1. 5
  2. 10
  3. 30
  4. 50

 

 


 
▶110回午前25・106回午後24類問

成人の心肺蘇生時の胸骨圧迫の深さの目安はどれか。

 

  1. 2cm
  2. 5cm
  3. 8cm
  4. 11cm

 

 


 
▶112回午後24

成人の一次救命処置〈BLS〉における胸骨圧迫の速さ(回数)で正しいのはどれか。

 

  1. 40~60回/分
  2. 70~90回/分
  3. 100~120回/分
  4. 130~150回/分

 

 


 
▶107回午後23

呼びかけに反応はないが正常な呼吸がみられる傷病者に対して、まず行うべき対応はどれか。

 

  1. 下肢を挙上する。
  2. 胸骨圧迫を行う。
  3. 回復体位をとる。
  4. 自動体外式除細動器〈AED〉を装着する。

 

 

自動体外式除細動器〈AED〉

  • 自動体外式除細動器〈AED〉は、緊急性の高い致死性不整脈である心室細動を電気ショックによって取り除く(除細動)装置であり、医師以外の一般人にも使用が認められている。
  • 電極パッドは心臓を挟む形で右前胸部と左側胸部の位置に貼り付けて使用する。
  • 心電図の解析中に体に触れると正確な解析が行えないため、胸骨圧迫をやめて傷病者から離れる必要がある。

 

▶108回午後13・104回午前12類問

最も緊急性の高い不整脈はどれか。

 

  1. 心房細動
  2. 心室細動
  3. 心房性期外収縮
  4. Ⅰ度房室ブロック

 

 


 
▶110回午後24・102回午後20類問

自動体外式除細動器〈AED〉の電極パッドの貼付位置を図に示す。
適切なのはどれか。

 

110am24

 

 


 
▶113回午後23

自動体外式除細動器〈AED〉を使用するときに、胸骨圧迫を中断するのはどれか。

 

  1. 電源を入れるとき
  2. 電極パッドを貼るとき
  3. 心電図の解析中
  4. 電気ショックの直後

 

 

直流除細動器〈DC〉

直流除細動器は、電気ショックにより不整脈を治療する装置で、AEDとは異なり医療機関内で医師等が用いる。

 

▶104回午後25・113回午前24類問

直流除細動器の使用目的はどれか。

 

  1. 呼吸の促進
  2. 血圧の降下
  3. 不整脈の治療
  4. 意識レベルの評価

 

 


 
▶109回午前19

直流除細動器の使用目的はどれか。

 

  1. 血圧の上昇
  2. 呼吸の促進
  3. 洞調律の回復
  4. 意識レベルの回復

 

 

トリアージタグ

トリアージ(災害時等の治療優先度の決定)の際にはトリアージタグ(識別票)を利用し、傷病者の緊急度に応じて、優先順に(Ⅰ:最優先治療群・重症群)、(Ⅱ:待機的治療群・中等症群)、(Ⅲ:保留群・軽症群)、(0:不処置群・死亡群)と分類する。

 

▶108回午後22・102回午後21類問

赤色のトリアージタグが意味するのはどれか。

 

  1. 死亡群
  2. 保留群
  3. 最優先治療群
  4. 待機的治療群

 

 


 
▶106回午後25

災害時に最も優先して治療を行うのはどれか。

 

  1. 脱臼
  2. 気道熱傷
  3. 足関節捻挫
  4. 過換気症候群

 

 

けいれん発作・意識障害がある患者への救命救急処置

全身性けいれん発作の多くは意識障害を伴い、強い筋収縮のため十分な呼吸ができない場合があり、嘔吐物や唾液等による窒息を防ぐ観点からも、回復体位にするなど気道の確保が優先される。

 

▶111回午後17

全身性けいれん発作を起こしている患者に最も優先して行うのはどれか。

 

  1. 気道確保
  2. 周囲の環境整備
  3. 末梢静脈路の確保
  4. 心電図モニターの装着

 

 


 
▶104回午後12

意識障害がある患者への救命救急処置で最も優先されるのはどれか。

 

  1. 保温
  2. 輸液
  3. 酸素吸入
  4. 気道確保

 

 

腹部圧迫法〈ハイムリック法〉

腹部圧迫法〈ハイムリック法〉は、異物が喉に詰まって、反応はあるが窒息が認められる傷病者に対し、上腹部を斜め上方に突き上げて気道異物を除去する方法である。

 

▶112回午後21

成人の気道の異物除去を目的とするのはどれか。

 

  1. 胸骨圧迫
  2. 人工呼吸
  3. 頭部後屈顎先挙上法
  4. 腹部圧迫法〈Heimlich〈ハイムリック〉法〉

 

 

圧迫止血法

失血を防ぐための圧迫止血法には、ガーゼなどで出血部位を強く押さえる直接圧迫止血法と、出血部位に近い中枢側(心臓側)の動脈を手や指で圧迫する(用手)間接圧迫止血法がある。

 

▶111回午前23

上腕出血時の間接圧迫止血の部位はどれか。

 

  1. 腋窩動脈
  2. 尺骨動脈
  3. 大腿動脈
  4. 橈骨動脈

 

 

包帯法の原則

  • 包帯法では、使用部位や創部の程度、用途に応じて、伸縮包帯や弾性包帯などを使い分ける。
  • 包帯を巻く際は、静脈の環流を妨げないよう末梢から中枢に向かって、強い圧迫を加えずに巻く。

 

▶106回午前24

包帯法の原則として適切なのはどれか。

 

  1. 患部を強く圧迫する。
  2. 屈伸可能な関節は固定する。
  3. 中枢から末梢に向けて巻く。
  4. 使用部位によって包帯を使い分ける。

 

 

環行帯

環行帯は、包帯法の巻き始めと巻き終わりに用いる巻き方で、同じ箇所に重ねて巻くものをいう。

 

▶109回午前22

包帯の巻き方を別に示す。
109回午前22
環行帯の巻き方で正しいのはどれか。

 

  1. A
  2. B
  3. C
  4. D

 

 

創傷の治癒

感染を伴わない創傷の治療において、現在は湿潤療法が基本で、消毒液ではなく水で洗浄し、乾燥しないようにガーゼではなく創傷被覆材(ドレッシング材)で保護する。

 

▶108回午前23・103回午前22類問

感染を伴わない創傷の治癒を促進させる方法で適切なのはどれか。

 

  1. 乾燥
  2. 消毒
  3. 洗浄
  4. ガーゼ保護

 

 

褥瘡発生の予測スケール

Braden〈ブレーデン〉スケールは褥瘡発生の予測(リスクアセスメント)に用いるもので、①知覚の認知、②湿潤、③活動性、④可動性、⑤栄養状態、⑥摩擦とずれの6項目で評価される。

 

▶107回午前24

褥瘡発生の予測に用いるのはどれか。

 

  1. ブリストルスケール
  2. Borg〈ボルグ〉スケール
  3. Braden〈ブレーデン〉スケール
  4. グラスゴー・コーマ・スケール

 

 

褥瘡のステージ分類

褥瘡の重症度は深達度によって分類され、ステージⅠは消退しない発赤、ステージⅡは部分欠損(水疱形成の場合がある)、ステージⅢは全層皮膚欠損、ステージⅣは全層組織欠損とされる。

 

▶111回午後24

褥瘡の深達度分類で水疱形成のステージはどれか。

 

 

 

褥瘡の好発部位

  • 仰臥位では、圧力が集中する後頭部、肩甲骨部、肘部、仙骨部踵骨部は褥瘡の好発部位である。
  • 側臥位では、圧力が集中する耳介部、腸骨稜部、大転子部、外果部は褥瘡の好発部位である。

 

▶109回午後24

仰臥位における褥瘡の好発部位はどれか。

 

  1. 踵骨部
  2. 内顆部
  3. 膝関節部
  4. 大転子部

 

 


 
▶102回午前20

仰臥位での褥瘡好発部位はどれか。

 

  1. 仙骨部
  2. 内顆部
  3. 腸骨稜部
  4. 大転子部

 

 


 
▶113回午後24

側臥位における褥瘡の好発部位はどれか。

 

  1. 後頭部
  2. 耳介部
  3. 仙骨部
  4. 肩甲骨部

 

 

温罨法

温罨法は、湯たんぽなどにより身体の一部に温熱刺激を与える方法である。効果としては、血管の拡張、血流の増加、新陳代謝の促進、平滑筋の弛緩、感覚・痛覚神経の興奮の鎮静(疼痛緩和)などが認められる。

 

▶108回午後23・102回午後19類問

温罨法の作用で正しいのはどれか。

 

  1. 平滑筋が緊張する。
  2. 局所の血管が収縮する。
  3. 還流血流量が減少する。
  4. 痛覚神経の興奮を鎮静する。

 

 

ゴム製湯たんぽ

温罨法で用いられるゴム製湯たんぽは、60℃程度のお湯を約3分の2程度入れて、空気を抜いて使用する。

 

▶105回午後23

ゴム製湯たんぽに入れる湯の温度で適切なのはどれか。

 

  1. 40℃程度
  2. 60℃程度
  3. 80℃程度
  4. 100℃程度

 

 

冷罨法

冷罨法は、冷却による局所の炎症の抑制や解熱などの効果がある。冷罨法で用いられる氷枕の作成にあたっては、氷は半分程度にする、乾いたタオルで巻く、内部の空気は抜く、水漏れがないことを確認する。

 

▶106回午後23

氷枕の作り方で適切なのはどれか。

 

  1. 氷を隙間なく入れる。
  2. 濡れたタオルで覆う。
  3. 内部の空気は残しておく。
  4. 水漏れがないことを確認する。

 

 

乾性罨法・湿性罨法

温罨法と冷罨法には、乾いた状態で器具を用いる乾性罨法、湿った状態で器具を用いる湿性罨法があり、上記湯たんぽや氷枕は乾いた状態で用いるため乾性罨法、湿布の一つである冷パップは湿性罨法である。

 

▶103回午後22

湿性罨法はどれか。

 

  1. 氷枕
  2. 冷パップ
  3. 湯たんぽ
  4. 電気あんか

 

 

 

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