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保健師国家試験に出る国民衛生の動向 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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出版事業

令和6年2月9日実施の第110回保健師国家試験の全問題と正答を掲載します。

また、内容に応じて保健師国家試験受験者の必携テキスト「国民衛生の動向2024/2025」の参照章・ページを示します。問題を解きながら本誌を確認することで、より問題の理解を深めることできます。

 

分野別解説付き問題まとめ

を合わせて活用しながら、合格に近づく過去問対策を進めて頂ければ幸いです。

 

なお、最新の統計の記載、法律の改正、不適切問題などにより、一部問題を改変、削除しています。

 

Eisei22 23 hyo    厚生の指標増刊

国民衛生の動向 2024/2025

 

発売日:2024.8.27

定価:2,970円(税込)

412頁・B5判

雑誌コード:03854-08

 

ご注文は書店、または下記ネット書店、電子書籍をご利用下さい。

 

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▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

第110回保健師国家試験目次

 

 

第110回保健師国家試験・午前(55問)

 

 

▶午前1

プライマリヘルスケアの説明で正しいのはどれか。

 

  1. 健康的な公共政策づくりを行う。
  2. 活動原則の1つに地域資源の有効活用がある。
  3. 提唱された当初は慢性疾患の増加が懸念される先進国が対象であった。
  4. 健康は生きる目的ではなく、毎日の生活のための資源という健康観が示されている。

 

 


 

▶午前2

予防活動の概念図を以下に示す。
110am2h
生活習慣病に対する取り組みのうちAにあたるのはどれか。

 

  1. ヘルシーメニューのレシピを県のホームページで紹介する。
  2. 市内の中学生の保護者に特定健康診査の案内を配布する。
  3. 市の広報誌にウォーキングスポットを掲載する。
  4. 糖尿病の治療を中断した者に受診を勧奨する。

 

 


 

▶午前3

保健所の説明で正しいのはどれか。

 

  1. 平成30年(2018年)から令和4年(2022年)の5年間の推移で中核市の保健所は減少傾向にある。
  2. 地域保健に関する思想の普及が業務の1つである。
  3. 健康増進法に基づき設置されている。
  4. 介護認定審査会を開催する。

 

 


 

▶午前4

Aさん(56歳、男性)は、仕事の忙しさと職場の人間関係に悩み、夜間に熟睡できていない。気持ちが晴れない日が月に3、4回あり、その都度会社を休む。Aさんの妻はこれをきっかけに体調を崩すことが増え、家事を十分にできずにいる。娘は部屋に閉じこもりがちで中学校に行けなくなってしまった。
家族システム理論におけるAさん家族の状況はどれか。

 

  1. 恒常性
  2. 組織性
  3. 非累積性
  4. 循環的因果関係

 

 


 

▶午前5

健康段階別保健行動とその内容の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 健康増進行動治療のため医療機関を受診する。
  2. 病気回避行動睡眠不足の解消のため休養をとる。
  3. 病気対処行動早期発見のためがん検診を受診する。
  4. 予防的保健行動健康維持のため運動をする。

 

 


 

▶午前6

高齢化率が高いA市の保健師は、地域診断を行い、複数の健康課題を抽出した。
対応すべき健康課題で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 後期高齢者の増加に伴う認知症高齢者の増加
  2. 豪雪地帯に居住する高齢者の閉じこもりの増加
  3. 地域社会の希薄化によって社会との交流が減少した高齢者の増加
  4. 高齢者を高齢者が介護する世帯における介護負担による高齢者虐待の増加

 

 


 

▶午前7

介護保険法で規定される市町村介護保険事業計画の日常生活圏域で正しいのはどれか。

 

  1. おおむね小学校区である。
  2. 市町村が範囲を設定する。
  3. 高齢者の人口で圏域を定める。
  4. 介護保険法制定時に定められた。

 

 


 

▶午前8

A市では、精神障害者が可能な限り住み慣れた地域で本人の意向に沿った生活を送ることができるよう、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築を推進している。
評価の指標で適切なのはどれか。

 

  1. 医療保護入院の件数
  2. 精神保健指定医の数
  3. 精神病床の平均在院日数
  4. 精神障害者保健福祉手帳の申請者数

 

 


 

▶午前9

向老期の女性の健康課題で正しいのはどれか。

 

  1. 子宮頸癌が増加する。
  2. 器質的変化に起因する更年期症状が起こる。
  3. 骨盤底筋群の収縮力の低下によって排尿障害が起こる。
  4. プロゲステロンの産生低下に起因して動脈硬化が起こる。

 

 


 

▶午前10

ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉感染症および後天性免疫不全症候群〈AIDS〉の発生予防およびまん延防止対策で適切なのはどれか。

 

  1. 保健所での接触者健康診断の実施
  2. エイズ治療拠点病院における診療の集約
  3. 他の性感染症と区別した検査体制の充実
  4. 学校教育におけるHIV感染予防の正しい知識の普及啓発

 

 


 

▶午前11

Aちゃんは、3歳児健康診査で発語が単語のみであり、名前を呼んでも振り向かず、視線も合わず、コミュニケーションが難しかった。Aちゃんの母親によると自宅では視聴覚の問題はないとのことであった。保健師は発達相談ができる遊びの場を紹介したが、母親は「マイペースな子なので、特に心配していません」と強い口調で利用を拒否した。
このときの保健師の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「Aちゃんは発達に問題があります」
  2. 「Aちゃんを専門医に診てもらいませんか」
  3. 「発達障害をもつ児の親の会に行ってみませんか」
  4. 「しばらくしたらAちゃんに会いにご自宅に伺ってもいいですか」

 

 


 

▶午前12

Aさん(8歳、男児)は保健室に来て「家で転んだ」と訴えた。養護教諭は前腕部に内出血を認めたため原因を尋ねると、説明が二転三転した。
このときの養護教諭の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 身体測定の記録を確認する。
  2. 保護者に内出血の原因を尋ねる。
  3. 保健室から校長に電話で報告する。
  4. 他の部位に外傷がないかを確認する。

 

 


 

▶午前13

3か月前に他部署から異動してきた新任管理者のA課長から「部下のBさんの様子が気になっています。先月のストレスチェックの結果はどうだったでしょうか」と保健師に連絡があった。
ラインによるケアを支援する保健師の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「Bさんに保健師と面談するように勧めてください」
  2. 「Bさんの職場での様子を詳しく聞かせてください」
  3. 「A課長の部署の集団分析結果を説明するので面談に来てください」
  4. 「Bさんに私が確認し了解があればストレスチェックの結果を説明します」

 

 


 

▶午前14

児童虐待の三次予防はどれか。

 

  1. 児童虐待予防月間に虐待防止のポスターを掲示する。
  2. 一時保護所を退所した児童に対して定期的に面談する。
  3. ソーシャルネットワーキングサービス〈SNS〉の相談窓口を開設する。
  4. 乳幼児健康診査で「子どもにイライラする」と話す母親をグループカウンセリングに紹介する。

 

 


 

▶午前15

乳幼児の親に対して自治体が行う防災対策で適切なのはどれか。

 

  1. 地域の防災リーダーになるための研修を開催する。
  2. 子どもを連れた避難行動のシミュレーション訓練を実施する。
  3. 乳幼児とその家族は災害時の要配慮者ではないことを周知する。
  4. 災害時には「緊急安全確保」が出されるまで自宅で待機することを勧める。

 

 


 

▶午前16

A市では子育て世代の転入が増加している。子育て世代を対象としたアンケートを実施したところ、子育てに関することを相談する相手がいないとの回答が最も多かった。そこで、この課題を解決するために、A市では新たな補助事業を創設した。
補助事業の対象で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 育児に関する情報誌の作成費
  2. 家事支援ボランティアの交通費
  3. 商店街の授乳スペースの整備費
  4. 子育ての自主グループ活動の会場費

 

 


 

▶午前17

A保健師は、入職した市の研修で「市の人員配置においては、妊娠・出産・育児・介護のライフサイクルを考慮しワーク・ライフ・バランスが図られるよう配慮しています」と説明を受けた。
この説明は公衆衛生看護管理のどれか。

 

  1. 情報管理
  2. 人事管理
  3. 健康危機管理
  4. 組織運営管理

 

 


 

▶午前18

喫煙習慣の有無と性別の関連を調べる検定方法で適切なのはどれか。

 

  1. t検定
  2. 相関係数の検定
  3. 一元配置分散分析
  4. χ2〈カイ2乗〉検定

 

 


 

▶午前19

合計特殊出生率の算出方法で正しいのはどれか。

 

  1. 出生数を人口で除し、1,000を乗ずる。
  2. ある年齢の母の出生数を同年齢の女性人口で除し、1,000を乗ずる。
  3. 母の年齢別出生数を同年齢の女性人口で除し、15歳から49歳まで合計する。
  4. 母の年齢別女児出生数を同年齢の女性人口で除し、15歳から49歳まで合計する。

 

 


 

▶午前20

日本の医療制度の特徴で正しいのはどれか。

 

  1. 指定された医療機関を受診する。
  2. 診療報酬は加入する保険によって決まる。
  3. 生活保護の受給者は75歳になると後期高齢者医療制度へ移行する。
  4. 保険医療機関は患者の自己負担額を除いた診療報酬を審査支払機関に請求する。

 

 


 

▶午前21

日本の自殺対策で正しいのはどれか。

 

  1. 高齢者の自殺対策を重点施策に位置付けている。
  2. 市町村に自殺対策計画の立案を義務付けている。
  3. 事業主にメンタルヘルス対策推進を義務付けている。
  4. 令和8年までに自殺死亡率を平成27年と比べて10%減少することを目標としている。

 

 


 

▶午前22

保健師が家庭訪問を行う対象で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 特定保健指導の未受診者
  2. 特定健康診査で血圧200/100mmHgの未治療者
  3. 自助グループの情報を求めている潰瘍性大腸炎患者
  4. 正常な経過の児の体重測定を希望している産後3週の褥婦
  5. 民生委員が見守りをしている高齢者で最近物忘れが増えている者

 

 


 

▶午前23

特定健康診査の基本的な項目はどれか。

 

  1. 眼底検査
  2. 貧血検査
  3. 肝機能検査
  4. 心電図検査
  5. 血清クレアチニン検査

 

 


 

▶午前24改題

令和3年(2021年)の人口動態統計で、子どもの不慮の事故による年齢別死因の割合についてのグラフを以下に示す。
110am24h
窒息はどれか。

 

 

 


 

▶午前25

Aさん(80歳、女性)は要介護1、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準Ⅱaで介護保険サービスを利用しながら1人で暮らしている。遠方に住む娘が地域包括支援センターに来所し、「家の中に最近購入したと思われる高価な商品が複数置かれ、公共料金は滞納していることが分かった。慣れ親しんだ自宅で最期まで生活してほしいが、お金の管理も心配。どうしたらよいか」と話す。
地域包括支援センターの保健師がAさんの娘に提案する内容で適切なのはどれか。

 

  1. Aさんとの同居
  2. Aさんの施設入所
  3. 成年後見制度の利用
  4. 民生委員への見守りの依頼
  5. 介護支援専門員への金銭管理の依頼

 

 


 

▶午前26

養護教諭の職務で正しいのはどれか。

 

  1. 保健室の経営
  2. 臨時休業の決定
  3. 学校保健計画の立案
  4. 定期環境衛生検査の実施
  5. 保健教育の年間計画の立案

 

 


 

▶午前27改題

令和3年度(2021年度)の業務上疾病発生状況等調査における疾病分類別業務上疾病発生者数をグラフに示す。
110am27h
Aに該当するのはどれか。
なお、「新型コロナウイルスり患によるもの」を含む「病原体による疾病」はグラフから除いている。

 

  1. 化学物質による疾病
  2. 負傷に起因する疾病
  3. 物理的因子による疾病
  4. 作業態様に起因する疾病
  5. じん肺及びじん肺合併症

 

 


 

▶午前28

災害対策基本法に規定されているのはどれか。

 

  1. 救護所における医療
  2. 自主防災組織の育成
  3. 被災世帯の住宅再建支援
  4. 被災者への生活再建支援金給付
  5. 被災世帯への災害援護資金の貸し付け

 

 


 

▶午前29

観察開始時点での観察集団の人数に占める、一定の観察期間内に新たに発生した患者数の割合はどれか。

 

  1. 罹患率
  2. 罹患率比
  3. 累積罹患率
  4. 寄与危険割合
  5. 人口(集団)寄与危険

 

 


 

▶午前30

先進諸国(アメリカ合衆国、イギリス、スウェーデン、フランス、日本)における妊産婦死亡率の推移のグラフを別に示す。
110am30h
日本はどれか。

 

  1. A
  2. B
  3. C
  4. D
  5. E

 

 


 

▶午前31

健康の社会的決定要因のうち構造的決定要因はどれか。

 

  1. 教育
  2. 居住・職場環境
  3. 食品の入手可能性
  4. 心理・社会的要因
  5. 行動と生物学的要因

 

 


 

▶午前32

厚生労働省が「『地域共生社会』の実現に向けて」(平成29年)で示した強化すべき改革の骨格はどれか。2つ選べ。

 

  1. 地域移行支援
  2. 地域課題の解決力
  3. 地域における防犯活動
  4. 地域丸ごとのつながり
  5. 地域における医療と介護の一体的実施

 

 


 

▶午前33

ウイルス性肝炎について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. C型肝炎は四類感染症である。
  2. B型肝炎は定期予防接種の対象である。
  3. 健康増進法に基づく肝炎ウイルス検診は都道府県が実施主体である。
  4. C型慢性肝炎のインターフェロンフリー治療は公費助成の対象である。
  5. 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉に基づき肝炎対策の推進に関する基本的な指針が策定されている。

 

 


 

▶午前34

介護保険について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 被保険者は40歳以上の者である。
  2. 財源は保険料と公費が50%ずつである。
  3. 特定疾病には交通事故による外傷が含まれる。
  4. 要介護者のケアプランは地域包括支援センターが作成する。
  5. 要介護認定で非該当になったものは予防給付の対象となる。

 

 


 

▶午前35

介護老人保健施設で、ノロウイルスによる感染性胃腸炎症状が複数の入所者と職員に発生している。
施設が行うべき感染拡大防止のための対応で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 発症者と未発症者で居室を分ける。
  2. 嘔吐物の処理は十分に乾燥させてから行う。
  3. 感染者が使用したリネン類は60℃で1分間の熱水洗濯を行う。
  4. 発症した食品調理従事者の業務への復帰は胃腸炎症状が消失した日からとする。
  5. 感染者が使用した非金属製の食器の消毒は次亜塩素酸ナトリウム溶液を使用する。

 

 


 

▶午前36

自治体の保健師が行う業務管理はどれか。2つ選べ。

 

  1. 地域活動計画と他部門の計画との整合性を判断する。
  2. 専門性を向上させるための研修を実施する。
  3. 活動の評価を翌年度の計画に反映させる。
  4. 地域のニーズを踏まえた地域診断を行う。
  5. 相談や訪問などの記録を管理する。

 

 


 

▶午前37

標準偏差の説明で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 分散をもとに計算する。
  2. 変動係数の計算に用いる。
  3. 測定値の中で出現頻度が最大の値である。
  4. 測定値の合計をデータ数で除した値である。
  5. 標準偏差が大きいほどばらつきが小さいことを意味する。

 

 


 

▶午前38

平成26年(2014年)に成立した地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律〈医療介護総合確保推進法〉で示された地域医療構想について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 構想区域は現行の三次医療圏を原則としている。
  2. 地域包括ケアシステムの進捗と密接に関係する。
  3. 都道府県は地域医療構想の調整会議を設けて必要な協議を行う。
  4. 令和2年度(2020年度)末までに約9割の都道府県で策定を終えた。
  5. 令和22年(2040年)の医療需要と医療従事者の必要量を推計して定める。

 

 


 

▶午前39

生活保護について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 介護扶助は現物給付である。
  2. 所得保障の分類で社会手当に該当する。
  3. 保護開始の理由は「傷病による」が最も多い。
  4. 基本原理として補足性の原理が定められている。
  5. 社会保険制度として保険料によって運営される。

 

 


 

▶午前40

12人の体重(kg)のデータを値の大きさ順に表に示す。
第3四分位数の値を求めよ。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第2位を四捨五入すること。

110am40h

 

解答:①②.③kg

 

 


 

次の文を読み41~43の問いに答えよ。

A市には高度経済成長期に建設された100戸ほどの集合住宅がある。急な坂の上にあり、近年、高齢化が進んでいる。先日、集合住宅の1人暮らし高齢者が自宅で亡くなっている状態で発見された。集合住宅を含むこの地域の自治会長が会議で保健センターに来所した際に「亡くなった高齢者はほとんど人付き合いがなく、自宅で閉じこもっていたようです。二度とこのようなことが起こらないように、自治会でも何かできないでしょうか」と相談した。

 

▶午前41

保健センターの保健師の支援で最も適切なのはどれか。

 

  1. 地域包括支援センターに相談するよう促す。
  2. 自治会役員による1人暮らし高齢者宅への訪問を勧める。
  3. 住民を対象とした閉じこもり予防教室の開催を企画する。
  4. 自治会主催の地域住民を対象とした意見交換会の開催を提案する。

 

 


 

▶午前42

保健センターの保健師は、改めてこの集合住宅を含む地域についてアセスメントを行うことにした。
対象とするデータで優先度が高いのはどれか。

 

  1. 地域密着型サービスの事業所数
  2. 在宅療養支援診療所数
  3. 世帯構造別世帯数
  4. 生活保護世帯数

 

 


 

▶午前43

自治会長から「自治会が中心となって開催している既存の体操教室を、閉じこもりを予防するための定期的な集いの場にも活用したいと考えています。円滑に進めるために気を付けることはありますか」と保健師に相談があった。
保健師が最初に助言する内容はどれか。

 

  1. 「運営に携わる人で集いの場の目的を共有しましょう」
  2. 「集いの場で必要となる経費を算出しておきましょう」
  3. 「集いの場の年間計画を立てておきましょう」
  4. 「開催案内のチラシを作成しましょう」

 

 


 

次の文を読み44~46の問いに答えよ。

A社は、従業員800人のIT企業である。システムエンジニアを中心としたBグループに在籍する30名の社員は全員が情報機器作業に従事している。平均年齢は42歳で、ここ数か月の1か月当たりの時間外労働時間が30時間を超える者はいない。保健師が定期健康診断後に社員全員の面談を実施したところ、Bグループにおいて肩こり、腰痛、眼の疲れを訴える者が多いことが分かった。

 

▶午前44

情報機器作業の健康障害対策を検討するにあたり確認すべき情報はどれか。2つ選べ。

 

  1. 受動喫煙対策
  2. 一連続作業時間
  3. 職場の人間関係
  4. 職場環境測定の結果
  5. 生活習慣病の有病率

 

 


 

▶午前45

保健師は、Bグループの職場巡視をすることにした。
情報機器作業職場の職場巡視の確認項目で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 作業姿勢
  2. 疲労の訴え
  3. 職場の雰囲気
  4. 通路上の配線

 

 


 

▶午前46

職場巡視の結果、情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインが遵守されていないことが分かった。
保健師が最初に行う対応はどれか。

 

  1. 衛生委員会に職場巡視の結果を報告する。
  2. 情報機器作業者向けの健康相談を実施する。
  3. 管理職向けの情報機器作業に関する労働衛生教育を実施する。
  4. Bグループのリーダーにガイドラインを遵守するよう指導する。

 

 


 

次の文を読み47~49の問いに答えよ。

人口200万人のA県において、ある感染症の抗体保有率を把握するために標本調査を行うことにした。

 

▶午前47

この研究デザインはどれか。

 

  1. 横断研究
  2. 介入研究
  3. コホート研究
  4. 症例対照研究
  5. 生態学的研究

 

 


 

▶午前48

性別と年齢の分布が母集団のA県と等しくなるように、2,500人を標本抽出した。
この標本抽出方法はどれか。

 

  1. 系統抽出法
  2. 集落抽出法
  3. 層化抽出法
  4. 多段抽出法
  5. 単純無作為抽出法

 

 


 

▶午前49

抽出した2,500人のうち2,000人が調査に参加し、参加者の性別と年齢の分布に偏りはなかった。抗体保有者は1,800人であった。
調査で判明した抗体保有率はどれか。

 

  1. 0.09%
  2. 0.9%
  3. 72%
  4. 80%
  5. 90%

 

 


 

次の文を読み50、51の問いに答えよ。

Aさん(16歳、高校生)が最近太ってきたように感じた母親が、Aさんに確認したところ、しばらく月経がないことが分かった。母親が付き添って産婦人科を受診し妊娠24週であることが判明した。胎児の父親であるアルバイト先の先輩に妊娠を伝えたところ、音信不通となった。Aさんは両親と話し合った結果、出産して自分で育てることを決意し、町役場に母親と母子健康手帳の交付手続きで来所した。町役場の母子保健担当保健師がAさんと母親に面接し、Aさんは現在高校1年生であり、会社員の父と専業主婦の母と3人で暮らしていることが分かった。

 

▶午前50

面接時にAさんの体調を確認したうえで、保健師が行う支援で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 母親学級の紹介
  2. 育児支援体制の確認
  3. 育児手技取得の指導
  4. 学業継続の意思確認

 

 


 

▶午前51

Aさんは高校を休学してBちゃん(男児)を出産した。出産後は両親の支援を受けながら育児をしていたが、出産後10か月で高校に復学した。復学して半年が過ぎたころ、Aさんの母親から町役場に「育児が大変です」と電話があった。保健師はAさんとAさんの母親に育児状況を確認するため、家庭訪問を行った。家庭訪問で、Aさんは「今はBの世話は主に母がしてくれています。最近、部活を再開し土日も練習があります」と話した。Aさんの母親は「Bも大きくなってきたので、私の負担が大きいです」と話した。
家庭訪問時に保健師が勧める内容で最も適切なのはどれか。

 

  1. 子育て支援センターの利用
  2. Bちゃんの保育所への入所
  3. 部活動への参加日数を減らすこと
  4. 祖父母を対象にした育児講座への参加

 

 


 

次の文を読み52、53の問いに答えよ。

人口5万人のA市には高齢者が多い地域があり、災害が発生した場合に自ら避難することが困難な住民が多数発生することが懸念されている。A市では以前に避難行動要支援者の名簿を作成し、個別避難計画の作成も進んでいるが、その後に市内で転居した住民も多く、新たに障害や難病の認定を受けた住民も少なくない。このため、改めて住民の実態を確認して災害に備えることにした。

 

▶午前52

A市における避難行動要支援者名簿の説明で正しいのはどれか。

 

  1. 個別の避難計画が作成されている住民は名簿から除外する。
  2. 名簿に市が記載すべき事項について法律による規定はない。
  3. 災害の発災前に名簿の情報を利用できるのはA市職員に限られる。
  4. ハザードマップにおける危険地域から安全な地域へ転居している住民は名簿から除外する。
  5. 避難行動要支援者の把握のため県の保健所に対し難病患者情報の提供を求めることができる。

 

 


 

▶午前53

平日の昼の時間帯にA市を震源とする地震が発生し、家屋に被害を受けた住民は地域のB避難所、C避難所、D避難所へ避難した。3つの避難所は地域の学校の体育館を使用しており、広さは同程度で、避難者に年齢の偏りはないが、B避難所には収容人数の上限に近い避難者がいる。C避難所とD避難所の避難者数はいずれもB避難所の半数程度であるが、C避難所では当初、トイレの約7割が故障して仮設トイレの増設まで2日を要した。
発災5日目、避難所によっては、発熱、咳、下痢、嘔吐等の症状を訴える人が増加した。避難後に出現した症状ごとの有症者数の累計の表を以下に示す。
110am53h
B避難所、C避難所、D避難所と①~③の組合せで正しいのはどれか。

 

   ① ② ③

  1. B D C
  2. C B D
  3. C D B
  4. D B C
  5. D C B

 

 


 

次の文を読み54、55の問いに答えよ。

Aさん(85歳、男性)は息子(50歳)と2人暮らしで、介護保険サービスを利用していない。民生委員から市役所の保健師に「Aさんが最近痩せてきて、着替えもできていない様子。ここ数日見かけない。息子はたまにアルバイトをしているがほとんどAさんの年金で生活をしている」と相談があった。

 

▶午前54

保健師が民生委員と一緒に自宅を訪問すると、Aさんはごみが散乱している居間に寝ていた。息子は「父親の夕食は自分が弁当を買ってきている。朝食や昼食は夕食の弁当の残りを食べている」と言う。Aさんは失禁がみられ、数週間入浴もしていないようであった。
この事例への対応の緊急度を判断するための情報で最も重要なのはどれか。

 

  1. Aさんの年金額
  2. 別居家族の有無
  3. 息子の健康状態
  4. Aさんの栄養状態

 

 


 

▶午前55

保健師が息子と話をすると「1年前にかかりつけの医師から父は認知症だと説明された」「父はわざと自分を困らせようと失禁している」と言う。保健師は息子の大変さをねぎらい、息子へAさんの介護保険サービスを早急に利用するように伝えるが、息子は「お金がもったいない。このまま寝かせておく」と拒否した。
保健師の対応で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 息子と継続した面接を行う。
  2. 民生委員の見守りを継続する。
  3. 生活保護の申請手続きを支援する。
  4. Aさんの福祉の措置について検討する。
  5. 認知症の症状と対応方法について指導する。

 

 

 

第110回保健師国家試験・午後(55問)

 

 

▶午後1改題

子どもの貧困対策の推進に関する法律に基づく子供の貧困対策に関する大綱(令和元年)に示されているのはどれか。2つ選べ。

 

  1. いじめへの対応
  2. 児童手当の支給
  3. 保護者に対する就労支援
  4. 放課後等デイサービスの設置

 

 


 

▶午後2

学校保健安全法で規定されている児童生徒等に実施する定期健康診断で正しいのはどれか。

 

  1. 実施責任者は養護教諭である。
  2. 毎学年5月31日までに実施する。
  3. 検査項目の1つに栄養状態がある。
  4. 15日以内に本人および保護者への結果の通知義務がある。

 

 


 

▶午後3

出入国在留管理庁による国籍・地域別在留外国人数の年次推移を以下に示す。
110pm3h
Dの国はどれか。

 

  1. 韓国
  2. 中国
  3. ベトナム
  4. フィリピン

 

 


 

▶午後4

生活習慣病をもつ住民が自身の生活を見直すために役立つ情報を集め活用するのに必要なのはどれか。

 

  1. リーダーシップ
  2. コンプライアンス
  3. ヘルスリテラシー
  4. アカウンタビリティ

 

 


 

▶午後5

市では健康増進や介護予防を推進する住民活動を活性化させるために、各地区の健康づくりリーダーを養成することにした。
対象者を選定する方法で最も適切なのはどれか。

 

  1. 市民への募集
  2. 自治会員の輪番制
  3. 社会福祉協議会の推薦
  4. 地区担当保健師の推薦

 

 


 

▶午後6

人口100人のA地区は高齢化と過疎化が進行している中山間地域である。老人クラブの活動は積極的に行われているが、健康課題としてフレイルがある。民生委員、自治会役員、老人クラブは協力し合って、この課題に取り組む組織をつくることにした。
この組織の種類はどれか。

 

  1. 特定非営利活動法人〈NPO〉型
  2. セルフヘルプグループ型
  3. 委員会型
  4. 地縁型

 

 


 

▶午後7

4か月児健康診査の問診で正しいのはどれか。

 

  1. 「1人で座れますか」
  2. 「人見知りをしますか」
  3. 「あやすとよく笑いますか」
  4. 「音楽を聞かせると手足を動かして喜びますか」

 

 


 

▶午後8

Aさん(70歳、男性)は定年退職後、年金の給付を受けて、妻と2人で暮らしている。2年前にParkinson〈パーキンソン〉病と診断された。Hoehn-Yahr〈ホーエン・ヤール〉の重症度分類でステージⅢとなり、Aさんの妻が医療費助成の申請のため保健所に来所した。その際に家庭訪問の日時を約束し、保健師が訪問したところ、Aさんは「入浴や通院のときに不安を感じることがあるが、何とか自分のことは1人でできている」と話した。
初回訪問時の情報収集で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 住環境
  2. 家族関係
  3. 経済状況
  4. 病院への通院方法

 

 


 

▶午後10

予防接種について正しいのはどれか。

 

  1. 定期接種の実施主体は都道府県である。
  2. 学校などでの集団接種を原則としている。
  3. 流行性耳下腺炎は定期接種の対象である。
  4. 定期接種による健康被害には予防接種健康被害救済制度がある。

 

 


 

▶午後11

セクシュアリティに配慮が必要な児童生徒に対して学校が行う支援内容で適切なのはどれか。

 

  1. 制服は生物学的な性に合わせる。
  2. 通知表は児童生徒が希望する呼称で記す。
  3. 当該児童生徒への配慮を同級生に周知する。
  4. 医療機関の助言を受けてからサポートチームを設置する。

 

 


 

▶午後12

常時使用する労働者が35名の事業場(製造業)に選任が義務付けられているのはどれか。

 

  1. 産業医
  2. 保健師
  3. 衛生管理者
  4. 安全衛生推進者

 

 


 

▶午後13

健康危機管理について正しいのはどれか。

 

  1. 対象分野に児童虐待が含まれる。
  2. 定義は地域保健法に規定されている。
  3. 市町村の地域防災計画の策定は努力義務である。
  4. 対応は有事対応と事後対応の2つに大別される。

 

 


 

▶午後14

公衆衛生看護管理における地区管理はどれか。

 

  1. 継続支援を必要とする人のモニタリングをする。
  2. 新規事業の予算確保のために企画書を作成する。
  3. 潜在的な健康課題も含めた地域の健康課題を把握する。
  4. 地域の健康課題について他の自治体の先進事例を調べる。

 

 


 

▶午後15

平成15年(2003年)の「地域保健従事者の資質の向上に関する検討会報告書」における地域保健従事者に求められる能力のうち「行政職員としての能力」はどれか。

 

  1. 交渉・折衝能力
  2. 健康危機管理能力
  3. 保健事業運営能力
  4. 個人・家族に対する支援能力

 

 


 

▶午後16

解析時に可能な交絡要因の制御方法はどれか。

 

  1. 限定
  2. 層化
  3. マッチング
  4. 無作為割付

 

 


 

▶午後17

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(Universal Health Coverage:UHC)の説明で正しいのはどれか。

 

  1. すべての人が適切な保健医療サービスに支払い可能な費用でアクセスできる状態
  2. 労働条件の国際基準となる条約や勧告を採択し、批准国への監視を行う機関
  3. すべての子どもが命と権利を守り安全な生活を送れるよう支援する基金
  4. 世界の人々の福祉の実現や、人権の国際的な保障を目的としている機関

 

 


 

▶午後18

医療法に基づき医療機関へ立入検査を行うのはどれか。

 

  1. 特定機能病院の医療安全管理者
  2. 医療安全支援センターの職員
  3. 保健所の環境衛生監視員
  4. 都道府県の医療監視員

 

 


 

▶午後19

第3期がん対策推進基本計画の目標項目で正しいのはどれか。

 

  1. がん有病率
  2. がん検診受診率
  3. 緩和ケア病棟数
  4. がん患者の支援団体数

 

 


 

▶午後20

同じ健康課題をもつ住民が主体となったグループの発展段階を準備期、開始期、作業期、終結期に分類した場合、作業期の特徴はどれか。

 

  1. 成果を出そうとする。
  2. メンバーに警戒がみられる。
  3. グループの構造化がみられる。
  4. メンバーは自分たちの居場所を見出そうとする。

 

 


 

▶午後21

生活習慣病予防を目的にした活動で、ナッジ理論を活用しているのはどれか。

 

  1. 階段に消費カロリーを表示する。
  2. 生活習慣病のメカニズムについて説明する。
  3. 仲間づくりを意図したグループワークを行う。
  4. 自分の目標を周囲の人に宣言するように勧める。

 

 


 

▶午後22改題

令和3年(2021年)の学校保健統計調査における学校種別の主な疾病・異常被患率を以下に示す。
110pm22h1
110pm22h2
110pm22h3
110pm22h4
裸眼視力1.0未満の者を示したグラフはどれか。

 

  1. A
  2. B
  3. C
  4. D

 

 


 

▶午後23

因果関係を推論する上で相対危険やオッズ比の大きさが指標となるのはどれか。

 

  1. 関連の一致性
  2. 関連の強固性
  3. 関連の時間性
  4. 関連の整合性
  5. 関連の特異性

 

 


 

▶午後24

全国がん登録制度について正しいのはどれか。

 

  1. 罹患率を計測する。
  2. 健康増進法に基づいている。
  3. 診断後7日以内に届け出る。
  4. がん罹患者の同意が必要である。
  5. 指定届出機関による定点把握である。

 

 


 

▶午後25改題

令和4年(2022年)の人口動態統計における10~14歳の死因順位の第1位はどれか。

 

  1. 自殺
  2. 肺炎
  3. 心疾患
  4. 悪性新生物
  5. 先天奇形、変形及び染色体異常

 

 


 

▶午後26

厚生労働省に地域保健・健康増進事業報告を行うのはどれか。

 

  1. 介護保険施設
  2. 企業および事業所
  3. がん診療連携拠点病院
  4. 保健所および市区町村
  5. 病院、療養病床を有する診療所

 

 


 

▶午後27

A市における乳がん検診受診者数が今年8月で昨年度1年間の受診者数を超え、予定していた年間支出額を上回ることが見込まれるため、次年度の支出見込額を増額することになった。
今年度の増額分に対応するために編成されるのはどれか。

 

  1. 一般会計
  2. 暫定予算
  3. 当初予算
  4. 特別会計
  5. 補正予算

 

 


 

▶午後28

A市では職員の仕事と子育ての両立を図るための市町村行動計画を策定した。
この取り組みの根拠となる法律はどれか。

 

  1. 健康増進法
  2. 児童福祉法
  3. 母子保健法
  4. 子ども・子育て支援法
  5. 次世代育成支援対策推進法

 

 


 

▶午後29

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉で規定されているのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 検疫所の設置
  2. 飼い犬の狂犬病予防注射
  3. 病原体に汚染された場所の消毒
  4. 結核患者の通院医療費の公費負担
  5. 食中毒発生時の飲食店の営業停止

 

 


 

▶午後30

歯科保健施策について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 歯科疾患実態調査は3年ごとに実施されている。
  2. 健康増進法によって歯周疾患検診が義務化された。
  3. ライフステージごとの歯科口腔保健事業の推進が図られている。
  4. 平成23年(2011年)に歯科口腔保健の推進に関する法律が施行された。
  5. 第1次国民健康づくり対策の課題の1つとして歯の健康が取り上げられた。

 

 


 

▶午後31

地域支援事業のうち包括的支援事業はどれか。2つ選べ。

 

  1. 総合相談支援
  2. 通所型サービス
  3. 家族介護支援事業
  4. 介護予防ケアマネジメント
  5. 地域リハビリテーション活動支援事業

 

 


 

▶午後32

産業保健総合支援センターの業務で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 産業医の選任を行う。
  2. 特殊健康診断を実施する。
  3. 衛生管理者を対象に研修を実施する。
  4. 労災補償の支給決定のための調査を行う。
  5. 事業場のメンタルヘルス対策の普及促進を行う。

 

 


 

▶午後33

自然災害に備えた地方自治体における事業継続計画〈Business Continuity Plan:BCP〉で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 地域防災計画で代用できる。
  2. 継続の優先度が高い事業を特定する。
  3. 策定に際しては自治体の全部署が参画する。
  4. 災害発生後の急性期から復興期までの計画を立てる。
  5. 策定の過程でパブリックコメントを求める必要がある。

 

 


 

▶午後34

リスクコミュニケーションについて正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 地域保健法に規定されている。
  2. リスクについて双方向的な意見交換を行う。
  3. リスクに伴う住民の情緒的な不安の軽減は目的に含まれない。
  4. 住民自身がリスクへの対応について主体的な選択をできるよう支援する。
  5. 感染症発生時には患者ごとに年齢、住所、診断医療機関名等の詳細な情報を公表する。

 

 


 

▶午後35

国勢調査について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 3年ごとに実施する。
  2. 人口静態を把握する。
  3. 厚生労働省が実施する。
  4. 調査区を無作為抽出する。
  5. 世帯員と世帯について調査を実施する。

 

 


 

次の文を読み36~38の問いに答えよ。

Aさん(48歳、女性)の特定健康診査の結果は、身長160.5cm、体重76.8kg、BMI30、腹囲93cm、血圧135/85mmHg、空腹時血糖95mg/dL、HDLコレステロール38mg/dL、中性脂肪200mg/dLであり、喫煙歴はない。保健師は特定健康診査の結果に基づき「生活習慣について一緒に見直しましょう」と電話連絡をした。当初、Aさんは「今のところ生活習慣を変えるつもりはない」と言っていたが、保健師の働きかけで初回面接を受けることになった。

 

▶午後36

保健師は変化ステージ理論を用いて初回面接を実施した。
Aさんから得る情報で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 食事の好み
  2. 1日の運動量
  3. 過去10年間の体重
  4. 現在の自分の健康状態に対する認識

 

 


 

▶午後37

3か月後のAさんとの評価面接において、体重74kg、腹囲90cmに減少していた。Aさんは「初回面接から間食はしないようにしているし、ご飯は小さなお茶碗に変えて1杯だけに減らしている。しかし、7,000歩を毎日歩くことはできず体重は目標達成に至っていない」と話した。
変化ステージ理論における現在のAさんのステージはどれか。

 

  1. 関心期
  2. 準備期
  3. 実行期
  4. 維持期

 

 


 

▶午後38

面接後、Aさんは「これからも続けられるか不安だ」と話した。そこでAさんのこれまでの努力を承認し、継続の重要性を伝え「継続できたら1か月ごとに自分にご褒美をあげるのはどうですか」と提案した。
このときのAさんに対する保健師の働きかけはどれか。

 

  1. 意識の高揚
  2. 環境の再評価
  3. 強化マネジメント
  4. 刺激コントロール

 

 


 

次の文を読み39~41の問いに答えよ。

人口5万人のA市は中心地にマンションが増え、山間部は古い日本家屋が立ち並んでいる。高齢者人口割合は33%で、今後も増加すると見込まれている。要介護状態となる者の割合が年々増加しており、他市に比べても高いことから、保健師は、A市の高齢者の実態を明らかにした上で、新たな介護予防事業を検討することにした。

 

▶午後39

新たな介護予防事業を検討するために収集する情報で最も適切なのはどれか。

 

  1. 特定健康診査の結果
  2. 介護サービス施設・事業所調査の結果
  3. 要介護認定者の介護サービスの利用状況
  4. 基本チェックリストによる生活機能評価の結果

 

 


 

▶午後40

介護が必要となった原因を全国および県と比較したところ「骨折」の割合が高いことが分かった。そこで、特定健康診査受診時の問診で「この1年間に転んだことがある」と回答した65歳以上の高齢者に聞き取り調査を行うことにした。
聞き取り調査の内容で最も適切なのはどれか。

 

  1. 転倒した場所
  2. 食事の摂取内容
  3. 同居家族の有無
  4. 骨粗しょう症検診の受診の有無

 

 


 

▶午後41

聞き取り調査の結果を踏まえ、介護予防事業の実施に向けて地域ケア会議を開催することにした。
地域の実態の共有を行う会議の参加者で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 民生委員
  2. A市医師会の会長
  3. A市の管理栄養士
  4. 病院の理学療法士

 

 


 

次の文を読み42~44の問いに答えよ。

Aさん(56歳、女性、無職)は1年前に職を失ってから飲酒量が増え、半年前には多量飲酒で意識消失し大学病院に救急搬送され、アルコール依存症が疑われたが、治療にはつながらなかった。警察署から、B町の保健師に「B町に住むAさんが泥酔して公園で寝ていたところを保護している。保護したのはこの半年で3回目だ。Aさんは1人暮らしだが、B町に姉のCさんがいるので、Cさんに迎えに来てもらっていた。今回はCさんに連絡がとれないので、保健師の支援をお願いできないか。保健師に連絡することは本人が同意している」と連絡があった。保健師は、住民基本台帳でAさんとCさんがB町に居住していることを確認した。

 

▶午後42

保健師は上司に報告および相談し、警察署にAさんを迎えに行き、Aさんの自宅で面接することになった。
この面接の際に把握する情報で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 今回の飲酒の理由
  2. 自宅の整理整頓の状況
  3. AさんとCさんの関係性
  4. かかりつけの医師の有無

 

 


 

▶午後43

保健師が翌日に再度訪問すると、Aさんは「お酒をやめられず、どうしていいかわからない」と話したため、Aさんはアルコール依存症の治療プログラムを受ける目的で入院した。退院が近づき、Aさん、Cさん、医師、受持ち看護師、保健師でカンファレンスを行った。Aさんは「1人暮らしで、誰とも話さずに家でじっとしているとお酒を飲んでしまいそう」と話した。
この状況でAさんに勧められる可能性が高いのはどれか。

 

  1. 運動教室への参加
  2. 自助グループへの参加
  3. 就労に向けたハローワークの利用
  4. 地域のボランティア活動への参加

 

 


 

▶午後44

退院後2週、保健師はAさんの受診継続や断酒状況を確認するため、Aさんの自宅を訪問した。その際、Cさんからも話を聞くため、同席を依頼した。Cさんは「妹は通院していますが飲酒は続いています。お金に困っているのにお酒を飲むのをやめられず、妹もつらいようで、私がアルコール度数の低いお酒を買って届けています」と話した。
保健師のCさんへの助言で適切なのはどれか。

 

  1. 「Aさんの趣味を探しましょう」
  2. 「同居してAさんが飲酒しないよう見守りましょう」
  3. 「Aさんにお金がないという現実に向き合ってもらいましょう」
  4. 「Aさんの飲酒に関する困りごとを代わりに解決しないようにしましょう」

 

 


 

次の文を読み45~47の問いに答えよ。

Aさん(15歳、男子、中学3年生)はこれまで保健室に来室することがなかったが、今週に入り「お腹が痛い」「頭が痛い」と訴えて2回来室した。来室すると養護教諭が促すまで教室に戻ることがない。

 

▶午後45

Aさんが来室したときの養護教諭の対応で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 早退を勧める。
  2. 医療機関への受診を勧める。
  3. 身体的な症状の問診をする。
  4. 保健室は長時間利用できないことを説明する。

 

 


 

▶午後46

Aさんは毎日保健室へ来室するようになった。気になった養護教諭が「何かあったのか」と尋ねると、いじめに遭っていると話し始めた。Aさんは同級生にスマートフォンで撮られた自分の画像を、無断でクラス中に共有されたことがきっかけで教室に入るのが怖くなったと話した。
Aさんのつらい気持ちを受け止めたあと、次に養護教諭が行う対応で適切なのはどれか。

 

  1. 誰が画像の共有を始めたのかを尋ねる。
  2. いじめが解決するまで学校を休むよう勧める。
  3. 共有された画像の確認をAさんと一緒に行う。
  4. Aさんが話してくれたことを担任教諭に伝えてよいかを確認する。

 

 


 

▶午後47

Aさんの事例を受けて、改めて中学校全体でいじめ防止対策を実施することになった。

 

  1. この時点で学校が行ういじめ防止対策はどれか。
  2. 所轄警察署との連携
  3. いじめ相談窓口の再周知
  4. いじめ対応事例集の作成
  5. いじめ加害者に対する懲戒制度の検討

 

 


 

次の文を読み48~50の問いに答えよ。

Aさん(22歳、男性、大学生)は、10月から咳嗽が出現し、12月に増強したため、医療機関を受診したところ感染性の肺結核と診断された。診断した医師からB保健所に結核発生の届出があった。Aさんはこれまで結核の既往はない。

 

▶午後48

Aさんの居住する寮および大学がB保健所管内であり、接触者健康診断を実施することになった。B保健所の保健師がAさんに面接で確認した状況を以下に示す。
最優先に接触者健康診断を行うことが望ましい接触者はどれか。

 

  1. 同じ講義を履修している学生
  2. 同じ寮で生活している学生
  3. 別の大学の友人
  4. 講義を担当している大学の教員

 

 


 

▶午後49

接触者健康診断でAさんの通う大学の学生および教員からは、10人の患者と20人の潜在性結核感染者が発見された。
この学生および教員の服薬確認を行う場所で最も適切なのはどれか。

 

  1. 医療機関
  2. B保健所
  3. 大学の健康管理室
  4. 学生および教員の住所地を管轄している保健所

 

 


 

▶午後50

Aさんの結核は薬剤耐性がなく標準治療を行っていたが、翌年4月に就職のため隣県のC保健所管内に転居することになった。
今後のAさんの管理で正しいのはどれか。

 

  1. 通院予定の医療機関の医師からC保健所へ結核の発生届の提出が必要である。
  2. 転居後のAさんへの治療中の支援はC保健所が実施する。
  3. Aさんの服薬は治療開始後1年で終了する予定である。
  4. 治療終了後のAさんの管理はB保健所が実施する。

 

 


 

次の文を読み51、52の問いに答えよ。

Aちゃん(1歳7か月、女児)、在胎週数37週0日、出生体重1,980gで、低酸素性虚血性脳症でNICUに入院した。生後3か月に気管切開術を受け、24時間人工呼吸器管理である。他市からの転入のため保健センターに連絡があった。転入前に1歳6か月児健康診査は受診済みである。
市保健センターの保健師が家庭訪問をしたところ、父親(40歳)は単身赴任で、母親(38歳)がAちゃんの世話をしていた。Aちゃんは支えれば座ることはできるが寝返りは難しく、2時間ごとに気管内吸引と経管栄養を実施していた。外来診療(月1回)、訪問診療(月2回)、訪問看護(週1回)を利用し、身体障害者手帳1級(肢体不自由)は取得していた。市内に住む祖母(63歳)が手伝いに来ている。

 

▶午後51

Aちゃんの家族の健康課題をアセスメントするために、保健師が収集する情報で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 祖母の育児負担状況
  2. 母親の心身の疲労状況
  3. 母親の訪問看護に対する満足度
  4. 単身赴任している父親の育児への思い

 

 


 

▶午後52

3か月後、母親から「新しい生活にAが慣れてきたので、Aが楽しめることを増やしてやりたい」と相談を受けた。
保健師の相談対応で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 保健師の訪問回数を増やす。
  2. 発達相談支援事業所の通所を提案する。
  3. 祖母が児と遊ぶ時間をもてるよう調整する。
  4. 母に児との遊びを通したコミュニケーションを指導する。
  5. 訪問看護師に児とのコミュニケーションを増やせるか相談する。

 

 


 

次の文を読み53、54の問いに答えよ。

A市で実施している1歳6か月児健康診査では、「経過観察」の割合が年々増加している。そこで、経過観察となった親子を対象に、県と連携して新規事業の立ち上げを検討することにした。

 

▶午後53

最初に取り組むのはどれか。

 

  1. 新規事業のプログラムの検討
  2. 事業の運営に携わるスタッフの選定
  3. 1歳6か月児健康診査で経過観察と判断した理由の分析
  4. 乳幼児を持つ母親への困りごとに関するアンケート調査の実施

 

 


 

▶午後54

事業は母親が子どもと一緒に遊びながら関わり方を学んでいく内容で、月に1回、交通の便が良い会場で開催した。毎回、定員を超える希望者があった。県とは3か月に1回の連携会議を開催し、課題の共有と改善方法の検討を行った。1年後、参加者からは、子どもとの関わり方のヒントが得られ、安心して子育てができるようになったとの感想が聞かれた。
事業の評価の種類とその指標の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. プロセス評価――定員を超える希望者数
  2. アウトカム評価――安心して子育てができると感じた参加者の増加
  3. アウトプット評価――会場の交通の便の良さ
  4. ストラクチャー評価――3か月に1回の県との連携会議の開催

 

 


 

次の文を読み55の問いに答えよ。

人口250万人のA県。特定健康診査の受診率が35%、特定保健指導の実施率は隣県より低い。40~50歳代の肥満と高血圧者が増加している。また、30歳代の喫煙率も男性が40%、女性が20%と隣県より高い。県の方針として健康寿命の延伸と生活習慣病予防を掲げ、地域・職域連携推進に取り組むために地域・職域連携推進協議会を設けることにした。

 

▶午後55

初回の会議で取り上げる議題で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. A県の勤労世代における健康課題
  2. 高血圧の就労者に向けた講演会の内容
  3. 小規模事業者の特定保健指導のあり方
  4. 健康経営認定事業所を増やすための取り組み
  5. 協議会に参加する組織で実施している健康増進事業

 

 


 

資料 厚生労働省「第110回保健師国家試験、第107回助産師国家試験、第113回看護師国家試験の問題および正答について

 

 

▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 医師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 薬剤師国家試験に出る国民衛生の動向

 

国民衛生の動向」は、毎年わが国の衛生の状況や保健行政の動向を解説したものとして、昭和24年の創刊以来、公衆衛生テキストの決定版として長年ご愛用いただいています。とくに、本誌では最新の衛生を取り巻く制度の解説や人口・健康状況などの統計が網羅されており、医療関係者の国家試験対策のテキストとしても広く活用されているところです。

 

当ページでは、保健師国家試験の受験者向けに、最新の「国民衛生の動向2024/2025」がカバーする保健師試験の過去問をピックアップし、本誌の該当箇所を示します。問題を解きながら不明な部分を本誌で確認し、学習効率の向上にご活用下さい。

 

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国民衛生の動向 2024/2025

 

発売日:2024.8.27

定価:2,970円(税込)

412頁・B5判

雑誌コード:03854-08

 

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保健師国家試験について

最新の試験日程や手続き等の情報は、保健師国家試験の施行(厚生労働省)をご確認下さい。

 

保健師国家試験は昭和27年(1952年)から開始し、最新では令和6年(2024年)2月に110回目の試験が実施されました。過去10年間の受験者数、合格者数、合格率は以下のとおりです。

 

 

 受験者数   合格者数   合格率 
 110回(2024年)   7,795人   7,456人   95.7% 
 109回(2023年)   8,085人   7,579人   93.7% 
 108回(2022年)   7,948人   7,094人   89.3% 
 107回(2021年)   7,834人   7,387人   94.3% 
 106回(2020年)   8,233人   7,537人   91.5% 
 105回(2019年)   8,376人   6,852人   81.8% 
 104回(2018年)   8,191人   6,666人   81.4% 
 103回(2017年)   8,207人   7,450人   90.8% 
 102回(2016年)   8,799人   7,901人   89.8% 
 101回(2015年)   16,622人   16,517人   99.4% 

※102回(2016年)の大幅な減少は受験資格の変更による。

 

直近5回をみると、受験者数、合格者数は横ばい傾向で、合格率は年により変動があるものの8割から9割前後で推移しています。合格基準は、一般問題(1問1点の75問)と状況設定問題(1問2点の35問)を合わせた145点のうち87点(60%)以上とされます(不適切な問題として除外等されない場合)。

 

問題数は110問で、合わせて資格が必要となる看護師の国家試験(全240問)と比べて少なく設定されていますが、複合的な知識や思考を駆使して正答にたどり着くような問題が多く、また、細かい統計の数値や制度のあゆみが問われることもあり、付け焼き刃的な学習では合格基準に届かない場合もあります。そのため、過去問をしっかり解いて全体の傾向を把握し、それに結びついた知識を参考書などで肉付けしていくことが重要となります。

 

保健師国家試験の出題基準は、平成9年の公表以来、保健師助産師看護師国家試験出題基準改定部会で検討を行い、改定を重ねてきており、令和5年実施の試験からは、「保健師助産師看護師国家試験出題基準 令和5年版」が適用されています。出題基準では、公衆衛生看護学として、概論、方法論、対象別公衆衛生看護活動論、学校保健・産業保健、健康危機管理、公衆衛生看護管理論の各領域が設けられているほか、疫学、保健統計、保健医療福祉行政論の各分野で幅広い出題範囲が設定されています。 

 

問題種類別 保健師試験過去問題

過去の保健師国家試験に出題された問題を、テーマ別に分けてポイントを解説しています。

本格的に試験対策を始める前の傾向を知る際、また、試験直前の確認などにお使い下さい。

 

  

試験年次別 保健師試験過去問題

保健師国家試験の年次別に問題と正答、「国民衛生の動向」が対応する章・ページ数を掲載します。

問題を解きながら「国民衛生の動向」を確認し、知識の定着に役立てて下さい。

 

 

保健師国家試験過去問題PDF

厚生労働省が公表している過去10年間の問題、正答のPDFの一覧です。

 

第110回

(2024年)

午前問題

午後問題

午前問題別冊 正答

第109回

(2023年)

午前問題

午後問題

  正答

第108回

(2022年)

午前問題 

午後問題

  正答 

第107回

(2021年)

午前問題

午後問題

午前問題別冊  正答

第106回

(2020年)

午前問題

午後問題

  正答

第105回

(2019年)

午前問題

午後問題

午前問題別冊 正答

第104回

(2018年)

午前問題

午後問題

  正答

第103回

(2017年)

午前問題

午後問題

  正答

第102回

(2016年)

午前問題

午後問題

  正答

第101回

(2015年)

午前問題

午後問題

  正答

 

 

医療職国家試験に出る国民衛生の動向

保健師として必要となる看護師資格を得るための看護師国家試験のほか、医師、薬剤師国家試験の統計問題など「国民衛生の動向」が対応する問題とポイントを掲載しています。
内容も重なる部分が多く、知識の定着や予想問題として活用することをおすすめします。

 

 

図説 国民衛生の動向

9784875118046

 

図説 国民衛生の動向』は、「国民衛生の動向」の図説ダイジェスト版です。「国民衛生の動向」の内容に沿って、1ページ1テーマで、フルカラーの図表とともに要点を絞って解説しています。

保健師国家試験の内容も広くカバーしていますので、記述量の多い「国民衛生の動向」の手軽な副読本としても活用できます。

 

医療職のための統計セミナー

厚生労働統計協会では、保健師等の医療職の皆様のキャリアアップのために、研究発表や論文作成に必要な統計知識を実践的に学んでいただくオンラインセミナーを、毎年数回開催しています。

詳細はこちらをご確認下さい。

国民衛生の動向」は、昭和24年の創刊以来、時代の変化に合わせて、わが国の衛生を取り巻く最新の状況を網羅する本として幅広く利用されています。

 

かつては、結核をはじめとした感染症対策がその記述の中心でしたが、近年では感染症を軸とした対策から、生活習慣の改善による発症予防(一次予防)を推進する生活習慣病対策に重点が置かれてきていました。


しかし、2020年以降、新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、医療機関や保健所だけでなく、介護施設や飲食店、学校、家庭などでも感染症対策の重要性が再認識されたところです。こうした中で、保健師国家試験では、これまで以上に感染症を問う問題が出題されると考えられます。

 

当ページでは、110回(2024年)から99回(2013年)の12年分の試験問題の中から感染症問題をピックアップし、簡易的な説明とともに示します。問題を解きながら、「国民衛生の動向」第3編3章の感染症対策の記述を参考に、感染症法の規定、各感染症の特徴、医療機関における予防策など、総合的に把握することが大切です。

 

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国民衛生の動向 2024/2025

 

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412頁・B5判

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▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

目次

 

 

国際的な感染症対策

新興感染症・再興感染症

  • それまで知られていなかった新しい病原体による感染症を新興感染症、近い将来克服されると考えられていた既知の感染症が再流行したものを再興感染症という。
  • わが国の再興感染症の例としては、地球温暖化等の影響によるデング熱の流行、抗体保有率の低下による麻疹・風疹の流行がみられた。

 

▶104回午前34

日本における再興感染症はどれか。2つ選べ。

 

  1. 麻疹
  2. デング熱
  3. エボラ出血熱
  4. ウエストナイル熱
  5. 重症急性呼吸器症候群〈SARS〉

 

 

検疫

  • 検疫は、国内に常在しない新興・再興感染症が船舶や航空機を介して国内に侵入することを防ぐために実施されるもので、国内法としては検疫法に基づいて行われる。
  • 海港・空港に設置される検疫所では、人の検疫や港湾衛生業務、海外感染症情報の収集と提供、申請業務などを行っている。

 

▶109回午後32

検疫所の説明で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 保健所に設置されている。
  2. 海外感染症情報の収集と提供を行う。
  3. 感染症サーベイランスの分析を行う。
  4. 国内に常在しない感染症の病原体が侵入することを防ぐ。
  5. 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉に基づき業務を行う。

 

 

世界保健機関(WHO)

世界保健機関(WHO)は、感染症の国際的な流行を最大限防止するため、感染症発生状況の監視・報告体制の整備、予防接種ワクチンの分配など、感染症対策を広く実施している。

 

▶105回午後2

世界保健機関〈WHO〉の行う活動で正しいのはどれか。

 

  1. 開発途上国の保健医療従事者の研修員の受け入れ
  2. 戦争や内戦で被害を受けている子どもの支援
  3. 難民に関する国際的な諸規定の監督
  4. 予防接種拡大計画の推進

 

 


 

▶100回午前25

世界保健機関〈WHO〉の機能について正しいのはどれか。

 

  1. 青年海外協力隊の派遣
  2. 国際社会の平和と安全の維持
  3. 開発途上国における学校の建設
  4. 新興・再興感染症の監視網の構築

 

 

 

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉

法成立の経緯

感染症法は、平成11年(1999年)にそれまでの「伝染病予防法」「性病予防法」「後天性免疫不全症候群の予防に関する法律」を廃止・統合する形で施行され、平成19年(2007年)には「結核予防法」が廃止・統合された。

 

▶109回午後35

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉に統合され廃止された法律はどれか。2つ選べ。

 

  1. 後天性免疫不全症候群の予防に関する法律
  2. トラホーム予防法
  3. 狂犬病予防法
  4. 結核予防法
  5. らい予防法

 

 

感染症発生動向調査

感染症発生動向調査は平時における国内の感染症サーベイランス(監視)であり、感染症の発生が医療機関、保健所、都道府県、厚生労働省と報告され、その流行状況を調査集計し、感染症の拡大を防止するものである。

 

▶107回午前12

健康危機の発生の未然防止に該当するのはどれか。

 

  1. 緊急相談窓口の設置
  2. 感染症サーベイランス
  3. 避難行動要支援者の把握
  4. 心的外傷後ストレス障害〈PTSD〉のある人への支援

 

 


 

▶106回午前13

感染症サーベイランスで、医療機関、保健所、都道府県を経て厚生労働省に報告されるのはどれか。

 

  1. 積極的疫学調査
  2. 感染症発生動向調査
  3. 感染症流行予測調査
  4. 院内感染サーベイランス事業

 

 


 

▶102回午後14

感染症に対する健康危機管理の平常時の対応はどれか。

 

  1. 空港での水際対策
  2. 積極的疫学調査の実施
  3. 感染症発生動向調査の実施
  4. 厚生労働省対策本部の設置

 

 

積極的疫学調査

感染症法15条に基づき、都道府県知事は感染症の発生時にその予防、または発生の状況・動向・原因を明らかにする必要があると認められる場合、必要な調査(積極的疫学調査)をさせることができる。

 

▶109回午後14

健康危機管理で感染症の発生時の対応はどれか。

 

  1. 積極的疫学調査の実施
  2. 感染症指定医療機関の指定
  3. 感染症発生動向調査の実施
  4. 地域DOTSの関係機関への研修の実施

 

 


 

▶103回午後2

市町村の保健師の活動として適切でないのはどれか。

 

  1. 細菌性赤痢の患者の積極的疫学調査
  2. 老人クラブでの健康教育の実施
  3. 統合失調症患者への家庭訪問
  4. 16歳の妊婦への保健指導

 

 

感染症の分類

感染症法では、対象とする感染症の感染力や罹患した場合の症状の重篤性などに基づいて1~5類感染症、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症、新感染症に分類している。

 

【対象感染症の一例】

  • 1類感染症:エボラ出血熱、痘そう、ペスト
  • 2類感染症:急性灰白髄炎、結核、重症急性呼吸器症候群〈SARS〉、鳥インフルエンザ(H5N1、H7N9)
  • 3類感染症:コレラ、腸管出血性大腸菌感染症
  • 4類感染症:A型肝炎、E型肝炎、マラリア、日本脳炎
  • 5類感染症:後天性免疫不全症候群〈AIDS〉、梅毒、B型肝炎、C型肝炎、麻疹、風疹、細菌性髄膜炎、水痘

 

▶104回午前36

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉における1類感染症はどれか。2つ選べ。

 

  1. コレラ
  2. 痘そう
  3. ペスト
  4. マラリア
  5. 急性灰白髄炎

 

 

感染症法に基づく届出基準

  • 1~4類感染症と、5類感染症の一部(侵襲性髄膜炎菌感染症、風疹および麻疹)、新型インフルエンザ等感染症を診断した医師は、直ちに最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出なければならない。
  • 上記以外の5類感染症で全数把握対象疾患となっているものについては7日以内に届け出なければならない。また、全数把握対象疾患を除く5類感染症については、定点把握対象疾患として定点医療機関の協力の下に週単位、月単位などの届出により流行状況を把握している。

 

▶109回午前36・101回午前37類問

健康危機管理に関する保健所の業務はどれか。2つ選べ。

 

  1. 食中毒発生時の調査
  2. 狂犬病発生時の厚生労働大臣への報告
  3. 感染症患者を診断した医師からの届け出の受付
  4. 保育所で乳児が突然死したときの届け出の受理
  5. 虐待が認定された介護老人福祉施設の指定の取り消し

 

 


 

▶101回午後12

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に基づき、診断した医師が直ちに届け出なければならないのはどれか。

 

  1. 結核
  2. 梅毒
  3. アメーバ赤痢
  4. 流行性角結膜炎

 

 


 

▶105回午前33

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉の五類感染症のうち、直ちに届け出る必要があるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 麻しん
  2. 百日咳
  3. 破傷風
  4. 侵襲性髄膜炎菌感染症
  5. Creutzfeldt-Jakob〈クロイツフェルト・ヤコブ〉病

 

 


 

▶109回午前39

感染症発生動向調査で全数把握の対象となるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 結核
  2. 麻疹
  3. 手足口病
  4. マイコプラズマ肺炎
  5. 性器クラミジア感染症

 

 


 

▶103回午前34

感染症発生動向調査において全数把握の対象となるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 風疹
  2. 百日咳
  3. 日本脳炎
  4. マイコプラズマ肺炎
  5. 性器クラミジア感染症

 

 


 

▶108回午前32

平常時に指定医療機関から患者発生数の報告を受けて流行状況を把握する定点把握対象疾患はどれか。2つ選べ。

 

  1. 結核
  2. コレラ
  3. 急性出血性結膜炎
  4. 鳥インフルエンザ
  5. 性器クラミジア感染症

 

 

入院勧告制度

  • 感染症患者が感染症法に基づいて入院する場合、十分な説明と同意に基づいた入院を期待する入院勧告制度がとられ、感染症指定医療機関での医療費が公費負担される。
  • 感染症指定医療機関については、厚生労働大臣が指定する特定感染症指定医療機関(新感染症患者対象)と、都道府県知事が指定する第1種感染症指定医療機関(1類感染症患者対象)・第2種感染症指定医療機関(2類感染症患者対象)が法定化されている。

 

▶103回午後22

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉について正しいのはどれか。

 

  1. 予防接種を行う疾病を定めている。
  2. 十分な説明と同意に基づいた入院勧告制度がある。
  3. 特定感染症指定医療機関は都道府県知事が指定する。
  4. 4類感染症を診断した医師は7日以内に届出を行わなければならない。

 

 


 

▶107回午前22

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉について正しいのはどれか。

 

  1. 入院勧告によって感染症指定医療機関で受ける入院治療の医療費は公費負担となる。
  2. 感染症まん延防止のために予防接種を勧奨する疾患について規定されている。
  3. 無症状病原体保有者についての届出は定められていない。
  4. A型肝炎は三類感染症である。

 

 

就業制限

  • 感染症法に基づき、1類感染症~3類感染症または新型インフルエンザ等感染症の患者で、飲食物に直接接触する業務に従事している者については、感染のおそれがなくなるまでその業務の就業を制限している。
  • 症状がありかつ病原体を有する者のほか、無症状であるが病原体を保有している者も就業制限の対象である。

 

▶109回午後16

A事業所の社員食堂で毎月行う調理従事者20名の便の細菌検査で、Bさんから腸管出血性大腸菌が検出された。Bさんは特に症状がないが、受診した診療所の医師から腸管出血性大腸菌の無症状病原体保有者と診断された。
この診断後の対応で正しいのはどれか。

 

  1. Bさんは感染症指定医療機関に入院する必要がある。
  2. 2類感染症として受診した診療所の医師から発生届が提出される。
  3. 社員食堂はBさんが職場に復帰できるまで業務を休止しなければならない。
  4. Bさんは病原体を保有しなくなるまで飲食物に直接触れる業務への就業が制限される。

 

 

 

エボラ出血熱(1類感染症)

概要

  • エボラ出血熱は、エボラウイルス感染者の体液との接触を主な感染経路とするウイルス性出血熱である。
  • 致死率は、ザイール型で約90%、スーダン型で約50%と極めて高く、わが国では流行の可能性は低いが、検疫の強化を図っている。

 

▶101回午後32

エボラ出血熱について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 空気感染する。
  2. 一類感染症である。
  3. 定点把握対象疾患である。
  4. 致命率〈致死率〉は10%である。
  5. 患者は感染症指定医療機関に移送される。

 

 

 

結核(2類感染症)

概要

  • 結核は、結核菌によって発生するわが国の主要な感染症の一つである。結核菌に感染した場合、必ずしもすぐに発症するわけではなく、長期にわたり体内に潜伏したのち再び活動を開始し、発症することがある。
  • 主な感染経路である空気感染対策として、N95マスクの装着や陰圧室への入室などの措置がとられる。

 

▶109回午後26

潜伏期間が最も長い感染症はどれか。

 

  1. 風疹
  2. 肺結核
  3. 百日咳
  4. インフルエンザ
  5. 流行性耳下腺炎

 

 


 

▶103回午前16

保健所で医療機関から感染症の発生の届出を受けた。
保健師が患者を訪問するときに、N95マスクの着用が必須である感染症はどれか。

 

  1. デング熱
  2. 開放性結核
  3. レジオネラ肺炎
  4. 中東呼吸器症候群〈MERS〉

 

 

BCGワクチン

  • 結核の特異的予防(一次予防)として、予防接種法に基づきBCGワクチンの定期予防接種が行われており、生後1歳に至るまでの間に定期接種を行う。
  • 接種後5~6週間頃に針の痕に一致して発赤や膿がみられることがあるが、正常な反応とされる。ただし、接種から約10日以内にこうした反応が生じた場合は、すでに結核菌に感染しているおそれもあり、速やかに医療機関に相談・受診する必要がある。

 

▶107回午後3

結核に対する特異的予防はどれか。

 

  1. 栄養改善
  2. 再発予防
  3. BCG接種
  4. 重症化予防

 

 


 

▶105回午前4

Aちゃん(生後5か月、男児)。定期予防接種であるBCG接種を受けた。接種7日後に、母親が保健センターに来所し、地区担当保健師に「接種したところが腫れているが大丈夫か」と相談があった。接種部位の写真を別に示す。
105am4h
母親に対する地区担当保健師の対応で正しいのはどれか。

 

  1. 「入浴は控えましょう」
  2. 「免疫がついた証拠です」
  3. 「すぐに小児科を受診してください」
  4. 「接種後3か月程度で自然に治ります」

 

 

結核に対する健康診断

感染症法に基づき、対象者を特定した選択的検診として、市町村長等が行う定期健康診断、都道府県知事等が勧告し、所在地の保健所が実施する接触者健康診断(積極的疫学調査)が行われている。

 

▶99回午後22

日本の結核対策で正しいのはどれか。

 

  1. 生後3か月に達するまでにBCGを接種する。
  2. 潜在性結核感染症は医師の届け出の対象ではない。
  3. 接触者健康診断は接触者の居住地の保健所が実施する。
  4. 定期健康診断は都道府県知事が実施義務者となって行われる。

 

 

地域DOTS

結核患者の服薬管理を徹底するため、日本版21世紀型DOTS戦略推進体系図に基づき、全結核患者(潜在性結核感染症含む)に対する地域DOTS(直接服薬確認)が推進されており、患者のリスク等に応じて服薬確認頻度と方法を以下のとおり選択することとされる。

 

  1. 治療中断のリスクが高い患者(住所不定者、アルコール依存者等)→原則毎日
  2. 服薬支援が必要な患者(要介護・独居等高齢者等)→週1~2回以上
  3. 上記以外の患者→月1~2回以上

 

▶104回午後26

日本版21世紀型DOTS戦略推進体系図を示す。
104pm26h
【A】から【C】に入る語句の組合せで正しいのはどれか。

 

【A】――【B】――【C】

  1. 潜在性結核感染症の者を除く結核患者――訪問DOTS ――連絡確認DOTS
  2. 潜在性結核感染症の者を除く結核患者――地域DOTS――コホート検討会
  3. 喀痰塗抹陽性の結核患者――訪問DOTS――連絡確認DOTS
  4. 全結核患者及び潜在性結核感染症の者――外来DOTS――連絡確認DOTS
  5. 全結核患者及び潜在性結核感染症の者――地域DOTS――コホート検討会

 

 


 

▶107回午前13

地域における結核の個別患者支援計画で週1、2回の服薬確認が適切と判断する患者特性はどれか。

 

  1. 結核の既往がある。
  2. 要介護4の独居高齢者である。
  3. アルコール依存症患者である。
  4. 診断時、住所不特定者であった。

 

 

 

マラリア(4類感染症)

概要

  • マラリアはハマダラカ(蚊)により媒介される感染症で、熱帯・亜熱帯地域に広く分布している。
  • 地球温暖化や気候変動に伴い、ハマダラカの生息域が広がることなどから、マラリアの発生する地域の範囲が広がるおそれがある。

 

▶109回午前22

地球温暖化によって発生が増加するおそれがある感染症はどれか。

 

  1. 後天性免疫不全症候群〈AIDS〉
  2. ポリオ〈急性灰白髄炎〉
  3. マラリア
  4. 痘そう
  5. 結核

 

 

 

デング熱(4類感染症)

概要

デング熱は、デングウイルスを持つに刺されることで感染する疾患で、地球温暖化等に伴い流行が広がっている再興感染症として、国内でも報告がみられる。

 

▶107回午前26

人から人への直接の伝播がない感染症はどれか。

 

  1. 痘そう
  2. ペスト
  3. 腸チフス
  4. デング熱
  5. 腸管出血性大腸菌感染症

 

 

 

レジオネラ症(4類感染症)

概要

  • レジオネラ症は自然界(河川、湖水、温泉や土壌など)に生息しているレジオネラ属菌の感染により発症し、主な病型として重症の肺炎を引き起こすレジオネラ肺炎がある。
  • 浴槽の湯を濾過器を通して循環させる循環式浴槽では、換水や消毒、清掃を怠ることでレジオネラ属菌が繁殖する危険性が高い。

 

▶106回午後14

レジオネラ症患者発生の届出を受けた保健所が感染の原因を調査する際に、最も重要な情報はどれか。

 

  1. 入浴施設の利用歴
  2. 発症前の食事内容
  3. 蚊による刺咬の有無
  4. レジオネラ症患者との接触歴の有無

 

 


 

▶101回午前18

医療機関から男性(56歳)のレジオネラ症による肺炎が確認されたと保健所に連絡があった。男性は妻と息子の3人暮らしであり、自宅の風呂のほか、公衆浴場を週に1回利用している。
初動対応として最初に情報収集する者で正しいのはどれか。

 

  1. 近隣住民
  2. 環境衛生監視員
  3. 同居している家族
  4. 浴場組合の組合員

 

 

 

ウイルス性肝炎

B型肝炎・C型肝炎(5類感染症)

  • B型肝炎、C型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)の感染による肝疾患である。
  • B型肝炎にはワクチンがあり、定期予防接種の対象となっている。
  • 治療としては主にインターフェロン治療がとられ、C型肝炎については内服薬のみでウイルス排除が可能なインターフェロンフリー治療の医療費助成を行っている。

 

▶110回午前33

ウイルス性肝炎について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. C型肝炎は四類感染症である。
  2. B型肝炎は定期予防接種の対象である。
  3. 健康増進法に基づく肝炎ウイルス検診は都道府県が実施主体である。
  4. C型慢性肝炎のインターフェロンフリー治療は公費助成の対象である。
  5. 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉に基づき肝炎対策の推進に関する基本的な指針が策定されている。

 

 

 

性感染症(5類感染症)

後天性免疫不全症候群〈エイズ〉

  • 後天性免疫不全症候群は、ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉の感染によって引き起こされる細胞性免疫不全状態を主な病態とする疾患である。
  • HIVの主な感染経路は、①HIV感染者との性行為、②血液または血液製剤の輸注、③母子感染(垂直感染)の3つであり、中でも新規HIV感染者の感染経路では性的接触が83.8%と大部分を占め、特に男性の同性間性的接触の割合が高い。
  • 新規HIV感染者の推移をみると、平成25年(2013年)以降減少傾向にあり、令和3年(2021年)では742人となっている。性別・国籍別にみると日本国籍男性が多数を占める。

 

▶108回午前12改題

令和3年(2021年)の日本におけるHIV感染者の患者動向で正しいのはどれか。

 

  1. 新規感染の約60%は性的接触である。
  2. 発生の総数は2008年から増加している。
  3. 男性では外国籍の者が半数以上を占めている。
  4. 日本国籍女性の感染経路は異性間の性的接触が最も多い。

 

 

性感染症の状況

性感染症の発生推移(2010年→2021年)をみると、梅毒(621人→7,978人)、性器クラミジア 感染症(26,315人→30,003人)、性器ヘルペスウイルス感染症(8,420人→8,981人)、尖圭コンジローマ(5,252人→5,602人)、淋菌感染症(10,327人→10,399人)といずれも増加している。

 

▶106回午前6改題

平成22年(2010年)と比較した令和3年(2021年)の日本の性感染症の状況はどれか。2つ選べ。

 

  1. 10代の梅毒患者数が増加している。
  2. HIV感染者の療養期間が短くなっている。
  3. 新規HIV感染は異性間性的接触が最も多い。
  4. 性器ヘルペスウイルス感染症の定点報告数が増加している。

 

 

ピア・エデュケーター

ピア・エデュケーター事業は、同年代の若者同士でHIV/エイズや性感染症に関する知識を伝え、考える活動を行うもので、発病を予防する一次予防として効果的である。

 

▶102回午前3

保健所の保健師はエイズ予防週間に合わせて、大学の学園祭で若者を対象にヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉感染症および性感染症〈STD〉に関する健康教育を行うことにした。
対象者が予防行動をとることを目標に設定し、実施する方法として最も適切なのはどれか。

 

  1. 性感染症〈STD〉に関するパネル展示
  2. ピア・エデュケーターによる相談
  3. 性感染症〈STD〉に関する講演会
  4. 希望者へのHIV検査

 

 

 

(季節性)インフルエンザ(5類感染症)

流行時期

季節性のインフルエンザは、例年11月ころから患者が発生し、1~2月ころに患者数のピークを迎え、4月以降減少するという経緯をたどる。

 

▶109回午前10

令和元年(2019年)における五類感染症で、週単位で報告される定点把握疾患のうち、インフルエンザ、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、感染性胃腸炎、突発性発しんの各週の定点当たり報告数の図を示す。
109am10h
インフルエンザの報告数はどれか。

 

  1. A
  2. B
  3. C
  4. D

 

 

インフルエンザの感染拡大防止策

集団においてインフルエンザ発生後の感染拡大を防止するために、せきやくしゃみによる飛沫感染対策を行った上で、集団行動を避けること、感染者を別室に移すこと、アルコールによる手指消毒を徹底することなどが求められる。

 

▶106回午後32

介護老人福祉施設から保健所に、インフルエンザを発症する入所者が増加しており集団感染が懸念されるので、どのように対応したらよいかとの相談があった。
感染拡大防止のために保健所が施設に行う指導として適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 未発症の入所者にN95マスクを着用させる。
  2. 発症した職員の復帰は解熱の翌日からとする。
  3. インフルエンザワクチン未接種の職員は自宅待機させる。
  4. 多数の入所者が集まって実施しているレクリエーション活動を休止する。
  5. 職員および面会者が入所者の部屋へ入退室する時にアルコールで手指消毒を行う。

 

 


 

▶99回午前37

地震発生後の避難所でインフルエンザが発生した。電気は復旧しているが、水道は復旧していない。
保健師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 高齢者を福祉避難所に移動する。
  2. 室内に次亜塩素酸ナトリウムを噴霧する。
  3. インフルエンザに罹患した避難者は別室に移す。
  4. 避難者にアルコールによる手指消毒を啓発する。
  5. 避難者の個人スペースを高さ100cmの段ボールで仕切る。

 

 

 

食中毒感染症

腸管出血性大腸菌感染症

  • 腸管出血性大腸菌感染症は感染症法上の3類感染症に分類され、令和3年(2021年)には3,243件報告されている。
  • 加熱が不十分である食品を介した食中毒事案として多発し、約3~8日の潜伏期を置いて激しい腹痛、著しい血便などの症状がみられるほか、小児等では溶血性尿毒症症候群(HUS)を合併することがある。

 

▶105回午前13改題

令和3年(2021年)1月から12月の感染症発生動向調査報告において、国内で発生が報告されているのはどれか。

 

  1. エボラ出血熱
  2. 腸管出血性大腸菌感染症
  3. 中東呼吸器症候群(MERS)
  4. 重症急性呼吸器症候群(SARS)

 

 


 

▶106回午後13改題

腸管出血性大腸菌による食中毒で正しいのはどれか。

 

  1. 潜伏期は6~24時間である。
  2. 加熱が不十分な牛肉が原因となることが多い。
  3. 合併症である溶血性尿毒症症候群〈HUS〉の発症は成人に多くみられる。
  4. 令和4年(2022年)の食中毒事件数はカンピロバクターが原因のものよりも多い。

 

 

ノロウイルス(感染性胃腸炎)

  • ノロウイルス感染症は感染症法における5類感染症の感染性胃腸炎の一部に分類される。
  • 対策として食品の十分な加熱のほか、手指の消毒にはアルコール、物品の消毒等には次亜塩素酸ナトリウムを用いる。また、乾燥すると空中に漂いやすいため、嘔吐物は乾燥する前に速やかに処理する必要がある。

 

▶106回午前38・110回午前35類問

高齢者が入所している施設で、ノロウイルスによる感染性胃腸炎症状が複数の入所者と職員に発生している。
施設が行うべき感染拡大防止のための対応で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 発症者と未発症者で居室を分ける。
  2. 入所者に提供する食事は十分に加熱する。
  3. 発症者の嘔吐物は十分に乾燥させてから清掃する。
  4. 手指の消毒に次亜塩素酸ナトリウム溶液を使用する。
  5. 発症した食品調理従事者の業務への復帰は胃腸炎症状が消失した日からとする。

 

 

サルモネラ症

  • サルモネラ症は、感染症法における5類感染症の感染性胃腸炎の一部に分類される。
  • 卵や肉、生乳など動物に由来する食品に含まれる細菌により起こる食中毒である。

 

▶100回午後11

管内のA病院から、下痢のため3日前に入院した8歳女児の便から、サルモネラが検出されたと保健所に電話があった。同日、B病院からも同じ菌を検出したとの電話があった。
保健所の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 患児の自宅を消毒する。
  2. 患児の喫食調査を実施する。
  3. A病院の検食の病原体検査を行う。
  4. 患児を第1種感染症指定医療機関に移送する。

 

 

アニサキス症

アニサキスは寄生虫(線虫)の一種で、生鮮魚介類に寄生して食中毒を引き起こす。

 

▶109回午前16

感染症とその病原体の宿主の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. アニサキス症――魚
  2. ウエストナイル熱――ダニ
  3. エキノコックス症――蚊
  4. トキソプラズマ症――貝

 

 

 

新型インフルエンザ

概要

  • 平成21年(2009年)ころに世界的に流行した新型インフルエンザの教訓を踏まえ、平成24年(2012年)に新型インフルエンザ等対策特別措置法が成立し、病原性が高い新型インフルエンザ発生時などに国民の生命・健康を保護するとともに、国民生活と国民経済に及ぼす影響を最小限にするため、新型インフルエンザ等緊急事態宣言の事項が盛り込まれた。
  • 令和2年(2020年)の改正では新型コロナウイルス感染症を対象に追加し、流行状況に応じて数次にわたる緊急事態宣言が発令された。

 

▶108回午後15

平成24年(2012年)施行の新型インフルエンザ等対策特別措置法で規定されたのはどれか。

 

  1. 緊急事態宣言の発令
  2. 感染症発生動向調査の実施
  3. 特定感染症指定医療機関の指定
  4. 都道府県による予防計画の策定

 

 

 

予防接種法

定期予防接種の対象(令和3年4月現在)

【生ワクチン】

BCG(結核)、麻疹・風疹混合、麻疹、風疹、水痘、ロタウイルス

 

【不活化ワクチン・トキソイド】

ポリオ(急性灰白髄炎)、ジフテリア・破傷風混合トキソイド、百日せき・ジフテリア・破傷風混合、百日せき・ジフテリア・破傷風・不活化ポリオ混合、日本脳炎、インフルエンザ、B型肝炎、肺炎球菌、インフルエンザ菌b型(Hib)、ヒトパピローマウイルス(HPV)

 

▶108回午前13

乳幼児の予防接種が任意接種である疾病はどれか。

 

  1. B型肝炎
  2. 急性灰白髄炎
  3. 流行性耳下腺炎
  4. ロタウイルス感染症

 

 


 

▶106回午前32

小児を対象にした麻しんと風しんの定期予防接種に関する説明で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 1期と2期がある。
  2. 生ワクチンである。
  3. 1期には3回接種する。
  4. 1歳未満が対象である。
  5. 抗体価が低い場合に接種する。

 

 


 

▶100回午後30

予防接種で生ワクチンはどれか。2つ選べ。

 

  1. 肺炎球菌
  2. B型肝炎
  3. おたふくかぜ
  4. 麻疹・風疹混合
  5. Hib〈インフルエンザ菌b型〉

 

 

A類疾病・B類疾病

  • 定期予防接種は、集団予防目的に比重を置いたA類疾病(旧・一類疾病)と、個人予防目的に比重を置いたB類疾病(旧・二類疾病)に類型化されている。
  • B類疾病として、インフルエンザ(高齢者対象)高齢者の肺炎球菌感染症が対象となっている。

 

▶107回午前27

予防接種法に基づく定期予防接種の対象疾病のうち、目的として個人の発病または重症化を防止し、併せてこれによりそのまん延の予防に資するために定期的に行う必要があるのはどれか。

 

  1. 結核
  2. 麻しん
  3. 破傷風
  4. B型肝炎
  5. インフルエンザ

 

 


 

▶103回午後10

インフルエンザの予防接種について正しいのはどれか。

 

  1. 二次予防である。
  2. ワクチンの種類はトキソイドである。
  3. 予防接種法におけるB類疾病である。
  4. 定期予防接種の対象は15歳未満である。

 

 

予防接種の実施と救済

  • 厚生労働大臣(国)は、予防接種に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るために予防接種基本計画を策定しなければならない。
  • 定期の予防接種の実施主体は市町村で、被接種者は「受けるように努めなければならない」(努力義務)とされている。
  • 定期の予防接種による健康被害については、予防接種法による健康被害救済制度を実施しており、厚生労働大臣が認定した場合は市町村から給付が行われる。

 

▶110回午後10

予防接種について正しいのはどれか。

 

  1. 定期接種の実施主体は都道府県である。
  2. 学校などでの集団接種を原則としている。
  3. 流行性耳下腺炎は定期接種の対象である。
  4. 定期接種による健康被害には予防接種健康被害救済制度がある。

 

 


 

▶109回午後10

予防接種について正しいのはどれか。

 

  1. 予防接種法では定期接種と任意接種に分類される。
  2. 市町村長は予防接種基本計画を策定する義務がある。
  3. 予防接種による健康被害の救済措置は都道府県知事が行う。
  4. A類疾病に対しては疾病の発生とまん延の予防を目的に実施する。

 

 


 

▶105回午前36

予防接種法で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 予防接種を受けることは国民の義務である。
  2. 定期予防接種の実施責任者は都道府県知事である。
  3. 定期予防接種は一類疾病と二類疾病に類型化されている。
  4. 定期予防接種の副反応による健康被害の救済が規定されている。
  5. 予防接種の総合的な推進を図るための予防接種基本計画が定められている。

 

 


 

▶104回午前17

高齢者の肺炎球菌感染症の予防接種について正しいのはどれか。

 

  1. 施設に入所する高齢者への予防接種の実施は都道府県知事の責務である。
  2. 平成28年(2016年)4月から定期の予防接種が開始された。
  3. 予防接種法による健康被害の救済措置の対象となる。
  4. 予防接種法においてA類疾病に指定されている。

 

 

 

学校において予防すべき感染症

概要

学校保健安全法では、学校において予防すべき感染症として、感染力に応じて第一種から第三種に分類され、出席停止の期間の基準が定められている。

 

▶100回午後26

学校保健安全法施行規則で規定されている疾病と出席停止の期間の基準の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 結核――特有の咳が消失するまで
  2. 水痘――すべての発しんが痂皮化するまで
  3. 風しん――解熱後2日を経過するまで
  4. 麻しん――特有の発しんが消失するまで
  5. インフルエンザ――解熱後1日を経過するまで

 

 

 

▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 医師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 薬剤師国家試験に出る国民衛生の動向

 

令和5年2月10日実施の第109回保健師国家試験の全問題と正答を掲載します。

また、内容に応じて保健師国家試験受験者の必携テキスト「国民衛生の動向2024/2025」の参照章・ページを示します。問題を解きながら本誌を確認することで、より問題の理解を深めることできます。

 

分野別解説付き問題まとめ

を合わせて活用しながら、合格に近づく過去問対策を進めて頂ければ幸いです。

 

なお、最新の統計の記載、法律の改正、不適切問題などにより、一部問題を改変、削除しています。

 

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国民衛生の動向 2024/2025

 

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▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

第109回保健師国家試験目次

 

 

第109回保健師国家試験・午前(55問)

 

 

▶午前1

令和元年(2019年)の生活習慣病の動向で正しいのはどれか。

 

  1. 肥満者の割合は男性より女性の方が多い。
  2. 脳血管疾患の死亡率は脳内出血より脳梗塞が高い。
  3. 悪性新生物の年齢調整死亡率で男性の部位別の第1位は大腸である。
  4. 糖尿病を強く疑われる者のうち現在治療を受けている者の割合は、男女ともに50%以下である。

 

 


 

▶午前2

自治会の説明で正しいのはどれか。

 

  1. 地縁組織である。
  2. 小学校区が最小単位である。
  3. 設置の義務が法律に定められている。
  4. 加入できるのは18歳以上の者である。

 

 


 

▶午前3改題

令和4年(2022年)の労働力調査における日本の女性の労働で正しいのはどれか。

 

  1. 就業者は前年に比べ減少している。
  2. 労働力人口の総数の約6割を占めている。
  3. 年齢階級別労働力率では40~44歳が最も高い。
  4. 非正規の雇用形態はパート・アルバイトが最も多い。

 

 


 

▶午前4改題

令和4年(2022年)の人口動態統計における年齢階級とその死因第1位の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 1~4歳――インフルエンザ
  2. 5~9歳――悪性新生物〈腫瘍〉
  3. 10~14歳――不慮の事故
  4. 15~19歳――心疾患

 

 


 

▶午前5

がん検診の精密検査の未受診者への受診勧奨で、受診率の向上に最も効果が期待できるのはどれか。

 

  1. がん体験者の講演会を開催する。
  2. 保健師が精密検査の未受診者へ家庭訪問を行う。
  3. 広報誌に精密検査実施医療機関の一覧を掲載する。
  4. 自治体のホームページに精密検査の重要性を掲載する。

 

 


 

▶午前6

A市では子どもが健やかに成長できることを政策に掲げている。乳幼児の死傷原因を調べ家庭内事故が多いことが分かった。家庭内事故防止に向けた親の取り組みを促進することを目標とし、乳幼児の家庭内事故について親の認識調査を行うことにした。
この調査はプリシード・プロシードモデルにおけるアセスメントの段階のどれか。

 

  1. 疫学アセスメント
  2. 社会アセスメント
  3. 運営・政策アセスメント
  4. 教育/エコロジカル・アセスメント

 

 


 

▶午前7

A市では住民の健康づくりを促進していくため、小学校区ごとに健康推進員を育成して組織化している。来月、B小学校区に組織された健康推進員を参加者とする初めての会合が開かれることになった。
この会合においてB小学校区を担当する保健師が行うことで適切なのはどれか。

 

  1. 組織のリーダーを指名する。
  2. 参加者個人の健康課題の発表を促す。
  3. 参加者間で活動目標を設定することを促す。
  4. B小学校区の健康推進員組織の年間計画を作成する。

 

 


 

▶午前8

保健師は統合失調症で1年入院していた成人期のAさんへの退院支援を行った。Aさんは地域でつながりを持ちながら生活することを望んでいる。
退院直後のAさんへの保健師の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 就労定着支援を行う。
  2. 近隣住民に見守りを依頼する。
  3. 地域活動支援センターを紹介する。
  4. ピアサポーターとしての就労を勧める。

 

 


 

▶午前9

障害者(児)の日常生活や社会生活を支える福祉サービスのうち、介護給付の申請窓口で正しいのはどれか。

 

  1. 地域包括支援センター
  2. 社会福祉協議会
  3. 都道府県
  4. 市町村

 

 


 

▶午前10

令和元年(2019年)における五類感染症で、週単位で報告される定点把握疾患のうち、インフルエンザ、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、感染性胃腸炎、突発性発しんの各週の定点当たり報告数の図を示す。
109am10h
インフルエンザの報告数はどれか。

 

  1. A
  2. B
  3. C
  4. D

 

 


 

▶午前11

文部科学省が実施する学校保健統計調査で正しいのはどれか。

 

  1. 悉皆調査である。
  2. 毎年10月に行われる。
  3. 学校で実施する健康診断の結果に基づいている。
  4. 学校管理下で死亡した児童生徒数が集計されている。

 

 


 

▶午前12

学校生活管理指導表について正しいのはどれか。

 

  1. 養護教諭が記載する。
  2. 年に1回、学校へ提出しなければならない。
  3. 小学生用と中学・高校生用の2つに分かれている。
  4. 対象は心疾患、腎疾患、アレルギー疾患を有する児童生徒である。

 

 


 

▶午前13

労災保険制度について正しいのはどれか。

 

  1. 事業主の災害補償責任は労働基準法に規定されている。
  2. 休業補償は休業1日目から補償の対象となる。
  3. 保険料は事業主と労働者が折半で負担する。
  4. 労災補償の申請は市区町村の窓口で行う。

 

 


 

▶午前14

コラボヘルスにおいて事業者が連携するのはどれか。

 

  1. 健康保険組合
  2. 医療機関
  3. 市区町村
  4. 保健所

 

 


 

▶午前15

災害時のフェーズ4〈復旧・復興期〉における健康課題への対応で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 食生活、栄養のバランスの不良
  2. 慢性疾患治療の継続困難
  3. 感染症の流行
  4. 社会的孤立

 

 


 

▶午前16

感染症とその病原体の宿主の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. アニサキス症――魚
  2. ウエストナイル熱――ダニ
  3. エキノコックス症――蚊
  4. トキソプラズマ症――貝

 

 


 

▶午前17

保健師のプリセプターシップで最も適切なのはどれか。

 

  1. 学習方法はプリセプターが提案する。
  2. 管理期にある保健師がプリセプターを担う。
  3. 新人保健師のリアリティショックの軽減につながる。
  4. プリセプティが中堅期になっても同じプリセプターが担当する。

 

 


 

▶午前18改題

日本の社会保障制度で正しいのはどれか。

 

  1. 保育制度は社会保険で運営している。
  2. 生活保護制度は生存権を保障している。
  3. 障害者福祉制度は措置制度が基本になっている。
  4. 社会保障給付費は平成24年(2012年)から10年間横ばいである。

 

 


 

▶午前19

地域保健法に規定されている内容で正しいのはどれか。

 

  1. 市町村健康増進計画の策定を義務づけている。
  2. 市町村保健センター業務の1つに調査研究がある。
  3. 市町村保健センターの整備について規定している。
  4. 都道府県保健所の業務の1つに予防接種事業がある。

 

 


 

▶午前20改題

児童虐待について正しいのはどれか。

 

  1. 児童虐待を疑われて通告された者は通告した者を知ることができる。
  2. 令和3年度(2021年度)福祉行政報告例における虐待相談の主な虐待者は実父が1番多い。
  3. 令和3年(2021年)の児童相談所における児童虐待の内容別相談件数は身体的虐待が最多である。
  4. 親権者が児童のしつけに際して体罰を加えてはならないことが、令和元年(2019年)に改正された児童虐待の防止等に関する法律に定められている。

 

 


 

▶午前21改題

難病の患者に対する医療等に関する法律〈難病法〉に基づく指定難病の医療費助成制度で正しいのはどれか。

 

  1. 患者の自己負担割合は3割である。
  2. 令和3年(2021年)時点で指定難病は110疾患である。
  3. 国が指定した医療機関で受診した医療費が助成対象である。
  4. 新規に医療費助成を受けるには難病指定医による診断書が必要である。

 

 


 

▶午前22

地球温暖化によって発生が増加するおそれがある感染症はどれか。

 

  1. 後天性免疫不全症候群〈AIDS〉
  2. ポリオ〈急性灰白髄炎〉
  3. マラリア
  4. 痘そう
  5. 結核

 

 


 

▶午前23

令和2年(2020年)に策定された少子化社会対策大綱で示された施策とその数値目標で正しいのはどれか。

 

  1. 保育所の待機児童数を3万人にする。
  2. 男性の育児休業取得率を30%にする。
  3. マタニティマークの認知度を80%にする。
  4. 地域子育て支援拠点事業を3,000か所にする。
  5. 妊娠・出産について満足している者の割合を70%にする。

 

 


 

▶午前24

事業継続計画〈BCP:Business Continuity Plan〉に基づいて災害発生後72時間以内においても行う保健師の業務で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 両親学級
  2. HIV検査
  3. 地域ケア会議
  4. 特定健康診査
  5. 高齢者虐待防止法に基づく立入調査

 

 


 

▶午前25

健康危機管理について、地域保健法で厚生労働大臣が定めることが規定されているのはどれか。

 

  1. 地域防災計画
  2. 厚生労働省健康危機管理基本指針
  3. 医療提供体制の確保に関する基本方針
  4. 地域保健対策の推進に関する基本的な指針
  5. 地域における保健師の保健活動に関する指針

 

 


 

▶午前26

公衆衛生看護管理における人事管理の方法はどれか。

 

  1. 部署の目標を組織内で共有する。
  2. 保健師のジョブローテーションを行う。
  3. 高度な知識、技術を必要とする業務を外部に委託する。
  4. 次年度の保健師のマンパワーを考慮して事業計画を立てる。
  5. 地域の健康課題について関連部門の職員から意見聴取する。

 

 


 

▶午前27

疾病と主な危険因子の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 胃癌――塩蔵食品
  2. 肺癌――運動不足
  3. 乳癌――遅い初経年齢
  4. 膀胱癌――アフラトキシン
  5. 成人T細胞白血病――肥満

 

 


 

▶午前28

相対頻度に含まれるのはどれか。

 

  1. 有病率
  2. 寄与危険
  3. 寄与危険割合
  4. 死因別死亡割合
  5. 年齢調整死亡率

 

 


 

▶午前29

2つの非正規分布の母集団の数量データの比較に用いるのはどれか。

 

  1. t検定
  2. 分散分析
  3. 多変量解析
  4. χ2〈カイ二乗〉検定
  5. Mann-Whitney〈マン・ホイットニー〉のU検定

 

 


 

▶午前30

生態学的研究で、都道府県別の1人当たりの1日の歩数とBMIの平均値との関連の程度を評価するために計算するのはどれか。

 

  1. 罹患率
  2. オッズ比
  3. 寄与危険
  4. 相関係数
  5. 相対頻度

 

 


 

▶午前31

政令指定都市の保健師の活動で正しいのはどれか。

 

  1. 結核の積極的疫学調査を行う。
  2. 近隣市町村の技術的支援を行う。
  3. 地域医療構想の調整会議を行う。
  4. がん対策推進基本計画を策定する。
  5. 業務担当制の保健活動を基本とする。

 

 


 

▶午前32

持続可能な開発目標〈SDGs〉について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 2025年を達成年限としている。
  2. 17分野の目標で構成されている。
  3. 国際連合児童基金〈UNICEF〉で採択された。
  4. 開発途上国が目指す目標を中心に構成された。
  5. ミレニアム開発目標〈MDGs〉の後継として採択された。

 

 


 

▶午前33

コミュニティ・アズ・パートナー・モデルについて正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 10のサブシステムで構成される。
  2. サブシステムは相互に影響しあう。
  3. 地域のコアとなる情報に教育が含まれる。
  4. 分析、立案、評価の3段階で構成される。
  5. ストレッサーに対する抵抗力の向上を目指す。

 

 


 

▶午前34

健やか親子21(第2次)の重点課題で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 妊娠期からの児童虐待防止対策
  2. 育てにくさを感じる親に寄り添う支援
  3. 思春期の保健対策の強化と健康教育の推進
  4. 子どもの健やかな成長を見守り育む地域づくり
  5. 小児保健医療水準を維持・向上させるための環境整備

 

 


 

▶午前35

精神保健福祉センターの業務で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 精神保健に関する普及啓発
  2. 地域自立支援協議会の運営
  3. 薬物の不正取引の取り締まり
  4. 自殺総合対策推進センターの運営
  5. 保健所と精神保健関係諸機関に対する技術指導・援助

 

 


 

▶午前36

健康危機管理に関する保健所の業務はどれか。2つ選べ。

 

  1. 食中毒発生時の調査
  2. 狂犬病発生時の厚生労働大臣への報告
  3. 感染症患者を診断した医師からの届け出の受付
  4. 保育所で乳児が突然死したときの届け出の受理
  5. 虐待が認定された介護老人福祉施設の指定の取り消し

 

 


 

▶午前37

累積罹患率の計算に必要なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 観察開始時点での患者数
  2. 各観察対象者の観察期間の総和
  3. 観察期間に新たに発生した患者数
  4. 観察開始時点での観察対象集団の人数
  5. 観察終了時点での観察対象集団の人数

 

 


 

▶午前38

調査について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 患者調査は毎年実施される。
  2. 国勢調査で出生率が把握される。
  3. 社会生活基本調査は総務省が実施する。
  4. 人口動態調査は無作為抽出による標本調査である。
  5. 国民健康・栄養調査は健康増進法に基づいて実施される。

 

 


 

▶午前39

感染症発生動向調査で全数把握の対象となるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 結核
  2. 麻疹
  3. 手足口病
  4. マイコプラズマ肺炎
  5. 性器クラミジア感染症

 

 


 

▶午前40

40歳以上の男性を対象とした疫学研究で、虚血性心疾患死亡率(10万人年対)を観察した。虚血性心疾患死亡率は、喫煙群では50.0、非喫煙群では25.0であった。
このときの寄与危険割合を百分率で求めよ。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。

 

解答:①②%

 

 


 

次の文を読み41~43の問いに答えよ。

Aさん(35歳、女性)は結婚を機に実家から隣のB市に移り、B市で夫と長女(5か月)と暮らしている。Aさんは長女を連れ、B市が実施する乳児相談会に参加した。月に1回開催されている乳児相談会では、乳児の身長・体重測定および相談や参加者との交流を行っており、長女は順調に成長している。Aさんは「学生時代に親戚の子どもに接した経験が少しあるだけで、初めての育児に不安があります」と話し、表情がさえない。
保健師がAさんに話を聞くと、Aさんは母親の手料理と手作りのおやつを食べて育ち、離乳食づくりに自信がなく、育児を楽しめていないことが分かった。

 

▶午前41

保健師のAさんへの対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 離乳食教室への参加を勧める。
  2. 簡単に作れる離乳食のレシピを渡す。
  3. Aさんが考える育児について話を聞く。
  4. 母親に育児を手伝ってもらうことを勧める。

 

 


 

▶午前42

翌月の乳児相談会に参加したAさんは表情が硬かった。気になった保健師が声をかけると「夫の帰りが毎晩遅く、週末も家にいないことが多いです。私1人で家事や子どもの世話をするのはとても大変です」と涙を流しながら話した。
保健師のAさんへの声かけで適切なのはどれか。

 

  1. 「参加者の皆さんと困っていることの解決策を考えましょう」
  2. 「大変なのは今だけですからAさんなら大丈夫ですよ」
  3. 「ご家族で家事や子育ての役割分担を決めましょう」
  4. 「別室でゆっくりお話を聞かせてもらえますか」

 

 


 

▶午前43

2か月後の乳児相談会に参加したAさんは「離乳食が順調に進んでいる」と笑顔で話した。一方で、「これからも子どもの成長とともに、不安なことが出てきそう。もともと友達づくりが苦手な性格で、今も相談できる友達がいない」と話した。
保健師がAさんに勧める内容で適切なのはどれか。

 

  1. 子育て支援センターの利用
  2. 乳児相談会への参加の継続
  3. 保健師による電話相談の利用
  4. 近所の乳幼児が遊べる公園の利用

 

 


 

次の文を読み44~46の問いに答えよ。

人口2万人のA市にあるB地区は人口3,000人、老年人口割合は45%で単身の高齢者世帯が増加している。2年前に300戸の温泉付きのマンションが建設された。マンションの入居者の平均年齢は67.2歳で、都市部の会社を定年退職した者が多い。近所付き合いが少ないため、1人暮らし世帯の入居者が死後1か月以上経って発見されることがあった。現在は高齢夫婦世帯が多いが、今後は配偶者の死亡によって1人暮らし世帯が増加する見込みである。保健師は住民と協働し、安心して暮らせるB地区になるよう取り組むことにした。まず、保健師は地域の実態把握を行うことにした。

 

▶午前44

B地区の健康課題を明らかにするために情報を収集する対象で優先度が高いのはどれか。

 

  1. A市の老人クラブの参加者
  2. マンションの管理組合の長
  3. B地区の民生委員
  4. B地区の開業医

 

 


 

▶午前45

保健師はB地区のマンションの入居者の世代や背景が似ていることに着目し、入居者が捉えているB地区の交流に関する課題を把握したいと考えた。
その方法として最も適切なのはどれか。

 

  1. 地区踏査
  2. 電話インタビュー
  3. インターネットアンケート
  4. フォーカス・グループインタビュー

 

 


 

▶午前46

実態把握の結果、B地区のマンション入居者からは「近所付き合いがなく頼れる人がいないため、この先が不安」「定年退職後、趣味がないので外出する機会が少なく体力が落ちた」という意見が多かった。この調査結果をB地区の自治会長に説明したところ、「マンション入居者以外のB地区の人からも同様の意見を聞いている。近所付き合いのあるB地区にしていきたい」と話した。
B地区で保健師が取り組むことで最も適切なのはどれか。

 

  1. 健康相談会の開催
  2. 健康講座のオンライン開催
  3. 介護予防サービスの利用案内の全戸配布
  4. 75歳以上の住民への健康診査の受診勧奨
  5. B地区の住民へのウォーキングマップづくりの提案

 

 


 

次の文を読み47~49の問いに答えよ。

製造業のA社は従業員500名、平均年齢42歳である。高年齢労働者は現在20名だが、会社は高年齢労働者の活用を進めていく方針である。
製造現場で働く従業員(63歳、男性)が工場内の通路で転倒する事故が起きた。
事故後に、A社の保健師が安全管理者と面談した。安全管理者は「怪我が大したことなくてよかったが、どこで転ぶか分からないから怖い。貼り紙など注意喚起を行ってきたのに事故が起きた。高年齢労働者を製造現場で働かせるのは不安だ」と保健師に話した。

 

▶午前47

A社の保健師が安全管理者に対して行う提案で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 高年齢労働者の体力測定
  2. 高年齢労働者に合った配置部署の検討
  3. 高年齢労働者に向けた注意喚起の強化
  4. 高年齢労働者の特性を踏まえた事故原因の検討

 

 


 

▶午前48

A社の保健師は、今後の事故予防の参考にするため高年齢労働者の数名に話を聞いた。「機器の警告音には注意している」「棚の影となる部分が暗く見づらい」「年齢だけで特別扱いはされたくない」「上司に会うたびに体調確認されるが、体調が悪ければ自分で伝える」という思いが聴取された。
高年齢労働者の事故予防対策として、保健師が会社に提案することで適切なのはどれか。

 

  1. 警告音の音域を高音設定にする。
  2. 照明を増設する必要性を確認する。
  3. 体調確認は自己申告を基本とする。
  4. 作業スピードは他の労働者と同じにする。

 

 


 

▶午前49

A社の保健師は、高年齢労働者の数名を対象とした事故予防の聴取の際に、仕事のやりがいや職場への思いについても聞いた。「技能を生かして同じ場所で働けるのは安心」という肯定的な意見とともに、「契約の変更で給与が下がり、働きが評価されていない」「若い上司の指示に従うのは抵抗がある」「後輩たちから尊重されていない」という職場への不満が聴取された。
この情報をもとに保健師が企画する内容で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 高年齢労働者を対象としたストレスコーピング学習会
  2. 若手の従業員を対象としたアサーショントレーニング
  3. 管理職を対象とした高年齢労働者の働き方を考える研修会
  4. 安全衛生委員会で部署別のストレスチェックの集団分析結果を共有

 

 


 

次の文を読み50~52の問いに答えよ。

A町は人口1万人で高齢化率40%、後期高齢者の割合が65%と高齢化が進行し、独居高齢者が多い。A町は広大な山間部を有し、山の中腹や谷合に集落が点在している。運動機能が低下すると坂が多いため閉じこもり傾向となる高齢者が多い。近年、介護認定率が急増しており、健康寿命を延伸し住み慣れた地域で生活できるよう、地域包括ケアシステムの構築をめざす取り組みが検討されている。

 

▶午前50

A町の高齢者実態調査で、他町と比べ転倒の経験がある高齢者の割合が多かった。また、介護認定を受けていない高齢者の1日の歩数が1,000歩未満の割合が最も多く、このような高齢者を対象に3か月間の筋力トレーニングを実施することにした。
この取り組みは介護保険におけるサービス・事業のどれか。

 

  1. 居宅介護支援
  2. 地域支援事業
  3. 介護予防サービス
  4. 地域密着型サービス

 

 


 

▶午前51

3か月間の筋力トレーニングの取り組み終了直後は参加者の運動機能は向上したが、1年後に介護認定を受けている参加者がいることが分かった。そのため、地域ケア会議で今後のA町の介護予防について検討することになった。
検討する内容で最も適切なのはどれか。

 

  1. 筋力トレーニングの質の向上
  2. 介護予防サービス事業所の誘致
  3. 筋力トレーニングの費用対効果
  4. 社会的交流を目的とした社会資源の創出

 

 


 

▶午前52

A町の町民のアンケートでは、終末期の療養場所として自宅を希望する者が6割であるが、実際に死亡場所が自宅であるのは1割程度である。そこで、終末期に町民が住み慣れた地域で療養できる体制の構築について検討した。
保健師の取り組みで優先度が高いのはどれか。

 

  1. 成年後見制度の普及
  2. 介護保険サービスの利用促進
  3. 在宅医療と介護の関係者の連絡会の企画
  4. 救急搬送時間の短縮に向けた検討会の企画
  5. 介護職を対象とした自動体外式除細動器〈AED〉の研修の実施

 

 


 

次の文を読み53、54の問いに答えよ。

Aさん(64歳、男性、要支援2)は妻(63歳)と2人暮らしである。5年前に歩行時の違和感を自覚し受診したところ、脊髄小脳変性症と診断された。Aさんは難病になったことに驚いたが徐々に受け入れ、妻の励ましやサポートを受けて生活してきた。最近、歩行時のふらつきが強くなったため「室内に手すりをつけたい」と保健師に相談した。

 

▶午前53

Aさんの住宅改修について給付の根拠となる法律はどれか。

 

  1. 介護保険法
  2. 障害者基本法
  3. 高齢者の医療の確保に関する法律
  4. 難病の患者に対する医療等に関する法律〈難病法〉

 

 


 

▶午前54

住宅改修の後、保健師が1年に1回の家庭訪問を行い3年が経過した。ある日、妻から「通院治療を続けてきたが、最近、夫がよく転ぶようになり食事中もむせることが多くなりました。病気が悪くなってきているようで不安です」と相談があった。
保健師が確認する情報で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 妻の健康状態
  2. AさんのADL
  3. Aさんの世帯の経済状況
  4. Aさんの最近の食事内容

 

 


 

次の文を読み55の問いに答えよ。

A市は地場産業が主要産業の人口5万人の市である。平成30年度(2018年度)策定の自殺対策計画では数値目標として自殺者数の20%減少を掲げており、計画策定時に対策が優先された対象は60歳以上の男女と40~59歳の無職の男性であり、直近2年の自殺者総数は減少した。一方で、20歳代男女の自殺企図による救急搬送の件数は増加傾向にある。

 

▶午前55

今後のA市の20歳代への自殺対策として適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. ソーシャルネットワーキングサービス〈SNS〉を活用した相談支援体制の強化
  2. 精神保健福祉相談の希望者を対象とする精神科医による診察の実施
  3. 特定健康診査・特定保健指導の場を活用したメンタルヘルス対策
  4. 年1回のストレスチェック実施の義務化
  5. ハローワークと連携した相談事業の実施

 

 

 

第109回保健師国家試験・午後(55問)

 

 

▶午後1

一次予防はどれか。

 

  1. がん検診
  2. 母子健康手帳の交付
  3. 退院後の勤務時間の短縮
  4. 糖尿病患者への栄養指導

 

 


 

▶午後2

公衆衛生看護の実践で用いられるPDCAサイクルの説明で正しいのはどれか。

 

  1. 公衆衛生看護活動の実践者が行う介入を可視化している。
  2. 継続的な業務の改善を促す取り組みに使用される。
  3. コミュニティアセスメントの視点を示している。
  4. 医療の質を評価する指標である。

 

 


 

▶午後3

子どもの家庭内の事故を予防することは、フリードマン〈Friedman, M.M.〉が提唱した家族機能のどれか。

 

  1. 経済機能
  2. 情緒機能
  3. 生殖機能
  4. ヘルスケア機能

 

 


 

▶午後4

Aさん(45歳、女性)は20歳代に統合失調症を発症し、入退院を繰り返してきた。2年前から通院を中断し、デイケアへの通所も休むようになった。半年ほど前から家の中で叫ぶなどの行動が続いているため、母親が保健師に電話で相談した。相談を受けた保健師が家庭訪問をしたが、父親が拒否したため室内に入れずAさんには会えなかった。
保健師の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 母親の承諾を得て主治医に連絡する。
  2. 父親の気持ちが変わるまで支援を控える。
  3. 近隣住民にAさんの日頃の状況を確認する。
  4. Aさんと母親が父親から離れられるようシェルターを紹介する。

 

 


 

▶午後5

健康な地域づくりの基盤である公衆衛生の説明で正しいのはどれか。

 

  1. 経済効率を優先して実施される。
  2. 根拠となるのは健康増進法である。
  3. 地域社会の組織的な努力を通じて行われる。
  4. 個人のセルフケア能力の開発が施策の主軸である。

 

 


 

▶午後6

A地区に住む乳児の親のニーズを把握するために、今年A地区の担当になった保健師が最初に行うことで適切なのはどれか。

 

  1. 子ども会のイベントへの参加
  2. 保育所利用者に対するアンケート
  3. 乳児健康診査における育児相談記録の確認
  4. 育児サークルの代表者に対するインタビュー

 

 


 

▶午後7

保健計画の策定で適切なのはどれか。

 

  1. 質的な評価指標を重視する。
  2. 新規事業を立ち上げることを目的とする。
  3. 計画策定の早い段階から住民の参画を促す。
  4. パブリックコメントは自治会長が取りまとめる。

 

 


 

▶午後8

健やか親子21(第2次)で示されている十代の健康水準の指標はどれか。

 

  1. 性感染症罹患率
  2. 虐待による死亡数
  3. むし歯(う歯)罹患率
  4. 睡眠障害がある子どもの割合

 

 


 

▶午後9改題

健康日本21(第二次)について正しいのはどれか。

 

  1. 最終目標を健康寿命の延伸としている。
  2. 目標項目の1つに世代間の健康格差の縮小がある。
  3. 国民に健康づくり対策の実施が義務付けられている。
  4. 最終評価で「目標値に達した」「改善傾向にある」と評価された目標項目は半数未満である。

 

 


 

▶午後10

予防接種について正しいのはどれか。

 

  1. 予防接種法では定期接種と任意接種に分類される。
  2. 市町村長は予防接種基本計画を策定する義務がある。
  3. 予防接種による健康被害の救済措置は都道府県知事が行う。
  4. A類疾病に対しては疾病の発生とまん延の予防を目的に実施する。

 

 


 

▶午後11

学校保健に関係する教職員と職務の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 校長――学校保健委員会の運営
  2. 栄養教諭――学校保健計画の立案
  3. 保健主事――学校医の任命
  4. 学校薬剤師――環境衛生検査への従事

 

 


 

▶午後12

放射線業務に従事する職員の安全衛生管理で適切なのはどれか。

 

  1. 年に1回の特殊健康診断を実施する。
  2. 確率的影響と確定的影響への対策が必要である。
  3. 作業者は放射性物質取扱作業室で水分摂取してもよい。
  4. 特殊健康診断結果の記録は10年間の保存が義務付けられている。

 

 


 

▶午後13

産業保健における作業管理はどれか。

 

  1. 定期的に健康診断を行う。
  2. 適切に保護具を装着する。
  3. 作業環境の有害要因を除去する。
  4. 労働衛生に関する体制を構築する。

 

 


 

▶午後14

健康危機管理で感染症の発生時の対応はどれか。

 

  1. 積極的疫学調査の実施
  2. 感染症指定医療機関の指定
  3. 感染症発生動向調査の実施
  4. 地域DOTSの関係機関への研修の実施

 

 


 

▶午後15

市全域が被害を受ける地震が発生し、1か月が過ぎた。避難所に避難していた被災者の多くが応急仮設住宅へ移動した。
この時期に応急仮設住宅の入居者に対して行う保健活動で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 心のケアチームを派遣する。
  2. 巡回訪問し健康状態を把握する。
  3. エコノミークラス症候群の予防方法を伝える。
  4. 感染症予防策についての健康教育を実施する。

 

 


 

▶午後16

A事業所の社員食堂で毎月行う調理従事者20名の便の細菌検査で、Bさんから腸管出血性大腸菌が検出された。Bさんは特に症状がないが、受診した診療所の医師から腸管出血性大腸菌の無症状病原体保有者と診断された。
この診断後の対応で正しいのはどれか。

 

  1. Bさんは感染症指定医療機関に入院する必要がある。
  2. 2類感染症として受診した診療所の医師から発生届が提出される。
  3. 社員食堂はBさんが職場に復帰できるまで業務を休止しなければならない。
  4. Bさんは病原体を保有しなくなるまで飲食物に直接触れる業務への就業が制限される。

 

 


 

▶午後17

市の保健センターでは子育て支援ニーズに関する調査から実態を把握した。
この活動における公衆衛生看護管理の機能はどれか。

 

  1. 情報管理
  2. 組織管理
  3. 予算管理
  4. 健康危機管理

 

 


 

▶午後18

自治体において統括的な役割を担う保健師として行う業務はどれか。

 

  1. 担当地区の総合相談支援
  2. 地域アセスメントの実施
  3. 生活習慣病重症化予防事業の企画
  4. 組織全体における保健師の活動推進のための調整

 

 


 

▶午後19

令和元年(2019年)の国民健康・栄養調査における身体活動・運動で正しいのはどれか。

 

  1. 20~49歳で運動習慣のある者の割合が最も高い。
  2. 20歳以上の歩数の平均値は1日8,000歩を下回る。
  3. 男性より女性の方が運動習慣のある者の割合が高い。
  4. 歩数の平均値は平成22年(2010年)の約2倍である。

 

 


 

▶午後20

A市では熱中症の健康被害が年々深刻になっている。A市で熱中症による死者の減少を目指すための熱中症対策計画を策定することになり、関係部署の役割分担を整理した。
環境衛生行政部門の役割で適切なのはどれか。

 

  1. 熱中症の危険性が高い気象情報の提供体制の構築
  2. 高温下での労働者の作業環境の管理
  3. 学校の教室の湿度管理
  4. 熱中症予防の健康教育

 

 


 

▶午後21

公的年金制度について正しいのはどれか。

 

  1. 20歳以上の学生は国民年金に任意加入である。
  2. 20歳未満の傷病による障害者にも障害基礎年金が支給される。
  3. 国民年金から支給される年金給付の1つは老齢厚生年金である。
  4. 被用者に扶養される配偶者は国民年金の第2号被保険者である。

 

 


 

▶午後22

成年後見制度に関する説明で適切なのはどれか。

 

  1. 利用の申立ては社会福祉協議会である。
  2. 利用にあたり医師の鑑定書は市に提出する。
  3. 身寄りがない場合は都道府県知事が利用の申立てを行う。
  4. 判断能力の程度に応じて成年後見人、保佐人または補助人が選ばれる。

 

 


 

▶午後23

市の保健センターでは電話育児相談を行っており、必要に応じて地区担当保健師による家庭訪問につなげている。
電話育児相談の内容で、地区担当保健師に家庭訪問を依頼する優先度が高いのはどれか。

 

  1. 6か月の子どもの離乳食が進まない。
  2. 1歳0か月の子どもがまだひとり歩きをしない。
  3. 4か月の子どもの予防接種について教えてほしい。
  4. 2歳の子どもが言うことを聞かないので叩いてしまう。
  5. 育児の話ができる友達が欲しいが近所に子どもがいる家庭がない。

 

 


 

▶午後24

地域包括ケアシステムの構築におけるストラクチャー評価はどれか。

 

  1. 地域の健康課題は解決されている。
  2. 社会資源の総合的な調整がされている。
  3. 関係部署、機関との連携は図られている。
  4. 地域のニーズに応じたものになっている。
  5. 必要な事業化、施策化につながっている。

 

 


 

▶午後25

平成30年(2018年)の難病患者に対する医療等に関する法律〈難病法〉による全国の特定医療費(指定難病)医療受給者証発行数の上位5疾病について、年齢別のグラフを示す。
109pm25h
Aが示す疾患はどれか。

 

  1. 潰瘍性大腸炎
  2. 後縦靱帯骨化症
  3. Crohn〈クローン〉病
  4. Parkinson〈パーキンソン〉病
  5. 全身性エリテマトーデス〈SLE〉

 

 


 

▶午後26

潜伏期間が最も長い感染症はどれか。

 

  1. 風疹
  2. 肺結核
  3. 百日咳
  4. インフルエンザ
  5. 流行性耳下腺炎

 

 


 

▶午後27改題

令和4年(2022年)の人口動態統計における20歳以上の年齢別死亡原因を以下に示す。
109pm27h
不慮の事故はどれか。

 

  1. A
  2. B
  3. C
  4. D
  5. E

 

 


 

▶午後28

レセプト情報・特定健診等情報データベース〈NDB〉について正しいのはどれか。

 

  1. 3年に1回データが更新される。
  2. 無作為抽出による標本調査である。
  3. 研究を目的に収集されたデータである。
  4. 年間1,000万件程度のデータが蓄積されている。
  5. 高齢者の医療の確保に関する法律に基づいている。

 

 


 

▶午後29

歯科口腔保健の推進に関する法律に基づく基本的事項(平成24年)における3歳でう蝕のない者の割合の目標値で正しいのはどれか。

 

  1. 50%
  2. 60%
  3. 70%
  4. 80%
  5. 90%

 

 


 

▶午後30改題

平成23年(2011年)から令和2年(2020年)までの日本の精神疾患患者の動向で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 総患者数は減少傾向にある。
  2. 気分障害の患者数が最も多い。
  3. 入院患者数は増加傾向に転じている。
  4. 外来患者数では75歳以上の患者が減少傾向にある。
  5. Alzheimer〈アルツハイマー〉病の患者数は増加傾向である。

 

 


 

▶午後31

要保護児童対策地域協議会の説明で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 設置は国の努力義務である。
  2. 協議する対象には非行児童を含まない。
  3. 子育て世代包括支援センターを運営する。
  4. 居住実態を把握できない児童の情報を共有する。
  5. 支援対象となる児童と保護者の状況確認に関する役割分担を行う。

 

 


 

▶午後32

検疫所の説明で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 保健所に設置されている。
  2. 海外感染症情報の収集と提供を行う。
  3. 感染症サーベイランスの分析を行う。
  4. 国内に常在しない感染症の病原体が侵入することを防ぐ。
  5. 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉に基づき業務を行う。

 

 


 

▶午後33

毒素型の食中毒の原因となる菌はどれか。2つ選べ。

 

  1. 赤痢菌
  2. サルモネラ菌
  3. ボツリヌス菌
  4. 黄色ブドウ球菌
  5. カンピロバクター

 

 


 

▶午後34

散布図から分かるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 相関
  2. 割合
  3. 中央値
  4. 年次推移
  5. はずれ値

 

 


 

▶午後35

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉に統合され廃止された法律はどれか。2つ選べ。

 

  1. 後天性免疫不全症候群の予防に関する法律
  2. トラホーム予防法
  3. 狂犬病予防法
  4. 結核予防法
  5. らい予防法

 

 


 

次の文を読み36~38の問いに答えよ。

人口約12万人のA市は30の地区に分かれており、各地区の人口は約2,000~6,000人である。近年、A市の肺がん検診受診者のうち精密検査が必要となった者の割合が徐々に増加している。また、特定健康診査受診者への問診から得られた喫煙者割合も県内のほかの市町村に比べて高い。

 

▶午後36

A市の保健師が各地区の特徴を把握するための情報で適切なのはどれか。

 

  1. 肺がん受療率
  2. 肺がんの標準化死亡比〈SMR〉
  3. 肺がん検診の年齢階級別受診率
  4. 肺がん要精密検査者の親の肺がん罹患状況

 

 


 

▶午後37

保健師による地域アセスメントの結果、B地区においては喫煙者を対象としたハイリスクアプローチが必要であることが分かり、禁煙教室を実施することになった。
プリシード・プロシードモデルを用いて禁煙教室を計画する場合の強化要因はどれか。

 

  1. 地区内の診療所の禁煙外来
  2. 教室参加者の家族や友人からの応援
  3. たばこの害に対する教室参加者の知識
  4. 禁煙できるという教室参加者の自己効力感

 

 


 

▶午後38

これまでの地域アセスメントを踏まえ、ポピュレーションアプローチとしてB地区住民を対象に「地区の子どもをたばこの煙から守る」をテーマとした健康づくりを推進することになり、保健師が実施案を作成することになった。
B地区のコミュニティ・エンパワメントが最も促進されるのはどれか。

 

  1. 喫煙者に受動喫煙の害について説明する。
  2. 他自治体の良い実践例を地区内に掲示する。
  3. 子どもにたばこの煙が身体に及ぼす影響を説明する。
  4. テーマに関心の高い育児グループと対策を検討する場を持つ。

 

 


 

次の文を読み39~41の問いに答えよ。

A市は人口約3万人の高齢化率35.6%の市である。主要な産業は農業で、他市と比べ糖質の摂取量が多い特性がある。A市では近年、糖尿病性腎症による人工透析の新規患者数が増加している。

 

▶午後39

糖尿病性腎症の発症リスクがある地域住民を把握する方法で最も適切なのはどれか。

 

  1. A市の医師会との意見交換を行う。
  2. 国保データベース〈KDB〉を活用する。
  3. 生活習慣病予防教室の参加者リストを活用する。
  4. 健康増進計画策定時に市民に行った健康調査結果を活用する。

 

 


 

▶午後40

糖尿病性腎症の発症リスクを有する地域住民を把握した結果、A市では糖尿病の重症化を予防することを目的に、特定健康診査でヘモグロビンA1c〈HbA1c〉が8.0%以上で糖尿病治療を受けていない者への家庭訪問事業を行うことにした。
家庭訪問で保健師が把握する内容で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 食生活の状況
  2. 運動習慣の有無
  3. 日常生活動作〈ADL〉
  4. 特定健康診査結果の理解の状況

 

 


 

▶午後41

A市では糖尿病性腎症を予防するため、糖尿病予防を重点的に行うことになった。
A市で行う糖尿病予防のポピュレーションアプローチの取り組みで最も適切なのはどれか。

 

  1. 公民館でのラジオ体操の実施
  2. 自治会の掲示板での禁煙の啓発
  3. 個別通知による特定健康診査の受診勧奨
  4. 広報誌でのバランスのとれた食生活の啓発
  5. ホームページで休養について正しい知識の提供

 

 


 

次の文を読み42~44の問いに答えよ。

A君(6歳)は両親と3人家族で、現在保育所に通っている。3歳児健康診査の心理相談で療育教室への参加を勧められたが、これまで2回しか参加しておらず経過観察の対象となっている。就学予定の小学校で行われた就学時健康診断で、A君は常に動き回り目立つ存在だった。健康診断後の面接では母親はA君について「とても活発で元気な子なのですが、他の子のように座っていられないときもある」と話した。面接を担当した教員は、A君が学校で集団生活を送れるか不安に感じたため養護教諭に相談した。

 

▶午後42

就学時健康診断後、小学校が保護者の了解を得てA君の情報を収集することになり、養護教諭が担当することになった。
情報を収集する対象で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 保育所の担任
  2. 地区担当の保健師
  3. 療育教室の指導員
  4. 3歳児健康診査時の心理相談担当者

 

 


 

▶午後43

教育委員会が主催して関係者と母親がA君の就学先について協議を行い、小児科の専門医を受診してから判断することになった。受診した結果、注意欠如・多動性障害〈ADHD〉疑いと診断され継続的なフォローが行われることになった。その結果を受けて再度、教育委員会で協議を行いA君は地元の小学校の通常の学級に在籍することが決まった。
入学前の面談で母親は「なぜAはあのように動き回るのでしょうか。病院に通うことになるとは思っていませんでした。私の育て方が悪かったのでしょうか。これからが心配です」と涙を浮かべながら話した。
このときの母親に対する養護教諭の発言で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「お父さんとも話し合いの場をもちましょう」
  2. 「A君の行動や気持ちを理解していきましょう」
  3. 「3歳児健診で指摘されたことを振り返りましょう」
  4. 「A君のようなお子さんを持つ保護者の集まりに行ってみましょう」

 

 


 

▶午後44

入学直後、A君は授業中に教室の掲示物が気になると急に立ち上がって触ったり、廊下の人の行き来をずっと見たりしていることが多い。また、前の席の児童にいたずらをして担任から注意を受けると急に不機嫌になって教室を飛び出し、担任は目が離せないことが続いた。同級生とのトラブルも多いため、教頭、特別支援教育コーディネーター、養護教諭、担任、スクールカウンセラーが集まって校内委員会を開催し対応を検討した。
A君に対する学校の支援で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 教室の掲示物を少なくする。
  2. 他の児童との学習活動を減らす。
  3. いたずらをしたら大声で注意する。
  4. A君の席を教室の出入口の近くにする。
  5. 教室を飛び出したときの居場所を確保する。

 

 


 

次の文を読み45~47の問いに答えよ。

人口約3,300人のA町にあるB地区は人口約200人で商店や飲食店が連なっている地域である。B地区は高齢化率50%で、独居高齢者世帯も多い。早朝、B地区で大規模火災が発生し、死者が1名、重傷者が2名出ている。

 

▶午後45

A町は発災後すぐに災害対策本部を設置した。現在も延焼が続いている。
このときのA町の保健師の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 全戸訪問による健康調査
  2. 仮設住宅への移行計画の作成
  3. 避難行動要支援者の個別確認
  4. 広域災害・救急医療情報システム〈EMIS〉の医療情報管理

 

 


 

▶午後46

B地区の建物の半数が焼失し、小学校の体育館に避難所が設置された。火災発生の翌日、B地区の担当保健師は避難所を訪問した。避難所には50人が避難していて、避難者のほとんどが独居で生活をしていた高齢者である。避難をしているCさん(80歳、男性、独居、介護認定なし)は、自分の荷物を置いている場所やトイレの位置が分からなくなることがあると保健師に話した。
Cさんに対するB地区の担当保健師の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 要介護認定の申請を勧める。
  2. 認知症専門外来の受診に同行する。
  3. 福祉避難所に移動することを提案する。
  4. 認知機能について災害前後の変化を把握する。

 

 


 

▶午後47

火災発生から10日が経った。避難所で不眠を訴える住民が増え、イライラしている様子も見受けられる。B地区の担当保健師は、今後の避難住民の心のケアを検討していくために、精神保健福祉センターの精神科医師に応援要請を行った。
B地区の担当保健師が精神保健福祉センターの精神科医師に依頼する内容で適切なのはどれか。

 

  1. 保健師の地区活動における心のケアの方針に関する助言
  2. 避難住民を対象としたストレスチェックの実施
  3. 医療保護入院ができる医療機関の整備
  4. 睡眠障害を訴えている避難住民の診察

 

 


 

次の文を読み48~50の問いに答えよ。

市の保健センターに勤務する新任期の保健師Aは、人事異動する中堅期の保健師Bの担当していたCさん(50歳、男性)を受け持つことになり、管理職の保健師が保健師Aのサポートを行うことになった。
Cさんは統合失調症をもつ単身者で生活保護を受給している。2年前に生活保護の担当者から被害妄想を訴えてくると相談があり、保健師Bが援助を開始していた。援助開始当初は、Cさんは精神科の外来通院を中断しており、Cさんの問題行動に対して近隣からたびたび苦情や対応要請の連絡が入った。保健師に対しても警戒心が強かったが、保健師Bの援助により通院の再開に至っていた。

 

▶午後48

保健師Bが異動前の限られた期間内で、Cさんの引き継ぎのために保健師Aと一緒に訪問する対象者として優先度が高いのはどれか。

 

  1. Cさん
  2. Cさんの担当地区の民生委員
  3. Cさんの生活保護担当のケースワーカー
  4. Cさんについて苦情の連絡をしてきた近隣住民

 

 


 

▶午後49

保健師AはCさんの訪問を毎月継続し約1年が経過した。Cさんは外来通院を継続しており、近隣住民もCさんを見守ってくれている。管理職の保健師は保健師Aと面談し、これまでのCさんへの援助について評価し、今後について尋ねた。保健師Aは「このまま継続していけるとよいと思っているが、具体的なアイデアはまだ考えられていない」と話した。管理職の保健師は、保健師AがCさんを多方面から捉えて、より良い支援を計画できるようになってほしいと考えた。
管理職の保健師が保健師Aに勧めることで最も適切なのはどれか。

 

  1. Cさんとの会話のプロセスレコードを作成すること
  2. 保健師BにCさんへの対応について相談すること
  3. 事例検討会で他の保健師と意見交換をすること
  4. 通院先の精神科医からCさんの様子を聞くこと

 

 


 

▶午後50

Cさんは通院を継続しており、保健センターのデイケアにも通い続けている。デイケア担当者からCさんが就労を希望していることを聞き、保健師AはCさんの就労支援を行うことにした。
最初にCさんに提案する社会資源で適切なのはどれか。

 

  1. 就労移行支援
  2. ハローワーク
  3. 就労継続支援A型
  4. 就労継続支援B型

 

 


 

次の文を読み51~53の問いに答えよ。

人口約10万人のA市で慢性腎臓病の予防に関する施策の策定をすることになった。その基礎資料を作成するために、ある一時点での慢性腎臓病の有無と高血圧の有無の関連を検討することにした。

 

▶午後51

この研究デザインはどれか。

 

  1. 横断研究
  2. 介入研究
  3. コホート研究
  4. 症例対照研究
  5. 生態学的研究

 

 


 

▶午後52

調査を実施する際に、市民全員を対象とすることは困難であると考えた。そのため、調査者の主観が介入しない方法で対象者を選ぶことにした。
適切な方法はどれか。

 

  1. 層化
  2. 標準化
  3. マッチング
  4. 無作為抽出
  5. 無作為化(割付)

 

 


 

▶午後53

対象者1,000人を選び出し、高血圧の有無と慢性腎臓病の有無を調査した結果を以下に示す。
109pm53h
高血圧「あり」の高血圧「なし」に対する慢性腎臓病「あり」のオッズ比を求めよ。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第2位を四捨五入すること。

 

解答:① . ②

 

 


 

次の文を読み54、55の問いに答えよ。

住民から「最近、近所に引っ越してきた家族の3歳ぐらいの男の子が、毎日、昼ころから暗くなるまで1人で走り回っている。子どもを叱責する声と子どもの泣き声が何度も家の中から聞こえて気になる」と市の保健福祉センターに通告があった。

 

▶午後54

この通告について規定している法律はどれか。

 

  1. 母子保健法
  2. 児童虐待の防止等に関する法律〈児童虐待防止法〉
  3. 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律〈精神保健福祉法〉
  4. 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律〈DV防止法〉

 

 


 

▶午後55

市の住民基本台帳から、家族は父親(24歳、会社員)、母親(20歳、無職)とAちゃん(3歳3か月、男児)の3人暮らしで、1か月前に転入していたことを把握した。
市の保健師の対応で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 地域の育児サークルを紹介する。
  2. 居住地の児童委員に問い合わせる。
  3. 児童相談所の職員と家庭訪問をする。
  4. 市の3歳児健康診査の受診を勧奨する。

 

 


 

資料 厚生労働省「第109回保健師国家試験、第106回助産師国家試験、第112回看護師国家試験の問題および正答について

 

 

▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 医師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 薬剤師国家試験に出る国民衛生の動向

 

令和4年2月11日実施の第108回保健師国家試験の全問題と正答を掲載します。

また、内容に応じて保健師国家試験受験者の必携テキスト「国民衛生の動向2024/2025」の参照章・ページを示します。問題を解きながら本誌を確認することで、より問題の理解を深めることできます。

 

分野別解説付き問題まとめ

を合わせて活用しながら、合格に近づく過去問対策を進めて頂ければ幸いです。

 

なお、最新の統計の記載、法律の改正、不適切問題などにより、一部問題を改変、削除しています。

 

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国民衛生の動向 2024/2025

 

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▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

第108回保健師国家試験目次

 

 

第108回保健師国家試験・午前(55問)

 

 

▶午前1

平成25年(2013年)に改正された「地域における保健師の保健活動に関する指針」に示された市町村に所属する保健師の活動はどれか。

 

  1. 医療施設等に対する指導
  2. 防災計画の策定への参画
  3. 健康危機管理の体制づくり
  4. 広域的、専門的な保健サービスの提供

 

 


 

▶午前2改題

令和4年度(2022年度)の保健師活動領域調査で正しいのはどれか。

 

  1. 保健師の就業場所で最も多いのは市町村である。
  2. 保健所設置市で働く常勤保健師は地方自治体における保健師全体の3割を超えている。
  3. 都道府県保健所に所属する保健師の活動項目別の活動時間割合は「直接対人支援」が最も多い。
  4. 市町村保健師の活動項目別の保健師1人当たりの平均時間数は「施策管理・業務及び組織マネジメント」が最も長い。

 

 


 

▶午前3

Aさん(33歳)は第1子を県外の実家で里帰り出産した。Aさんは、産後30日で自宅に戻り、翌週、地区担当保健師の家庭訪問を受けた。訪問時に児の発育発達に問題はなかったが、その後、時々Aさんは地区担当保健師に電話をかけ、日々の育児で生じた悩みを保健師に話した。Aさんは「身近に育児について話し合える人がいればいいのに」と話した。
Aさんに対する保健師の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 週末を利用して実家に帰ることを勧める。
  2. 地区で行われている子育て教室への参加を促す。
  3. 出産した産婦人科医院で相談することを勧める。
  4. 母子保健推進員の訪問を依頼することを勧める。

 

 


 

▶午前4

A地区では市主催の両親学級に参加した父親が有志でグループを結成し、「パパの会」として自主的な活動を行っている。地区担当保健師は、会のリーダーから「会の活動を市の広報紙に掲載して参加者を増やしたいという意見と、今のメンバーで活動していきたいという意見に分かれている。どうしたらよいか」と相談を受けた。
地区担当保健師が優先して行う対応として適切なのはどれか。

 

  1. 「保健師が運営を担当します」
  2. 「パパの会に一度参加させてください」
  3. 「リーダーの考えで活動を進めていいですよ」
  4. 「意見が分かれているのでメンバーを分けて活動しましょう」

 

 


 

▶午前5

Aさん(43歳、女性)は定期健康診断を毎年受けている。今年は血液検査で中性脂肪が基準値を超えており、医師から運動を勧められた。1か月後の受診日に、2週前から1日15分のジョギングを始めたことを医師に話したところ、医師は「2週間続けられたのだから、あなたならこれからもできると思います」と話した。Aさんは「はい。頑張って続けてみようと思います」と話した。
Aさんの自己効力感を高めたのはどれか。

 

  1. 代理体験
  2. 意識の高揚
  3. 言語的説得
  4. 自己の再評価

 

 


 

▶午前6

Aさん(50歳、男性)は市の集団健康診査で空腹時血糖が140mg/dL、ヘモグロビンA1c〈HbA1c〉が6.8%であったことから、健康診査の結果相談会に来所した。保健師が話を聞くと、健康診査のときに医師から受診を勧められたものの、Aさんは「自覚症状がないから大丈夫」といい、まだ受診していなかった。保健師はAさんに、このまま放置した場合の身体への影響を科学的な根拠に基づいて説明した。
保健師の働きかけは、ヘルスビリーフモデルの主要な概念のどれか。

 

  1. 予防的行動に対する障害の認識
  2. 予防的行動の有益性の認識
  3. 疾病の重大性の認識
  4. 疾病の罹患性の認識

 

 


 

▶午前7

プリシード・プロシードモデルの説明で正しいのはどれか。

 

  1. 地区活動の評価に活用できる。
  2. 最終目標は「健康の向上」である。
  3. 第1〜4段階が評価を行う段階である。
  4. 行動変容の段階に応じた働きかけを示したモデルである。

 

 


 

▶午前8

地域包括ケアシステム構築のために行われる活動について正しいのはどれか。

 

  1. 地域の特性に応じて国が作り上げる。
  2. 既存のケアシステムの実態把握を行う。
  3. 入院を主体とするサービス体制を中心に整備する。
  4. 保健医療福祉部門ごとの体制に合わせて構築する。

 

 


 

▶午前9

地域にある組織とその特性の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 地縁組織――社会的使命の実現を目的として活動する。
  2. 特定非営利活動法人――収益を分配することを目的としない活動を行う。
  3. セルフヘルプグループ――市町村から委嘱を受けて活動する。
  4. 健康課題別健康教室の修了者の会――地域の課題解決に向けた取り組みを行う。

 

 


 

▶午前10

A市の保健医療福祉関係者で構成される会議において、医療機関と介護サービス事業者との連携ができていないという課題が出された。
課題への対応において優先度が高いのはどれか。

 

  1. 医療従事者を対象に在宅ケアの勉強会を企画する。
  2. 地域ケア会議で互いの意見が共有できるようにする。
  3. 介護サービス事業者を対象に医療の知識に関する研修会を開催する。
  4. A市の医療機関に新しい医療連携のネットワークシステムを導入する。

 

 


 

▶午前11

Aさん(35歳、男性、会社員)は身長170cm、体重60kgである。事業所の保健師は、Aさんから「先日、潰瘍性大腸炎と診断され、外来通院で治療することになりました。会社の食堂で食事をすることが多いため、気を付けることはありますか」と相談を受けた。
Aさんに対する保健指導で適切なのはどれか。

 

  1. 「脂肪の制限はありません」
  2. 「低蛋白質の食事を選んでください」
  3. 「食物繊維が少ない食事を選んでください」
  4. 「カロリーが高くならないようにしてください」

 

 


 

▶午前12改題

令和3年(2021年)の日本におけるHIV感染者の患者動向で正しいのはどれか。

 

  1. 新規感染の約60%は性的接触である。
  2. 発生の総数は2008年から増加している。
  3. 男性では外国籍の者が半数以上を占めている。
  4. 日本国籍女性の感染経路は異性間の性的接触が最も多い。

 

 


 

▶午前13

乳幼児の予防接種が任意接種である疾病はどれか。

 

  1. B型肝炎
  2. 急性灰白髄炎
  3. 流行性耳下腺炎
  4. ロタウイルス感染症

 

 


 

▶午前14改題

令和3年(2021年)の特別支援教育の状況で正しいのはどれか。

 

  1. 訪問教育を受けている児童生徒は小学生が最も多い。
  2. 特別支援学級の児童生徒の障害は知的障害が最も多い。
  3. 義務教育段階の児童生徒のうち特別支援学校に在籍している割合は全児童生徒の3%である。
  4. 特別支援教育が開始された平成19年(2007年)に比べて対象となる児童生徒数は減少している。

 

 


 

▶午前15

学校給食に関する養護教諭の職務はどれか。

 

  1. 食中毒の予防
  2. 献立の栄養管理
  3. 調理場の衛生管理
  4. 食に関する指導に係る全体計画の作成

 

 


 

▶午前16改題

令和3年度(2021年度)児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査で正しいのはどれか。

 

  1. 小学校における不登校児童数は約10万人である。
  2. いじめの発見のきっかけの第1位は「本人からの訴え」である。
  3. 中学校における不登校の主たる要因の第1位は「無気力・不安」である。
  4. 小学校におけるいじめの内容の第1位は「仲間はずれ、集団による無視をされる」である。

 

 


 

▶午前17

地域産業保健センターについて正しいのはどれか。

 

  1. 衛生管理者の育成を行う。
  2. 産業医の研修を実施する。
  3. 個別訪問による産業保健指導を行う。
  4. 労働者100人未満の事業場を対象とする。

 

 


 

▶午前18

A市は台風被害から2か月が経ち、仮設住宅と集会所が各地区に完成し、家屋に被害を受けた被災者の仮設住宅への入居が開始された。B地区の仮設住宅には元の居住地が異なる世帯が入居したため、新たなコミュニティ構築への支援が復興支援の課題となっている。
B地区の仮設住宅で新たなコミュニティづくりのために行う支援として、効果が期待できるのはどれか。

 

  1. 電話健康相談窓口を増設する。
  2. 家庭訪問による健康観察を実施する。
  3. ホームページで健康情報を発信する。
  4. 集会所で集団健康教育を定期開催する。

 

 


 

▶午前19

A小学校の2年生の児童80人と引率の教員が市内の公園に遠足に行き、昼食に学校から配布されたおにぎりを食べた。午後2時ころに帰校すると、2年生の児童と引率した教諭に嘔吐、下痢および腹痛の症状が現れ、半数以上の児童が医療機関を受診した。他学年の児童に症状がある者はなかった。保健所にA小学校から緊急連絡があり、疫学調査の結果、集団食中毒であることが判明した。
原因菌として最も疑われるのはどれか。

 

  1. ウェルシュ菌
  2. ボツリヌス菌
  3. 黄色ブドウ球菌
  4. カンピロバクター

 

 


 

▶午前20

保健師が行う看護管理機能の種別と実施内容の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 情報管理――地域診断
  2. 人事管理――個人情報の保護
  3. 予算管理――ジョブローテション
  4. 事例管理――サービスの質と量の評価

 

 


 

▶午前21

人口3万人の町の保健師は地区によって高脂血症の罹患率が大きく異なっていることに気付いた。
罹患率に関連する要因について仮説を立てて検証するために行う調査方法で適切なのはどれか。

 

  1. フォーカス・グループインタビュー
  2. 半構造化面接法
  3. 質問紙調査
  4. 事例分析

 

 


 

▶午前22

大きな集団から無作為に1,000人選び出したとき、その中の高血圧者数が従う分布はどれか。

 

  1. t分布
  2. 正規分布
  3. 二項分布
  4. χ2〈カイ2乗〉分布

 

 


 

▶午前23

保健機能食品制度の説明で正しいのはどれか。

 

  1. 特定保健用食品の許可は厚生労働大臣が行う。
  2. 機能性表示食品は妊産婦に適する旨の表示ができる。
  3. 栄養機能食品は健康増進法に基づく一定の要件を満たしている。
  4. 保健機能食品は1日当たりの摂取目安を表示しなければならない。

 

 


 

▶午前24

医療計画において定めることとされている事項はどれか。

 

  1. 診療報酬の点数
  2. 市町村の介護医療院の設置数
  3. 居宅等における医療の確保に関する事項
  4. 市町村の地域支援事業利用者数の見込み

 

 


 

▶午前25

社会保障の枠組みで互助に当てはまるのはどれか。

 

  1. 医療保険を使って手術を受ける。
  2. 夫婦共働きで家族の生活費を得る。
  3. 健康維持のために健康診断を受ける。
  4. 自治会が健康に関する学習会を開催する。
  5. 病気によって働くことができないため生活保護を受給する。

 

 


 

▶午前26改題

令和3年(2021年)の労働安全衛生調査(実態調査)で、労働者の仕事や職業生活における強い不安、悩み、ストレスの内容に関して最も割合が高いのはどれか。

 

  1. 仕事の質
  2. 対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)
  3. 仕事の失敗、責任の発生等
  4. 会社の将来性
  5. 仕事の量

 

 


 

▶午前27

リスクコミュニケーションに当てはまる活動はどれか。

 

  1. 民生委員の会合でハザードマップを確認する。
  2. 災害派遣医療チーム〈DMAT〉を組織する。
  3. 災害が起こったときの被害を予測する。
  4. 食中毒の原因となる菌を調べる。
  5. 市の防災基本計画を策定する。

 

 


 

▶午前28

症例対照研究で計算が可能な指標はどれか。

 

  1. 受療率
  2. オッズ比
  3. 寄与危険
  4. 推計患者数
  5. 5年生存率

 

 


 

▶午前29改題

日本の主な死因別にみた死亡率(人口10万対)の年次推移を図に示す。
108am29ho
心疾患はどれか。

 

  1. A
  2. B
  3. C
  4. D
  5. E

 

 


 

▶午前30

レセプト情報・特定健診等情報データベース〈NDB〉に収載されているのはどれか。

 

  1. 世帯収入
  2. 食塩摂取量
  3. 同居家族人数
  4. 主要死因別死亡数
  5. 特定保健指導の実施状況

 

 


 

▶午前31

A市では8月に大規模災害が発生し災害復興が必要となった。健康増進課ではコミュニティの復興を考慮した事業について次年度に実施することを計画し、予算要求を行うことになった。
健康増進課の予算要求について正しいのはどれか。

 

  1. 議会の承認を得る。
  2. 前年度の繰越金を組み込んで要求する。
  3. 長期的な復興を踏まえ複数年度の予算を要求する。
  4. 事業の具体的な実施方法は予算が成立してから考える。
  5. 事業実施の際に予算不足にならないように多めに計上する。

 

 


 

▶午前32

平常時に指定医療機関から患者発生数の報告を受けて流行状況を把握する定点把握対象疾患はどれか。2つ選べ。

 

  1. 結核
  2. コレラ
  3. 急性出血性結膜炎
  4. 鳥インフルエンザ
  5. 性器クラミジア感染症

 

 


 

▶午前33

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律〈障害者総合支援法〉について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 療育手帳の根拠法令である。
  2. 障害支援区分に基づきサービスが利用できる。
  3. 自立支援医療の自己負担額は原則2割である。
  4. サービスを利用する場合は都道府県の窓口に申請する。
  5. 平成28年(2016年)の改正によって就労定着支援が新設された。

 

 


 

▶午前34

災害時健康危機管理支援チーム〈DHEAT〉の保健師が被災地で行う活動はどれか。2つ選べ。

 

  1. 被災した市町村の保健活動の評価
  2. 避難所での要配慮者の健康相談
  3. 避難所のトイレの衛生対策
  4. 自宅待機者への家庭訪問
  5. 派遣保健師の受入調整

 

 


 

▶午前35改題

令和2年(2020年)の日本の医療施設数または医療従事者数で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 病院数は約6千施設である。
  2. 一般診療所数は約5万施設である。
  3. 就業保健師数は約5万6千人である。
  4. 歯科診療所数は約6万8千施設である。
  5. 就業看護師数は約100万5千人である。

 

 


 

▶午前36

代表値はどれか。2つ選べ。

 

  1. 分散
  2. 平均
  3. 最頻値
  4. 標準誤差
  5. 標準偏差

 

 


 

▶午前37

割合の差の検定について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 回帰分析で用いる。
  2. 相関係数が計算できる。
  3. クロス集計表は有用である。
  4. 検定の際に散布図を用いる。
  5. χ2〈カイ2乗〉検定で有意差を検定する。

 

 


 

▶午前38

健康増進法に基づく市町村の役割はどれか。2つ選べ。

 

  1. 特定保健指導
  2. がん検診の実施
  3. 健康増進計画の策定
  4. 特定給食施設に対する指導
  5. 飲食店における受動喫煙の防止に関する指導

 

 


 

▶午前39

健康日本21(第二次)の具体的な目標はどれか。2つ選べ。

 

  1. 高血圧の改善
  2. 平均寿命の延伸
  3. 糖尿病合併症の減少
  4. 週労働時間80時間以上の雇用者の割合の減少
  5. 低栄養傾向(BMI20以下)の若者の割合の増加を抑制

 

 


 

▶午前40

A市におけるある年の肺炎の罹患患者数は1,000人であり、そのうち死亡数は50人であった。これらの肺炎患者のうち感染症Bによるものは100人であり、そのうち死亡数は15人であった。
感染症Bによる致命率〈致死率〉を求めよ。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。

 

解答:①②%

 

 


 

次の文を読み41〜43の問いに答えよ。

市の高齢福祉課で運営していた認知症サポーター養成講座の受講者が年々減っていた。講師を担当するキャラバン・メイトで家庭の事情等で活動できない人が増え、講座開催回数が減っていたことが原因として考えられた。そこで、各地域の実情に応じた認知症サポーター養成事業を展開するために、認知症サポーター養成講座を市内の各地域包括支援センターによる運営とし、保健師が担当することになった。

 

▶午前41

各地域包括支援センターでキャラバン・メイトとして活動できる人を確保するために、キャラバン・メイトになるための研修を受けるよう声をかけるのに最も適切なのはどれか。

 

  1. 一般市民
  2. 民生委員
  3. 健康推進委員
  4. 高齢福祉課の職員

 

 


 

▶午前42

認知症サポーター養成講座を受講した住民から、「何か自分達の学んだことを生かした活動ができないか」と地域包括支援センターの保健師は相談を受けた。
保健師からの最も適切な提案はどれか。

 

  1. 「地域を巡回しませんか」
  2. 「グループホームで働いてみませんか」
  3. 「認知症の理解を広める講座を開いてみませんか」
  4. 「ステップアップ講座を受けて地域課題を踏まえた活動をしてみませんか」

 

 


 

▶午前43

地域包括支援センターが運営する認知症サポーター養成講座を修了した人は徐々に増えていった。担当保健師は、地域における日常生活での見守りの体制をさらに構築するために、一層の普及啓発活動を推し進める必要があると考えた。
今後の活動として適切なのはどれか。

 

  1. 認知症対応型グループホームの誘致を高齢福祉課に打診する。
  2. ピア活動が行えるように認知症患者に養成講座の受講を呼びかける。
  3. 認知症の家族と暮らす人を対象とする活動を認知症サポーターに促す。
  4. 地域の交通機関の職員に認知症サポーター養成講座への受講を呼びかける。

 

 


 

次の文を読み44〜46の問いに答えよ。

Aさん(35歳、会社員、初産婦)は妊娠8週で母子健康手帳の交付を受けるために市役所を訪れた。地区担当保健師が面接したところ、Aさんは5年前にうつ病で通院していたが、その後症状が軽快し、現在は通院していないことがわかった。
Aさんは「実家から引っ越してきたばかりで近所に知り合いがいないため不安です。夫は仕事が忙しく、家事や育児への協力は期待できません」と話した。

 

▶午前44

現時点での保健師からAさんへの提案として、最も適切なのはどれか。

 

  1. 「市の母親学級に参加してみませんか」
  2. 「実家のご両親に相談されてはどうですか」
  3. 「家事援助サービスを使ってみてはどうですか」
  4. 「住み慣れると不安も軽くなりますので待ちましょう」

 

 


 

▶午前45

妊娠10週にAさんから地区担当保健師に電話があり、「産科の先生や助産師さんには次の健診で相談してみようと思いますが、残業があり、仕事中の休憩や休暇も取りにくく、つわりもあるので仕事が負担になってきました。何か使える制度はないでしょうか」と相談があった。
現時点でAさんが会社に制度の利用を請求した場合、法律に基づき会社が対応する必要があるのはどれか。

 

  1. 時間外勤務をなくす。
  2. 休憩時間の回数を増やす。
  3. 妊産婦健康診査の費用を助成する。
  4. 勤務時間中に2週間に1回の妊婦健康診査の時間を確保する。

 

 


 

▶午前46

AさんはBちゃんを36週に2,400gで出産した。Aさんは産後5日で退院し、Bちゃんは黄疸が強かったため光線療法が行われ、生後10日で退院した。産後25日に地区担当保健師が家庭訪問した。Bちゃんは身長47.0cm、体重2,600gであった。Aさんのエジンバラ産後うつ病質問紙票〈EPDS〉の得点は3点であった。Aさんは「母乳が出ているか心配です」と話した。キッチンに洗っていない食器が置かれたままだった。
保健師の対応の優先度を判断する上で最も必要な情報はどれか。

 

  1. 家族の支援体制
  2. Aさんの抑うつの程度
  3. Bちゃんの体重増加量
  4. Aさんの家事の遂行状況

 

 


 

次の文を読み47〜49の問いに答えよ。

Aさん(45歳、男性)は社員数80名の会社で経理事務に従事している。発熱と咳が続いたため病院を受診したところ、画像診断で空洞を伴う肺病変があり、喀痰塗沫検査陽性、喀痰PCR検査陽性となったことから肺結核と診断され、結核病床のある病院に入院した。
抗結核薬による治療開始後6週で喀痰中の結核菌は陰性化したため、Aさんは退院し、外来で治療を継続することとなった。薬剤感受性検査では1剤に耐性がみられたが、この薬剤はAさんの治療には使用されていない。

 

▶午前47

Aさんが肺結核と診断された時点での感染性の強さを示唆するのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 発熱
  2. 喀痰塗沫検査陽性
  3. 喀痰PCR検査陽性
  4. 画像診断の空洞病変
  5. 薬剤感受性検査で耐性あり

 

 


 

▶午前48

Aさんの入院中に保健所が実施した調査の結果、Aさんの勤務先の濃厚接触者を対象に接触者健康診断を実施することになった。現時点で呼吸器症状がある者はいない。
勤務先での接触者健康診断で使用される検査方法はどれか。2つ選べ。

 

  1. 胃液塗沫検査
  2. 喀痰培養検査
  3. 胸部エックス線検査
  4. ツベルクリン反応検査
  5. インターフェロンγ遊離試験〈IGRA〉

 

 


 

▶午前49

接触者健康診断の結果、肺結核の発病者は発見されなかったが、15名の対象者中3名が潜在性結核感染症と診断され、治療を開始することになった。
潜在性結核感染症の治療に関して正しいのはどれか。

 

  1. 抗結核薬を12か月間内服する。
  2. 抗結核薬内服中は地域DOTSの対象となる。
  3. 抗結核薬の継続内服が困難な場合にはBCG接種を勧める。
  4. 治療開始にあたり感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉に基づく発生届の提出は要しない。

 

 


 

次の文を読み50、52の問いに答えよ。

人口2万人のA市において運動習慣の有無と総死亡数との関連に注目し、施策に反映させるために疫学調査を行うこととした。特定健康診査の際に運動習慣に関する聞き取り調査を行った。運動習慣ありを「週2回以上、1回30分以上、1年以上、運動をしている者」と定義し、その後5年間の死亡の有無を確認した。

 

▶午前50

この研究デザインはどれか。

 

  1. 横断研究
  2. 介入研究
  3. コホート研究
  4. 症例対照研究
  5. 生態学的研究

 

 


 

▶午前52

A市は全国と比較して、住民の平均年齢が高いと推測した。得られた死亡率を解釈する際に、年齢構成を考慮するために間接法による年齢調整を行うこととし、標準化死亡比〈SMR〉を求めることとした。
その際に必要な情報はどれか。

 

  1. 基準集団の総人口
  2. 観察集団の総死亡数
  3. 基準集団の総死亡数
  4. 基準集団の年齢別人口
  5. 観察集団の年齢別死亡数

 

 


 

次の文を読み53、54の問いに答えよ。

A君(中学3年生)は中学1年生のときに筋委縮性側索硬化症〈ALS〉を発症した。病状の進行によって、自力での呼吸が難しくなったため入院し、気管切開をして人工呼吸器を装着した。退院後に復学する予定である。

 

▶午前53

学校における医療的ケアに係る関係者とその役割分担の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 学校長――A君の医療的ケアを担当する看護師の配置の決定
  2. 介護職員――痰の吸引の研修の開催
  3. 教育委員会――医療的ケアの指導医の委嘱
  4. A君の保護者――個別の教育支援計画の立案

 

 


 

▶午前54

A君の退院が決まった。
A君の学校生活のために養護教諭が行うことで最も優先度が高いのはどれか。

 

  1. A君に参加したい学校行事を聞く。
  2. A君のクラスの避難訓練を計画する。
  3. 教職員に対してA君の状態を説明する。
  4. A君の医療的ケアを担当する看護師と役割分担を相談する。

 

 


 

次の文を読み55の問いに答えよ。

A市在住のBさん(45歳、女性)は夫と長男(14歳)、長女(9歳)との4人暮らし。週に4日間のパート勤務をしている。これまで職場で健康診査を受けたことはなかった。A市から届いた受診案内をみて、初めて市の特定健康診査を受診した。結果は、身長160cm、体重70kg、腹囲90cm、血圧140/90mmHg、HbA1c5.0%、中性脂肪300mg/dL、LDLコレステロール120mg/dL、HDLコレステロール73mg/dL、血清尿酸値5.5mg/dL、血清クレアチニン1.0mg/dL、推定糸球体濾過量〈eGFR〉48.1mL/分/1.73m2、尿蛋白(+)であった。
A市の保健センターの結果説明会に参加したBさんは「検査結果がこんなに悪いとは思っていなかった。食べ盛りの子どもたちに合わせた食生活が悪かったのだと思う。これからどのような食事をすればよいのか知りたい」と話した。

 

▶午前55

摂取量についてBさんに指導する必要があるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 塩分
  2. 水分
  3. 蛋白質
  4. カリウム
  5. プリン体

 

 

 

第108回保健師国家試験・午後(55問)

 

 

▶午後1

保健師が行うアウトリーチはどれか。

 

  1. 吃音がある幼児の言葉の相談
  2. ダウン症児の家族会の設立支援
  3. 前期高齢者への認知症予防教室の開催
  4. 4か月児健康診査未受診者の家庭訪問

 

 


 

▶午後2

A市の地区担当保健師は、最近、家にひきこもっている40〜50代の子をもつ高齢者からの相談が増えていると感じている。
この現状を地域の課題として明らかにするために優先して収集する情報はどれか。

 

  1. A市の人口の推移
  2. 相談記録からの情報
  3. 地区視診からの情報
  4. 市民へのアンケートからの情報

 

 


 

▶午後3

アルコール依存症について正しいのはどれか。

 

  1. 肝障害になることはない。
  2. 離脱症状は飲酒を止めて1週後に現れる。
  3. 一度断酒が成功すれば繰り返すことはない。
  4. イネイブラーの存在によって本人の飲酒の状況が維持される。

 

 


 

▶午後4

保健所に民生委員から電話があり、「近所のアパートで1人暮らしをしているAさんが、大声で独り言を言って歩いているのを見かけます。心配なので保健所で対応してほしい」と相談があった。Aさん(男性、32歳)は5年前に保健所のデイケアを一時的に利用し、現在は利用を中断している記録があった。保健師はAさん宅を訪問し、精神科に定期受診し内服していること、母親が食事を届けていることを確認した。
保健師が民生委員に、Aさん宅に訪問したことを伝えた上で行う説明として適切なのはどれか。

 

  1. 「Aさんはお母さんの支援があるので心配ありません」
  2. 「Aさんは病院から薬をもらって飲んでいるようです」
  3. 「これからもAさんを訪問して様子を見ます」
  4. 「Aさんにデイケアに通うよう伝えました」

 

 


 

▶午後5

保健師は担当地区の実態把握のため、地区視診を実施することにした。
地区視診の説明として正しいのはどれか。

 

  1. 二次資料を用いて行う。
  2. 地区の量的データを集計する。
  3. 地区に出向いて自分で観察する。
  4. 計画的なインタビュー調査を行う。

 

 


 

▶午後6

A市では高齢者を対象とした実態調査をもとに、「要介護状態となっても住み慣れたところで安心して暮らせるまち」を柱とした老人福祉計画を作成することとなった。
計画の策定に向けてまず保健師が行う取り組みで最も適切なのはどれか。

 

  1. 評価指標に健康寿命を組み入れる。
  2. インフォーマルサービスの情報を集める。
  3. 学識経験者で構成する委員会で施策の内容を決定する。
  4. 人口規模が同程度の市町村の事業をもとに優先度を決定する。

 

 


 

▶午後7

平成29年(2017年)の患者調査に基づく全国の傷病小分類別の年齢階級別外来受療率のグラフで2型糖尿病を示すのはどれか。

 

108pm7 1h

108pm7 2h

 

 


 

▶午後8

難病対策で正しいのはどれか。

 

  1. 市町村は難病対策地域協議会の設置に努める。
  2. 診断基準が未確立である疾病が医療費助成の対象となる。
  3. 日常生活用具の給付には身体障害者手帳の取得が必要である。
  4. 指定医療機関による訪問看護の費用は医療費助成の対象となる。

 

 


 

▶午後9

Aさん(83歳、女性)は1人暮らし。要介護1の認定を受け、訪問介護を利用している。Aさんは2か月前から持続する咳に加えて、怠感が出現したため内科を受診し肺結核と診断され入院した。2か月後、外来治療が可能となり自宅に戻ることになった。
退院に向けて服薬支援を検討するための会議の参加を依頼する者として最も適切なのはどれか。

 

  1. 自治会長
  2. 民生委員
  3. 老人クラブの会長
  4. 訪問介護事業所の訪問介護員

 

 


 

▶午後10

各発達段階と歯科口腔保健の特徴との組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 乳児期――歯の形成
  2. 幼児期――乳歯から永久歯への生え代わり
  3. 学童期――不正咬合の発生
  4. 成人期――第3大臼歯萌出

 

 


 

▶午後11

労働安全衛生規則において、週1回以上の職場巡視を行うことが規定されているのはどれか。

 

  1. 産業医
  2. 衛生管理者
  3. 安全衛生推進者
  4. 総括安全衛生管理者

 

 


 

▶午後12

労働安全衛生法に実施が規定されているのはどれか。

 

  1. 特定健康診査
  2. じん肺健康診断
  3. 情報機器作業配置前健康診断
  4. 心理的な負担の程度を把握するための検査

 

 


 

▶午後13

自治体で働く保健師の活動に関して守秘義務規定がある法律はどれか。

 

  1. 刑法
  2. 医療法
  3. 難病の患者に対する医療等に関する法律〈難病法〉
  4. 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉

 

 


 

▶午後14

A市(人口15万人)の新任期の保健師を対象とした現任教育で適切なのはどれか。

 

  1. 職場外研修(OFF-JT)を中心に行う。
  2. 基礎的な知識を獲得することに重点を置く。
  3. 職場の実地指導者が人材育成計画を立てる。
  4. A市を管轄する保健所と連携して研修を実施する。

 

 


 

▶午後15

平成24年(2012年)施行の新型インフルエンザ等対策特別措置法で規定されたのはどれか。

 

  1. 緊急事態宣言の発令
  2. 感染症発生動向調査の実施
  3. 特定感染症指定医療機関の指定
  4. 都道府県による予防計画の策定

 

 


 

▶午後16

中核市であるA市内で発生した大規模水害から48時間が経過した。
A市の本庁の統括的な役割を担う保健師が、その役割として実施するのはどれか。

 

  1. 被災住民の健康管理
  2. 避難所での感染症予防啓発
  3. 健康相談に使用する血圧計の点検
  4. 従事可能な保健師の人員配置の調整

 

 


 

▶午後17

医療安全支援センターの説明で正しいのはどれか。

 

  1. 医療に関する苦情に対応する。
  2. 地域の中核病院内に設置されている。
  3. 医療に起因する予期しない死亡事例の報告を受ける。
  4. 厚生労働省から医療事故情報収集等事業を委託されている。

 

 


 

▶午後18改題

生活困窮者自立支援制度で正しいのはどれか。

 

  1. 生活保護世帯が対象となる。
  2. 雇用保険法に規定されている。
  3. 住居確保給付金の支給がある。
  4. 進学準備給付金の支給がある。

 

 


 

▶午後19

市町村に策定が義務付けられている計画はどれか。

 

  1. 障害者計画
  2. 医療費適正化計画
  3. 予防接種基本計画
  4. がん対策推進基本計画

 

 


 

▶午後20

食事バランスガイドの図を示す。
108pm20h
主菜にあたるのは①〜④のどれか。

 

 

 


 

▶午後21改題

令和2年度(2020年度)の傷病分類別医科診療医療費で、医療費が最も多いのはどれか。

 

  1. 精神および行動の障害
  2. 呼吸器系の疾患
  3. 循環器系の疾患
  4. 消化器系の疾患
  5. 新生物〈腫瘍〉

 

 


 

▶午後22

Aさん(32歳、男性)は20歳からたばこを吸い続けていたが、妻の妊娠で両親学級に参加し、たばこによる胎児への影響が深刻であることを知り、これを機に禁煙しようと思った。Aさんは両親学級が終わった後、会場にいた保健師に「禁煙しようと思うのですが、良い方法はありますか」と尋ねた。
Aさんの現在の行動変容ステージに最も適した保健師の提案はどれか。

 

  1. 「禁煙のための知識を学びませんか」
  2. 「喫煙所の近くに行かないようにしましょう」
  3. 「禁煙に成功した人の経験を聞いてみませんか」
  4. 「まず今日一日たばこを吸わずに過ごしてみましょう」
  5. 「禁煙できた時の自分へのご褒美を考えてはどうでしょう」

 

 


 

▶午後23

要因A「あり」の要因A「なし」に対する疾病B「あり」のオッズ比と95%信頼区間を求めた。
疾病Bの危険因子として統計学的に有意なのはどれか。なお、有意水準は5%と設定する。

 

  1. オッズ比2.0 95%信頼区間(1.5〜2.7)
  2. オッズ比2.0 95%信頼区間(0.5〜8.0)
  3. オッズ比1.0 95%信頼区間(0.5〜2.0)
  4. オッズ比0.5 95%信頼区間(0.1〜2.5)
  5. オッズ比0.5 95%信頼区間(0.4〜0.6)

 

 


 

▶午後24

検査で陽性と判定された人のうち実際に疾病を有している人の割合を示す指標はどれか。

 

  1. 特異度
  2. 敏感度
  3. 有効度
  4. 偽陽性率
  5. 陽性反応的中度

 

 


 

▶午後25改題

令和元年(2019年)国民健康・栄養調査における20歳以上の男女別の「現在習慣的に喫煙している者の割合」で正しいのはどれか。

 

  1. 男性37.1% 女性27.6%
  2. 男性37.1% 女性17.6%
  3. 男性27.1% 女性17.6%
  4. 男性27.1% 女性7.6%
  5. 男性17.1% 女性7.6%

 

 


 

▶午後26

2つの連続変数間の直線的な関係の強さを示すのはどれか。

 

  1. 分散
  2. 正規分布
  3. 相関係数
  4. 標準偏差
  5. クロス集計

 

 


 

▶午後27改題

令和2年度(2020年度)の国民医療費について正しいのはどれか。

 

  1. 介護保険給付費を含む。
  2. 総額は40兆円を超える。
  3. 正常な妊娠・分娩の費用を含む。
  4. 国民総生産に対する比率は20%を超える。
  5. 健康の維持・増進を目的とした健康診断の費用を含む。

 

 


 

▶午後28改題

令和2年(2020年)患者調査の疾病分類別の結果を表に示す。
108pm28h
Cに当てはまる疾患はどれか。

 

  1. 結核
  2. 消化器系の疾患
  3. 循環器系の疾患
  4. 悪性新生物〈腫瘍〉
  5. 精神および行動の障害

 

 


 

▶午後29改題

令和3年度(2021年度)の学校保健統計調査について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 幼稚園児のむし歯(う歯)の保有率は15%程度である。
  2. 裸眼視力1.0未満の小学生は37%程度である。
  3. むし歯(う歯)を保有する小学生は前年度に比べて減少している。
  4. 中学生のむし歯(う歯)の保有率は45%程度である。
  5. 裸眼視力1.0未満の高校生は50%程度である。

 

 


 

▶午後30

民生委員について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 任期は5年である。
  2. 厚生労働大臣が委嘱する。
  3. 保健所の管轄区域に配置される。
  4. 民生委員には給与が支給されない。
  5. 配置の根拠法令は地方自治法である。

 

 


 

▶午後31

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律〈精神保健福祉法〉に規定されている内容で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 市町村の役割に普及啓発がある。
  2. 精神通院医療費は公費で負担される。
  3. 医療保護入院は患者本人の同意が必要である。
  4. 緊急措置入院は精神保健指定医1人の診察が必要である。
  5. 発達障害者支援センターの設置について規定されている。

 

 


 

▶午後32

学校教育法で定められているのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 食育の推進
  2. 学校保健の定義
  3. 健康診断の実施
  4. 学級閉鎖の実施基準
  5. 養護教諭の配置義務

 

 


 

▶午後33改題

令和3年(2021年)の労働災害と業務上疾病の発生状況について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 労働災害による死亡者数は2,000人以上である。
  2. 労働災害による死亡者数は平成27年(2015年)に比べ減少している。
  3. 労働災害の認定数は脳・心臓疾患よりも精神障害によるものが多い。
  4. 業務上疾病(休業4日以上)発生数は平成27年(2015年)に比べ減少している。
  5. 業務上疾病(休業4日以上)発生数の内訳では「作業様態に起因する疾病」が最も多い。

 

 


 

▶午後34

地域健康危機管理ガイドラインにおける保健所の健康危機管理業務の4つの側面のうち、「健康危機による被害の回復」で行われる活動はどれか。2つ選べ。

 

  1. 防疫活動
  2. 手引書の作成
  3. 監視体制の改善
  4. 飲料水の安全確認
  5. 人材の資質の向上

 

 


 

▶午後35

社員500名のA社の保健師による従業員への働きかけで、ヘルスプロモーションにおける「健康を支援する環境づくり」に該当するのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 事業所の敷地内を禁煙にする。
  2. 社員食堂で減塩メニューを提供する。
  3. 歯科衛生士によるブラッシング指導を行う。
  4. 禁煙を促すリーフレットを喫煙者に配布する。
  5. 定期健康診査の有所見者に面接指導を実施する。

 

 


 

次の文を読み36〜38の問いに答えよ。

人口5万人のA市のB地区では3年前から丘陵地を切り開いた宅地開発が行われており、ここ数年で人口が急増している。宅地開発は2年後に完成する予定であり、戸建て住宅や集合住宅が今後も増えていく見込みである。B地区の中心部には地区公民館があり、高齢者の集いや自治会の会合などが開かれている。
令和3年度(2021年度)からB地区を担当する保健師は、地区活動計画の立案のためにB地区の地域診断を行うことにした。令和元年(2019年)の人口構成について調べた結果を表に示す。
108pm35h

 

▶午後36

B地区の出生率を求めよ。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。

 

解答:①②

 

 


 

▶午後37

B地区の人口構成に対する保健師のアセスメントとして正しいのはどれか。

 

  1. 死亡率はA市全体よりも高い。
  2. 単独世帯割合はA市全体よりも高い。
  3. 年少人口割合は全国よりも低い。
  4. 3世代世帯の割合はA市全体よりも高い。
  5. 65歳以上人口割合は全国よりも高い。

 

 


 

▶午後38

B地区の子育て世代の健康課題を特定するため、B地区の担当保健師は市内の機関を対象としたインタビューを計画した。
現時点でインタビューを依頼する機関として最も適切なのはどれか。

 

  1. 児童相談所
  2. 社会福祉協議会
  3. 母子生活支援施設
  4. 訪問看護ステーション
  5. 地域子育て支援拠点〈地域子育て支援センター〉

 

 


 

次の文を読み39〜41の問いに答えよ。

Aさん(高校2年生、女子)は両親と3人暮らし。母親が精神保健福祉相談のため保健所に来所した。「Aは太っているわけではないのに、半年程前から写真写りを気にして食事を減らし始めました。今は1日1食野菜スープしか食べません。食べたもののカロリーを気にして毎日運動しており、一見元気そうなのですが、随分痩せてきました。授業を受けても頭に入ってこないと言い、この頃は学校を休みがちです。このままで大丈夫でしょうか」と話した。

 

▶午後39

Aさんの状態をアセスメントするために必要な情報として最も優先度が高いのはどれか。

 

  1. BMI
  2. 睡眠
  3. 運動量
  4. 友人関係
  5. 学校の欠席日数

 

 


 

▶午後40

Aさんの状況をアセスメントした結果、保健師は母親にAさんの精神科受診を勧めた。しかし、母親は「精神科の受診までは考えていませんでした。どうしたら食事を食べるようになって、元通りに学校に行ってくれるかを知りたいだけなんです」と精神科の受診には否定的な反応を示した。
このときの保健師の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 「元通りのAさんになるためには治療が必要です」
  2. 「Aさんが好きなメニューを一緒に考えましょう」
  3. 「身体的に問題がないか、近くの医師に診てもらいましょう」
  4. 「Aさんに学校のスクールカウンセラーへの相談を勧めましょう」

 

 


 

▶午後41

1か月後、再び母親は精神保健福祉相談のため保健所に来所した。「Aは、私が頼むと少し食べてくれますが、やはり太るのが怖くて食べられないと言います。先日、Aが食後に隠れて下剤を使っていたため、思わず叱責してしまいました。Aは太っていると恥ずかしくて学校に行けないと言って欠席が増え、ほとんど自分の部屋で過ごしています。また、カロリーを消費するためと言い、相変わらず動画を見ながら運動をしています。時々、趣味のイラストを私に見せに来るのですが、そんなことよりも学校に行って元の生活に戻ってほしい」と母親は辛そうに話した。
母親の気持ちを受け止めた上で、保健師が行う母親への助言で適切なのはどれか。

 

  1. 「登校するよう説得を続けましょう」
  2. 「運動を続けていけるよう応援しましょう」
  3. 「見つけられないように下剤を隠しましょう」
  4. 「イラストを見せに来たら肯定的な対応をしましょう」
  5. 「食事がとれるようになれば回復すると伝え続けましょう」

 

 


 

次の文を読み42〜44の問いに答えよ。

A市は川沿いに位置する人口7万人の高齢化率24.6%の市である。A市には13人の保健師が勤務し地区担当制で業務を行っている。A市では5年前に大規模災害が発生し、多くの死傷者が出た。死傷者は高齢者の割合が高かった。

 

▶午後42

A市のB保健師が担当地区の自治会長から「5年前の大規模災害では多くの高齢者が逃げ遅れた。保健師から住民に必要な災害対策を自治会の会合で話してほしい」と依頼された。
B保健師が話す内容として最も適切なのはどれか。

 

  1. 家屋の安全点検の方法
  2. 飲料水、食料品の備蓄量
  3. 避難所までの移動手段の確認
  4. 医療機関の連絡先リストの作成

 

 


 

▶午後43

自治会の会合から2年後の午後4時、A市内を震源とする震度6の地震が発生した。市全域は断水、停電した。道路は一部泥状化によって隆起した箇所はあるが寸断はない。B保健師は災害時保健活動マニュアルに従い、発災30分後に保健センターに出勤し担当避難所に出向いた。
このときにB保健師が行う保健活動で正しいのはどれか。

 

  1. 健康相談の場所の設置
  2. 生活不活発病の予防
  3. 災害時要配慮者の安全確保
  4. 消毒薬などの衛生資材の調達
  5. 災害派遣精神医療チーム〈DPAT〉との連携

 

 


 

▶午後44

発災後2か月が経過し、被災者は避難所から市内の仮設住宅へ入居した。
A市の保健師が行う仮設住宅の住民への支援で適切なのはどれか。

 

  1. 心のケアは高齢者を優先させる。
  2. 独居の高齢者には施設入所を勧める。
  3. エコノミークラス症候群の予防を呼びかける。
  4. すべての仮設住宅を巡回訪問し健康相談を行う。

 

 


 

次の文を読み45〜47の問いに答えよ。

Aさん(58歳、男性、独居)は1年前に失業した。その後、就職先が決まらず、預貯金が底をついたが、身寄りがなく身近な相談者もいなかった。経済苦により3か月前に自殺を図って病院に搬送された。日常生活動作〈ADL〉は問題なく回復したが、頭を打ったことによる外傷性脳損傷によって軽度の記憶障害が残り、特に数の計算が難しくなった。また、入院中に生活保護を受給することになった。

 

▶午後45

病院から、退院に向けた検討を進めたいとAさんが居住するB市に連絡があり、B市の生活保護担当の保健師とケースワーカーが入院中のAさんを訪問した。
退院後にAさんに提案するサービスで適切なものはどれか。

 

  1. 就労移行支援
  2. 日常生活自立支援事業
  3. 療養生活環境整備事業
  4. 自立支援医療〈精神通院医療〉

 

 


 

▶午後46

生活保護担当の保健師は、その後もAさんのような失業やそれに伴う経済的困窮を契機とした自殺未遂事例と関わることがあり、B市の自殺対策計画の担当保健師と協働して市全体の自殺の現状を改めて調査・評価することにした。その結果、壮年期の男性が失業をきっかけとして自殺に至る事例や、自殺未遂後に後遺症や障害が残った事例が近年増加していることが明らかになり、新たな自殺予防対策の啓発活動を進めていくことにした。
この啓発活動への協力を依頼する関係機関として、最も適切なのはどれか。

 

  1. 民生委員・児童委員協議会
  2. 精神科医療機関
  3. ハローワーク
  4. 警察

 

 


 

▶午後47

その後、B市の自殺対策計画を担当している保健師は、関係機関との連携強化だけでなく、住民が自殺予防のゲートキーパーとなれるよう、ゲートキーパー養成事業を新たに計画した。予算案作成にあたりこの事業について住民から幅広く意見を得ることとした。
意見を得るのに適切な方法はどれか。

 

  1. フォーラムの開催
  2. 市議会における審議
  3. 自殺対策審議会の開催
  4. パブリックコメントの実施

 

 


 

次の文を読み48、49の問いに答えよ。

Aさん(30歳、女性)はBちゃん(1歳7か月、男児)を連れ、市が実施する1歳6か月児健康診査に来所した。問診でAさんは、「1年前に隣の県から引っ越してきた。人づきあいが苦手で家でBちゃんと2人きりでいることが多い」と話した。
Bちゃんの1歳6か月児健康診査の記録から、一部抜粋したものを以下に示す。
108pm48h

 

▶午後48

Bちゃんの発達について、保健師のアセスメントで適切なのはどれか。

 

  1. 言語は年齢相応の発達である。
  2. 微細運動は年齢相応の発達である。
  3. 社会性の発達が遅れている可能性がある。
  4. 粗大運動の発達が遅れている可能性がある。

 

 


 

▶午後49

1歳6か月児健康診査の終了後、カンファレンスでBちゃんの状況を検討した。
今後、Aさんに提案するBちゃんの子育て支援の場として最も適切なのはどれか。

 

  1. 療育相談
  2. 子育ての自主グループ
  3. 発達のフォローアップ教室
  4. 子育て世代包括支援センター

 

 


 

次の文を読み50、51の問いに答えよ。

Aさん(85歳、女性)は息子のBさん(50歳、無職)と2人暮らし。Bさんは大学卒業後に就職したが、1年前に失職して以来、自宅で過ごしている。Aさんは2週前に自宅で転倒し腰椎圧迫骨折で入院した。入院を機に要介護認定申請を行ったところ、認定結果は要介護1であった。Aさんは自宅への退院を希望しており、Aさんが入院している病院のソーシャルワーカーから、退院に向けた話し合いをしたいと地域包括支援センターの保健師に連絡があった。Aさんの入院前は、家事はAさんが行っていた。

 

▶午後50

翌週、病院でソーシャルワーカー、保健師、AさんとBさんで退院に向けた話し合いが行われることになった。
自宅への退院を検討するにあたり最も優先度が高い情報はどれか。

 

  1. 自宅の間取り
  2. Aさんの家事能力
  3. Bさんの睡眠時間
  4. Bさんの介護に対する意向

 

 


 

▶午後51

Aさんは自宅へ退院し、Bさんとの生活が再開した。在宅サービスを利用しながら、地域包括支援センター保健師、民生委員の協力も得て、AさんとBさんの生活を見守ることができていた。退院から2か月後、民生委員より「Bさんがいらいらしている様子だ。AさんはBさんに叩かれたと話していた」と地域包括支援センターの保健師に連絡があった。翌日、地域包括支援センターの保健師と社会福祉士の2名がAさん宅へ家庭訪問を行った。
保健師と社会福祉士によるBさんへの対応で適切なのはどれか。

 

  1. 民生委員から虐待の通報があったことを知らせる。
  2. 負担になっていることがないかを確認する。
  3. Aさんを叩くことは虐待であると伝える。
  4. Aさんの施設入所を勧める。

 

 


 

次の文を読み52、53の問いに答えよ。

Aさん(45歳、女性、正社員)は店舗で販売の仕事をしている。乳癌の手術後に転移がわかり、3週ごと6クールの予定で化学療法を受けることになった。会社には1年間の休職制度があるが、Aさんは化学療法中も休職せずに働くことを希望している。Aさんは主治医から悪心など体調不良になることはあるが、軽作業可能と説明されていた。上司の店長は、「Aさんの仕事はチームで分担するので、しばらく休職してもらったほうが良いのではないか」と人事部に伝えた。人事部からの連絡を受け、本社の保健師がAさんと店長とそれぞれ面談を行うこととなった。

 

▶午後52

Aさんの就業の可否および適正な配置の判断に必要な情報として、最も優先度が高いのはどれか。

 

  1. 術式
  2. 経済状況
  3. 仕事内容
  4. 職場の人間関係
  5. 予定している抗癌薬名

 

 


 

▶午後53

店長は、「生活もあるから働きたい気持ちはわかるし、きちんと仕事をしてもらえるなら働いてもらったほうが良いが、体調が悪くなった時が不安だ。管理者としての責任を問われても困る。主治医から軽作業可能と言われても安心して仕事を任せられない」と保健師に話した。
保健師の対応で正しいのはどれか。

 

  1. Aさんに休職することを提案する。
  2. 就業可能という主治医の意見に従うよう店長に伝える。
  3. 職場で必要な配慮を主治医に確認するようAさんに伝える。
  4. 体調の悪化に対して管理者の責任がないことを店長に伝える。

 

 


 

次の文を読み54、55の問いに答えよ。

Aさん(55歳、男性)は、妻(48歳、パート勤務)と長女(16歳、高校生)の3人暮らしである。Aさんは会社員として勤務していたが、3年前に記憶力の低下を感じ医療機関を受診したところ若年性認知症と診断された。今は退職し、就労支援事業所に通っているが、最近になり外出して道に迷い近所の住民に保護されたり、周囲に暴言を吐いたりするようになっていた。妻は、Aさんの変化に不安を感じ地域包括支援センターへ相談に訪れた。

 

▶午後54

地域包括支援センターの保健師の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. Aさんの要介護認定の申請を勧める。
  2. 若年性認知症の症状への理解を促す。
  3. 認知症初期集中支援チームへの支援依頼を提案する。
  4. 認知症対応型共同生活介護〈認知症高齢者グループホーム〉の入所を提案する。

 

 


 

▶午後55

2年後、Aさんの妻はAさんの症状に落ち着いて対応できるようになり、若年性認知症の家族会に定期的に参加するようになっていた。Aさんの妻は「家族会で体験を共有するだけでなく、地域の人々に若年性認知症とその家族について理解してもらえるような取り組みがしたい」と話した。地域包括支援センターの保健師と市の高齢福祉課の保健師は、若年性認知症の人とその家族への理解が広まるよう、Aさんの妻が体験を発信できる機会を検討することにした。
Aさんの妻が体験を発信する場として最も適切なのはどれか。

 

  1. 家族介護教室
  2. 認知症予防教室
  3. 高齢者の認知症の家族会
  4. 民生委員を対象とした研修会

 

 


 

資料 厚生労働省「第108回保健師国家試験、第105回助産師国家試験、第111回看護師国家試験の問題および正答について

 

 

▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 医師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 薬剤師国家試験に出る国民衛生の動向

 

令和3年2月12日実施の第107回保健師国家試験の全問題と正答を掲載します。

また、内容に応じて保健師国家試験受験者の必携テキスト「国民衛生の動向2024/2025」の参照章・ページを示します。問題を解きながら本誌を確認することで、より問題の理解を深めることできます。

 

分野別解説付き問題まとめ

を合わせて活用しながら、合格に近づく過去問対策を進めて頂ければ幸いです。

 

なお、最新の統計の記載、法律の改正、不適切問題などにより、一部問題を改変、削除しています。

 

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国民衛生の動向 2024/2025

 

発売日:2024.8.27

定価:2,970円(税込)

412頁・B5判

雑誌コード:03854-08

 

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▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

第107回保健師国家試験目次

 

 

第107回保健師国家試験・午前(55問)

 

 

▶午前1

保健師の業務従事者届について正しいのはどれか。

 

  1. 医療法で規定されている。
  2. 届出の間隔は一年ごとである。
  3. 居住地の都道府県知事に届け出る。
  4. 届出は業務に従事する保健師の義務である。

 

 


 

▶午前2

地域包括ケアシステムにおける相互援助の概念と具体的な取り組みとの組合せで適切なのはどれか。

 

  1. 自助――民間サービスの購入
  2. 互助――医療保険
  3. 共助――生活保護
  4. 公助――ボランティア

 

 


 

▶午前3

市町村保健師の家庭訪問対象として優先度が高いのはどれか。

 

  1. 切迫早産で主治医から自宅安静を指示された妊婦
  2. 特定健康診査で血圧150/90mmHgの未治療者
  3. 訪問看護サービスを開始した難病患者
  4. 1歳6か月児健康診査で虐待の可能性がある児

 

 


 

▶午前4

地域包括支援センターに、住民Aさんから「近所に住む1人暮らしのBさん(85歳、男性)が、自宅の庭にごみを山のように置いている。一人ではごみを片付けられない様子なので、何とかしてほしい。年齢のこともあるので火の始末も気になる」と、電話相談があった。
地域包括支援センターの保健師の最初の対応として適切なのはどれか。

 

  1. 消防署にBさん宅の訪問を依頼する。
  2. Aさんに自治会で話し合うよう助言する。
  3. 市のごみ収集担当部署に対応を依頼する。
  4. 地域包括支援センターの職員とBさん宅を訪問する。

 

 


 

▶午前5

職場の特定健康診査の結果、血圧が高い者の割合が多かった。血圧が高い者の食事摂取内容を確認すると、味の濃い食事や麺類を好んで食べていることが分かったため、事業所の保健師は、血圧が高かった者を対象に月2回の6か月コースで減塩教室を実施することにした。
減塩教室実施後のアウトカム評価で最も適切なのはどれか。

 

  1. 血圧値
  2. 1日の食塩摂取量
  3. 減塩教室の参加率
  4. 産業医との面談回数

 

 


 

▶午前6

昨年度の生活習慣病予防教室参加者から、自主グループとしてウォーキング愛好会を立ち上げたいと地区担当保健師に相談があった。
このグループの発展段階の開始期に支援する内容で適切なのはどれか。

 

  1. 年間活動計画の立案
  2. ウォーキングコースの設定
  3. メンバー募集のチラシ作成
  4. メンバーの役割分担

 

 


 

▶午前7

A市の新生児訪問のデータを表に示す。
107am7h
このデータの統計分析に適切なのはどれか。

 

  1. F検定
  2. t検定
  3. U検定
  4. χ2〈カイ2乗〉検定

 

 


 

▶午前8

平成29年(2017年)の地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律で改正されたのはどれか。

 

  1. 介護医療院の創設
  2. 地域ケア会議の推進
  3. 全国一律の予防給付の地域支援事業への移行
  4. 一定以上所得のある者のサービス費の利用者負担2割

 

 


 

▶午前9

市の健康増進計画(3か年計画)を新たに策定することになり、市に健康増進計画審議会を設置することになった。
審議会の説明として適切なのはどれか。

 

  1. 策定した計画の評価を目的とする。
  2. 審議会の決定は法的拘束力を持つ。
  3. 地域保健法に基づき設置される。
  4. 合議制の諮問機関である。

 

 


 

▶午前10

がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針について、平成28年(2016年)改訂以降の内容で正しいのはどれか。

 

  1. 乳がん検診の対象者は20歳以上である。
  2. 胃がん検診には胃内視鏡検査が含まれる。
  3. 肺がん検診の受診間隔は2年に1回である。
  4. 子宮頸がん検診の受診間隔は1年に1回である。

 

 


 

▶午前11

うつ病で休職中の人が活用できるのはどれか。

 

  1. リワーク支援
  2. 就労移行支援
  3. 就労継続支援
  4. 就労定着支援

 

 


 

▶午前12

健康危機の発生の未然防止に該当するのはどれか。

 

  1. 緊急相談窓口の設置
  2. 感染症サーベイランス
  3. 避難行動要支援者の把握
  4. 心的外傷後ストレス障害〈PTSD〉のある人への支援

 

 


 

▶午前13

地域における結核の個別患者支援計画で週1、2回の服薬確認が適切と判断する患者特性はどれか。

 

  1. 結核の既往がある。
  2. 要介護4の独居高齢者である。
  3. アルコール依存症患者である。
  4. 診断時、住所不特定者であった。

 

 


 

▶午前14

保健師は市の防災担当部署と協力して避難訓練を行うこととした。
訓練の対象として優先的に声をかけるのはどれか。

 

  1. 子育てサークルのメンバー
  2. 転入して1年以内の住民
  3. 高齢者施設の入居者
  4. 被災経験のある住民

 

 


 

▶午前15

学校環境衛生について正しいのはどれか。

 

  1. 検査には下水道に係る項目がある。
  2. 学校医は環境衛生検査に従事する。
  3. 学校保健委員会は環境衛生の管理に責任を持つ。
  4. 感染症の発生の恐れがあるときは臨時検査を行う。

 

 


 

▶午前16

患者調査で正しいのはどれか。

 

  1. 5年に1回実施される。
  2. 推計患者数には調査日に受療した患者数が含まれる。
  3. 調査日に入院している患者の平均在院日数が把握される。
  4. 総患者数には医療を受けたことのない有病者数も含まれる。

 

 


 

▶午前17

国際疾病分類〈ICD〉について正しいのはどれか。

 

  1. 第9回改訂〈ICD-9〉が最新である。
  2. 各種疾病の治療指針が示されている。
  3. 世界保健機関〈WHO〉が改訂を行っている。
  4. 国際生活機能分類〈ICF〉の上位概念である。

 

 


 

▶午前18

国保データベース〈KDB〉システムが扱う対象はどれか。

 

  1. 健康保険組合
  2. 国民健康保険組合
  3. 全国健康保険協会
  4. 国家公務員共済組合

 

 


 

▶午前19

食品に係る事項と法令との組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 食中毒の届出――食品安全基本法
  2. 栄養機能食品の表示――食育基本法
  3. 特定保健用食品の許可――健康増進法
  4. アレルゲンを含む食品であることの表示――食品衛生法

 

 


 

▶午前20

学校保健について正しいのはどれか。

 

  1. 保育所は学校教育法に規定されている。
  2. 学校保健行政は厚生労働省が所管している。
  3. 教職員の健康診断の実施主体は労働基準監督署である。
  4. 学校の設置者は感染症の予防のための臨時休業を行うことができる。

 

 


 

▶午前21

児童相談所について正しいのはどれか。

 

  1. 市町村に設置義務がある。
  2. 養子縁組の相談に応じる。
  3. 母親を一時保護する機能を持つ。
  4. 児童虐待の防止等に関する法律〈児童虐待防止法〉に基づき設置される。

 

 


 

▶午前22

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉について正しいのはどれか。

 

  1. 入院勧告によって感染症指定医療機関で受ける入院治療の医療費は公費負担となる。
  2. 感染症まん延防止のために予防接種を勧奨する疾患について規定されている。
  3. 無症状病原体保有者についての届出は定められていない。
  4. A型肝炎は三類感染症である。

 

 


 

▶午前23

災害拠点病院について正しいのはどれか。

 

  1. 東日本大震災を契機として整備を開始した。
  2. 災害対策基本法に指定要件が定められている。
  3. 地域災害拠点病院は各都道府県に1か所ずつ設置されている。
  4. 被災地へ災害派遣医療チーム〈DMAT〉を派遣する体制を備える。

 

 


 

▶午前24

成人男性の部位別にみた悪性新生物の年齢調整死亡率の推移のグラフを示す。
107am24h
Aの一次予防として正しいのはどれか。

 

  1. 肥満予防
  2. 減塩の推奨
  3. 野菜の摂取
  4. 受動喫煙防止
  5. 節度ある飲酒

 

 


 

▶午前25

Aさん(48歳、男性)。妻と2人暮らし。精神科に通院中であり、保健所のアルコール依存症者の自助グループに定期的に参加している。ある日、Aさんが担当保健師を訪ねてきたが、呼気にアルコール臭がした。Aさんに確認すると、「自助グループに参加してから断酒できていたが、今朝ビールを3缶飲んでしまった」と話した。
担当保健師の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 意志が弱いと注意する。
  2. アルコールの害を説明する。
  3. 1日の適正飲酒量を説明する。
  4. 自助グループの参加を中断するよう勧める。
  5. 飲酒をしていない日に面接したいことを伝える。

 

 


 

▶午前26

人から人への直接の伝播がない感染症はどれか。

 

  1. 痘そう
  2. ペスト
  3. 腸チフス
  4. デング熱
  5. 腸管出血性大腸菌感染症

 

 


 

▶午前27

予防接種法に基づく定期予防接種の対象疾病のうち、目的として個人の発病または重症化を防止し、併せてこれによりそのまん延の予防に資するために定期的に行う必要があるのはどれか。

 

  1. 結核
  2. 麻しん
  3. 破傷風
  4. B型肝炎
  5. インフルエンザ

 

 


 

▶午前28

A化学工場で、トルエンを取り扱っている複数の社員が急に頭痛やめまいを訴えたため、臨時職場巡視を実施した。その結果、トルエンによる中毒症状が出現していたことが判明し、原因は防護具の着用が不適切なことだった。
健康障害の再発防止策で最も効果的なのはどれか。

 

  1. 救急用具の変更
  2. 職場環境測定回数の増加
  3. 社内広報を活用した情報発信
  4. 特殊健康診断実施回数の増加
  5. 有機溶剤を取り扱う社員に対する研修

 

 


 

▶午前29

A市のある一時点におけるC型肝炎を有している人の割合を示す指標はどれか。

 

  1. 罹患率
  2. 被患率
  3. 有病率
  4. 寄与危険
  5. 相対頻度

 

 


 

▶午前30改題

令和4年(2022年)の人口動態統計月報年計における性・年齢階級別にみた主な死因の構成割合を示す。
107am30h
自殺はどれか。

 

  1. A
  2. B
  3. C
  4. D
  5. E

 

 


 

▶午前31改題

令和2年度(2020年度)の国民医療費について、傷病大分類別の医科診療医療費が最も多いのはどれか。

 

  1. 新生物〈腫瘍〉
  2. 呼吸器系の疾患
  3. 循環器系の疾患
  4. 内分泌、栄養及び代謝疾患
  5. 筋骨格系及び結合組織の疾患

 

 


 

▶午前32

母子健康手帳に記載されている「保護者の記録【3歳の頃】」で、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. はさみを上手に使えますか。
  2. 片足でケンケンをしてとびますか。
  3. はっきりした発音で話ができますか。
  4. 衣服の着脱をひとりでしたがりますか。
  5. 手を使わずにひとりで階段をのぼれますか。

 

 


 

▶午前33改題

令和4年(2022年)の日本における出生の動向で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 出生順位別構成割合は第1子が50%を上回っている。
  2. 母の年齢別にみた出生率は30~34歳が最も高い。
  3. 都道府県別合計特殊出生率は沖縄県が最も低い。
  4. 出生率は8.0(人口千対)を下回っている。
  5. 純再生産率は1を超えている。

 

 


 

▶午前34

人口10万人の市の保健師が担当地区の地域診断を行った。
情報分析の方法で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 出生数を県全体の数値と比較した。
  2. 妊産婦死亡率を学校区別に比較した。
  3. 地区組織の代表者からの意見を分析した。
  4. 住民登録者のない地区をアセスメントから除外した。
  5. 子育てニーズを母親の就労の有無などの属性別に集計した。

 

 


 

▶午前35

難病の患者に対する医療等に関する法律〈難病法〉に基づく難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本的な方針で定める内容はどれか。2つ選べ。

 

  1. 発症の予防
  2. 就労の支援
  3. 医療費の適正化
  4. 対象疾患の拡充
  5. 療養生活の環境整備

 

 


 

▶午前36改題

放射線被ばくによる影響で正しいのはどれか。3つ選べ。

 

  1. 肝硬変の原因となる。
  2. クラッシュ症候群を起こす。
  3. 晩発症状として不妊が起こる。
  4. 早期症状に白血球の減少が起こる。
  5. 胎児期の被ばくでは精神発達遅滞のリスクが高まる。

 

 


 

▶午前37

衛生管理者について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 国家資格である。
  2. 労働安全衛生法に規定されている。
  3. 安全に関する技術的事項を管理する。
  4. 作業者の健康障害を防止するための作業指揮を行う。
  5. 常時100人以上の労働者を使用する事業場は専任とする。

 

 


 

▶午前38

保健師が行う事例管理はどれか。2つ選べ。

 

  1. 継続的な支援が終了した家庭訪問記録を定められた期間保存する。
  2. 精神疾患を有する妊婦の支援方法について精神科医に相談する。
  3. 退院後の支援体制構築のため入院中にケア会議を開催する。
  4. 介護支援専門員への情報提供について本人の同意を得る。
  5. 運動習慣啓発のためのシンポジウムを開催する。

 

 


 

▶午前39

市町村保健師が実施する保健サービスで保健師が知り得た秘密を漏らしてはならないことについて規定している法律はどれか。2つ選べ。

 

  1. 母子保健法
  2. 地域保健法
  3. 地方公務員法
  4. 保健師助産師看護師法
  5. 次世代育成支援対策推進法

 

 


 

▶午前40

人口10万人のA市におけるある年度の死亡数は1,000人であった。悪性新生物の罹患数は300人であり、その死亡数は200人であった。
死亡に占める悪性新生物の相対頻度を求めよ。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。

 

解答:①②%

 

 


 

次の文を読み41〜43の問いに答えよ。

Aさん(32歳、女性、会社員)。夫と長男のBちゃん(3歳、男児)との3人暮らし。Bちゃんは保育所に通っている。Aさんから「Bは保育所でたびたび他の子どもたちが遊んでいるおもちゃを取り上げ泣かせてしまい、保育士が止めに入ると、Bはキーと奇声をあげ走り回っていたり、遊びの時間が終わっても1人でミニカーを並べることにこだわっているようです。保育士から保健師に相談してみてはどうかと言われました」と市保健センターの地区担当保健師へ電話相談があった。

 

▶午前41

Aさんへの保健師の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 公園で遊ばせることを勧める。
  2. 保育所を休ませるよう勧める。
  3. 家での様子をみるために家庭訪問をする。
  4. ファミリーサポートセンター事業を紹介する。

 

 


 

▶午前42

1か月後。Bちゃんは、3歳児健康診査のために市保健センターに来所した。健康診査の医師は、Bちゃんは発達に問題がある可能性があると話した。Aさんは「Bは発達障害なのでしょうか。どうしたらいいのでしょうか」と保健師に話した。
Aさんへの保健師の対応で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 児童館の利用を促す。
  2. 保健師による継続訪問をする。
  3. 心理相談を受けることを勧める。
  4. 地域の育児サークルを紹介する。

 

 


 

▶午前43

Bちゃんは、その後自閉症スペクトラム障害であると診断を受けた。保健師は、Aさんの承諾を得てBちゃんが通っている保育所にBちゃんの3歳児健康診査の結果を情報提供した。その際に、保育所の所長からBちゃんへの関わり方について相談があった。
保健師から所長への助言で適切なのはどれか。

 

  1. 保育室の出入口を施錠する。
  2. 毎日新しい遊びを取り入れる。
  3. Bちゃんに一人で食事をさせる。
  4. Bちゃんへの説明は絵も活用する。

 

 


 

次の文を読み44〜46の問いに答えよ。

人口70万人のA市。8月のある日、深夜から早朝にかけ大規模災害が発生し、市内で家屋の倒壊、道路の陥没・停電・断水等の被害があり、特にB地区で甚大な被害が出た。
B地区を管轄する保健センターの職員は全員A市に住んでいる。

 

▶午前44

発災当日の朝、B地区を管轄する保健センターに出勤できた保健師は16名中3名だった。
発災当日、出勤した保健師の行動で適切なのはどれか。

 

  1. 福祉避難所の開設
  2. 市災害対策本部の立ち上げ
  3. 管内医療機関の位置図の作成
  4. 医療機器を使用する難病患者の安否確認

 

 


 

▶午前45

発災後2日、B保健センターの保健師が避難所の一つである市民センターを初めて訪問した。避難所の管理者より、避難所の建物に入らず市民センターの駐車場に車中泊をしている世帯が多数あり、炊き出しやトイレ以外は終日車の中で過ごし、あまり外に出てこないようだとの声が聞かれた。そのため、保健師は車中泊の避難者も巡回することにした。
巡回時の確認事項で最も優先度が高いのはどれか。

 

  1. 食事内容
  2. 水分摂取量
  3. 車内換気の頻度
  4. 他者との交流の頻度

 

 


 

▶午前46

発災後2か月、仮設住宅の入居が始まっている。B保健センターには、県外の保健師による派遣チームが入り、協働で災害支援活動を行っている。派遣チームの保健師は、B保健センターの職員から「被災した住民の話を聞いていると自分も気持ちが落ち込む」「仮設住宅に入居できない住民の苦情を聞くのがつらい」「住民のために活動したいが、自分は無力だと感じる」等の声を多く聞いた。
派遣チームの保健師が、B保健センターの職員への支援についてB保健センターの管理者に提案する内容で最も適切なのはどれか。

 

  1. 健康診断の実施
  2. 人事異動の提案
  3. 精神科の受診勧奨
  4. 職員同士で語り合う場の用意

 

 


 

次の文を読み47〜49の問いに答えよ。

Aさん(55歳、男性)は1人暮らし。10年前に振戦を主症状としてParkinson〈パーキンソン〉病と診断されたが、これまでは自立した日常生活を送っていた。最近、身体の両側の振戦に加えて、動作が徐々に遅くなりはじめ、歩行にも不安を感じる時があり外出や受診に介助が必要になった。現在の症状を主治医は、Hoehn-Yahr〈ホーエン・ヤール〉重症度分類でステージⅡ、生活機能障害度2度と診断しており、2か月に1度の定期受診で経過をみている。

 

▶午前47

現在のAさんが対象となるのはどれか。

 

  1. 後期高齢者医療制度
  2. 特定疾病療養費制度
  3. 身体障害者手帳の交付
  4. 重度障害者等包括支援サービス

 

 


 

▶午前48

Aさんは運動障害に加えて非運動症状が出現するようになり、治療薬の副作用も出たことから薬剤調整のために入院した。入院中に自ら外出する必要があり、転倒の危険性から付き添いの援助を希望した。現在の症状を主治医は、Hoehn-Yahr〈ホーエン・ヤール〉重症度分類でステージⅢ、生活機能障害度2度と診断している。
Aさんが付き添いを依頼できる障害福祉サービスはどれか。

 

  1. 移動支援
  2. 行動援護
  3. 生活介護
  4. 同行援護

 

 


 

▶午前49

退院後、Aさんは自宅で療養することになった。今後もParkinson〈パーキンソン〉病の症状の進行が予想される。
Aさんに対して、身体機能の維持のための日常生活上の指導で適切なのはどれか。

 

  1. 食事介助を受ける。
  2. 移動時は電動車椅子を利用する。
  3. 訪問入浴介護サービスを利用する。
  4. ストレッチ等で体を動かす習慣を作る。

 

 


 

次の文を読み50、51の問いに答えよ。

Aさん(52歳、女性)。1人暮らし。5年前に仕事を解雇されて以降、自宅に引きこもっている。母親は2年前に他界し、その頃より「外出するとストーカーに追われる」「赤外線で狙われて怖い」と他県に住む姉に訴えるようになった。姉が受診を勧めたが「私は病気じゃない」と言う。
Aさんは、3日前に隣人宅に来た郵便配達員を見て「お前がストーカーだな」と隣人宅に怒鳴り込み、警察に通報された。

 

▶午前50

警察から連絡を受けた姉が保健所へ相談に来た。翌日、姉と保健師でAさん宅を訪問すると、Aさんは「買い物や仕事を探しに行きたいが、ストーカーのせいで外出できない」「ストレスで眠れない」と話した。
Aさんへの保健師の声かけで、最も適切なのはどれか。

 

  1. 「ストーカーは存在しないので安心してください」
  2. 「眠れないことについて医師に相談しましょう」
  3. 「解雇された理由を振り返りましょう」
  4. 「一緒にハローワークへ行きましょう」
  5. 「お姉さんと一緒に暮らしましょう」

 

 


 

▶午前51

その後、Aさんは統合失調症と診断され入院した。徐々に症状も落ち着き、2か月後には退院が決まったが「外出するとストーカーに追われないか心配です」と話した。退院に向け、病院の相談員から保健師に相談があった。保健師は退院後の生活について、Aさんを含めたケア会議を開催することとした。
Aさんにケア会議の出席者として提案する者で適切なのはどれか。

 

  1. 隣人
  2. 警察官
  3. 公共職業安定所の相談員
  4. 訪問看護ステーションの看護師
  5. 地域生活定着支援センターの職員

 

 


 

次の文を読み52、53の問いに答えよ。

A市B地区。県庁所在地のベッドタウンであり市外に通勤・通学する者が多く居住している地区である。B地区の1990年から2018年までの人口と高齢者人口に関するグラフを示す。
107am52

 

▶午前52改題

B地区の高齢者について正しいのはどれか。

 

  1. 1990年の老年人口割合は2018年より高い。
  2. 2000年には前期高齢者人口が人口の30%を超えた。
  3. 2015年の高齢者人口における後期高齢者の占める割合はおよそ20%である。
  4. 2018年の高齢化率は全国の高齢化率(28.1%)よりも高い。

 

 


 

▶午前53

A市のB地区を担当する保健師は、地区住民の自治会加入率が減少しており、自治会が主催している高齢者サロンの参加者が減っていることが気になっていた。そこで地域包括支援センターと協働し、サロンの活性化とともにB地区全体の地区組織活動の促進につなげていくことができないか検討していくことにした。
保健師が最初に取り組むこととして最も適切なのはどれか。

 

  1. サロンのチラシを住民に配布する。
  2. サロンと地域の子ども会との交流会を企画する。
  3. サロン及び自治会の担当者と話し合う場を設定する。
  4. 自治会と一緒に住民向けの介護予防の講演会を開催する。

 

 


 

次の文を読み54、55の問いに答えよ。

人口2万人のA市。高齢化率が34.7%で、高齢者福祉計画では「高齢者が安心・安全に暮らせるまちづくり」を目標に掲げている。A市の高齢者対策を担当するのは高齢福祉課、市直営の地域包括支援センターと社会福祉協議会であり、実務担当者が参加する地域ケア会議は毎月開催している。A市では、認知症高齢者の増加と徘徊などの問題が増えている。

 

▶午前54

A市の課題に対する地域包括支援センターの取り組みで、優先するのはどれか。

 

  1. 地域ケア会議に参加する関係者を増やす。
  2. 認知症高齢者の見守り体制を強化する。
  3. 高齢者の健康増進対策を推進する。
  4. 介護予防事業を拡大する。

 

 


 

▶午前55

A市は、今年度から、住民が携帯電話から登録できる「安心・安全ネット」を導入した。このシステムでは災害情報、行方不明者の情報、不審者・空き巣の発生など多様な情報を発信できる。システム始動から半年、「安心・安全ネット」の登録者は住民の約2割で、毎日メールが配信され、認知症高齢者を探している内容が多かった。
行方不明になった認知症高齢者を保護するためにA市が取り組む事業で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 認知症予防教室を開催する。
  2. 認知症の家族会を立ち上げる。
  3. 広報誌に「安心・安全ネット」の登録方法を掲載する。
  4. 認知症高齢者を発見したときの連絡先をポスターで掲示する。
  5. 高齢者にMini-Mental State Examination〈MMSE〉の質問紙を郵送する。

 

 

 

第107回保健師国家試験・午後(55問)

 

 

▶午後1改題

A市の世帯構造別にみた世帯の割合を図に示す。
107pm1h.png
令和元年(2019年)の国民生活基礎調査に基づく全国の割合と比較して、A市が高いのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 単独世帯
  2. 夫婦のみの世帯
  3. 夫婦と未婚の子のみの世帯
  4. ひとり親と未婚の子のみの世帯
  5. 三世代世帯

 

 


 

▶午後2

感染症を含む国際的な公衆衛生上の緊急事態を構成する恐れのある事象が発生した場合、世界保健機関〈WHO〉に報告することを参加国に義務づけているのはどれか。

 

  1. パリ協定
  2. バンコク憲章
  3. 国際保健規則
  4. ニュルンベルク綱領

 

 


 

▶午後3

結核に対する特異的予防はどれか。

 

  1. 栄養改善
  2. 再発予防
  3. BCG接種
  4. 重症化予防

 

 


 

▶午後4

キャッスル〈Kasl, S.V.〉とコブ〈Cobb, S.〉による保健行動の3分類に基づく、病気対処行動はどれか。

 

  1. 禁煙する。
  2. がん検診を受ける。
  3. 家族に体調不良を相談する。
  4. スイミングスクールに通う。

 

 


 

▶午後5

Aさん(68歳、女性)。市の健康課の窓口に来庁した。Aさんは「隣人が毎日、自宅にやってきて同じ話を繰り返しています。同居する娘さんからは認知症の薬を飲んでいると聞いています。隣人のことが気になり眠れないことがあります」と話した。
Aさんへの保健師の最初の声かけで正しいのはどれか。

 

  1. 「認知症サポーター養成講座を受けてください」
  2. 「ご家族以外の方からの相談は受けられません」
  3. 「地域包括支援センターで相談してください」
  4. 「睡眠の状況を教えていただけますか」

 

 


 

▶午後6

市では母子保健推進員が未就学児を対象とした遊びの会を実施している。参加している数名の母親から「自主グループとして活動したいがどうすればよいのか」と相談があった。
母親への保健師の助言で適切なのはどれか。

 

  1. 「最初に会則を決定してください」
  2. 「自主グループ参加希望者の名簿を提出してください」
  3. 「自主グループの代表者は母子保健推進員にしてください」
  4. 「自主グループ参加希望者でグループの目標を話し合ってください」

 

 


 

▶午後7

生活習慣病予防の栄養教室の運営方法で適切なのはどれか。

 

  1. グループワークを用いて運営する。
  2. 参加者がお互い競争するよう促す。
  3. 参加者に連絡先の交換をするように促す。
  4. 発言の多い参加者をリーダーに指名する。

 

 


 

▶午後8

A地区の人口静態をアセスメントする方法で、適切なのはどれか。

 

  1. 統計資料の二次活用
  2. 社会調査
  3. 地区踏査
  4. 分析疫学

 

 


 

▶午後9

地域保健活動におけるソーシャルキャピタルの説明で正しいのはどれか。

 

  1. 集団全体の広いリスクを対象とした支援対策である。
  2. 住民が主体的に活動できるよう支援することである。
  3. 地域の人々の社会的な結びつきに関する資本である。
  4. 個人の認識に働きかけて行動変容を促すモデルである。

 

 


 

▶午後10

A市の介護保険計画は、現在3年計画のうち2年目に入ったところである。
今年度担当になった保健師が最初に行う活動として適切なのはどれか。

 

  1. A市の高齢者にニーズ調査を行う。
  2. 前年度の活動の評価結果を確認する。
  3. 実施する事業のマニュアルを作成する。
  4. 介護保険計画のパブリックコメントを募集する。

 

 


 

▶午後11

難病相談・支援センターの説明で正しいのはどれか。

 

  1. 設置主体は市町村である。
  2. 難病医療提供体制の整備を図る。
  3. 難病患者の交流活動を支援する。
  4. 難病医療費助成制度の申請窓口である。

 

 


 

▶午後12

Aさん(21歳、女性)の腸管出血性大腸菌感染症の発生届が病院から保健所に提出された。Aさんは食品調理に従事しており、保健所は就業制限を行った。
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉に基づき、保健所による就業制限で適切なのはどれか。

 

  1. Aさんは自宅からの外出が制限される。
  2. Aさんは食品に触れない業務には従事できる。
  3. 症状消失後、直ちにAさんは調理業務に復帰できる。
  4. 就業制限は、Aさんの勤務先の事業主に対して発せられる。

 

 


 

▶午後13

Aさん(22歳、女性)。会社員の夫と長女の3人家族。長女の3歳児健康診査のために来所した。受付の職員がAさんの顔と腕にうっすらと出血斑があり、うつむいて、髪の毛で出血斑を隠しているのに気付いた。長女が話しかけてもAさんに笑顔は見られなかった。連絡を受けた問診担当の保健師はドメスティックバイオレンス〈DV〉を疑った。長女は、身体計測では問題となる所見はなかった。
このときの保健師の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 警察に通報する。
  2. 民生委員にAさん家族の様子を尋ねる。
  3. 長女の心理発達状況を個別相談で確認する。
  4. DVスクリーニングの自記式調査票を郵送する。

 

 


 

▶午後14

事業継続計画〈Business Continuity Plan:BCP〉について適切なのはどれか。

 

  1. 労働者災害補償保険の記載が必須である。
  2. 災害対策基本法に策定義務が明記されている。
  3. 策定した計画は5年ごとに改定しなければならない。
  4. 緊急事態発生時に、社会機能をできる限り維持するための業務続行の計画である。

 

 


 

▶午後15改題

常時1,000人以上の労働者を使用する事業場で、労働安全衛生法に基づき、事業場における安全衛生管理体制の責任者として安全衛生にかかわる業務を管理・指揮する者はどれか。

 

  1. 作業主任者
  2. 産業歯科医
  3. 安全衛生推進者
  4. 総括安全衛生管理者

 

 


 

▶午後16

公衆衛生看護管理で人材管理に当てはまるのはどれか。

 

  1. 報道機関への対応は事業担当者が行う。
  2. 地域住民に必要なサービスの開発を行う。
  3. 保健師のキャリアに応じた研修を計画的に実施する。
  4. 地域診断に基づいた地区活動計画を立案する。

 

 


 

▶午後17

「地域における保健師の保健活動に関する指針」に基づく保健師の保健活動の基本的な方向性の10項目に該当するのはどれか。

 

  1. 業務分担制の推進
  2. 予算の適切な執行管理
  3. 顕在化している課題への介入重視
  4. 部署横断的な保健活動の連携・協働

 

 


 

▶午後18

A市の保健師が現在担当している子育て支援事業の次年度予算を作成することになった。
この保健師が行う予算管理として適切なのはどれか。

 

  1. 予算要求には市の基本計画との整合性を重視する。
  2. 1月1日から12月31日までの予算を作成する。
  3. 予算の執行権は予算案を作成した保健師にある。
  4. 補正予算で作成する。

 

 


 

▶午後19

同じ集団における同一のスクリーニング検査で、基準値を変えて敏感度を上げた場合に上昇するのはどれか。

 

  1. 特異度
  2. 偽陽性率
  3. 偽陰性率
  4. 陰性者数

 

 


 

▶午後20

国民健康・栄養調査について正しいのはどれか。

 

  1. 血圧値は調査項目である。
  2. 3日間の食事調査が行われる。
  3. 調査日の食費は調査項目である。
  4. 栄養素等摂取量が市区町村別に比較される。

 

 


 

▶午後21

地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律〈医療介護総合確保推進法〉で規定されたのはどれか。

 

  1. 病床機能報告制度
  2. 医療安全支援センターの設置義務
  3. 医療計画への在宅医療の達成目標の記載
  4. 重症心身障害児(者)への日中の活動の場の確保

 

 


 

▶午後22

医療費の助成と根拠法令の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 医療扶助――社会福祉法
  2. 療育医療――障害者基本法
  3. 自立支援医療(更生医療)――障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律〈障害者総合支援法〉
  4. 小児慢性特定疾病医療費助成制度――難病の患者に対する医療等に関する法律〈難病法〉

 

 


 

▶午後23

慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉について正しいのはどれか。

 

  1. 病状の進行に伴い肺は縮小する。
  2. 患者の多くは60歳までに診断されている。
  3. 非感染性疾患〈Non-Communicable Diseases:NCDs〉の一つである。
  4. 健康日本21(第二次)では新規患者発生数の半減が目標に設定されている。

 

 


 

▶午後24改題

令和4年(2022年)の歯科疾患実態調査の結果をグラフに示す。
107pm24h.png
このグラフが表しているのはどれか。

 

  1. う歯を持つ者の割合
  2. 顎関節の異常がある者の割合
  3. 20歯以上の歯を有する者の割合
  4. 4mm以上の歯周ポケットを有する者の割合

 

 


 

▶午後25

災害救助法で定められているのはどれか。

 

  1. 自主防災組織の促進
  2. 地域防災計画の作成
  3. 避難所及び応急仮設住宅の供与
  4. 広域災害救急医療情報システム〈EMIS〉の運用
  5. 災害時健康危機管理支援チーム〈DHEAT〉の派遣

 

 


 

▶午後26

A市では、避難行動要支援者名簿の見直しをすることになった。まず、医療依存度の高い難病患者の現在の状況を確認することにした。
協力を求めるのに最も適切なのはどれか。

 

  1. 消防機関
  2. 自主防災組織
  3. 地域包括支援センター
  4. 訪問看護ステーション
  5. 民生委員児童委員協議会

 

 


 

▶午後27

健康日本21(第二次)で生活習慣病のリスクを高める1日の飲酒量の定義はどれか。
ただし、日本酒換算で、日本酒1合は純エタノール20g相当とする。

 

  1. 男性1合以上、女性0.5合以上
  2. 男性2合以上、女性1合以上
  3. 男性2合以上、女性1.5合以上
  4. 男性3合以上、女性1.5合以上
  5. 男性3合以上、女性2合以上

 

 


 

▶午後28

従属人口指数はどれか。

 

  1. 老年人口÷総人口×100
  2. 老年人口÷生産年齢人口×100
  3. (年少人口+老年人口)÷総人口×100
  4. (年少人口+老年人口)÷生産年齢人口×100
  5. 老年人口÷(年少人口+生産年齢人口)×100

 

 


 

▶午後29

子育て世代包括支援センターで正しいのはどれか。

 

  1. 要保護児童対策地域協議会を設置する。
  2. 母子保健推進員の配置が定められている。
  3. 児童福祉法において設置が定められている。
  4. 妊娠期から子育て期にわたるまでの切れ目のない支援を行う。
  5. 市町村は子育て世代包括支援センターを設置しなければならない。

 

 


 

▶午後30

特定保健指導の事業評価に用いる項目で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 動機づけ支援の対象者数
  2. 特定保健指導の中断者数
  3. 特定健康診査の未受診者数
  4. 特定保健指導対象者の指導への満足度
  5. 特定健康診査結果における要医療者の割合

 

 


 

▶午後31

学校保健安全法に基づく児童生徒の定期健康診断で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 学校行事に位置づく教育活動として行われる。
  2. 毎学年5月末日までの間に実施する。
  3. 座高は小学校低学年で測定する。
  4. 実施主体は教育委員会である。
  5. 結果に基づき事後措置を行う。

 

 


 

▶午後32

学校における保健教育で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 小学校の保健の授業は5年生から行う。
  2. 教育基本法に指導内容が規定されている。
  3. 保健指導は養護教諭が中心となって行う。
  4. 生涯にわたって健康に生きるための能力の育成を目標にする。
  5. 養護教諭は1年以上勤務する場合に保健の授業を担当できる。

 

 


 

▶午後33

事業者が実施する一般健康診断の定期健康診断で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 基本検査項目に検便を含める。
  2. 6か月以内ごとに1回実施する。
  3. 一般健康診断の結果は5年間保存する。
  4. 異常所見のある場合は必要に応じて就業上の措置を講ずる。
  5. 常時20人以上の労働者を使用する事業者は所管労働基準監督署長に結果を報告する。

 

 


 

▶午後34改題

令和2年(2020年)における精神疾患の患者に関する動向について適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 入院患者は外来患者より少ない。
  2. 措置入院患者は、入院患者の0.6%である。
  3. 精神病床における平均在院日数は300日以上である。
  4. 平成23年(2011年)と比較して患者数は減少している。
  5. 入院患者の5割以上がAlzheimer〈アルツハイマー〉病である。

 

 


 

▶午後35

計算するときに人年法を用いるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 死亡率
  2. 有病率
  3. 被患率
  4. 有訴率
  5. 罹患率比

 

 


 

次の文を読み36〜38の問いに答えよ。

Aさん(45歳、男性、営業職)。妻(44歳)と長男(高校生)の3人家族。事業所の定期健康診断の結果、BMI30、血圧値145/88mmHgで、医師から体重減少と塩分制限を指導された。Aさんは保健師の指導を受けた時「帰宅が遅いので夕食の時間は遅くなり、お腹が空いているので早食いになる。昼食は職場の食堂で食べているが定食よりもラーメン大盛りが多い。まだ若いので少しくらい血圧が高くても大丈夫。しかし、妻からは『あなたの体重が増えてきたので心配。一緒に痩せよう』と言われている」と語った。

 

▶午後36

Aさんの話した内容からプリシード・プロシードモデルで確認できるのはどれか。

 

  1. 遺伝
  2. 強化要因
  3. 実現要因
  4. 前提要因

 

 


 

▶午後37

事業所の保健師はAさんに2回目の面接を行った。自分の健康をどう思っているのかを尋ねると「太っている自覚がある。スポーツジムに入会したことがあるが3日しか通わずにやめてしまった。妻も心配しているので、ラーメンは大盛りから並にした」という答えが返ってきた。
Aさんの自己効力感を高めるための支援はどれか。

 

  1. 昼食は定食にするよう指導する。
  2. 今後起こりうる病気について説明する。
  3. スポーツジムを3日でやめた理由を聞く。
  4. ラーメンを大盛りから並にしたことを支持する。

 

 


 

▶午後38

3か月後、事業所の保健師は3回目の面接を行った。Aさんは「通勤手段を自転車に替え、土日も1時間のウォーキングを行い体重が3kg減少した。体調も良い」と嬉しそうに語った。しかし、血圧値は改善しなかったため、保健師はAさんの食事内容を確認しながら、血圧値と体重、減塩食との関係を具体的に説明した。
Aさんが血圧を下げる更なる生活改善に取り組むためのコーチングの手法を用いた保健師の声かけはどれか。

 

  1. 「運動強度を上げてみましょう」
  2. 「家族と一緒に減塩食を食べましょう」
  3. 「塩分摂取量を1日7g以下にしましょう」
  4. 「面接を踏まえて何ができると思いますか」

 

 


 

次の文を読み39〜41の問いに答えよ。

Aさん(80歳、男性)。1人暮らし。自宅で転倒し、腰椎圧迫骨折の治療のために1か月間入院し、自宅に退院した。退院後は整形外科に定期的に通院している。要介護認定を申請し要支援1と認定されたが、介護保険サービスは利用していない。自宅は団地で4階建ての3階に居住しておりエレベーターはない。Aさんの退院から1か月後、団地の担当民生委員からAさんの状態について、地域包括支援センターの保健師に相談があった。入院前、Aさんは団地の集会所で行われている高齢者サロンによく参加していたが、退院後は来ることが少なくなったという。高齢者サロンの参加者に聞くと「Aさんが、病院には通っているがサロンに行くのは億劫だ、と言っていた」とのことであった。

 

▶午後39

保健師はAさんの状況を把握するため、民生委員と一緒に家庭訪問を行うことにした。
家庭訪問時に収集する情報として優先度が高いのはどれか。

 

  1. 生活史
  2. 家族関係
  3. 経済状況
  4. 通院頻度
  5. 日常生活動作〈ADL〉

 

 


 

▶午後40

Aさんは「退院してから家では普通に過ごしているが、外に出ると疲れがたまる。買い物には行くが、荷物を持って階段を昇るのがつらい」と話した。
保健師がAさんに利用を提案するサービスで適切なのはどれか。

 

  1. 介護予防ケアマネジメント
  2. 介護予防居宅療養管理指導
  3. 通所リハビリテーション
  4. 地域密着型通所介護

 

 


 

▶午後41

保健師は団地の民生委員から「団地の高齢者は、Aさん以外にも転倒をきっかけに、階段昇降が困難になる高齢者が多い」との相談を受け、集会所で行われている高齢者サロンの場で転倒予防の取り組みを行うこととした。
この取り組みに活用できる事業で適切なのはどれか。

 

  1. 地域生活支援事業
  2. 日常生活自立支援事業
  3. 在宅医療・介護連携推進事業
  4. 地域リハビリテーション活動支援事業

 

 


 

次の文を読み42〜44の問いに答えよ。

Aちゃん(2歳、男児)。出生体重2,800g。先天性疾患により出生直後から呼吸管理、経管栄養が必要であったが、成長とともに状態が安定し、2週後に退院することとなった。現在、呼吸状態は問題ないが、経管栄養は今後も継続して行うため、両親は必要な手技を習得中である。発語は1、2語あり、最近自立歩行を始めたところである。
家族は両親と兄(5歳)である。両親は共働きで、母親は自宅近くでパートタイムの仕事をしており、兄は市の保育所に通っている。退院にあたり、今後の生活について母親から市の障害福祉課に相談があり、担当保健師が家庭訪問を行った。

 

▶午後42改題

Aちゃんが現在利用することが可能なサービスはどれか。

 

  1. 養育支援訪問事業
  2. 児童発達支援事業
  3. 保育所等訪問支援
  4. 児童扶養手当

 

 


 

▶午後43

母親は「兄が保育所で毎日とても楽しく過ごしているので、Aにも同じように他の子どもたちと一緒にいろいろな経験をさせたいと思っています。Aを保育所に入所させることはできるでしょうか」と話した。
この母親の思いを支援する上で基盤となる概念として適切なのはどれか。

 

  1. コミュニティオーガニゼーション
  2. ピアエデュケーション
  3. グローバリゼーション
  4. インクルージョン

 

 


 

▶午後44

保育所への入所を希望している母親に対する保健師の説明で適切なのはどれか。

 

  1. 「経管栄養を行う看護師の配置を市で検討します」
  2. 「身体障害者手帳を取得していることが必要です」
  3. 「保護者が保育所に付き添うことが必要です」
  4. 「障害児福祉施設の通所が適しています」

 

 


 

次の文を読み45〜47の問いに答えよ。

建設業のA社は、毎年ストレスチェックを従業員に実施している。会社全体の健康リスクの評価において、多くの従業員が高ストレスに該当した。A社の保健師が部門ごとに分析したところ、設計部は他の部署より高ストレスの該当者の割合が高かった。

 

▶午後45

高ストレスの該当者への保健師の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 医師との面接の案内を送付する。
  2. 職務上の配慮を人事部に提案する。
  3. 該当者を集めてセルフケア研修を開催する。
  4. 管理者に、該当者が記入したストレスチェック票を渡す。

 

 


 

▶午後46

設計部のストレスチェックの集団分析を行った結果、同僚からの支援が少ないことが分かった。
保健師として、設計部に関して優先的に取り組むのはどれか。

 

  1. 人事課長に結果を報告する。
  2. 産業医による職場巡視を行う。
  3. 設計部管理者から職場の状況について情報収集をする。
  4. 高ストレスの該当者から職場環境改善の要望を募る。
  5. 職場内の人間関係に関するアンケート調査を従業員に実施する。

 

 


 

▶午後47

保健師は、A社全体の集団分析結果を利用して、管理監督者が職場環境改善に積極的に関与する必要があると考えた。
高ストレスの該当者が多いことへの保健師の取り組みとして最も効果的なのはどれか。

 

  1. 健康相談日を増やす。
  2. 職場巡視の回数を増やす。
  3. 管理監督者への研修を実施する。
  4. 産業保健総合支援センターへ連絡する。
  5. 心の相談窓口の案内ポスターを掲示する。

 

 


 

次の文を読み48〜50の問いに答えよ。

Aさん(81歳、女性)。認知症と診断され、症状緩和のための服薬調整を目的として、B病院認知症治療病棟に入院した。入院前から軽い咳嗽はあったが、喘息の既往歴によるものとされていた。入院後2週、39℃台の発熱があり、胸部エックス線写真で肺炎像を認めたので、誤嚥性肺炎の診断のもとに抗菌薬の投与を行った。しかし、解熱しないため、C病院に転院し、喀痰塗抹菌検査陰性、結核菌PCR陽性となり、肺結核と診断されC病院の結核病棟で治療が開始された。診断した医師から保健所に結核発生の届出があった。B病院認知症治療病棟では、4人部屋に入院しており、Aさんの近所に住む長女は2日に1回は面会に来ていた。感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉第17条に基づき早期発見のために長女に初回面接を行うことにした。

 

▶午後48

自宅でのAさんの結核初期症状で長女への初回面接で確認すべき事項はどれか。

 

  1. 体温の変化
  2. 体重減少の有無
  3. 倦怠感の訴えの有無
  4. 咳嗽の状態変化の有無

 

 


 

▶午後49

その後、喀痰塗抹菌検査は3回連続で陰性、胸部エックス線写真上も空洞はなかったが培養検査結果は陽性だった。
Aさんの感染性の評価に基づいて行う接触者健康診断の対象者で適切なのはどれか。

 

  1. 接触者全員
  2. C病院の結核病棟の患者
  3. 接触者で免疫力が低下している人
  4. B病院認知症治療病棟の全ての患者と職員

 

 


 

▶午後50

Aさんは、低感染性の結核であると診断され、接触者健康診断を実施することになった。
最優先に接触者健康診断を行うことが望ましい接触者はどれか。

 

  1. 長女
  2. B病院で同室者であった入院患者
  3. B病院認知症治療病棟に配膳車を運ぶ栄養課職員
  4. Aさんの自宅へ週1回生活援助に訪れていた訪問介護員

 

 


 

次の文を読み51〜53の問いに答えよ。

肥満の既往の有無と大腸癌との関連を検証するための疫学研究を行うこととした。A病院において大腸癌と診断された患者100人を登録した。また、同院で人間ドックを受検し大腸癌が無いことを確認できた100人を選定し登録することとした。次に、これらの対象者の肥満の既往を確認することとした。

 

▶午後51

この研究デザインはどれか。

 

  1. 介入研究
  2. 横断研究
  3. 症例対照研究
  4. 生態学的研究
  5. コホート研究

 

 


 

▶午後52

大腸癌の発症には性別や年齢の影響が知られている。そのためこれらの要因を調整する必要があると考えた。登録された大腸癌患者1人に対して性別および年齢を対応させた人間ドック受検者1人を選定することとした。
この方法はどれか。

 

  1. 層化
  2. 標準化
  3. 無作為化
  4. マッチング
  5. 多変量解析

 

 


 

▶午後53

大腸癌患者100人と大腸癌が無いことを確認できた人間ドック受検者100人の肥満の既往の調査結果を以下に示す。
107pm53h
肥満の既往ありの肥満の既往なしに対する大腸癌ありのオッズ比を求めよ。
ただし、小数点以下第2位を四捨五入すること。

 

解答:① . ②

 

 


 

次の文を読み54、55の問いに答えよ。

A君(中学1年生)は、母親と養父、最近生まれた妹と4人家族である。学校には休まず通っており、クラスでは無口だが暴力的になることがあった。ある日の朝、A君の顔に片目全体を覆うようなあざがあることに気づいて学級担任や複数の教員が声をかけたところ、A君は「自転車に乗っていてぶつけた」と答えた。昼休みに、掃除当番で保健室にきたA君に、養護教諭がそれとなく「どんなふうにけがをしたの?」と尋ねた。すると、A君は養父からよく殴られることを打ち明けて「このことは誰にも言わないでほしい」と言った。養護教諭は虐待の可能性があると考えて、A君が打ち明けてくれたことを肯定しながらA君の目の周りや心身の状態を観察しつつ、話を聴いた。

 

▶午後54

話を聴いた後のA君への養護教諭の対応で、適切なのはどれか。

 

  1. 殴られていることを母親に話すよう促す。
  2. あざの写真を記録として撮らせてもらう。
  3. 虐待にあたることを告知する。
  4. 学級担任に話すよう勧める。

 

 


 

▶午後55

養護教諭は、A君の状況を校長に伝え、その日の午後に開かれた校内委員会で共有した。これまでのA君の家庭に関する情報を集約した結果、虐待の疑いが強まり、児童相談所に通告することになった。また、養護教諭から母親に電話し、A君の目の周りのあざについて眼科医療機関の受診を勧めた。
翌日、A君は普段通りに登校し学級担任に受診報告があった。その後、養父から学校に電話があり、学級担任に「Aは家の中でケガをしただけだ。なにか家のことを話したのではないか。話した内容を教えるように」と威圧的な態度で要求してきた。
この後、養護教諭や教職員が行う学校の対応で、最も優先されるのはどれか。

 

  1. A君に眼科受診後の養父の様子を聞く。
  2. 養父の言動を児童相談所と情報共有する。
  3. 目の周りのあざの経過観察を両親に依頼する。
  4. 養父に学校に来てもらいA君の学校生活について話をする。

 

 


 

資料 厚生労働省「第107回保健師国家試験、第104回助産師国家試験、第110回看護師国家試験の問題および正答について

 

 

▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 医師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 薬剤師国家試験に出る国民衛生の動向

 

令和2年2月14日実施の第106回保健師国家試験の全問題と正答を掲載します。

また、内容に応じて保健師国家試験受験者の必携テキスト「国民衛生の動向2024/2025」の参照章・ページを示します。問題を解きながら本誌を確認することで、より問題の理解を深めることできます。

 

分野別解説付き問題まとめ

を合わせて活用しながら、合格に近づく過去問対策を進めて頂ければ幸いです。

 

なお、最新の統計の記載、法律の改正、不適切問題などにより、一部問題を改変、削除しています。

 

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国民衛生の動向 2024/2025

 

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定価:2,970円(税込)

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▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

第106回保健師国家試験目次

 

 

第106回保健師国家試験・午前(55問)

 

 

▶午前2

親による子への虐待発生の可能性を高める要因はどれか。

 

  1. 高齢出産
  2. 経済的問題
  3. 共働き世帯
  4. 祖父母が同居する世帯

 

 


 

▶午前3

保健師は、住民が自分の生活を振り返り、必要な情報を集め、自己決定できることを目指した健康教育を実施した。
この健康教育の参加者の行動変容に関係するのはどれか。

 

  1. リスクコミュニケーション
  2. コンプライアンス
  3. ヘルスリテラシー
  4. リーダーシップ

 

 


 

▶午前4

Aさん(78歳、女性)。1人暮らし。別居する息子から「最近、母は買い物以外は外出せず、物忘れもひどくなっているようだ。どうしたらよいか」と、市の保健センター保健師に相談があった。保健師が状況把握を目的に息子と一緒に初回訪問をしたところ、Aさんに「私は何も困っていないし、家事も全部できている。来ないでほしい」と言われた。
息子への保健師の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 「Aさんとの同居を検討しましょう」
  2. 「近隣の住民に見守りを依頼しましょう」
  3. 「Aさんが医療機関を受診できるよう一緒に考えましょう」
  4. 「Aさんの意思を尊重して保健師の訪問は控えたいと思います」

 

 


 

▶午前5

市のがん検診の受診率が伸びないため、事業担当保健師は、受診率向上に向けた取り組みを検討している。
最も効果的な取り組みはどれか。

 

  1. 広報誌による受診勧奨
  2. 医療機関でのポスターの掲示
  3. がん予防に関する講演会の開催
  4. 未受診者への個別通知による受診の再勧奨

 

 


 

▶午前6改題

平成22年(2010年)と比較した令和3年(2021年)の日本の性感染症の状況はどれか。2つ選べ。

 

  1. 10代の梅毒患者数が増加している。
  2. HIV感染者の療養期間が短くなっている。
  3. 新規HIV感染は異性間性的接触が最も多い。
  4. 性器ヘルペスウイルス感染症の定点報告数が増加している。

 

 


 

▶午前7

コミュニティ・アズ・パートナーモデルによって地域アセスメントを行う際に、コミュニティコアに含まれるデータはどれか。

 

  1. 失業率
  2. 緑地面積
  3. 医療機関数
  4. 地域の人口

 

 


 

▶午前8

市の保健師は地域アセスメントを行うために量的データの分析を行った。
分析疫学を用いているのはどれか。

 

  1. 高齢者の世帯形態別人数表
  2. 高齢化率の地理的分布を色分けした地図
  3. 年間出生数の過去10年間の経時的変化の折れ線グラフ
  4. 出産時の母親の年齢区分別と訪問時のエジンバラ産後うつ病質問票〈EPDS〉の得点分布のクロス集計表

 

 


 

▶午前9

自治体の保健師が地域の健康課題を解決するために新たな事業を計画・実施していくプロセスで適切なのはどれか。

 

  1. 費用対効果を考慮する。
  2. 評価指標は事業の実施後に決める。
  3. 自治体の施策体系と独立して位置付ける。
  4. 住民のニーズは事業を実施しながら把握する。

 

 


 

▶午前10

市保健センターの健康相談に来所した女性(70歳)から「最近、おりものに血が混じっている。どこに行けばよいか」と相談があった。閉経は55歳だと言う。
市の保健師がこの女性に勧めるのはどれか。

 

  1. 婦人科の受診
  2. 泌尿器科の受診
  3. 市の子宮がん検診の受診
  4. 母子健康包括支援センターへの相談

 

 


 

▶午前11

Aさん(92歳、女性)。1人暮らし。近所と良好な関係を築いていた。1か月前から姿を見せなくなったため、近隣者がAさんの自宅を訪ねた。Aさんはどこも悪くないと言うが、近隣者は不安を感じて、地域包括支援センターに連絡した。
近隣者への保健師の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「一緒にAさん宅へ行きましょう」
  2. 「民生委員に連絡を取ってみます」
  3. 「地域包括支援センターで対応します」
  4. 「Aさんの主治医に連絡を取ってみます」

 

 


 

▶午前12

難病の患者に対する医療等に関する法律〈難病法〉に基づく指定難病で正しいのはどれか。

 

  1. 治療方法が確立している。
  2. 発病の機構が明らかである。
  3. 客観的な指標による一定の診断基準が定まっている。
  4. 患者数が日本の人口のおおむね百分の一程度に相当する。

 

 


 

▶午前13

感染症サーベイランスで、医療機関、保健所、都道府県を経て厚生労働省に報告されるのはどれか。

 

  1. 積極的疫学調査
  2. 感染症発生動向調査
  3. 感染症流行予測調査
  4. 院内感染サーベイランス事業

 

 


 

▶午前14

2か月前に発生した大規模災害後に設置された仮設住宅を巡回訪問中の保健師に、Aさん(16歳、高校生)の母親から、娘が登校中に被災し、被災後3週から不眠を訴え、泣いたり怒鳴ったり感情の起伏が激しく、ほとんど部屋から出ず、学校に行かないため心配だとの相談があった。訪問時は、Aさんには会えなかった。
保健師が行う母親への助言で適切なのはどれか。

 

  1. 「このまま見守りましょう」
  2. 「精神科医に相談しましょう」
  3. 「学校のカウンセラーに相談しましょう」
  4. 「被災時にどのような体験をしたのか聞いてみましょう」

 

 


 

▶午前15

自治体で働く保健師が、新任期1年目から担う管理機能はどれか。

 

  1. 人材管理
  2. 人事管理
  3. 地区管理
  4. 組織運営管理

 

 


 

▶午前16

市町村保健師が家庭訪問時に知り得た個人情報の取り扱いで正しいのはどれか。

 

  1. 地域保健法に基づき個人情報を取り扱う。
  2. 記録の廃棄は担当保健師に一任されている。
  3. 記録は担当保健師の机の鍵付引き出しに保管する。
  4. 人の生命の保護のために必要であって、本人の同意を得ることが困難な場合は本人以外に提供できる。

 

 


 

▶午前17

A市保健センターの新たな事業として、B地区で発達障害児の子育て教室を実施することになった。
教室を開始する際の組織の在り方で適切なのはどれか。

 

  1. 障害福祉部門の保健師の役割は障害福祉部門が決める。
  2. B地区担当以外の職員は事業開始後から携わる。
  3. A市保健センター長が活動目標を設定する。
  4. 地区担当保健師の地区活動と連動させる。

 

 


 

▶午前18

がんと危険因子の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 胃がん――高塩分食
  2. 肺がん――運動不足
  3. 乳がん――ヘリコバクター・ピロリ
  4. 肝臓がん――ヒトパピローマウイルス

 

 


 

▶午前19

健康寿命の都道府県格差を評価するための指標で適切なのはどれか。

 

  1. 範囲
  2. 最頻値
  3. 中央値
  4. 幾何平均

 

 


 

▶午前20

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律〈精神保健福祉法〉に基づく精神保健福祉センターで正しいのはどれか。

 

  1. 設置主体は市町村である。
  2. 地域生活支援事業を実施する。
  3. 社会復帰の促進のための啓発活動を行う。
  4. 自立支援医療(精神通院医療)の申請窓口である。

 

 


 

▶午前21

行政機関におけるアカウンタビリティで適切なのはどれか。

 

  1. 母子保健計画の中間評価を市のホームページで公開した。
  2. 新しい健康づくり計画の素案について市民から意見を求めた。
  3. 地域包括支援センターの運営業務を社会福祉法人へ委託した。
  4. 市のホームページをカラーユニバーサルデザインに基づく構成に変更した。

 

 


 

▶午前22

児童虐待を防止するため、平成28年(2016年)に改正された児童虐待防止対策の充実に向けた児童虐待の防止等に関する法律〈児童虐待防止法〉及び児童福祉法の内容で正しいのはどれか。

 

  1. 児童の安全確認のための立ち入り調査の強化
  2. しつけに際して必要な範囲を超えた懲戒の禁止
  3. 地方公共団体の要保護児童対策地域協議会設置の努力義務化
  4. 市町村等における児童虐待を受けたと思われる児童の安全確認の義務化

 

 


 

▶午前23

介護保険法に基づく地域包括支援センターの基本機能で正しいのはどれか。

 

  1. 介護予防ケアマネジメント
  2. 高齢者の住まいの整備
  3. 要介護認定の実施
  4. 福祉用具の貸与

 

 


 

▶午前24

災害対策基本法施行令に規定される福祉避難所の説明で適切なのはどれか。

 

  1. 都道府県知事が指定する。
  2. 所得に応じて利用費が発生する。
  3. 負傷者の救護活動が目的である。
  4. 特別な配慮を必要とする者が利用できる。

 

 


 

▶午前25

ソーシャルサポートにおける道具的(手段的)サポートはどれか。

 

  1. 称賛する。
  2. 愛情を伝える。
  3. 家事を手伝う。
  4. 情報提供する。
  5. アドバイスする。

 

 


 

▶午前26

健康増進法に基づきA市が策定した第2次健康増進計画の見直しを、住民と一緒に行うことにした。
計画の見直しを担当するA市の保健師が最初に行うのはどれか。

 

  1. 住民から要望を聞く。
  2. 長期的な目的と目標を考える。
  3. 他市の健康増進計画について情報収集する。
  4. 保健師や他の専門職を集めた会議を開催する。
  5. 現計画の実施で明らかになった健康課題をまとめる。

 

 


 

▶午前27

疾病のスクリーニングの要件で正しいのはどれか。

 

  1. 疾病の自然史が不明でも対象になる。
  2. 無症状の期間が無い疾病が対象となる。
  3. 治療方法が確立していなくても対象となる。
  4. 検査方法が、対象者より検者に受け入れやすい。
  5. スクリーニング陽性者の確定診断の手技が確立している。

 

 


 

▶午前28

A市の2地区間で、喫煙率が異なると予想して両地区で喫煙状況に関する標本調査を行った。統計学的検定を行い「仮説B:2地区の母喫煙率は等しい」が棄却されたので、2地区の喫煙率には有意差があると判断した。
仮説Bはどれか。

 

  1. 閾値仮説
  2. 帰無仮説
  3. 研究仮説
  4. 対立仮説
  5. 直線仮説

 

 


 

▶午前29

人口動態統計で、人口1,000対で表すのはどれか。

 

  1. 出生率
  2. 純再生産率
  3. 総再生産率
  4. 周産期死亡率
  5. 合計特殊出生率

 

 


 

▶午前30

全国から無作為抽出された世帯及び世帯員を対象として行われる調査はどれか。

 

  1. 患者調査
  2. 人口動態調査
  3. 食中毒統計調査
  4. 学校保健統計調査
  5. 国民生活基礎調査

 

 


 

▶午前31

平成25年(2013年)に改正された「地域における保健師の保健活動に関する指針」に示された都道府県保健所等に所属する保健師の活動はどれか。2つ選べ。

 

  1. 広域的・専門的な保健サービスの提供
  2. 住民の主体的な健康づくり支援
  3. ボランティア組織の育成支援
  4. 市町村保健師の業務の補助
  5. 健康危機への体制づくり

 

 


 

▶午前32

小児を対象にした麻しんと風しんの定期予防接種に関する説明で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 1期と2期がある。
  2. 生ワクチンである。
  3. 1期には3回接種する。
  4. 1歳未満が対象である。
  5. 抗体価が低い場合に接種する。

 

 


 

▶午前33改題

児は、在胎31週1,700gで出生。NICU入室後、6週で退院した。1歳6か月児健康診査後に医療機関で軽度脳性麻痺と診断され、下肢の補装具を作成した。
出生以降に児が利用できる助成・制度を規定するのはどれか。3つ選べ。

 

  1. 児童福祉法
  2. 母子保健法
  3. 身体障害者福祉法
  4. 発達障害者支援法
  5. 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律〈障害者総合支援法〉

 

 


 

▶午前34

学校保健活動で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 保健教育は学習指導要領を踏まえて行う。
  2. 定期の学校環境衛生検査は学校医が従事する。
  3. 就学時の健康診断は学校の設置者が実施する。
  4. 学校における救急処置は応急的なものである。
  5. 学校安全計画は学校保健計画に含めて策定する。

 

 


 

▶午前35

労働安全衛生マネジメントシステムで正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 産業医が安全衛生計画を策定する。
  2. 定期的なシステム監査を実施する。
  3. 総括安全衛生管理者が事業場の安全衛生方針を表明する。
  4. 従業員数50人以上の事業場での実施が義務付けられている。
  5. 事業場における安全衛生水準の向上を図ることを目的とする。

 

 


 

▶午前36

業務上取り扱う物質で、労働安全衛生法に基づき健康管理手帳の交付対象となるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 石綿
  2. ベンゼン
  3. カドミウム
  4. トリクロロエチレン
  5. 1,2-ジクロロプロパン

 

 


 

▶午前37

労働者におけるハラスメントの防止措置を規定しているのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 介護保険法
  2. 健康増進法
  3. 労働基準法
  4. 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律〈男女雇用機会均等法〉
  5. 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律〈育児・介護休業法〉

 

 


 

▶午前38

高齢者が入所している施設で、ノロウイルスによる感染性胃腸炎症状が複数の入所者と職員に発生している。
施設が行うべき感染拡大防止のための対応で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 発症者と未発症者で居室を分ける。
  2. 入所者に提供する食事は十分に加熱する。
  3. 発症者の嘔吐物は十分に乾燥させてから清掃する。
  4. 手指の消毒に次亜塩素酸ナトリウム溶液を使用する。
  5. 発症した食品調理従事者の業務への復帰は胃腸炎症状が消失した日からとする。

 

 


 

▶午前39改題

生活保護制度で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 生活扶助は現金給付である。
  2. 分娩費用は医療扶助である。
  3. 被保護人員は増加傾向である。
  4. 被保護世帯には障害者世帯が最も多い。
  5. 最低限度の生活を保障することが目的に含まれている。

 

 


 

▶午前40

がん登録等の推進に関する法律〈がん登録推進法〉で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. がん診療連携拠点病院を2次医療圏に整備する。
  2. がん登録届出の際は患者の同意が必要である。
  3. がんの罹患に関する情報のデータベース化は国が行う。
  4. 全国がん登録データベースは一般に公開されている。
  5. 病院には罹患情報の届出義務がある。

 

 


 

次の文を読み41〜43の問いに答えよ。

Aさん(44歳、女性)。特定健康診査の結果は、身長156cm、体重72kg。BMI29.6。腹囲93cm。血圧135/85mmHg。空腹時血糖95mg/dL、HDLコレステロール38mg/dL、中性脂肪160mg/dL。喫煙歴はない。特定健康診査の結果、特定保健指導の対象であると説明したところ「運動は嫌いだし、保健指導は必要ない」と言っていたが、保健師の働きかけで初回面接を行うことができた。初回面接では、保健師はAさんの行動変容ステージを無関心期であると判断し、Aさんの思いを受け止めながら、検査結果の示す意味を説明した。

 

▶午前41

Aさんから得る情報で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 食事の好み
  2. 1日の運動量
  3. 過去10年間の体重
  4. 将来の自分の健康についての考え

 

 


 

▶午前42

初回面接で、Aさんから「1か月に1kgの体重減少を目標に、食事と運動の改善に取り組んでみたい」という発言が聞かれ、間食を減らして毎日8,000歩を目標に歩くこととした。初回面接から2週後に電話連絡したところ、Aさんは「間食はしていないし、ご飯は小さなお茶碗に変えて1杯だけに減らしている。なかなか毎日8,000歩は歩けない。体重はあまり変わらない。こんな自分はだめだ」と話した。
この時の保健師の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 急に体重は減らないと話す。
  2. スポーツジムに通うことを提案する。
  3. 食事と運動を併せて取り組む必要性を話す。
  4. 自主的にご飯の量を減らしている努力を認める。

 

 


 

▶午前43

6か月後の最終評価面接では、体重66kg、腹囲85cmであり、Aさんは「何度もやめたくなったが、なんとか続けられた」と話した。
Aさんは、翌年の特定健康診査を受診し、身長156cm、体重67kg。BMI27.9。腹囲86cm。血圧130/80mmHg。空腹時血糖90mg/dL、HDLコレステロール45mg/dL、中性脂肪142mg/dLという結果であった。
この時のAさんの状態はどれか。

 

  1. 情報提供レベル
  2. 動機づけ支援レベル
  3. 積極的支援レベル
  4. 医療機関への受診勧奨レベル

 

 


 

次の文を読み44〜46の問いに答えよ。

人口12万人のA市のB地区。1980年代に開発された新興住宅地で、市全体の出生は緩やかに減少し、高齢化が進行している。
B地区では月2回、民生委員3名と地区内のボランティア7名をスタッフとして、地区の乳幼児とその保護者を対象とした育児サロンが10年ほど前から開催されている。地区担当保健師は2〜3か月ごとにサロンに参加し、参加者やスタッフの相談に応じている。

 

▶午前44

ある日、民生委員のCさんから「最近加わったスタッフから、『保護者にどう声かけして良いか自信がなくて不安だ』という声を聞いた。民生委員としてどうしたら良いだろうか」と保健師に相談があった。
保健師がCさんに提案する内容で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「慣れるまで見守りましょう」
  2. 「個別にCさんの経験を伝えてください」
  3. 「スタッフ間で保護者への関わり方を振り返る機会を設けましょう」
  4. 「自信のないスタッフは無理に出席しなくて良いことを伝えてください」

 

 


 

▶午前45

地区担当保健師が参加した日のサロンで、参加していた保護者から災害時の不安に関する訴えが聞かれたことが発端で、B地区でも防災に向けた対策をみんなで考えていくことが必要ではないかという声が多く聞かれた。保健師は、この機会をB地区の防災対策の促進につなげようと考えた。
地区担当保健師がB地区に対して行う支援で適切なのはどれか。

 

  1. B地区の要配慮者の確認を提案する。
  2. B地区の防災リーダーを担う。
  3. 消防団への加入を勧める。
  4. 地区防災計画を作成する。

 

 


 

▶午前46

1年後、それまでA市役所の職員健康管理を担当していた3年目の保健師のDさんがこの保健センターに異動となり、初めて地区担当保健師としてB地区を担当することになった。Dさんの上司である保健師は、Dさんの地区活動に関する職場内研修〈OJT〉を計画した。
職場内研修〈OJT〉に活用する業務で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 育児サロンの事業評価
  2. 地区担当保健師の自主勉強会の企画
  3. B地区に関する人口統計指標の分析
  4. 地区の困難事例検討会に助言者として出席
  5. 県内の新任期の保健師を対象とした研修会の参加

 

 


 

次の文を読み47〜49の問いに答えよ。

Aさん(25歳、初妊婦)。夫(25歳、会社員)と暮らしている。妊娠中に胎児の異常を認め、Fallot〈ファロー〉四徴症と診断された。Aさんは、総合周産期母子医療センターで帝王切開術にて2,500gのBちゃんを出産した。Aさんは産後1週で退院した。

 

▶午前47

産後2週、Aさんは保健所を訪れ「病院から言われて、Bの医療費が助成される制度の手続きに来ました」と話した。
Bちゃんに適用されるのはどれか。

 

  1. 自立支援医療(更生医療)
  2. 小児慢性特定疾病医療費
  3. 未熟児養育医療
  4. 療育医療

 

 


 

▶午前48

Aさんから保健所に「Bは2か月間の入院の後、先週退院した」と連絡があり、翌日保健師が家庭訪問した。主治医から、月に1回外来を受診するよう指導を受けている。Aさんは「体重が6kg以上に増えるのを目途に手術をするといわれていますが、まだ3kgを超えたところです。家に帰ってきてからあまりミルクを飲んでくれず、泣いてばかりいるので困っています」と話した。
保健師の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 「ミルクを濃くして飲ませましょう」
  2. 「1回の哺乳時間を長くとりましょう」
  3. 「授乳毎に体重を測って確認しましょう」
  4. 「泣いた時は早めに抱きかかえてあやしましょう」

 

 


 

▶午前49

Bちゃんは2歳までに3回の心臓手術を受け、それ以降は合併症もなく過ごしている。Bちゃんは4歳になり、年1回の経過観察となっている。半年後、Aさんは保健所に来所し「Bを来年から幼稚園に入れようと思い、主治医にも問題ないと言われたので近くの幼稚園に見学に行った。でも、みんな元気いっぱいで、Bが入園してやっていけるのか不安になった」と話した。
この時のAさんへの保健師の助言で適切なのはどれか。

 

  1. 心疾患の児を持つ親の会に参加することを勧める。
  2. 病児・病後児保育事業ができる保育所を紹介する。
  3. セカンドオピニオンを受けることを勧める。
  4. 入園時期を遅らせることを提案する。

 

 


 

次の文を読み50、51の問いに答えよ。

大規模災害が発生し、市内に避難所が開設された。
被災後3日、A避難所には300人が避難しており、市保健師1人が配置されている。Bさん(85歳、男性)は、脳梗塞の既往があり、右片麻痺で杖歩行である。要介護1の認定を受けている。Bさんの妻が「夫はトイレが心配で、ほとんど眠れていないようです。そのせいか時々私のことが分からなくなります」と保健師に話した。

 

▶午前50

Bさん夫婦に保健師が勧める内容で適切なのはどれか。

 

  1. 福祉避難所への移動
  2. パンツ型おむつの利用
  3. 特別養護老人ホームへの入所
  4. A避難所内のトイレに近い場所への移動

 

 


 

▶午前51

被災後7日、A避難所の避難者は200人となった。日中は自宅の片付けに出かける者もいるが、身体活動が少なく横になっている高齢者も多い。A避難所担当の保健師は、避難者名簿、避難所生活のスケジュール表を作成し、健康支援を行うこととした。
この時の保健師の対応で優先されるのはどれか。

 

  1. 炊き出しメニューの工夫
  2. 避難者全員の睡眠状況の確認
  3. 整形外科医による健康教育の依頼
  4. 深部静脈血栓症〈DVT〉の予防体操の実施

 

 


 

次の文を読み52、53の問いに答えよ。

Aさん(79歳、女性)。夫(80歳)と2人暮らし。腰痛があり2年前から整形外科に通院している。Aさんは、市役所の高齢福祉課の窓口に朝から2時間以上座っていた。高齢福祉課のB保健師がAさんに声をかけたところ、Aさんは「何をしに来たか忘れた。どうしようかしら」と話した。B保健師はAさんに了解を得て夫に迎えに来てもらい、夫から話を聞いた。夫はAさんについて「普段と変わった様子はなく、日々の生活で困っていることもない」と困惑した表情で話す。

 

▶午前52

Aさんの夫に対するB保健師の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. かかりつけ医に相談するように促す。
  2. 認知症外来のある医療機関一覧表を渡す。
  3. 担当地区の民生委員に相談することを勧める。
  4. 地域包括支援センターの保健師に連絡することの了承を得る。

 

 


 

▶午前53

2か月後、Aさんの夫が市役所に来所し「親戚の家に行くと言っていた妻が隣町の図書館で発見されたこともあり、受診をしたら認知症と診断された。これからが不安だ」とB保健師に話した。
後日、地域ケア会議に出席したB保健師は、Aさんのケースを報告した。会議では、市内の認知症高齢者が増加しており、今後さらに、市民の認知症についての正しい知識の啓発と理解を促進し、地域で認知症高齢者や家族を支える必要性が共有された。
市民の認知症への理解を深めるために保健師が実施することで適切なのはどれか。

 

  1. 認知症専門の医療機関の誘致
  2. 認知症対応型通所介護の拡充
  3. 認知症サポーター養成講座の講師養成
  4. 介護予防事業対象者の把握のための基本チェックリストの普及

 

 


 

次の文を読み54、55の問いに答えよ。

人口約15万人のA市。大都市郊外のベッドタウンであり、人口は10年前をピークに微減している。現在の高齢化率は26%であり、独居高齢者の増加が課題である。市では「健康でイキイキとした暮らしを地域で支えるまち」を目指し、健康増進計画を策定した。

 

▶午前54

目標とする項目の一部に関して、A市に在住する男性のデータを表に示す。
106am54h
5年前と現在のデータを比較して評価した。
目標を達成した項目はどれか。

 

  1. 大腸がん検診受診率
  2. 収縮期血圧の平均値
  3. 足腰に痛みのある高齢者の割合
  4. 就業又は何らかの地域活動をしている高齢者の割合

 

 


 

▶午前55

A市の健康増進計画の評価結果を受け、市の目標達成に向けたまちづくりを推進していくために、住民と協働した特別プロジェクトの立ち上げが決定した。
このプロジェクトの計画を立案するにあたり保健師が行うことで最も適切なのはどれか。

 

  1. A市の健康課題を住民と話し合う。
  2. 独居高齢者の全戸家庭訪問を行う。
  3. 認知症予防の健康教育を実施する。
  4. 介護予防に関する講演会を開催する。

 

 

 

第106回保健師国家試験・午後(55問)

 

 

▶午後1

住民が主体となって設立する組織はどれか。

 

  1. 児童委員の連絡会
  2. 母子保健推進員会
  3. 公募委員による健康増進計画協議会
  4. 障害者支援のための特定非営利活動法人

 

 


 

▶午後2

地域における関係機関の連携を促すために最も有効なアプローチはどれか。

 

  1. 患者会の設立支援
  2. 議会へのロビー活動
  3. 地域ケア会議の設定
  4. ボランティアの育成

 

 


 

▶午後3

地域住民のエンパワメントのために行う保健師の活動はどれか。

 

  1. 健康格差に関する調査の実施
  2. 地区踏査による地域情報の収集
  3. 重度の障害児を対象とした家庭訪問の実施
  4. 住民による子育てに関する社会資源マップ作成の支援

 

 


 

▶午後4

Aさん(42歳、初妊婦、会社員)。「最近、他市から引っ越してきた」と母子健康手帳を持って市保健センターに来所した。保健師が面接したところ、Aさんは妊娠8か月、夫と2人暮らし、出産する予定の病院の変更はなく、出産後は1年間児休業を取得し、復職を希望しているとわかった。
この時、保健師がAさんに確認する内容で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 両親学級の受講状況
  2. 希望する保育所の有無
  3. 出産後の支援者の有無
  4. 出産する予定の病院の情報

 

 


 

▶午後5

地域アセスメントを行う際、地域の健康に影響する背景や要因を把握するために、既存の統計資料よりも保健師の地域活動から得ることが適切な情報はどれか。

 

  1. 生活環境
  2. 主観的健康観
  3. 地域の主要疾病
  4. 年齢別人口構成

 

 


 

▶午後6

市の保健師は、10名参加の6か月コースの糖尿病予防事業を開始した。グループ面接で参加者から「みんなで参加したから継続できた。あと1か月で事業が終了するが、今後1人で生活改善が維持できるか不安だ」という声が聞かれた。
参加者が事業終了後も改善した生活習慣が維持できるようにするための保健師の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 参加者の家庭訪問
  2. 次年度の健康診査の受診勧奨
  3. 糖尿病予防食のレシピ集の配布
  4. 参加者同士のセルフヘルプグループの立ち上げへの支援

 

 


 

▶午後7

在胎35週、体重2,000gで出生した児。生後4か月1日で4か月児健康診査を受診した。
この時の状況で経過観察が必要なのはどれか。

 

  1. 指しゃぶりをする。
  2. あやしても笑わない。
  3. 体重が5,300gである。
  4. おもちゃに手を伸ばさない。

 

 


 

▶午後8

Aさん(17歳、女子)。保健センターにAさんの母親が来所し「Aが『学校でみんなが私の噂をしている』と言い、3か月前から不登校になっている。最近は自室から独り言が聞こえ、昼夜逆転の生活で部屋から出てこない。このままでは引きこもりになってしまう」と保健師に話した。
母親への保健師の支援で適切なのはどれか。

 

  1. 精神障害者の家族会の参加を勧める。
  2. 保健所の精神保健福祉相談を勧める。
  3. Aさんと日中に少しずつ外出することを勧める。
  4. 不登校になる前の学校での様子を確認するよう勧める。

 

 


 

▶午後9

Aさん(19歳、女性)。発達障害と軽度知的障害があり、精神障害者保健福祉手帳を取得している。特別支援学校を卒業後、Aさんは「行くところがない」と言い、終日自宅で過ごしている。母親が「このままで良いのだろうか」と市の保健師に相談した。
Aさんに社会参加を促すため、保健師が勧める障害福祉サービスで適切なのはどれか。

 

  1. 自立訓練
  2. 就労移行支援
  3. 地域移行支援
  4. 地域活動支援センター

 

 


 

▶午後10

難病の患者に対する医療等に関する法律〈難病法〉に定める難病対策地域協議会で正しいのはどれか。

 

  1. 構成員に患者の家族が含まれる。
  2. 医療費助成の支給認定を行っている。
  3. 患者や家族への医療情報の提供を目的とする。
  4. 都道府県、保健所を設置する市及び特別区に設置の義務がある。

 

 


 

▶午後11

歯科口腔保健の推進に関する法律に基づく基本的事項の目標とライフステージの組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 口腔状態の向上――乳幼児期
  2. 歯の喪失防止――学童期
  3. 健全な歯・口腔の育成――成人期
  4. 口腔機能の維持・向上――高齢期

 

 


 

▶午後12

大型の石材を建築材料に加工する工場で、設置されている石材加工用の機械に防振ゴムを取り付け、工場内の騒音の低減を図った。この対策に該当するのはどれか。

 

  1. 健康管理
  2. 作業環境管理
  3. 作業管理
  4. 総括管理

 

 


 

▶午後13改題

腸管出血性大腸菌による食中毒で正しいのはどれか。

 

  1. 潜伏期は6~24時間である。
  2. 加熱が不十分な牛肉が原因となることが多い。
  3. 合併症である溶血性尿毒症症候群〈HUS〉の発症は成人に多くみられる。
  4. 令和4年(2022年)の食中毒事件数はカンピロバクターが原因のものよりも多い。

 

 


 

▶午後14

レジオネラ症患者発生の届出を受けた保健所が感染の原因を調査する際に、最も重要な情報はどれか。

 

  1. 入浴施設の利用歴
  2. 発症前の食事内容
  3. 蚊による刺咬の有無
  4. レジオネラ症患者との接触歴の有無

 

 


 

▶午後15

厚生労働省が定める過重労働による健康障害防止のための総合対策はどれか。

 

  1. 毎月の健康診断
  2. 運動指導プログラムの作成
  3. 健康増進サービス機関の活用
  4. 時間外・休日労働時間の削減

 

 


 

▶午後16

陽性反応的中度が上昇する理由で適切なのはどれか。

 

  1. 疾患の治療法が進歩した。
  2. 疾患の有病率が上昇した。
  3. 検査を受けた人数が増加した。
  4. 検査の感度は変わらず特異度が低下した。

 

 


 

▶午後17改題

令和元年(2019年)の国民健康・栄養調査の糖尿病に関する統計で正しいのはどれか。

 

  1. 平成28年(2016年)の糖尿病が強く疑われる者は約1,000万人である。
  2. 40歳以上で糖尿病が強く疑われる者の割合は、男性よりも女性が高い。
  3. 糖尿病が強く疑われる者のうち、糖尿病治療を受けている者の割合は40%以下である。
  4. 30歳以上で糖尿病が強く疑われる者の割合は、女性では年齢に関係なく一定である。

 

 


 

▶午後18

結核の有病者数の年次推移を表す図表で適切なのはどれか。

 

  1. 散布図
  2. 円グラフ
  3. 帯グラフ
  4. 折れ線グラフ

 

 


 

▶午後19

学校保健行政に関する内容と法律の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 学校医の配置――労働安全衛生法
  2. 特別支援教育――障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律〈障害者総合支援法〉
  3. 教職員の健康診断――学校保健安全法
  4. 不登校児童生徒の支援――教育基本法

 

 


 

▶午後20

平成24年(2012年)に制定された子ども・子育て支援新制度に含まれるのはどれか。

 

  1. 子どもの事故予防強化
  2. 認定こども園制度の改善
  3. マタニティマークの配布
  4. 妊娠期からの児童虐待防止
  5. 医療的ケアを必要とする子どもへの支援の向上

 

 


 

▶午後21

1歳6か月児健康診査で確認するのはどれか。

 

  1. 丸を描ける。
  2. 自分の名前が言える。
  3. 一人でパンツが脱げる。
  4. 自分でコップを持って水が飲める。
  5. ままごとなどのごっこ遊びができる。

 

 


 

▶午後22

乳児期の育児支援について検討するために、4か月児の保護者を対象にグループインタビューを実施した。
その結果から得られた事項で、プリシード・プロシードモデルの準備要因はどれか。

 

  1. 育児は楽しいと思う。
  2. 家事は夫婦で分担する。
  3. 子育てサークルに参加する。
  4. かかりつけの小児科医がいる。
  5. 父親を対象とした育児教室に参加する。

 

 


 

▶午後23

高齢者の医療の確保に関する法律に基づいて市町村が行う事業はどれか。

 

  1. がん検診
  2. 歯周疾患検診
  3. 特定健康診査
  4. 就労者の定期健康診査
  5. 生活保護受給者の検診

 

 


 

▶午後24

市では、生活習慣病のハイリスク者である40歳から60歳でBMI25以上の者を対象に、行動変容を促し肥満を改善することを目的として、毎週1回、1クール6回の生活習慣病予防教室を開催した。
アウトカム評価のための指標はどれか。

 

  1. 各回の参加率
  2. 参加者の満足度
  3. 運営にかかった費用
  4. 教室を担当した職員数
  5. 参加者の6か月後のBMI

 

 


 

▶午後25

地域ケアシステムの発展過程で、第1段階に含まれる活動内容はどれか。

 

  1. ケアサービスの量的拡大
  2. 住民の健康課題とニーズの把握
  3. 地域課題に必要なケアシステムの予算確保
  4. ケアサービスの質向上のための定期的な会議の開催
  5. 地域ケアシステムの運営に必要なマンパワーの確保

 

 


 

▶午後26

症例対照研究で正しいのはどれか。

 

  1. 寄与危険の近似値を推定できる。
  2. 研究対象とする疾病が治癒した者を対照群とする。
  3. 症例群と対照群の過去の要因曝露状況を比較する。
  4. 症例群と対照群を追跡調査して死亡率を比較する。
  5. 症例群に試験薬、対照群に偽薬〈プラセボ〉を投与する。

 

 


 

▶午後27

割合の差の検定に用いるのはどれか。

 

  1. t検定
  2. 回帰分析
  3. 一元配置分散分析
  4. χ2〈カイ2乗〉検定
  5. Wilcoxon〈ウィルコクソン〉の順位和検定

 

 


 

▶午後28改題

標準化死亡比〈SMR〉で正しいのはどれか。

 

  1. 人口の大きな集団ほど高くなる。
  2. 高齢化率の高い集団ほど高くなる。
  3. 平成27年モデル人口を基準人口として用いる。
  4. 計算には観察集団の年齢階級別人口が必要である。
  5. 直接法による年齢調整死亡率の計算過程で得られる。

 

 


 

▶午後29改題

令和4年(2022年)の日本の人口動態統計における自殺死亡で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 男性の死亡率は女性よりも高い。
  2. 20~24歳の死因の第1位である。
  3. 死因順位別死亡数は第5位である。
  4. 自殺死亡率は10年前よりも増加している。
  5. 男性の死亡率が最も高い年齢階級は40~44歳である。

 

 


 

▶午後30

児童に感染症の疑いがある場合の養護教諭の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 学級閉鎖の期間を決定する。
  2. 全学級に保健だよりを配布する。
  3. 保健所に出席停止の措置を連絡する。
  4. 当該児童の保護者に出席停止を指示する。
  5. 当該児童の保護者に医療機関受診を勧奨する。

 

 


 

▶午後31

Aさん(43歳、女性、公務員)。乳癌で手術を受け、手術後1か月で職場復帰となった。復帰後も仕事を継続しながら化学療法、放射線療法、ホルモン療法を行う予定である。
Aさんが利用できるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 医療扶助
  2. 傷病手当金
  3. 介護保険制度
  4. 高額療養費制度
  5. 確定申告による医療費控除

 

 


 

▶午後32

介護老人福祉施設から保健所に、インフルエンザを発症する入所者が増加しており集団感染が懸念されるので、どのように対応したらよいかとの相談があった。
感染拡大防止のために保健所が施設に行う指導として適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 未発症の入所者にN95マスクを着用させる。
  2. 発症した職員の復帰は解熱の翌日からとする。
  3. インフルエンザワクチン未接種の職員は自宅待機させる。
  4. 多数の入所者が集まって実施しているレクリエーション活動を休止する。
  5. 職員および面会者が入所者の部屋へ入退室する時にアルコールで手指消毒を行う。

 

 


 

▶午後33

自治体の保健師が行う業務管理はどれか。2つ選べ。

 

  1. 地域活動計画と他部門の計画との整合性を判断する。
  2. 活動の評価結果を翌年度の計画に反映させる。
  3. 専門性を向上させるための研修を実施する。
  4. 地域のニーズを踏まえた地域診断を行う。
  5. 相談や訪問などの記録を管理する。

 

 


 

▶午後34改題

令和2年度(2020年度)の社会保障給付費で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 医療給付費が最も多くを占める。
  2. 雇用保険の失業給付が含まれる。
  3. 給付総額は年間300兆円を超える。
  4. 給付総額は前年度よりも減少している。
  5. 国民1人あたりの給付費は約100万円である。

 

 


 

▶午後35

医療法に基づき都道府県が定める医療計画における5疾病に含まれるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. がん
  2. 結核
  3. 脳卒中
  4. 慢性肝炎
  5. 気管支喘息

 

 


 

次の文を読み36〜38の問いに答えよ。

11月4日、特別養護老人ホームの看護師から「施設の入所者Aさん(87歳、女性、要介護4)に2日前から微熱があり、食欲がないため受診したところ、医師から結核の疑いがあると言われた」と保健所に相談があった。保健師が状況を確認したところ、現在はAさんを個室に移動し、介護にあたる職員はマスクを着用している。Aさんに呼吸器症状はない。特別養護老人ホームでは毎年1回健康診断を実施しており、半年前に実施した健康診断の結果では、Aさんに特に異常はなかったという。

 

▶午後36

この時の保健師の対応で適切なのはどれか。

 

  1. Aさんに結核専門病院の受診を促す。
  2. Aさんの居室を消毒するよう指導する。
  3. 特別養護老人ホームを11月4日に訪問する。
  4. 特別養護老人ホームの全入所者の面会を制限するよう伝える。

 

 


 

▶午後37

11月6日の夕方、Aさんを診察した結核専門病院の医師から保健所に、結核の発生届が提出された。診断名は肺結核で、喀痰塗抹検査陽性、喀痰培養検査中、核酸増幅法で結核菌が確認された。胸部エックス線撮影で空洞病変が認められた。感染症対策担当の保健師は主治医に連絡し、届出内容の確認を行った。Aさんには抗結核薬3剤による薬物治療が開始された。
この時の感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉に基づく保健所の対応で、優先度が高いのはどれか。

 

  1. Aさんとの面接
  2. 入院勧告の手続き
  3. 医療費公費負担の手続き
  4. 特別養護老人ホームへの積極的疫学調査

 

 


 

▶午後38

感染症対策担当の保健師はAさんの接触者健康診断の対象者を選定するため、特別養護老人ホームの職員および入所者の接触状況を確認することとした。Aさんは1年前の11月1日から入所している。
他者への感染の可能性がある期間の始期の設定で正しいのはどれか。

 

  1. Aさんの特別養護老人ホーム入所日
  2. 半年前の健康診断実施日
  3. 結核専門病院初診日の3か月前
  4. 微熱の出現日
  5. 結核の診断日

 

 


 

次の文を読み39〜41の問いに答えよ。

Aさん(35歳、男性)は、従業員約500人の企業に勤務している。先日、Aさんの上司から社内の健康管理課の保健師に電話があり「Aさんは4月に他部署から異動してきましたが、最近休みがちで、月曜日は遅刻が多く表情も硬い。仕事中ウトウトすることもあるため声をかけたら『医療機関に通院しているから大丈夫です』としか言わない。どう対応すればよいか」との相談があった。

 

▶午後39

Aさんの上司への保健師の助言で適切なのはどれか。

 

  1. 「医療機関を変えるように勧めてください」
  2. 「Aさんの仕事の量を減らすようにしてください」
  3. 「健康管理課に相談に来るように勧めてください」
  4. 「ご家族に電話をして、家庭での様子を確認してください」

 

 


 

▶午後40

Aさんはうつ病で、6か月の休職が必要と診断された。休職して4か月後、保健師が定期連絡をした際にAさんから「体調も良くなったので早く仕事に復帰したい。復職手続きとして何をしたらよいか教えてほしい」との発言があった。
Aさんへの保健師の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 「産業医に相談しましょう」
  2. 「上司に復職の意思を伝えてください」
  3. 「保健師が復職に向けた調整を行います」
  4. 「復職について主治医の診断書を提出してください」

 

 


 

▶午後41

この企業では、過去2年間で5名の職員がメンタルヘルスの不調で休職となっている。今回の経験を踏まえ、保健師は従業員のメンタルヘルスケアに取り組む必要があると考え、心の健康づくり計画を策定することとした。
計画の策定にあたり社内で話し合う場として適切なのはどれか。

 

  1. 安全衛生委員会
  2. 管理監督者会議
  3. 業務改善委員会
  4. 人事評価委員会

 

 


 

次の文を読み42〜44の問いに答えよ。

A市(人口5万人)では、大規模災害発生に備えた医療体制の確保等のため、地域の関係機関を集めた検討を行うことになった。A市内には地域医療の中核となるB病院を含め複数の病院があるが、大規模災害の発生を想定すると、軽症者から重症者までの傷病者全てをそれらの病院で受け入れることは困難と予想される。

 

▶午後42

この傷病者受け入れの課題への対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 発災前に応急手当用品を各家庭に配布する。
  2. 緊急度に応じた搬送ができる体制を整備する。
  3. 発災後にB病院の医師が市内全域を往診する。
  4. 傷病者が診察を待つ場所を病院の隣に設置する。

 

 


 

▶午後43

A市には、食品加工工場があり、従業員の多くがA市内に在住している。また、A市の上水道の普及率は約95%であり、未整備の家庭では、生活用水として井戸水を使用している。
大規模災害時の健康危機に備えA市の保健師が平常時に実施すべき事項として適切なのはどれか。

 

  1. 断水時に利用可能な井戸の水質検査をする。
  2. 食品関連事業者に衛生管理指導を実施する。
  3. 災害医療に必要な医薬品の供給体制を確保する。
  4. 定期的に医療福祉機関との連携会議を開催する。

 

 


 

▶午後44

A市では、大規模災害を想定した災害時保健活動のマニュアルを作成することになった。
発災から72時間経過した時期の保健師活動としてマニュアルに記載する内容で適切なのはどれか。

 

  1. 生活習慣病予防教室の開催
  2. 住民へのハザードマップの配布
  3. 災害対応にあたる職員の健康管理
  4. 災害時保健活動全体のまとめと評価

 

 


 

次の文を読み45〜47の問いに答えよ。

肥満者に対する新規の糖尿病発症予防プログラムを立案し、従来のプログラムと比較して新規のプログラムの効果を評価することとした。特定健康診査の受診者で糖尿病ではないことが確認できた肥満者200人を、従来のプログラム群と新規のプログラム群にそれぞれ100人ずつ登録してプログラムを実施し、その後3年間の新規の糖尿病発症の有無を確認することとした。

 

▶午後45

この研究デザインはどれか。

 

  1. 横断研究
  2. 介入研究
  3. コホート研究
  4. 症例対照研究
  5. 生態学的研究

 

 


 

▶午後46

従来のプログラム群と新規のプログラム群の2群間において、対象者の背景を均一にする必要があると考えられた。
背景を均一にするための最も適切な方法はどれか。

 

  1. 制限
  2. 層化
  3. マッチング
  4. 無作為抽出
  5. 無作為割付

 

 


 

▶午後47

それぞれのプログラムを実施し、その後3年間の新規の糖尿病発症の有無を確認した。結果を以下に示す。
106pm47h
新規のプログラム群の既存のプログラム群に対する新規の糖尿病発症の相対危険を求めよ。
ただし、小数点以下第2位を四捨五入すること。

 

解答:① . ②

 

 


 

次の文を読み48、49の問いに答えよ。

人口40万人のA市。3年前から出生数が増加傾向にある。最近、乳幼児相談時に、保健師に対しておやつの時間や指しゃぶりなど育児に関する細かな相談をする母親や育児不安を訴える母親が増えている。

 

▶午後48

A市の育児に関する健康課題を明確にするため保健師が優先して行うのはどれか。

 

  1. 新生児家庭訪問結果の分析
  2. 両親学級の参加者情報の確認
  3. 乳幼児相談の内容のカテゴリー化
  4. 母子健康手帳交付時の面接内容の分析
  5. 4か月児健康診査に対する母親へのアンケートの実施

 

 


 

▶午後49

A市では1年前に新しく建設された大規模マンションがあり、出産を控えた妊婦や乳幼児のいる家族が多く居住していた。地区担当保健師はこの地区で安心して子育てができるよう、新たな事業を計画することとした。
地区担当保健師が最初に計画する内容で最も適切なのはどれか。

 

  1. 市内の産婦人科医療機関との連携を強化する。
  2. 乳幼児を持つ親と妊婦との交流会を開催する。
  3. 要保護児童対策地域協議会で事例検討を行う。
  4. 転入してきた妊婦の家庭訪問を行う。

 

 


 

次の文を読み50、51の問いに答えよ。

Aさん(32歳、男性)。父親は死去し、母親は隣の市で生活している。Aさんは26歳の頃に会社で「自分は何でもできる」と言い、話がすぐに飛躍し強引な契約やミスが続き、27歳で退職となった。翌年、無理な自動車運転による交通事故を起こし、入院先の病院で双極性障害と診断された。1か月の入院ののち退院したが、その後はアルバイトを転々としながら1人で暮らしていた。

 

▶午後50

ある日、母親が来所し「Aの自宅に行ったら、ずっと布団に入ったまま、食事もちゃんと摂っていないようだ。Aは眠れない、死にたいと言っている。どうしたら良いか」と相談があった。保健センターの地区担当保健師が母親と一緒にAさん宅を訪問した。Aさんは、痩身で顔は青白く、表情は乏しい。
保健師が確認するAさんの情報で優先されるのはどれか。

 

  1. 自殺企図
  2. 睡眠の状況
  3. 食事の摂取量
  4. 布団から出ない理由

 

 


 

▶午後51

Aさんは3か月間、精神科に医療保護入院した。退院後は地区担当保健師が、月1回程度訪問をしている。退院3か月が経過したある日、Aさん宅を訪問するとAさんは笑顔で覇気があり「薬に頼らなくても、よく眠れるようになりました。体調も良いし、先生も次回受診のことは言ってなかったので通院はもう終わりです。これからアルバイトを探す予定です」と話した。
Aさんへの地区担当保健師の支援で最も優先度が高いのはどれか。

 

  1. 患者会への参加を勧める。
  2. 就労移行支援の利用を勧める。
  3. 保健師同伴での受診を勧める。
  4. 民生委員に見守りを依頼することの了解を得る。

 

 


 

次の文を読み52、53の問いに答えよ。

Aさん(19歳、男性)。大学生。1人暮らし。発熱および全身に発疹が出現したため、5月20日に大学の近くの診療所を受診した。麻疹の疑いがあるため血液検査を実施し、血清IgM抗体陽性のため、5月22日に診療所の医師から保健所に届出があった。Aさんは5月上旬に海外旅行に出かけ、不特定多数の人と接触があった。

 

▶午後52

保健所の保健師が発生届を受理した際に診療所の医師へ確認することで優先度が高いのはどれか。

 

  1. 海外旅行先
  2. 現在の療養場所
  3. 診断結果の本人への説明
  4. PCR法による病原体遺伝子の検出
  5. 海外旅行以外での感染の機会の有無

 

 


 

▶午後53

Aさんへの行動調査の結果を表に示す。帰国後、大学以外の場で接触した者は(a)〜(d)であった。
106pm53h
(a)〜(d)のうち、麻疹発症のリスクがある接触者はどれか。

 

  1. (a)(b)(c)(d)
  2. (a)(b)(c)
  3. (b)(c)(d)
  4. (c)(d)

 

 


 

次の文を読み54、55の問いに答えよ。

A君(8歳、男児)は、これまで学習面では支障をきたすことはなかったが、こだわりが強いところがあり、友達とのトラブルが起きることもあった。小学校3年生になってクラス替えがあり、図画工作の授業になると落ち着かない状態になり、教室を抜け出すことが多くなった。校舎内を歩き回ることも多く、養護教諭が落ち着くまで付き添い、どうしてもA君が教室に戻らないときには、母親に迎えに来てもらうようになった。A君は母親とともに医療機関を受診した結果、自閉症スペクトラム障害と診断された。

 

▶午後54

校内では学級担任と養護教諭、管理職で対応が話し合われた。その結果、学校と家庭が連携してA君に必要な支援を進めるために、母親が地域の関係機関にA君のことを相談するよう養護教諭から母親に話をすることになった。
A君の母親に提案する地域の関係機関で、最も適切なのはどれか。

 

  1. 子育て世代包括支援センター
  2. 発達障害者支援センター
  3. 社会福祉協議会
  4. 児童養護施設
  5. 児童館

 

 


 

▶午後55

A君と母親が地域の関係機関を訪れて相談し、A君の得意なことと苦手なことが明らかとなり、学校は必要な支援の方針を確認することができた。母親からも「Aの状況が分かって良かった。Aにあった支援をお願いしたい」という言葉が聞かれた。支援の結果、A君は、徐々に、授業を抜け出したくなると保健室に来るようになってきた。一方で、教室には落ち着いていられない状況は続いている。そこで特別支援コーディネーター、スクールカウンセラーも交えた校内委員会を開催して、A君への今後の対応について検討した。
A君への対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 保健室内での養護教諭による学習の支援
  2. スクールカウンセラーとの面談
  3. 特別支援学級への通級の検討
  4. 学校行事への参加の促進

 

 


 

資料 厚生労働省「第106回保健師国家試験、第103回助産師国家試験、第109回看護師国家試験の問題および正答について

 

 

▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 医師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 薬剤師国家試験に出る国民衛生の動向

 

平成31年2月15日実施の第105回保健師国家試験の全問題と正答を掲載します。

また、内容に応じて保健師国家試験受験者の必携テキスト「国民衛生の動向2024/2025」の参照章・ページを示します。問題を解きながら本誌を確認することで、より問題の理解を深めることできます。

 

分野別解説付き問題まとめ

を合わせて活用しながら、合格に近づく過去問対策を進めて頂ければ幸いです。

 

なお、最新の統計の記載、法律の改正、不適切問題などにより、一部問題を改変、削除しています。

 

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国民衛生の動向 2024/2025

 

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定価:2,970円(税込)

412頁・B5判

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▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

第105回保健師国家試験目次

 

 

第105回保健師国家試験・午前(55問)

 

 

▶午前1

市町村に勤務する保健師が、業務上知り得た人の秘密を、他に漏らしてはならないことを規定しているのはどれか。

 

  1. 医療法
  2. 地域保健法
  3. 地方公務員法
  4. 地域保健対策の推進に関する基本的な指針

 

 


 

▶午前2

日本で、いわゆる公害病が公衆衛生上の問題として認識され始めた時期はどれか。

 

  1. 1940年から1950年代
  2. 1960年から1970年代
  3. 1980年から1990年代
  4. 2000年以降

 

 


 

▶午前3

保健師が生後14日の乳児のいる家庭に家庭訪問した。児の体重増加量は1日当たり30gであった。母親は母乳を1日平均10回、2〜3時間間隔で授乳しており、母乳育児を続けたいと希望していた。
児が1か月児健康診査を受診するまでの母親への指導で適切なのはどれか。

 

  1. 「赤ちゃんが泣いた時に授乳しましょう」
  2. 「食事以外にも水分を十分に摂りましょう」
  3. 「1回の授乳時間は30分以上にしましょう」
  4. 「乳房が張るまで待ってから飲ませましょう」

 

 


 

▶午前4

Aちゃん(生後5か月、男児)。定期予防接種であるBCG接種を受けた。接種7日後に、母親が保健センターに来所し、地区担当保健師に「接種したところが腫れているが大丈夫か」と相談があった。接種部位の写真を別に示す。
105am4h
母親に対する地区担当保健師の対応で正しいのはどれか。

 

  1. 「入浴は控えましょう」
  2. 「免疫がついた証拠です」
  3. 「すぐに小児科を受診してください」
  4. 「接種後3か月程度で自然に治ります」

 

 


 

▶午前5

双子の育児をしている母親が、1歳6か月児健康診査の受診時に「双子の子育ては大変です。子どもたちが言うことを聞かないと、つい叩いてしまいそうになります。私は、幼少のころ母親から殴られて育ちました。このままでは虐待をしてしまうのではないかと不安です」と保健師に訴えた。
母親に対する保健師の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 双子の親の会を紹介する。
  2. 保育所の利用を提案する。
  3. 家庭訪問をして話を聞くことを約束する。
  4. よくあることだから気にすることはないと言う。

 

 


 

▶午前6

市の保健センターの保健師が受け持ち地区の家庭訪問計画を立てる際に最も優先すべきケースはどれか。

 

  1. 出産病院が未定の妊娠36週の妊婦
  2. 経過の良好な出生時体重2,100gの生後3か月児
  3. 児の体重増加を心配している生後2か月児の母親
  4. 忙しいからと新生児訪問を断っている生後1か月児の母親

 

 


 

▶午前7

地域組織への保健師の支援で適切なのはどれか。

 

  1. 委員型の住民組織では仲間づくりを行う。
  2. 健康問題型の当事者組織では仲間づくりを行う。
  3. ライフステージ型の当事者組織では研修計画を立てる。
  4. 地縁型の住民組織では活動があるときにメンバー募集をする。

 

 


 

▶午前8

A市は、10年前より各行政区で健康講座を開催し、受講者を健康推進員に任命して市の保健事業の支援を依頼している。
健康推進員の主体性を高めるための保健師の支援で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 健康推進員による活動実践の報告会の実施
  2. 保健事業以外の市の事業での役割づくり
  3. 健康推進員の活動手引きの作成
  4. 新たな健康推進員の養成

 

 


 

▶午前9

A市では高血圧予防を重点課題として取り組みを進めている。今回、食生活改善を希望している人に対して、減塩料理教室を開催することにした。
この教室のプロセス評価で適切なのはどれか。

 

  1. 減塩達成者の割合
  2. 参加者の募集方法
  3. 参加者の血圧の低下
  4. 参加者の食生活の変化

 

 


 

▶午前10

年代と母子保健施策の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 昭和17年(1942年)――母子健康手帳の制度化
  2. 昭和36年(1961年)――1歳6か月児健康診査開始
  3. 昭和52年(1977年)――3歳児健康診査開始
  4. 平成9年(1997年)――新生児訪問が市町村へ移管

 

 


 

▶午前11改題

令和4年(2022年)の女性の労働に関する説明で正しいのはどれか。

 

  1. 育児休業取得率は90%を超えている。
  2. 労働力人口比率は60%を超えている。
  3. 30歳代の就業率は40歳代よりも低い。
  4. 平均勤続年数は20年前よりも短くなっている。

 

 


 

▶午前12

Aさん(25歳、男性)。1人暮らし。1か月前から、自宅で大声を出したり、独り言を言っている。近隣住民3名が保健所に来所し「Aさんの状況が悪化し住民に危害があったら大変だ。精神科に入院させてほしい」と訴えた。保健師は、Aさんの家族からも相談を受けていた。
近隣住民3名に保健師が伝えることで適切なのはどれか。

 

  1. 保健師がAさん宅を訪問する予定であること
  2. Aさんの家族からも相談を受けていること
  3. 保健所では入院の相談に応じられないこと
  4. 保健師が把握しているAさんのこれまでの経緯

 

 


 

▶午前13改題

令和3年(2021年)1月から12月の感染症発生動向調査報告において、国内で発生が報告されているのはどれか。

 

  1. エボラ出血熱
  2. 腸管出血性大腸菌感染症
  3. 中東呼吸器症候群(MERS)
  4. 重症急性呼吸器症候群(SARS)

 

 


 

▶午前14

産業保健における作業管理に該当するのはどれか。

 

  1. 定期的に健康診断を行う。
  2. 工場内の騒音を測定する。
  3. 労働時間内に休憩時間をとる。
  4. 作業場に排気装置を設置する。

 

 


 

▶午前15改題

法令に定められた有害業務従事者に対する特殊健康診断の令和2年(2020年)と令和3年(2021年)の有所見率を表に示す。
105am15h
【 A 】の種別はどれか。

 

  1. 除染等電離放射線
  2. 高気圧
  3. じん肺

 

 


 

▶午前16

災害派遣医療チーム〈DMAT〉で正しいのはどれか。

 

  1. 活動の開始は発災時からおおむね48時間以後である。
  2. 市町村からの要請に応じて活動する。
  3. 活動先の調整は総務省消防庁が行う。
  4. 広域医療搬送活動に従事する。

 

 


 

▶午前17

都道府県や市区町村において統括的な役割を担う保健師の活動で最も適切なのはどれか。

 

  1. 住民への総合相談を実施する。
  2. 組織横断的な総合調整及び推進を行う。
  3. 地区担当制による地区活動を実施する。
  4. 広域的かつ専門的な保健サービスを行う。

 

 


 

▶午前18

現行の後期高齢者医療制度の運営における医療給付の財源負担で正しいのはどれか。

 

  1. 後期高齢者支援金は45歳以上75歳未満の者の医療保険料から拠出される。
  2. 国、都道府県および市町村による公費が全体の約5割を占めている。
  3. 高齢者が医療機関を受診した時の自己負担額は無料である。
  4. 後期高齢者による保険料は全体の約2割を占めている。

 

 


 

▶午前19

公衆衛生行政の制度・対策と法律の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 大気汚染の監視――大気汚染防止法
  2. 労働者の健康診断――労働基準法
  3. 食品等の収去検査――食品安全基本法
  4. 小学校における保健学習――学校保健安全法

 

 


 

▶午前20

医療安全対策で正しいのはどれか。

 

  1. 産科医療補償制度は医療法に基づき実施されている。
  2. 医療事故調査は病院の管理者に義務付けられている。
  3. 都道府県に医療安全支援センターの設置が義務付けられている。
  4. 都道府県知事は医療事故調査・支援センターを指定することができる。

 

 


 

▶午前21

現行の自殺対策基本法で正しいのはどれか。

 

  1. 自殺者の親族等に対する支援が目的に含まれる。
  2. 事業主の責務に長時間労働の禁止を規定している。
  3. 保健所に自殺総合対策会議の実施を義務付けている。
  4. 市町村に自殺予防総合相談窓口の設置を義務付けている。

 

 


 

▶午前22改題

令和2年(2020年)に実施された患者調査のうち高齢者の調査結果で正しいのはどれか。

 

  1. 入院患者では65歳以上が約7割を占めている。
  2. 外来患者では65歳以上が約8割を占めている。
  3. 年齢階級別外来受療率(人口10万対)では90歳以上が最も高い。
  4. 年齢階級別入院受療率(人口10万対)では75〜79歳が最も高い。

 

 


 

▶午前23

公衆衛生看護活動で用いるハイリスクアプローチはどれか。

 

  1. 母子健康手帳交付時に喫煙防止のリーフレットを渡す。
  2. 肥満予防のリーフレットを健診結果通知に同封する。
  3. 小学校と連携して赤ちゃん抱っこ体験学習を行う。
  4. 自治会と連携して健康セミナーを開催する。
  5. 血圧が高めの人に減塩方法を指導する。

 

 


 

▶午前24

いわゆる成人病の対策に生活習慣の改善による発症予防の考えを導入した国の施策で、生活習慣病の呼称を最初に用いたのはどれか。

 

  1. 第1次国民健康づくり対策
  2. 第2次国民健康づくり対策
  3. 健康づくりのための運動指針
  4. 健康日本21
  5. 健康づくりのための睡眠指針

 

 


 

▶午前25

市の乳児健康診査において股関節開排制限の有無について確認を行い、片側に異常を認めた児の状況を図に示す。
105am25h
この時に確認できた児の状況で正しいのはどれか。

 

  1. 左側の足の長さが右側より長い。
  2. 右側の鼠径部の皮膚溝が左側より深い。
  3. 右側の大腿部のしわの数が左側より多い。
  4. 左側の股関節の開排が正中より70度以下である。
  5. 右側の股関節の開排が正中より120度以上である。

 

 


 

▶午前26

健康日本21(第二次)の目標で正しいのはどれか。

 

  1. 喫煙が及ぼす健康影響についての十分な知識の普及
  2. 週労働時間60時間以上の雇用者の割合の減少
  3. メタボリックシンドロームの認知度の向上
  4. アルコール依存症の患者数の減少
  5. 糖尿病治療者数の減少

 

 


 

▶午前27

危険因子に曝露した群の罹患リスクの、曝露していない群の罹患リスクに対する比はどれか。

 

  1. 罹患率
  2. 有病率
  3. 致命率
  4. 寄与危険
  5. 相対危険

 

 


 

▶午前28

コホート研究と比較した症例対照研究の特徴で正しいのはどれか。

 

  1. 研究期間が長い。
  2. 相対危険が直接計算できる。
  3. まれな疾病の研究に適している。
  4. 事象の発生順序が明らかである。
  5. 情報の偏り〈バイアス〉が少ない。

 

 


 

▶午前29

症例対照研究における交絡因子の制御方法はどれか。

 

  1. 無作為化
  2. マッチング
  3. 単変量解析
  4. ブラインド法
  5. 対象者数の増加

 

 


 

▶午前30

散布度に含まれるのはどれか。

 

  1. 中央値
  2. 最頻値
  3. 相関係数
  4. 標準偏差
  5. 平均(算術平均)

 

 


 

▶午前31

地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律〈医療介護総合確保推進法〉において、地域包括ケアシステムとして包括的に確保されるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 介護予防
  2. 年金保険
  3. 雇用の促進
  4. 自然とのふれあいの推進
  5. 自立した日常生活の支援

 

 


 

▶午前32

学校保健の歴史的変遷で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 学制発布によって学校衛生の施策が始まった。
  2. 痘そうの蔓延によって学校看護婦が置かれた。
  3. 昭和16年(1941年)に学校看護婦は養護教諭に名称変更された。
  4. 学校教育法の改正によって養護教諭の保健授業担当が可能になった。
  5. 学校保健法の改正によって学校保健安全法が制定された。

 

 


 

▶午前33

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉の五類感染症のうち、直ちに届け出る必要があるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 麻しん
  2. 百日咳
  3. 破傷風
  4. 侵襲性髄膜炎菌感染症
  5. Creutzfeldt-Jakob〈クロイツフェルト・ヤコブ〉病

 

 


 

▶午前34

学校保健における組織活動で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 校長は学校保健活動を管理する。
  2. 学校保健計画は副校長が策定する。
  3. 保健主事は学校保健活動を総括する。
  4. 養護教諭は保健室経営計画を立案する。
  5. 学校保健委員会は地域との連携を推進する。

 

 


 

▶午前35

市では乳幼児健康診査の集団指導において、防災および災害対策についての普及啓発を図ることとした。
集団指導の内容で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 風呂の水をためておく。
  2. 母子健康手帳を常時携帯する。
  3. 最低1日分の食料品を備えておく。
  4. 停電時にはブレーカーを入れておく。
  5. 非常用の持ち出し品はバッグに入れておく。

 

 


 

▶午前36

予防接種法で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 予防接種を受けることは国民の義務である。
  2. 定期予防接種の実施責任者は都道府県知事である。
  3. 定期予防接種は一類疾病と二類疾病に類型化されている。
  4. 定期予防接種の副反応による健康被害の救済が規定されている。
  5. 予防接種の総合的な推進を図るための予防接種基本計画が定められている。

 

 


 

▶午前37

市町村保健師における業務管理に該当するのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 保健事業の質的評価
  2. 担当する支援対象者の評価
  3. 計画的人員配置の成果評価
  4. 地方公務員としての能力評価
  5. 協働して事業実施をした関係者に及ぼした影響評価

 

 


 

▶午前38

日本の人口に関する指標のうち、平成23年(2011年)以降、増加傾向にあるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 総人口
  2. 老年化指数
  3. 従属人口指数
  4. 年少人口割合
  5. 生産年齢人口割合

 

 


 

▶午前39

地域保健・健康増進事業報告で把握されるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 糖尿病の総患者数
  2. エイズに関する相談件数
  3. 退院患者の平均在院日数
  4. 乳児の健康診査の受診率
  5. 脳血管疾患の年齢調整死亡率

 

 


 

▶午前40

健康増進法に基づき市町村が実施するのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 栄養指導員の任命
  2. 健康手帳の交付
  3. 骨粗鬆症検診
  4. 特定健康診査
  5. 妊婦健康診査

 

 


 

次の文を読み41〜43の問いに答えよ。

A市内にある入所定員100人の介護老人保健施設。ショートステイも実施している。2月3日(月)に入所者と職員の13人が嘔吐と下痢などの症状を発症した。発症した入所者は全員、施設内の厨房で調理された給食を各階の食堂で食べており、食中毒の発生を疑った施設長から、保健所に電話で相談があった。相談を受けた保健所は、医師を含む調査チームを組んで施設に現地調査に向かうことにした。

 

▶午前41

調査チームのメンバーで適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 薬剤師
  2. 保健師
  3. 管理栄養士
  4. 環境衛生監視員
  5. 食品衛生監視員

 

 


 

▶午前42

施設への現地調査の結果、調理従事者の直近の検便結果に異常はなく、冬期のため乳幼児の面会は制限していたことがわかった。また、通常、職員は1階と2階とで担当が分かれているが、2月1日(土)に1階のショートステイで嘔吐・下痢の発症者が増えたため、2階の職員が1階のショートステイ利用者の吐物の処理や介護を行っていた。ショートステイ利用者と入所者、職員等について、発症日と発症者数等を表に示す。
105am42h
今回の感染経路で「ショートステイ利用者からの感染」のほかに可能性が高いのはどれか。

 

  1. 面会者からの感染
  2. 給食食材からの感染
  3. 介護職員からの感染
  4. 調理従事者からの感染

 

 


 

▶午前43

今回の感染症は、ノロウイルスによる感染と判明した。2月10日(月)に、施設から保健所に「8日(土)以降は新たな発症者もなく、患者も快方に向かっている」と報告があり、集団発生の終息の時期について相談があった。
終息時期で適切なのはどれか。

 

  1. 初発患者の発生から1年後
  2. 最後に症状のあった患者の発生から1か月後
  3. 施設から提出された報告書によって保健所が判断
  4. 一定期間、新たな患者が発生しないことを確認して保健所が判断

 

 


 

次の文を読み44〜46の問いに答えよ。

人口10万人のA市では、脳血管疾患の死亡割合が全国と比較して大きいことが明らかになった。そこで、脳血管疾患の予防対策の一環として血圧に注目し、一部の市民を対象とした塩分摂取量の把握のための聞き取りによる食事調査を行うこととした。

 

▶午前44

調査者の主観が影響しにくい標本を選ぶ方法はどれか。

 

  1. 制限
  2. 応募法
  3. 無作為抽出
  4. マッチング
  5. 無作為化(割付)

 

 


 

▶午前45改題

調査の対象者の塩分摂取量を評価するため、令和元年(2019年)の全国の結果と比較することにした。
比較するのに有用な統計資料はどれか。

 

  1. 国勢調査
  2. 医療施設調査
  3. 国民生活基礎調査
  4. 国民健康・栄養調査

 

 


 

▶午前46

調査の結果、全国と比較して塩分摂取量が多く、さらに塩分摂取量が多い対象者の血圧は、塩分摂取量が少ない対象者と比較して高いことが分かった。調査結果を表に示す。
105am46h
高血圧に関して「塩分摂取量が多い」の「塩分摂取量が少ない」に対するオッズ比を求めよ。
ただし、小数点以下第2位を四捨五入すること。

 

解答:① . ②

 

 


 

次の文を読み47〜49の問いに答えよ。

平成26年(2014年)の医療法改正に伴い、A県は平成28年度(2016年度)の第6次医療計画に地域医療構想を追記した。A県および構想区域B、Cについて、厚生労働省の示す地域医療構想策定ガイドラインにより推計された2025年の必要病床数推計値を表に示す。
105am47h

 

▶午前47

A県および構想区域B、Cの2025年の必要病床数推計値の説明で正しいのはどれか。

 

  1. A県全体での急性期の必要病床数推計値の割合は全国の値より低い。
  2. 構想区域Cの回復期の必要病床数推計値の割合はA県全体より低い。
  3. 構想区域B及びCの慢性期の必要病床数推計値の割合は同じである。
  4. 構想区域Bの高度急性期の必要病床数推計値はA県の5割を占めている。

 

 


 

▶午前48

構想区域Cを所管する保健所では、必要病床数推計値に地域の実情を反映するために、管内の市町村と協働して18歳から64歳までの住民を無作為抽出し、独自に調査票送付によるアンケートを行うことにした。
アンケートの質問項目で優先度が高いのはどれか。

 

  1. よく利用する医療機関の所在地
  2. 利用したい介護保険事業所のサービス
  3. 地域に不足していると感じる医療機能
  4. 緊急時に受診したい医療機関の所在地

 

 


 

▶午前49

構想区域Cを所管する保健所の保健師は、地域医療構想に基づく切れ目のない在宅医療と介護の提供体制の構築を、実際にどのように行っていくかについて、市町村の保健師と話し合いを行うことにした。
初回に検討する内容で優先度が高いのはどれか。

 

  1. A県の第6次医療計画
  2. 市町村ごとの入院患者の状況
  3. 2025年の医療機能別の必要病床数推計値(全国ベース)
  4. 市町村ごとの介護給付における居宅サービスの利用状況

 

 


 

次の文を読み50、51の問いに答えよ。

Aちゃん(3歳1か月、男児)。身長49cm、体重3,100gで出生した。市の3歳児健康診査に母親と来所した。自記式の問診票では、目・耳に関する特記事項はなく、相談したいことの欄には「昼間のおむつは取れたが、時々おしっこは失敗することがある」と記入されていた。生後11か月時に、鼠径ヘルニアによる手術の既往がある。今回の計測の結果は、身長90cm、体重11kgであった。過去の健康診査結果では、4か月児健康診査、1歳6か月児健康診査とも特記すべき事項はなかった。

 

▶午前50

問診時、Aちゃんに対するアセスメント項目で最も優先度が高いのはどれか。

 

  1. 体重
  2. 排泄
  3. 聴力
  4. 外科的疾患の既往

 

 


 

▶午前51

問診の場面で、母親は「Aは友達と活発に遊び、食欲も旺盛でとても元気です」と話した。Aちゃんは机の上に置いてある紙や鉛筆に興味を示し、保健師と母親を交互に見ていた。
Aちゃんの発達を評価するために、保健師がAちゃんに直接行う質問として適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 「お口はどこですか」
  2. 「お名前はなんですか」
  3. 「この絵の中で犬はどれですか」
  4. 「昨日は何をして遊びましたか」
  5. 「2つの丸のうち大きいのはどちらですか」

 

 


 

次の文を読み52、53の問いに答えよ。

人口8万人のA市。定年が近い世代が多く居住しており、高齢化率は25%、要介護認定率17%、夜間人口が昼間人口に比べて高い。平成28年(2016年)の特定健康診査の実施率は45%、特定保健指導の対象者割合は20%であり、対象者には中性脂肪高値、次いで空腹時血糖高値を示す人が多い。特定保健指導対象者は増加傾向であるが、終了者はむしろ減少している。そこで、次年度から生活習慣病の重症化予防を目標に掲げ、重点的に取り組む計画である。

 

▶午前52

A市の状況から、生活習慣病の重症化予防対策を行う集団で最も優先度が高いのはどれか。

 

  1. 特定健康診査の受診者
  2. 特定健康診査の未受診者
  3. 特定健康診査の有所見者
  4. 特定保健指導の対象者
  5. 特定保健指導の未終了者

 

 


 

▶午前53

A市では年々医療費が増大傾向にある。そのことを踏まえて、次年度から5か年の目標を設定し、生活習慣病の重症化予防のための事業計画を立案することになった。
目標として設定する指標で最も優先されるのはどれか。

 

  1. 人工透析の新規導入者数
  2. 定期的に運動する人の数
  3. 特定健康診査受診者数
  4. がんによる死亡者数
  5. 要介護認定者数

 

 


 

次の文を読み54、55の問いに答えよ。

Aさん(62歳、女性)。夫(67歳)と次男夫婦(ともに30代、会社員)の4人暮らしである。起立時にふらつきが見られたため、専門病院を受診したところ、脊髄小脳変性症と診断された。難病の医療費助成の申請書が保健所に届き、保健師は家庭訪問を実施した。Aさんは起立時にふらつくことはあるが、日常生活動作〈ADL〉は自立、専門病院に月1回、一人で受診している。既往歴に特記すべきことはない。脊髄小脳変性症については医師より病名の告知、説明は受けている。Aさんは料理が好きで、食事の準備はAさんが行っている。

 

▶午前54

現時点で、保健師が行うAさんの支援で適切なのはどれか。

 

  1. 嚥下訓練の導入を計画する。
  2. コミュニケーション手段を確立する。
  3. 料理が継続できるよう環境を整える。
  4. 訪問看護を導入し、ケア体制を整える。

 

 


 

▶午前55

保健師が描いたAさん宅1階の見取り図を示す。Aさんと夫は1階で生活をし、日中はリビングで過ごし、夜は和室で布団に寝ている。2階は次男家族が使用している。台所とリビング、浴室は1階のみにあり、大きな段差は廊下から玄関に降りるところのみである。
105am55h
Aさんの生活環境を改善するために現時点で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 夜間のポータブルトイレの使用
  2. 夫婦の寝室を2階に移動
  3. 玄関にスロープを設置
  4. ベッドの使用

 

 

 

第105回保健師国家試験・午後(55問)

 

 

▶午後1

家族の発達段階と発達課題の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 新婚期――生きがいや心身の自立
  2. 教育期――保育としつけ
  3. 排出期――夫婦関係・生活の調整
  4. 向老期――夫婦関係の形成

 

 


 

▶午後2

世界保健機関〈WHO〉の行う活動で正しいのはどれか。

 

  1. 開発途上国の保健医療従事者の研修員の受け入れ
  2. 戦争や内戦で被害を受けている子どもの支援
  3. 難民に関する国際的な諸規定の監督
  4. 予防接種拡大計画の推進

 

 


 

▶午後3

A市の保健師活動において、地域住民が支え助け合える関係づくりを最も促進する活動はどれか。

 

  1. A市の健康増進計画を策定する。
  2. 地域の自治会長の意見を聞く場を設ける。
  3. 住民組織のネットワーク会議を開催する。
  4. 高齢者虐待防止のキャンペーンを実施する。

 

 


 

▶午後4

平成12年(2000年)の地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律の改正内容や施行後の行政の変化で正しいのはどれか。

 

  1. 地域の特性に合わせた施策の展開を行いやすくなった。
  2. 生活保護は機関委任事務制度によって行われるようになった。
  3. 国民健康保険の給付は法定受託事務によって行われるようになった。
  4. 平成の市町村合併後の平成22年(2010年)には市町村数が2/3になった。

 

 


 

▶午後5

Aさん(80歳、女性)。認知症。1人暮らしで身寄りはない。認知症高齢者の日常生活自立度判定基準Ⅱa、要介護1。最近、銀行の現金自動預け払い機〈ATM〉で頻回にお金を引き出すAさんを見かけて心配した銀行員から、地域包括支援センターに連絡があった。保健師が家庭訪問すると、家の中に最近購入したと思われる高価な商品が複数置かれていた。
保健師の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 特別養護老人ホームへの入所を勧める。
  2. 成年後見制度利用支援事業を紹介する。
  3. 民生委員に訪問してもらう。
  4. 訪問看護の利用を勧める。

 

 


 

▶午後6

Aさん(54歳、女性)。会社で実施した特定健康診査の結果、特定保健指導の積極的支援の対象者として、保健指導の予約を入れるように会社の健康管理の担当者から連絡を受けた。Aさんは「保健指導を受けると、今までの食事の見直しを指導されるかもしれないが、病気を防いで健康に暮らすことができる」と考えた。
Aさんの考えはヘルス・ビリーフ・モデルにおける構成要素のどれか。

 

  1. 疾病の重大さの自覚
  2. 予防行動の利益の自覚
  3. 疾病にかかる可能性の自覚
  4. 必要な行動をうまく実行できる確信の自覚

 

 


 

▶午後7

VDT作業における労働衛生管理のためのガイドラインに基づき、1日4時間以上のデータ入力を行う社員に対する産業保健師の指導で適切なのはどれか。

 

  1. 椅子には浅く腰かける。
  2. ディスプレイからは30cm以内の視距離にする。
  3. 一連続作業時間が1時間を超えないようにする。
  4. キーボードの周辺と部屋の明るさの差を大きくする。

 

 


 

▶午後8

労働安全衛生法に基づき、労働者50人未満の事業者に義務付けられているのはどれか。

 

  1. 産業医の選任
  2. 衛生委員会の設置
  3. ストレスチェックの実施
  4. 長時間労働者への医師の面接指導

 

 


 

▶午後9

避難行動要支援者で、発災直後に最も優先して安否確認するのはどれか。

 

  1. 在宅人工呼吸療法をしている筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉患者
  2. デイケアに通所している統合失調症患者
  3. 介護認定で要支援2の認知症高齢者
  4. 出産予定月の妊婦

 

 


 

▶午後10

A市では、自然災害によって一部の家屋に床上浸水の被害があった。
住民やボランティアが泥のかき出しや片付けを行うにあたり、保健所の感染症担当の保健師が行う保健指導の内容で適切なのはどれか。

 

  1. 窓は閉めて行う。
  2. 次亜塩素酸ナトリウムの消毒液を噴霧する。
  3. 消毒液は使用する濃度に前日に作り置きしておく。
  4. 衣類は洗濯する前に80℃のお湯に10分以上つける。

 

 


 

▶午後11

県の保健所に住民から「うつ病で通院中なので、医療費を公費で負担してくれる制度の内容や手続きについて知りたい」という電話相談があった。
保健所保健師の説明で適切なのはどれか。

 

  1. 「県の保健所が申請窓口です」
  2. 「精神保健福祉法に基づく制度です」
  3. 「世帯の所得に応じて負担上限額があります」
  4. 「お住まいの市が医療費受給の判定を行います」

 

 


 

▶午後12

公衆衛生看護管理の機能と内容の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 人事管理――計画的人員配置
  2. 事業管理――指示命令系統の形成
  3. 予算管理――人材育成方針の作成
  4. 情報管理――地区活動計画の進捗状況の把握

 

 


 

▶午後13

人口〈集団〉寄与危険割合を直接計算するのに必要な情報はどれか。

 

  1. 全死亡数
  2. 累積罹患数
  3. 平均有病期間
  4. 対象集団の疾病頻度

 

 


 

▶午後14

大腸がんの危険因子はどれか。

 

  1. 肥満
  2. 熱い飲食物
  3. アフラトキシン
  4. ヘリコバクター・ピロリ

 

 


 

▶午後15

2群間の平均の差の検定に用いるのはどれか。

 

  1. t検定
  2. 回帰分析
  3. χ2〈カイ2乗〉検定
  4. Fisher〈フィッシャー〉の直接確率法

 

 


 

▶午後16

社会福祉制度において権利擁護を目的として行われているのはどれか。

 

  1. 障害者に対する公費負担医療制度
  2. ニーズに応じた就労支援
  3. 福祉サービスの利用援助
  4. 生活資金の貸し付け

 

 


 

▶午後17改題

令和4年(2022年)の歯科疾患実態調査において80歳で20本以上の自分の歯を有する者の割合に最も近いのはどれか。

 

  1. 20%
  2. 30%
  3. 40%
  4. 50%

 

 


 

▶午後18

A事業所の保健師は禁煙を希望する職員に対し、グループ活動を通して支援を行うことにした。
初回のグループワークにおける保健師の支援で最も適切なのはどれか。

 

  1. グループの支援計画を作成する。
  2. グループメンバー同士の助け合いを推奨していく。
  3. グループ支援において生じる問題や障害を予測する。
  4. グループ活動に関連する関係者とネットワークをつくる。
  5. グループワークの目標についてグループメンバー間で合意を得る。

 

 


 

▶午後19

市では、希望者による生活習慣病予防の運動教室を実施している。事業担当の保健師は、運動教室の終了後に自主的に活動するグループづくりを目指している。
グループづくりのため、運動教室開催中に保健師が取り組む内容で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 問題意識の共有
  2. メンバーの社会化
  3. ロールモデルの設定
  4. 情緒的サポートを受ける機会
  5. 権利擁護〈アドボカシー〉の自覚

 

 


 

▶午後20

系統誤差の原因はどれか。

 

  1. マッチング
  2. 高い追跡率
  3. 低い抽出率
  4. 無作為化(割付)
  5. 検者間の測定差

 

 


 

▶午後21

国際疾病分類〈ICD〉に基づいた統計が含まれるのはどれか。

 

  1. 国勢調査
  2. 人口動態調査
  3. 医療施設動態調査
  4. 国民生活基礎調査
  5. 国民健康・栄養調査

 

 


 

▶午後22

職場の健康診断で肥満傾向であった者から、体重を減らしたいと産業保健師に相談があった。
保健師がコーチングの手法を用いて支援しているのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 必要な1日の食事量を伝える。
  2. 運動のプログラムを作成し提示する。
  3. 本人が実施すると決めたことを認める。
  4. ウォーキング教室へ参加するよう勧める。
  5. 体重を減少させるために本人に何ができるか聞く。

 

 


 

▶午後23

市町村保健師が行う地区活動の展開で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 実践とモニタリングは別に行う。
  2. 住民との契約に基づいて実施する。
  3. 日頃の活動の中で実態把握をする。
  4. 関係機関との連携は実践の1つである。
  5. 地区活動の対象に産業保健は含まれない。

 

 


 

▶午後24

「公助」に該当するのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 地域包括支援センターにおける高齢者虐待対策
  2. 婦人会による高齢者を対象とした食事会
  3. 生活保護制度における医療扶助
  4. 自治会が主催する育児サークル
  5. 雇用保険による失業等給付

 

 


 

▶午後25

母子健康手帳に記載されている「保護者の記録【1歳6か月の頃】」で、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. おしっこをひとりでしますか。
  2. 友だちと、ごっこ遊びをしますか。
  3. 自分でコップを持って水を飲めますか。
  4. 手を使わずにひとりで階段をのぼれますか。
  5. うしろから名前を呼んだとき、振り向きますか。

 

 


 

▶午後26

要保護児童対策地域協議会の機能で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 被虐待児の里親委託の決定
  2. 養育支援訪問事業の対象者の選定
  3. 子育て世代包括支援センターの運営
  4. 虐待通告を受けた児の支援内容の検討
  5. 居住実態を把握できない児の情報共有

 

 


 

▶午後27

レセプト情報・特定健診等情報データベース〈NDB〉によって集計できる情報はどれか。2つ選べ。

 

  1. がん検診受診率
  2. 主要死因別死亡数
  3. 入院外来別医療費
  4. 年齢階級別出生率
  5. 都道府県別BMI分布

 

 


 

▶午後28

難病対策で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 医療費助成の患者負担割合は1割である。
  2. 都道府県は療養生活環境整備事業を実施できる。
  3. 居住地の都道府県内の医療機関は全て医療費助成の対象である。
  4. 軽症者でも高額な医療を継続する者は医療費助成の対象となる。
  5. 都道府県は難病相談支援センターの設置が義務付けられている。

 

 


 

▶午後29

保健所管内の特別養護老人ホームの職員を対象に、結核に関する説明を行うことになった。
説明で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 「高齢の結核患者は定型的な呼吸器症状がでます」
  2. 「患者が発生した際は施設長が保健所に発生届を提出します」
  3. 「新登録結核患者のうち70歳以上が占める割合は50%未満です」
  4. 「排菌していない入所者は特別養護老人ホームへの入所を継続できます」
  5. 「65歳以上の入所者に対しては、定期健康診断を実施する義務があります」

 

 


 

▶午後30

災害対策基本法に示されている住民の責務はどれか。2つ選べ。

 

  1. 過去の災害から得られた教訓の伝承
  2. 避難行動要支援者名簿の作成
  3. 生活必需物資の備蓄
  4. 防災組織の充実
  5. 防災活動の促進

 

 


 

▶午後31改題

令和3年度(2021年度)学校保健統計調査における主な疾病・異常等で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 肥満傾向児の出現率は、平成23年度(2011年度)以降男女ともに増加している。
  2. 小学校における疾病・異常の被患率は、裸眼視力1.0未満の者が最も高い。
  3. むし歯(う歯)の者の割合は、全ての学校段階で前年度より減少している。
  4. ぜん息の者の年齢別の割合は、小学校で高い傾向がみられる。
  5. 心電図異常の割合は、高等学校より小学校の方が多い。

 

 


 

▶午後32

人口動態統計の情報を用いて算出を行う指標はどれか。2つ選べ。

 

  1. 受療率
  2. 婚姻率
  3. 生活影響率
  4. 年少人口指数
  5. 合計特殊出生率

 

 


 

▶午後33

保健行政で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 保健行政の都道府県レベルの組織機構は一様である。
  2. 産業保健行政の根拠法令の1つに労働基準法がある。
  3. 地域保健行政は地域住民の健康の保持・増進を図る。
  4. 地域保健、産業保健、学校保健の3分野からなる。
  5. 学校保健行政の所管は厚生労働省である。

 

 


 

▶午後34

医療法において医療計画に定めるものとされているのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 緩和医療
  2. 救急医療
  3. 歯科医療
  4. 先進医療
  5. 災害時における医療

 

 


 

▶午後35

発達障害で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 発達障害者は障害者総合支援法のサービスを利用することができる。
  2. 発達障害者は精神障害者保健福祉手帳を申請することはできない。
  3. 発達障害の定義は発達障害者支援法に規定されている。
  4. 発達障害者に二次障害が出現することはない。
  5. 発達障害者支援センターは市町村が設置する。

 

 


 

次の文を読み36〜38の問いに答えよ。

Aさん(56歳、女性)。隣接する市に所在する警察署から、B町の保健師に「町に住む無職のAさんが、泥酔して路上で寝ていたところを保護している。先ほど目を覚ましたので事情を聴いたが、本人は『何も覚えていない』と言う。1か月前も同じ状況で保護した。Aさんは、1人暮らしで親族と連絡が取れなかったことから、その時は1人で帰している。今回は、保健師の支援をお願いできないか。B町の保健師に連絡することは本人が同意している」と連絡があった。保健師は、住民基本台帳でAさんがB町に居住し、他県に姉のCさんがいることを確認した。

 

▶午後36

保健師は上司に報告および相談し、警察署でAさんと面接することになった。
この面接の際に把握する情報で、優先度が高いのはどれか。

 

  1. 飲酒歴
  2. 所持金
  3. 就労の有無
  4. 今回の飲酒の理由

 

 


 

▶午後37

面接時、Aさんは保健師に「疲れているので、早く家に帰りたい。話は明日にして欲しい」と言い、保健師とともに家に戻った。その際に、Aさんには手指の振戦がみられていた。保健師は翌日に再度家庭訪問することを伝え、Cさんの連絡先を教えてもらった。保健師はB町役場に戻り、Aさんが直近の3か月間には医療機関の受診がないことを確認し、Aさんに医療機関の受診を勧めることをCさんに連絡して了解を得た。
翌日の保健師の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 複数の保健師による家庭訪問を行う。
  2. 警察官に家庭訪問時の同席を依頼する。
  3. 家庭訪問を町役場での面接に変更する。
  4. 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づいて保健所に通報を行う。

 

 


 

▶午後38

その後、Aさんは精神科医療機関を保健師が同伴して受診した。診察室で精神保健指定医に「誰と来たか」と問われると、Aさんは「清掃センターの人」と答え、出身地を尋ねられると、答えに詰まった。「今、困っていることはありますか」の問いに対して「若い女性の声が聞こえてくる」、「夜、眠れない」と答えた。医師からAさんに入院による治療が必要であると説明されると、Aさんは理解できていない様子であった。医師からAさんと保健師に「Aさん本人の同意による入院はできない」と説明があり、Cさんに連絡したところ、入院の手続きを進めて欲しいとの意思表示があった。
Aさんの入院に向けた対応で適切なのはどれか。

 

  1. 保健師からAさんに入院の必要性を説明する。
  2. 精神保健指定医が成年後見人の選定を申し立てる。
  3. 精神科病院の管理者が医療保護入院の手続きを行う。
  4. 精神科病院の管理者が措置入院に必要な届出を行う。

 

 


 

次の文を読み39、40の問いに答えよ。

Aさん(20歳、専門学校生)。3か月前から咳が続き、市販薬を服用していたが、改善しなかった。そこで内科を受診したところ、胸部エックス線写真で空洞性病変があり、喀痰塗抹陽性、結核菌PCR陽性で結核病床へ入院した。結核の既往歴はない。入院前、Aさんは居住地のB市内にある専門学校に休まず通学していた。

 

▶午後39

情報収集を踏まえ、B市を管轄する県のC保健所で接触者健康診断の対象者が決定された。対象者は全員18歳以上である。
C保健所保健師が接触者健康診断の対象者に説明する内容で正しいのはどれか。

 

  1. 「ツベルクリン反応検査を行います」
  2. 「2年間にわたり健康診断を行います」
  3. 「3か月後に初回の健康診断を行います」
  4. 「B市の保健センターで健康診断を行います」

 

 


 

▶午後40

接触者健康診断の結果、潜在性結核感染症と診断された専門学校生が3名おり、治療を開始することになった。C保健所保健師は、専門学校の教員から「潜在性結核感染症の病気の特徴や対応がよくわからないので教職員に説明して欲しい」と言われた。
保健師の説明で適切なのはどれか。

 

  1. 感染者が使用した部屋は消毒する必要がある。
  2. 感染者にはN95マスクの着用を義務付ける。
  3. 感染者は入院治療が必要である。
  4. 他者への感染の恐れはない。

 

 


 

次の文を読み41、42の問いに答えよ。

Aさん(50歳、男性)。父親(75歳)と2人暮らし。Aさんは22歳頃から統合失調症を発症し、精神科病院に入院した。30歳代で退院した後は精神障害者手帳2級を取得し、月1回通院を継続しながら生活できていた。
ある日、父親から保健センターに電話があり「妻が1か月前に急死した。ようやく家は落ち着いてきたが、Aがこの頃落ち着かない様子である。今までは妻がAの世話をしていたので、これからどうすればよいか困っている」との相談があった。

 

▶午後41

相談の翌朝、保健センターの地区担当保健師が家庭訪問した。Aさんは血色がよく体型は標準的であったが、入浴をしていないような強い臭気がした。また終始イライラした様子で笑顔は少なく、落ち着きなく部屋を歩き回っていた。父親は「Aの薬は妻が管理していた。妻が亡くなってからAの状態は悪くなっていると思う」と話した。Aさんの薬袋を保健師が確認すると、予定残数以上の内服薬が出てきた。
保健師がAさんの状況を確認する内容で、最も優先度が高いのはどれか。

 

  1. 服薬
  2. 清潔
  3. 睡眠
  4. 食事

 

 


 

▶午後42

3日後、Aさんと父親の様子を見るために保健師は再度家庭訪問を行った。家庭訪問時、父親がAさんに対して「なんでできないんだ」と叱責している場面がみられた。父親は「Aの病気についてはよく知らない。自分もイライラするし、どうしたらよいのかわからない」と困った様子で保健師に話した。
地区担当保健師がこの時に行う支援で最も適切なのはどれか。

 

  1. 父親に息抜きの時間を持つことを勧める。
  2. Aさんの地域生活支援事業の利用を勧める。
  3. 父親に精神障害者の家族会への参加を勧める。
  4. Aさんの受診に父親と保健師が同行することを提案する。

 

 


 

次の文を読み43、44の問いに答えよ。

A町は人口7,000人、高齢化率45%、高齢者のうち独居者の割合35%である。町には急な坂が多く、公共交通機関はバスのみで運行本数は少ない。このため、A町に住む高齢者は食品や日用品など日々の買い物に不便を感じている。

 

▶午後43

A町の保健師は、独居高齢者の状況について情報収集を行うことにした。
収集する情報で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 特定健康診査の結果
  2. A町国民健康保険の医療給付内容
  3. 要介護認定者の介護サービスの利用状況
  4. 基本チェックリストによる生活機能の確認の結果

 

 


 

▶午後44

保健師が高齢者を対象に日常生活の不便さと生活に関するアンケートを実施した結果、食事回数が1日2回と回答した割合が、独居高齢者では50%、同居者がいる高齢者では30%であった。
独居高齢者の食事回数が1日2回であることに対する寄与危険はどれか。

 

  1. 0.2
  2. 0.6
  3. 1.67
  4. 2.33

 

 


 

次の文を読み45、46の問いに答えよ。

Aちゃん(5歳、男児、第1子)。1歳6か月児健康診査で言葉の遅れ及びこだわりを指摘され、2歳6か月の時に、専門外来にて自閉症スペクトラム障害〈ASD〉と診断された。現在、療育手帳を取得し、保育所へ通いながら児童発達支援センターの療育に週2日通っている。地区担当保健師は1歳6か月児健康診査後から関わっており、母親からの相談に対応している。

 

▶午後45

母親が保健センターを訪れ、地区担当保健師に「Aの就学先について悩んでいます。児童発達支援センターの先生には特別支援学校を勧められていますが、できれば地域の公立小学校に通わせたいと思っています。どちらがAのために良いのでしょうか」と相談があった。
このときの母親への対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 児童発達支援センターの先生と再度話し合うことを勧める。
  2. 母親が地域の公立小学校に通わせたい理由を確認する。
  3. 保健師から主治医の意見を確認すると説明する。
  4. 児童相談所へ相談することを提案する。

 

 


 

▶午後46

Aちゃんは地元の公立小学校に入学し、通常の学級に籍を置きながら通級による指導を受けることになった。入学して半年後、母親から地区担当保健師に電話があり「Aは学校にもだいぶ慣れて楽しそうにやっているようだが、家で過ごす時間が長いことが気になっている」と話した。
保健師が母親に提案することで最も適切なのはどれか。

 

  1. 自閉症スペクトラム障害〈ASD〉家族会への参加
  2. 放課後等デイサービスの利用
  3. 特別支援学校への転校
  4. 障害児入所施設の利用

 

 


 

次の文を読み47、48の問いに答えよ。

Aさん(40歳、会社員、初妊婦)。夫(44歳、会社員)と2人暮らし。妊娠9週の時に市の子育て世代包括支援センターに妊娠届の提出のため来所した。市では、妊娠期から切れ目のない支援に取り組んでおり、継続した支援が必要な妊婦に支援プランを作成する母子保健コーディネーターとして、専従のB保健師を配置している。妊娠届出時のAさんのアンケート結果を表に示す。
105pm47h

 

▶午後47

B保健師が、Aさんをアセスメントするために面接時に追加で確認する情報で、最も優先度が高いのはどれか。

 

  1. 勤務状況
  2. 現在の体重
  3. 妊娠前の飲酒量
  4. 里帰り出産の有無
  5. 妊娠に対する夫の反応

 

 


 

▶午後48

Aさんは、妊娠37週で出生体重2,600gの男児を出産した。産後2週、産婦健康診査を受けたAさんは疲れている様子で、エジンバラ産後うつ病質問票〈EPDS〉の結果は9点だった。Aさんの状況について病院から連絡を受けたB保健師は、産婦健康診査の翌日、Aさん宅を訪問した。児は母乳栄養で、体重増加は良好だった。Aさんは「思っていたより育児は疲れる。夫は仕事が繁忙期で帰りは遅いが、手伝ってくれている。私も夫も睡眠不足です」と話した。
この時のB保健師のAさんへの支援で最も適切なのはどれか。

 

  1. 産後ケア事業の利用を勧める。
  2. 新生児訪問時に状況を再確認する。
  3. 研修を受けた子育て経験者の訪問を勧める。
  4. 搾乳した母乳を夫に授乳してもらうよう勧める。

 

 


 

次の文を読み49、50の問いに答えよ。

Aちゃん(5歳、男児)。小学校に入学を予定している。Aちゃんには食物アレルギーがあり、保護者から就学時健康診断の際に、学校での対応を希望する旨の申し出があった。

 

▶午後49

Aちゃんの入学までに養護教諭が最初に行う対応はどれか。

 

  1. 校長に支援計画を提出する。
  2. 対応委員会の開催を提案する。
  3. Aちゃんの主治医に電話で意見を聞く。
  4. 学校栄養職員と給食時の対応を話し合う。
  5. 保護者に学校生活管理指導表の提出を依頼する。

 

 


 

▶午後50

保護者や主治医からの情報により、Aちゃんは、卵によるアナフィラキシーの既往があり、アドレナリン自己注射薬が処方されていることが分かった。そこで、養護教諭を中心に、学校においてAちゃんに必要な配慮や管理の対応策について、学校内で話し合うことになった。
検討する事項で適切なのはどれか。

 

  1. 自己注射を補助する担当者の設定
  2. Aちゃんの体育活動への参加の仕方
  3. アナフィラキシーの対応のための職員研修
  4. 自己注射薬がクラスの児童にも取り出せる保管場所の確保

 

 


 

次の文を読み51、52の問いに答えよ。

人口約30万人の市。午後1時、震度6強の地震が発生し、市は避難所を設置した。家屋の倒壊や火災が確認され、大規模な被害が予測された。県と市に災害対策本部が設置された。

 

▶午後51

発災直後の緊急対策期における市の保健師の対応で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 医療救護活動
  2. 福祉避難所の準備
  3. 健康調査票の作成
  4. 家庭訪問による個別健康相談

 

 


 

▶午後52

発災後10日。保健師は、避難所への巡回訪問中に4歳児の母親から「子どもが自分から全く離れなくなり、寝ている間に急に大声をあげて泣き出すようになった。心配だ」と相談を受けた。保健師は子どもの反応の意味を説明し、いつでも相談に乗ることを伝えた。
この時の保健師の母親への助言で適切なのはどれか。

 

  1. 子どもが一人で行動できることを経験させるよう勧める。
  2. できるだけスキンシップを図るよう伝える。
  3. 別の避難所に移動するように勧める。
  4. 特に何もしなくてよいと伝える。

 

 


 

次の文を読み53、54の問いに答えよ。

A市(人口10万人)では高齢化が進み、医療福祉分野の課題が増えている。地域包括支援センターでは、介護支援専門員から「複数の病院で処方された多種類、多量の薬を服用している高齢者が多い。副作用などの問題があるのではないか」との相談を受けることが増えた。そこで今年度から4か所の地域包括支援センターが合同で2か月ごとに、「高齢者の服薬」をテーマに事例検討による地域ケア会議を開催することにした。A市からは介護保険担当課の保健師が参加する予定である。
A市の概況を表に示す。
105pm53h

 

▶午後53

保健師が会議の前に確認する情報で優先するのはどれか。

 

  1. 薬剤師会名簿
  2. 訪問介護の利用状況
  3. 要介護認定者数の推移
  4. 国民健康保険加入者の調剤医療費

 

 


 

▶午後54

A市では、4つの地域包括支援センター合同の地域ケア会議を1年間継続した。A市の訪問介護サービスを利用する高齢者の問題として、多種類、多量の薬剤の不適切な併用による健康障害と、介護支援専門員と主治医との連携の困難さの2つが明らかになった。A市では医療と介護の連携の強化の具体策の検討を目的に「在宅医療推進会議」を立ち上げることになった。この会議に介護支援専門員、医師、歯科医師、薬剤師の代表者が参加することは決まっている。
他に参加を呼びかけるメンバーで最も優先されるのはどれか。

 

  1. 民生委員の代表
  2. 訪問看護師の代表
  3. 理学療法士の代表
  4. 医療経済学の学識経験者

 

 


 

次の文を読み55の問いに答えよ。

食品加工業のA社には、60歳の定年後に継続雇用制度があり、65歳まで働くことができる。今後、製造現場の定年退職者と継続雇用労働者が増加することが見込まれている。安全衛生委員会で55歳以上の高年齢労働者の安全な就労に向け過去の労働災害状況を分析したところ、労働災害の発生率は年齢が高くなるほど上昇し、作業場での転倒が多かった。作業場の清掃は1日3回定期的に行い、照明は300ルクスの全体照明である。

 

▶午後55

A社の製造現場での高年齢労働者に対する労働災害防止対策への取組みで、優先度が高いのはどれか。

 

  1. 作業場の照度を高くする。
  2. 健康づくり用具を作業場に置く。
  3. 高年齢労働者向けの作業を用意する。
  4. 転倒が発生しやすい場所に注意喚起の掲示を行う。

 

 


 

資料 厚生労働省「第105回保健師国家試験、第102回助産師国家試験、第108回看護師国家試験の問題および正答について

 

 

▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 医師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 薬剤師国家試験に出る国民衛生の動向

 

平成30年2月16日実施の第104回保健師国家試験の全問題と正答を掲載します。

また、内容に応じて保健師国家試験受験者の必携テキスト「国民衛生の動向2024/2025」の参照章・ページを示します。問題を解きながら本誌を確認することで、より問題の理解を深めることできます。

 

分野別解説付き問題まとめ

を合わせて活用しながら、合格に近づく過去問対策を進めて頂ければ幸いです。

 

なお、最新の統計の記載、法律の改正、不適切問題などにより、一部問題を改変、削除しています。

 

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国民衛生の動向 2024/2025

 

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▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

第104回保健師国家試験目次

 

 

第104回保健師国家試験・午前(55問)

 

 

▶午前1

保健師に関する歴史上の出来事と社会的背景の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 開拓保健婦の設置――外地からの引き揚げ
  2. 駐在保健婦制度の創設――社会恐慌や凶作による農村の荒廃
  3. 国保保健婦の市町村移管――第一次ベビーブーム
  4. 小児保健所での保健婦活動――富国強兵策

 

 


 

▶午前2

保健師について正しいのはどれか。

 

  1. 保健師の記録の保存について保健師助産師看護師法に規定されている。
  2. 管轄する保健所長の指示を受けた場合はそれに従わなければならない。
  3. 保健師免許の申請には看護師免許の写しが必要である。
  4. 保健指導を業務独占としている。

 

 


 

▶午前3

市では、発達障害がある者の家族から、特別支援学校卒業後に地域で働きたいと希望しても周囲の理解が得られないので悩んでいるとの相談が増加した。保健師は発達障害がある者を支援する地域ケアシステムが必要と考えた。
地域ケアシステムの構築を最も推進する活動はどれか。

 

  1. 家族会の設立
  2. 就労相談会の開催
  3. ボランティアの育成
  4. ネットワーク会議の開催

 

 


 

▶午前4改題

令和4年(2022年)の労働力調査について正しいのはどれか。

 

  1. 女性の労働力人口は前年に比べ減少した。
  2. 女性の雇用形態は正規の雇用が約6割である。
  3. 労働力人口の総数に占める女性の割合は約45%である。
  4. 女性雇用者数に占める割合で最も多い産業は製造業である。

 

 


 

▶午前5

Aちゃん(1歳8か月、女児)は、1歳6か月児健康診査を受診した。1人で歩けるが有意語の発語はなく、絵本の指さしはしない。個別相談で言葉の発達について経過を観察したいと保健師が伝えると、母親は「そのうち言葉は出ると思うので心配はしていません。今、妊娠7か月で、疲れたので早く帰りたいです」と言う。
Aちゃんのフォローアップをするための保健師の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「出産後に連絡してください」
  2. 「3歳児健康診査のときに確認します」
  3. 「病院の発達相談を受診してください」
  4. 「1か月後に電話でAちゃんの様子を聞かせてください」

 

 


 

▶午前6

変化ステージ理論について正しいのはどれか。

 

  1. 対象者の行動変容の段階に合った保健指導に有用である。
  2. 糖尿病に対する行動変化の研究から見出された。
  3. 解凍、変化、再凍結の3段階がある。
  4. ステージは後戻りしない。

 

 


 

▶午前7

ヘルスリテラシーについて誤っているのはどれか。

 

  1. 健康管理を行うために活用するスキルである。
  2. ヘルスプロモーションの活動に関わる能力である。
  3. 情報提供の方法が適切か検討することが含まれる。
  4. 健康日本21(第二次)の目標にヘルスリテラシーの向上が挙げられている。

 

 


 

▶午前8

Aさん(60歳、女性)は、隣に住むBさん(48歳、男性)についての相談のため、初めて保健所に来所した。「Bさんは以前から酒好きで、仕事が休みの日には朝から酒を飲んでいることがよくあった。ここ1か月ほどは仕事にも行かず、泥酔して大声で騒ぎ、家の中で暴れているようだ」と言う。
初回相談の際のAさんへの地区担当保健師の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. Bさんの勤務の状況を聴取する。
  2. 飲酒が身体に及ぼす影響を説明する。
  3. Aさんが今回相談に来所した目的を確認する。
  4. Bさんを医療機関に受診させるための協力を依頼する。

 

 


 

▶午前9

A市では特定健康診査の結果から、定年退職後の60歳代の男性は同年代の女性と比較して、退職後数年でHbA1cが基準値を超える者の割合が高いことが分かった。また、問診票から、日中は1人で過ごし昼食も1人で摂ることが多く、食事は全体的に外食や市販の惣菜に偏っていることが把握された。
定年退職後の男性を対象とし、地域への波及効果も目的とした糖尿病予防事業として最も適切なのはどれか。

 

  1. 食事の記録をつけてもらい栄養士が評価する。
  2. 高血糖を予防する食事のパンフレットを郵送する。
  3. 特定健康診査で高血糖を予防するための個別相談を行う。
  4. 高血糖を予防する食事づくりの調理実習をグループで行う。

 

 


 

▶午前10

Aさん(24歳、専業主婦)は、夫と生後6か月の乳児(出生体重2,900g)との3人暮らし。乳児健康診査が未受診で、電話にて受診勧奨を行ったが来所しないため、地区担当保健師が家庭訪問をした。訪問時、児の体重は7,500g。定頸しており、寝返りはできるがお座りはできない。「離乳食を開始したばかりで、進め方が分からない」と言うので、保健指導を行った。乳児健康診査については「風邪気味だったので連れて行けなかった。人付き合いが苦手で育児の相談相手もいないので、戸惑うことが多い」と話した。
今後の保健師の対応として最も適切なのはどれか。

 

  1. 市の育児相談の利用を勧める。
  2. 定期的な家庭訪問を継続する。
  3. 地域の子育てサークルの立ち上げを促す。
  4. 児の発達について小児科医に相談することを勧める。

 

 


 

▶午前11

保健師が行う地区活動について最も適切なのはどれか。

 

  1. 主に質的なデータを用いて評価する。
  2. 地区にある社会資源の範囲で活動する。
  3. 医療機関との連携を中心にして展開する。
  4. 住民登録の有無にかかわらず地区に居住する者を対象とする。

 

 


 

▶午前12

介護保険法で規定される市町村介護保険事業計画の日常生活圏域について正しいのはどれか。

 

  1. 市町村が範囲を設定する。
  2. 高齢者の人口で数を決める。
  3. 二次医療圏と同規模である。
  4. 介護保険法制定時に定められた。

 

 


 

▶午前13

健康日本21(第二次)の目標達成を目指した市計画を定めることにした。
住民の意見を幅広く取り入れる方法として最も適切なのはどれか。

 

  1. 計画素案の作成を市内の業者に委託する。
  2. 市民相談を担当する職員を策定委員に選任する。
  3. 計画策定の過程でパブリックコメントを求める。
  4. 前年実施した市民健康意識調査の結果を計画に盛り込む。

 

 


 

▶午前14

健やか親子21の主な指標の最終評価で正しいのはどれか。

 

  1. 10代の性感染症〈STI〉罹患率が増加した。
  2. 妊娠11週以下での妊娠の届出率が増加した。
  3. 全出生数中の極低出生体重児の割合が減少した。
  4. 育児期間中の両親の自宅での喫煙率が増加した。

 

 


 

▶午前15改題

計画と目標の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 健康日本21(第二次)――若年性認知症施策の強化
  2. 健やか親子21(第2次)――若い世代を中心とした食育の推進
  3. 第3期がん対策推進基本計画――受動喫煙対策の徹底
  4. 第五次薬物乱用防止五か年戦略――不適切な飲酒の誘因の防止

 

 


 

▶午前16

Aさん(28歳、男性)。8年前に統合失調症を発症し長期入院をしていたが、6か月前に退院し、自宅で母親と2人で暮らしている。母親から「退院時から通っていたデイケアに2週間ほど行っていません。食事は私と一緒に食べていて、服薬もできていますが、それ以外はあまり部屋から出てきません。デイケアの職員には少し様子をみるようにと言われましたが、心配で仕方がありません。こういうときはどうすれば良いでしょうか」と地区担当保健師に電話があった。保健師が家庭訪問したところ、Aさんは「デイケアにはそのうち行きます」と言って部屋に戻った。
このときに保健師が母親へ助言する内容で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「すぐに主治医に相談してください」
  2. 「別のデイケア施設の見学に行きませんか」
  3. 「なるべく外に出かけることをAさんに勧めてください」
  4. 「家族会に参加して他の家族のお話を聞いてみてはいかがですか」

 

 


 

▶午前17

高齢者の肺炎球菌感染症の予防接種について正しいのはどれか。

 

  1. 施設に入所する高齢者への予防接種の実施は都道府県知事の責務である。
  2. 平成28年(2016年)4月から定期の予防接種が開始された。
  3. 予防接種法による健康被害の救済措置の対象となる。
  4. 予防接種法においてA類疾病に指定されている。

 

 


 

▶午前18

介護保険制度について正しいのはどれか。

 

  1. 利用者は居宅介護サービス計画を作成するための費用の1割を負担する。
  2. 介護保険認定の申請手続きの代行は被保険者の家族以外はできない。
  3. 利用者の日常生活能力の自己申告に基づき要介護認定が行われる。
  4. 利用者の選択によってサービスを決定することが基本である。

 

 


 

▶午前19改題

石綿による疾病に関する労災保険給付の支給決定件数で正しいのはどれか。

 

  1. 平成18年度(2006年度)がピークである。
  2. 平成22年度(2010年度)から令和3年度(2021年度)まで連続して増加している。
  3. 令和3年度(2021年度)では中皮腫より肺がんの方が多い。
  4. 令和3年度(2021年度)の肺がんに対する支給は1,000件を超えている。

 

 


 

▶午前21

災害時の健康危機管理における保健所の役割はどれか。

 

  1. 避難所の指定
  2. 傷病者の広域搬送
  3. 災害対策本部の設置
  4. 健康被害の拡大防止

 

 


 

▶午前22

在宅で人工呼吸器管理を要する難病患者の災害時の個別支援計画で適切なのはどれか。

 

  1. 自宅待機を想定に入れる。
  2. 避難先は災害拠点病院とする。
  3. 発災直後の安否確認は主治医が行う。
  4. 発災後の移動は災害派遣医療チーム〈DMAT〉が担当する。

 

 


 

▶午前23

A市では、今年から特定健康診査と特定保健指導を同じ事業者に委託し、市は市民への広報、受診勧奨、未受診者の支援を行うこととした。
委託した事業者の保健指導の質を評価する指標はどれか。

 

  1. 特定健康診査の受診率の変化
  2. 特定保健指導の対象者の割合
  3. 特定保健指導の未受診者の割合
  4. 特定保健指導前後のBMIの変化

 

 


 

▶午前24

職場における新人保健師の人材育成で最も適切なのはどれか。

 

  1. 職場外での研修を中心に行う。
  2. 新人保健師自身が自らの到達目標を設定する。
  3. 新人保健師が所属する部署で完結した指導体制とする。
  4. 新人保健師が活動事例を学会で発表することを最終目標とする。

 

 


 

▶午前25

A市の20歳から24歳までの年齢層における死因の内訳を表に示す。
104am25
表に示した内容を図で表現する場合に適しているのはどれか。

 

  1. 散布図
  2. 円グラフ
  3. 折れ線グラフ
  4. ヒストグラム

 

 


 

▶午前26

地域保健法に規定されている内容はどれか。

 

  1. 市町村保健センターの所長は原則として医師である。
  2. 市町村に対する必要な財政的援助は都道府県の責務である。
  3. 保健所には所管区域内の市町村職員の研修の実施が義務付けられている。
  4. 保健所が行う事業に母性及び乳幼児並びに老人の保健に関する事項がある。

 

 


 

▶午前27

介護保険法に基づく地域支援事業について正しいのはどれか。

 

  1. 実施主体は保健所である。
  2. 包括的支援事業が含まれる。
  3. 家族介護を支援する事業はない。
  4. 地域支援事業に係る費用は介護報酬から支払われる。

 

 


 

▶午前28

がん患者の在宅療養支援における医療保険および介護保険の活用について正しいのはどれか。

 

  1. 同日に医療保険と介護保険の利用はできない。
  2. 居宅療養管理指導は医療保険による診療報酬の対象である。
  3. 訪問看護の利用にあたっては医療保険と介護保険のいずれかを利用者が選択できる。
  4. 40歳から65歳未満のがん患者は介護保険法で定める特定疾病の状態のときに介護保険が利用できる。

 

 


 

▶午前29

学校教育法に基づく特別支援教育について適切なのはどれか。

 

  1. 訪問教育の対象は中学生までである。
  2. 支援体制を確立するために校内委員会を設置する。
  3. 重度の肢体不自由児に対し通級による指導を行う。
  4. 特別支援学校の教員は研修を受けずに経鼻経管栄養を実施できる。
  5. 転校の手続きを取らなくても長期入院中であれば院内学級に通うことができる。

 

 


 

▶午前30

A地区では、豪雨による土砂災害から2か月が経つ。家屋が倒壊した被災者の仮設住宅への入居が始まり、新たなコミュニティの構築への支援が必要となった。A地区の仮設住宅入居者は単身高齢者が多く、かかりつけ医への受診以外に外出する機会がほとんどない。また、慣れない地域での不安を訴える声が聞かれた。
仮設住宅入居者の孤立を防止し、新たなコミュニティづくりを促進するためのA地区への支援として、最も適切なのはどれか。

 

  1. 茶話会の開催
  2. 在宅医療の拡充
  3. 電話相談の拡充
  4. 通所介護事業所の開設
  5. 訪問リハビリテーションの実施

 

 


 

▶午前31

分母として人口データが得られない場合に、疾病の罹患や死亡などの全発生数を分母に用いて、ある疾病や年齢区分での発生が占める割合を示す指標はどれか。

 

  1. 相対危険
  2. 相対頻度
  3. 累積罹患率
  4. 人口寄与危険
  5. 人口寄与危険割合

 

 


 

▶午前32改題

日本の死因別死亡率の年次推移を図に示す。
104am32h
説明として正しいのはどれか。

 

  1. 縦軸の死亡率は年齢を調整した値である。
  2. 死因Aが上昇傾向にある主な理由は野菜摂取量の減少である。
  3. 死因Bの平成7年の急激な低下は国際生活機能分類〈ICF〉改訂の影響である。
  4. 死因Cが低下傾向にある主な理由は血圧の管理である。
  5. 死因Dが低下傾向にある主な理由は食生活の見直しである。

 

 


 

▶午前33改題

健康日本21(第二次)における健康寿命について正しいのはどれか。

 

  1. 患者調査の結果を計算に用いる。
  2. 年齢別死亡率は計算に不要である。
  3. 日常生活に制限のない者の平均年齢である。
  4. 健康寿命の増加分を上回る平均寿命の増加を目標とする。
  5. 令和元年(2019年)の健康寿命と平均寿命の差は男性より女性が大きい。

 

 


 

▶午前34

日本における再興感染症はどれか。2つ選べ。

 

  1. 麻疹
  2. デング熱
  3. エボラ出血熱
  4. ウエストナイル熱
  5. 重症急性呼吸器症候群〈SARS〉

 

 


 

▶午前35

Aさん(20歳、男性)。1人暮らし。下肢に障害があり車椅子を利用しており、障害支援区分3である。
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律〈障害者総合支援法〉に基づき、Aさんが利用できる障害福祉サービスはどれか。2つ選べ。

 

  1. 行動援護
  2. 同行援護
  3. 居宅介護
  4. 生活介護
  5. 療養介護

 

 


 

▶午前36

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉における1類感染症はどれか。2つ選べ。

 

  1. コレラ
  2. 痘そう
  3. ペスト
  4. マラリア
  5. 急性灰白髄炎

 

 


 

▶午前37

疾病の罹患群や非罹患群のスクリーニングの要件で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 検査方法が対象者よりも測定者にとって受け入れやすい。
  2. 確定診断の手法が確立していない疾病も対象となる。
  3. 治療法が確立していない疾病も対象となる。
  4. 疾病予防対策の効率の向上が期待される。
  5. 測定者による結果の変動が少ない。

 

 


 

▶午前38

ある集団の特定健康診査で得られたBMIと血圧との関連を表すのに適した指標はどれか。2つ選べ。

 

  1. 散布度
  2. 四分位数
  3. 相関係数
  4. 変動係数
  5. 回帰係数

 

 


 

▶午前39

生活保護制度について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 扶助の種類は7種類である。
  2. 保護施設に更生施設がある。
  3. 日本国憲法第14条の理念に基づいている。
  4. 保護は世帯を単位とすることを原則とする。
  5. 介護扶助によって介護保険料が現金給付される。

 

 


 

▶午前40

40歳以上の男性を対象とした疫学研究で、虚血性心疾患死亡率(10万人年対)を観察した。虚血性心疾患死亡率は、喫煙群では40.0、非喫煙群では24.0であった。
このときの寄与危険割合を百分率で求めよ。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。

 

解答:①②%

 

 


 

次の文を読み41〜43の問いに答えよ。

Aさん(26歳、女性)。会社員の夫と長女のBちゃん(1歳8か月)との3人暮らし。Bちゃんは1歳児健康診査を受診しており、異常はなかった。1歳6か月児健康診査が未受診だったため、地区担当の保健師が電話で次回の1歳6か月児健康診査の日程を連絡した。Aさんが電話に出たが、対応の声は小さく「Bは元気です。心配なことはありません」と言い、保健師の受診の勧めに応じなかった。保健師は「健康診査の会場でお渡しする予防接種の書類がありますので、受診できないようならお持ちしますね」と伝えて電話を切り、家庭訪問を行うこととした。

 

▶午前41

家庭訪問時、夫は会社に出勤しており不在であった。Bちゃんは一人歩きが可能で、意味のある言葉を発している。Aさんはマスクをしており、左眼の下から顎にかけて紫色に変色した内出血がある。玄関から見える室内は、ふすまが破れているなど荒んだ様子がみられる。
保健師が追加で確認するBちゃんの状態で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 偏食
  2. う蝕
  3. 身体の外傷
  4. オムツかぶれ

 

 


 

▶午前42

家庭訪問の間、Bちゃんは機嫌よく過ごしている。保健師が予防接種の書類の説明を行っている間、Aさんは顔を伏せたままであった。ドメスティック・バイオレンス〈DV〉のスクリーニングとして、保健師は「家庭訪問をした方にお聞きしている質問がありますのでお尋ねしますね」とAさんに説明してから質問を行った。
ドメスティック・バイオレンス〈DV〉のスクリーニングとして保健師が行う質問で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「今一番困っていることは何ですか」
  2. 「何もできないと落ち込むことがありますか」
  3. 「嫌なことがあってもすぐに忘れることができますか」
  4. 「パートナーといるときに怖いと感じることがありますか」

 

 


 

▶午前43改題

Aさんは「実は昨夜、夫に殴られました。半年くらい前から夫に殴られることが時々あります。今まで誰にも言えませんでした」と言う。Aさんには腹部にも大きなあざがあった。
このときの保健師の対応で優先度が高いのはどれか。2つ選べ。

 

  1. Aさんの夫との面接を行う。
  2. Aさんの医療機関への受診を勧める。
  3. AさんとBちゃんの婦人保護施設への避難を勧める。
  4. 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律〈DV防止法〉について説明する。

 

 


 

次の文を読み44〜46の問いに答えよ。

Aさん(65歳、女性)。夫、長女および長女の子どもとの4人暮らし。長女の夫は単身赴任中である。Aさんは2か月前から軽い咳があったが、1週前から咳が激しくなり、倦怠感が出現したため自宅近くのかかりつけ医を受診した。胸部エックス線写真で異常陰影が認められ、病院を紹介された。喀痰塗抹検査陽性および結核菌PCR陽性のため肺結核と診断され、入院した。診断した医師から保健所に発生届が提出された。既往歴に特記すべきことはない。

 

▶午前44

Aさんの治療や検査について正しいのはどれか。

 

  1. 抗結核薬3剤で治療する。
  2. 薬剤感受性検査を実施する。
  3. 喀痰培養検査は不要である。
  4. インターフェロンγ遊離試験〈IGRA〉を実施する。

 

 


 

▶午前45

保健師が病院を訪問し、Aさんに確認した接触者の情報を表に示す。
104am45h
接触者健康診断におけるハイリスク接触者はどれか。

 

  1. 長女
  2. 長女の夫
  3. 長女の子ども
  4. 友人

 

 


 

▶午前46

入院から4週後、Aさんは服薬を自己管理できており、薬剤による副作用〈有害事象〉もみられていない。喀痰塗抹検査が連続して3回陰性となったため退院することとなった。病院を訪問した保健師にAさんから「服薬を続ける以外に、自宅に帰ってから結核をうつさないために私や家族が何かすることはありますか」と相談があった。
退院後の結核の二次感染予防について、Aさんに行う説明で適切なのはどれか。

 

  1. Aさんと接する者はN95マスクをしてもらう。
  2. 長女の子どもとは服薬終了まで接触しない。
  3. 長女の夫にBCGの接種を勧める。
  4. 二次感染の予防対策は必要ない。
  5. Aさんが触れた物は消毒する。

 

 


 

次の文を読み47、48の問いに答えよ。

Aちゃん(日齢20、男児)は、両親と3人暮らし。出産の状態および早期新生児期の経過を記した母子健康手帳の一部を以下に示す。保健師は新生児訪問のため、6月30日に自宅を訪問した。訪問時のAちゃんは、身長49.5cm、体重3,150g。授乳後で機嫌よく活発に四肢を動かしていたが、その後は眠ってしまった。栄養は母乳のみで1日の授乳回数は8、9回程度、授乳間隔は約3時間であった。授乳前のオムツ交換のたびに排尿あり。排便は3〜5回/日。黄疸はない。顔面の湿疹および前頭部に脂漏性の湿疹あり。音への反応あり。父親の仕事の都合で、Aちゃんの1か月児健康診査は7月15日に予約している。
104am47h

 

▶午前47

新生児訪問時のAちゃんのアセスメントを行うために、追加で確認すべき情報で最も優先度が高いのはどれか。

 

  1. 聴覚検査の結果
  2. 1回の授乳時間
  3. 股関節の開排の制限の有無
  4. 入浴時の石けんの使用の有無

 

 


 

▶午前48

保健師は、Aちゃんの新生児訪問時の状況を母子健康手帳に記載し、予防接種を受けるかかりつけの小児科クリニックを決めておくと良いことなどを説明した。保健師がAちゃんの母親に心配なことはないか聞くと「Aと視線が合わないことや、大きな音がしたときに驚いたように両手を広げることがあり、心配だ」と話した。
このときの保健師の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 1か月児健康診査の受診日を早めるよう勧める。
  2. Aちゃんの近くで大きな音を立てて反応を確認する。
  3. 新生児にみられる正常なことであり心配ないと説明する。
  4. 予防接種は病気の有無を確認してから受けるよう説明する。

 

 


 

次の文を読み49、50の問いに答えよ。

人口5万人、高齢化率34%のA市。主な産業は農業と農産加工業である。平成25年度から第2期特定健康診査等実施計画に基づき、60歳未満の特定健康診査受診率の向上および生活習慣病の予防対策に取り組んできた。今後は重症化予防に力を入れて取り組む予定である。特定健康診査実施後の結果を表に示す。
104am49h

 

▶午前49

この結果から読み取れるのはどれか。

 

  1. 特定健康診査受診率は今後横ばいとなる。
  2. 特定保健指導によって医療費が削減された。
  3. 特定保健指導によって健康状態が改善している。
  4. 60歳未満の者の特定健康診査受診率は今後増加する。
  5. 特定健康診査受診者のうち、メタボリックシンドローム該当者の割合は60歳未満より60歳以上で高い。

 

 


 

▶午前50

A市保健師は、A市郊外の農村地区にあるB地区を対象に、糖尿病の重症化予防に取り組むことにした。B地区は人口約3,000人、高齢化率44%であり、内科無床診療所が1か所あるが、市立総合病院までは車で30分かかる。糖尿病と診断されたことがある者の全戸訪問に取り組んだところ「B地区から市中心地区にある市立総合病院に受診すると、通院と待ち時間で半日以上必要なため、特に農繁期に治療を中断してしまう」と言う者が多かった。そこで保健師は、B地区の糖尿病患者が継続的に糖尿病の治療が受けられるよう検討することが必要であると考えた。
治療継続のための対策として最も適切なのはどれか。

 

  1. B地区での糖尿病患者会の発足
  2. 糖尿病の治療中断者への特定健康診査の受診勧奨
  3. B地区住民専用の市立総合病院への送迎バスの運行
  4. B地区診療所における月1回の糖尿病専門外来の開設

 

 


 

次の文を読み51、52の問いに答えよ。

Aさん(45歳、男性)。両親と3人暮らし。統合失調症で治療中。就労移行支援としてB事業所に週5日通所している。就労中に独語がみられるが、作業に支障はない。B事業所の生活指導員から市の保健師に「Aさんの父親が筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉で入院している。70歳になるAさんの母親は事業所の家族会でも積極的に発言するなどしっかりしている。しかし、Aさんは、自分が父親を1人で介護しなくてはならないと思い込み悩んでいるので、支援して欲しい」と連絡があり、Aさんの希望でB事業所において地区担当の保健師が初回の面接を行った。

 

▶午前51

Aさんに対する保健師の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 保健所保健師への相談を提案する。
  2. 父親の介護は母親に任せるよう提案する。
  3. 筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉の症状について説明する。
  4. 父親の介護について母親を交えて話し合うことを提案する。

 

 


 

▶午前52

その後Aさんの父親の病状が安定したため、関係者によるAさんの父親の退院に向けた検討会を実施した。検討会には、Aさんの希望で地区担当の保健師も出席した。父親は介護認定審査中であり、父親の主治医は在宅療養をするためには訪問介護の利用が必要であるとの意見であった。それに対しAさんは「知らない人が家に来るのが不安だ。自分の病気のことを理解してもらえるだろうか」と話した。
このときのAさんに対する保健師の説明で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「Aさんの主治医に相談しましょう」
  2. 「訪問介護員はいつでも交代できますよ」
  3. 「Aさんがご自身の病気について説明するときに私も同席しますよ」
  4. 「お父さんのサービス利用はAさんが不在の時間帯に行いましょう」

 

 


 

次の文を読み53、54の問いに答えよ。

A市は、平成18年に5つの市町村が合併してできた人口約6万人、高齢化率32%の市である。主要産業は漁業と農業である。市街地が分散しており、学校や福祉施設も多い。一部の町内会は活発に活動している。A市総合計画では、健康増進および居宅での介護体制の推進を掲げており、介護保険施設の入所定員は増やさない方針である。

 

▶午前53

A市の保健師は、健康相談のときに50歳代の住民から「自分の祖父母は70歳代から施設に入所していた。自分の親が80歳になり、できる限り自宅で暮らしたいと言っているが、将来自宅で親を看取ることについては想像がつかない」という話を聞いた。
市民全体の看取りの現状を把握するために収集する情報で優先されるのはどれか。

 

  1. 要介護認定者数
  2. 死亡場所別の死亡者数
  3. 長期入院中の高齢者数
  4. 介護保険施設の平均入所年数
  5. 介護保険の居宅サービスの利用者数

 

 


 

▶午前54

A市住民からは、「自宅で長く暮らしたい」という意見が多く聞かれた。一方で、従来とは労働形態や家族形態が変化し、高齢者のみの世帯も増えており、「1人では不安だ」との意見も聞かれる。
A市における共生社会の実現を目指して、保健師が取り組む事業で最も適切なのはどれか。

 

  1. 認知症予防教室
  2. 介護技術を学習する教室
  3. 住民相互の高齢者見守り活動の推進
  4. 認知症対応型共同生活介護〈認知症高齢者グループホーム〉の見学会

 

 


 

次の文を読み55の問いに答えよ。

従業員300人の文具会社。部署は開発部門、販売部門、広報部門に分かれている。この会社の定期健康診断の問診時の主訴で多かったのは、腰痛および眼の疲れであった。社内の健康管理室の保健師が、これらの主訴を配属別に分類したところ、腰痛は販売部門の配送センターの社員に特に多いことが分かった。配送センターには、注文に応じて商品の仕分け作業をする社員50人が働いている。健康管理室の保健師は、配送センターにおける腰痛への対策を行う必要があると考えた。

 

▶午前55

保健師が実施することで最も優先されるのはどれか。

 

  1. 職場巡視を行う。
  2. 腰痛を訴える者に保健指導を行う。
  3. 腰痛体操を休憩時間に行うことを計画する。
  4. 配送センターの社員に運動機能の測定を行う。

 

 

 

第104回保健師国家試験・午後(55問)

 

 

▶午後1

公衆衛生看護の基本理念について正しいのはどれか。

 

  1. プライマリヘルスケアはバンコク憲章で定義された。
  2. 生存権の保障は日本国憲法第11条に規定されている。
  3. ノーマライゼーションは障害者福祉の基本理念となっている。
  4. ヘルスプロモーションは日本では健康フロンティア戦略で初めて取り入れられた。

 

 


 

▶午後2

グループの発展過程を準備期、開始期、作業期、終結期に分類したとき、準備期における支援者の役割として最も適切なのはどれか。

 

  1. グループの目的の共有を促す。
  2. グループの相互作用を促進させる。
  3. メンバー間の信頼関係の確立を図る。
  4. グループに参加する対象を理解する。

 

 


 

▶午後3

市民と行政とのパートナーシップを基盤とした保健施策の推進について最も効果的なのはどれか。

 

  1. 保健福祉計画の策定を市民の代表と行う。
  2. 行政情報を複数の方法で市民に公開する。
  3. 市民の意見を受け付ける専門の部署を設ける。
  4. 市民の代表から地域の課題を聞き取る機会を設ける。

 

 


 

▶午後4

仕事が忙しく少し体調が優れないので、休日に十分な睡眠をとり静養した。
この行動は健康段階別保健行動のどれか。

 

  1. 健康増進行動
  2. 予防的保健行動
  3. 病気回避行動
  4. 病気対処行動

 

 


 

▶午後5

Aさん(80歳、男性)。民生委員から「最近、Aさんが老人クラブに参加しなくなったので心配している」と地区担当保健師に相談があった。民生委員から、Aさんは妻が亡くなって1人暮らしとなり食事や生活が不規則になっていることや、一人娘は結婚して遠方に住んでいることを聞いた。
地区担当保健師の今後の支援として優先度が高いのはどれか。

 

  1. 家庭訪問でAさんの状況を確認する。
  2. Aさんの娘に見守りを行うよう連絡する。
  3. 老人クラブのメンバーにAさんの参加の勧誘を依頼する。
  4. 地域包括支援センターの介護予防事業をAさんに紹介する。

 

 


 

▶午後6

保健師の家庭訪問の対象で最も優先度が高いのはどれか。

 

  1. 要介護2の独居高齢者
  2. 特定健康診査の未受診者
  3. A群β溶血性レンサ球菌感染症の罹患が疑われる幼児
  4. 治療中断していると病院から連絡があった統合失調症患者

 

 


 

▶午後7

A町では、がん検診の受診率向上対策に取り組んだ結果、受診率が向上した。しかし、毎年、がん検診の精密検査の対象者の中に精密検査を受診していない者がいる。
精密検査の未受診者への受診勧奨として最も効果が高いのはどれか。

 

  1. 町の広報誌に精密検査の日時を掲載する。
  2. 保健師が精密検査の未受診者に家庭訪問を行う。
  3. コミュニティ放送で精密検査の受診を呼びかける。
  4. がん検診における集団指導で精密検査の必要性を伝える。

 

 


 

▶午後8

人口8,000人のA町では妊婦とそのパートナーを対象として、妊娠、出産および子育ての知識の習得を目的に両親学級を実施していたが、1回当たりの参加者が年々減少している。そこで、次年度は家族同士の交流を促進するプログラムを導入することにした。
A町の保健師が次年度の両親学級の具体的な内容を検討するにあたり分析する項目で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 両親学級の講師からの意見
  2. A町の合計特殊出生率の推移
  3. 近隣市町村の両親学級の実施状況
  4. 妊娠届出時の面接での聞き取り内容

 

 


 

▶午後9

母子保健活動の見直しのために地域診断を行うことになった。
地区担当保健師が最初に行うことで最も適切なのはどれか。

 

  1. 地区内の子どもがいる世帯にアンケート調査を実施する。
  2. 乳幼児健康診査の問診票から相談内容の集計を行う。
  3. 子育て広場に来ている母親に聞き取り調査を行う。
  4. 地区にある保育所の保育士と連絡会議を行う。

 

 


 

▶午後10

市の各地域で認知症サポーター養成講座を実施した。
地域におけるコミュニティ・エンパワメントが最も引き起こされた状態はどれか。

 

  1. 講座を受講した住民の数が増えた。
  2. 認知症サポーター同士の交流が深まった。
  3. 家庭内で認知症の話をすることが増えた。
  4. 認知症を有する住民を見守るボランティアグループができた。

 

 


 

▶午後11

地域ケアシステムを構築するための会議の開催について最も適切なのはどれか。

 

  1. 参加メンバーを固定する。
  2. 問題が生じたときに開催する。
  3. 住民の代表をメンバーに加える。
  4. あらかじめ議論の方向性を決めておく。

 

 


 

▶午後12

Aちゃん(3歳4か月、男児)。両親と祖母との4人暮らし。市の3歳児健康診査に母親と来所した。階段の昇り降りはできるが、泣いていて言語の理解や精神発達の観察ができなかった。母親は「家では簡単な単語は出ている。仕事が忙しいので、平日はほとんど同居する夫の母にみてもらっている。夫の母は外出を好まず、家でテレビを観て過ごすことが多い」と話した。市では、地区乳幼児相談、3歳児健康診査事後教室および4歳児子育て教室を実施している。
このときの保健師の対応として最も適切なのはどれか。

 

  1. 地区乳幼児相談への参加を促す。
  2. 3歳児健康診査事後教室への参加を促す。
  3. 日中の家庭訪問を早期に行うことを伝える。
  4. 4歳児子育て教室で経過を確認することを伝える。

 

 


 

▶午後13

精神保健医療福祉施策について正しいのはどれか。

 

  1. 精神通院医療は障害者基本法に規定されている。
  2. 市町村には基幹相談支援センターの設置義務がある。
  3. 精神障害者の在宅福祉サービスの実施主体は都道府県である。
  4. 精神疾患は医療計画で重点的に対策を推進する疾病に位置付けられている。

 

 


 

▶午後14

健康増進法に基づく健康増進事業による肝炎ウイルス検診について正しいのはどれか。

 

  1. 実施主体は都道府県である。
  2. 対象は満40歳以上の者である。
  3. 60歳から無料で検診が受けられる。
  4. 特定健康診査の検査項目に定められている。

 

 


 

▶午後15

口腔の疾患とその予防法の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. う蝕――フッ化物を塗布する
  2. 歯周病――塩分摂取を制限する
  3. 口内炎――ビタミンKを摂取する
  4. 顎関節症――硬い食品を強く嚙む

 

 


 

▶午後16改題

業務上疾病で正しいのはどれか。

 

  1. 職業性疾病と同義である。
  2. 産業医によって認定される。
  3. 使用者は必要な療養の費用を負担しなければならない。
  4. 令和3年(2021年)はじん肺症およびじん肺合併症が最も多い。

 

 


 

▶午後17

保健師が行う公衆衛生看護管理の事例管理はどれか。

 

  1. 子育ての支援者を育成する予算を確保する。
  2. 担当地域の地域診断を実施する。
  3. 対象者の支援計画を立案する。
  4. 地域の支援者を育成する。

 

 


 

▶午後18

A市の地域包括支援センターの保健師が、担当する要支援1のBさん(70歳、男性)を訪問した。Bさんは68歳の妻と2人暮らしだが、孫のCさん(17歳、高校2年生)が数日前から滞在していた。Cさんは妊娠30週であった。Cさんは他県で両親と3人で暮らしているが、A市の総合病院で出産予定のため、しばらくの間Bさん宅に滞在することが分かった。
現時点で保健師が連絡を取る先で最も適切なのはどれか。

 

  1. A市の地区担当保健師
  2. A市の総合病院の産婦人科
  3. Cさんの高校の養護教諭
  4. Cさんの住所地の地区担当保健師

 

 


 

▶午後19

耐糖能異常の頻度の地域比較調査を行ったところ、A地区では空腹時血糖で評価し、B地区では随時血糖で評価していたことが明らかになった。
疫学調査法におけるこのような問題点はどれか。

 

  1. 交絡
  2. 偶然誤差
  3. 選択の偏り〈バイアス〉
  4. 情報の偏り〈バイアス〉

 

 


 

▶午後20

地方自治体において、予算が会計年度の開始前に成立しないときに、必要な経費を支出できるよう組まれるのはどれか。

 

  1. 一般会計
  2. 暫定予算
  3. 特別会計
  4. 補正予算

 

 


 

▶午後21

健康上の問題がある児童生徒に対して、養護教諭を中心に行う個別の保健指導を規定しているのはどれか。

 

  1. 文部科学省設置法
  2. 学校保健安全法
  3. 学校教育法
  4. 教育基本法

 

 


 

▶午後22

管内の病院から、保健所に「複数の入院患者が多剤耐性菌に感染している」との報告があった。感染症担当の保健師は、患者の発生状況および病院が実施した対応について確認した後、立ち入り検査を行うこととなった。
立ち入り検査の根拠となる法律はどれか。

 

  1. 医療法
  2. 地域保健法
  3. 食品衛生法
  4. 労働安全衛生法

 

 


 

▶午後23

地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律〈医療介護総合確保推進法〉による介護保険法の見直し事項はどれか。

 

  1. 地域ケア会議の推進
  2. 地域密着型サービスの創設
  3. 介護予防訪問看護の地域支援事業への移行
  4. 市町村単位での医療機能の分化および連携の推進

 

 


 

▶午後24改題

令和3年(2021年)6月末における精神疾患を有する者の入院者数が最も多い入院形態はどれか。

 

  1. 措置入院
  2. 任意入院
  3. 医療保護入院
  4. 緊急措置入院

 

 


 

▶午後25

ソーシャル・キャピタルの醸成に最も効果的な地域保健活動はどれか。

 

  1. 認知症の専門医による講演会を開催する。
  2. 地域に出向き生活習慣病予防の健康教育を行う。
  3. 育児不安が強い母親を対象に相談会を開催する。
  4. 民生委員児童委員協議会と協働して乳児家庭全戸訪問事業を行う。
  5. 自立支援医療(育成医療)の申請があった児に対して家庭訪問を行う。

 

 


 

▶午後26

日本版21世紀型DOTS戦略推進体系図を示す。
104pm26h
【A】から【C】に入る語句の組合せで正しいのはどれか。

 

【A】――【B】――【C】

  1. 潜在性結核感染症の者を除く結核患者――訪問DOTS――連絡確認DOTS
  2. 潜在性結核感染症の者を除く結核患者――地域DOTS――コホート検討会
  3. 喀痰塗抹陽性の結核患者――訪問DOTS――連絡確認DOTS
  4. 全結核患者及び潜在性結核感染症の者――外来DOTS――連絡確認DOTS
  5. 全結核患者及び潜在性結核感染症の者――地域DOTS――コホート検討会

 

 


 

▶午後27

法律に基づく全国の疾病登録があるのはどれか。

 

  1. がん
  2. 糖尿病
  3. 脳卒中
  4. 慢性腎臓病
  5. マイコプラズマ感染症

 

 


 

▶午後28改題

平成22年(2010年)から令和3年(2021年)における日本の社会情勢の変化で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 完全失業率の増加
  2. 老年化指数の低下
  3. 平均世帯人員の減少
  4. 社会保障給付費の減少
  5. 65歳以上の雇用者数の増加

 

 


 

▶午後29

母子健康手帳の交付を受けるために保健センターに来所した女性から、公費の助成が受けられる妊婦健康診査について質問があった。
保健師の説明で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 「血液検査を毎回行います」
  2. 「保健指導の費用は自己負担です」
  3. 「公費の助成が受けられる医療機関が決まっています」
  4. 「血液検査の項目にはHIV抗体検査が含まれています」
  5. 「妊娠初期は2週に1回の健康診査が助成の対象になります」

 

 


 

▶午後30

歯科保健施策について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 歯科疾患実態調査は3年ごとに実施されている。
  2. 健康増進法によって歯周疾患検診が義務化された。
  3. 平成23年(2011年)に歯科口腔保健の推進に関する法律が施行された。
  4. 第一次国民健康づくり対策の課題の1つとして歯の健康が取り上げられた。
  5. 食育の推進の一助として噛ミング30〈カミングサンマル〉運動が行われている。

 

 


 

▶午後31

災害対策基本法に基づき都道府県が行う災害対策はどれか。2つ選べ。

 

  1. 防災のための調査研究
  2. 指定緊急避難場所の指定
  3. 都道府県地域防災計画の作成
  4. 避難行動要支援者名簿の作成
  5. 住民の自発的な防災活動の促進

 

 


 

▶午後32

直接法による年齢調整死亡率を算出する際に必要な情報はどれか。2つ選べ。

 

  1. 基準集団の死亡率
  2. 観察集団の死亡実数
  3. 観察集団の年齢別人口
  4. 基準集団の年齢別人口
  5. 観察集団の年齢別死亡率

 

 


 

▶午後33

測定値の偶然誤差の大きさを表す指標として適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 分散
  2. 中央値
  3. 算術平均
  4. 標準偏差
  5. 最頻値〈モード〉

 

 


 

▶午後34

保健統計調査について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 国勢調査は5年に1度実施される。
  2. 患者調査から死因別死亡率が得られる。
  3. 人口動態調査は2年に1度集計される。
  4. 国民生活基礎調査は2年に1度実施される。
  5. 国民健康・栄養調査の調査項目に腹囲がある。

 

 


 

▶午後35

医療提供体制について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 医療法において病床の種別は3つに分類されている。
  2. 医療計画には医療従事者の確保に関する事項を記載する。
  3. 日本の医療施設の病床数は過去10年間は増加傾向にある。
  4. 特定機能病院を称するには厚生労働大臣の承認が必要である。
  5. 診療所は20人以下の患者を入院させるための施設を有すると規定されている。

 

 


 

次の文を読み36〜38の問いに答えよ。

Aさん(35歳、女性、無職)。夫(37歳、会社員)と幼稚園に通う長男(5歳)との3人暮らし。半年前から倦怠感および不眠症状のため近所の心療内科に通院しており、境界性パーソナリティ障害と診断されている。Aさんの体調が悪いときは、夫が家事や長男の世話をしているが、仕事で帰宅時間が遅いため十分に行えていない。最近はAさんと夫が口論することも増え、夫はAさんとの接触を避けるようになった。また、Aさんは人付き合いが苦手で近隣との関係が悪く、Aさんの両親や親戚との交流もない。

 

▶午後36

Aさんは受診の際、主治医に長男の世話ができないと訴えたところ、主治医から保健所への相談を勧められ、保健所に電話してきた。電話の内容から長男へのネグレクトが懸念されたため、翌日、担当保健師がAさんの自宅を訪問した。夫は仕事で不在であり、Aさん及び長男と面談した。部屋の中は比較的片付いている。長男は年齢相応の成長発達をしているが、衣服の汚れが目立つ。
この訪問において最も優先して把握しておくべきことはどれか。

 

  1. 長男の予防接種状況
  2. 家の中の他の部屋の状況
  3. 夫が長男の世話をする頻度
  4. Aさんと接しているときの長男の様子

 

 


 

▶午後37

家庭訪問後、担当保健師がAさん家族への継続支援を開始した。しばらくすると、Aさんから担当保健師に頻繁に電話がかかってくるようになり、泣きながら「今すぐ訪問に来て」と訴えることも多かった。このような状況が繰り返されるうちに、担当保健師はAさんに苦手意識をもつようになった。ある日、担当保健師の不在時にAさんの電話を受けた別の保健師に対して、Aさんが「今の担当保健師は冷たいので担当を替えてほしい。あなたに私の担当になってもらいたい」と訴えた。
このような状況への担当保健師の対応として正しいのはどれか。

 

  1. 担当保健師を軸に保健師間でのAさんへの対応を統一する。
  2. Aさんの主治医にAさんの入院について相談する。
  3. Aさんの希望に合わせて担当保健師を交替する。
  4. Aさんとの面接頻度を増やす。

 

 


 

▶午後38

Aさんへの支援のため、担当保健師は関係者を集めて会議を開催することにした。
初回の会議に招集するメンバーで優先度が低いのはどれか。

 

  1. 市の地区担当保健師
  2. Aさんの心療内科の主治医
  3. 児童相談所の虐待担当の職員
  4. 精神保健福祉センターの職員
  5. 長男の通園している幼稚園の職員

 

 


 

次の文を読み39〜41の問いに答えよ。

A市にある定員80人の保育所。乳児保育も実施している。8月1日(金)に、腹痛と下痢症状で4人の園児が欠席した。8月5日(火)に、新たに4人の園児が同様の症状で欠席した。さらに、8月1日(金)から欠席していた園児4人のうち2人は症状が落ち着いたが、他の2人が重篤な下痢症状によって入院したと保護者から連絡が入った。保育所長は感染症の発生を疑い、保健所の感染症担当の保健師に相談した。

 

▶午後39

相談を受けた保健所保健師が聞き取る情報で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 嘱託医への報告の有無
  2. 保育所でのイベントの開催状況
  3. 8月1日(金)より前の園児の欠席状況
  4. 社会福祉施設等主管部局への報告の有無

 

 


 

▶午後40

保育所長から相談があった8月5日(火)の夕方に、園児2人が入院しているA市内の病院から、園児2人の腸管出血性大腸菌感染症の発生届が提出された。
保健所の対応で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 地域の医療機関へ情報提供を行う。
  2. 食品衛生監視員と保健師で立ち入り調査を行う。
  3. 保育所の保護者を対象とした説明会を開催する。
  4. 保育所のすべての園児および職員の検便を実施する。

 

 


 

▶午後41

8月6日(水)に、新たに2人の園児が下痢症状で欠席したと保育所から保健所に連絡があった。
このときの保健所の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 排泄習慣が確立していない園児に対する登園停止の指示
  2. 欠席していない園児の保護者との個別面接
  3. 保育所職員に対する汚物処理方法の指導
  4. 患児の担任保育士への就業制限

 

 


 

次の文を読み42〜44の問いに答えよ。

糖尿病の有無とがん発症との関連を検討するために、地域における特定健康診査の受診者の中でがんの既往がない男女1万人ずつの2万人を登録し、糖尿病の有無を調査した。この調査から5年後に新規のがん発症の有無を確認した。

 

▶午後42

この調査の研究デザインはどれか。

 

  1. 横断研究
  2. 介入研究
  3. 生態学的研究
  4. 症例対照研究
  5. コホート研究

 

 


 

▶午後43

この集団では、がんの発症に男女差があることが分かった。そのため、男女別に結果を分析することにした。
この制御方法はどれか。

 

  1. 限定
  2. 層化
  3. 標準化
  4. 無作為化
  5. マッチング

 

 


 

▶午後44

脱落例がなかったと仮定して、男性1万人におけるベースライン時の糖尿病の有無別の5年間のがんの新規発症の有無を表に示す。
104pm44h
「糖尿病なし」に対する「糖尿病あり」のがん発症の累積罹患率比を求めよ。
ただし、小数点以下第2位を四捨五入すること。

 

解答:① . ②

 

 


 

次の文を読み45〜47の問いに答えよ。

人口3万人のA市。市の面積の70%を山間部が占めており、主要産業は農業と畜産業などで、一次産業従事者が多い。人口の分布は市街地のB地区に集中しており、市役所、公共施設、医療施設および商業施設が集中している。高齢化率は38%、国民健康保険加入者は1万人である。平成20年度から導入された特定健康診査の受診実績は、事業開始時から現在まで20%台を推移しており県内最下位である。

 

▶午後45

A市の国民健康保険加入者の生活習慣病を改善するために見直すべき計画はどれか。2つ選べ。

 

  1. 医療計画
  2. 地域福祉計画
  3. データヘルス計画
  4. 介護保険事業計画
  5. 特定健康診査等実施計画

 

 


 

▶午後46

A市の特定健康診査の受診率を5つの小学校区で比較すると、市街地のB地区が最下位である状況が続いている。A市では、従来は集団健診のみであった特定健康診査を、がん検診と組み合わせた健康診査、人間ドック、医療機関への委託による個別健康診査など様々な方式で行うことにした。また、B地区を受診勧奨の重点地区に設定し、個別訪問による受診勧奨を行うことにした。その上で、保健師はA市で実施している特定健康診査の評価をすることにした。
ストラクチャー評価に用いる指標で適切なのはどれか。

 

  1. 地区別受診率
  2. 協力医療施設の数
  3. 特定健康診査の実施回数
  4. 受診勧奨のための個別訪問件数

 

 


 

▶午後47

特定健康診査の実施方式の拡大などに取り組んだ結果、B地区の受診率は前年よりも向上したが他地区に比べて低く、特に男性の受診率は低いままである。受診率向上を目的とした家庭訪問の際に「病院にはいつでも行ける」、「病気とは無縁だ」、「病気が発見されるのが怖い」という声が多く聞かれた。保健師はB地区の住民に広く健康管理について啓発活動を行うことが必要と考え、健康診査の結果説明会を兼ねた「健康づくりの集い」を公民館で開催することにした。
B地区の健康づくりを活性化するために、企画をともに検討する者で最も適切なのはどれか。

 

  1. B地区小学校PTAの役員
  2. 自治会役員
  3. 健康推進員
  4. 民生委員

 

 


 

次の文を読み48、49の問いに答えよ。

A市は人口5万人の地方都市。地場産業である繊維工業などの小規模の事業所の就業者が、A市の産業別就業者の大部分を占める。郊外には大手自動車会社のB工場(従業員500人)があり、A市の住民200人が勤務している。A市では男性の健康寿命が短いことが問題視されており、男性の平均寿命は80.0歳(全国平均80.5歳)、健康寿命は67.0歳(同70.0歳)である。女性の平均寿命は87.0歳(同86.8歳)、健康寿命は74.0歳(同74.0歳)である。保健師は人口動態統計から主要死因別の標準化死亡比〈SMR〉を調べた。その結果を表に示す。
104pm48h

 

▶午後48

A市の健康寿命に影響する要因を明らかにするために、次に入手すべき情報はどれか。

 

  1. 特定健康診査受診率
  2. 疾患別の1人当たりの医療費
  3. 特定健康診査受診者の生活習慣
  4. 要介護認定者が罹患している疾患

 

 


 

▶午後49

A市では住民に対して健康意識調査を行った。男女ともに「塩辛い食べ物が好き」、「どこへ行くにも車で移動する」という意見が多く、就業者では「仕事が優先で健康のことは後回しになる」という意見が多かった。保健師がB工場の衛生管理者に問い合わせたところ、B工場の特定保健指導対象者の割合は全国平均よりも低いことが分かった。A市では、今後、医療保険医療費データを分析して成人期の生活習慣病対策を進めることにした。
分析に必要な情報を得るために連携する組織で優先されるのはどれか。

 

  1. 後期高齢者医療広域連合
  2. 全国健康保険協会
  3. 保険者協議会
  4. 健康保険組合

 

 


 

次の文を読み50、51の問いに答えよ。

Aさん(65歳、男性、無職)。妻との2人暮らし。定年退職後、年金の給付を受けて生活している。2年前から足の震えが出現したため病院を受診し、Parkinson〈パーキンソン〉病と診断された。定期的に病院を受診していたが、Hoehn-Yahr〈ホーエン・ヤール〉の重症度分類でステージⅢとなり、主治医から医療費助成の申請を勧められた。Aさんの妻が申請のため保健所に来所した。

 

▶午後50

難病の医療費助成制度についての妻への説明で正しいのはどれか。

 

  1. 「どの医療機関でも医療費助成が受けられます」
  2. 「負担上限月額は所得に応じて決まります」
  3. 「更新手続きには診断書は必要ありません」
  4. 「更新手続きは2年に1回必要です」
  5. 「医療費の自己負担は1割です」

 

 


 

▶午後51

保健所保健師は、医療費助成の手続きの際に決めた日時に家庭訪問をした。Aさんは「入浴や通院のときに不安を感じることがあるが、何とか自分のことは1人でできている」と話した。
初回訪問時に情報収集することで最も優先されるのはどれか。

 

  1. 経済状況
  2. 家族関係
  3. 住宅内の環境
  4. 近隣との付き合い

 

 


 

次の文を読み52、53の問いに答えよ。

人口1万人のA市。5月23日に大規模な地震が発生し、家屋の倒壊などのため、住民の多くが避難所に避難した。地震発生から7日後、市の保健師は、避難所の巡回相談の際、被災者が夜間眠れずにいることが分かったが、それが主訴として現れないことから、大規模災害後の心の変化や対処方法を示したポスターを掲示した。また、他県から応援に来ている心のケアチームの精神科医に依頼し、災害後のストレス反応についての健康講座を行った。

 

▶午後52

ポスターの掲示や健康講座の開催によって、不眠や食欲不振を自覚して保健師に訴える被災者が増えた。
このときの保健師の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 栄養補助食品を配布する。
  2. 睡眠時間の記録をつけるよう促す。
  3. 心のケアチームと巡回相談の実施を調整する。
  4. 災害時の出来事について保健師に話すよう促す。

 

 


 

▶午後53

発災から2か月後、避難者は自宅や親戚宅、仮設住宅へ入居し、避難所は閉鎖された。その1か月後、保健師は仮設住宅の入居者への健康調査を実施することとした。
保健師の行う健康調査について最も適切なのはどれか。

 

  1. 地区ごとに調査内容を変える。
  2. 仮設住宅の入居者の全戸訪問をする。
  3. 希望者にストレスチェックを実施する。
  4. 仮設住宅の集会所で聞き取り調査を実施する。

 

 


 

次の文を読み54、55の問いに答えよ。

Aさん(14歳、女子、中学2年生)は、両親と弟(2歳)との4人暮らし。中学校入学直後からクラスになじめず、無気力な様子がみられ、1年生の3学期から不登校になっている。学級担任と養護教諭は定期的に家庭訪問を行い、Aさんと母親の気持ちを聞き状況把握に努めた。Aさんは教室には入りづらいが、学校に行くことにはそれほど抵抗はないようだった。2年生の2学期になって「保健室なら行けそう」という言葉が聞かれるようになった。そこで、中学校の校内委員会でAさんの保健室登校について話し合うこととなった。

 

▶午後54

保健室登校を開始するにあたり、養護教諭が他の職員とともに確認する事項で適切でないのはどれか。

 

  1. Aさんの保健室登校に対応できる職員の支援体制が整っていること
  2. Aさんの保護者から保健室登校に対する協力が得られていること
  3. 全教職員の保健室登校に対する共通理解が得られていること
  4. 保健室登校を終了する期日が設定されていること

 

 


 

▶午後55

Aさんは不定期な保健室登校ができる段階を経て、2年生の3学期からは毎日、保健室登校ができている。スクールカウンセラーとも数回の面接を行い「欠席のきっかけは友人関係だった」などと自分自身を振り返ることもでき、情緒的に安定してきた。最近では時々、学級担任に会いに教室に行けるようになった。保健室へ来室する数人の同級生と会話する様子もみられてきたことから、養護教諭は学級担任や他の職員と相談して、この機会に、Aさんが教室に登校できるように働きかけることにした。
養護教諭が行う支援で最も適切なのはどれか。

 

  1. 1週間当たりの教室に行く回数を決める。
  2. 保健室をAさんの居場所として定着させる。
  3. Aさんが興味のある科目から参加するよう勧める。
  4. 同級生に毎日保健室に迎えに来てもらうように依頼する。

 

 


 

資料 厚生労働省「第104回保健師国家試験、第101回助産師国家試験、第107回看護師国家試験の問題および正答について

 

 

▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 医師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 薬剤師国家試験に出る国民衛生の動向

 

平成29年2月17日実施の第103回保健師国家試験の全問題と正答を掲載します。

また、内容に応じて保健師国家試験受験者の必携テキスト「国民衛生の動向2024/2025」の参照章・ページを示します。問題を解きながら本誌を確認することで、より問題の理解を深めることできます。

 

分野別解説付き問題まとめ

を合わせて活用しながら、合格に近づく過去問対策を進めて頂ければ幸いです。

 

なお、最新の統計の記載、法律の改正、不適切問題などにより、一部問題を改変、削除しています。

 

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国民衛生の動向 2024/2025

 

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定価:2,970円(税込)

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▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

第103回保健師国家試験目次

 

 

第103回保健師国家試験・午前(55問)

 

 

▶午前1

保健師が行うアウトリーチはどれか。

 

  1. 言語の発達に遅れがある幼児のフォローアップ教室
  2. Parkinson〈パーキンソン〉病の患者会への支援
  3. 治療を中断している精神障害者への家庭訪問
  4. 後期高齢者への認知症予防教室

 

 


 

▶午前2

A市の保健師は、難病患者の家族会を支援するために、当事者、地域住民および関係機関による会議を開催し、パートナーシップを基盤にした活動を推進することとした。
第1回の会議の内容として最も適切なのはどれか。

 

  1. 予算確保の方法についての説明
  2. 近隣市町における活動事例の紹介
  3. 関係機関における研修の開催の検討
  4. A市の昨年度の保健事業全般の実績報告

 

 


 

▶午前3改題

日本の社会格差を示す指標の過去20年間の推移について正しいのはどれか。

 

  1. 雇用者に占める非正規職員・従業員の割合は減少している。
  2. 相対的貧困率は低下している。
  3. 完全失業率は低下している。
  4. ジニ係数は低下している。

 

 


 

▶午前4

家族に関連する内容の説明で正しいのはどれか。

 

  1. オマハシステムは家族システムの階層性を説明する理論である。
  2. ジェノグラムは家族と社会との関わりを示す図である。
  3. 家族の発達段階における最初の時期は養育期である。
  4. 1人の家族員の変化が他の家族員に影響を及ぼす。

 

 


 

▶午前5

都道府県が実施主体となり保健師が家庭訪問を行うのはどれか。

 

  1. 未熟児
  2. 発達障害児
  3. 認知症高齢者
  4. 小児慢性特定疾病児童

 

 


 

▶午前6

50歳代を対象とした運動教室修了後に受講者がとる行動で、ソーシャルキャピタルの醸成につながる行動として最も適切なのはどれか。

 

  1. 特定健康診査を受診する。
  2. 家族に教室で学んだ運動の話をする。
  3. 他の受講者と自主的に運動を継続する。
  4. 保健師に運動内容を定期的に報告する。

 

 


 

▶午前7

健康増進法に基づく市町村の役割はどれか。

 

  1. 生活習慣相談の実施
  2. 特定給食施設の指導
  3. 飲食店における利用者の受動喫煙の防止
  4. 健康増進の総合的な推進のための基本方針の策定

 

 


 

▶午前8

自治体で解決すべき健康課題の優先度を検討するときに最も重視するのはどれか。

 

  1. 課題解決に要する事業経費の額
  2. 課題解決のための社会資源の整備状況
  3. 同じ課題に取り組んでいる自治体の数
  4. 課題が解決されなかった場合の住民への影響

 

 


 

▶午前9

事業の計画策定および推進を行う際に、住民参加を促す方法として最も適切なのはどれか。

 

  1. 事業の評価は事業が終了してから公表する。
  2. 専門的な知識を有する集団から意見を聴取する。
  3. 公民館の情報閲覧コーナーで住民に情報提供する。
  4. 住民からの意見の反映方法について住民に提示する。

 

 


 

▶午前10改題

地域包括ケアシステムの推進に関する説明で正しいのはどれか。

 

  1. 公助が優先される。
  2. 実施主体は保健所である。
  3. 令和12年(2030年)に向けた対応策である。
  4. 高齢者のニーズに応じた住まいの整備が含まれる。

 

 


 

▶午前11改題

乳幼児健康診査について正しいのはどれか。

 

  1. 虐待予防の機会となる。
  2. 乳児の健康診査は対象月齢が法律で規定されている。
  3. 1歳6か月児健康診査では視聴覚機能検査が行われる。
  4. 令和3年度(2021年度)の3歳児健康診査の全国における受診率は約8割である。

 

 


 

▶午前12

Aさん(22歳、男性)。両親と兄との4人暮らし。知的障害があり、就労継続支援A型の事業所に通っている。事業所の職員から「Aさんの上腕に複数の小さなあざがあった」と市保健師に電話で相談があった。
事業所の職員から相談を受けた保健師の最初の対応として最も適切なのはどれか。

 

  1. Aさん宅の家庭訪問を行う。
  2. 事業所で職員とAさんに話を聞く。
  3. 成年後見制度の利用をAさんに勧める。
  4. 卒業した学校にAさんの在学中の様子を聞く。

 

 


 

▶午前13

8020運動について正しいのはどれか。

 

  1. う蝕予防に重点を置く運動である。
  2. 健康日本21(第二次)に目標値が設定されている。
  3. 日本医師会と日本歯科医師会とが推進を提言した。
  4. 歯科口腔保健の推進に関する法律に基づいて運動を開始した。

 

 


 

▶午前14

養護教諭の職務で正しいのはどれか。

 

  1. 学校給食の衛生管理
  2. 定期健康診断の評価
  3. 学校保健委員会の設置
  4. 感染症による出席停止の決定

 

 


 

▶午前15

健康危機管理について、厚生労働大臣が定めることが地域保健法に規定されているのはどれか。

 

  1. 地域保健対策検討会報告書
  2. 地域健康危機管理ガイドライン
  3. 厚生労働省健康危機管理基本指針
  4. 地域保健対策の推進に関する基本的な指針

 

 


 

▶午前16

保健所で医療機関から感染症の発生の届出を受けた。
保健師が患者を訪問するときに、N95マスクの着用が必須である感染症はどれか。

 

  1. デング熱
  2. 開放性結核
  3. レジオネラ肺炎
  4. 中東呼吸器症候群〈MERS〉

 

 


 

▶午前17

市町村の保健事業の予算編成について正しいのはどれか。

 

  1. 事業ごとに予備費を計上し事業費の不足を防ぐ。
  2. 予算の確保は具体的な実施方法を検討する前に行う。
  3. 事業評価をもとに既存事業の継続の必要性を検討する。
  4. 毎年実施している事業の予算の決定には議会の議決は必要ない。

 

 


 

▶午前18改題

令和2年度(2020年度)の国民医療費について正しいのはどれか。

 

  1. 制度区分別国民医療費では公費負担医療給付分が最も多くを占める。
  2. 傷病分類別の医科診療医療費では悪性新生物〈腫瘍〉が最も多くを占める。
  3. 65歳以上の人口一人当たり国民医療費は65歳未満の約4倍である。
  4. 訪問看護医療費は全体の5%を上回る。

 

 


 

▶午前19

学校保健行政について正しいのはどれか。

 

  1. 対象に幼稚園が含まれる。
  2. 厚生労働省が所管している。
  3. 教職員の健康診断の実施主体は労働基準監督署である。
  4. 都道府県教育委員会は都道府県内の市町村立学校を直轄している。

 

 


 

▶午前20

精神保健福祉センターの業務で正しいのはどれか。

 

  1. 措置入院の決定
  2. 精神保健福祉相談員の任命
  3. 精神障害者保健福祉手帳の交付
  4. 精神障害者の福祉に関する困難な相談

 

 


 

▶午前21改題

令和3年度(2021年度)の「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査」における養護者による高齢者虐待に関する説明として適切なのはどれか。

 

  1. 経済的虐待が全体の6割を占めている。
  2. 虐待者の続柄は息子の割合が最も高い。
  3. 虐待の種別にかかわらず、要介護度が高いほど虐待の発生割合が高い。
  4. 被虐待者の9割が認知症高齢者の日常生活自立度判定基準のランクⅡ以上である。

 

 


 

▶午前22

A市では特定健康診査の結果、生活習慣病の該当者が年々増加していることが分かった。
A市の保健師が一次予防として行う活動はどれか。

 

  1. 夜間に受診できる健康診査を企画する。
  2. 精密検査が必要な人に受診勧奨を行う。
  3. 市民を対象に食習慣改善教室を企画する。
  4. 該当者の家族を対象に悪化予防の健康教室を開催する。

 

 


 

▶午前23

介護予防ボランティアグループのリーダーから「一部のメンバーが自分たちの活動は自己満足ではないかと悩んでいるようだ」と保健師に相談があった。
このグループのエンパワメントを支援するための対応として最も適切なのはどれか。

 

  1. 「住民の意見を聞いてみましょう」
  2. 「メンバー全員で話し合いましょう」
  3. 「市の保健事業の推進役として機能していますよ」
  4. 「介護予防事業の参加者の生活機能の改善状況を調査しましょう」
  5. 「介護予防担当の保健師からメンバーに活動の必要性を説明してもらいましょう」

 

 


 

▶午前24

健康日本21(第二次)の目標項目の1つである「健康格差の縮小」において、都道府県格差の指標としているのはどれか。

 

  1. 平均寿命
  2. 糖尿病の有病者数
  3. 脳血管疾患の年齢調整死亡率
  4. 日常生活に制限のない期間の平均
  5. メタボリックシンドロームの有病率

 

 


 

▶午前25

災害対策とその根拠法令の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 災害拠点病院――医療法
  2. 地域防災計画――災害対策基本法
  3. 応急仮設住宅――被災者生活再建支援法
  4. トリアージタグ――医師法
  5. 災害派遣医療チーム〈DMAT〉――災害救助法

 

 


 

▶午前26

人口3万人の町において、先行文献が十分に存在し、要因が明らかになっている健康課題について、町民の状況を全数把握する方法として適切なのはどれか。

 

  1. フォーカス・グループインタビュー
  2. 半構造化面接法
  3. エスノグラフィ
  4. 質問紙調査
  5. 事例分析

 

 


 

▶午前27

人口10万人の市において、ある一定期間の結核患者の発生頻度を表現する指標として適切なのはどれか。

 

  1. 罹患率
  2. 有病率
  3. 被患率
  4. 受療率
  5. 相対頻度

 

 


 

▶午前28

生態学的研究によって、世界各国の1人当たりの食塩摂取量と高血圧症有病率との関連の程度を評価するために計算するのはどれか。

 

  1. 寄与危険
  2. 変動係数
  3. 相対危険
  4. 相対頻度
  5. 相関係数

 

 


 

▶午前29

ある集団の特定健康診査で得られたヘモグロビンA1c値の頻度の分布を確認するのに最も優れているのはどれか。

 

  1. 散布図
  2. 円グラフ
  3. 帯グラフ
  4. ヒストグラム
  5. 折れ線グラフ

 

 


 

▶午前30

Aさん(30歳、主婦)。夫(28歳、会社員)と長男(5歳)との3人暮らし。町の保健センターに長男を連れて来所した。Aさんは「幼稚園に息子を迎えに行ったところ、パパが怖いと言って帰りたがらなかった。息子を守るには、どうしたらいいでしょうか」と話した。Aさんの話から、Aさんの夫は日頃から大声で怒鳴ることが多いこと、昨夜は長男のいたずらに対して激しく怒り、おもちゃ箱をひっくり返して物を投げつけAさんも恐怖を感じたこと、今までAさんと長男に怪我はなかったことが分かった。
このときの保健師の対応として最も適切なのはどれか。

 

  1. 主任児童委員に連絡をする。
  2. 母子を保護できる場所を確保する。
  3. 幼稚園に電話をして情報収集をする。
  4. 夫の在宅時に家庭訪問をすることを伝える。
  5. Aさんの友人に泊まりに来てもらうよう勧める。

 

 


 

▶午前31

Aさん(65歳、女性)。1人暮らし。要支援2。認知症はあるが、他に治療をしている疾患はない。介護保険で介護予防訪問介護を週2回、介護予防通所介護を週1回利用している。介護予防通所介護以外に外出の機会はない。最近、空腹になると夜中でも満腹になるまで、家にある食べ物を何でも口に入れてしまうようになった。Aさんは自宅で生活することを希望していることから、地域包括支援センターの保健師はサービス担当者会議を開催することにした。
サービス担当者会議の参加者として適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 訪問看護ステーションの理学療法士
  2. 訪問看護ステーションの訪問看護師
  3. 介護予防通所介護事業所の介護職員
  4. 介護予防訪問介護事業所の訪問介護員
  5. 認知症対応型共同生活介護〈認知症高齢者グループホーム〉の相談員

 

 


 

▶午前32

ノーマライゼーションに基づいた障害者のケアの考え方で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 国際生活機能分類〈ICF〉では障害の程度によって必要なケアが規定される。
  2. 支援がないことで社会参加が制約されている場合は対象に含む。
  3. 環境と個人との特性が加わって健康状態が決定される。
  4. 障害者に対する医療の確保を第一の目的とする。
  5. 援助者がリーダーシップを発揮して進める。

 

 


 

▶午前33

学校保健活動で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. BCG接種を行う。
  2. 食育推進計画を策定する。
  3. 児童生徒の保護者に助言を行う。
  4. 学校生活管理指導表は養護教諭が記載する。
  5. 学校保健委員会は地域の関係機関の代表も含めて構成する。

 

 


 

▶午前34

感染症発生動向調査において全数把握の対象となるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 風疹
  2. 百日咳
  3. 日本脳炎
  4. マイコプラズマ肺炎
  5. 性器クラミジア感染症

 

 


 

▶午前35

放射線の災害による影響で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 胸膜中皮腫の原因となる。
  2. クラッシュ症候群を起こす。
  3. 胎児は成人より感受性が低い。
  4. 呼吸によって内部被ばくを起こす。
  5. 晩発症状に甲状腺機能低下症がある。

 

 


 

▶午前36

A市の2地区でデータを収集した。各項目について地区間に差があるかどうかを統計学的に検定する。
χ2〈カイ2乗〉検定が適している項目はどれか。2つ選べ。

 

  1. 年齢
  2. 通院の有無
  3. 高血圧症の有病率
  4. 1日当たり飲酒量
  5. 1日当たり喫煙本数

 

 


 

▶午前37改題

日本の政府開発援助〈ODA〉について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 技術協力が含まれる。
  2. 国際協力機構〈JICA〉が援助を担っている。
  3. 援助開始以降、予算額は増加し続けている。
  4. 令和3年(2021年)の援助実績は援助国で最大である。
  5. 国連開発計画〈UNDP〉からの要請に基づき有償資金協力を行っている。

 

 


 

▶午前38

平成27年(2015年)に策定された認知症施策推進総合戦略〈新オレンジプラン〉の特徴について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 対象期間は20年間である。
  2. 目的は認知症高齢者の早期発見・早期治療である。
  3. 関係省庁で連携して取り組むことが示されている。
  4. 認知症施策を加速させるための戦略として5つの柱がある。
  5. 施策のアウトカム指標は定量的に評価することを目指している。

 

 


 

▶午前40

介護者のグループを育成するにあたり、初期段階における保健師の役割で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 活動計画の作成を支援する。
  2. 地域社会との関わりを強化する。
  3. グループ外からの支援を受けないよう助言する。
  4. 気の合うメンバー同士が活動を進められるよう配慮する。
  5. メンバーの発言を尊重して活動内容に取り入れるよう促す。

 

 


 

次の文を読み41〜43の問いに答えよ。

人口約1万人のA町は、後期高齢者が約3割を占める。町内に集落が点在しており、集落ごとに自治会の活動が活発である。休日の昼間、A町を震源とする震度6強の大規模な地震が発生した。建物の倒壊が見られ、下敷きになっている住民もいるとの情報があった。役場から約5kmの距離にある小学校に救護所が設置された。

 

▶午前41

地震発生30分後に、町の防災マニュアルに基づき、A町の保健師のうち1人が救護所となっている小学校に駆けつけることができた。
この保健師の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 近隣住民へのボランティアの依頼
  2. 小学校の養護教諭への連絡
  3. 必要な医療物品の準備
  4. 県保健師への応援要請

 

 


 

▶午前42

地震発生当日に町内に避難所が設置された。1週後、町民の半数が避難所で生活を送っている。県外から派遣された医療チームが避難所での健康管理を行っている。
このときのA町保健師の活動で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 避難所で傷病者の処置を行う。
  2. 町外への避難者の安否確認を行う。
  3. 避難所の高齢者の介護予防を行う。
  4. 避難所の要援護者の搬送先を検討する。

 

 


 

▶午前43

地震発生から2か月が経過した。小学校の近くに仮設住宅が設置され、避難者の大半が移った。住民の5割は自宅、4割は仮設住宅、1割は避難所で生活している。
このときのA町保健師の活動で最も適切なのはどれか。

 

  1. 町外施設に移った要介護者を訪問する。
  2. 避難所の住民の自治組織の立ち上げを支援する。
  3. 各集落の自治会長から住民の生活状況の情報を得る。
  4. 仮設住宅の住民に対して役場で運動教室を開催する。

 

 


 

次の文を読み45の問いに答えよ。

人口5万人の市。市の人口は平成20年度以降は変化はない。市はA、B及びCの3つの地区からなり、肺がん対策として検診の受診率の向上に取り組んでいる。市の肺がん検診は、平成26年度まではA地区の保健センターで行う集団検診のみであったが、平成27年度からはB地区にある病院でも検診を行っている。各地区の肺がん検診の受診者数および対象者数を表に示す。
103am45h

 

▶午前45

C地区の地域診断を行ったところ、胃がん検診と大腸がん検診は肺がん検診より受診率が高く他の地区とも差がないことや、他の地区より喫煙率が高いことが分かった。また、過去10年間の肺がんによる死亡者18人のうち、肺がん検診の受診歴のない者が6人であった。
C地区の肺がん検診の受診率向上を目指して取り組む事業として優先度が高いのはどれか。

 

  1. 胃がん検診と同日での肺がん検診の実施
  2. がんの緩和ケアに関する講演会の開催
  3. がん登録事業の協力病院の拡大
  4. 肺がん検診の追加開催
  5. 禁煙教室の実施

 

 


 

次の文を読み46、47の問いに答えよ。

A市内にある、特別養護老人ホームを併設する病院から「特別養護老人ホームの入所者から消化器症状を訴える者が多発し、検便した結果、腸管出血性大腸菌が検出された」と1月24日に保健所に報告があった。保健師が調査したところ、週に1回、病院の医師が特別養護老人ホームの入所者の健康状態を確認していたことが分かった。看護・介護職員および調理従事者は、特別養護老人ホームと病院とでそれぞれ別の職員を雇用しており、施設間での行き来はなかった。給食は同じ食材を用い同じ方法で調理していたが、給食施設はそれぞれ独立していた。1月の発症日別の発症者数を表に示す。
103am46h

 

▶午前46

感染が拡大した理由として最も可能性が高いのはどれか。

 

  1. 不適切な調理方法
  2. 病院の入院患者による媒介
  3. 原因菌による給食食材の汚染
  4. 特別養護老人ホームの看護・介護職員による媒介

 

 


 

▶午前47

今後の感染拡大を防止するために必要な措置のうち、検便の対象者として優先度が低いのはどれか。

 

  1. 病院の医師
  2. 病院の入院患者
  3. 特別養護老人ホームの入所者
  4. 特別養護老人ホームの調理従事者
  5. 特別養護老人ホームの入所者への面会者

 

 


 

次の文を読み48、49の問いに答えよ。

Aさん(50歳、女性、未婚)。28歳のときに統合失調症と診断され、43歳から7年間精神科病院に入院していた。両親は7年前に相次いで他界し、家族は姉(55歳、未婚)のみである。Aさんの病状が安定したため、Aさん姉妹は一緒に暮らすことを希望した。退院前に、病院内で地域の支援関係者を集めた会議が開かれ、Aさん姉妹も参加した。その際、姉が「妹と離れて暮らしていた期間が長いので不安はありますが、一緒に暮らせるのはうれしいです」と語っていた。退院後は市の保健師が家庭訪問することになった。

 

▶午前48

Aさんは姉との2人暮らしを開始した。
退院から7日後の初回の家庭訪問の目的として適切なのはどれか。

 

  1. 病院での退院指導内容の確認
  2. 就労移行支援サービス利用の勧奨
  3. 自宅での生活への適応状況の把握
  4. Aさん宅周辺の住民同士の交流状況の把握

 

 


 

▶午前49

初回訪問日の2週後に2回目の訪問を予定していたが、訪問予定日の3日前に、Aさんの姉から保健師に電話があった。姉は「一緒にしようと促しても妹は家事をしたがらず、何でも私に頼ってきます。私はイライラして、妹と口論になることが増えてきました。私自身、3、4日前から食欲がなく、体がだるいため家事をするのも大変です。このまま妹との生活を続けることに自信がなくなりました」と話した。
このときの姉への助言として適切なのはどれか。

 

  1. 「Aさんの再入院を考えてみましょう」
  2. 「Aさんの主治医に対応を相談してみましょう」
  3. 「食欲不振などの症状は一時的なものなので心配はいりませんよ」
  4. 「Aさんとの口論を近所の人たちに聞かれないように注意しましょう」

 

 


 

次の文を読み50、51の問いに答えよ。

Aさん(59歳、女性)。夫(66歳、無職)と2人暮らし。市の健康相談に参加したAさんは、ふらつきがあり歩行が不安定であった。相談に対応した保健師に対して「歩き出しがうまくできないし、思うように体が動かず困っています」とAさんは話した。保健師はAさんの訴えなどから神経変性疾患を想定し、Aさんの他の症状について確認することにした。

 

▶午前50

確認する症状として優先度が高いのはどれか。

 

  1. 耳鳴の有無
  2. 振戦の有無
  3. 視野欠損の有無
  4. 手足の浮腫の有無

 

 


 

▶午前51

その後、Aさんは指定難病と診断され、隣市の専門医療機関での月1回の通院治療を開始した。2年後、Aさんは要介護4に認定され、通所介護を週2回利用している。Aさんの介護と家事は夫が担っている。夫は糖尿病で半年ほど前から血糖コントロールが不良であり、血糖管理および指導の目的で5日間の入院を勧められている。
夫の入院中にAさんが利用する事業で最も適切なのはどれか。

 

  1. 夜間対応型訪問介護
  2. 短期入所療養介護
  3. 訪問入浴介護
  4. 訪問看護

 

 


 

次の文を読み52、53の問いに答えよ。

A市では保育所を利用している家庭が増加しており、対応困難な児に関する保育士からの市保健師への相談が増えてきている。A市では子育て支援を強化するため、次年度の母子保健計画の策定にあたって、市内の15か所の保育所との連携システムをどのように構築していくかを検討することになった。

 

▶午前52

保健師が最初に取り組むこととして適切なのはどれか。

 

  1. 対応困難な児の保護者に保育所でインタビュー調査を行う。
  2. 市のホームページでパブリックコメントを募集する。
  3. 対応困難な事例の検討会を保育所と行う。
  4. 対応困難な児の家庭訪問をする。

 

 


 

▶午前53

保育所との連携システムの構築に取り組んでから3か月が経過した。その評価から母子保健担当の保健師は、保育所を定期的に巡回し、個別相談が必要な児に対して健康相談を行う巡回健康相談事業を検討している。
事業を計画するにあたり最初に検討するのはどれか。

 

  1. 事業評価の時期
  2. 事業担当者の確保
  3. 巡回健康相談の実施回数
  4. 保育所利用者に対する事業の広報
  5. 母子保健計画における事業の位置付け

 

 


 

次の文を読み54、55の問いに答えよ。

Aさん(80歳、女性)。1人暮らし。高血圧症で50歳から近くの医療機関を受診しており、降圧薬を内服し、自己管理をしながら自立して生活していた。長女(55歳)は他県に住み、月1回Aさんの様子をみに来ている。長女は、地域包括支援センターに来所し「母が物を探すことが多くなったと感じていたが、隣人から母が近所で道に迷っているのを見かけたと聞き、心配になった」と保健師に相談した。

 

▶午前54

このときに保健師が長女に勧める内容で最も適切なのはどれか。

 

  1. 保健所への相談
  2. かかりつけ医への相談
  3. 介護療養型医療施設の見学
  4. 認知症サポーター講座の受講

 

 


 

▶午前55

その後、Aさんは要支援1と認定された。長女は電話で「最近母が、病院でお金を支払うことや、ATMでお金をおろすことができなくなった」と地域包括支援センターの保健師に相談した。
保健師が勧める社会資源として優先度が高いのはどれか。

 

  1. 成年後見制度
  2. 消費者生活センター
  3. 訪問看護ステーション
  4. 介護予防・日常生活支援総合事業
  5. 認知症対応型共同生活介護〈認知症高齢者グループホーム〉

 

 

 

第103回保健師国家試験・午後(55問)

 

 

▶午後1

地域における看護活動で用いるポピュレーションアプローチとハイリスクアプローチについて正しいのはどれか。

 

  1. ケーブルテレビによる健康講座はハイリスクアプローチである。
  2. ポピュレーションアプローチでは健康問題のない集団に働きかける。
  3. 住民全体の健康レベルの向上にはハイリスクアプローチが適切である。
  4. 生活習慣病の受療者への健康教育はポピュレーションアプローチである。

 

 


 

▶午後2

市町村の保健師の活動として適切でないのはどれか。

 

  1. 細菌性赤痢の患者の積極的疫学調査
  2. 老人クラブでの健康教育の実施
  3. 統合失調症患者への家庭訪問
  4. 16歳の妊婦への保健指導

 

 


 

▶午後3

社会保障・税一体改革において推進する保健福祉事業はどれか。

 

  1. 保育サービスに係る量の拡充
  2. 障害者の虐待防止
  3. がん登録の推進
  4. 自殺の予防

 

 


 

▶午後4

地球温暖化対策と根拠の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. グリーン経済への移行――特定家庭用機器再商品化法
  2. オゾン層の保護に向けた取り組み――アジェンダ21
  3. 先進国の温室効果ガスの排出量の削減――京都議定書
  4. 気候変動に関する国際連合枠組条約の批准――リオ+20

 

 


 

▶午後5

Aさん(39歳、初妊婦)。妊娠26週で市の母親学級に参加した。Aさんは、あまり楽しそうな表情をしておらず、グループワークでの発言も少なかった。終了後に母親学級担当の保健師がAさんに声をかけたところ「産後の育児が不安です」と話した。
不安な気持ちについて傾聴した後のAさんへの対応として最も適切なのはどれか。

 

  1. 「産後にホームヘルプサービスを利用してはどうですか」
  2. 「お住まいの地区を担当している保健師を紹介します」
  3. 「受診している産科の医師に相談してみましょう」
  4. 「育児に慣れるまで里帰りすることはできますか」

 

 


 

▶午後6

A市のB地区は肥満者の割合が市内の他の地区に比べて高い。B地区の担当保健師が健康相談を実施した際、夜食を摂る者が多くいることが分かった。
B地区の担当保健師の活動で最も優先されるのはどれか。

 

  1. 食生活改善推進員へのフォーカス・グループインタビュー
  2. 市の栄養士による栄養相談内容の分析
  3. 地区住民を対象とした食生活実態調査
  4. 国民健康保険の医療費分析

 

 


 

▶午後7

健康教育に関する理論で保健行動に対する個人の心理に着目しているのはどれか。

 

  1. アドボカシー
  2. ヘルスリテラシー
  3. ヘルス・ビリーフ・モデル
  4. プリシード・フレームワーク

 

 


 

▶午後9

健康診査の結果説明会で、受診勧奨の対象ではなかったが、血圧が高い者が8人いた。保健師は、メンバー間の相互作用を促しながら、生活習慣病を予防することを目的としたグループを作り支援を行うことにした。
このグループへの支援として最も適切なのはどれか。

 

  1. 他のグループと交流する機会を設ける。
  2. グループで1つの血圧の目標値を設定する。
  3. 高血圧症の専門医の講義を聞く機会を設ける。
  4. メンバーが各自の食生活の課題を話し合う機会を設ける。

 

 


 

▶午後10

インフルエンザの予防接種について正しいのはどれか。

 

  1. 二次予防である。
  2. ワクチンの種類はトキソイドである。
  3. 予防接種法におけるB類疾病である。
  4. 定期予防接種の対象は15歳未満である。

 

 


 

▶午後11

次年度の地域保健活動計画を立案するにあたって、保健師が最初に取り組むのはどれか。

 

  1. 福祉部門と計画について話し合う。
  2. 地域の医療機関の要望を確認する。
  3. 今年度の地域における保健活動の実績を評価する。
  4. 医療や福祉に関する施設整備計画の進捗状況を確認する。

 

 


 

▶午後12

肺がん罹患率が高いことから、市の健康増進計画で喫煙率の低下を目標とし、禁煙相談事業を実施した。
事業の評価の種類とその指標の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. プロセス評価――肺がんの受療率
  2. 影響評価――禁煙相談事業参加者の禁煙に関する理解度
  3. 成果評価――肺がん検診の受診者数
  4. 成果評価――禁煙相談事業の参加者数

 

 


 

▶午後13

母子保健推進員について正しいのはどれか。

 

  1. 法律で定められた研修を受ける必要がある。
  2. 都道府県知事からの委嘱を受ける。
  3. 行政と住民とのパイプ役である。
  4. 母子保健法に規定されている。

 

 


 

▶午後14

Aさん(22歳、女性、専業主婦)。夫と生後2か月の児との3人暮らし。他県からB市へ転入直後に、住民票の手続きのため市役所を訪れた。保健師は3か月児健康診査や保健事業について説明をした。Aさんは「初めての育児なので不安なことが多いです。夫は残業が多いため帰りが遅く、両親は遠くに住んでいるので頼れない。慣れない土地でどこに何があるかもよく分からないんです」と話した。
このとき、保健師がAさんに紹介する社会資源として適切なのはどれか。

 

  1. 母子生活支援施設
  2. 児童家庭支援センター
  3. 母子・父子休養ホーム
  4. 地域子育て支援センター

 

 


 

▶午後15

国民健康づくりの目標として初めて自殺者の減少を掲げたのはどれか。

 

  1. 第一次国民健康づくり対策
  2. 第二次国民健康づくり対策〈アクティブ80ヘルスプラン〉
  3. 第三次国民健康づくり対策〈健康日本21〉
  4. 第四次国民健康づくり対策〈健康日本21(第二次)〉

 

 


 

▶午後16

日本の学校看護婦の歴史で正しいのはどれか。

 

  1. 学校医よりも先に配置された。
  2. 特定の科目の修得によって認定された。
  3. 欧米のスクールナースがモデルになった。
  4. トラコーマの洗眼や点眼を行うために始まった。

 

 


 

▶午後19

研修において面接技法の修得に適している学習方法はどれか。

 

  1. 事例検討
  2. ロールプレイ
  3. e―ラーニング
  4. 専門家による講義

 

 


 

▶午後20

標準化死亡比〈SMR〉を求めるために必要な指標はどれか。

 

  1. 基準集団の死亡率
  2. 基準集団の年齢別人口
  3. 観察集団の年齢別人口
  4. 観察集団の年齢別死亡率

 

 


 

▶午後21

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律〈障害者総合支援法〉で規定されている地域相談支援について正しいのはどれか。

 

  1. 地域定着支援を行う。
  2. 利用者の負担額は1割である。
  3. 障害支援区分の認定が必要である。
  4. 指定特定相談支援事業者が実施する。

 

 


 

▶午後22

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉について正しいのはどれか。

 

  1. 予防接種を行う疾病を定めている。
  2. 十分な説明と同意に基づいた入院勧告制度がある。
  3. 特定感染症指定医療機関は都道府県知事が指定する。
  4. 4類感染症を診断した医師は7日以内に届出を行わなければならない。

 

 


 

▶午後23

地域保健法における市町村の役割で正しいのはどれか。

 

  1. 健康危機管理の拠点
  2. 食品衛生に関する指導
  3. 関係機関への技術的な援助
  4. 地域保健対策に必要な人材の確保

 

 


 

▶午後24

障害児の放課後等デイサービスの定義を定めている法律はどれか。

 

  1. 児童福祉法
  2. 学校保健安全法
  3. 発達障害者支援法
  4. 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律〈障害者総合支援法〉

 

 


 

▶午後25改題

令和4年(2022年)の日本における各年代と年代別死因第1位の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 20歳代――自殺
  2. 30歳代――悪性新生物〈腫瘍〉
  3. 40歳代――心疾患
  4. 50歳代――脳血管疾患
  5. 60歳代――肺炎

 

 


 

▶午後26

患者調査で把握できるのはどれか。

 

  1. 有訴者率
  2. 死亡率
  3. 致命率
  4. 有病率
  5. 受療率

 

 


 

▶午後27

妊娠前期の母親学級のプログラムに取り入れる歯科保健のテーマで優先度が高いのはどれか。

 

  1. 歯周疾患の予防
  2. フッ素化合物の効果
  3. 甘味食品の摂取制限
  4. 乳児の歯磨きの方法
  5. 小児の咀嚼機能の発達

 

 


 

▶午後28

ケアマネジメントについて正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 導入する社会資源を検討する。
  2. 専門職の判断を優先してケアプランを作成する。
  3. 法律に基づいた制度を活用することが原則である。
  4. 利用者はサービス担当者の会議に参加することはない。
  5. 継続的なケアを行うには関係機関の連携が重要である。

 

 


 

▶午後29

地域包括ケアシステムの推進に向けて、実務者が集まって地域ケア会議を開催することにした。
地域ケア会議で取り扱う内容として正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 個別事例の検討を行う。
  2. ケアプランを作成する。
  3. 介護保険事業計画を策定する。
  4. 地域にある社会資源の課題を共有する。
  5. 地域支援事業の予算配分について検討する。

 

 


 

▶午後30

産業保健総合支援センターについて正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 衛生管理者の選任を行う。
  2. 特殊健康診断の委託を受ける。
  3. 事業者に対する研修を実施する。
  4. 産業保健に関する情報提供を行う。
  5. 労働基準監督署ごとに設置されている。

 

 


 

▶午後31

特殊災害に分類されるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 原子力発電所の事故による放射線の漏えい
  2. 石油タンカーの座礁による海水の汚染
  3. 列車の脱線による交通網の障害
  4. 大雨による河川の氾濫
  5. 地震による橋の崩落

 

 


 

▶午後32

国民健康・栄養調査で把握できるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 健康寿命
  2. BMIの平均値
  3. 蛋白質の必要量
  4. 喫煙習慣者の割合
  5. 支出に占める食料費の割合

 

 


 

▶午後33

平成25年(2013年)に「地域における保健師の保健活動に関する指針」が改正された背景について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 健康日本21の策定
  2. 特定健康診査の導入
  3. 障害者の支援費制度の導入
  4. 地域包括支援センターの設置
  5. 感染症から生活習慣病への疾病構造の変化

 

 


 

▶午後34

因果関係を推測することができる研究デザインはどれか。2つ選べ。

 

  1. 横断研究
  2. 記述疫学
  3. 生態学的研究
  4. コホート研究
  5. 症例対照研究

 

 


 

▶午後35

心筋梗塞発症者100人と性・年齢をマッチングした心筋梗塞非発症者100人の5年前の健康診査の結果を調査し、糖尿病の有無を確認した。その結果、心筋梗塞発症者で20人、心筋梗塞非発症者で15人が糖尿病であった。
糖尿病であることの心筋梗塞発症に対するオッズ比を求めよ。
ただし、小数点以下第2位を四捨五入すること。

 

解答:① . ②

 

 


 

次の文を読み36〜38の問いに答えよ。

Aさん(70歳、男性)。1人暮らし。近所に住む友人のBさん(60歳、男性)からAさんについて地域包括支援センターの保健師に相談があった。Aさんは3年間介護していた妻が半年前に亡くなってから痩せ、最近は外であまり見かけなくなったという。翌日、保健師が民生委員に状況確認の連絡をしたところ、Aさんの現在の状況を把握していなかった。保健師はAさんの状況を把握するため、来週Bさんと一緒に家庭訪問を行うことにした。

 

▶午後36

家庭訪問時に収集すべき情報として最も優先度が高いのはどれか。

 

  1. 既往歴
  2. 毎日の食事内容
  3. 友人との交流状況
  4. 直近の健康診査の結果
  5. 自治会活動への参加状況

 

 


 

▶午後37

保健師がBさんとともに家庭訪問したところ、Aさんは訪問に戸惑っていたが、玄関先で話をしてくれた。Aさんの服装に乱れはなかった。室内にはごみ袋がいくつか置いてあり、捨てられていないようであった。Aさんは、少しずつ自分のことを話し始め「妻が亡くなってから楽しいことはなく、外に出かけたくない」と言い、表情は暗かった。Bさんが何か手伝うことがないか尋ねるとAさんは「心配してくれてありがとう。でも今は1人でいたいです」と言った。保健師は3日後に1人で訪問することを伝え、この日は訪問を終了した。
保健師の次回の訪問計画で適切なのはどれか。

 

  1. 外出の重要性を説明する。
  2. ごみを片付けるよう促す。
  3. 精神科への受診を勧める。
  4. 妻との別れを一緒に振り返る。
  5. ホームヘルプサービスの利用を勧める。

 

 


 

▶午後38

保健師は2週に1回の家庭訪問を続け、Aさんとの信頼関係が構築されてきた。Aさんは家の中を少しずつ整理し、散歩にも出かけるようになった。保健師の初回訪問から3か月後、Aさんから「亡くなった妻のためにも、自分が少しでも長生きしなければと思うようになったが、何をしたらよいのか分からない。少しずつ外に出てみようと思うが、人付き合いにはあまり自信がない」と相談があった。
Aさんに勧めることとして最も適切なのはどれか。

 

  1. 地域包括支援センター主催の介護予防教室への参加
  2. 老人福祉センターでのサークル活動への参加
  3. 高齢者サロンのボランティアへの登録
  4. シルバー人材センターへの登録

 

 


 

次の文を読み39〜41の問いに答えよ。

Aさん(40歳、男性)。妻と2人暮らし。Aさんは3年前に転職し、従業員数30人のコンピュータ関連の事業所に勤務している。6か月前から軽い咳が続いていたが、メンバー数5人の新規プロジェクトチームの責任者として忙しく、そのままにしていた。妻に痩せてきたことを指摘され、自宅近くの診療所を受診したところ、胸部エックス線写真で異常陰影があり病院を紹介され受診した。喀痰塗抹菌検査陽性、結核菌PCR陽性となり、肺結核と診断され入院した。診断した医師から保健所に結核発生の届出があった。

 

▶午後39

保健所の保健師がAさんに初回面接で確認する内容で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 出勤状況
  2. 転職前の職場
  3. 運動習慣の有無
  4. 結核に対する認識
  5. 特定健康診査の結果

 

 


 

▶午後40

接触者健康診断を実施したところ、妻が感染し、プロジェクトチームのうち1人が発病し、2人が感染していることが分かった。
保健所が次に行う対策として最も適切なのはどれか。

 

  1. 事業所の消毒
  2. 健康相談窓口の設置
  3. 接触者健康診断の拡大実施
  4. 地域の医師会への結核発生報告

 

 


 

▶午後41

保健所の保健師は、今回の事例を踏まえ、管内の事業所を対象に結核に関する正しい知識を啓発するためにリーフレットを作成することにした。
リーフレットに掲載する内容で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 「従業員のBCG接種を推奨します」
  2. 「定期的に作業場の換気をしましょう」
  3. 「結核は治療をすれば3か月で治ります」
  4. 「健康診断は6か月ごとに受診しましょう」
  5. 「咳が2週間以上続くときは医療機関を受診しましょう」

 

 


 

次の文を読み42〜44の問いに答えよ。

Aちゃん(9歳、女児)。4か月前から母親と親しくなった男性との3人暮らしを始めている。Aちゃんは「新しいお父さんができた」と喜んでいたが、1か月前から忘れ物が多くなり、この1か月に4日欠席をしている。担任が連絡をしたところ、母親から「家庭内のことに関わらないで欲しい」と激しい口調の拒絶を受けた。保健室で休むことも多くなったため、養護教諭がAちゃんに確認したところ、母親と男性が出掛けて戻らない日が多く、Aちゃんは菓子パンなどを買って食べているとのことであった。

 

▶午後42

養護教諭や担任などが集まって対応を協議した。
対応を協議する根拠となったAちゃんの状況はどれか。

 

  1. 低栄養
  2. 不登校
  3. ネグレクト
  4. 引きこもり

 

 


 

▶午後43

3日後、専門機関によるAちゃんへの支援が開始された。その後のAちゃんの出欠状況や家庭環境の変化などについて、専門機関から学校に定期的な情報提供の依頼があった。
窓口となった養護教諭の対応として適切なのはどれか。

 

  1. 情報提供は保護者の同意がなければ行わない。
  2. Aちゃんから情報収集するよう伝える。
  3. 3か月に1回情報提供を行う。
  4. 情報提供は書面で行う。

 

 


 

▶午後44

養護教諭は、Aちゃんのような児童が他にもいるのではないかと考え、これまでの発育および欠席状況による確認に加え、新たな対策を立てることとした。
緊急に対応する必要性の高い児童を抽出するための方法で最も適切なのはどれか。

 

  1. 学校教職員を対象にした研修会の実施
  2. 忘れ物の多い児童の把握
  3. 担任による親子面談
  4. 児童への食生活調査

 

 


 

次の文を読み45〜47の問いに答えよ。

運動習慣の死亡率に対する影響の調査のために1万人を対象とした10年間のコホート研究を行った。本研究では、年齢、食習慣および経済状況など参加者の基礎的背景も併せて調査した。脱落者を除いた結果を表に示す。
103pm45h

 

▶午後45

運動習慣があることに対して、運動習慣がないことの疾患Aによる死亡に関する1万人対の寄与危険はどれか。

 

  1. 0.4
  2. 0.7
  3. 1.4
  4. 10
  5. 40

 

 


 

▶午後46

運動習慣と死亡との関連が最も強いのはどれか。

 

  1. 疾患A
  2. 疾患B
  3. 疾患C
  4. その他の疾患

 

 


 

▶午後47

参加者の基礎的背景を補正しても、「運動習慣あり」の方が死亡率は有意に低かった。しかし、この結果からは「運動すれば長生きできる」という結論を導くことはできない。
その理由はどれか。

 

  1. 介入研究ではない。
  2. 情報バイアスがある。
  3. 二重盲検がされていない。
  4. 平均余命で比較していない。

 

 


 

次の文を読み48、49の問いに答えよ。

Aちゃん(生後5か月、女児)。父親(37歳)、母親(35歳)は病院の近くの市に2人で暮らしており、Aちゃんの祖父母は遠方に住んでいる。AちゃんはGCUに入院中である。
現病歴:在胎32週で羊水過多、胎児発育不全、心臓奇形および小脳低形成のため羊水の染色体検査を受け、18トリソミーと診断された。在胎週数37週0日、体重1,780gで出生し、NICUに入院した。食道閉鎖のため出生当日に胃瘻造設術を、気管軟化症のため生後3か月に気管切開術を受けた。気管切開下で24時間人工呼吸器管理、30分に1回程度の気管内吸引を実施している。
家族歴:特記すべきことはない。
身体所見:体重2,900g。体温37.0℃、脈拍130/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉94〜96%。定頸していない。

 

▶午後48

両親ともにAちゃんの退院を心待ちにしている。2か月以内の自宅への退院を目指すため、病院から保健所に退院調整カンファレンスへの参加依頼があり、地区担当保健師は事前に自宅を訪問することとした。
このときの訪問で保健師が両親から収集する情報で適切なのはどれか。

 

  1. 今後の治療方針
  2. 療育手帳の申請の有無
  3. 今後の予防接種の計画
  4. 自宅の療養環境の準備

 

 


 

▶午後49

家庭訪問から1週後、両親、主治医、病棟看護師、理学療法士、退院調整看護師、社会福祉士、訪問看護師および地区担当保健師が出席して、初回の退院調整カンファレンスが行われた。両親は退院後の生活に不安はあるものの、Aちゃんの面倒は自分達がみるべきであると考え、できるだけ他者の手を借りずに育てたいと思っているということであった。今後の方針として、小児科の一般病棟に転棟し、在宅療養に向けた医療的ケアの手技や育児の練習を行い、その後に自宅への外泊訓練を実施することが決まった。次回のカンファレンスは、院内で在宅療養に向けたシミュレーションを行った後、医療的ケアの手技などの習得状況の評価と外泊訓練に向けた準備について話し合う予定である。
次回のカンファレンスに参加を依頼する機関として優先度が高いのはどれか。

 

  1. 医療型児童発達支援センター
  2. 訪問診療を実施している診療所
  3. 医療型短期入所を実施している療育施設
  4. 訪問リハビリテーションを実施している事業所

 

 


 

次の文を読み50、51の問いに答えよ。

A県では50歳代の男性の自殺が増加傾向にあり、自殺予防対策の必要性が検討された。自殺者数が多いB市において、県と市が共催で自殺予防事業を実施することになった。

 

▶午後50

A県から事業実施の打診を受けたB市では、保健師を中心にプロジェクトチームを立ち上げることになった。
プロジェクトチームの参加機関として優先度が高いのはどれか。

 

  1. 精神保健福祉センター
  2. 労働基準監督署
  3. ハローワーク
  4. 県医師会

 

 


 

▶午後51

プロジェクトチームで検討した結果、地域における自殺予防の意識を高め、支援者を増やすため、ゲートキーパー養成の事業を実施することになった。まずは、市職員を対象に養成講座を実施し、民生委員やボランティアなどへ対象を段階的に広げてゲートキーパーを増やしていくこととした。講座の受講者からは「自殺予防の必要性を強く感じた」、「自殺予防のために自分にもできることがあることが分かった」などの意見が多く聞かれ、受講者数も増え続けたため、B市ではこの事業を継続することにした。
B市での事業の結果を受けて、A県で検討する内容として適切なのはどれか。

 

  1. 自死遺族の相談事業
  2. 他市町村への事業の展開
  3. ハイリスク者への家庭訪問
  4. 50歳代男性への質問紙調査

 

 


 

次の文を読み52、53の問いに答えよ。

Aさん(45歳、女性、会社員)。夫と2人暮らし。Aさんが勤務する会社では保健師が職員の健康管理のために面接による相談事業を実施している。Aさんは定期健康診断を受診し、結果は身長160cm、体重55kg、BMI21、血圧118/70mmHg。トリグリセリド90mg/dL、HDLコレステロール70mg/dL、LDLコレステロール139mg/dL、HbA1c5.0%、AST〈GOT〉20IU/L、ALT〈GPT〉15IU/L、γ-GTP20IU/Lであった。既往歴に特記すべきことはなく、現在治療中の疾患はない。飲酒はビール350mL/日を週5日、喫煙はしていない。

 

▶午後52

健康診断の結果から控えるよう指導するのはどれか。

 

  1. 食物繊維
  2. 飽和脂肪酸
  3. アルコール
  4. 総エネルギー量

 

 


 

▶午後53

保健師はAさんの健康診断の結果を受け、行動変容に向けて面接を行った。Aさんは「管理的な立場で仕事をしているため、帰宅は遅く21時くらいになってしまいます。家事もあり毎日が忙しいので、体調を崩したら困るなと思ってはいますが、具合が悪いところもないので具体的には何もしていません」と話した。
行動変容のステージから判断してAさんへの保健師の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 生活パターンの問題を指摘する。
  2. 健康診断の結果の理解度を確認する。
  3. 生活習慣の改善に向けた目標を一緒に立てる。
  4. 生活習慣の改善に向けて夫の協力を得るように伝える。

 

 


 

次の文を読み54の問いに答えよ。

Aさん(39歳、女性、教員)。夫(40歳、会社員)と長男(7歳)との3人暮らし。Aさんは小学校で6年生の担任をしている。夫は仕事で土日も不在のことが多い。長男は放課後に学童保育に通っている。Aさんは2か月間月経がみられないため、自宅近くの産婦人科を受診したところ妊娠11週と診断され、妊娠届を提出するよう指導された。妊娠16週に妊娠届を提出するため保健センターに来所した。保健センターでは、妊娠届の提出に来所した妊婦全員に保健師による面接を実施している。保健師は現在の健康状態、妊娠経過および分娩予定施設についてAさんに確認した。

 

▶午後54

今後のAさんへの支援を計画するために最も優先して確認するのはどれか。

 

  1. つわりの有無
  2. 育児用品の準備状況
  3. 妊娠届が遅れた理由
  4. 子宮がん検診の受診歴
  5. 不妊治療の経験の有無

 

 


 

次の文を読み55の問いに答えよ。

Aさん(66歳、女性)。夫(70歳)が早期の直腸癌と診断され、手術を受けた直後に死亡した。1か月後、Aさんは、医療安全支援センターの相談窓口が設置されている保健所に、電話で相談し「主治医から簡単な手術だと説明を受けて手術に同意したが、夫は手術後に亡くなった。納得できないので調査して欲しい」と訴えた。Aさんの希望で、保健所が病院に対して文書でAさんの夫の治療経過を照会したところ「Aさんの夫はまれに発生する術後合併症によって死亡した。術後合併症のことは、患者とAさんとに事前に説明していた。医療事故とは考えていない」と回答があった。

 

▶午後55

保健所の対応で適切なのはどれか。

 

  1. Aさんと病院とで話し合いの場が持てるように支援する。
  2. Aさんの夫の手術に関する診療録を病院に開示請求する。
  3. 医療行為と死亡との因果関係の有無を明らかにする。
  4. 病院に対し事故調査委員会を設置するよう指導する。

 

 


 

資料 厚生労働省「第103回保健師国家試験、第100回助産師国家試験、第106回看護師国家試験の問題および正答について

 

 

▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 医師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 薬剤師国家試験に出る国民衛生の動向