第105回看護師国家試験 午後一般問題
平成28年2月14日(日)に実施された第105回看護師国家試験について、午後問題のうち一般問題の正答と解説を示します。
「国民衛生の動向2024/2025」で内容を解説している問題に関しては、その参照章・ページを示しているので、同書を併用しながらの利用をおすすめします。
▼第105回看護師国家試験
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厚生の指標増刊
国民衛生の動向 2024/2025
発売日:2024.8.27
定価:2,970円(税込)
412頁・B5判
雑誌コード:03854-08
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▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向
午後 一般問題
▶午後26
耳の感覚器と刺激との組合せで正しいのはどれか。
- 蝸牛管――頭部の回転
- 球形囊――頭部の傾き
- 半規管――鼓膜の振動
- 卵形囊――骨の振動
② 球形囊――頭部の傾き
内耳は平衡覚を司る前庭器官と聴覚を司る蝸牛で構成される。前庭器官には角加速度(回転運動)の受容器である半規管と、直線加速度の受容器である耳石器があり、耳石器内の卵形嚢では水平方向、球形嚢では垂直方向の直線加速度を受容して頭部の傾きを感知する。
▶午後27
血液型で正しいのはどれか。
- 日本人の15%はRh(-)である。
- A型のヒトの血漿には抗B抗体がある。
- B型のヒトの赤血球膜表面にはA抗原がある。
- Coombs〈クームス〉試験でABO式の血液型の判定を行う。
② A型のヒトの血漿には抗B抗体がある。
ABO血液型検査では、赤血球の表面にある抗原(おもて検査)と、血清(血漿)内の赤血球に反応する抗体(うら検査)により判定する。血清(血漿)では、A型には抗B、B型には抗A、O型には抗Aと抗Bの両抗体があり、AB型にはどちらもない。
×① 日本人の15%はRh(-)である。
Rh血液型は輸血時に適合の必要があり、日本人に約0.5%程度の陰性の者には、同じく陰性の血液のみが適合する。
×③ B型のヒトの赤血球膜表面にはA抗原がある。
ABO血液型検査のうち赤血球(うら検査)では、A型にはA抗原、B型にはB抗原、AB型にはAとBの両抗原があり、O型にはどちらもない。
×④ Coombs〈クームス〉試験でABO式の血液型の判定を行う。
クームス試験は血中の不完全赤血球抗体を検出するもので、ABO式の血液型の判定を行うものではない。
▶午後28
胃酸の分泌を抑制するのはどれか。
- アセチルコリン
- ガストリン
- セクレチン
- ヒスタミン
③ セクレチン
セクレチンは十二指腸の粘膜から分泌されるホルモンで、酸性の胃の内容物が十二指腸に送り出されることでセクレチンが分泌され、重炭酸塩を含む膵液の分泌を促し、胃酸の分泌を抑制する。
×① アセチルコリン
アセチルコリンは副交感神経や運動神経に働く神経伝達物質である。
×② ガストリン
ガストリンは主に胃の幽門部の粘膜で産出されるホルモンで、胃酸の分泌を促進する。
×④ ヒスタミン
ヒスタミンはアレルギー様症状を引き起こす神経伝達物質である。
▶午後29
腎臓について正しいのはどれか。
- 腹腔内にある。
- 左右の腎臓は同じ高さにある。
- 腎静脈は下大静脈に合流する。
- 腎動脈は腹腔動脈から分かれる。
③ 腎静脈は下大静脈に合流する。
×① 腹腔内にある。
×② 左右の腎臓は同じ高さにある。
腎臓は、胃や肝臓、小腸、大腸など腹部の臓器を包み込んでいる腹膜よりも背中側にある左右一対の臓器(後腹膜器官)である。右の腎臓は右上腹部にある肝臓に押し下げられており、左の腎臓よりも低い位置にある。
○③ 腎静脈は下大静脈に合流する。
×④ 腎動脈は腹腔動脈から分かれる。
心臓から送られた血液は、腹部大動脈から分岐した腎動脈を通って腎臓に入り、血液から老廃物を除去、再吸収した後に腎静脈を通って下大静脈に合流する。
▶午後30
アポトーシスで正しいのはどれか。
- 群発的に発現する。
- 壊死のことである。
- 炎症反応が関与する。
- プログラムされた細胞死である。
④ プログラムされた細胞死である。
アポトーシスは遺伝子によりプログラムされた細胞死をいい、生命活動を維持・向上するための能動的な機能である。外傷等による細胞死であるネクローシス(壊死)とは異なり炎症が生じない。
▶午後31
感染性因子とその構成成分の組合せで正しいのはどれか。
- 細菌――核膜
- 真菌――細胞壁
- プリオン――核酸
- ウイルス――細胞膜
② 真菌――細胞壁
真菌には細胞壁や細胞膜、核膜に仕切られた核がある一方、細菌には細胞壁や細胞膜はあるが核膜がないため核様体となっている。また、ウイルスにはこれらの構造はなく、遺伝子である核酸とそれを包む蛋白の殻(カプシド)で構成されている。
▶午後32改題
日本の世帯構造の平成4年(1992年)から30年間の変化で正しいのはどれか。
- 単独世帯数は増加している。
- 平均世帯人数は増加している。
- ひとり親と未婚の子のみの世帯数は3倍になっている。
- 65歳以上の者のいる夫婦のみの世帯数は2倍になっている。
① 単独世帯数は増加している。
単独世帯数は増加傾向で、平成4年(1992年)に897万世帯であったものが、令和4年(2022年)には1785万世帯となっている。
×② 平均世帯人数は増加している。
単独世帯の増加、三世代世帯の減少などにより、平均世帯人員は2.99人から2.25人に減少している。
×③ ひとり親と未婚の子のみの世帯数は3倍になっている。
ひとり親と未婚の子のみの世帯(母子世帯や父子世帯)は、200万世帯から367万世帯と約1.8倍となっている。
×④ 65歳以上の者のいる夫婦のみの世帯数は2倍になっている。
65歳以上の者のいる夫婦のみの世帯は、271万世帯から882万世帯と3倍以上となっている。
*第2編1章 2.世帯の動向 p44~48
▶午後33
食品衛生法に定められていないのはどれか。
- 残留農薬の規制
- 食品添加物の規制
- 食品安全委員会の設置
- ポジティブリスト制度の導入
③ 食品安全委員会の設置
食品衛生法は、食品等の事業者の責務や規格・基準、監視指導などを規定している。一方、平成15年(2003年)に成立した食品安全基本法は、リスク分析(評価・管理・コミュニケーション)により食品安全の確保を図るもので、リスク評価は内閣府に設置された食品安全委員会が担当する。
*第7編2章 1.食品安全行政の概要 p278~279
▶午後34
がん対策基本法で定められているのはどれか。
- 受動喫煙のない職場を実現する。
- がんによる死亡者の減少を目標とする。
- 都道府県がん対策推進計画を策定する。
- がんと診断されたときからの緩和ケアを推進する。
③ 都道府県がん対策推進計画を策定する。
がん対策基本法により、国はがん対策推進基本計画の策定、都道府県は都道府県がん対策推進計画の策定が定められている。なお、正答は当時のままだが、平成28年の法改正により、がん医療の均てん化の促進等として緩和ケアを提供する医療従事者の人材育成や体制確保について追加されている。
*第3編4章 1.がん対策 p149~152
▶午後35
患者と看護師との協働について適切なのはどれか。
- 患者が目標達成できるよう支援する。
- 治療に関する情報は看護師が占有する。
- 看護計画は看護師の視点を中心に立案する。
- ケアは看護師の業務予定に基づき実施する。
① 患者が目標達成できるよう支援する。
患者と看護師の協働においては、患者の自主性・主体性を尊重し、患者自ら達成可能な目標を立てて行動、評価することが重要であり、看護師はその支援を行う。
▶午後36
Aさん(56歳、男性)は、脳梗塞の後遺症のためにリハビリテーションをしている。食事中に箸がうまく使えずイライラしている。
この状況で看護師が最も連携すべき専門職はどれか。
- 精神保健福祉士
- 社会福祉士
- 理学療法士
- 作業療法士
④ 作業療法士
理学療法士は、身体に障害のある者に対し、主に立つ・座る・歩くといった基本的動作能力の回復を図る理学療法を行う者である。一方、作業療法士は、身体や精神に障害のある者に対し、主に応用的動作能力または社会的適応能力の回復を図る作業療法を行う者で、箸の持ち上げなどの食事の練習は、応用的動作能力の回復を図る作業療法に当たる。
*第4編1章 4.5〕その他の医療関係職種 p197~199
▶午後37
Aさん(80歳、女性)は、肺炎で入院して持続点滴中である。消灯時、訪室すると「体がだるくて眠れない」と訴えている。
Aさんへの入眠に向けた援助で最も適切なのはどれか。
- テレビをつける。
- 足浴を実施する。
- そのまま様子をみる。
- 睡眠薬を処方してもらう。
② 足浴を実施する。
足浴は全身浴と比べて心臓への負担が少なく、血行や睡眠の促進効果が認められ、入眠に向けた援助として適している。湯の適温は体温より少し高い38〜40℃程度とされる。
▶午後38
ベッド上での排便の介助時に使用した手袋を手から取り外すタイミングで適切なのはどれか。
- 肛門周囲の便を拭き取った後
- 排便後の患者の寝衣を整えた後
- ベッド周囲のカーテンを開けた後
- 使用した物品を汚物処理室で片づけた後
① 肛門周囲の便を拭き取った後
排泄ケア時には、標準的な感染予防策(スタンダードプリコーション)として手袋やエプロンなどの個人防護具を着用し、排泄介助後は接触して不潔にすることのないよう速やかに外す。
▶午後39
臥床患者の安楽な体位への援助として適切なのはどれか。
- 同一体位を5時間程度保持する。
- 仰臥位では膝の下に枕を入れる。
- 側臥位では両腕を胸の前で組む。
- 腹臥位では下腿を挙上する。
② 仰臥位では膝の下に枕を入れる。
長時間の同一体位の保持は褥瘡のリスクが高まるため、1~2時間に1回程度の体位変換を行う。仰臥位では最も圧力が集中する踵骨部が褥瘡の好発部位であり、その予防のための体圧分散、また膝関節を動かさないことによる関節拘縮を避けるために膝下に枕を入れることが適切である。
▶午後40
嚥下障害のある患者の食事の開始に適しているのはどれか。
- 白湯
- 味噌汁
- ゼリー
- 煮魚
③ ゼリー
嚥下障害のある患者の食事として、大きさや柔らかさなどが均一であること(均質性)、適度な粘り気とまとまりやすさがあること(凝集性)、咽頭を通過する際に変形しやすく滑りやすいこと(変形性)、口腔や咽喉の粘膜に付着しにくいこと(付着性)などが挙げられ、これらを備えたゼリーが嚥下食として適している。
▶午後41改題
病棟での医薬品の管理で正しいのはどれか。
- 生ワクチンは常温で保存する。
- 溶解した薬剤は冷凍保存する。
- 向精神薬は施錠できる場所に保管する。
- アンプルに残った麻薬注射液は廃棄する。
③ 向精神薬は施錠できる場所に保管する。
麻薬及び向精神薬取締法に基づき、麻薬や向精神薬は麻薬診療施設内に設けた鍵をかけた堅固な設備内に保管しなければならない。
×① 生ワクチンは常温で保存する。
生ワクチンは通常5℃以下で保存する。
×② 溶解した薬剤は冷凍保存する。
溶解した薬剤は原則として速やかに使用し、やむを得ず保存する場合も冷所等での短時間に限る。
×④ アンプルに残った麻薬注射液は廃棄する。
使用後のアンプルは残液がある場合および空であっても麻薬管理者に返納する。
▶午後42
不安の強い入院患者に対し問題中心の対処を促す方法で適切なのはどれか。
- 読書をして気分転換を促す。
- 原因に気付くように支援する。
- 平常な気持ちを保つように助言する。
- 家族に不満を聞いてもらうことを勧める。
② 原因に気付くように支援する。
問題中心の対処は、現状認められる課題を解決するためのアプローチであり、不安の原因を主観的・客観的情報から特定し、解決することが求められる。
▶午後43
セルフケア行動を継続するための支援で適切なのはどれか。
- 看護師が患者の目標を設定する。
- 目標は達成が容易でない水準にする。
- 行動の習慣化が重要であることを伝える。
- これまでの経験は忘れて新たな方法で取り組むよう促す。
③ 行動の習慣化が重要であることを伝える。
セルフケア行動では、患者本人が達成可能な目標を立て、行動の定着を図り、目標評価を行う。達成可能な目標を立てるのは、目標を達成し、実現能力を持っていると認識する(自己効力感)ことで、行動の持続、学習の促進につなげるためである。
▶午後44
Aさん(43歳、男性)は、胆道狭窄のため内視鏡的逆行性胆管膵管造影〈ERCP〉検査を受けた。検査後に心窩部痛が出現したため、禁食、抗菌薬および蛋白分解酵素阻害薬による治療が行われている。
翌日実施した血液検査の項目でAさんに生じている合併症を判断できるのはどれか。
- アミラーゼ
- アルブミン
- クレアチニン
- クレアチンキナーゼ
① アミラーゼ
内視鏡的逆行性胆管膵管造影〈ERCP〉は、内視鏡を口から食道・胃を通って十二指腸まで進め、胆管や膵管に直接カテーテルを挿入し、造影剤を注入して胆管や膵管の異常を調べる検査である。合併症としては急性膵炎があり、膵臓から分泌されるアミラーゼ(糖質分解酵素)の上昇が特徴的である。
▶午後45
維持血液透析中の看護で適切なのはどれか。
- シャント肢を抑制する。
- 室温を18℃に設定する。
- 筋肉のけいれんの出現に注意する。
- 患者が吐き気を感じたら座位にする。
③ 筋肉のけいれんの出現に注意する。
透析導入期には、血液と脳の尿毒素の濃度差により、筋けいれんや血圧低下、頭痛や吐き気などの不均衡症候群が現れやすい。
×① シャント肢を抑制する。
シャントは血液透析を行う際に十分な血液を確保するため、動脈と静脈をつなぎ合わせた血管をいい、シャント肢を抑制するなどの圧迫により、閉塞して透析が続けられなくなるおそれがあるため避ける。
×② 室温を18℃に設定する。
血液透析を受ける慢性腎臓病患者では、尿毒症により自律神経が障害を受けて体温調節機能が低下しており、室温が18℃では寒く感じやすいため、20℃以上の適温に設定する。
×④ 患者が吐き気を感じたら座位にする。
不均衡症候群による吐き気を感じた際は、胃食道逆流等に注意しながら頭の位置を低くした臥位などで安静を保つ。
▶午後46
Aさん(37歳、女性)は、月経異常で病院を受診し、糖尿病および高血圧症と診断された。また、満月様顔貌や中心性肥満の身体所見がみられたため検査が行われ、ホルモン分泌異常と診断された。
原因となるホルモンを分泌している臓器はどれか。
- 副甲状腺
- 甲状腺
- 副腎
- 卵巣
③ 副腎
副腎皮質ホルモンの長期過剰により、満月様顔貌〈ムーンフェイス〉や高血糖、高血圧、易感染性、骨粗鬆症、体重増加、月経不順などが症状として表れる(クッシング症候群)。
▶午後47改題
日本の令和4年(2022年)の国民生活基礎調査において高齢者世帯の所得で、1世帯当たり平均所得金額の構成割合が最も高いのはどれか。
- 稼働所得
- 財産所得
- 公的年金・恩給
- 仕送り・企業年金・個人年金・その他の所得
③ 公的年金・恩給
高齢者世帯の所得構成をみると、公的年金・恩給が199.9万円(62.8%)と半分以上を占め、次いで稼働所得が80.3万円(25.2%)となっている。
*第5編2章 1.公的年金 p234~235
▶午後48
認知症の高齢者に対するノーマライゼーションで正しいのはどれか。
- 散歩を勧める。
- 決められた服を着るよう勧める。
- 重度の場合は精神科病棟に入院を勧める。
- 食べこぼしのあるときに箸を使用しないよう勧める。
① 散歩を勧める。
ノーマライゼーションは、障害者等が障害を持たない者と同等に生活・活動する社会を目指す理念である。認知症高齢者の特性を理解した上で、その意思や自己決定を尊重することが求められる。
*第5編2章 4.障害者福祉等 p239~241
▶午後49
Aさん(80歳、男性)は、脳梗塞の治療のために入院した。Aさんは多弁であり「めがねをとってください」のことを「めとねをとってください」などと話す様子が観察される。
Aさんの症状で正しいのはどれか。
- 錯語
- 感情失禁
- 喚語困難
- 運動性失語
① 錯語
失語症でみられる錯語とは、意図した言葉と異なる誤った言葉を用いるもので、設問のような音韻を間違える字性錯語と、単語を間違える語性錯語(犬を猫と言う等)に分けられる。
×② 感情失禁
感情失禁は脳梗塞患者にみられ、情動の調整ができずに、わずかな刺激で喜怒哀楽などの感情の起伏が激しくなるものをいう。
×③ 喚語困難
×④ 運動性失語
錯語は感覚性失語(ウェルニッケ失語)で起こりやすいが、運動性失語(ブローカ失語)では言いたい言葉がなかなか出てこない喚語困難が生じやすい。
▶午後50
便秘の原因となる加齢に伴う身体的変化で誤っているのはどれか。
- 大腸粘膜の萎縮
- 骨盤底筋群の筋力低下
- 直腸内圧の閾値の低下
- 大腸の内括約筋の緊張の低下
③ 直腸内圧の閾値の低下
便の移動による直腸内圧の上昇が、骨盤神経から仙髄の排便中枢に伝わり副交感神経を刺激することで、直腸壁の平滑筋の収縮や内肛門括約筋の弛緩が行われ、排便が促される。老化により直腸内圧の閾値(反応下限値)が上昇することで、便意が伝わりづらくなり便秘の原因となる。
▶午後51
Aさん(75歳、女性)は、終末期のがんの夫を自宅で介護している。Aさんと夫は自宅での看取りを希望している。
Aさんへのケアで最も適切なのはどれか。
- 臨死期に起こる身体徴候について説明しておく。
- 自宅で看取る意思が揺らぐことがないように支援する。
- 配偶者を亡くした家族の会への参加を生前から勧める。
- 夫が元気だったころの思い出を話題にしないように勧める。
① 臨死期に起こる身体徴候について説明しておく。
自宅での看取りを希望する妻に対して、臨死期に起こる身体的徴候をあらかじめ伝えることにより、実際その場に立ち会った際に動揺や不安が起こらないよう、心の準備を促すことが適切である。
▶午後52
乳児が1日に必要とする体重1kg当たりの水分量はどれか。
- 80mL
- 100mL
- 150mL
- 180mL
③ 150mL
1日に必要とする体重1kg当たりの水分量は、乳児では150mL、幼児では100mL、学童期では80mL、成人では50mLとされる。
▶午後53改題
日本の令和5年(2023年)における周産期死亡率(出産千対)について正しいのはどれか。
- 1.3
- 3.3
- 5.3
- 7.3
② 3.3
周産期死亡とは、妊娠満22週以後の死産と生後1週未満の早期新生児死亡を合わせたものをいい、令和5年(2023年)の周産期死亡数は2,403(胎・人)、周産期死亡率(出産千対)は3.3となっている。
*第2編2章 6.周産期死亡 p66
▶午後54
性的対象とその性的指向の分類との組合せで正しいのはどれか。
- 同性――トランスセクシュアル
- 異性――ヘテロセクシュアル
- 両性――ホモセクシュアル
- なし――バイセクシュアル
② 異性――ヘテロセクシュアル
性的指向の対象によって、①同性の場合はホモセクシュアル、②異性の場合はヘテロセクシュアル、③両性の場合はバイセクシュアル、④なしの場合はアセクシュアルという。
▶午後55
更年期障害の女性にみられる特徴的な症状はどれか。
- 異常発汗
- 低血圧
- 妄想
- 便秘
① 異常発汗
閉経(約50歳)前後の更年期には、女性ホルモンである卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌量が減少する一方で、卵胞刺激ホルモン〈FSH〉と黄体形成ホルモン〈LH〉の分泌は増えることにより、ホルモンのバランスが乱れてほてりや発汗、抑うつなどの症状がみられる。
▶午後56
産後うつ病について正しいのはどれか。
- 一過性に涙もろくなる。
- スクリーニング調査票がある。
- 日本における発症頻度は約40%である。
- 産後10日ころまでに発症することが多い。
② スクリーニング調査票がある。
エジンバラ産後うつ病自己質問票(EPDS)により、産後1か月の女性を対象に簡易的なスクリーニング調査が実施されている。
×① 一過性に涙もろくなる。
マタニティブルーズの特徴であり、胎盤からの女性ホルモン(エストロゲン等)の急減を要因の一つとして、情緒不安定(涙もろさ等)、抑うつなどの精神症状を呈する。
×③ 日本における発症頻度は約40%である。
健やか親子21(第二次)の中間報告では、スクリーニング調査による産後うつ病のハイリスク群の割合は9.8%(平成29年)であった。
×④ 産後10日ころまでに発症することが多い。
産後うつは、産後1か月内で発症し、意欲低下等の症状がおよそ2週間以上続くものである。なお、マタニティブルーズは出産後3日~1週間前後に発症しやすく、10日目ほどで軽快する。
▶午後57
こころのバリアフリー宣言の目的で正しいのはどれか。
- 身体障害者の人格の尊重
- 高齢者の社会的な孤立の予防
- 精神疾患に対する正しい理解の促進
- 精神科に入院している患者の行動制限の最小化
③ 精神疾患に対する正しい理解の促進
精神疾患に対する正しい理解や偏見の解消の観点から、平成16年(2004年)に「『こころのバリアフリー宣言』―精神疾患を正しく理解し、新しい一歩を踏み出すための指針」が策定され、広く国民に普及啓発する取り組みがなされた。
*第3編2章 4.1〕精神保健対策のあゆみ p111~112
▶午後58
向精神薬と副作用〈有害事象〉の組合せで正しいのはどれか。
- 抗精神病薬――多毛
- 抗認知症薬――依存性
- 抗てんかん薬――急性ジストニア
- 抗うつ薬――セロトニン症候群
④ 抗うつ薬――セロトニン症候群
セロトニン症候群は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬〈SSRI〉などの抗うつ薬の副作用〈有害事象〉であり、不安や混乱、いらいらなどの精神症状、手足が勝手に動く、ふるえるなどの錐体外路症状、発熱や発汗などの自律神経症状がみられる。
▶午後59
Aさん(40歳、男性)は、5年前に勤めていた会社が倒産し再就職ができず、うつ病になった。その後、治療を受けて回復してきたため、一般企業への再就職を希望している。
Aさんが就労を目指して利用できる社会資源はどれか。
- 就労移行支援
- 就労継続支援A型
- 就労継続支援B型
- 自立訓練〈生活訓練〉
① 就労移行支援
障害者総合支援法では就労移行支援事業が設けられ、就労を希望し、一般雇用が可能な障害者に対して、一定期間就労に必要な知識・能力の向上のために必要な訓練を行っている。
×② 就労継続支援A型
×③ 就労継続支援B型
一般雇用が困難である者には、雇用契約に基づく就労継続支援A型、雇用契約に基づかない就労継続支援B型による支援が行われている。
×④ 自立訓練〈生活訓練〉
自立訓練〈生活訓練〉は、自立した日常生活または社会生活ができるよう、生活能力の維持・向上のために必要な支援・訓練を行うものである。
*第3編2章 3.障害児・者施策 p107~111
*第5編2章 4.6〕障害者雇用と支援 p240~241
▶午後60
精神保健指定医を指定するのはどれか。
- 保健所長
- 都道府県知事
- 厚生労働大臣
- 精神保健福祉センター長
③ 厚生労働大臣
精神保健福祉法に規定される精神保健指定医は、厚生労働大臣が指定し、非自発的な入院の要否や入院患者の行動制限の要否を判定する。
*第3編2章 4.3〕精神科の入院制度 p112~114
▶午後61
日本の平成24年(2012年)の高齢者の健康に関する意識調査において最期を迎える場に関する希望で最も多いのはどれか。
- 自宅
- 医療施設
- 福祉施設
- 高齢者向けのケア付き住宅
① 自宅
平成30年(2018年)の「高齢期における社会保障に関する意識調査」(厚生労働省)でも、人生の最後をむかえるときに生活したい場所として自宅が27.9%と最も高い。一方で、実際の死亡場所をみると、令和4年(2022年)では病院が64.5%で、自宅は17.4%にとどまっている(人口動態調査)。
*第4編1章 3.1〕在宅医療 p170
▶午後62
レスパイトケアの主な目的について適切なのはどれか。
- 高度な治療を集中的に行う。
- 家族へ介護方法の指導を行う。
- 居宅サービス料金を補助する。
- 介護を行う家族のリフレッシュを図る。
④ 介護を行う家族のリフレッシュを図る。
同居の主な介護者の悩みやストレスの原因をみると「家族の病気や介護」が最も多く、こうした介護者の負担軽減のため、訪問介護やデイサービス、ショートステイなどを利用したレスパイトケア(介護者の一時的な休息支援)の拡充が図られている。
*第5編1章 10.介護者・要介護者等の状況 p229~230
▶午後63
訪問看護サービスの提供の仕組みで正しいのはどれか。
- 主治医の意見書が必要である。
- 計画外の緊急訪問の費用は徴収できない。
- サービスの導入の決定は訪問看護師が行う。
- 主治医の特別指示書による訪問看護は医療保険サービスとして提供する。
④ 主治医の特別指示書による訪問看護は医療保険サービスとして提供する。
要介護者等には介護保険から訪問看護サービスが給付されるが、要介護者等であっても、厚生労働大臣が定める疾病等の利用者、主治医による特別訪問看護指示書の交付を受けた者、認知症以外の精神障害を有する者では医療保険から給付される。
×① 主治医の意見書が必要である。
訪問看護サービスの利用に主治医の意見書は不要である。なお、主治医の意見書は要介護認定時の申請に必要となる。
×② 計画外の緊急訪問の費用は徴収できない。
緊急の連絡や相談、訪問に対して緊急時訪問看護加算として算定することができる。
×③ サービスの導入の決定は訪問看護師が行う。
訪問看護サービスの導入は利用者の意思決定に基づく。
*第4編1章 3.2〕訪問看護 p170~172
▶午後64
看護基準の目的で最も適切なのはどれか。
- 看護の質の保証
- 個別的な看護の促進
- 看護業務の負担の軽減
- 高度な看護技術の提供
① 看護の質の保証
看護技術等の手順や評価基準により、医療機関全体として一定の看護の質が保証できる。
▶午後65
新生児標識について正しいのはどれか。
- 沐浴時には児の標識を外す。
- 標識は1個装着すればよい。
- 装着する時期は母児同室を開始する直前である。
- 母親に児を引き渡すときは母子の標識を照合する。
④ 母親に児を引き渡すときは母子の標識を照合する。
新生児を確実に識別し、取り違いなどの事故を防止するために、母児に標識を装着し、児の引き渡し時には同一の番号等により照合できるようにする。
×① 沐浴時には児の標識を外す。
沐浴時を含めて、入院中は標識を装着し続ける。
×② 標識は1個装着すればよい。
新生児の標識は脱落等に備えて少なくとも2種類を併用する。
×③ 装着する時期は母児同室を開始する直前である。
母親には分娩前、児には臍帯切断前の分娩直後に装着する。
▶午後66
山村部で地震による家屋倒壊と死者が出た災害が発生し、3週が経過した。避難所では、自宅の半壊や全壊の被害にあった高齢者を中心に10世帯が過ごしている。
高齢者の心のケアとして最も適切なのはどれか。
- 認知行動療法を行う。
- 自分が助かったことを喜ぶよう説明する。
- 地震発生時の状況について詳しく聞き取る。
- 長年親しんだものの喪失について話せる場をつくる。
④ 長年親しんだものの喪失について話せる場をつくる。
被災後数日から数週間の急性期には急性ストレス障害が生じやすく、中長期的な心的外傷後ストレス障害〈PTSD〉に移行しやすい。高齢者では特に近親者等の喪失をきっかけに気分障害を引き起こしやすく、落ち着いて話すことができる環境で被災高齢者の話を傾聴し、本人が喪失を受容できるようケアすることが適切である。
▶午後67
2国間の国際保健医療協力を行うのはどれか。
- 国際協力機構〈JICA〉
- 国際看護師協会〈ICN〉
- 国連開発計画〈UNDP〉
- 国連食糧農業機関〈FAO〉
① 国際協力機構〈JICA〉
開発途上国等への2国間協力として、わが国は国際協力機構〈JICA〉を通じた政府開発援助〈ODA〉を実施している。
*第1編2章 11.2〕2国間協力 p34~35
▶午後68
体温に影響しないのはどれか。
- 運動
- 食事
- ふるえ
- 不感蒸泄
- 精神性発汗
⑤ 精神性発汗
精神性発汗は、緊張や不安、痛みなどのストレスを受けた際に手のひらと足の裏に見られる発汗で、体温調節には関与しない。
×① 運動
運動などのエネルギー代謝による熱産生により体温が上昇すると、体温調節(熱放散)を行うために皮膚の汗腺から温熱性発汗が現れる。
×② 食事
食後は体内に吸収された栄養素が分解され、その一部は体熱として消費される(食事誘発性熱産生)。
×③ ふるえ
ふるえは体温の低下に対し、熱産生を誘導するための生体反応である。
×④ 不感蒸泄
不感蒸泄は発汗以外の皮膚や呼気から水分が喪失することをいい、気化熱として蒸発する際に熱放散が行われる。
▶午後69
貪食能を有する細胞はどれか。
- 好酸球
- Bリンパ球
- 線維芽細胞
- 血管内皮細胞
- マクロファージ
⑤ マクロファージ
マクロファージ(大食細胞)は白血球のうち単球から分化した自然免疫の一つであり、体内に侵入した細菌などの異物を捕食し(貪食作用)、消化・殺菌する。
▶午後70
流行性角結膜炎の原因はどれか。
- 淋菌
- 緑膿菌
- クラミジア
- アデノウイルス
- ヘルペスウイルス
④ アデノウイルス
流行性角結膜炎(感染症法上の5類感染症)は、アデノウイルスによる眼感染症であり、主に手を介した接触により感染する。
*第3編3章 1.感染症対策 p123~127
▶午後71
ビタミンの欠乏とその病態との組合せで正しいのはどれか。
- ビタミンA――壊血病
- ビタミンB1――代謝性アシドーシス
- ビタミンC――脚気
- ビタミンD――悪性貧血
- ビタミンE――出血傾向
② ビタミンB1――代謝性アシドーシス
ビタミンB1(チアミン)は糖代謝に必要な栄養素で、アルコール依存症患者で多くみられるビタミンB1欠乏により、脚気や代謝性アシドーシス、ウェルニッケ脳症を引き起こす。
×① ビタミンA――壊血病
ビタミンAは網膜で光の吸収を制御するロドプシンを構成する物質で、ビタミンA欠乏により夜盲症を引き起こす。
×③ ビタミンC――脚気
ビタミンCは骨や皮膚、結合組織、血管などの形成、維持、修復に関わる栄養素で、重度のビタミンC欠乏により出血症状や骨・歯などの形成異常を特徴とする壊血病を引き起こす。
×④ ビタミンD――悪性貧血
ビタミンDはカルシウム吸収を促進する作用を持ち、ビタミンD欠乏により骨軟化症や骨粗鬆症の悪化を引き起こす。なお、悪性貧血はビタミンB12や葉酸の欠乏により引き起こる。
×⑤ ビタミンE――出血傾向
ビタミンEは脂質の酸化を防止する抗酸化作用を持ち、ビタミンE欠乏により運動失調症を引き起こす。なお、出血傾向はビタミンK欠乏により引き起こり、母乳中に少ないため新生児の出血性疾患を来しやすく、出生後の内服が行われる。
▶午後72改題
日本人の食事摂取基準(2020年版)で、身体活動レベルⅠ、75歳以上の男性の1日の推定エネルギー必要量はどれか。
- 1,400kcal
- 1,800kcal
- 1,950kcal
- 2,150kcal
- 2,450kcal
② 1,800kcal
身体レベルⅠは自宅にいてほとんど外出しない者に相当する。なお、身体レベルⅡ(自立している者)の75歳以上の男性の1日の推定エネルギー必要量は2,100kcalとなっている。また、75歳以上の女性の1日の推定エネルギー必要量は身体レベルⅠが1,400kcal、Ⅱが1,650kcalとなっている。
▶午後73
触診法による血圧測定で適切なのはどれか。
- 血圧計は患者の心臓の高さに置く。
- マンシェットの幅は上腕全体を覆うサイズを選ぶ。
- 150mmHgまで加圧して減圧を開始する。
- 加圧後に1拍動当たり2〜4mmHgずつ減圧する。
- 減圧開始後に初めて脈が触知されたときの値を拡張期血圧とする。
④ 加圧後に1拍動当たり2〜4mmHgずつ減圧する。
×① 血圧計は患者の心臓の高さに置く。
×② マンシェットの幅は上腕全体を覆うサイズを選ぶ。
マンシェットの幅は14cm程度で上腕全体を覆うことのないようにし、心臓と同じ高さに巻く。
×③ 150mmHgまで加圧して減圧を開始する。
○④ 加圧後に1拍動当たり2〜4mmHgずつ減圧する。
動脈の拍動が触知できなくなった値から20〜30mmHg加圧し、その後1拍動または1秒当たり2~4mmHgずつ減圧する。
×⑤ 減圧開始後に初めて脈が触知されたときの値を拡張期血圧とする。
減圧開始後に初めて脈が触知されたときの値は収縮期血圧であり、触診法では拡張期血圧は測れない。
▶午後74
待機的に行う食道静脈瘤硬化療法について正しいのはどれか。
- 全身麻酔下で行う。
- 前日に下剤を内服する。
- 治療後48時間の安静が必要である。
- 治療翌日の朝から常食を開始する。
- 治療後に胸部痛が出現する可能性がある。
⑤ 治療後に胸部痛が出現する可能性がある。
肝硬変と合併しやすい食道静脈瘤では、内視鏡的治療として食道静脈瘤硬化療法がとられ、合併症として硬化剤注入後の胸部痛が挙げられる。
×① 全身麻酔下で行う。
局所麻酔下で行う。
×② 前日に下剤を内服する。
上部消化管に内視鏡を挿入する治療であり、下剤は不要である。
×③ 治療後48時間の安静が必要である。
症状に合わせて治療後6時間程度の安静が必要となる。
×④ 治療翌日の朝から常食を開始する。
治療当日は絶飲絶食で、翌日は流動食を開始する。
▶午後75
老人性白内障の症状で正しいのはどれか。
- 涙が流れ出る状態が続く。
- 小さい虫が飛んでいるように見える。
- 明るい場所ではまぶしくてよく見えない。
- 遠見視力は良好であるが近見視力は低下する。
- 暗い部屋に入ると目が慣れるのに時間がかかる。
③ 明るい場所ではまぶしくてよく見えない。
白内障は水晶体が加齢により白く濁り、視力の低下や羞明(光過敏)、霧視(視界のかすみ)を症状とする。
×① 涙が流れ出る状態が続く。
流涙は結膜炎や鼻涙管閉塞の症状である。
×② 小さい虫が飛んでいるように見える。
飛蚊症は網膜剥離などの症状である。
×④ 遠見視力は良好であるが近見視力は低下する。
×⑤ 暗い部屋に入ると目が慣れるのに時間がかかる。
老眼や暗順応の感度低下は、加齢による生理的な変化である。
▶午後76
臓器の移植に関する法律において脳死臓器提供が可能になるのはどれか。
- 1歳
- 6歳
- 15歳
- 20歳
- 年齢制限なし
⑤ 年齢制限なし
平成22年(2010年)の改正臓器移植法施行により、本人の意思が不明な場合(拒否の意思がない場合)でも、家族(遺族)の書面による承諾により脳死判定および臓器摘出が可能となったことにより、15歳未満であっても脳死下の臓器提供が認められることとなった。
*第3編4章 6.臓器移植・組織移植 p161~162
▶午後77
乳児の髄膜炎などを抑制するため、平成25年(2013年)に定期接種に導入されたのはどれか。
- 日本脳炎ワクチン
- ロタウイルスワクチン
- インフルエンザワクチン
- 麻しん風しん混合ワクチン
- Hibワクチン
⑤ Hibワクチン
令和2年(2020年)10月1日からは、ロタウイルスワクチンも定期接種となった。
*第3編3章 4.予防接種 p142~148
▶午後78
生後1、2か月のDown〈ダウン〉症候群の乳児にみられる特徴はどれか。
- 活気があり機嫌が良い。
- 体重増加は良好である。
- 筋緊張が強く抱っこしにくい。
- 舌が小さく吸啜が困難である。
- 哺乳の途中で眠ってしまうことが多い。
⑤ 哺乳の途中で眠ってしまうことが多い。
ダウン症候群は21番染色体の先天性異常(21トリソミー)により生じ、睡眠障害を起こす傾向にある。
×① 活気があり機嫌が良い。
活動的でなく、受動的傾向にある。
×② 体重増加は良好である。
身長や体重の発育が不良となる。
×③ 筋緊張が強く抱っこしにくい。
筋緊張が低下している。筋緊張の亢進は脳性麻痺の小児にみられる。
×④ 舌が小さく吸啜が困難である。
舌が大きく、突出するなどの特徴がみられる。
▶午後79
在胎40週0日、体重3,011gで出生した男児。出生後1分、呼吸数60/分、心拍数140/分であった。四肢を屈曲させ、刺激に対して啼泣している。体幹はピンク色、四肢にはチアノーゼがみられる。
この男児の1分後のApgar〈アプガー〉スコアはどれか。
- 1点
- 3点
- 5点
- 7点
- 9点
⑤ 9点
アプガースコア(指数)は出生直後の新生児の健康状態を判定するもので、5つの基準について0~2点の3段階で評価し、合計点が7点以上で正常、4~6点で軽症仮死、0~3点で重症仮死とされる。
|
0点
|
1点 |
2点 |
皮膚の色 |
全身蒼白 |
体は淡紅色・四肢にチアノーゼ(青色) |
全身淡紅色 |
心拍数 |
脈が触れない |
100回/分未満 |
100回/分以上 |
刺激に対する反射 |
反応なし |
顔をしかめる |
くしゃみや咳、泣く |
筋肉の緊張 |
動かず弛緩している |
四肢をやや動かす |
活発に動く、四肢屈曲 |
呼吸 |
なし |
不定期で弱い |
一定で強い、啼泣 |
設問の場合、皮膚の色のみ四肢にチアノーゼが見られるため1点でそのほかは2点、よって合計9点である。
▶午後80
関節リウマチで療養している人への日常生活指導で適切なのはどれか。
- 床に座って靴下を履く。
- 2階にある部屋を寝室にする。
- 水道の蛇口をレバー式にする。
- ボタンで着脱する衣服を選択する。
- 寝具はやわらかいマットレスにする。
③ 水道の蛇口をレバー式にする。
関節リウマチで療養している人に対しては、関節部位に負荷をかけない生活を指導する。蛇口をひねる、回す操作は手首や手指に負担となるため、レバー式にすることは適している。
×① 床に座って靴下を履く。
床に座る・立ち上がる際に膝関節や股関節に負荷がかかるため、椅子に座って靴下を履く。
×② 2階にある部屋を寝室にする。
階段の昇降は膝関節に負荷がかかるため、寝室を1階にする。
×④ ボタンで着脱する衣服を選択する。
ボタンのかけ外しは手指の関節に負荷がかかるため、ボタンのない衣服を選択する。
×⑤ 寝具はやわらかいマットレスにする。
やわらかいマットレスでは体が沈み、寝返り・起き上がり時に関節に負荷がかかるため、寝具は固めのマットレスにする。
▶午後81
食事摂取基準に耐容上限量が示されているビタミンはどれか。2つ選べ。
- ビタミンA
- ビタミンB1
- ビタミンB2
- ビタミンC
- ビタミンD
① ビタミンA
⑤ ビタミンD
ビタミンで耐容上限量(健康障害をもたらすリスクがないとみなされる習慣的な摂取量)が設定されているのは、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ナイアシン、ビタミンB6、葉酸である。
▶午後82
水腎症の原因で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 前立腺癌
- 陰囊水腫
- ループス腎炎
- 神経因性膀胱
- 腎アミロイドーシス
① 前立腺癌
④ 神経因性膀胱
水腎症は尿管から膀胱、尿道に通過障害が起きることで尿が腎臓(腎盂)にたまる病気で、前立腺癌による尿管・尿道の圧迫や神経因性膀胱による排尿障害が原因となる場合がある。
▶午後83
児童相談所の業務はどれか。2つ選べ。
- 児童の一時保護
- 自立支援給付の決定
- 不登校に関する相談
- 身体障害者手帳の交付
- 放課後児童健全育成事業の実施
① 児童の一時保護
③ 不登校に関する相談
児童相談所は各都道府県・指定都市に設置が義務づけられており、子どもに関する各種の相談に応じ、専門的な角度から調査・診断・判定を行う。それに基づいて児童の一時保護や児童福祉施設入所といった措置を行っている。
×② 自立支援給付の決定
障害者総合支援法に基づき市町村が行う。
×④ 身体障害者手帳の交付
身体障害者福祉法に基づき都道府県が行う。
×⑤ 放課後児童健全育成事業の実施
児童福祉法に基づき市町村が行う。
*第5編2章 3.3〕児童相談所 p237
▶午後84
前腕の内側中央部に創部がある患者で、創部のガーゼがずれないよう固定をする必要がある。
伸縮性のある巻軸包帯を使う場合に適切なのはどれか。2つ選べ。
- 創の部位から巻き始める。
- 包帯を伸ばした状態で巻く。
- 前腕部の巻き方は螺旋帯とする。
- 手関節から肘関節まで巻く。
- 巻き終わりは環行帯とする。
③ 前腕部の巻き方は螺旋帯とする。
⑤ 巻き終わりは環行帯とする。
包帯法の巻き始めと巻き終わりは同じ箇所に重ねて巻く環行帯とし、その間は末梢から中枢に向けて包帯を1/2~2/3程度重ねながら巻く螺旋帯とする。
×① 創の部位から巻き始める。
傷口に当てたガーゼを固定するため、包帯は創の部位から離して巻き始める。
×② 包帯を伸ばした状態で巻く。
伸縮性のある巻軸包帯は伸ばした状態で巻くと、縮んだ際に前腕が圧迫されて末梢循環不全を起こすおそれがあるため、伸ばさず用いる。
×④ 手関節から肘関節まで巻く。
創部は「前腕の内側中央部」にあり、関節の動きを制限しないためにも、手関節から肘関節まで巻く必要は無い。
▶午後85
壮年期の特徴はどれか。2つ選べ。
- 骨密度の増加
- 味覚の感度の向上
- 総合的判断力の向上
- 早朝覚醒による睡眠障害
- 水晶体の弾力性の低下による視機能の低下
③ 総合的判断力の向上
⑤ 水晶体の弾力性の低下による視機能の低下
壮年期(40~64歳)では、積み重ねた経験による総合的判断力(結晶性知能)の向上や、40歳ころからの水晶体の弾力性の低下(老眼)を特徴とする。
×① 骨密度の増加
×② 味覚の感度の向上
骨密度や味覚感度などの身体機能は、青年期をピークに加齢に伴って低下していく。
×④ 早朝覚醒による睡眠障害
加齢に伴って深いノンレム睡眠の時間は短く、浅いレム睡眠の時間は長くなるため、睡眠中の途中覚醒が多くなり、特に老年期で顕著に眠りが浅くなる。
▶午後86
Aさん(63歳、男性)は、胃癌にて胃亜全摘出術後3か月目に誤嚥性肺炎で緊急入院した。食物の通過や排便は問題なかったが、食事摂取量が少なく、術前より体重が10kg減少した。総義歯が外れやすく歯科を受診予定であった。
Aさんの肺炎の原因として考えられるのはどれか。2つ選べ。
- 消化管内容物の逆流
- 義歯の不適合
- 消化吸収障害
- 吻合部狭窄
- 腸閉塞
① 消化管内容物の逆流
② 義歯の不適合
誤嚥性肺炎は、嚥下機能の低下により、細菌等を含む食物や逆流した胃液が誤って気管に入ることで起こる肺炎である。胃亜全摘出術により胃の入り口である噴門機能が喪失することで胃食道逆流が起こりやすくなったこと、義歯の不適合により嚥下や咀嚼が適切に行われないことが原因として考えられる。
▶午後87
眼底検査が必要なのはどれか。2つ選べ。
- 中耳炎
- 糖尿病
- 麦粒腫
- 高血圧症
- 筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉
② 糖尿病
④ 高血圧症
糖尿病の合併症である糖尿病網膜症、高血圧症の合併症である高血圧網膜症を早期発見するために、検眼鏡を用いた眼底検査を行う必要がある。
▶午後88
加齢に伴う心血管系の変化で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 心拍数の増加
- 左室壁の肥厚
- 収縮期血圧の上昇
- 圧受容機能の亢進
- 刺激伝導系の細胞数の増加
② 左室壁の肥厚
③ 収縮期血圧の上昇
老年期では、大動脈の硬化による収縮期血圧の上昇、拡張期血圧の低下を特徴とし、さらに心臓の筋肉の繊維化が進む結果、心臓の壁が厚くなる(肥厚)。
×① 心拍数の増加
加齢に伴う心機能の低下により、心拍数は減少する。
×④ 圧受容機能の亢進
加齢に伴い、血圧を感知する圧受容機能は低下する。
×⑤ 刺激伝導系の細胞数の増加
加齢に伴い、心臓拍動のための興奮刺激の流れである刺激伝導系の細胞数は減少する。
▶午後89
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の説明で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 介護予防サービスである。
- 24時間を通じて行われる。
- 地域密着型サービスである。
- 重症心身障害児を対象とする。
- 施設サービス計画の作成を行う。
② 24時間を通じて行われる。
③ 地域密着型サービスである。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、要介護状態の者を対象とする介護給付のうち地域密着型サービスで、日中・夜間を通じて24時間、定期的な巡回訪問または通報を受け、日常生活上の世話や療養上の世話を行う。
×① 介護予防サービスである。
介護予防サービスは要支援状態の者を対象とする予防給付である。
×④ 重症心身障害児を対象とする。
介護保険制度の対象は、65歳以上の第1号被保険者と、40~64歳の医療保険者である第2号被保険者である。重症心身障害児には児童福祉法等による必要な支援が行われる。
×⑤ 施設サービス計画の作成を行う。
施設サービス計画は、介護老人保健施設等の施設サービスを受ける際に作成されるもので、地域密着型サービスでは居宅サービス計画が作成される。
*第5編1章 3.2〕地域密着型サービス p223~224
▶午後90
車椅子で日常生活を送る在宅療養者の住宅改修で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 床を畳に変える。
- 玄関を引き戸にする。
- 廊下と部屋との段差をなくす。
- トイレに和式便器を設置する。
- 廊下の幅は車椅子の幅と同じにする。
② 玄関を引き戸にする。
③ 廊下と部屋との段差をなくす。
車椅子での在宅生活のため、①フローリングの床、②左右にスライドする引き戸、③段差の除去(バリアフリー)、④洋式便器、⑤方向転換可能な廊下の幅などが、住宅改修の方向として適切である。
資料 厚生労働省「第102回保健師国家試験、第99回助産師国家試験、第105回看護師国家試験の問題および正答について」
注 当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。
▼第105回看護師国家試験
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