第111回看護師国家試験 午前一般問題
令和4年2月13日(日)に実施された第111回看護師国家試験について、午前問題のうち一般問題の正答と解説を示します。
「国民衛生の動向2024/2025」で内容を解説している問題に関しては、その参照章・ページを示しているので、同書を併用しながらの利用をおすすめします。
▼第111回看護師国家試験
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厚生の指標増刊
国民衛生の動向 2024/2025
発売日:2024.8.27
定価:2,970円(税込)
412頁・B5判
雑誌コード:03854-08
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▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向
午前 一般問題
▶午前1改題(必修除外)
労働力調査による労働力人口の令和5年(2023年)平均に最も近いのはどれか。
- 4,900万人
- 5,900万人
- 6,900万人
- 7,900万人
③ 6,900万人
労働力人口とは15歳以上人口のうち就業者と完全失業者の合計で、令和5年(2023年)平均で6925万人(男3801万人・女3124万人)である。
*第2編1章 3.労働力人口 p48~49
▶午前26
正常な心臓で心拍出量が減少するのはどれか。
- 心拍数の増加
- 大動脈圧の上昇
- 静脈還流量の増加
- 心筋収縮力の上昇
② 大動脈圧の上昇
心拍出量とは、1分間に左心室から全身に送り出される血液量をいい、心拍出量は1回拍出量×心拍数で求められるため、両者の増減により心拍出量も増減する。大動脈圧が上昇すると、血圧を元に戻すために心拍数が減少する(動脈圧受容器反射)。
▶午前27
ワクチン接種後の抗体産生について正しいのはどれか。
- ワクチン内の抗原を提示するのは好中球である。
- 抗原に対して最初に産生される抗体はIgAである。
- 抗原に対して血中濃度が最も高くなる抗体はIgMである。
- 同じワクチンを2回接種すると抗原に対する抗体の産生量が増加する。
④ 同じワクチンを2回接種すると抗原に対する抗体の産生量が増加する。
①はマクロファージ等、②はIgM、③はIgGに当たる。
▶午前28
B細胞が抗原認識によって分化した抗体産生細胞はどれか。
- マクロファージ
- 形質細胞
- 肥満細胞
- T細胞
② 形質細胞
形質細胞は、体内に入った抗原に対してBリンパ球(B細胞)から分化し、免疫グロブリン(抗体)の産生を行う。
▶午前29
皮膚筋炎の皮膚症状はどれか。
- 環状紅斑
- 蝶形紅斑
- ディスコイド疹
- ヘリオトロープ疹
④ ヘリオトロープ疹
皮膚筋炎は皮膚と筋肉の炎症を起こす指定難病の一つで、上眼瞼部の紫紅色の腫れぼったい紅斑(ヘリオトロープ疹)はその特徴の一つである。なお、②や③は全身性エリテマトーデス〈SLE〉の皮膚症状である。
▶午前30
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律〈育児・介護休業法〉における介護休業の取得で正しいのはどれか。
- 介護休業は分割して取得することはできない。
- 介護の対象者1人につき半年を限度に取得できる。
- 要介護状態にある配偶者を介護するために取得できる。
- 介護老人福祉施設に入所している家族の面会のために取得できる。
③ 要介護状態にある配偶者を介護するために取得できる。
育児・介護休業法における介護休業の対象家族は、要介護状態にある配偶者(事実婚含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫である。
×① 介護休業は分割して取得することはできない。
×② 介護の対象者1人につき半年を限度に取得できる。
対象家族1人につき3回まで、連続したひとまとまりの期間の休業(合計93日まで)を取得できる。
×④ 介護老人福祉施設に入所している家族の面会のために取得できる。
同法の「介護」とは、歩行、排泄、食事、入浴等の日常生活に必要な便宜を供与することをいい、日常生活上の世話等を行う介護老人福祉施設に入所している家族の面会は通常該当しない。
*第5編2章 3.6〕妊産婦等の就業 p238~239
▶午前31
社会福祉法に基づき社会福祉協議会が推進するのはどれか。
- がん対策
- 男女共同参画
- 就労の支援活動
- ボランティア活動
④ ボランティア活動
社会福祉協議会は、社会福祉法に基づく地域福祉の推進を図ることを目的とする民間組織で、地域の実情に応じボランティア活動支援、見守りネットワークづくり、生活福祉資金の貸し付け、日常生活自立支援事業などを実施している。
*第5編2章 6.3〕社会福祉協議会・民生委員 p244~245
▶午前32改題
日本の令和4年(2022年)の健康に関する指標の記述で正しいのはどれか。
- 女性の死因の第2位は老衰である。
- 男性の死因の第2位は肺炎である。
- 女性の平均寿命は89年を超えている。
- 男性の平均寿命は83年を超えている。
① 女性の死因の第2位は老衰である。
令和4年(2022年)の死因順位は、第1位が悪性新生物〈腫瘍〉、第2位が心疾患、第3位が老衰、第4位が脳血管疾患、第5位が肺炎となっている。女性では2位と3位が入れ替わる。
×② 男性の死因の第2位は肺炎である。
男性では3位と4位が入れ替わる。
×③ 女性の平均寿命は89年を超えている。
×④ 男性の平均寿命は83年を超えている。
平均寿命(0歳の平均余命)は男性が81.05年、女性が87.09年となっている。
*第2編2章 3.2〕死因の概要 p56~58
*第2編3章 生命表 p70~73
▶午前33
労働衛生の「3管理」とは、作業環境管理と作業管理と( )である。
( )に入るのはどれか。
- 健康管理
- 総括管理
- 労務管理
- 出退勤管理
① 健康管理
労働安全衛生法の下に、労働衛生の3管理(作業環境管理・作業管理・健康管理)が整備されている。
*第8編 3.労働衛生管理の基本 p300~301
▶午前34改題
健康を人々の権利として明記したのはどれか。
- 世界保健機関〈WHO〉の健康に関する定義
- ジュネーブ宣言
- ヘルシンキ宣言
- リスボン宣言
① 世界保健機関〈WHO〉の健康に関する定義
世界保健機関〈WHO〉憲章では、健康を単に疾病等がないことではなく、完全な肉体的、精神的、社会的福祉の状態と定義し、様々な差別なく、すべての人が有する権利として、個人と国家の協力の下に達成するために、WHOの目的としてすべての人が最高の健康水準に到達することをうたっている。
*第1編2章 12.世界保健機関〈WHO〉 p36~39
▶午前35
地域連携クリニカルパスの目的はどれか。
- 医療機関から在宅までの医療の継続的な提供
- 地域包括支援センターと地域住民との連携
- 地域医療を担う医療専門職の資質向上
- 患者が活用できる社会資源の紹介
① 医療機関から在宅までの医療の継続的な提供
地域連携クリニカルパスは、急性期病院から回復期病院を経て早期に自宅に帰れるような全体的な診療計画をいい、治療を受ける地域内の医療機関で共有して用いる。
*第4編1章 2.医療計画 p166~169
▶午前36
集団指導が望ましいのはどれか。
- 胃全摘出術後の患者への退院指導
- Ⅰ型糖尿病の学童を対象とした療養指導
- 子宮頸癌の術後の神経因性膀胱の患者への間欠的自己導尿の指導
- ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者への生活指導
② Ⅰ型糖尿病の学童を対象とした療養指導
指導内容の特性から人権・プライバシーに配慮するもの(③・④)、生活環境や年齢など個々人の特性に応じて指導内容が変わるもの(①)については、個別指導が望ましい。
*第3編3章 3.4〕HIV・エイズ〈AIDS〉 p135~137
▶午前37
上肢のフィジカルアセスメントの立位での実施場面の写真を別に示す。

手のひらを上にして、肩の高さで水平に前方に両腕を伸ばしてもらった。その後、閉眼してもらうと、左腕が回内しながら下がっていった。
アセスメントの結果で正しいのはどれか。
- 位置覚の異常
- 錐体路の障害
- 小脳機能の異常
- 関節可動域の障害
② 錐体路の障害
麻痺側の上肢が回内しながら下がってくる上肢バレー徴候は、脳梗塞等による錐体路の障害により上肢に軽度の運動麻痺がある場合に現れる。
▶午前38
臥床患者の体位変換とボディメカニクスの原則との組合せで正しいのはどれか。
- 仰臥位から側臥位――トルクの原理
- 仰臥位から長座位――摩擦力
- ベッドの片側への水平移動――力のモーメント
- ベッドの頭部への水平移動――てこの第1種の原理
① 仰臥位から側臥位――トルクの原理
トルクの原理ではねじり(回転)の力を用いる。褥瘡等を防ぐための仰臥位から側臥位への体位変換においては、腕を組んで膝を高く立てて摩擦を減らし、膝を先に倒して腰を少ない力で回転させる。
▶午前39
Aさん(24歳、男性)は急性虫垂炎の術後1日で、ベッド上で仰臥位になり右前腕から点滴静脈内注射が行われている。Aさんは左利きである。
病室外のトイレまでAさんが移動するための適切な療養環境はどれか。
- 履物はAさんの左手側に置く。
- ベッド柵はAさんの右手側に設置する。
- 輸液スタンドはAさんの左手側に置く。
- ベッドは端座位時にAさんの足底が床につく高さにする。
④ ベッドは端座位時にAさんの足底が床につく高さにする。
ベッドからの移乗・移動時の転倒・転落事故を避けるために、端座位時に足底が床につく高さが望ましい。その他の選択肢は、右前腕に点滴静脈内注射が行われていることから、移乗・移動は右側から行うと考えられるため、いずれも逆である。
▶午前40
全介助が必要な臥床患者の口腔ケアで適切なのはどれか。
- スポンジブラシは水を含ませた後、絞って使用する。
- 頸部を後屈した体位で実施する。
- 終了後は口腔内を乾燥させる。
- 舌苔は強くこすって除去する。
① スポンジブラシは水を含ませた後、絞って使用する。
臥床患者の口腔ケア時は誤嚥に細心の注意を払う必要があり、スポンジブラシから滴った水分が気管に入り込むことのないように絞る。また、②は同様の理由で頸部前屈が望ましい。
▶午前41
術後1日の手術創の正常な治癒過程として正しいのはどれか。
- 創部の浮腫が起こる。
- 肉芽組織が形成される。
- コラーゲンが成熟し瘢痕組織となる。
- 血管内皮細胞が新しい血管を形成する。
① 創部の浮腫が起こる。
創傷の正常な治癒過程は、出血凝固期、炎症期(①)、増殖期(②・④)、成熟期(③)の4段階であり、術後1日の初期は出血凝固期、炎症期の期間である。
▶午前42改題
令和2年(2020年)の患者調査において医療機関を受診している総患者数が最も多いのはどれか。
- 喘息
- 糖尿病
- 脳血管疾患
- 高血圧性疾患
④ 高血圧性疾患
令和2年(2020年)の総患者数は高血圧性疾患が1511.1万人で最も多く、次いで糖尿病が579.1万人となっている。
*第2編4章 2.受療状況 p76~79
▶午前43
解離性大動脈瘤の破裂直後に出血性ショックとなった患者の症状として正しいのはどれか。
- 黄疸
- 浮腫
- 顔面紅潮
- 呼吸不全
④ 呼吸不全
出血性ショックは交通事故などの外傷や大動脈瘤破裂などの体内出血により大量の血液を失った状態で、血液を介した細胞への酸素供給が不足することで呼吸不全が生じる。
▶午前44
Aさん(60歳、男性)は大動脈弁置換術を受け、ワルファリンの内服を開始することになった。
Aさんが摂取を避けるべき食品はどれか。
- 海藻
- 牛乳
- 納豆
- グレープフルーツ
③ 納豆
ワルファリンは血液を固まりにくくし、血栓や塞栓を防ぐ抗凝固剤である。ビタミンKはワルファリンの働きを阻害する拮抗作用があり、ワルファリン使用時にはビタミンKを多く含む納豆などの食品の摂取は控える。
▶午前45
慢性膵炎患者の食事療法で制限が必要なのはどれか。
- 蛋白質
- カリウム
- 食物繊維
- アルコール
④ アルコール
慢性膵炎は、アルコールの大量摂取などにより膵臓の炎症が慢性的に起こり、膵臓機能が低下している状態をいい、アルコールの制限はもとより、膵臓に含まれるリパーゼ(脂肪分解酵素)の分泌も低下するため、脂質の制限も必要である。
▶午前46
血中濃度の測定にあたり食事の影響を考慮すべきホルモンはどれか。
- グルカゴン
- メラトニン
- コルチゾール
- バゾプレシン
① グルカゴン
グルカゴンは膵臓で生成され、空腹時など血糖値が低下した際に、肝臓で貯蔵しているグリコーゲンをブドウ糖(グルコース)に分解することで血糖値を上昇させるはたらきを持つ。
▶午前47
脳血管造影を行う患者の看護について適切なのはどれか。
- 前日に頭部の剃毛を行う。
- 検査中は患者に話しかけない。
- 穿刺部末梢側の動脈の拍動を確認する。
- 検査30分前まで食事摂取が可能である。
③ 穿刺部末梢側の動脈の拍動を確認する。
脳血管造影はカテーテルを動脈に挿入し、造影剤を注入して脳血管の様子をレントゲン撮影する検査である。合併症として末梢血管閉塞や末梢動脈循環障害を起こすリスクがあるため、穿刺部末梢側動脈の拍動を確認する必要がある。
×① 前日に頭部の剃毛を行う。
カテーテルは手首や肘、鼠径部の動脈から挿入するもので、頭部の剃毛は不要である。
×② 検査中は患者に話しかけない。
脳血管造影検査は比較的侵襲度の高い検査であり、検査中に患者に異常がないか注意深い観察、声かけが必要である。
×④ 検査30分前まで食事摂取が可能である。
脳血管造影検査前の食事摂取はできない。
▶午前48
Aさん(32歳、男性)は慢性副鼻腔炎と診断され経過観察をしていたが、症状が改善せず手術を受けることになった。
Aさんへの術後の生活についての説明で適切なのはどれか。
- 咽頭にたまった分泌物は飲み込んでも良い。
- 物が二重に見えるときは看護師に伝える。
- 手術当日から入浴が可能である。
- 臥床時は頭部を低く保つ。
② 物が二重に見えるときは看護師に伝える。
慢性副鼻腔炎は炎症によって慢性的に副鼻腔内に膿がたまる病気で、手術治療としては炎症を起こした粘膜や鼻ポリープ(鼻茸)の切除が行われる。手術の合併症として、距離の近い目の壁を傷つけて、複視や視力低下が起きる可能性がある。
×① 咽頭にたまった分泌物は飲み込んでも良い。
合併症である出血を観察するため、分泌物は吐き出すようにする。
×③ 手術当日から入浴が可能である。
×④ 臥床時は頭部を低く保つ。
合併症である出血を防止するため、入浴を避ける、頭部を高く保つ。
▶午前49
幻肢痛について正しいのはどれか。
- 術前から発症する。
- 抗うつ薬は禁忌である。
- 細菌感染が原因である。
- 切断し喪失した部位に生じる。
④ 切断し喪失した部位に生じる。
幻肢痛は、交通事故などにより手足を切断して喪失した後に、失ったはずの手足の感覚があるように痛みを感じるものである。
▶午前50
乳房超音波検査を受ける女性患者への説明で正しいのはどれか。
- 「検査当日は起床時から飲食をしないでください」
- 「乳房を器具で挟んで検査します」
- 「月経中は検査ができません」
- 「仰向けで検査を行います」
④ 「仰向けで検査を行います」
乳房超音波検査は診察台に仰向け(仰臥位)に寝て行い、超音波を乳腺に当てて、跳ね返った反射を画像化して観察する。
×① 「検査当日は起床時から飲食をしないでください」
検査前の食事制限は不要である。
×② 「乳房を器具で挟んで検査します」
X線撮影であるマンモグラフィの説明であり、立位で乳房を器具で挟み、内外斜位方向と頭尾方向から撮影する。
×③ 「月経中は検査ができません」
月経中でも検査はできる。ただし、正確な検査のため、乳房の張りが少ない月経後の検査が勧められる。
▶午前51
Aさん(54歳、女性)は甲状腺機能亢進症と診断され、放射性ヨウ素内用療法を受けることとなった。
看護師の説明で正しいのはどれか。
- 「治療前1週間は海藻類を摂取しないでください」
- 「治療中は体を固定します」
- 「治療後の副作用に脱毛があります」
- 「治療後1週間は生野菜を摂取しないでください」
① 「治療前1週間は海藻類を摂取しないでください」
放射性ヨウ素内用療法は、甲状腺がんや甲状腺機能亢進症(バセドウ病)などの治療法として用いられ、ガンマ線を放出する放射性ヨードを内服して行う。内服前後の1週間は海藻類などヨウ素の摂取を厳しく制限する必要がある。
▶午前52
老年期の発達課題を引退の危機、身体的健康の危機および死の危機の3つの段階で示したのはどれか。
- エリクソン
- レビンソン
- ペック
- ユング
② レビンソン
レビンソンは、発達期を「児童期と青年期」「成人前期」「中年期」「老年期」とし、それぞれの移行期を「過渡期」として注目した。このうち「老年期」は、引退等による役割の喪失、死への恐怖を特徴とする。
▶午前53
介護保険制度における施設サービスはどれか。
- 介護医療院サービス
- 小規模多機能型居宅介護
- サービス付き高齢者向け住宅
- 認知症対応型共同生活介護〈認知症高齢者グループホーム〉
① 介護医療院サービス
介護保険法に基づいて、要介護者が「居宅サービス」「地域密着型サービス」「施設サービス」を受けた場合に介護給付が支給される。介護医療院は施設サービスの一つで、長期にわたり療養が必要である要介護者に対し、必要な医療や日常生活上の世話を行うことを目的とする。
×② 小規模多機能型居宅介護
居宅サービスの一つで、居宅または通所、短期間宿泊(ショートステイ)して、日常生活上の世話および機能訓練を行うものである。
×③ サービス付き高齢者向け住宅
高齢者の居住の安定確保に関する法律に規定されるサービスである。
×④ 認知症対応型共同生活介護〈認知症高齢者グループホーム〉
地域密着型サービスの一つで、比較的安定した状態にある認知症の要介護者等に対して、共同生活(1ユニット5~9人)を営む住居で日常生活上の世話や機能訓練を行うものである。
*第5編1章 3.介護給付 p222~225
▶午前54
30歳を100%とした生理機能と比較して、老年期において機能の残存率の平均値が最も低下するのは次のうちどれか。
- 基礎代謝率
- 最大換気量
- 細胞内水分量
- 神経伝導速度
② 最大換気量
加齢に伴いいずれも低下するが、とくに1分間に肺から出入するガスの最大量である最大換気量は半分以下に大きく低下する。
▶午前55
高齢者の健康障害の特徴で正しいのはどれか。
- 症状の出現は定型である。
- 治療の効果が現れやすい。
- 疾患の発生に心理的要因の影響は少ない。
- 薬物の副作用〈有害事象〉が発生しやすい。
④ 薬物の副作用〈有害事象〉が発生しやすい。
高齢者においては、肝臓の代謝機能や腎臓の排泄機能が低下することにより、薬物が体内に多く残り、副作用〈有害事象〉が発生しやすくなる。
▶午前56
Aさん(83歳)は寝たきり状態で、便意を訴えるが3日間排便がみられない。認知機能に問題はない。昨晩下剤を内服したところ、今朝、紙オムツに水様便が少量付着しており、残便感を訴えている。
このときのAさんの状態で考えられるのはどれか。
- 嵌入便
- 器質性便秘
- 切迫性便失禁
- 非急性感染性下痢
① 嵌入便
嵌入便は寝たきり高齢者に多くみられる直腸性便秘の一つであり、肛門付近で多量の便が塊となってたまり、残便感はあるが排便できない状態をいう。この状態で下剤を投与すると、大腸内の便が水様便となって、嵌入便のそばから漏れるだけとなるため、浣腸等により塊を取り除く必要がある。
×② 器質性便秘
器質性便秘は、大腸癌や腸管の炎症、癒着などにより通過障害が起きる便秘である。
×③ 切迫性便失禁
切迫性便失禁は、急に我慢できないほどの強い便意を催すことによる便失禁をいう。
×④ 非急性感染性下痢
非急性感染性下痢とは、細菌やウイルスの感染による下痢のうち、症状が長期間にわたり続くものをいう。
▶午前57
発育と発達に遅れのない生後6か月の男児。BCG接種の翌日に接種部位が赤く腫れ次第に増悪して膿がみられたため、母親は接種後4日目に医療機関に電話で相談し、看護師が対応した。児に発熱はなく、哺乳や機嫌は良好である。
このときの看護師の説明で適切なのはどれか。
- 「通常の反応です」
- 「速やかに来院してください」
- 「1週間後にまた電話をください」
- 「患部をアルコール消毒してください」
② 「速やかに来院してください」
BCGは結核を予防するワクチンで、予防接種法に基づき生後1歳に至るまで(標準的な接種は生後5~8か月)の間に定期接種を行う。接種後5~6週間頃に針の痕に一致して発赤や膿がみられることがあるが、正常な反応とされる。ただし、接種から約10日以内にこうした反応が生じた場合は、すでに結核菌に感染しているおそれもあり、速やかに医療機関に相談・受診する必要がある。
*第3編3章 3.2〕結核 p129~132
▶午前58
新生児の出血性疾患で正しいのはどれか。
- 生後48時間以内には発症しない。
- 母乳栄養児は発症のリスクが高い。
- 予防としてカルシウムを内服する。
- 早期に現われる所見に蕁麻疹がある。
② 母乳栄養児は発症のリスクが高い。
新生児の出血性疾患は、血液凝固作用を持つビタミンKが欠乏することにより起こり、特に母乳中にはビタミンKが少ないため、母乳栄養児で発症のリスクが高い。
×① 生後48時間以内には発症しない。
出生後24時間以内に発生することもある。
×③ 予防としてカルシウムを内服する。
予防のため、出生後にビタミンKの内服が行われる。
×④ 早期に現われる所見に蕁麻疹がある。
早期の所見としては吐血や下血などがみられる。
▶午前59
入院中の小児のストレス因子と発達段階の組合せで正しいのはどれか。
- 見慣れない環境――新生児期
- プライバシーの侵害――幼児期
- 病気の予後への不安――学童期
- 母子分離――思春期
③ 病気の予後への不安――学童期
①は乳児期以降、②は学童期、④は乳児期である。
▶午前60
A君(小学6年生)は病院に併設された院内学級に通いながら骨肉腫の治療を続けていた。現在、肺転移があり終末期にある。呼吸障害のため鼻腔カニューレで酸素(2L/分)を吸入中である。A君の食事摂取量は減っているが意識は清明である。
1週後に院内で卒業式が予定されている。A君は「卒業式に出席したい」と話している。
看護師のA君への対応として適切なのはどれか。
- 両親に判断してもらおうと話す。
- 今の状態では出席は難しいと話す。
- 出席できるように準備しようと話す。
- 出席を決める前に体力をつけようと話す。
③ 出席できるように準備しようと話す。
終末期患者の意思や自己決定を尊重することが望ましく、「卒業式に出席したい」というA君の希望を実現するためのサポートを行うことが適切である。
▶午前61
ジェンダーの定義について正しいのはどれか。
- 生物学的な性
- 社会的文化的な性
- 自己認識している性
- 性的指向の対象となる性
② 社会的文化的な性
ジェンダーとは社会的・文化的に構築された役割、態度、行動、属性を表し、とくにジェンダーに基づく女性への偏見・不平等が問題とされる。
×① 生物学的な性
男女の生物学的性差をセックス(sex)と表す。
×③ 自己認識している性
自己認識している性を性同一性(ジェンダーアイデンティティー)といい、生物学的な性と不一致を来している状態を性同一性障害という。
×④ 性的指向の対象となる性
性的指向をセクシュアルといい、その対象によってホモセクシュアル(同性)、ヘテロセクシュアル(異性)、バイセクシュアル(両性)、アセクシュアル(対象なし)という。
▶午前62改題
日本の周産期の死亡に関する記述で正しいのはどれか。
- 新生児死亡は生後1週未満の死亡をいう。
- 死産は妊娠満12週以後の死児の出産をいう。
- 妊産婦死亡は妊娠中又は妊娠終了後満28日未満の女性の死亡をいう。
- 令和5年(2023年)の人口動態統計では自然死産数が人工死産数よりも多い。
② 死産は妊娠満12週以後の死児の出産をいう。
死産は妊娠満12週以後の死児の出産をいい、胎児の母体内生存が確実なときに人工的処置を行って死産に至る人工死産と、それ以外の自然死産に分けられる。
×① 新生児死亡は生後1週未満の死亡をいう。
新生児死亡は生後4週未満の死亡をいい、生後1週未満の死亡は早期新生児死亡である。
×③ 妊産婦死亡は妊娠中又は妊娠終了後満28日未満の女性の死亡をいう。
妊産婦死亡は妊娠中又は妊娠終了後満42日未満の女性の死亡をいう。
×④ 令和5年(2023年)の人口動態統計では自然死産数が人工死産数よりも多い。
令和5年(2023年)は、自然死産数が7,150胎、人工死産数が8,382胎となっている。
*第2編2章 4.妊産婦死亡 p64
*第2編2章 5.死産 p64~66
*第2編2章 6.周産期死亡 p66
*第2編2章 7.乳児死亡 p66~68
▶午前63
避妊法について適切なのはどれか。
- 経口避妊薬は排卵を抑制する。
- コンドーム法の避妊効果は99%以上である。
- 基礎体温法は月経が不順な女性に有用である。
- 子宮内避妊器具(IUD)は性交のたびに挿入が必要である。
① 経口避妊薬は排卵を抑制する。
経口避妊薬は女性が主導で使用でき、排卵を抑制して高い避妊効果を示す。
×② コンドーム法の避妊効果は99%以上である。
コンドームの使用は避妊に効果的であるが、数%から十数%の失敗率がある。
×③ 基礎体温法は月経が不順な女性に有用である。
基礎体温法は、主に毎朝基礎体温を測って排卵期を予測するものであるが、月経不順や体調不良等の女性では予測が困難となる。
×④ 子宮内避妊器具(IUD)は性交のたびに挿入が必要である。
子宮内避妊器具(IUD)はいったん装着すれば数年にわたり避妊が可能になる。
▶午前64
マタニティブルーズについて正しいのはどれか。
- 意欲低下が主症状である。
- 症状は2週間以上持続する。
- 好発時期は産後1か月ころである。
- 産後のホルモンの変動が要因となる。
④ 産後のホルモンの変動が要因となる。
マタニティブルーズは、胎盤からの女性ホルモン(エストロゲン等)の急減を要因の一つとして、情緒不安定(涙もろさ等)、抑うつなどの精神症状を呈するもので、出産後3日~1週間前後に発症しやすく、10日目ほどで軽快する。なお、①~③は産後うつの特徴である。
▶午前65
精神保健における一次予防はどれか。
- 職場でうつ病患者を早期発見する。
- 自殺企図者に精神科医療機関への受療を促す。
- 統合失調症患者の社会参加のための支援を行う。
- ストレスとその対処法に関する知識の啓発活動を行う。
④ ストレスとその対処法に関する知識の啓発活動を行う。
疾病の予防対策には、生活習慣の改善や予防接種等により発症そのものを予防する一次予防、検診等により発症の早期発見・早期治療により重症化を予防する二次予防、リハビリテーション等により疾病の進行後の社会復帰を図る三次予防がある。①と②は二次予防、③は三次予防である。
*第3編1章 1.1〕生活習慣病の概念 p80
▶午前66
認知行動療法で患者に期待できる効果はどれか。
- 物事の捉え方のゆがみが修正される。
- 自ら催眠状態に導くことができるようになる。
- 過去の自分の態度についての自己洞察が深まる。
- 自分の状態をあるがままに受け入れることができるようになる。
① 物事の捉え方のゆがみが修正される。
人間は認知のあり方(物事の考え方や受け取り方)が気分や行動に影響を与える。認知行動療法は、認知の偏りを修正し、問題解決を手助けすることによって精神疾患を治療することを目的とした精神療法として広く活用されている。
▶午前67
Aさん(22歳、統合失調症)は父親、母親、妹との4人暮らし。高校卒業後、アルバイトをしていたが、症状の悪化によって初めて精神科病院に入院した。退院後に一般企業で働きたいと希望している。
看護師がAさんに提案するサービスで適切なのはどれか。
- 行動援護
- 就労移行支援
- 自立生活援助
- 地域定着支援
② 就労移行支援
障害者総合支援法では就労移行支援事業が設けられ、就労を希望し、一般雇用が可能な障害者に対して、一定期間就労に必要な知識・能力の向上のために必要な訓練を行っている。
×① 行動援護
障害者総合支援法に定める行動援護は、自己判断能力が制限されている者が行動する際に、危険を回避するための必要な支援や外出支援を行うものである。
×③ 自立生活援助
障害者総合支援法に定める自立生活援助は、障害者の一人暮らしに必要な支援を行うため、定期的な居宅訪問や随時の対応を行うものである。
×④ 地域定着支援
障害者総合支援法に定める地域定着支援は、入所施設や精神科病院から退所・退院した障害者や、家族との同居から一人暮らしに移行した障害者に対して、地域生活を継続していくための支援を行うものである。
*第3編2章 3.障害児・者施策 p107~111
▶午前68
Aさん(80歳、女性)は1人暮らし。要介護2の認定を受け、長男(50歳、会社員)、長男妻(45歳、会社員)、孫(大学生、男性)と同居することになった。長男の家の間取りは、洋室5部屋、リビング、台所である。Aさんは同居後に訪問看護を利用する予定である。訪問看護を利用するにあたりAさんの家族から「在宅介護は初めての経験なのでどうすればよいですか」と訪問看護師に相談があった。
訪問看護師の説明で最も適切なのはどれか。
- 「Aさんの介護用ベッドはリビングに置きましょう」
- 「Aさんの介護に家族の生活リズムを合わせましょう」
- 「活用できる在宅サービスをできる限り多く利用しましょう」
- 「特定の同居家族に介護負担が集中しないように家族で話し合いましょう」
④ 「特定の同居家族に介護負担が集中しないように家族で話し合いましょう」
同居の主な介護者の悩みやストレスの原因をみると「家族の病気や介護」が最も多く、こうした介護者の負担軽減のため、訪問介護などを利用したレスパイトケア(介護者の一時的な休息支援)の拡充が図られている。①や②は介護者の負担の増加につながりかねない。
*第5編1章 10.介護者・要介護者等の状況 p229~230
▶午前69
Aさん(73歳、男性)は慢性閉塞性肺疾患で在宅酸素療法(HOT)を受けている。
受診時にAさんが「1人でお風呂に入っているが、息切れが強い」と訴えたため、外来看護師は入浴時の具体的な状況を確認した。
外来看護師がAさんに確認した内容で、息切れの原因と考えられるのはどれか。
- 入浴はシャワー浴にしている。
- 椅子に座って更衣を行っている。
- 洗髪時に鼻カニューレを外している。
- 浴室の扉を開けたまま入浴している。
③ 洗髪時に鼻カニューレを外している。
洗髪動作により酸素必要量が増加する際に鼻カニューレを外しているため、息切れ(呼吸困難)が生じていると考えられる。在宅酸素療法による酸素を吸入しながらの入浴はできるため、可能な限り酸素を吸入しながら入浴することが望ましい。
▶午前70
気管切開下で人工呼吸器を装着している利用者に対して、訪問看護事業所が災害に備えて行うことで適切なのはどれか。
- 人工呼吸器の予備の回路を預かる。
- 災害時の個別支援マニュアルを作成する。
- 医療機関から非常用の人工呼吸器を借りる。
- 事業所内に利用者が避難できる場所を確保する。
② 災害時の個別支援マニュアルを作成する。
訪問看護事業所は病院や介護施設サービス等の入所施設とは異なり、地域内に利用者が散在している。訪問看護事業所内の設備を整えるよりも、様々な場所・状況の利用者に対応できるマニュアルを災害に備えて整えることが適している。
▶午前71
チューブ型の胃瘻の管理について、介護する家族に看護師が指導する内容で正しいのはどれか。
- 「栄養剤の注入後に白湯を注入してください」
- 「胃瘻のチューブはご家族で交換してください」
- 「胃瘻のチューブは同じ位置に固定してください」
- 「下痢のときは栄養剤の注入速度を速めてください」
① 「栄養剤の注入後に白湯を注入してください」
経腸栄養法は、口からの食事が十分でない者に対して、消化管機能を活用して直接栄養剤の注入を行う方法で、チューブ内の細菌繁殖や閉塞を防止するため、栄養剤注入後に白湯を注入する。
×② 「胃瘻のチューブはご家族で交換してください」
チューブ交換は医師が行う。
×③ 「胃瘻のチューブは同じ位置に固定してください」
皮膚のトラブルを避けるためチューブの固定位置を変える。
×④ 「下痢のときは栄養剤の注入速度を速めてください」
不適切な投与量・速度、栄養剤の浸透圧により下痢症状が生じることがあるため、下痢がみられたときは栄養剤の注入速度を遅くする。
▶午前72
病棟で患者の口腔ケア改善に取り組むために担当チームを作った。
これは看護管理のプロセスのどれか。
- 計画
- 指揮
- 統制
- 組織化
④ 組織化
ファイヨールの管理過程論では、管理を「計画」「組織」「指揮」「統制」などと段階的に整理しており、看護管理にも応用できる。
▶午前73
多発性骨転移がある終末期の大腸癌患者(53歳、女性)が、外科病棟から緩和ケア病棟に夫に付き添われ転棟してきた。
転棟時の申し送りについて、緩和ケア病棟の看護師が外科病棟の看護師から収集する情報で最も優先すべきなのはどれか。
- 疼痛コントロールの状況
- 自宅の居住環境
- 大腸癌の術式
- 夫の面会頻度
① 疼痛コントロールの状況
緩和ケア病棟は緩和ケアに特化した病棟で、がんに伴う心身の苦痛を和らげることで、QOL(生活の質)を改善することを主な目的とする。そのため、外科病棟からの申し送り時には、特に薬物などによるそれまでの疼痛コントロールの状況は最優先の情報である。
*第3編4章 1.がん対策 p149~152
▶午前74
看護師等の人材確保の促進に関する法律に規定されている、離職した看護師の復職の支援に関連する制度はどれか。
- 看護師等免許保持者の届出
- 特定行為に係る研修
- 教育訓練給付金
- 業務従事者届
① 看護師等免許保持者の届出
看護師等の人材確保の促進に関する法律において、看護師等は病院等を離職した場合、該当の業に従事しなくなった場合、免許を受けた後すぐに従事する見込みがない場合、都道府県ナースセンターに届け出るよう努めなければならないとし、この届出制度を活用し、無料職業紹介等により潜在看護師等の復職支援の強化を図っている。
*第4編1章 4.4〕看護職員等 p193~197
▶午前75
災害発生時に行うSTART法によるトリアージで最初に判定を行う項目はどれか。
- 意識
- 呼吸
- 循環
- 歩行
④ 歩行
START法によるトリアージ(災害時等の治療優先度の決定)では、歩行、呼吸、循環、意識の順番に確認を行い、傷病者の緊急度に応じて、優先順に赤、黄、緑、黒と分類している
▶午前76
日本の政府開発援助〈ODA〉の実施機関はどれか。
- 世界保健機関〈WHO〉
- 国際協力機構〈JICA〉
- 国連開発計画〈UNDP〉
- 赤十字国際委員会〈ICRC〉
② 国際協力機構〈JICA〉
開発途上国等への2国間協力として、わが国は国際協力機構〈JICA〉を通じた政府開発援助〈ODA〉を実施している。
*第1編2章 11.2〕2国間協力 p34~35
▶午前77
脳の外側面を左右から見た模式図を示す。

右利きの健常成人のBroca〈ブローカ〉の運動性言語中枢はどれか。
- ①
- ②
- ③
- ④
- ⑤
④ ④
右利きの健常成人では、言語に関与する脳の領域として、Broca〈ブローカ〉野(運動性言語中枢)は左前頭葉(④)、Wernicke〈ウェルニッケ〉野(感覚性言語中枢)は左側頭葉(⑤)に位置する。
▶午前78
眼の遠近調節を行う筋はどれか。
- 下斜筋
- 下直筋
- 毛様体筋
- 上眼瞼挙筋
- 瞳孔括約筋
③ 毛様体筋
光は眼球の角膜から入り、瞳孔の周囲にある虹彩が光の量を調整する。次いで水晶体を通るが、遠近に応じてピントを合わせるために毛様体内の毛様体筋が弛緩・収縮することで水晶体を薄くまたは厚くしている。
▶午前79
咀嚼運動にかかわる脳神経はどれか。
- 嗅神経
- 滑車神経
- 三叉神経
- 動眼神経
- 内耳神経
③ 三叉神経
三叉神経は、顔面の感覚や咀嚼運動に関わる末梢神経である。
▶午前80
射出される精子が通るのはどれか。
- 精囊
- 尿管
- 尿道
- 膀胱
- 前立腺
③ 尿道
陰嚢内の精巣(精細管)で作られた精子は精巣上体で成熟、貯蔵される。射精時に精子は精管、射精管へと送られ、膀胱の下にある前立腺や精嚢からの分泌液と混じって精液となり、尿道を通り放出される。
▶午前81
心電図を別に示す。心電図の記録速度は25mm/秒である。

心電図波形によって計測した心拍数で正しいのはどれか。
- 30/分以上、50/分未満
- 50/分以上、70/分未満
- 70/分以上、90/分未満
- 90/分以上、100/分未満
- 100/分以上、110/分未満
② 50/分以上、70/分未満
記録速度は1秒25mm、1分間では25×60=1500mmとなる。RR間隔(心室興奮間の時間)は24mmであり、1分間の心拍数は1500÷24=62.5となる。
▶午前82
急性大動脈解離において緊急手術を行うかどうかの観点で用いる分類はどれか。
- NYHA分類
- スタンフォード分類
- Killip〈キリップ〉分類
- DeBakey〈ドベーキー〉分類
- Forrester〈フォレスター〉分類
② スタンフォード分類
大動脈解離の緊急度を判定するスタンフォード分類では、上行大動脈に解離が及んでいるA型(緊急手術が必要)と、上行大動脈に解離が及んでいないB型に分類している。
▶午前83
タイムアウトによって予防できるのはどれか。
- 患者の誤認
- 抗癌薬の曝露
- 個人情報の漏洩
- ベッドからの転落
- 血液を媒介とする感染
① 患者の誤認
タイムアウトは手術前の休止をいい、手術に関わる全メンバーが患者の確認、手術部位、手術内容等を口頭で確認し、患者の誤認や手術部位の誤りを防止する医療安全管理対策の一つである。
*第4編1章 3.9〕医療安全管理体制 p178~179
▶午前84
安静臥床による廃用症候群で生じるのはどれか。
- 1回換気量の増加
- 循環血液量の増加
- 基礎代謝の上昇
- 骨吸収の亢進
- 食欲の増進
④ 骨吸収の亢進
長期臥床などの活動性の低下により、筋力の低下や筋萎縮、起立性低血圧、食欲低下など、二次的に身体機能が低下する廃用症候群が生じやすくなる。骨吸収は、破骨細胞によって古い骨が分解、壊されることをいう。
▶午前85
Aさんは職場の上司に不満をぶつけたいと考えているが、それができないので、不満をぶつけやすい対象である後輩を叱責している。
Aさんの防衛機制で正しいのはどれか。
- 解離
- 昇華
- 合理化
- 置き換え
- 反動形成
④ 置き換え
防衛機制とは、直面した危機や困難に対し、その不安を和らげるために無意識に働く心理的な防衛反応である。置き換えは、耐えがたい感情や欲求を、本来の対象ではなく別の対象に向けて解消することをいう。
×① 解離
解離は、耐えがたい感情や困難を記憶・意識から切り離し、自分の体験として統合しないことをいう。
×② 昇華
昇華は、反社会的な性的欲求や攻撃的欲求を、芸術やスポーツ、学業などの社会的行動に転換することをいう。
×③ 合理化
合理化は、耐えがたい感情や欲求に対してもっともらしい理由を付けて、自分自身を納得させることをいう。なお、客観的な知識によって納得しようとすることは知性化という。
×⑤ 反動形成
反動形成は、抑圧された無意識の欲求を表出しないよう、それと反対の意識・行動を強調して示すことをいう。
▶午前86
ヘモグロビンA1c(HbA1c)について正しいのはどれか。2つ選べ。
- 測定値の上限は10%である。
- 赤血球の寿命によって測定値は変動する。
- 過去1、2週間の血糖値管理の指標である。
- グリコアルブミンより短期間の血糖値管理の指標である。
- ヘモグロビンにブドウ糖が結合した糖化蛋白質のことである。
② 赤血球の寿命によって測定値は変動する。
⑤ ヘモグロビンにブドウ糖が結合した糖化蛋白質のことである。
② グリコヘモグロビン(HbA1C)は、赤血球中のヘモグロビンにグルコース(ブドウ糖)が非酵素的に結合した糖化蛋白質で、糖尿病の評価を行う上でその割合が血糖コントロールの指標として重要となる。
⑤ 赤血球の寿命は骨髄で作られて脾臓で壊されるまでの約120日であるが、貧血等の疾患によりその寿命が増減すると、それに伴い測定値が異常変動する。
×① 測定値の上限は10%である。
HbA1cによる糖尿病の診断基準は6.5%以上であり、10%を超える場合は直ちに治療を開始する必要がある。
×③ 過去1、2週間の血糖値管理の指標である。
×④ グリコアルブミンより短期間の血糖値管理の指標である。
HbA1cは採血時から1、2か月間の血糖値管理の指標であり、1、2週間の指標であるグリコアルブミンよりも長期間である。
▶午前87
急性胆管炎の代表的な3症状を示すCharcot〈シャルコー〉3徴に含まれるのはどれか。2つ選べ。
- 黄疸
- 嘔吐
- 下痢
- 発熱
- 意識障害
① 黄疸
④ 発熱
急性胆管炎などに特徴的にみられるシャルコー3徴は、発熱、黄疸、右季肋部痛の3つである。
▶午前88
高齢者の総合機能評価CGA簡易版〈CGA7〉で評価するのはどれか。2つ選べ。
- BMI
- 意欲
- 職業歴
- 新機器の利用
- 日常生活動作〈ADL〉
② 意欲
⑤ 日常生活動作〈ADL〉
高齢者の総合機能評価〈CGA〉は、高齢者への包括的な評価として、医学的、身体的、精神・心理的、社会的な指標に基づいて評価するもので、その簡易版〈CGA7〉では、「意欲」「認知機能」「手段的日常生活動作〈IADL〉」「認知機能」「日常生活動作〈ADL〉(入浴)(排せつ)」「情緒・気分」を評価する。
▶午前89
自閉症スペクトラム障害にみられるのはどれか。2つ選べ。
- 運動性チックが出現する。
- 計算の習得が困難である。
- 不注意による間違いが多い。
- 習慣へのかたくななこだわりがある。
- 非言語的コミュニケーションの障害がある。
④ 習慣へのかたくななこだわりがある。
⑤ 非言語的コミュニケーションの障害がある。
発達障害者支援法では、発達障害を広汎性発達障害〈自閉スペクトラム症〉、学習障害、注意欠陥多動性障害など、通常低年齢で発症する脳機能の障害と定義している。自閉スペクトラム症〈ASD〉はコミュニケーションの障害や特定の物事への強いこだわり、感覚の過敏などを特徴とする。
×① 運動性チックが出現する。
チック症は単独、または諸発達障害と併存し発症するものである。
×② 計算の習得が困難である。
学習障害〈LD〉の特徴であり、読み書きや計算能力の獲得の困難さといった特性がある。
×③ 不注意による間違いが多い。
注意欠陥多動性障害〈ADHD〉の特徴であり、多動性・衝動性(落ち着きがない、待てない)、不注意(注意が持続しにくい、作業ミスが多い)といった特性がある。
*第3編2章 4.6〕(4)発達障害者支援 p115~116
▶午前90
100mg/5mLと表記された注射薬を75mg与薬するのに必要な薬液量を求めよ。
ただし、小数点以下第2位を四捨五入すること。
解答:①.②mL
① 3
② 8
必要な薬液量をxとすると、100:5=75:xとなり、100x=375でx=3.75、四捨五入して3.8mLである。
資料 厚生労働省「第108回保健師国家試験、第105回助産師国家試験、第111回看護師国家試験の問題および正答について」
注 当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。
▼第111回看護師国家試験
▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向
▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向
▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向
▶ 医師国家試験に出る国民衛生の動向
▶ 薬剤師国家試験に出る国民衛生の動向