第109回看護師国家試験 午後一般問題
令和2年2月16日(日)に実施された第109回看護師国家試験について、午後問題のうち一般問題の正答と解説を示します。
「国民衛生の動向2024/2025」で内容を解説している問題に関しては、その参照章・ページを示しているので、同書を併用しながらの利用をおすすめします。
▼第109回看護師国家試験
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厚生の指標増刊
国民衛生の動向 2024/2025
発売日:2024.8.27
定価:2,970円(税込)
412頁・B5判
雑誌コード:03854-08
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電子書籍

▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向
午後 一般問題
▶午後18(必修除外)
過呼吸で正しいのはどれか。
- 吸気時に下顎が動く。
- 1回換気量が増加する。
- 呼吸数が24/分以上になる。
- 呼吸リズムが不規則になる。
② 1回換気量が増加する。
過呼吸は不安やストレスから生じ、呼吸回数やリズムは通常通り(12~20回/分)であるが、1回換気量が増加する。
▶午後26
成人の骨格で線維軟骨結合があるのはどれか。
- 頭蓋冠
- 脊柱
- 寛骨
- 仙骨
② 脊柱
線維軟骨結合(半関節)は、関節の結合部が繊維性の軟骨によるもので、脊柱を構成する椎間円板や恥骨結合はこれに当たる。
▶午後27
咀嚼筋はどれか。
- 頰筋
- 咬筋
- 口輪筋
- 胸鎖乳突筋
② 咬筋
咬筋は顎を閉じてかみしめる筋肉で、三叉神経が支配する咀嚼筋に当たる。このほか、咀嚼筋として側頭筋、内側翼突筋肉、外側翼突筋がある。
▶午後28
体温のセットポイントが突然高く設定されたときに起こるのはどれか。
- 立毛
- 発汗
- 代謝抑制
- 皮膚血管拡張
① 立毛
視床下部の指令により、通常の体温設定よりも高いセットポイントが設定された際は、それに向けて熱の上昇が行われ、ふるえや皮膚血管の収縮、立毛(鳥肌)により熱放散が抑制される。その他はセットポイントから熱が下降する際の反応である。
▶午後29
二次性高血圧症の原因となるホルモンはどれか。
- アルドステロン
- ソマトスタチン
- グルカゴン
- メラトニン
① アルドステロン
アルドステロンは副腎皮質ホルモンであり、腎臓の遠位尿細管に作用することでナトリウムの再吸収を促進し、血圧の調節が行われる。このため、過剰に分泌されると高血圧症の原因となる。
▶午後30
成人の急性扁桃炎の原因となる菌はどれか。
- 百日咳菌〈Bordetella pertussis〉
- 黄色ブドウ球菌〈Staphylococcus aureus〉
- インフルエンザ菌〈Haemophilus influenzae〉
- ヘリコバクター・ピロリ〈Helicobacter pylori〉
② 黄色ブドウ球菌〈Staphylococcus aureus〉
扁桃腺の炎症である扁桃炎は、黄色ブドウ球菌や溶血連鎖球菌、肺炎球菌などのウイルスに感染することで起きる。
▶午後31
急性骨髄性白血病の検査所見で正しいのはどれか。
- 赤血球数が増加する。
- 血小板数が増加する。
- 白血球分画に白血病裂孔を認める。
- ミエロペルオキシダーゼ反応陽性が3%未満である。
③ 白血球分画に白血病裂孔を認める。
急性骨髄性白血病は骨髄の異常により、がん化した白血病細胞が増加するもので、骨髄芽球(白血球になる前の未熟な細胞)と成熟白血球が認められるが、その分化過程にある白血球が確認できない白血病裂孔を特徴とする。
×① 赤血球数が増加する。
×② 血小板数が増加する。
骨髄の造血機能の低下により、赤血球、白血球(好中球)、血小板が減少する。
×④ ミエロペルオキシダーゼ反応陽性が3%未満である。
ミエロペルオキシダーゼ反応では、陽性率3%以上で急性骨髄性白血病と診断される。3%未満の場合は急性リンパ性白血病等が考えられる。
▶午後32
Ménière〈メニエール〉病で正しいのはどれか。
- 伝音性難聴を伴う。
- めまいは回転性である。
- 発作期に外科治療を行う。
- 蝸牛の機能は保たれている。
② めまいは回転性である。
メニエール病は蝸牛や前庭機能など内耳の異常疾患で、聴覚障害(感音性難聴、耳鳴り、耳閉感)を伴う回転性めまい発作を特徴とする。治療は薬物療法による対症療法を中心とする。
▶午後33
成人の急性腎盂腎炎で正しいのはどれか。
- 男性に多い。
- 両腎性が多い。
- 初尿を用いて細菌培養を行う。
- 原因菌はGram〈グラム〉陰性桿菌が多い。
④ 原因菌はGram〈グラム〉陰性桿菌が多い。
腎盂腎炎は、尿管につながる腎盂が、尿道から上行した大腸菌などのグラム陰性桿菌に感染することで起こる炎症である。
×① 男性に多い。
尿道の短い女性に多い。
×② 両腎性が多い。
両側に生じることもあるが片腎性が多い。
×③ 初尿を用いて細菌培養を行う。
初尿には外尿道周辺の細菌が混じるため、検査の正確性のために中間尿(排泄途中の尿)を用いる。
▶午後34
国民健康保険で正しいのはどれか。
- 被用者保険である。
- 保険者は国である。
- 高額療養費制度がある。
- 保険料は加入者の年齢で算出する。
③ 高額療養費制度がある。
各医療保険には、療養に要する費用が著しく高額になった場合、自己負担限度額を超える部分を償還払いする高額療養費制度が用意されている。
×① 被用者保険である。
わが国の医療保険は、被用者保険(職域保険)、国民健康保険、後期高齢者医療制度に大別される。
×② 保険者は国である。
国民健康保険の保険者は都道府県・市町村・国民健康保険組合である。
×④ 保険料は加入者の年齢で算出する。
国民健康保険の保険料(税)算定額は、所得割額、資産割額、均等割額、平等割額の合計であり、加入者の年齢に応じるものではない。
*第4編2章 3.医療保険各制度の概要と現状 p209~213
▶午後35
高齢者の虐待防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律〈高齢者虐待防止法〉で、措置された高齢者が入所する社会福祉施設はどれか。
- 有料老人ホーム
- 特別養護老人ホーム
- 高齢者生活福祉センター
- サービス付き高齢者向け住宅
② 特別養護老人ホーム
高齢者を保護・分離する手段として、居宅サービスの措置、養護老人ホームへの措置、特別養護老人ホームへのやむを得ない事由による措置などを講じることが規定されている。
*第5編2章 5.2〕高齢者虐待防止対策 p241~242
▶午後36
母子保健統計の算出方法で出生数を分母としているのはどれか。
- 妊娠満22週以後の死産率
- 周産期死亡率
- 乳児死亡率
- 死産率
③ 乳児死亡率
乳児死亡は生後1年未満の死亡をいい、乳児死亡率の計算には出生数を分母に用いる。
×① 妊娠満22週以後の死産率
「出生数+妊娠満22週以後の死産数」を分母に用いる。
×② 周産期死亡率
「出生数+妊娠満22週以後の死産数」を分母に用いる。
×④ 死産率
「出産(出生+死産)数」を分母に用いる。
*第2編2章 5.死産 p64~66
*第2編2章 6.周産期死亡 p66
*第2編2章 7.乳児死亡 p66~68
▶午後37
健康増進法に基づき実施されるのはどれか。
- 受療行動調査
- 特定保健指導
- アレルギー疾患対策
- 受動喫煙の防止対策
④ 受動喫煙の防止対策
健康増進法は、国民健康・栄養調査、保健指導等、特定給食施設、受動喫煙防止などを規定している。なお、②特定保健指導は高齢者の医療の確保に関する法律に基づき実施される。
*第3編1章 2.1〕(5)健康増進法 p86~87
▶午後38
判断能力のある成人患者へのインフォームド・コンセントにおける看護師の対応で適切なのはどれか。
- 患者の疑問には専門用語を用いて回答する。
- 今後の治療に関しては医療者に任せるように話す。
- 治療方針への同意は撤回できないことを説明する。
- 納得ができるまで医師からの説明が受けられることを伝える。
④ 納得ができるまで医師からの説明が受けられることを伝える。
医療提供の際に医療提供者が適切な説明を行い、医療の受け手の理解を得るように努める旨(インフォームド・コンセント)が医療法に規定されている。
*第4編1章 1.医療法 p166
▶午後39
看護過程における情報の分析はどれか。
- 脱水状態である。
- 尿比重は1.030である。
- 痛みは1〜10の尺度で8である。
- 左腓骨骨折によるシーネ固定をしている。
① 脱水状態である。
看護過程は、「アセスメント(情報収集等)」「看護診断」「計画立案」「実施」「評価」の5段階からなり、効率的に看護目標を達成するためのプロセスである。②~④は情報の収集であり、それらの客観的・主観的情報に基づいて①脱水などの症状を分析する。
▶午後40
第2〜第4腰髄の障害を確認する方法で適切なのはどれか。
- 輻輳反射
- 膝蓋腱反射
- Barré〈バレー〉徴候
- Trendelenburg〈トレンデレンブルグ〉徴候
② 膝蓋腱反射
膝蓋腱反射は、大腿四頭筋の腱を膝蓋の下で叩くと下肢が上がる伸展反射で、反射中枢は第2腰髄と第4腰髄の間にある。
▶午後41
成人のセルフケア行動に関する学習を促進するのはどれか。
- 自己効力感
- パターナリズム
- プレパレーション
- ノンコンプライアンス
① 自己効力感
セルフケア行動では、患者本人が達成可能な目標を立て、行動の定着を図り、目標評価を行う。自己効力感により目標達成能力を持っていると認識することで、行動の持続、学習の促進につながる。
▶午後42
成人女性に膀胱留置カテーテルを挿入する方法で適切なのはどれか。
- 水溶性の滅菌潤滑剤を用いる。
- カテーテルは外尿道口から15cm挿入する。
- 固定用バルーンを膨らませた後、尿の流出を確認する。
- 固定用バルーンにはクロルヘキシジングルコン酸塩液を注入する。
① 水溶性の滅菌潤滑剤を用いる。
尿道から膀胱留置カテーテルを挿入する際に粘膜を損傷しないよう、水溶性の潤滑剤を塗布する。なお、油脂を含んだ潤滑剤は固定用バルーン等の破損・変質につながるため用いない。
×② カテーテルは外尿道口から15cm挿入する。
女性のカテーテルでは尿道の長さよりも少し長い約4~7cmを挿入する(男性は約18~20cm)。
×③ 固定用バルーンを膨らませた後、尿の流出を確認する。
×④ 固定用バルーンにはクロルヘキシジングルコン酸塩液を注入する。
尿の流出を確認後、膀胱に到達してから滅菌蒸留水を用いて固定用バルーンを膨らませる。
▶午後43
中心静脈栄養法〈TPN〉で高カロリー輸液を用いる際に、起こりやすい合併症はどれか。
- 高血圧
- 高血糖
- 末梢静脈炎
- 正中神経麻痺
② 高血糖
中心静脈栄養法〈TPN〉による高カロリー輸液では、末梢静脈栄養法よりも糖濃度の高い輸液を投与することができるが高血糖が起こりやすく、投与中は定期的な血糖値の確認が必要である。
▶午後44
成人に自動体外式除細動器〈AED〉を使用する際の電極パッドの貼付で正しいのはどれか。
- 小児用電極パッドが代用できる。
- 右前胸部に縦に並べて貼付する。
- 貼付部の発汗は貼付前に拭き取る。
- 経皮吸収型テープ剤の上に貼付する。
③ 貼付部の発汗は貼付前に拭き取る。
自動体外式除細動器〈AED〉は、致死性不整脈である心室細動および無脈性心室頻拍を電気ショックによって取り除く(除細動)装置である。汗や海水で貼付部が濡れていると、電気が水分を通って心臓を通らない場合があるため、貼付前に拭き取る。
×① 小児用電極パッドが代用できる。
AEDに成人用パッドと小児用パッドが入っている場合、成人では小児用パッドは使えず、小児では成人パッドを代用できる。
×② 右前胸部に縦に並べて貼付する。
電極パッドは心臓を挟むように右前胸部と左側胸部の位置に貼り付けて使用する。
×④ 経皮吸収型テープ剤の上に貼付する。
電極パッドは傷病者の肌に密着させる。
▶午後45
Braden〈ブレーデン〉スケールの評価項目で正しいのはどれか。
- 湿潤
- 循環
- 体圧
- 年齢
① 湿潤
ブレーデンスケールは褥瘡発生の予測(リスクアセスメント)に用いるもので、「知覚の認知」「湿潤」「活動性」「可動性」「栄養状態」「摩擦とずれ」の6項目を評価項目とする。
▶午後46
医療施設において、患者の入院から退院までの看護を1人の看護師が継続して責任をもつことを重視した看護体制はどれか。
- 機能別看護方式
- 患者受け持ち方式
- チームナーシングシステム
- プライマリナーシングシステム
④ プライマリナーシングシステム
×① 機能別看護方式
内容別に分類した看護業務を複数の看護師が分担して実施する方式。
×② 患者受け持ち方式
一人の看護師が複数の患者を受け持つ方式。
×③ チームナーシングシステム
複数人の看護師チームがそのリーダーの下に一定数の患者を受け持つ方式。
▶午後47改題
令和5年(2023年)の国民健康・栄養調査における成人の生活習慣の特徴で正しいのはどれか。
- 朝食の欠食率は40歳代が最も多い。
- 運動習慣のある人の割合は30歳代が最も多い。
- 1日の平均睡眠時間は6時間以上7時間未満が最も多い。
- 習慣的に喫煙している人の割合は10年前に比べて増加している。
③ 1日の平均睡眠時間は6時間以上7時間未満が最も多い。
1日の平均睡眠時間は6時間以上7時間未満の割合が最も高い(男性35.2%・女性33.9%)。
×① 朝食の欠食率は40歳代が最も多い。
朝食の欠食率は、20歳代が33.7%と最も高い。
×② 運動習慣のある人の割合は30歳代が最も多い。
運動習慣のある人の割合は男女ともに70歳以上が最も多い。
×④ 習慣的に喫煙している人の割合は10年前に比べて増加している。
平成22年(2010年)と令和5年(2023年)の喫煙率をみると、男性は32.2%から25.6%、女性は8.4%から6.9%と減少傾向にある。
*第3編1章 2.健康増進対策 p84~94
▶午後48
慢性疾患をもつ成人の自己管理を促進する援助はどれか。
- 行動の習慣化を促す。
- 医療者が患者の目標を設定する。
- 結果を優先して評価することを促す。
- うまくいかない行動に目を向けるよう促す。
① 行動の習慣化を促す。
○① 行動の習慣化を促す。
×② 医療者が患者の目標を設定する。
患者の自己管理では、患者本人が達成可能な目標を立て、行動の定着・習慣化を図り、目標評価を行う。
×③ 結果を優先して評価することを促す。
×④ うまくいかない行動に目を向けるよう促す。
自己効力感を高めて自己管理の継続を図るため、結果よりも過程を評価する、うまくいった行動に目を向けるようにすることが望ましい。
▶午後49
気管支鏡検査を受ける成人患者への援助で正しいのはどれか。
- 検査の予約の際に抗凝固薬の内服の有無を確認する。
- 検査の1時間前から飲食しないように指導する。
- 検査中の咳は我慢しなくてよいと指導する。
- 検査後は肺気腫の症状に注意する。
① 検査の予約の際に抗凝固薬の内服の有無を確認する。
気管支鏡検査は口あるいは鼻から管を通して気管・気管支の観察を行い、呼吸器疾患の診断等を行うものである。組織採取(生検)時には出血を伴うため、出血傾向の有無(抗凝固薬の服用等)を必ず確認する。
×② 検査の1時間前から飲食しないように指導する。
検査の3~4時間前からの絶食を指導する。
×③ 検査中の咳は我慢しなくてよいと指導する。
×④ 検査後は肺気腫の症状に注意する。
検査中に咳をすると、内視鏡が胸膜を損傷し、胸腔内に空気が漏れ出る気胸のリスクが高まるため、我慢するように指導し、必要に応じて麻酔を追加する。
▶午後50
ラテックス製手袋を着用した直後に口唇・手足のしびれと喉頭の違和感を自覚した。
原因となる病態はどれか。
- Ⅰ型アレルギー
- Ⅱ型アレルギー
- Ⅲ型アレルギー
- Ⅳ型アレルギー
① Ⅰ型アレルギー
ラテックスアレルギーは天然ゴム製品に接触することで赤み、かゆみ、蕁麻疹などの皮膚障害や、まれにアナフィラキシーショックを引き起こすもので、IgE抗体を介したⅠ型アレルギー(即時型アレルギー)に分類される。
×④ Ⅳ型アレルギー
天然ゴム製品に含まれる化学物質が皮膚に接触することが原因で生じるアレルギー性接触皮膚炎は、感作リンパ球が関与するⅣ型アレルギーに分類されるが、接触してから数時間~2日程度経ってかゆみ、乾燥、湿疹等の症状が現れる遅延型アレルギーである。
▶午後51
Aさん(59歳、女性)は裂孔原性網膜剝離と診断され、硝子体手術の際に硝子体腔中にガス注入を受けた。
手術直後、病室での体位で適切なのはどれか。
- 坐位
- 腹臥位
- 仰臥位
- 側臥位
② 腹臥位
硝子体手術は、硝子体や網膜の疾患を治療するため、水晶体の後ろにある硝子体を除去し、最後にガスを注入することで硝子体を置き換える方法である。ガス注入後、上方に浮くガスにより網膜を押さえるため、手術後約1週間は腹臥位(うつぶせ寝)の体位をとる。
▶午後52
散瞳薬を用いて眼底検査を受ける成人患者への対応で適切なのはどれか。
- 検査中は室内を明るくする。
- 散瞳薬の点眼は検査直前に行う。
- 検査前に緑内障の有無を確認する。
- 検査後1時間で自動車の運転が可能になると説明する。
③ 検査前に緑内障の有無を確認する。
散瞳薬は眼圧を上昇させるため、眼圧の上昇が原因である緑内障患者の症状を悪化させることがあり、緑内障の既往の有無を確認する必要がある。
×① 検査中は室内を明るくする。
散瞳薬で瞳孔を広げると、眼に入る光の量が増加して羞明(光過敏)が強くなる。眼底検査は暗室検査室で検眼鏡を用いて行う。
×② 散瞳薬の点眼は検査直前に行う。
散瞳薬の効果が現れるまで30分程度かかるため、点眼後に時間を置く必要がある。
×④ 検査後1時間で自動車の運転が可能になると説明する。
散瞳薬の効果は約6時間残るため、羞明が強い状態での自動車運転は控える。
▶午後53
関節リウマチで長期にわたりメトトレキサートを服用している患者の副作用〈有害事象〉で適切なのはどれか。
- 便秘
- 不整脈
- 聴力障害
- 間質性肺炎
④ 間質性肺炎
抗リウマチ剤であるメトトレキサートの副作用〈有害事象〉として、間質性肺炎(肺胞壁の炎症や線維化)や骨髄抑制(骨髄の造血機能の低下)が挙げられる。
▶午後54改題
令和4年(2022年)の国民生活基礎調査で、要介護者等との続柄別にみた主な介護者の構成割合のうち、「同居の家族」が占める割合に最も近いのはどれか。
- 6%
- 26%
- 46%
- 66%
③ 46%
要介護者等との続柄別にみた主な介護者の構成割合のうち、同居の家族が45.9%を占める。なお、同居の家族のうちでは同居の配偶者が全体の22.9%で最も多い。
*第5編1章 10.介護者・要介護者等の状況 p229~230
▶午後55
老化によって減少または低下するのはどれか。
- 重心の動揺
- 糸球体の数
- 嗅覚の閾値
- 前立腺の重量
② 糸球体の数
老化により血液を濾過する腎臓の糸球体が減少し、腎機能が低下する。
×① 重心の動揺
老化によりバランス機能が低下し、重心の動揺が拡大する。
×③ 嗅覚の閾値
老化により嗅覚機能が低下=反応下限値(閾値)が上昇する。
×④ 前立腺の重量
老化により前立腺の肥大(重量増加)等が起こり、排尿・蓄尿機能が低下する。
▶午後56
高齢者に対するエイジズムの説明で適切なのはどれか。
- 年齢にとらわれないこと
- 加齢に伴う心身機能の変化
- 高齢という理由で不当な扱いをすること
- 老化に関連した遺伝子によって引き起こされる現象
③ 高齢という理由で不当な扱いをすること
エイジズムとは年齢による偏見や差別をいい、特に高齢者に対する差別が問題となる。
▶午後57
Aさん(90歳、女性)は、認知症で要介護3。デイサービスの送迎の際に、同居している娘から「食事は家族と同じものを食べていたのですが、昨日から下痢が続いています。発熱はなく、元気はあります」と看護師に話があった。デイサービスでは午前中に不消化便が1回あり、おむつ交換の際に、肛門周囲の発赤がみられた。
Aさんへの対応で適切なのはどれか。
- 腹部マッサージを行う。
- 経口補水液の摂取を促す。
- 食物繊維を多く含む食事にする。
- 石けんを使って肛門周囲を洗う。
② 経口補水液の摂取を促す。
下痢により水分とカリウムの排泄が増大し、脱水や低カリウム血症のおそれがあるため、経口補水液で補うことが適切である。
▶午後58
乳児の安静時におけるバイタルサインで基準値から逸脱しているのはどれか。
- 体温37.0℃
- 呼吸数35/分
- 心拍数60/分
- 血圧88/60mmHg
③ 心拍数60/分
乳児期の心拍数の基準は110~130/分であり、逸脱している。
×① 体温37.0℃
体温は乳児の正常範囲(36.5~37.5℃)である。
×② 呼吸数35/分
呼吸数は乳児の正常範囲(30~40回)である。
×④ 血圧88/60mmHg
血圧は乳児の正常範囲(収縮期80~90mmHg/拡張期60mmHg)である。
▶午後59改題
令和3年度(2021年度)の福祉行政報告例における児童虐待で正しいのはどれか。
- 主たる虐待者は実父が最も多い。
- 性的虐待件数は身体的虐待件数より多い。
- 児童虐待相談件数は5年間横ばいである。
- 心理的虐待件数は5年前に比べて増加している。
④ 心理的虐待件数は5年前に比べて増加している。
児童虐待件数のうち、心理的虐待件数は平成27年(2015年)と比較して4.8万件から12.5万件と著しく増加している。
×① 主たる虐待者は実父が最も多い。
主たる虐待者は「実母」が47.5%、「実父」が41.5%となっている。
×② 性的虐待件数は身体的虐待件数より多い。
児童虐待の内容別にみると、「心理的虐待」が60.1%で半分以上を占め、次いで「身体的虐待」「ネグレクト」「性的虐待」となっている。
×③ 児童虐待相談件数は5年間横ばいである。
平成27年(2015年)と比較すると、児童虐待相談件数は10.3万件から20.8万件と倍増している。
*第5編2章 3.4〕児童虐待防止対策 p237~238
▶午後60
Aちゃん(5歳、女児)は、インフルエンザ脳症の終末期である。Aちゃんに意識はなく、付き添っている母親は「私がもっと早く病院に連れて来ればこんなことにならなかったのに」と病室で泣いている。
Aちゃんの母親への対応で適切なのはどれか。
- 母親に受診が遅くなった状況を聞く。
- 母親がAちゃんに対してできるケアを提案する。
- 病気で亡くなった子どもの親の会を母親に紹介する。
- 母親が泣いている間はAちゃんの病室に居ることができないと母親に説明する。
② 母親がAちゃんに対してできるケアを提案する。
対応が遅くなったことに強い自責の念や後悔を抱いている母親に対し、今後母親としてできることを提案することで、その軽減を図ることが適切である。
▶午後61改題
令和5年(2023年)の人口動態統計における日本の出生で正しいのはどれか。
- 出生数は過去10年で最低である。
- 出生数は80万人を上回っている。
- 合計特殊出生率は1.10を下回っている。
- 第1子出生時の母の平均年齢は30歳未満である。
① 出生数は過去10年で最低である。
○① 出生数は過去10年で最低である。
×② 出生数は80万人を上回っている。
令和5年(2023年)の出生数は72.7万人で過去最低となっている。
×③ 合計特殊出生率は1.10を下回っている。
令和5年(2023年)の合計特殊出生率は1.20である。
×④ 第1子出生時の母の平均年齢は30歳未満である。
令和5年(2023年)の第1子出生時の母の平均年齢は30.9歳である。
*第2編2章 2.出生 p51~55
▶午後62
エストロゲン低下によって更年期の女性に起こるのはどれか。
- 骨量の低下
- 内臓脂肪の減少
- 脳血流量の増加
- HDLコレステロールの上昇
① 骨量の低下
閉経(約50歳)前後の更年期に女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が減少することで、骨吸収が進み(破骨)、骨粗鬆症のリスクが高まる。その緩和のため、ホルモン補充療法〈HRT〉が効果的である。
▶午後63
順調に分娩が進行している産婦から「腟から水っぽいものが流れ、下着が濡れた」と看護師に訴えがあった。流出したものを確認すると、量は少量で、羊水特有の臭いを認めた。
その時の産婦への対応で優先されるのはどれか。
- 更衣を促す。
- 体温を測定する。
- 食事摂取を勧める。
- 胎児心拍数を確認する。
④ 胎児心拍数を確認する。
分娩中に卵膜が破れて羊水が流出する破水が生じており、破水時に臍帯下垂・臍帯脱出が起きると周産期死亡や胎児機能不全のリスクが高まるため、胎児の心拍数モニタリングを最優先する。
▶午後64
新生児の反応の図を示す。
Moro〈モロー〉反射はどれか。

③
モロー反射は新生児にみられる原始反射で、外部からの刺激に対して両手を広げて抱きつくような反射をいう。出生後すぐから反応が見られ、生後3~4か月ころには消失する。
×①
原始反射のうち探索反射に当たり、唇に触れたものに対して、その方向に顔を向けて口を開いて探そうとする反射をいう。
×②
原始反射のうち非対称性緊張性頸反射に当たり、頭部を一方に向けると、向けた側の手足を伸ばして反対側の手足を曲げる反射をいう。
×④
原始反射のうち自動歩行反射に当たり、足裏を床に付けると歩き出すような動作を行う反射をいう。
▶午後65
飲酒したい欲求を抑圧した人が、酩酊状態の人の行動を必要以上に非難する防衛機制はどれか。
- 昇華
- 転換
- 合理化
- 反動形成
④ 反動形成
防衛機制とは、直面した危機や困難に対し、その不安を和らげるために無意識に働く心理的な防衛反応である。反動形成は、抑圧された無意識の欲求を表出しないよう、それと反対の意識・行動を強調して示すことをいう。
×① 昇華
昇華は、反社会的な性的欲求や攻撃的欲求を、芸術やスポーツ、学業などの社会的行動に変えて発散することをいう。
×② 転換
転換は、耐えがたい感情や欲求を心身症状に置き換えることをいう。
×③ 合理化
合理化は、耐えがたい感情や欲求に対してもっともらしい理由を付けて、自分自身を納得させることをいう。なお、客観的な知識によって納得しようとすることは知性化という。
▶午後66
アギュララ, D. C.が提唱した危機〈クライシス〉を回避する要因で正しいのはどれか。
- 情緒的サポート
- 適切な対処機制
- 問題志向のコーピング
- ソーシャルインクルージョン
② 適切な対処機制
アギュララの問題解決型危機モデルでは、危機に遭遇した際、精神の均衡状態を保つための回復要因として、「出来事の知覚」「社会的支持」「対処機制」の3つを挙げている。
▶午後67
精神障害の三次予防の内容で適切なのはどれか。
- うつ病患者の復職支援
- 住民同士のつながりの強化
- 精神保健に関する問題の早期発見
- ストレス関連障害の発症予防に関する知識の提供
① うつ病患者の復職支援
疾病の予防対策には、生活習慣の改善や予防接種等により発症そのものを予防する一次予防、検診等により発症の早期発見・早期治療により重症化を予防する二次予防、リハビリテーション等により疾病の進行後の社会復帰を図る三次予防がある。④は一次予防、②は一次予防もしくは二次予防、③は二次予防である。
*第3編1章 1.1〕生活習慣病の概念 p80
▶午後68
成人期早期に、見捨てられることに対する激しい不安、物質乱用や過食などの衝動性、反復する自傷行為、慢性的な空虚感、不適切で激しい怒りがみられ、社会的、職業的に不適応を生じるのはどれか。
- 回避性人格〈パーソナリティ〉障害
- 境界性人格〈パーソナリティ〉障害
- 妄想性人格〈パーソナリティ〉障害
- 反社会性人格〈パーソナリティ〉障害
② 境界性人格〈パーソナリティ〉障害
人格〈パーソナリティ〉障害は、認知や感情のコントロール、対人関係などの精神機能の偏りから、周囲と異なる反応や行動をするものをいう。設問は、パーソナリティ障害の病型の一つである境界性人格〈パーソナリティ〉障害で、「境界性」は神経症的な症状(強いイライラ感)と統合失調症的な症状(幻覚と妄想)の境界を意味する。
▶午後69
医療保護入院で正しいのはどれか。
- 入院の期間は72時間に限られる。
- 患者の家族等の同意で入院させることができる。
- 2人以上の精神保健指定医による診察の結果で入院となる。
- 精神障害のために他人に害を及ぼすおそれが明らかな者が対象である。
② 患者の家族等の同意で入院させることができる。
医療保護入院は、精神障害者自身の同意に基づく任意入院が行われる状態にないと判定された者に対して、その家族等の同意がある場合に入院させる制度である。
×① 入院の期間は72時間に限られる。
医療保護入院の対象で、家族等の同意を得ることができない場合には72時間以内の応急入院を行うことができる。
×③ 2人以上の精神保健指定医による診察の結果で入院となる。
医療保護入院や応急入院は、精神保健指定医1名の診察を要件としている。
×④ 精神障害のために他人に害を及ぼすおそれが明らかな者が対象である。
入院させなければ自傷他害のおそれがある精神障害者に対しては、精神保健指定医2名の診察による措置入院がとられる。また、急速な入院の必要性がある場合には、指定医1名の診察による72時間以内の緊急措置入院を行うことができる。
*第3編2章 4.3〕精神科の入院制度 p112~114
▶午後70
Aさん(55歳、男性)は、妻と2人暮らし。建築士として主にデスクワークの仕事を行っていた。脊髄損傷のため下半身の不完全麻痺となり、リハビリテーション専門の病院へ転院した。電動車椅子を用いて室内の動作は自立できるようになった。退院調整部門の看護師との面接でAさんから「元の職場に戻りたい」と話があった。
Aさんの自己決定を支援する看護師の助言で適切なのはどれか。
- 「元の職場の仕事を在宅勤務に変更しましょう」
- 「デスクワークなので職場復帰は可能と思います」
- 「職場復帰にあたりAさんが課題と思うことを整理しましょう」
- 「元の職場にこだわらずAさんの障害にあった職場を探しましょう」
③ 「職場復帰にあたりAさんが課題と思うことを整理しましょう」
職場復帰にあたり、労働者自身が職業生活における制限の範囲を整理した上で、事業者や健康管理部門(人事労務担当)、産業保健スタッフに相談し、その課題を解決することが適切である。
▶午後71
訪問看護事業所で正しいのはどれか。
- 24時間対応が義務付けられている。
- 自宅以外への訪問看護は認められない。
- 特定非営利活動法人〈NPO〉は事業所を開設できる。
- 従事する看護師は臨床経験3年以上と定められている。
③ 特定非営利活動法人〈NPO〉は事業所を開設できる。
訪問看護ステーションは、都道府県知事から介護保険法に基づき事業者の指定を受け、医療法人、営利法人(会社)、社団・財団法人、社会福祉法人、地方公共団体、協同組合、NPO法人などが開設している。
×① 24時間対応が義務付けられている。
訪問看護事業所が利用者やその家族からの連絡や相談に対して24時間対応を行う場合、24時間対応体制加算が算定されるが、義務づけられているものではない。
×② 自宅以外への訪問看護は認められない。
自宅以外にも、認知症対応型共同生活介護〈グループホーム〉や(養護・軽費・有料)老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などでも訪問看護を受けることができる。
×④ 従事する看護師は臨床経験3年以上と定められている。
訪問看護事業所に従事する看護師の臨床経験に定めはない。実際の求人では臨床経験を要件にする場合も多いが、臨床未経験でも働きながら仕事を覚える教育プログラム(OJT)の充実も図られている。
*第4編1章 3.2〕訪問看護 p170~172
▶午後72
Aさん(78歳、男性)は、妻(75歳)と2人暮らし。脳梗塞の既往がある。妻から「最近、夫は食事をむせずに食べることができるが、口の中に食べ物が残っていることが多い。夫の食事について助言が欲しい」と訪問看護師に相談があった。
妻への訪問看護師の助言で適切なのはどれか。
- 「食事にとろみをつけましょう」
- 「自助具を使って食事をしましょう」
- 「口に入れる1回量を少なくしましょう」
- 「食事前に舌の動きを促す運動をしましょう」
④ 「食事前に舌の動きを促す運動をしましょう」
摂食・嚥下は、認知期、準備期、口腔期、咽頭期、食道期の段階を経る。脳梗塞により、舌を使って咽頭に食塊を運ぶ口腔期における嚥下障害がみられるため、口腔期の口腔ケアとして舌のトレーニングを行い、舌の筋力低下を防ぐことが適切である。
▶午後73
皮下埋込みポートを用いた在宅中心静脈栄養法〈HPN〉で適切なのはどれか。
- 抜針して入浴することができる。
- 24時間持続する注入には適さない。
- 同居の家族がいることが必須条件である。
- 外出時に輸液ポンプを使うことはできない。
① 抜針して入浴することができる。
皮下埋込みポートは中心静脈カテーテルの一つで、カテーテルと接続するポートごと皮下に埋め込み、体外から穿刺針を通して輸液を行うもので、穿刺針を外せば入浴することができる。
×② 24時間持続する注入には適さない。
×④ 外出時に輸液ポンプを使うことはできない。
24時間・外出時の利用も可能である。
×③ 同居の家族がいることが必須条件である。
患者本人の管理ができれば同居家族は条件としない。
▶午後74
与薬の事故防止に取り組んでいる病院の医療安全管理者が行う対策で適切なのはどれか。
- 与薬の業務プロセスを見直す。
- 医師に口頭での与薬指示を依頼する。
- 病棟ごとに与薬マニュアルを作成する。
- インシデントを起こした職員の研修会を企画する。
① 与薬の業務プロセスを見直す。
与薬の事故として、薬剤投与量の誤り、患者取り違え、変更指示の伝達漏れなどのヒューマンエラーが考えられる。ミスを起こすという前提に立って、与薬プロセスを見直すことが有効である。
×② 医師に口頭での与薬指示を依頼する。
口頭での与薬指示は聞き間違い、認識のずれ、忘却が発生しやすく、可能な限り文面で後から確認できる指示を依頼する。
×③ 病棟ごとに与薬マニュアルを作成する。
病棟を横断した統一的な与薬マニュアルが望ましい。
×④ インシデントを起こした職員の研修会を企画する。
再発防止を図るための状況把握、要因分析、職種間の情報共有等が重要だが、インシデントを起こした職員個人に対する懲罰・反省を図る目的の研修会では効果が薄い。
▶午後75
Aさん(55歳、女性)は、1人暮らし。Aさんには視覚障害があり、光と輪郭がぼんやりわかる程度である。食事の準備や室内の移動は自立している。震度6の地震が発生した。Aさんは、避難所に指定されたバリアフリーの公民館に近所のBさんと避難した。公民館には複数の部屋がある。避難所の開設初日に医療救護班として看護師が派遣された。
避難所生活を開始するAさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
- BさんをAさんの介助者とする。
- Aさんの肩に触れてから声をかける。
- Aさんにはトイレに近い部屋を割りあてる。
- 移動するときはAさんの手を引っ張って誘導する。
③ Aさんにはトイレに近い部屋を割りあてる。
視覚障害者に対して、室内の移動は自立しているものの避難所という新しい環境であり、トイレに近い部屋を割り当てることで転倒や失禁等のリスクを減らす。
×① BさんをAさんの介助者とする。
介助者の決定は看護師の対応として適切ではなく、また室内の移動は自立していることから、まずはその介助の必要程度をアセスメントする。
×② Aさんの肩に触れてから声をかける。
驚かせないように声をかけてから触れる。
×④ 移動するときはAさんの手を引っ張って誘導する。
視覚障害者の誘導方法として、介助者は半歩前を歩いて肩や肘を持ってもらう。
▶午後76
朝9時に大規模地震が発生した。病棟の患者と職員の安全は確認できた。病棟内の壁や天井に破損はなかったが、病院は、停電によって自家発電装置が作動した。
病棟の看護師長が行う対応で適切なのはどれか。
- 災害対策本部を設置する。
- 災害時マニュアルを整備する。
- 隣接する病棟に支援を要請する。
- スタッフに避難経路の安全確認を指示する。
④ スタッフに避難経路の安全確認を指示する。
災害急性期においては患者と職員の安全を最優先とし、被害状況の確認、余震等に備えた避難経路の安全確認を行うことが適している。
×① 災害対策本部を設置する。
災害対策本部は病院組織全体として設置されるもので、病棟の看護師長の対応としては適さない。
×② 災害時マニュアルを整備する。
災害時マニュアルは平時において整備する。
×③ 隣接する病棟に支援を要請する。
発災直後であり、病棟横断的に支援を要請するよりも、安全確認・状況把握を最優先とする。
▶午後77
Aさん(28歳、男性)。海外出張で訪れたアフリカ地域から帰国後1週に39℃の発熱と解熱を繰り返すため外来を受診した。腹部症状は特にない。
予測される感染症はどれか。
- マラリア
- コレラ
- 赤痢
- 破傷風
① マラリア
マラリアは、熱帯・亜熱帯地域に広く分布する感染症で、ハマダラカ(蚊)によって媒介される。最も多い症状は発熱と悪寒で、熱発は間隔をあけて発熱期と無熱期を繰り返す。
*第3編3章 3.7〕マラリア p139
▶午後78
看護師の特定行為で正しいのはどれか。
- 診療の補助である。
- 医師法に基づいている。
- 手順書は看護師が作成する。
- 特定行為を指示する者に歯科医師は含まれない。
① 診療の補助である。
保健師助産師看護師法に定める特定行為は、看護師が医師または歯科医師の作成する手順書により行う診療の補助で、38行為が規定されている。
*第4編1章 4.4〕看護職員等 p193~197
▶午後79
( )の組織を還流した血液は心臓に戻る前に肝臓を通過する。
( )に入るのはどれか。
- 舌
- 食道
- 小腸
- 腎臓
- 下肢
③ 小腸
小腸組織を還流した血液は門脈を通り、全身循環血に移行する前に肝臓を通過する。薬剤の投与等においては肝臓内の酵素によって代謝されるため、この初回通過効果を考慮した上で投与方法、量を定める必要がある。
▶午後80
「安静時呼吸」、「深呼吸」、「徐々に深くなっていく呼吸」に伴う肺容量の変化を図に示す。

肺活量を示すのはどれか。
- ①
- ②
- ③
- ④
- ⑤
⑤ ⑤
線に挟まれた範囲は、上から「予備吸気量」「1回換気量」「予備呼気量」「①残気量」である。②は最大吸気量(予備吸気量+1回換気量)、③は機能的残気量(残気量+予備呼気量)、⑤は肺活量(最大吸気量+予備呼気量)、④は全肺気量(肺活量+残気量)である。
▶午後81
健常な成人において、血液中のグルコース濃度が低下した時に、グルカゴンの働きでグリコゲンを分解してグルコースを生成し、血液中に放出するのはどれか。
- 肝臓
- 骨格筋
- 脂肪組織
- 心臓
- 膵臓
① 肝臓
グルカゴンは膵臓で生成され、空腹時など血糖値が低下した際に、肝臓で貯蔵しているグリコゲンをブドウ糖(グルコース)に分解することで血糖値を上昇させるはたらきを持つ。
▶午後82
関節運動はないが筋収縮が認められる場合、徒手筋力テストの結果は( )/5と表記する。
( )に入るのはどれか。
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
① 1
徒手筋力テスト(MMT)は、検査者が手を使って患者の筋力を判定する方法で、筋収縮が全くない0から、強い抵抗を加えても完全に可動域全体を動かせる5までの、6段階で評価される。関節運動はないが筋収縮が認められる場合は1である。
▶午後83
加齢黄斑変性の症状はどれか。
- 羞明
- 霧視
- 飛蚊症
- 眼圧の亢進
- 中心視野の欠損
⑤ 中心視野の欠損
加齢黄斑変性は加齢により網膜の中心部である黄斑に変性が生じるもので、進行により視野の中心部のゆがみ(変視症)や中心部が見えなくなる症状(中心暗点)が現れる。①や②は白内障、③は網膜剥離、④は緑内障等の症状である。
▶午後84
高齢者が共同生活をする施設で、感染の拡大予防のために個室への転室などの対応を必要とするのはどれか。
- 白癬
- 帯状疱疹
- 蜂窩織炎
- 角化型疥癬
- 皮膚カンジダ症
④ 角化型疥癬
疥癬はヒゼンダニを介したヒトとヒトとの接触感染が主であり、特に角化型疥癬(ノルウェー疥癬)は感染力が非常に強いため、個室への転室などにより衣類等を介した間接的な接触も避ける対応が望ましい。
▶午後85
3歳児の排泄行動の発達に該当するのはどれか。
- 夜尿をしなくなる。
- 尿意を自覚し始める。
- 排便後の後始末ができる。
- トイレに行くまで排尿を我慢できる。
- 遊びに夢中になっても排尿の失敗がなくなる。
④ トイレに行くまで排尿を我慢できる。
2歳ころから尿意の自覚を始め、3歳ころには昼間の排尿の我慢ができるようになる。
▶午後86
全身性エリテマトーデス〈SLE〉で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 遺伝素因の関与が大きい。
- 発症には男性ホルモンが関与する。
- 中枢神経症状は生命予後に影響する。
- Ⅰ型アレルギーによる免疫異常である。
- 適切に治療しても5年生存率は50%である。
① 遺伝素因の関与が大きい。
③ 中枢神経症状は生命予後に影響する。
① 全身性エリテマトーデス〈SLE〉は自己免疫疾患(膠原病)であり、原因不明だが一定程度の遺伝素因の関与が指摘される。
③ 様々な器官等に異常がみられるが、特に重度の中枢神経症状(中枢神経ループス)では、精神障害や麻痺など生命予後に影響する。
×② 発症には男性ホルモンが関与する。
20~40歳の女性の発症が多いため女性ホルモンの関与が指摘される。
×④ Ⅰ型アレルギーによる免疫異常である。
免疫複合体型のⅢ型アレルギーによる免疫異常である。
×⑤ 適切に治療しても5年生存率は50%である。
医療技術の進歩により発症後の5年生存率は改善し、95%以上となっている。
▶午後87
大量の輸液が必要と考えられる救急患者はどれか。2つ選べ。
- 前額部の切創で出血している。
- オートバイ事故で両大腿が変形している。
- プールの飛び込み事故で四肢が動かない。
- デスクワーク中に胸が苦しいと言って倒れている。
- 火事で顔面、胸腹部、背部および両上肢にⅡ度の熱傷を負っている。
② オートバイ事故で両大腿が変形している。
⑤ 火事で顔面、胸腹部、背部および両上肢にⅡ度の熱傷を負っている。
② 両大腿の変形から大腿骨骨折が考えられ、大腿動脈の損傷による大量出血のおそれがあり、大量の輸液が必要となる。
⑤ Ⅱ度の熱傷により、電解質の異常や血管透過性亢進による循環血液量の減少が考えられるため、大量の輸液が必要となる。
▶午後88
胃食道逆流症で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 青年期に多い。
- 高脂肪食の摂取を勧める。
- 食後は左側臥位で休息する。
- 下部食道括約筋の弛緩が関与する。
- H2受容体拮抗薬によって自覚症状が緩和する。
④ 下部食道括約筋の弛緩が関与する。
⑤ H2受容体拮抗薬によって自覚症状が緩和する。
④ 胃食道逆流は胃酸が食道へ逆流することをいい、下部食道括約筋の弛緩によって生じる。
⑤ 胃酸の分泌を抑え、胃食道逆流に伴う自覚症状を緩和するために、H2受容体拮抗薬やプロトンポンプ阻害薬が用いられる。
×① 青年期に多い。
下部食道括約筋は加齢に伴って弛緩するため、胃食道逆流症は高齢期に多い。
×② 高脂肪食の摂取を勧める。
高脂肪食は胃酸の分泌を促進し、逆流のリスクを高めるため摂取を制限する。
×③ 食後は左側臥位で休息する。
胃食道逆流は食後に起こりやすいため、食後は上半身を起こした坐位や半坐位(ファウラー位)をとることが望ましい。
▶午後89
健やか親子21(第2次)の基盤課題Bのうち、学童期・思春期の課題の指標となっているのはどれか。2つ選べ。
- 十代の喫煙率
- 十代の自殺死亡率
- 十代の定期予防接種の接種率
- 児童・生徒における不登校の割合
- 児童・生徒におけるむし歯(う歯)の割合
① 十代の喫煙率
② 十代の自殺死亡率
健やか親子21(第2次)の基盤課題Bは、「学童期・思春期から成人期に向けた保健対策」であり、十代の喫煙率、飲酒率、自殺率、朝食を欠食する子どもの割合などの目標が掲げられている。
*第3編2章 1.3〕健やか親子21 p99~100
▶午後90
1,500mLの輸液を朝9時からその日の17時にかけて点滴静脈内注射で実施する。
20滴で1mLの輸液セットを用いた場合の1分間の滴下数を求めよ。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。
解答:①②滴/分
① 6
② 3
1分あたりの滴下数は、(総輸液量×1mLあたりの滴下数)÷時間(分)で計算する。時間は9時から17時までの8時間なので、60分×8時間で480分。(1,500×20)÷480=62.5で、小数点第一位を四捨五入し63となる。
資料 厚生労働省「第106回保健師国家試験、第103回助産師国家試験、第109回看護師国家試験の問題および正答について」
注 当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。
▼第109回看護師国家試験
▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向
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