第102回助産師国家試験問題・正答-国民衛生の動向対応
平成31年2月14日実施の第102回助産師国家試験の全問題と正答を掲載します。
また、内容に応じて衛生テキスト「国民衛生の動向2024/2025」の参照章・ページを示します。問題を解きながら本誌を確認することで、より問題の理解を深めることできます。
分野別解説付き問題まとめ
を合わせて活用しながら、合格に近づく過去問対策を進めて頂ければ幸いです。
なお、最新の統計の記載、法律の改正、不適切問題などにより、一部問題を改変、削除しています。
厚生の指標増刊
発売日:2024.8.27 定価:2,970円(税込) 412頁・B5判 雑誌コード:03854-08
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第102回助産師国家試験目次
第102回助産師国家試験・午前(55問)
▶午前1
妊婦の飲酒によって認められる特徴的な胎児異常はどれか。
- 小頭症
- 白内障
- 四肢欠損
- 末梢神経障害
▶午前2
40歳以上を対象とした乳がん検診で推奨される検査はどれか。
- 胸部MRI
- 穿刺吸引細胞診
- マンモグラフィ
- 遺伝性乳癌卵巣癌症候群に関連する遺伝子変異の検査
▶午前3
妊娠による母体の糖代謝の変化で正しいのはどれか。
- 食後血糖値は低下する。
- 空腹時血糖値は低下する。
- 血中インスリン値は低下する。
- インスリン感受性が亢進する。
▶午前4
過剰摂取によって胎児の形態異常のリスクが高まるのはどれか。
- 鉄
- ビタミンA
- ビタミンB2
- n-3系脂肪酸
▶午前5
陣痛で正しいのはどれか。
- 胎盤循環は陣痛周期によらず一定である。
- 陣痛発作時間とは産婦が痛みを感じる時間をいう。
- 後産期陣痛は胎盤剝離面からの出血の止血に作用する。
- 分娩第2期で陣痛間欠4分は平均的な陣痛間欠時間である。
▶午前6
子宮収縮薬を用いた分娩誘発で正しいのはどれか。
- 分娩監視装置は陣痛が発来したら装着する。
- プロスタグランジンF2αの最大投与量は50μg/分である。
- 静脈内投与の輸液量の増量は前回増量時から30分以上経過後に行う。
- オキシトシンは10単位を5%ブドウ糖液500mLに溶解して使用する。
▶午前7
体外受精・新鮮胚移植によって、妊娠した月経周期30日型の女性の分娩予定日の決定法で最も精度が高いのはどれか。
- 最終月経の第1日目に280日を加えた日
- 採卵日に266日を加えた日
- 初診時の胎囊の測定値からの推定日
- 50mm以上の頭殿長〈CRL〉を測定した日からの推定日
▶午前8
妊娠33週の初妊婦。合併症はなく妊娠経過は順調。妊婦健康診査時の腹部超音波検査中に「気分が悪い」と訴え、顔色不良となった。
最初に行う対応はどれか。
- 体位を左側臥位にする。
- 頭部を挙上する。
- 血圧を測定する。
- 腹部を保温する。
▶午前9
36歳の初妊婦。妊娠経過は順調であった。妊娠39週0日、3,280gの児を正常分娩で出産した。分娩所要時間は15時間で、総出血量は420mLであった。Apgar〈アプガー〉スコアは1分後8点、5分後9点であった。バースプランに「産まれたら、赤ちゃんを胸の中で抱きしめたい」とあった。
この母子の早期母子接触の実施方法で最も適切なのはどれか。
- 帰室まで継続して実施する。
- 母親の体位は水平臥床とする。
- 児の血糖値を確認後に開始する。
- 児に経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉モニターを装着して観察する。
▶午前10
Rubin〈ルービン〉の母親役割における達成の概念を示しているのはどれか。
- 母性の獲得は模倣、空想、脱分化というプロセスによって進められる。
- 母親役割獲得プロセスは予期的段階から始まるとしている。
- 産後12か月までの役割達成が含まれている。
- 対象は思春期の女性である。
▶午前11
乳幼児期に起こりやすい事故を予防するための方法で適切なのはどれか。
- ベランダの踏み台は柵に寄せる。
- 浴槽内では足入れ付き浮輪を使用する。
- 児が飲み込めない大きさのおもちゃを選ぶ。
- 公園で遊ぶときはフード付きの上着を着せる。
▶午前12
早産児の感染予防に効果があるのはどれか。
- 中鎖脂肪
- ビタミンD
- ビタミンK
- プロバイオティクス
▶午前13
健やか親子21(第2次)の基盤課題A「切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策」の評価指標はどれか。
- 10代の人工妊娠中絶率
- 不妊専門相談センターを設置する自治体数
- 妊娠・出産に満足している者の割合
- 男性の育児休業取得率
▶午前14
出産手当金で正しいのはどれか。
- 健康保険法で定められている。
- 異常分娩の場合には支給されない。
- 1日につき標準報酬日額に相当する額が支給される。
- 被保険者が扶養している配偶者の出産にも支給される。
▶午前16
助産所管理者が行う助産管理で適切なのはどれか。
- 内科専門医を嘱託医として確保する。
- 緊急時搬送は嘱託医師を経由しなければならない。
- 応急医薬品の購入には医師の処方せんが必要である。
- 嘱託医師を定める際は医師の承諾書か合意書のいずれかを要する。
▶午前17
母子健康手帳に綴じ込まれている松井式便色カードを別に示す。
適切なのはどれか。
- 1番に近い色は母乳栄養児の便に特徴的である。
- 3番に近い色は胆道閉鎖症が疑われる。
- 4番に近い色は哺乳不良の児の便に特徴的である。
- 6番に近い色は消化管出血が疑われる。
- 7番に近い色は感染性腸炎が疑われる。
▶午前18
非侵襲的出生前遺伝学的検査〈NIPT〉で正しいのはどれか。
- 母体の年齢が高いと陽性的中率は下がる。
- 遺伝カウンセリングと併せて行う。
- 公的医療保険の適用である。
- 妊娠8週未満で行う。
- 確定的な検査である。
▶午前19
妊娠初期の黄体に作用して黄体を維持するのはどれか。
- hCG〈ヒト絨毛性ゴナドトロピン〉
- 卵胞刺激ホルモン〈FSH〉
- プロスタグランジン
- キスぺプチン
- アクチビン
▶午前20
正常な胎児において妊娠11週の胎児超音波検査で認められるのはどれか。
- 口蓋裂
- 腹壁破裂
- 全前脳胞症
- 脊髄髄膜瘤
- 臍帯ヘルニア
▶午前21
妊娠期に禁忌なのはどれか。
- アスピリン
- フェニトイン
- ワルファリン
- プレドニゾロン
- プロピルチオウラシル
▶午前22
日本において妊婦の抗体保有率が最も低いのはどれか。
- サイトメガロウイルス
- 水痘ウイルス
- トキソプラズマ
- 風しんウイルス
- 麻しんウイルス
▶午前23
30歳の経産婦。妊娠37週5日。身長163cm、体重66kg。陣痛発来で来院した。妊娠経過は順調、胎児推定体重は2,560g。来院時、努責感はない。陣痛間欠2分、陣痛発作20秒、胎児心拍数140bpm、一過性頻脈を認める。内診所見は、子宮口8cm開大、Station±0、子宮頸管の硬度は軟、未破水、先進する小泉門を4時方向に触れる。
この時点の助産師の対応で適切なのはどれか。
- 側臥位を促す。
- 努責を誘導する。
- 人工破膜を行う。
- 病棟内歩行を促す。
- 医師に陣痛促進薬の使用を提案する。
▶午前24
骨盤内の児頭の状態を図に示す。
第1頭位における不正軸進入はどれか。
▶午前25
産褥7日の褥婦。発熱がみられた。体温38.5℃。脈拍88/分。排尿8回/日、排便1回/日。倦怠感を訴えている。乳房は軽度うっ滞しているが、発赤はない。子宮底の高さは恥骨上3横指で柔らかく触れる。赤褐色の悪露が少量みられ、下腹部痛が軽度あるという。会陰切開部の軽度の痛みが続いている。排尿時痛はない。
この時点の褥婦の状況で適切なのはどれか。
- 産褥子宮内膜炎が疑われる。
- うっ滞性乳腺炎が疑われる。
- 頻尿は尿路感染によるものである。
- 会陰切開部の癒合不全が疑われる。
- 下腹部痛は後陣痛によるものである。
▶午前26
妊娠中から産褥期に、母体敗血症からトキシックショック症候群、全身性炎症反応症候群〈SIRS〉、播種性血管内凝固〈DIC〉などを起こし、周産期の母児の死亡原因となるのはどれか。
- 梅毒
- 淋菌感染症
- 性器ヘルペス感染症
- 性器クラミジア感染症
- A群溶血性レンサ球菌感染症
▶午前27
人工栄養よりも母乳栄養の新生児に起こりやすいのはどれか。
- 便秘
- 遷延性黄疸
- 一過性多呼吸
- 帽状腱膜下血腫
- 甲状腺機能低下症
▶午前28
Aちゃん(日齢10、女児)。在胎31週5日、体重1,570gで出生し、NICUに入院し経鼻的CPAP療法を行っている。ベッドサイドの呼吸心拍監視モニターのアラームが鳴ったため確認したところ、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉65%、心拍数70/分、呼吸運動は停止していて体動はなく、顔面にチアノーゼが認められた。
初期対応で正しいのはどれか。
- 胸骨圧迫
- 酸素投与
- 足底刺激
- 気管内挿管
- ブドウ糖液の静脈内注射
▶午前29
地域母子保健活動を行う事業と機関の組合せで正しいのはどれか。
- 療養の援護――市町村保健センター
- 養育医療の給付――児童相談所
- 育成医療の給付――助産所
- 助産施設への入所措置――福祉事務所
- 母子家庭等就業自立支援――配偶者暴力相談支援センター
▶午前30
周産期医療体制において総合周産期母子医療センターに求められる施設条件はどれか。
- 一般産科病床と母体胎児集中治療室〈MFICU〉は同数の病床数を有する。
- 関係する診療科と連携して母児の異常に対応できる。
- NICUとGCUは同数の病床数を有する。
- 無痛分娩に対応できる。
- 移植手術に対応できる。
▶午前31
性周期で正しいのはどれか。2つ選べ。
- エストロゲンが一定の濃度を超えるとポジティブフィードバックが起こる。
- インヒビンの作用によって排卵に至る卵胞が一つになる。
- LHサージ開始から48時間後に排卵がおこる。
- 子宮内膜は増殖期に脱落膜様変化となる。
- 乳房の容積は排卵時に最大となる。
▶午前32
子宮内黄体ホルモン放出システム〈IUS〉で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 月経量が減少する。
- 授乳中では乳汁分泌量が減少する。
- 人工妊娠中絶後直ちに挿入できる。
- 5年間の避妊失敗率は約10%である。
- 出血や腹痛がなければ10年間挿入できる。
▶午前33
造精機能障害の原因となるのはどれか。2つ選べ。
- 射精障害
- 精索静脈瘤
- 精管欠損症
- 両側精巣上体炎
- Klinefelter〈クラインフェルター〉症候群
▶午前34
Aさん(47歳、女性)。市町村の子宮がん検診の結果から精密検査を勧められ、産婦人科外来を受診した。持参した子宮頸部細胞診の結果は、ASC-US(意義不明な異型扁平上皮細胞)であった。Aさんは、助産師に「どんな検査が必要になるのですか、教えてください」と質問した。
Aさんに勧められる検査はどれか。2つ選べ。
- 直腸診
- 骨盤MRI検査
- コルポスコピー
- ハイリスクHPV検査
- 円錐切除術による組織診
▶午前35
妊娠41週3日の経産婦。前期破水のため入院し、子宮収縮薬で分娩誘発を行い、2時間経過後に陣痛が開始した。陣痛開始から30分後、子宮口開大4cm、Station-1、陣痛間欠1分30秒、陣痛発作30秒であった。胎児心拍数基線は120bpmで経過し、基線細変動は中等度から減少している。胎児心拍数陣痛図上に最下点が70bpm未満で持続時間が30秒以上の変動一過性徐脈がみられた。陣痛発作時に強く産痛を訴え、仰臥位で苦悶様表情を示している。
この時の対応で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 浣腸を行う。
- 産婦を側臥位にする。
- 子宮収縮薬を中止する。
- 間欠的胎児心拍数聴取に切り替える。
- 100%酸素3L/分で酸素投与を開始する。
▶午前36
28歳の初産婦。入院時、陣痛間欠7分、陣痛発作30秒で、内診所見は、子宮口2cm開大、展退度40%、Station-2、子宮頸管の硬度は中、子宮口の位置は中央であった。入院後6時間経過し、陣痛間欠3分、陣痛発作50秒となった。産婦は陣痛発作時に自ら深くゆっくりと呼吸し、間欠時には少し眠ることもあった。
この時の産婦のアセスメントで正しいのはどれか。2つ選べ。
- 微弱陣痛である。
- 母体疲労が著しい。
- 活動期に至っている。
- 血中β-エンドルフィンが高まっている。
- 逃避型のコーピングを用いて分娩に適応している。
▶午前37
第2前方後頭位の仰臥位分娩介助(側面介助法)で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 排臨の時点で肛門保護を会陰保護に切り替える。
- 小泉門が恥骨弓下を滑脱するまで児頭を屈位に保つ。
- 会陰保護は児頭が娩出した時点で終了する。
- 前在肩甲娩出時は児の側頭部を会陰側に押し下げる。
- 後在肩甲娩出後に児の体幹を両手で把持し骨盤軸に沿って娩出させる。
▶午前38
産科危機的出血への対応ガイドラインに示されている産科危機的出血の定義に当てはまるのはどれか。2つ選べ。
- 経腟分娩後24時間以内の出血量500mL
- ショックインデックス1.5
- 産科DICスコア6点
- Hb値7.0g/dL
- 出血の持続
▶午前39
妊婦の検査所見で、出産後、母乳栄養の中止によって母子感染を減らすことができるのはどれか。2つ選べ。
- HBs抗原陽性
- HCV抗体陽性
- HIV抗体陽性
- HTLV-1抗体陽性
- トキソプラズマIgG抗体陽性
▶午前40
産科病棟で提供している乳房ケアの成果を評価するための指標で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 助産師1人あたりの褥婦の数
- 乳房ケアの判断過程の適切性
- 乳房トラブルの件数
- 褥婦のケア満足度
- ケア計画の内容
次の文を読み41〜43の問いに答えよ。
Aさん(21歳、専門学校生)。月経不順であった。性器出血と腹部膨満感を主訴に産婦人科を初めて受診した。「突然に出血して、止まったと思ったらまた出血した。これまでこんな出血はなかった」と言う。出血は鮮血で、強い腹痛の自覚はない。身長155cm、体重57.5kg(非妊時体重50kg)。体温36.5℃、脈拍78/分、血圧128/82mmHg。尿蛋白(±)、尿糖(-)。血液検査ではHb10.8g/dL、白血球8,500/μL、血小板24万/μL。超音波検査にて子宮内に胎児が確認された。子宮底長27cm、腹囲88cm、胎児推定体重1,550g。超音波検査所見から妊娠30週2日と判断した。子宮口は閉鎖、展退度30%以下である。
▶午前41
経腟超音波検査の写真を別に示す。
この時点で、考えられるのはどれか。
- 切迫早産
- 前置胎盤
- 羊水過多症
- 妊娠高血圧症侯群
- 臨床的絨毛膜羊膜炎
▶午前42
Aさんは入院となった。入院後2日、再度性器出血が生じ、30分間で200mLに達して持続している。胎児心拍数陣痛図は、基線細変動が減少していた。その後の20分間の観察で、一過性頻脈は認めない。超音波検査で、羊水ポケットは35mm、胎動は乏しい。
この時点のアセスメントで正しいのはどれか。
- 内診による子宮口開大の確認が必要である。
- 臍帯動脈からの出血がある。
- 前期破水の可能性が高い。
- 胎児機能不全が疑われる。
▶午前43
Aさんは緊急帝王切開術となった。術中出血量2,300mL(羊水込み)、出生体重1,750gの女児、Apgar〈アプガー〉スコア1分後1点、5分後5点。児は呼吸窮迫症候群のためNICU入院となった。Aさんの術後経過は良好であった。Aさんの両親にはAさんから連絡を入れるということであった。
産褥2日。「彼とは連絡が取れない。怒られるのが怖くて、まだ親に話せていない。今は親からの仕送りで生活している。NICUに入院するような子どもを育てる自信がない」と児の面会に行こうとしない。
Aさんに対する助産師の対応で最も優先されるのはどれか。
- 地域の育児サポート情報を提供する。
- 養子縁組の手続きを勧める。
- 両親へ連絡をとるよう促す。
- 避妊指導を行う。
次の文を読み44〜46の問いに答えよ。
Aさん(32歳、初産婦)。これまでの妊娠経過に異常はなかった。妊娠35週5日。「2、3日前から歩くと時々水が流れるような感じがあったが、尿漏れかと思って様子をみていた。今日になり、量が増えた」との訴えで、夫とともに外来受診した。パットには透明な水様性の帯下があり、悪臭なし。体温38.1℃、脈拍88/分、血圧128/76mmHg。子宮の圧痛はない。胎児心拍数は180bpmであった。胎児は頭位で胎児推定体重2,400g、AFI1.5。腟鏡診では少量の出血が混じった帯下を認めたが、腟円蓋の液体貯留は明らかでなかった。子宮口は閉鎖であった。
▶午前44
破水の診断のため追加して行う検査はどれか。
- 血中CRPの測定
- マイクロバブルテスト
- 腟内分泌物顕微鏡検査
- 癌胎児性フィブロネクチンの測定
▶午前45
Aさんは前期破水と診断され、抗菌薬の点滴静脈内注射が開始された。直ちに分娩監視装置が装着された。分娩監視装置装着後20分間の胎児心拍数陣痛図を別に示す。
胎児心拍数陣痛図のアセスメントで正しいのはどれか。
- 基線細変動は増加している。
- 遷延一過性徐脈がみられる。
- 胎児心拍数の基線は頻脈である。
- 胎児のwell-beingに問題はない。
- サイナソイダルパターンがみられる。
▶午前46
Aさんは入院となり、この時の血液検査データはHb11.5g/dL、白血球23,000/μL、血小板35万/μL、CRP24.5mg/dLであった。絨毛膜羊膜炎の診断で、緊急帝王切開術による分娩となり2,400gの女児を出産した。児はApgar〈アプガー〉スコア1分後2点、5分後3点、気管内挿管され、NICUに入院となった。児は敗血症の診断で治療が開始されたが、急速に多臓器不全が進行し、出生後4日に死亡した。Aさんは「赤ちゃんが死んだなんて信じられない。私が破水に早く気づいて病院に来ていたら、こんなことにはならなかった」と涙を流しながら夫に話している。
助産師のAさんへの対応で最も適切なのはどれか。
- 早期の退院を勧める。
- 夫と一緒にAさんの話を聞く。
- 次の妊娠について考えるよう勧める。
- 赤ちゃんのことは考えないように話す。
- 睡眠導入薬の処方について医師に相談するよう勧める。
次の文を読み47、48の問いに答えよ。
Aさん(30歳、初妊婦)。妊娠33週0日に帯下に少量の出血が混じり軽度の下腹部痛があることを主訴に受診した。体温36.8℃、脈拍60/分、血圧110/65mmHg。内診所見は子宮口2cm開大、展退度50%。超音波断層法で子宮頸管長23mm、胎位は骨盤位であった。後腟円蓋の腟分泌物でBTB試験紙は青変せず、悪臭はしない。血液検査で白血球の増加やCRPの上昇を認めない。Aさんは入院となり、NSTでは胎児心拍数は正常であるが、12分ごとに弱い子宮収縮が認められる。
▶午前47
この時点のアセスメントで正しいのはどれか。
- 切迫早産
- 高位破水
- 子宮内感染
- 子宮頸管無力症
▶午前48
Aさんは安静臥床を指示され、点滴治療が継続された。妊娠36週5日、痛みを伴う規則的な子宮収縮が生じ、子宮口が6cmまで開大した。骨盤位であったため緊急帝王切開術による分娩となった。手術翌日、脈拍72/分、血圧118/56mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%。子宮底は臍下1横指で収縮は良好であり、外陰部にあてたパッドに少量の血液が付着している。採血の結果は、Hb10.2g/dL、血小板25万/μL、生化学検査は異常を認めなかった。手術後初めてトイレまで歩行した際、Aさんは胸痛を訴えてうずくまった。Aさんの左下肢には、軽度の発赤と腫脹が認められた。
Aさんに生じた疾患で最も考えられるのはどれか。
- 肺水腫
- 周産期心筋症
- 肺血栓塞栓症
- HELLP症侯群
次の文を読み49、50の問いに答えよ。
Aさん(34歳、初産婦)。妊娠40週2日。陣痛開始から3時間が経過し、入院した。胎児推定体重は2,650g、入院時の内診所見は、子宮口4cm開大、展退度70%、Station-2、子宮頸管の硬度は軟であった。入院から4時間後、羊水流出を認めた。陣痛間欠4〜5分、陣痛発作40〜50秒、内診所見は子宮口5cm開大、展退度80%、Station-1、子宮頸管の硬度は軟である。先進部は小泉門で11時方向に触れる。
▶午前49
分娩経過の判断で正しいのはどれか。
- 児頭は嵌入している。
- 分娩第1期遷延である。
- 第1前方後頭位である。
- Friedman〈フリードマン〉曲線の活動期である。
▶午前50
入院から8時間後、陣痛間欠2〜3分、陣痛発作50秒、内診所見は子宮口7cm開大、展退度100%、Station+3、矢状縫合は骨盤横径に一致し、大泉門が触れ小泉門と同じ高さだった。Aさんは呼吸が乱れ「痛くて我慢できない」と訴えた。
分娩進行の判断で正しいのはどれか。
- 過強陣痛である。
- 第2回旋の異常である。
- 子宮頸管は熟化していない。
- 分娩は正常に経過している。
次の文を読み51、52の問いに答えよ。
Aさん(23歳、女性、未婚)。妊娠歴なし。コンビニエンスストアでパート勤務をしている。勤務中に突然の腹痛と腟からの中等量の出血があり、早退して職場近くの婦人科クリニックを受診した。半年以上前から月経がないことを自覚していたが、医療機関は受診していなかった。意識は清明で、腹部は膨隆し、心窩部と下腹部に痛みを訴えている。下肢の浮腫著明。身長155cm、体重80kg(非妊時体重60kg)、体温36.5℃、脈拍90/分、血圧178/100mmHg。婦人科の医師が診察すると子宮内から少量の流血があり、経腹超音波検査で妊娠後期と思われる胎児を認めた。胎盤の辺縁に血腫を疑う像があり、子宮収縮に一致して胎児徐脈がみられた。婦人科クリニックの医師は、直ちに産婦人科とNICUのある高次医療施設に救急搬送受け入れを依頼した。
▶午前51
搬送依頼を受けた高次医療施設の助産師が、母体救命の観点において搬送元からさらに聞き出す情報で、最も重要なのはどれか。
- 子宮底長
- 最終飲食時間
- パートナーの連絡先
- 出血中の凝血塊の有無
▶午前52
高次医療施設に搬入された直後に、産科医師がAさんを診察すると、腟分泌物は血性少量、子宮口は1cm開大、経腹超音波検査で約80bpmの胎児徐脈を認め、回復の徴候が認められなかった。救急処置室から直ちに手術室に移送され、全身麻酔下の緊急帝王切開術で2,830gの女児を出産した。Apgar〈アプガー〉スコアは1分後3点、5分後7点、臍帯動脈血pH値7.02であった。NICU医師によって蘇生処置が行われた。出血量は羊水を含めて800mLであった。Aさんは術後、ICUに収容された。娩出されたAさんの胎盤の写真を別に示す。
【写真】
Aさんの術後に最も注意すべきなのはどれか。
- 肺血栓塞栓症
- 術後出血
- 肺水腫
- 敗血症
- 心不全
次の文を読み53の問いに答えよ。
Aさん(31歳、女性、会社員)。28歳で結婚した。2年前に月経困難症のため婦人科を受診し、子宮内膜症と診断された。1年前から基礎体温表をつけて排卵期に性交渉を持つようにしていたが、妊娠しないため婦人科診療所を受診した。Aさんは何度か通院するうちに、助産師に「実は、性交のときに痛くて、性交渉を持つ日を指定されたりすると、とてもストレスになります。自分の仕事が忙しく、休んで病院に来るのも大変だし、不妊治療は受けたくないのです。夫は子どもを欲しがっているので、悪くて言えません。でも、一度きちんと話そうと思っています」と訴えた。
▶午前53
助産師の対応で適切なのはどれか。
- 不妊治療を受けないという本人の意思決定を支持する。
- 不妊治療によって痛みは軽減することが多いと伝える。
- 夫には性交痛のことは話さない方がよいと説明する。
- 妊娠すれば痛みの問題は解決すると説明する。
- 心療内科の治療が必要であると伝える。
次の文を読み54の問いに答えよ。
開業助産師が、市の乳児家庭全戸訪問事業の委託を受けて、産後3か月のAさん(30歳、初産婦)宅を訪問した。Aさんには訪問に戸惑う様子がみられた。部屋は整理整頓されている。児は体温37.1℃、呼吸数32/分、心拍数110/分。定頸している。オムツかぶれはない。助産師は児の計測時、上腕内側に皮下出血があるのを認めた。児の表情は乏しく、あやしても笑わない。Aさんは落ち着きがなく、計測が終わるとすぐに助産師から児を取り上げた。児の出生体重は2,600g、1か月児健康診査時の体重は3,500gと母子健康手帳に記載があり、本日の児の体重は5,000gであった。助産師が皮下出血の原因をAさんに確認すると、「虫に刺された」と答えた。Aさん夫婦は1年前に転入してきて周囲に知り合いはいない。助産師は継続的な支援が必要だと感じた。児の4か月児健康診査は3週後である。
▶午前54
今後の対応で適切なのはどれか。
- 育児グループを紹介する。
- 1週後に助産師が再訪問する。
- 早急に地区担当保健師に連絡する。
- 4か月児健康診査でフォローアップする。
次の文を読み55の問いに答えよ。
自然災害発生後3日。助産師Aは被災地に派遣され、避難所に到着した。産褥2週の褥婦Bさんから「母乳の出が悪くなった気がする。母乳だけで赤ちゃんは大丈夫でしょうか」と相談を受けた。Bさんは妊娠40週0日で3,200gの児を出産し、完全母乳育児をしている。乳房トラブルはない。授乳回数は10〜12回/日。児は体重3,600g、尿8〜10回/日、便3、4回/日で、皮膚の色つやはよい。
▶午前55
現時点での助産師の対応で適切なのはどれか。
- 混合栄養を勧める。
- 児をあまり泣かさないよう伝える。
- 現在は母乳で足りていると伝える。
- 授乳回数を1日10回未満にすることを提案する。
第102回助産師国家試験・午後(55問)
▶午後1
女性ホルモン類似の作用がある植物由来の物質はどれか。
- イソフラボン
- ダイオキシン
- 麦角アルカロイド
- ジエチルスチルベストロール
▶午後2
腟鏡診におけるクスコ式腟鏡の使用方法で正しいのはどれか。
- 乾燥した状態で使用する。
- 腟鏡先端を使って腟口を開く。
- 挿入後は先端を開いて腟の最奥部まで進める。
- 腟壁全周の観察は、先端を開いた腟鏡を左右に回しながら行う。
▶午後3
精子に関する説明で正しいのはどれか。
- 精子の染色体数は46本である。
- 老年期には精子の形成はみられない。
- 1個の精母細胞から形成される精子は4個である。
- 精子の遺伝的多様性が形成されるのは第二減数分裂の過程である。
▶午後4
新生児の呼吸障害とその原因の組合せで正しいのはどれか。
- 無呼吸発作――肺水の吸収遅延
- 一過性多呼吸――化学性の肺炎
- 胎便吸引症候群――呼吸中枢の未熟性
- 呼吸窮迫症候群――肺表面活性物質の欠乏
▶午後5
子宮収縮抑制薬はどれか。
- ヘパリン
- ベタメタゾン
- デキサメタゾン
- 塩酸リトドリン
▶午後6
Aさん(28歳、初妊婦)。現在、妊娠18週で双胎。事務職で正規採用されて3か月経った。
Aさんへの保健指導で正しいのはどれか。
- 「育児休業は1年間の申し出ができます」
- 「産前休業は予定日前に16週間取得できます」
- 「妊婦健康診査受診に必要な時間には、医療機関への往復時間を含みます」
- 「出産手当金は、出産日以前42日から出産日後より56日まで支給されます」
▶午後7
32歳、初産婦。妊娠38週5日。妊婦健康診査時、「昨夜10分ごとの陣痛が3時間続いた。朝6時にお腹の張りで目が覚めた。2時間前から10〜12分ごとに収縮している」と言う。内診所見は、子宮口2cm開大、展退度80%、Station-3、子宮頸管の硬度は軟、子宮口の位置は中央であった。腟分泌物は白色である。
この時の助産診断で正しいのはどれか。
- 産徴がある。
- 前駆陣痛である。
- 原発性微弱陣痛である。
- 子宮頸管は成熟している。
▶午後8
会陰切開術の正中側切開法と正中切開法との比較で、正中側切開法の特徴として正しいのはどれか。
- 会陰拡張効果が大きい。
- 創部からの出血が少ない。
- 肛門括約筋の損傷が少ない。
- 創部縫合不全が発生する頻度は少ない。
▶午後9
早産児の退院後のフォローアップ外来で、修正月齢よりも暦月齢に基づいて判断するのはどれか。
- 運動発達の評価
- 言語発達の評価
- 身体発育の評価
- B型肝炎ワクチンの接種時期
▶午後10
家族発達理論における家族周期段階別にみた基本的発達課題で、第1子出生後の育児開始期にある家族の課題はどれか。
- 職業生活に適応する。
- 生活領域拡大に適応する。
- 増大する家庭内役割を引き受ける。
- 子どもの心理的分離に伴う不安に親として対応する。
▶午後11
セルフヘルプグループ活動に該当するのはどれか。
- 祖父母を対象とした出産準備教室
- 出産経験者が運営に協力する母親教室
- 助産師による乳房マッサージの講習会
- ペリネイタルロス〈Perinatal Loss〉を経験した母親の会
▶午後12
助産所および院内助産の分娩において、助産師と産婦人科医師との協働管理をするのが望ましい対象者の要件に該当するのはどれか。
- 年齢30歳
- 身長155cm
- 妊娠前BMI22
- 前回妊娠35週の早産
▶午後13
Aさん(26歳、初妊婦)。留学生。妊娠9週。来日2年目。Aさんのパートナーも留学生で、2人ともアルバイトをしながら学業を継続している。日本での出産を希望している。出産費用が心配になり、助産師に相談してきた。
Aさんが出産育児一時金を支給されるための条件はどれか。
- 自国の大使館に妊娠届を提出していること
- 日本の公的医療保険に加入していること
- 母子健康手帳を交付されていること
- 日本で婚姻届けを提出していること
▶午後14
肥満が疾患発症のリスク因子となるのはどれか。
- 胞状奇胎
- 卵管妊娠
- 子宮腺筋症
- 子宮内膜癌
- 成熟囊胞性奇形腫
▶午後15
女性において肝周囲炎をきたすのはどれか。
- 放線菌
- カンジダ属
- 性器クラミジア
- B群溶血性レンサ球菌
- ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉
▶午後16
Rh式血液型不適合妊娠で胎児水腫が認められた。
この時、D抗原に対して産生される免疫グロブリンはどれか。
- IgA
- IgD
- IgE
- IgG
- IgM
▶午後17
受精卵(胚)で正しいのはどれか。
- 受精後さらに2回の減数分裂が行われる。
- 受精後2日に前核が形成される。
- 前核が融合したものを桑実胚という。
- 受精後3日に胚盤胞へと変化する。
- 胚盤胞の状態で子宮内膜に着床する。
▶午後18
母体由来の細胞を主体として構成されているのはどれか。
- 羊膜
- 臍帯
- 絨毛
- 脱落膜
- 羊水浮遊細胞
▶午後19
30歳代の女性で行われた場合に、その後に骨粗鬆症のリスクが高まるのはどれか。
- 子宮筋腫の核出
- 両側付属器の切除
- 薬剤を用いた排卵誘発
- 低用量ピルによる避妊
- 尖圭コンジローマの焼灼治療
▶午後20
妊婦の状態とそれに関連して生じやすい新生児への影響の組合せで正しいのはどれか。
- 喫煙習慣――巨大児
- 血小板減少――黄疸
- 不規則抗体陽性――多血症
- 妊娠高血圧腎症――低出生体重児
- ビタミンB1欠乏――18トリソミー
▶午後21
Aさん(29歳、初妊婦)。現在、妊娠38週2日。「赤ちゃんの動きが少ないような気がする」と言って外来を受診した。検査の結果を表に示す。
AさんのBiophysical Profile Score〈BPS〉の点数はどれか。
- 0点
- 2点
- 4点
- 8点
- 10点
▶午後22
母体の骨盤と胎児の位置関係を模式図に示す。
整形外科的合併症のない正常産婦で、胎児の軸と母体の脊椎のなす角度(θ)が大きく、母体の仙骨の可動域の制限が少なく、骨盤出口部が広がりやすい分娩体位は( )である。
( )に当てはまるのはどれか。
- 仰臥位
- 膝肘位
- 側臥位
- 蹲踞位
- 半坐位
▶午後23
新生児マススクリーニング検査で、後日、2回目の採血が必要なのはどれか。
- 過期産児
- 人工栄養児
- 哺乳不良の児
- 光線療法中の児
- 新生児仮死で出生した児
▶午後24
新生児の神経系の診察で、反射を誘発している場面を図に示す。
この反射はどれか。
- 歩行反射
- 交差伸展反射
- 足底把握反射
- 引き起こし反射
- Landau〈ランドー〉反射
▶午後25
新生児が百日咳に罹患した場合、重症度を評価するために観察すべき臨床症状はどれか。
- 嘔吐
- 咳嗽
- 下痢
- 心雑音
- 無呼吸
▶午後26
日本の人口動態統計調査における周産期死亡率を求める式を示す。
( )に入るのはどれか。
- 妊娠満12週以後22週未満の死産数
- 人工妊娠中絶数
- 新生児死亡数
- 年間出生数
- 年間出産数
▶午後27
有床助産所で分娩の安全管理のために使用するもので、最も優先度が高いのはどれか。
- 分娩監視装置
- 携帯用保育器
- 超音波断層装置
- 血液ガス分析測定器
- 識別用ネームバンド
▶午後28
閉経以降の女性に生じる身体変化の特徴で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 骨吸収は減少する。
- 中性脂肪は上昇する。
- 1型糖尿病が増加する。
- LDLコレステロールは低下する。
- HDLコレステロールは低下する。
▶午後29
卵巣過剰刺激症候群が重症化した場合に注意する合併症はどれか。2つ選べ。
- 胸水
- 血栓症
- 高血圧症
- 腎盂腎炎
- 甲状腺機能低下症
▶午後30
妊娠後期における母体の変化で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 子宮峡部は長くなる。
- 子宮頸部の強度は増す。
- 子宮胎盤血流量は増加する。
- 腟前庭は仙骨側に圧排される。
- Braxton-Hicks〈ブラックストン・ヒックス〉収縮は前駆陣痛が出現すると消失する。
▶午後31
Aさん(17歳、女子)。11歳で初経が発来して以降、28日型の順調な月経周期であったが、4か月前から無月経となったため、思春期外来を受診した。Aさんには性交渉の経験はない。頭痛や視野異常の訴えはない。
助産師が行う対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 有酸素運動を勧める。
- 体重の変動について聞く。
- 精神的ストレスの程度を確認する。
- 直ちに低用量ピルの内服を勧める。
- 基礎体温は朝トイレに行ってから測定するよう説明する。
▶午後32
Aさん(32歳、初妊婦)。身長154cm。体重56kg(非妊時体重53kg、BMI22)。既往歴は特記すべきことはない。職業は会社員で、デスクワークが主である。現在妊娠22週で異常所見は認められない。助産師は、Aさんに食事バランスガイドを用いて、非妊時と比較した1日分の付加量について説明することになった。
説明する内容で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 「主食はおにぎり1個分増やしましょう」
- 「主菜は卵1個分増やしましょう」
- 「副菜は増やす必要はありません」
- 「牛乳・乳製品は牛乳コップ1杯分増やしましょう」
- 「果物はりんご半個分増やしましょう」
▶午後33
子宮口全開大で、努責感を感じている初産婦。仰臥位で陣痛発作時に時々児頭が陰裂から少し見える状況になってきた。
陣痛発作時の産婦に対し、分娩を進行させる効果的な声かけで適切なのはどれか。2つ選べ。
- 「上半身を起こしますよ」
- 「天井を見ていきみましょう」
- 「ハッ、ハッ、ハッ、ですよ」
- 「フーウン、フーウン、ですよ」
- 「息の続くかぎり長くいきんでください」
▶午後34
子宮内反症で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 膀胱に尿がたまった状態で用手的整復を試みる。
- 子宮底輪状マッサージが誘因となる。
- 経産婦に比べて初産婦の発症が多い。
- 子宮底は著しく上昇する。
- 大量出血が起きる。
▶午後35
死産に関わる届出で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 死産届は24時間以内に提出する。
- 死産届は死産のあった場所の都道府県知事に提出する。
- 死産の分娩に立ち会った場合は死胎検案書を作成する。
- 死産児を検案して異常を認めた場合は、所轄警察署に届け出る。
- 提供した医療に起因する予期しなかった死産は医療事故調査・支援センターに届け出る。
次の文を読み36〜38の問いに答えよ。
Aさん(33歳、初妊婦)。既往歴や生活歴に特記すべきことはなかったが、妊娠28週頃から高血圧を指摘され、内服薬による治療を受けている。妊娠39週5日、経腟分娩で男児を出産した。
児のApgar〈アプガー〉スコアは1分後8点、5分後9点。
児の身体所見:身長49.2cm(50パーセンタイル)
体重2,515g(3パーセンタイル)
頭囲33.3cm(50パーセンタイル)
▶午後36
児の管理をするにあたり、注意すべき合併症はどれか。
- 高血糖
- 多血症
- 顔面神経麻痺
- 呼吸窮迫症候群
- 高カルシウム血症
▶午後37
日齢2。児の体重は2,410gで、前日から30g減少している。児は完全母乳栄養で約1〜2時間ごとに哺乳している。児の哺乳力は良好だが、左右の乳房を10分程度哺乳すると眠ってしまい、Aさんは眠った児をそのままコットに寝かせている。児には軽度の腹部膨満が認められる。排便は出生後5回、粘稠性の強い濃緑色の便が認められる。朝、ヨーグルト状の凝乳塊を含む白色物の嘔吐が認められた。
助産師のAさんへの指導で正しいのはどれか。
- 人工乳の追加
- 哺乳後の排気
- 3時間ごとの定時授乳
- Aさんの乳製品の摂取制限
▶午後38
日齢4。児の体重は2,490gで、前日から35g増加している。排尿10回/日、排便5回/日、哺乳回数12回/日、哺乳力は良好だが、1日数回の嘔吐が認められる。経皮的黄疸計値9.5。自動聴性脳幹反応〈AABR〉は両耳とも「パス(反応あり)」であった。
Aさんからの児に関する訴えで、最も注意すべきなのはどれか。
- 「視線が合わない」
- 「黄色いうんちが出た」
- 「黄緑色のものを吐いた」
- 「白眼が黄色くなってきた」
- 「声をかけても反応してくれない」
次の文を読み39〜41の問いに答えよ。
妊婦とパートナーが出産を迎える意欲を高めることを目的として、病院に勤務する助産師が両親学級を開催することとなった。計画の概要を表に示す。
▶午後39
この両親学級の開催で適切なのはどれか。
- 開催日時は平日の日中とする。
- 母子健康手帳は持参しなくて良いと伝える。
- バースプランは事前に用紙に書いてくるよう伝える。
- 分娩経過の講義は妊婦とパートナーを分けて実施する。
▶午後40
助産師は計画に従って両親学級を開催した。産痛緩和法の講義と演習で、分娩第1期の産痛緩和法として腰部マッサージの方法を紹介した。助産師は、パートナーに対して、妊婦の背側に座り、手を温めて妊婦の腰部に触れ、妊婦の呼吸に合わせて円を描くように手を動かすよう指導した。実施後、助産師は妊婦とパートナーが記載したアンケートを見て両親学級の効果を評価することにした。
妊婦とパートナーが出産を迎えるための意欲が高まったと評価できる記載はどれか。
- 立ち会い出産は大変だと感じた。
- 実母の立ち会いについて2人で話し合います。
- 産痛緩和のマッサージは助産師にしてほしい。
- お腹が張りそうだからマッサージは心配です。
- 自宅でも2人でマッサージの練習をしてみたい。
▶午後41
両親学級の終了後、Aさん(29歳、初妊婦)とAさんのパートナーが助産師に話しかけてきた。Aさんは現在妊娠31週で、前回の妊婦健康診査では骨盤位であったという。
Aさん:「今日は分娩室を見てここで産みたいと思いました。来て良かったです」
パートナー:「今日は経腟分娩の話ばかりだったけど、逆子のまま帝王切開になったらどうしよう」
Aさんとパートナーの言葉を聞いた後の助産師の対応で適切なのはどれか。
- 胎児外回転術を勧める。
- 骨盤位の経腟分娩方法を説明する。
- 帝王切開術の説明を希望するかを確認する。
- まだ週数が早いので、帝王切開術を心配する必要はないと説明する。
次の文を読み42、43の問いに答えよ。
Aさん(48歳、女性)。夫と28歳の長女との3人暮らしで、出版社に勤務している。不正出血を主訴として婦人科の診療所を受診した。既往歴に特記すべきことはない。月経周期は順調であったが、6か月前から月経がなく、少量の出血が時々みられる。身長150cm、体重48kg(半年前より変化なし)。婦人科診察では子宮および付属器に異常は認められなかった。
Aさんは最近体調に不安を感じており、助産師に「会議中などに突然暑くなって汗をかき、動悸がして困ることがあります。物忘れも増え、何をするにもおっくうです。夫は仕事中心で、私の話を聞いてくれません。娘がまもなく結婚して独立するので、その準備であわただしい毎日でした。この先、夫と2人きりになるかと思うと憂うつです」と相談があった。
▶午後42
Aさんに対するアセスメントで適切なのはどれか。2つ選べ。
- 若年性認知症が疑われる。
- 急性ストレス障害が疑われる。
- 視床下部性無月経が疑われる。
- 血管運動神経性障害を認める。
- 家族の発達課題がストレスの原因になっている。
▶午後43
その後Aさんは、医師からホルモン補充療法を勧められたが「薬には頼りたくない」と言い、希望しなかった。「職場の仲間は、私ほどつらそうではない。娘の結婚と引っ越しが終わり、心にぽっかり穴があいたままで家事や仕事をする気力がありません。私1人が周りに迷惑ばかりかけている」と沈んでいる。
助産師のAさんへの対応で最も適切なのはどれか。
- 田中・ビネー式知能検査を行う。
- 自己イメージのゆがみを修正する。
- 夫と過ごす時間を増やすよう指導する。
- ストレスマネジメントについて指導する。
次の文を読み44、45の問いに答えよ。
Aちゃん(生後8か月、男児)。小児神経専門医から重度の脳性麻痺(痙性四肢麻痺)と診断された。
〔周産期歴〕
Aちゃんの母親は34歳の経産婦。妊娠18週まで喫煙していた。妊婦健康診査では直前まで特に異常は指摘されていなかったが、妊娠37週3日に「6時間ほど前から痛みを感じ自宅で様子をみていたが、我慢できなくなった」と電話があり、助産師は来院を指示した。来院時、胎児心拍数陣痛図で胎児心拍数60bpmの遷延一過性徐脈を認め、常位胎盤早期剝離の診断で緊急帝王切開術が行われた。Aちゃんは出生体重2,860g、Apgar〈アプガー〉スコアは1分後2点、5分後5点で、蘇生後NICUに入院し、日齢35に退院した。
▶午後44
Aちゃんの脳性麻痺の原因で可能性が高いのはどれか。
- 核黄疸
- 母の喫煙
- 上衣下出血
- 脳室周囲白質軟化症
- 低酸素性虚血性脳症
▶午後45
産科医療補償制度の手続きのため、分娩した病院に来院したAちゃんの母親から助産師に「この制度について教えて下さい」と質問があった。
助産師の対応で適切なのはどれか。
- 「この制度では原因分析はしません」
- 「分析結果は一般に公開されません」
- 「分析報告書は保護者に直接送付されます」
- 「原因分析の結果は小児神経専門医から伝えられます」
次の文を読み46、47の問いに答えよ。
Aさん(42歳、初産婦)。約8年の不妊治療後に体外受精で妊娠。妊娠経過は順調で骨盤位のため帝王切開術による出産となった。児は正常新生児で、Aさんの産褥経過は問題なく、予定通り産褥7日に退院した。本日、産褥14日、母乳外来に来院した。児の健康状態は良好、体重増加は45g/日。Aさんは「母乳が足りているかわからなくて、1回60mLのミルクを1日4、5回足しているのですが、この子は泣いてばかりで、私は全然眠れないです」と暗い表情で話した。
▶午後46
この時の助産師の対応で最も適切なのはどれか。
- 産後うつ病であると伝える。
- ミルクの量が適切ではないと指導する。
- 母乳分泌を促すマッサージを指導する。
- 自宅での児との生活について話してもらう。
▶午後47
母乳外来受診から1週後、Aさんは、産後の1か月健診に児を連れて夫とともに来院した。産後の経過は順調である。児については「以前より寝てくれるようになったけど、泣くといらいらしてしまう。夫は、仕事が忙しくて帰りが遅い」と言う。エジンバラ産後うつ病質問票〈EPDS〉は4点であった。1日7、8回直接授乳しておりミルクを毎回足している。
助産師の対応で適切なのはどれか。
- 精神科への受診を勧める。
- 地域の育児支援情報を提供する。
- 育児はうまくいっていると励ます。
- 虐待の疑いがあることを児童相談所に連絡する。
次の文を読み48、49の問いに答えよ。
Aさん(35歳、経妊婦)。妊娠8週。身長158cm、体重49kg(非妊時体重52kg)。妊婦健康診査を受診した。妊婦健康診査で、体温37.5℃、血圧92/64mmHg、尿蛋白(-)、尿糖(-)、尿ケトン体2+。2週前から嘔気が出現し、1週前から一日中嘔吐が続いており、水分は一口程度であれば摂取できるが、食事はほとんど摂取できていない状況である。Aさんは、「前回の妊娠の時と違って、こんなに吐いてばかりで赤ちゃんは大丈夫でしょうか。不安です」と話している。
▶午後48
この時点のアセスメントで正しいのはどれか。
- うつ状態である。
- 経過は順調である。
- 輸液療法が必要である。
- 自然に治まる症状である。
▶午後49
Aさんは妊娠12週で、妊婦健康診査を受診した。体重50.0kg、血圧94/60mmHg、尿蛋白(-)、尿糖(-)、尿ケトン体(±)。嘔吐は軽減してきたが嘔気は持続している。「1日3食頑張って食べようと努力していますが、ご飯を一口食べると吐いてしまいます。どうすれば食べられるようになるでしょうか」と話している。
助産師が行う食事指導で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 「食べられるときに好きなものを食べましょう」
- 「1日2,000kcalを目標に食べましょう」
- 「水分を摂るように心がけましょう」
- 「お腹が空いてから食べましょう」
- 「外食は避けましょう」
次の文を読み50、51の問いに答えよ。
Aさん(32歳、初産婦)。病院の産婦人科で、妊婦健康診査を受けていた。合併症はなく、妊娠経過および胎児の発育は順調であった。既往歴に特記すべきことはない。妊娠40週3日、自宅で陣痛発来および破水を認めたため、産婦人科病棟に入院した。胎児推定体重は3,400g。羊水混濁は認めない。子宮口が全開大後、胎児心拍数陣痛図にて高度遅発一過性徐脈を認めたため、吸引分娩による急速遂娩を行うこととなった。
▶午後50
新生児蘇生法ガイドライン2015に基づく児の蘇生の準備で適切なのはどれか。
- 吸引器の陰圧を20kPaに設定する。
- 6Frの吸引カテーテルを準備する。
- 内径4.5mmの気管チューブを準備する。
- 人工呼吸用ブレンダーの酸素濃度を21%に設定する。
- Tピース蘇生装置の呼気終末陽圧〈PEEP〉を8cmH2Oに設定する。
▶午後51
出生した児は男児で出生体重3,650g。Apgar〈アプガー〉スコアは1分後8点、5分後9点。出生後2時間、児の診察を行ったところ、全身状態は良好だが、左側頭部から耳朶にかけて膨隆を認めた。膨隆は波動を触れて軟らかく、冠状縫合を超えて隆起していた。
今後の児の継続観察で注意する所見はどれか。
- 頭囲拡大
- 早発黄疸
- 胆汁性嘔吐
- チアノーゼ
- 顔面神経麻痺
次の文を読み52、53の問いに答えよ。
Aさん(23歳、初妊婦)。妊娠16週。1人暮らしでパートナーとは未入籍である。昨年度はアルバイトで年収は約180万円であったが、4か月前から運送会社の正社員として宅配便の配送ドライバーとして働いている。Aさんは「妊娠したことはうれしい」と言い、妊婦健康診査は適切な間隔で受診している。今回の妊婦健康診査で、経過は順調であると確認された。Aさんは「体調は良いですが、重い荷物を運ぶのが不安になってきました」という。
▶午後52
助産師がAさんに優先して確認する必要があるのはどれか。
- 産前産後休業取得の予定
- パートナーとの入籍予定
- 地区担当保健師との関わり
- 雇用者への配置換えの申請状況
▶午後53
妊娠30週。血圧150/95mmHg、尿蛋白+、胎児推定体重は1,650g。入院して治療をすることになった。パートナーとの入籍や同居の予定は未定である。Aさんから、入院費の支払いに不安があると助産師に申し出があった。このため、地区担当保健師に相談したところ、療養援護の助成を受けられることになった。
Aさんが療養援護の助成を受けられることになった理由はどれか。2つ選べ。
- 昨年度の年収額
- 胎児発育不全〈FGR〉
- 妊娠高血圧症候群
- 1人暮らし
- 未入籍
次の文を読み54、55の問いに答えよ。
開院して1年の産婦人科クリニック。分娩数は月20件である。今まで夜間に分娩が重なることはなかった。ある日の夜勤は、分娩担当の助産師Aと褥婦担当の看護師の2名で勤務をしていた。陣痛室には分娩進行中の初産婦1名と経産婦1名がいた。初産婦が3日間便秘であったため助産師Aは浣腸を施行した。2名の産婦は順調に分娩が進行し、児の娩出時間はほぼ同時になった。初産婦の分娩は産科医が看護師と対応したので、助産師Aは1人で経産婦の分娩を介助し、児の臍帯切断を行った。看護師は両方の新生児への対応を行った。産科医は両方の産婦と新生児の健康状態に問題がないことを確認した。助産師Aは分娩介助の翌日から外来勤務だったため、分娩3日後に助産録の記載をした。
▶午後54
保健師助産師看護師法に規定される助産師の業務を踏まえ、助産師Aの勤務内容で改善が求められる行為はどれか。
- 初産婦に浣腸をしたこと
- 医師の立ち合いなしに分娩介助をしたこと
- 医師の立ち合いなしに臍帯切断をしたこと
- 助産録の記載を分娩3日後に行ったこと
▶午後55
初産婦は退院時に「お産の時、スタッフが忙しそうでナースコールを鳴らしてもすぐに来てもらえなかった」とスタッフに伝えた。
今回の経過を踏まえた院内の取組みで、最も優先されるのはどれか。
- 分娩が安全に遂行できる業務手順を作成する。
- 助産師間で助産実践能力を相互評価する。
- 接遇に関する研修を実施する。
- 退院時アンケートを実施する。
資料 厚生労働省「第105回保健師国家試験、第102回助産師国家試験、第108回看護師国家試験の問題および正答について」
テーマ別
必修問題まとめ
①国民衛生の動向対応/②看護の倫理・対象/③人体の構造と機能・健康障害・薬物/④看護技術
年次別
第113回/第112回/第111回/第110回/第109回/第108回/第107回/第106回/第105回/第104回/第103回/第102回