平成30年2月18日(日)に実施された第107回看護師国家試験について、午前問題のうち状況設定問題の正答と解説を示します。
「国民衛生の動向2024/2025」と合わせてご活用ください。
▼第107回看護師国家試験
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厚生の指標増刊
発売日:2024.8.27 定価:2,970円(税込) 412頁・B5判 雑誌コード:03854-08
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必修問題まとめ
①国民衛生の動向対応/②看護の倫理・対象/③人体の構造と機能・健康障害・薬物/④看護技術
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午前 状況設定問題
▶次の文を読み91〜93の問いに答えよ。
Aさん(56歳、男性)は、コンビニエンスストアの店長で自動車を運転して通勤している。不規則な生活が続き、ストレスが溜まることも多く、十分な睡眠がとれないこともあった。荷物を運ぶときに胸部の圧迫感が繰り返し出現し受診したところ、狭心症が疑われたため検査をすることになった。脂質異常症の既往がある。
▶午前91
Aさんの運動負荷心電図検査(トレッドミル運動負荷試験)の結果を別に示す。

このときの心電図の所見で適切なのはどれか。
- 発作時はST低下がある。
- 発作時はP波が低下している。
- 安静時は異常Q波がある。
- 安静時は冠性T波がある。
- 安静時と発作時ともにQRS幅が拡大している。
▶午前92
検査の結果、Aさんは労作性狭心症と診断され、硝酸薬、カルシウム拮抗薬および抗血小板薬を内服することになった。その後、外来通院を続け、以前と同様に負荷のかかる作業もできるようになった。内服治療から1か月後、胸部の圧迫感が強くなり、時々左上腕から前腕にかけての放散痛も出現するようになったため、経皮的冠動脈形成術〈PCI〉を受けた。カテーテルは右大腿動脈から挿入されていた。手術中から抗凝固療法を実施している。
手術直後の観察項目として適切なのはどれか。2つ選べ。
- 乏尿の有無
- 皮膚の黄染
- 出血の有無
- 両足背動脈の触知
- 穿刺部位の感染徴候
▶午前93
Aさんの経過は順調で、手術後4日に退院することになった。Aさんは「家に戻ってもまた症状が出るのではないかと心配です」と話した。
Aさんに対する退院指導の内容として適切なのはどれか。2つ選べ。
- 「水分摂取を控えましょう」
- 「肉類を多く食べましょう」
- 「睡眠時間を確保しましょう」
- 「自動車の運転はやめましょう」
- 「次回の外来受診までは重い荷物を運ぶ作業は控えましょう」
▶次の文を読み94〜96の問いに答えよ。
Aさん(55歳、男性)。胃癌のため胃全摘出術を受けた。術中の出血量は300mLで、輸血は行われなかった。既往歴に特記すべきことはない。入院時身長166cm、体重78kg。手術後1日、硬膜外持続鎮痛法が行われているが、Aさんは創部痛が強いため呼吸が浅く、離床はできていない。このときのバイタルサインは、体温37.1℃、呼吸数22/分、脈拍120/分、血圧162/90mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉93%(鼻カニューラ2L/分酸素投与下)。Hb13.8g/dL。尿量60mL/時。意識清明、心音および呼吸音に異常なし。頸静脈怒張なし。下肢に浮腫なし。創部に熱感や発赤を認めない。腹腔ドレーンからは少量の淡血性排液があるが、膿性ではなく、異臭もない。
▶午前94
このときのAさんのアセスメントで適切なのはどれか。
- 貧血のため脈拍が速い。
- 疼痛のため血圧が高い。
- 創部感染のため体温が高い。
- 心不全のため呼吸数が多い。
▶午前95
手術後5日からAさんの食事が開始された。Aさんは食事の後に、めまい、顔面紅潮、動悸、下腹部痛を伴う下痢が出現し、冷汗がみられるようになった。
現状で最も考えられるのはどれか。
- 術後せん妄
- 乳糖不耐症
- 偽膜性大腸炎
- ダンピング症候群
▶午前96
手術後14日、Aさんは食後に出現していた症状が落ち着き、退院が決まった。
Aさんへの退院指導の内容で適切なのはどれか。
- 1回の食事量を増やす。
- 海草を積極的に摂取する。
- 食後の冷汗が出現した際には身体を温める。
- 空腹時はコーヒーなどの刺激物の摂取を避ける。
▶次の文を読み97〜99の問いに答えよ。
Aさん(75歳、女性)。1人暮らし。脳梗塞の後遺症で左不全麻痺があり、要介護1の認定を受けている。最近、夜間に中途覚醒することが多い。昨夜、トイレに行く際に転倒し、右手をついた。転倒後から右上肢の痛みがあり、翌朝になっても痛みが強かったため受診した。エックス線写真の結果から、右の上腕骨近位部骨折と診断され、入院した。
▶午前97
Aさんの骨折に対して保存療法が行われることとなった。骨折の固定法を図に示す。
Aさんの骨折部の固定として適切なのはどれか。
▶午前98
入院後2日。Aさんは日中、ベッドで横になってテレビを観ていることが多い。Aさんが尿意を訴えたため、看護師が付き添ってトイレに行くことになった。
移動の方法として適切なのはどれか。
- 右腕を使って起き上がる。
- しばらく座位をとってから立ち上がる。
- 骨折部の痛みがあるときも歩いてトイレに行く。
- ベッドの高さは腰掛けたときにつま先が床に着くよう調整しておく。
▶午前99
Aさんは入院後7日で退院し、介護老人保健施設に入所した。現在はリハビリテーションを行っている。
退所後の再転倒を予防するためのAさんへの指導で適切なのはどれか。
- 家の中で過ごす。
- 歩幅を小さくして歩く。
- 足関節の底背屈運動をする。
- 就寝前に睡眠薬を内服する。
▶次の文を読み100〜102の問いに答えよ。
Aちゃん(3歳、女児)は、父親(会社員)と母親(会社員)との3人暮らし。Aちゃんは、生後11か月のときに、卵による食物アレルギーと診断され、医師の指示で卵の除去食療法をしていた。保育所では卵を除去した給食が提供されている。Aちゃんは保育所の給食の時間に、隣の席の園児の卵が入ったおかずを摂取し、蕁麻疹と咳嗽が出現した。保育士に連れられて救急外来を受診した。Aちゃんは保育士に抱っこされ、「かゆい」と訴えており、咳込みがみられた。
▶午前100
受診時に観察する項目で優先度が高いのはどれか。
- 体温
- 心拍数
- 腸蠕動音
- 蕁麻疹の範囲
▶午前101
Aちゃんは、食物アレルギーによるアナフィラキシーと診断された。アドレナリンの筋肉内注射の後、点滴静脈内注射による補液と酸素吸入が開始された。バイタルサインは問題なく、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉99%であったが、経過観察のため入院となった。Aちゃんは「お母さんに会いたい。おうちに帰りたい」と泣き始めた。母親は、保育所から連絡を受けて病院に到着し、医師から現在の病状について説明を受けた。母親は「Aは大丈夫ですか」と看護師に不安を訴えていた。
母親への看護師の対応として最も適切なのはどれか。
- 入院中の生活の留意点を説明する。
- 父親が到着するまで待合室で待機してもらう。
- 来院時から現在までのAちゃんの様子を伝える。
- Aちゃんが食物アレルギーと診断されたときの母親の思いを聴く。
▶午前102
翌日、Aちゃんは症状が落ち着いたため退院することとなった。母親は「卵を除去した給食を出してもらっていたのですが、また今回の様なことが起こるのではないかと心配です」と不安な様子である。
このときの母親への指導として最も適切なのはどれか。
- 「保育所はしばらくお休みしましょう」
- 「給食内容を保育所の栄養士に相談しましょう」
- 「今後の給食時の対応を保育士と相談しましょう」
- 「保育所の園児に保育士からアレルギーについて説明してもらいましょう」
▶次の文を読み103〜105の問いに答えよ。
在胎38週4日、骨盤位のため予定帝王切開術で出生した男児。看護師はインファントラジアントウォーマー下で児の全身を観察した。羊水混濁はなかった。
身体所見:身長49.0cm、体重2,900g、頭囲33.0cm、胸囲32.0cm。直腸温37.8℃、呼吸数55/分、心拍数150/分。大泉門は平坦、骨重積なし、産瘤なし、頭血腫なし。胎脂は腋窩にあり。筋緊張は強く、四肢は屈曲位。皮膚は厚い。うぶ毛は背中の1/2にあり。耳介は硬い。精巣は両側ともに完全に下降。外表奇形はなし。
検査所見:Apgar〈アプガー〉スコアは1分後9点、5分後10点。臍帯動脈血pH7.30。
▶午前103
この児のアセスメントで適切なのはどれか。
- 新生児仮死
- 成熟児
- 高体温
- 水頭症
▶午前104
出生後2時間。児のバイタルサインを確認したところ、直腸温37.5℃、呼吸数75/分、心拍数160/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉87%であった。心雑音はなし。鼻翼呼吸および呻吟がみられた。四肢末端にチアノーゼあり。
この児の状態で考えられるのはどれか。
- 胎便吸引症候群〈MAS〉
- 呼吸窮迫症候群〈RDS〉
- 心室中隔欠損症〈VSD〉
- 新生児一過性多呼吸〈TTN〉
▶午前105
日齢7。児の体重は2,930g(前日より30g増加)。バイタルサインは、腋窩温37.0℃、呼吸数50/分、心拍数140/分。大泉門は平坦。排尿7回/日、排便10回/日の普通便である。経皮的黄疸計による測定値12.5mg/dL。児の母親は母乳育児を希望している。母乳分泌量は良好で乳房トラブルはない。直接授乳を1日12回しており、搾乳や人工乳は哺乳していない。母親は看護師に「体重は生まれたときから30gしか増えていませんが、大丈夫でしょうか」と話した。
母親への対応で最も適切なのはどれか。
- 「乳房を温めましょう」
- 「哺乳量を測りましょう」
- 「搾乳も追加であげましょう」
- 「このまま直接授乳を続けて良いですよ」
▶次の文を読み106〜108の問いに答えよ。
Aさん(50歳、男性)は、23歳で統合失調症を発症し、精神科病院へ5回入院したことがある。1年前に、被害妄想が原因で隣人に暴力を振るい措置入院となった。入院後2か月で自傷他害の恐れは消失し、医療保護入院へ切り替えられたが、幻覚や妄想があり家族へ1日に何回も電話をかけていた。その後は家族へ電話をかける回数が減り、病棟での生活も安定してきた。幻聴は続いているが、自分の身の回りのことは自分で行えるようになった。作業療法も継続して参加できていることから、退院を検討することになった。
▶午前106
Aさんの退院について、両親は「退院は反対。入院前のように隣人とトラブルになるのではないかと不安です。私達も高齢になってきたので負担が大きいです」と話した。
このときの両親への看護師の対応で適切なのはどれか。
- 退院後に活用できる社会資源について情報提供する。
- Aさんの主治医に入院の継続を依頼するよう勧める。
- Aさんの現在の病状を隣人に説明するよう勧める。
- 退院の承諾は家族の義務であることを伝える。
▶午前107
その後もAさんの両親は、高齢であることを理由に自宅への退院には同意しなかった。
Aさんの退院を計画的に進めるために行うことで適切なのはどれか。
- 精神医療審査会の開催
- 入院診療計画書の修正
- 行動制限最小化委員会の開催
- 医療保護入院者退院支援委員会の開催
▶午前108
Aさんの退院については、アパートでの単身生活か、共同生活援助〈グループホーム〉での生活を目指すことになった。
Aさんの精神科リハビリテーションを進めるにあたり、病棟看護師が連携する職種で最も優先度が高いのはどれか。
- 退院後生活環境相談員
- 理学療法士
- 介護福祉士
- 栄養士
▶次の文を読み109〜111の問いに答えよ。
Aさん(76歳、女性)は、長女(46歳、会社員)との2人暮らし。Aさんは5年前に2型糖尿病と診断された。1年前から血糖測定とインスリン自己注射を朝1回行っている。炊事は主にAさんが担当している。Aさんは、長女の帰宅に合わせて夕食を摂るため、夕食時間にばらつきがある。定期の外来受診時にAさんは「時々汗が出て手が震えることがあります」と外来看護師に相談した。Aさんのバイタルサインは、体温36.4℃、脈拍74/分、血圧128/80mmHg。身長154cm、体重68kgである。
▶午前109
このとき、外来看護師がAさんに行う指導で適切なのはどれか。
- 糖質を含まない水分を摂取する。
- 労作後は食事摂取量を増やす。
- 決まった食事時間を設定する。
- 空腹感に応じて食事を摂る。
▶午前110
1か月後、Aさんと一緒に外来を訪れた長女は「今までインスリンの治療は母に任せてきましたが、母は眼が見えにくく、インスリンの量が多い日があったようです。母が自己注射を続けられるように、私も手伝えればと思います」と外来看護師に話した。外来受診時、Aさんに末梢神経障害の症状は認められず、手指の動きに問題はなかった。
Aさんがインスリン自己注射を行う上で、外来看護師が行う長女への助言で適切なのはどれか。
- 「インスリンの量は娘さんが一緒に確認しましょう」
- 「血糖測定は娘さんが代わりに行いましょう」
- 「注射の針はつけたままにしましょう」
- 「注射の部位は上腕を選びましょう」
▶午前111
6か月後の外来受診時に、同席していた長女が「甘い物ばかり食べる母を叱ってしまいます」と外来看護師に話した。Aさんは黙って話を聞いていた。前回の受診から低血糖症状はなく、体重は3kg増加した。Aさんは日中テレビを観て過ごしていることが多い。
外来看護師が別室で長女に提案する内容で最も適切なのはどれか。
- 「糖尿病食の作り方を覚えましょう」
- 「厳しいことを言わないようにしましょう」
- 「甘い物をAさんから見えない場所に置きましょう」
- 「甘い物を食べてしまうAさんの気持ちを聞いてみましょう」
▶次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
Aさん(38歳、男性)。23時ころ、徒歩で来院した。Aさんは胸を押さえ苦しそうに待合室で座っており、救急外来の看護師が声をかけると、Aさんは日本語を少し話すことができ、外出中に急に胸が痛くなったと話した。Aさんは英語は話せないようだった。Aさんは日本語学校の学生であり、Aさんの指定した番号に電話したところ、Aさんの妻につながり、日本語でのコミュニケーションが可能であった。妻は1時間後に病院に到着できるということだった。この病院には、夜間にAさんの母国語を話せる職員はいなかった。
▶午前112
医師の診察までに救急外来の看護師が行う対応として適切なのはどれか。
- Aさんの在留資格を確認する。
- Aさんの母国の大使館に連絡する。
- Aさんの理解度に応じた日本語で症状を聴取する。
- 妻が来院するまでAさんに待合室で待ってもらう。
▶午前113
Aさんの妻が、Aさんの国民健康保険証を持って救急外来に到着した。妻から聴取した情報によると、Aさんは特に既往はないが、時々頭痛があり、母国で市販されていた鎮痛薬を常用していたとのことであった。心電図でST上昇が認められ、Aさんと妻は、医師から「入院して冠動脈造影〈CAG〉を受けないと命の危険があるかもしれない」と説明を受けた。しかし、Aさんは「たくさんの費用は支払えないし、学校を休むのが心配だ」と検査を受けることを拒んだ。
このときの救急外来の看護師の説明で優先されるのはどれか。
- 検査の手順を説明する。
- 学校は退学にならないことを説明する。
- 宗教に応じた食事対応ができることを説明する。
- 医療費は国民健康保険が適用されることを説明する。
▶午前114
入院後2日、冠動脈造影〈CAG〉が実施された。冠動脈に有意な狭窄はなく、Aさんは急性心外膜炎と診断された。胸痛に対して消炎鎮痛薬が5日分処方された。処方された2日後、Aさんから「薬がなくなったので追加で処方して欲しい」と病棟看護師に依頼があった。
看護師の対応で優先されるのはどれか。
- Aさんの痛みの程度を確認する。
- 医師に鎮痛薬の増量を相談する。
- Aさんが以前常用していた鎮痛薬の用量を確認する。
- Aさんが指示された用法を守れていないことを指摘する。
▶次の文を読み115、116の問いに答えよ。
Aさん(82歳、男性)。妻との2人暮らし。障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準はランクJ。Aさんは搔痒感のために皮膚科を受診し、老人性皮膚搔痒症と診断され、抗ヒスタミン内服薬が処方された。身長165cm、体重55kg。Aさんの趣味は散歩で、毎日1km程度を歩いている。
▶午前115
初診から1か月後、皮膚科の外来でAさんは「薬を飲み始めてから、口の中が渇いて食べにくい」と話した。
この状況から、Aさんに障害が起きていると考えられる摂食・嚥下の段階はどれか。
- 先行期
- 準備期
- 咽頭期
- 食道期
▶午前116
Aさんは「食べにくくてあまり食事が摂れていない。階段の昇り降りをしたり、10分以上歩いたりすると疲れてしまい、あまり外に出なくなった」と言う。体重は1か月間で2kg減少していた。他に自覚症状はなく、血液検査の結果は、血清蛋白の低下の他に異常はなかった。
このときのAさんに出現している現象として最も考えられるのはどれか。
- 脱水
- 筋肉量の減少
- 胃酸の分泌増加
- 関節可動域〈ROM〉の制限
▶次の文を読み117、118の問いに答えよ。
Aさん(31歳、初産婦)。妊娠40週1日。Aさんは午前5時に、陣痛間欠10分、陣痛発作10秒となり入院した。入院時の内診所見は子宮口1cm開大で、未破水であった。
▶午前117
Aさんは、午後2時に子宮口が4cmまで開大し、破水した。このときの胎児心拍数陣痛図を別に示す。

胎児心拍数陣痛図の情報で正しいのはどれか。
- 陣痛間欠4分
- 陣痛発作10秒
- 母体脈拍数50/分
- 胎児心拍数基線150〜160bpm
▶午前118
このとき、Aさんは陣痛のたびに緊張して身体を固くし、痛みがないときは眠そうにしている。昼食は、プリン1個と牛乳1本を摂っている。Aさんは「赤ちゃんは、なかなか生まれないですね」と疲れた表情で看護師に話す。
このときのAさんへの対応として適切なのはどれか。
- 「陣痛に合わせていきんでみましょう」
- 「眠いときは眠るようにしましょう」
- 「階段の昇り降りをしましょう」
- 「お風呂に入ってみましょう」
▶次の文を読み119、120の問いに答えよ。
Aさん(17歳、高校生)。身長158cm、体重48kg。Aさんは最近、月経時に下腹部痛が繰り返し出現し、寝込むことが多くなった。心配した母親と一緒に、Aさんは産婦人科クリニックを受診し、医師から機能性月経困難症と診断された。既往歴に特記すべきことはない。
▶午前119
Aさんの下腹部痛についての説明で適切なのはどれか。
- プロスタグランディンの過剰産生によって起こる。
- 無排卵性の月経によって起こる。
- 卵巣内のうっ血によって起こる。
- 経血の流出によって起こる。
▶午前120
Aさんは「次の月経からは、痛みがあれば、処方された鎮痛薬を飲むようにします。部活動で毎日ジョギングをしていますが、その他に日常生活で気を付けることを教えてください」と看護師に聞いてきた。
このときの看護師の指導で適切なのはどれか。
- 運動量を増やす。
- 下腹部を温める。
- 葉酸を含む食品は控える。
- 腰部のマッサージは控える。
資料 厚生労働省「第104回保健師国家試験、第101回助産師国家試験、第107回看護師国家試験の問題および正答について」
注 当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。
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平成30年2月18日(日)に実施された第107回看護師国家試験について、午前問題のうち必修問題の正答と解説を示します。
「国民衛生の動向2024/2025」で内容を解説している問題に関しては、その参照章・ページを示しているので、同書を併用しながらの利用をおすすめします。
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午前 必修問題
平均寿命で正しいのはどれか。
- 0歳の平均余命である。
- 20歳の平均余命である。
- 60歳の平均余命である。
- 死亡者の平均年齢である。
シックハウス症候群に関係する物質はどれか。
- アスベスト
- ダイオキシン類
- 放射性セシウム
- ホルムアルデヒド
介護保険法に基づき設置されるのはどれか。
- 老人福祉センター
- 精神保健福祉センター
- 地域包括支援センター
- 都道府県福祉人材センター
QOLを評価する項目で最も重要なのはどれか。
- 高度医療の受療
- 本人の満足感
- 乳児死亡率
- 生存期間
原始反射はどれか。
- 手掌把握反射
- 視性立ち直り反射
- パラシュート反射
- Landau〈ランドー〉反射
思春期にみられる感情の特徴はどれか。
- 情緒的に安定し穏やかになる。
- 思い通りにならないと泣き叫ぶ。
- 親に対して強い愛情表現を示す。
- 依存と独立のアンビバレント〈両価的〉な感情をもつ。
老年期の身体的な特徴はどれか。
- 総水分量が増加する。
- 胸腺の重量が増加する。
- 嗅覚の閾値が低下する。
- 高音域における聴力が低下する。
嚥下に関わる脳神経はどれか。
- 嗅神経
- 外転神経
- 滑車神経
- 迷走神経
頻回の嘔吐で生じやすいのはどれか。
- 血尿
- 低体温
- 体重増加
- アルカローシス
関節や神経叢の周辺に限局して起こる感覚障害の原因はどれか。
- 脊髄障害
- 物理的圧迫
- 脳血管障害
- 糖尿病の合併症
良性腫瘍と比較して悪性腫瘍でみられる特徴はどれか。
- 被膜がある。
- 遠隔転移する。
- 周囲組織に浸潤しない。
- 増殖速度が緩やかである。
肝障害の指標となる血液生化学検査の項目はどれか。
- CRP
- 尿素窒素
- アミラーゼ
- ALT〈GPT〉
排便を促す目的のために浣腸液として使用されるのはどれか。
- バリウム
- ヒマシ油
- グリセリン
- エタノール
他の医薬品と区別して貯蔵し、鍵をかけた堅固な設備内に保管することが法律で定められているのはどれか。
- ヘパリン
- インスリン
- リドカイン
- フェンタニル
面接時の質問方法でopen-ended question〈開かれた質問〉はどれか。
- 「頭痛はありますか」
- 「昨晩は眠れましたか」
- 「朝食は何を食べましたか」
- 「退院後はどのように過ごしたいですか」
異常な呼吸音のうち高調性連続性副雑音はどれか。
- 笛のような音〈笛音〉
- いびきのような音〈類鼾音〉
- 耳元で髪をねじるような音〈捻髪音〉
- ストローで水に空気を吹き込むような音〈水泡音〉
患者をベッドから車椅子へ移乗介助するときの車椅子の配置を図に示す。
左片麻痺のある患者の介助で最も適切なのはどれか。
経腸栄養剤の副作用〈有害事象〉はどれか。
- 咳嗽
- 脱毛
- 下痢
- 血尿
静脈内注射を行う際に、必ず希釈して用いる注射液はどれか。
- 5%ブドウ糖
- 15%塩化カリウム
- 0.9%塩化ナトリウム
- 7%炭酸水素ナトリウム
充塡された酸素ボンベの保管方法で正しいのはどれか。
- 横に倒して保管する。
- 保管場所は火気厳禁とする。
- バルブを開放して保管する。
- 日当たりの良い場所で保管する。
褥瘡発生の予測に用いるのはどれか。
- ブリストルスケール
- Borg〈ボルグ〉スケール
- Braden〈ブレーデン〉スケール
- グラスゴー・コーマ・スケール
令和5年(2023年)の国民健康・栄養調査において、運動習慣のある女性の割合が最も高い年齢階級はどれか。
- 30~39歳
- 40~49歳
- 50~59歳
- 60~69歳
- 70歳以上
資料 厚生労働省「第104回保健師国家試験、第101回助産師国家試験、第107回看護師国家試験の問題および正答について」
注 当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。
▼第107回看護師国家試験
平成31年2月17日(日)に実施された第108回看護師国家試験について、午後問題のうち状況設定問題の正答と解説を示します。
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午後 状況設定問題
▶次の文を読み91〜93の問いに答えよ。
Aさん(52歳、男性)は、5年前にC型肝炎、肝硬変と診断され、1回の入院歴がある。退院後、医療機関への受診を中断し3年が経過している。毎日、ウイスキーを約300mL飲んでいる。夕食の2時間後に約1,100mLの吐血があり、緊急入院となった。
身体所見:体温35.4℃、呼吸数26/分、脈拍122/分、血圧86/42mmHg、顔面は蒼白、冷汗を認める。意識は清明だが不安げな表情をしている。
検査所見:赤血球278万/μL、Hb8.4g/dL、総ビリルビン4.1mg/dL、アンモニア188μg/dL、K3.9mEq/L、血糖102mg/dL。
▶午後91
入院時のAさんの状態として考えられるのはどれか。
- 急性アルコール中毒
- 食道静脈瘤破裂
- 迷走神経反射
- 低血糖発作
▶午後92
入院から4日が経過し、Aさんは医師から「C型肝炎、肝硬変の患者は肝細胞癌を発症することがある」と説明を受けた。Aさんはスクリーニングの目的で、肝臓から骨盤内臓器までの範囲で腹部超音波検査を受けることになった。
検査前日に看護師が行う説明で正しいのはどれか。
- 「検査直前に排尿を済ませてください」
- 「おならは検査が終わるまで我慢してください」
- 「造影剤のアレルギーがあれば教えてください」
- 「検査当日は、起床時から飲食物を摂取しないでください」
▶午後93
検査の結果、C型肝炎に対し抗ウイルス療法が開始され、退院後は定期的に外来通院することになった。
退院に向けたAさんへの食事指導で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 禁酒する。
- 食物繊維を控える。
- 高蛋白食を摂取する。
- カリウム制限をする。
- 熱い食べものを避ける。
▶次の文を読み94〜96の問いに答えよ。
Aさん(58歳、男性、会社員)は、妻(55歳)と2人暮らし。5年前から高血圧症、脂質異常症を指摘され、降圧薬を内服していた。自宅で左半身に脱力感が出現し、救急車で搬送された。救急外来でCT及びMRI検査を行った結果、右中大脳動脈領域に脳梗塞の所見が認められた。入院時は、グラスゴー・コーマ・スケール〈GCS〉E3V4M5、体温36.8℃、呼吸数16/分、脈拍66/分(不整)、血圧160/85mmHg、HbA1c5.8%、心電図では、RR間隔は不定で心拍数100/分であった。入院後、血栓溶解療法を受け、2日後からリハビリテーションが開始された。1週後には回復期リハビリテーション病棟へ転棟した。
▶午後94
Aさんの脳梗塞の原因で考えられるのはどれか。2つ選べ。
- 糖尿病
- 胃潰瘍
- 高血圧症
- 心房細動
- 心房粗動
▶午後95
入院から3週が経過し、リハビリテーションによって日常生活動作〈ADL〉は改善しているが、夜間は眠れず、食欲も低下している。Aさんは「なかなか良くならない。何もできなくなってしまった」と話している。
現在のAさんへの声かけで、最も適切なのはどれか。
- 「時間が経てば良くなりますよ」
- 「リハビリをがんばりましょう」
- 「同じ病気の患者さんをご紹介しますね」
- 「なかなか良くならないと感じているのですね」
▶午後96
転棟から6週が経過し、退院に向けて多職種チームでカンファレンスを開催することになった。Aさんは、外来でのリハビリテーションを継続しながら元の職場への復帰を希望している。
Aさんの退院前のカンファレンスで適切なのはどれか。
- チームリーダーの職種は医師である。
- カンファレンスにAさんの妻の参加は不要である。
- Aさんのリハビリテーションの目標は医師が決定する。
- Aさんのリハビリテーションの内容はチームで評価する。
▶次の文を読み97〜99の問いに答えよ。
Aさん(82歳、女性)は、Alzheimer〈アルツハイマー〉型認知症で、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準Ⅱb、要介護1である。息子と2人暮らしであったが、1年前から認知症対応型共同生活介護〈認知症高齢者グループホーム〉に入所している。息子は仕事が忙しいため、2か月に1回面会に来所する。Aさんは2日前から活気がなくなり、食事量も減少した。本日、発熱や下痢を主訴に介護職員に付き添われて外来を受診した。外来の看護師が介護職員に普段の健康状態の把握の方法を尋ねると、1日1回の体温と血圧の測定、月1回の体重測定、レクリエーションへの参加の様子を確認しているという回答を得た。Aさんは、看護師の簡単な質問に答えることができる。
身体所見:体温37.0℃、呼吸数24/分、脈拍72/分、血圧132/82mmHg、呼吸音は異常なし。水様便が3回/日、濃縮尿、手指の冷感あり、顔色は不良。皮膚の乾燥あり。体重45.8kg。
検査所見:Ht40%、白血球9,800/μL、尿素窒素25mg/dL。Na150mEq/L、尿比重1.030。
▶午後97
外来の看護師が介護職員から追加で収集するAさんの情報で、最も優先するのはどれか。
- 過去1週間の体温の変動
- 昨日の睡眠状態
- 全身の皮膚状態
- 入所時の体重
▶午後98
Aさんは入院し、点滴静脈内注射が開始された。Aさんの顔色は良くなり眠っているため、介護職員は施設に戻った。看護師がAさんの様子を確認するため病室へ行くと、目が覚めたAさんは「誰かいないの」と大声を出し、興奮した様子で点滴静脈内注射のラインを外そうとしていた。
看護師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 睡眠薬を与薬する。
- 入院中であることを伝える。
- 興奮が落ち着くまで身体拘束を行う。
- 息子に退院まで付き添うよう連絡する。
- 点滴静脈内注射のラインを見えないようにする。
▶午後99
入院後3日。Aさんは開始された食事を全量摂取し、活気が出てきた。Aさんは自ら水分を摂ることはなかったが、看護師がお茶を勧めると、少量ずつ摂取している。体重47kg。Aさんの尿の性状は淡黄色で尿臭はなく、血液検査データは改善して基準値となったため、点滴静脈内注射が中止となり、退院が決まった。
Aさんが外来受診時と同じ状態を起こさないために、看護師が介護職員に伝える予防策で適切なのはどれか。
- 室温は30℃に保つ。
- 8g/日の食塩を摂取する。
- カフェインを含む水分を摂取する。
- 熱の放散を抑制する衣類を選択する。
- 食事を含めて1,300mL/日の水分を摂取する。
▶次の文を読み100〜102の問いに答えよ。
Aちゃん(8歳、女児)は、両親と妹(3歳)の4人家族である。2歳時に気管支喘息と診断された。5歳までは喘息発作のため救急外来を受診することも多く、年に1回は入院していた。6歳から発作を起こすこともなくなり、定期受診はしなくなっていた。アレルゲンは、ダニとハウスダストである。
▶午後100
Aちゃんは、学校から帰ってきた後から咳嗽がみられ、元気がなかった。夕食はあまり食べずに就寝した。夜間になり「苦しくて眠れない」と訴え、母親とともに救急外来を受診した。口元での喘鳴が著明であり、問診すると途切れ途切れに話した。救急外来受診時のバイタルサインは、体温36.9℃、呼吸数36/分、心拍数120/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉92%であった。
Aちゃんの気管支喘息の発作強度はどれか。
- 小発作
- 中発作
- 大発作
- 呼吸不全
▶午後101
救急外来で気管支拡張薬の吸入が行われたが、吸入後も呼吸数32/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉94%であったため入院することになった。入院後、鼻カニューレによる酸素投与と点滴静脈内注射が開始され、1日3回のステロイド薬の静脈内注射と1日4回の気管支拡張薬の吸入が開始された。翌日、酸素投与は中止された。バイタルサインは、体温36.8℃、呼吸数22/分、心拍数94/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉97%。聴診で喘鳴が聴取された。Aちゃんは「楽になった」と話し、笑顔が見られるようになった。
この時のAちゃんへの看護で適切なのはどれか。
- 排痰を促す。
- 胸式呼吸を促す。
- 水分摂取を控える。
- ベッド上安静とする。
▶午後102
気管支喘息による発作は軽快して点滴静脈内注射が中止された。咳嗽が軽度あるが全身状態は良好であるため、退院が決定した。Aちゃんに学校での生活状況を確認すると「最近、喘息発作はなかったけど、体育の時は咳が出たり苦しくなったりすることが時々あった」と話した。そのため、Aちゃんと母親に、退院後も抗アレルギー薬の内服と副腎皮質ステロイド薬の吸入を続けるように医師から説明された。
看護師のAちゃんに対する退院後の指導で適切なのはどれか。
- 「咳が出なくても体育の授業は見学しましょう」
- 「学校で咳が続くときは先生に伝えましょう」
- 「咳が出なくなったら薬はやめましょう」
- 「部屋の空気の入れ替えはやめましょう」
▶次の文を読み103〜105の問いに答えよ。
Aちゃん(生後10か月)は、それまで機嫌よく過ごしていたが、夕方から突然不機嫌になり、15〜20分ごとに激しく泣いては、泣き止むことを繰り返した。Aちゃんは夕食の離乳食を食べず哺乳もしなかったが、嘔吐したため21時に保護者と救急病院を受診した。担当医師は保護者に、腸重積症が疑われるためグリセリン浣腸を行って便性を確認する、と説明した。体温は37.1℃であった。
▶午後103
浣腸後に想定される反応便はどれか。
- 兎糞便
- タール便
- 灰白色便
- 米のとぎ汁様便
- イチゴゼリー様便
▶午後104
Aちゃんへの腹部超音波検査の結果、腸重積症の診断が確定し、静脈内注射による鎮静下で高圧浣腸が行われることになった。
看護師が一連の処置の準備をするにあたり、最も重要な物品はどれか。
- 潤滑ゼリー
- 替えのおむつ
- ガーグルベースン
- 経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉モニター
▶午後105
Aちゃんは、高圧浣腸により重積が整復され、経過観察のため入院した。翌朝、経口摂取が可能となり、状態も落ちついているため退院が決定した。保護者から「退院後に何か注意することはありますか」と看護師に質問があった。
保護者への説明で適切なのはどれか。
- 「月1回の受診をしてください」
- 「3日間は入浴を控えてください」
- 「1週間は離乳食を1日1回にしてください」
- 「同じような症状が出たら受診してください」
▶次の文を読み106〜108の問いに答えよ。
Aさん(28歳、初産婦)は、夫(30歳)と2人暮らし。妊娠25週4日に妊娠糖尿病〈GDM〉と診断され、インスリンの自己注射を行っている。胎位が骨盤位であったため妊娠38週2日に予定帝王切開術を受け、3,050gの男児を出産した。麻酔は脊髄くも膜下麻酔で、術中の経過に異常はなく、出血量は480mLであった。弾性ストッキングを着用している。児のApgar〈アプガー〉スコアは1分後8点、5分後10点。児のバイタルサインは直腸温37.3℃、呼吸数45/分、心拍数154/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉99%であった。
▶午後106
児への対応で最も優先するのはどれか。
- 沐浴
- 血糖値の測定
- 経皮的黄疸計での測定
- ビタミンK2シロップの与薬
▶午後107
手術後1日。Aさんのバイタルサインは、体温37.3℃、脈拍68/分、血圧124/66mmHgであった。排ガスはあるが、排便はない。Aさんは膀胱留置カテーテルの抜去後、看護師に付き添われ歩いて室内のトイレに行った。排尿後、すぐにベッドに横になった。Aさんは「起き上がってから頭が痛くなりました。めまいやふらつきはありませんでした」と看護師に話す。子宮底の高さは臍高、子宮は硬く触れ、血性悪露が中等量みられた。後陣痛はない。
Aさんへの対応で適切なのはどれか。
- 手術前から着用している弾性ストッキングを脱がせる。
- 腹部の冷罨法を行う。
- 床上排泄を促す。
- 水分摂取を促す。
▶午後108
手術後7日。Aさんの術後の経過は良好である。Aさんの母乳分泌は良好で、母乳で育てていくことを希望している。Aさんは「2年後にもう1人、子どもが欲しいと思っています。避妊をどうしたらいいでしょうか」と話す。
Aさんに対する看護師の説明で適切なのはどれか。
- 「子宮内避妊器具〈IUD〉は使用できません」
- 「低用量ピルは産後1か月から使用できます」
- 「母乳を与えている間は避妊の必要はありません」
- 「コンドームは性生活を再開するときから使用できます」
▶次の文を読み109〜111の問いに答えよ。
Aさん(19歳、男性、専門学校生)は、1人暮らし。「皆が自分を嫌っている」と言い、昨年から学校を休学し、アパートに引きこもるようになった。先週、夜中に大声で叫ぶ日が続いたため、アパートの管理人が両親へ連絡をした。連絡の翌日、Aさんの両親が訪ねてみると、Aさんは「隣の人に嫌がらせを受けている。助けてくれ」と叫び続けたため、両親とともに精神科病院へ行き、その日のうちに任意入院となった。Aさんは統合失調症と診断され、抗精神病薬による治療が開始された。
▶午後109
Aさんは、入院後10日から日中に臥床するようになった。夜間は熟睡している。食事の時間に食堂に遅れてくることが多い。看護師と会話をするようになったが、他の入院患者への被害妄想がある。
この時期の看護師の対応で最も適切なのはどれか。
- 食事介助をする。
- 一緒に院内を散歩する。
- 他の入院患者との交流を促す。
- 日中に臥床しているときは声かけを控える。
▶午後110
入院後1か月。Aさんは洗面所でボーッとしていることが多くなり、頭痛や倦怠感を訴えることが多くなった。
身体所見:身長170cm、6時の体重60kg、17時の体重63kg、体温36.4℃、呼吸数18/分、脈拍76/分、血圧124/70mmHg。
検査所見:クレアチンキナーゼ〈CK〉190IU/L〈U/L〉、空腹時血糖102mg/dL、HbA1c5.0%、Na128mEq/L、K3.5mEq/L、総コレステロール180mg/dL、HDLコレステロール45mg/dL。
Aさんの状況で最も考えられるのはどれか。
- 水中毒
- 悪性症候群
- セロトニン症候群
- メタボリック症候群
▶午後111
入院後2か月。Aさんは症状も落ち着いてきたため、退院の準備をすることになった。Aさんは看護師に「病気はすっかりよくなったのに、ずっと薬を飲まなければならないのか。体がだるく、体力が落ちた気がする。朝から学校へ行けるかどうか心配だ」と話した。
Aさんの退院の準備のために行う支援で優先度が高いのはどれか。
- 服薬心理教育
- 食事への援助
- 筋力トレーニングの指導
- アサーティブトレーニングの指導
▶次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
Aさん(40歳、男性、会社員)は、うつ病と診断されていた。最近、仕事がうまくいかず、大きなミスを起こし、会社に損失を与えたことから自分を責め不眠となり、体重が減少した。ある朝、リビングの床で寝ているAさんを妻が発見し、大きな声で呼びかけたところ、Aさんは1度目を開けたが、すぐ目を閉じてしまった。ごみ箱に、からになった薬の袋が大量に捨ててあり、机には遺書があった。救急搬送後、意識が清明となり、身体的問題がないため精神科病院に入院となった。
▶午後112
入院時の看護師のAさんに対する関わりで適切なのはどれか。
- いま死にたい気持ちがあるか尋ねる。
- 命を大切にしたほうがよいと伝える。
- 死ぬ気があれば何でもできると話をする。
- 家族が悲しむから死んではいけないと伝える。
▶午後113
入院後1か月、Aさんのうつ症状は改善を認めたが、同室患者とトラブルが続き、不眠や多弁傾向となった。また焦燥感が強く落ち着いて食事ができなくなった。そのため双極性障害と診断され、主治医から炭酸リチウムの内服の指示が出た。Aさんは炭酸リチウムを服用して1週後、手の震え、嘔気が出現した。
Aさんの手の震え、嘔気の原因を判断するための検査で最も適切なのはどれか。
- 尿検査
- 髄液検査
- 頭部MRI検査
- 薬物血中濃度検査
▶午後114
入院後3か月、Aさんは退院予定となり、元の職場に戻るための準備をすることになった。Aさんは「すぐに仕事に戻るのではなく、規則正しく生活することなどから、段階的に取り組むほうがいいのではないか」と訴えていた。
Aさんの職場復帰を含めた退院後の生活を支援するために適切なのはどれか。
- 自立訓練
- 就労移行支援
- 就労継続支援
- 精神科デイケア
▶次の文を読み115〜117の問いに答えよ。
Aさん(70歳、男性)は、妻(68歳)と2人暮らし。3年前に筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉と診断され、在宅で療養生活を続けていた。その後、Aさんは症状が悪化し、入院して気管切開下の人工呼吸療法、胃瘻による経管栄養法を受けることになった。妻は、退院後に必要なケアの技術指導、人工呼吸器や胃瘻の管理方法、緊急・災害時の対応について病棟看護師から指導を受けた。退院前カンファレンスにおいて、訪問看護のほかに必要な在宅サービスについて検討することになった。妻は慢性腎不全のため、週に3回の血液透析を受けており、1回に約6時間の外出が必要である。
▶午後115
Aさんが利用する在宅サービスで最も優先度が高いのはどれか。
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
- 通所リハビリテーション
- 短期入所生活介護
- 療養通所介護
▶午後116
退院から1週後に妻から訪問看護ステーションに連絡があり「人工呼吸器のアラームが鳴り続けていて、どうしたらいいのかわかりません。低圧アラームが点灯しています。気管カニューレも抜けていないし、呼吸もいつも通りにしているように見えます」と尋ねた。
この時の訪問看護師の妻への回答で正しいのはどれか。
- 「気管内の吸引を行ってください」
- 「回路にゆるみがないか確認してください」
- 「電源プラグが抜けていないか確認してください」
- 「ウォータートラップに水が溜まっていないか確認してください」
▶午後117
退院から2週後、妻から「昨日、私が透析を受けている病院で災害が発生した場合の診療について説明がありました。在宅での生活にも少し慣れてきたし、夫のことも気になるので、あらためて災害に備えておきたいのですが、何から始めればよいでしょうか」と訪問看護師に相談があった。
訪問看護師が妻に指導する内容で最も優先度が高いのはどれか。
- 予備の電源の選び方
- 福祉避難所への移動手段
- 災害用持ち出し物品の準備
- 足踏み式吸引器の使用方法
▶次の文を読み118〜120の問いに答えよ。
Aさん(55歳、男性、自営業)は、父親(78歳)と2人暮らし。Aさんは、2年前から食後に心窩部痛を感じていたが、医療機関を受診していなかった。午後3時、Aさんは胃部不快感を訴えた直後、突然コップ1杯程度の吐血があり倒れた。父親が救急車を呼び、救急病院に搬送された。到着時、意識はジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉Ⅰ-3。バイタルサインは、体温36.4℃、呼吸数20/分、脈拍124/分、整、血圧86/50mmHg。経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉95%。顔面は蒼白で、皮膚は湿潤している。四肢冷感を認める。眼瞼結膜は軽度貧血様であるが、黄染を認めない。腹部は平坦で腸蠕動音は微弱、心窩部に圧痛を認めるが、筋性防御はない。胃部不快感は受診前よりも改善している。担当した医師に父親が「息子は黒い便が出ると言っていた」と伝えた。
▶午後118
Aさんの状態で考えられるのはどれか。
- 出血性ショック
- イレウス
- 低血糖
- 脱水
▶午後119
Aさんは緊急入院となり、医師から「少なくとも2週間程度の入院が必要です」と説明を受けた。立ち会っていた看護師長にAさんは「最近、父の物忘れがひどくて、1人でどこかに行ってしまったこともあるので、家に帰せません。何とかなりませんか」と訴えた。父親は要介護認定を受けているが、現在は介護保険サービスを利用せず、Aさんが介護をしながら生活していた。
Aさんの父親に対する看護師長の対応で適切なのはどれか。
- 自院への入院を調整する。
- 地域包括支援センターに相談する。
- 精神保健福祉センターに相談する。
- 特別養護老人ホームに入所相談する。
▶午後120
Aさんは、医師から「検査の結果、スキルス胃癌でした。膵臓や広範囲な腹膜への転移があって手術ができない状態でした。おそらく余命半年だと思います」と告知され、1週後に退院となった。退院後3か月、Aさんは外来看護師に「ずいぶん腰痛と腹痛がひどく、腹水が溜まって動くのも大変になってきました。最期は人工呼吸器の装着など延命をしたくないのですが、それを意識がなくなったあとにも医師に伝える方法はありますか」と尋ねた。そこで、看護師はAさんにリビングウィルの説明をすることにした。
Aさんに対して看護師が行うリビングウィルの説明で正しいのはどれか。
- 「法律で定められた文書です」
- 「父親のグリーフケアに必要な書類です」
- 「Aさんの自由意思で作成することができます」
- 「一度作成すると内容を変更することはできません」
資料 厚生労働省「第105回保健師国家試験、第102回助産師国家試験、第108回看護師国家試験の問題および正答について」
注 当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。
▼第108回看護師国家試験
テーマ別
必修問題まとめ
①国民衛生の動向対応/②看護の倫理・対象/③人体の構造と機能・健康障害・薬物/④看護技術
年次別
第113回/第112回/第111回/第110回/第109回/第108回/第107回/第106回/第105回/第104回/第103回/第102回
平成31年2月17日(日)に実施された第108回看護師国家試験について、午後問題のうち必修問題の正答と解説を示します。
「国民衛生の動向2024/2025」で内容を解説している問題に関しては、その参照章・ページを示しているので、同書を併用しながらの利用をおすすめします。
▼第108回看護師国家試験
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厚生の指標増刊
発売日:2024.8.27 定価:2,970円(税込) 412頁・B5判 雑誌コード:03854-08
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必修問題まとめ
①国民衛生の動向対応/②看護の倫理・対象/③人体の構造と機能・健康障害・薬物/④看護技術
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第113回/第112回/第111回/第110回/第109回/第108回/第107回/第106回/第105回/第104回/第103回/第102回
午後 必修問題
日本における令和5年(2023年)の総人口に占める老年人口の割合で最も近いのはどれか。
- 19%
- 29%
- 39%
- 49%
令和4年(2022年)の国民生活基礎調査における通院者率が男女ともに最も高いのはどれか。
- 糖尿病
- 腰痛症
- 高血圧症
- 眼の病気
労働安全衛生法に規定されているのはどれか。
- 失業手当の給付
- 労働者に対する健康診断の実施
- 労働者に対する労働条件の明示
- 雇用の分野における男女の均等な機会と待遇の確保
看護師が行う患者のアドボカシーで最も適切なのはどれか。
- 多職種と情報を共有する。
- 患者の意見を代弁する。
- 患者に害を与えない。
- 医師に指示を聞く。
看護師の免許の取消しを規定するのはどれか。
- 刑法
- 医療法
- 保健師助産師看護師法
- 看護師等の人材確保の促進に関する法律
マズロー, A. H.の基本的欲求の階層で、食事・排泄・睡眠の欲求はどれか。
- 安全の欲求
- 自己実現の欲求
- 承認の欲求
- 生理的欲求
生後4か月の乳児の発達を評価するのはどれか。
- 寝返り
- お座り
- 首のすわり
- つかまり立ち
エリクソン, E. H.の乳児期の心理・社会的発達段階で正しいのはどれか。
- 親密
- 同一性
- 自主性
- 基本的信頼
成人の体重に占める体液の割合で最も高いのはどれか。
- 血漿
- 間質液
- 細胞内液
- リンパ液
要介護者に対し、看護・医学的管理の下で必要な医療や日常生活上の世話を行うのはどれか。
- 介護老人保健施設
- 短期入所生活介護
- 保健センター
- 有料老人ホーム
運動性言語中枢はどれか。
- 中心後回
- 大脳基底核
- Broca〈ブローカ〉野
- Wernicke〈ウェルニッケ〉野
ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉のⅢ(3桁)で表現される意識レベルはどれか。
- 意識清明の状態
- 刺激すると覚醒する状態
- 刺激しても覚醒しない状態
- 刺激しなくても覚醒している状態
最も緊急性の高い不整脈はどれか。
- 心房細動
- 心室細動
- 心房性期外収縮
- Ⅰ度房室ブロック
浮腫の原因となるのはどれか。
- 膠質浸透圧の上昇
- リンパ還流の不全
- 毛細血管内圧の低下
- 毛細血管透過性の低下
狭心症発作時に舌下投与するのはどれか。
- ヘパリン
- ジゴキシン
- アドレナリン
- ニトログリセリン
緑内障患者への投与が禁忌なのはどれか。
- コデイン
- アスピリン
- アトロピン
- フェニトイン
看護師が行う看護過程で適切なのはどれか。
- 問題解決思考である。
- 医師の指示の下で計画を立てる。
- 看護師の価値に基づいてゴールを設定する。
- アセスメント、計画立案、評価の3段階で構成される。
成人のグリセリン浣腸で肛門に挿入するチューブの深さはどれか。
- 2cm
- 5cm
- 12cm
- 15cm
右前腕に持続点滴をしている患者の寝衣交換で適切なのはどれか。
- 左袖から脱ぎ、右袖から着る。
- 左袖から脱ぎ、左袖から着る。
- 右袖から脱ぎ、左袖から着る。
- 右袖から脱ぎ、右袖から着る。
転倒・転落の危険性が高い成人の入院患者に看護師が行う対応で正しいのはどれか。
- 夜間はおむつを使用する。
- 履物はスリッパを使用する。
- 離床センサーの使用は控える。
- 端坐位時に足底が床につくベッドの高さにする。
中心静脈から投与しなければならないのはどれか。
- 脂肪乳剤
- 生理食塩液
- 5%ブドウ糖液
- 高カロリー輸液
赤色のトリアージタグが意味するのはどれか。
- 死亡群
- 保留群
- 最優先治療群
- 待機的治療群
温罨法の作用で正しいのはどれか。
- 平滑筋が緊張する。
- 局所の血管が収縮する。
- 還流血流量が減少する。
- 痛覚神経の興奮を鎮静する。
体温調節中枢があるのはどれか。
- 橋
- 延髄
- 小脳
- 大脳皮質
- 視床下部
腎機能を示す血液検査項目はどれか。
- 中性脂肪
- ビリルビン
- AST〈GOT〉
- クレアチニン
- LDLコレステロール
資料 厚生労働省「第105回保健師国家試験、第102回助産師国家試験、第108回看護師国家試験の問題および正答について」
注 当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。
▼第108回看護師国家試験
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必修問題まとめ
①国民衛生の動向対応/②看護の倫理・対象/③人体の構造と機能・健康障害・薬物/④看護技術
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第113回/第112回/第111回/第110回/第109回/第108回/第107回/第106回/第105回/第104回/第103回/第102回
平成31年2月17日(日)に実施された第108回看護師国家試験について、午前問題のうち状況設定問題の正答と解説を示します。
「国民衛生の動向2024/2025」と合わせてご活用ください。
▼第108回看護師国家試験
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必修問題まとめ
①国民衛生の動向対応/②看護の倫理・対象/③人体の構造と機能・健康障害・薬物/④看護技術
年次別
第113回/第112回/第111回/第110回/第109回/第108回/第107回/第106回/第105回/第104回/第103回/第102回
午前 状況設定問題
▶次の文を読み91〜93の問いに答えよ。
Aさん(20歳、男性、大学生)は、炎天下で長時間サッカーをしていたところ転倒し、左膝と左側腹部を強打した。「左膝がカクッと折れて力が入らない。左腹部が痛い」ことを主訴に救急外来を受診した。
受診時のバイタルサインは、体温37.0℃、呼吸数14/分、脈拍98/分、血圧102/58mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%。血液検査の結果、赤血球550万/μL、Hb16.0g/dL、Ht55%、白血球8,900/μL、CRP0.3mg/dLであった。尿検査は尿潜血(-)、尿比重1.025、濃縮尿であった。胸部・腹部・下肢のエックス線写真に異常なし。胸腹部CTでは脾臓損傷を否定できなかった。このため、左半月板損傷と外傷性脾臓損傷を疑い入院となった。
▶午前91
Aさんの状態をアセスメントするために、救急外来受診時に優先して観察すべき項目はどれか。
- 尿の性状
- 腸蠕動音
- 脈拍数
- 体温
▶午前92
入院後3日、腹部CTの再検査で脾臓損傷は否定された。また、左膝のMRI検査では、左半月板損傷と確定診断され、自宅療養することとなった。退院準備中のAさんから「ベッドから立ち上がろうとしたら、左膝が曲がったままで伸びない。痛みはそれほどでもないです」と訴えがあった。
この時、医師への連絡と同時に看護師が実施することで適切なのはどれか。
- 作業療法士へ相談する。
- 下肢の関節可動域を確認する。
- 処方された鎮痛薬を服用させる。
- 下肢の徒手筋力テストを実施する。
▶午前93
医師による診察の結果、退院は中止になり、入院後5日に膝関節鏡を用いた手術を受けた。手術後1週の診察で退院が決まり、医師から「取り外し可能なギプスを装着し、次の受診まで松葉杖を使い左足には負荷をかけないで生活をしてください」と説明された。
看護師がAさんに行う退院指導で、正しいのはどれか。
- 「負荷をかけない」とは痛くない程度に体重をかけることである。
- 患側膝関節の屈曲伸展を繰り返す運動をしてよい。
- 患側下肢の等尺性運動を実施する。
- 松葉杖は腋窩に密着させる。
▶次の文を読み94〜96の問いに答えよ。
Aさん(37歳、女性、会社員)は、夫(38歳)と2人暮らし。身長155cm、体重57kg。Aさんは、入浴中に右胸のしこりに気づき、病院を受診した。乳房超音波検査で右乳房外側下部に、直径約3cmの腫瘤が認められた。医師から乳癌の可能性が高いと説明され、検査を受けたところ、右乳癌と診断された。
▶午前94
確定診断のため、Aさんに行われた検査はどれか。
- MRI
- 針生検
- PET-CT
- マンモグラフィ
▶午前95
Aさんは、乳房温存療法を希望したが、腫瘤が大きいため手術前に化学療法を受けることになった。術前化学療法としてEC療法(エピルビシン、シクロホスファミド)を3週ごとに、4サイクル受ける予定である。
Aさんに起こりやすい障害はどれか。
- 嗅覚障害
- リンパ浮腫
- 卵巣機能不全
- 末梢神経障害
▶午前96
Aさんは、職場の上司と相談し、仕事を継続しながら化学療法を受けることになった。2サイクル目の治療のため、化学療法センターに来院した。Aさんは「1回目の治療のあと、数日間身体がだるくて食欲もなく、体重が1キロ減りました。仕事も休みました」と看護師に話した。
身体所見:体温36.8℃、呼吸数16/分、脈拍70/分、血圧120/74mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%。
検査所見:赤血球400万/μL、Hb12.5g/dL、Ht37%、白血球2,300/μL(好中球55%、単球5%、好酸球4%、好塩基球1%、リンパ球35%)、血小板18万/μL、総蛋白7.0g/dL、アルブミン4.5g/dL、尿素窒素13mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、CRP0.3mg/dL。
2サイクル目の化学療法を受けたAさんに行ってもらうセルフモニタリングで最も重要なのはどれか。
- 脈拍数
- 体温
- 血圧
- 体重
▶次の文を読み97〜99の問いに答えよ。
Aさん(68歳、女性)は、1人暮らし。隣の市に娘がいる。日常生活は自立している。10年前に糖尿病と診断され、血糖降下薬を服用している。最近の血液検査でHbA1cが8.5%のため、インスリンの自己注射を導入するかどうかを検討することになった。医師からAさんには自己注射についてまだ説明されていない。
▶午前97
Aさんに自己注射を導入できるかを判断するための情報で最も重要なのはどれか。
- 細かい文字が読める。
- 運動療法を行っている。
- 近所に支援をしてくれる人がいる。
- 食品交換表の使い方を理解できている。
▶午前98
Aさんは、医師から自己注射について説明された。Aさんは医師に質問はないと答えたが、考え込んでいたため、看護師はAさんに心配なことがあるか質問した。Aさんは「10年間、食事療法をがんばってきたのに、注射になるのですね。今後どうしたら良いかわからなくなりました」と話した。
この時の看護師の言葉かけで適切なのはどれか。
- 「もう少しがんばれると良かったですね」
- 「治療食の配食サービスを利用しましょう」
- 「私たちの指導通りに行えばうまくいきます」
- 「これまでの食事で工夫したことを一緒に振り返りましょう」
▶午前99
朝食前の自己注射によって、Aさんの血糖値は安定していた。6年後、Aさんはサービス付き高齢者向け住宅に転居した。転居後の外来受診時、Aさんは外来看護師に「施設の食堂で食事をしている。食堂に行く前は化粧で忙しいが、毎日楽しい。間食はしていない」と話す。転居後2か月のHbA1c値が上昇していたため、外来看護師がAさんに質問すると「引っ越してから、注射を忘れることがあった」と話した。Aさんの自己注射の手技に問題はなく、Mini-Mental State Examination〈MMSE〉は29点だった。Aさんの娘に確認すると、Aさんの自室の冷蔵庫に、未使用のインスリンが余っていることが分かった。
外来の看護師からAさんと娘への助言で最も適切なのはどれか。
- 訪問看護師に注射を依頼する。
- 注射をしたらカレンダーに印をつける。
- 化粧で使う鏡に「朝食前に注射」のメモを貼る。
- サービス付き高齢者向け住宅の職員にインスリンの残量を数えてもらう。
▶次の文を読み100〜102の問いに答えよ。
Aさん(89歳、女性)は、息子夫婦と3人暮らし。障害高齢者の日常生活自立度判定基準A-2。腹部膨満感とふらつきを自覚したため受診したところ、原発不明の癌による多臓器への転移と腹水貯留が認められ、入院した。入院時に、医師からAさんと家族に、回復の見込みが低いことが伝えられた。看護師に、Aさんは「もう十分長生きできましたから、自然に最期を迎えたいです」と話した。
身体所見:身長148cm、体重43kg、腹囲80cm。体温36.8℃、血圧128/80mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉97%。意識レベル清明。
検査所見:Hb6.9g/dL、総蛋白4.5g/dL、アルブミン2.9g/dL、AST〈GOT〉45IU/L〈U/L〉、ALT〈GPT〉60IU/L〈U/L〉、Na130mEq/L、K4.2mEq/L。
▶午前100
Aさんは全身の衰弱がみられるものの、Aさんの希望で病室のトイレには歩いて行くことになった。看護師は、Aさんは転倒するリスクが高いと判断した。
Aさんの転倒要因はどれか。2つ選べ。
- 貧血
- 腹水貯留
- 肝機能低下
- 低酸素血症
- 低カリウム血症
▶午前101
Aさんは昼間も寝ていることが多くなった。Aさんは「食事はいらないけど冷たいものはほしい」と言い、看護師が準備した氷を少量食べることがある。維持輸液を行っている。医師から家族にAさんの臨終が近いとの説明があった。家族は看護師に「食事をとらないと体力がなくなってしまう。苦痛なく最期を迎えさせてあげたいけれど、少しでも長く生きていてほしい」と言っている。
家族に対する看護師の説明で最も適切なのはどれか。
- 「食事を介助してください」
- 「点滴をしているので大丈夫です」
- 「食事に栄養補助食品を取り入れます」
- 「Aさんが食べたい物を持ってきてください」
▶午前102
1週後、Aさんは反応がなくなり、尿量の減少、血圧の低下、下顎呼吸、チアノーゼがみられるようになり、家族が病室に集まった。「最期に何かしてあげたいけれど、何ができるのかわかりません」と看護師に話した。
家族に対する看護師の対応で最も優先順位が高いのはどれか。
- Aさんに話しかけるように勧める。
- Aさんの全身清拭を行うように勧める。
- Aさんの背部にクッションを入れるように勧める。
- Aさんの好んでいた服に着がえさせるように勧める。
▶次の文を読み103〜105の問いに答えよ。
Aちゃん(1歳6か月、男児)は、5日前から発熱し、自宅近くのかかりつけ医に通院していたが解熱せず、昨日から眼球結膜の充血、口唇の発赤と亀裂が出現したため入院した。診察では、体幹の発疹と手足の浮腫もあり、川崎病および脱水症と診断された。Aちゃんに対し、点滴静脈内注射による脱水症の治療が開始され、左手掌から前腕までシーネで固定された。Aちゃんは機嫌が悪く、両手をバタバタと上下に動かしながら泣いている。左手背の留置針刺入部には、腫脹や発赤はない。
▶午前103
Aちゃんに対する看護師の対応で最も適切なのはどれか。
- 四肢の抑制を行う。
- 気をそらすよう工夫する。
- 点滴静脈内注射のラインを短くする。
- 点滴静脈内注射の必要性を説明する。
▶午前104
Aちゃんの血液検査の結果は、白血球15,000/μL、血小板45万/μL、CRP4.8mg/dLであり、心臓超音波検査に異常はなかった。γ-グロブリン製剤の点滴静脈内注射が開始された。10分後にAちゃんは腹部をかきはじめ、全身にかゆみを伴う膨隆疹と喘鳴、口唇のチアノーゼが出現した。
Aちゃんの状態として最も考えられるのはどれか。
- イレウス
- 心筋梗塞
- アレルギー反応
- クループ症侯群
▶午前105
Aちゃんの心臓超音波検査結果では、冠状動脈瘤の所見はなかった。Aちゃんは、全身状態が安定したため退院することになった。
看護師からAちゃんの家族への退院指導で適切なのはどれか。
- 運動の制限がある。
- 定期受診が必要である。
- 水分摂取量の制限がある。
- 保育所への通所は2週間禁止する。
▶次の文を読み106〜108の問いに答えよ。
Aさん(34歳、初産婦)は、夫(37歳、会社員)と2人暮らし。事務の仕事をしている。身長157cm、非妊時体重54kg。妊娠24週4日の妊婦健康診査時の体重58kgで4週前から1.5kg増加している。血圧128/88mmHg。尿蛋白(±)、尿糖(-)。浮腫(±)。Hb10g/dL、Ht30%。子宮底長22.5cm、腹囲84cm。胎児推定体重700g。非妊時より白色の腟分泌物は多いが、搔痒感はない。
▶午前106
Aさんの妊婦健康診査時のアセスメントで適切なのはどれか。
- 妊娠性貧血
- 腟カンジダ症
- 胎児発育不全〈FGR〉
- 妊娠高血圧症候群〈HDP〉
▶午前107
妊婦健康診査後、Aさんは看護師に「毎朝30分、電車内で立ち続けているので職場までの通勤がとても疲れます」と話した。看護師はAさんに、就労する妊娠中の女性に関する制度について説明した。
Aさんがこの時点で取得できるのはどれか。
- 産前休業
- 時差出勤
- 就業の制限
- 所定労働時間の短縮
▶午前108
Aさんは夫に付き添われ、妊娠35週4日に妊婦健康診査を受けた。体重62kg、血圧126/76mmHg。尿蛋白(-)、尿糖(-)。浮腫(±)。子宮底長30cm、腹囲88cm。Aさんは看護師に「膝の裏の血管が膨らんで、青く浮き出てきました。夕方になると足がだるくなり、夕食の準備のため立っているとつらくなります」と言う。
Aさんへの指導で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 「水分を控えましょう」
- 「体重を減らしましょう」
- 「ガードルを着用しましょう」
- 「弾性ストッキングを着用しましょう」
- 「寝るときは足を高くして横になりましょう」
▶次の文を読み109・111の問いに答えよ。
Aさん(30歳、初産婦、会社員)は、夫と2人暮らし。妊娠38週6日で3,200gの児を正常分娩した。分娩後から母児同室を開始しており、母乳育児を希望している。
▶午前109
産褥2日。乳房の緊満はなく、熱感がある。初乳から移行乳へと変化している。Aさんの児の抱き方はぎこちなく、乳頭をくわえさせるのに時間がかかっている。産褥1日から2日にかけた24時間で、14回の直接授乳をしている。児の体重は3,060gで、体重減少率は4.4%、排尿は3回/日、排便は2回/日である。Aさんは「あまり母乳が出ていないようですが、人工乳を足した方がよいですか」と看護師に相談した。
この時、看護師がアセスメントする項目で最も重要なのはどれか。
- 直接授乳の回数
- 母乳の分泌状態
- 児の体重減少率
- 児の排泄状況
▶午前111
産褥4日。Aさんは乳頭を児にうまくくわえさせられず「上手におっぱいがあげられない。退院してからも続けていけるか心配です」と言う。Aさんの乳房からは移行乳の分泌がみられる。児の体重は3,040g、排尿は5回/日、排便は4回/日である。
Aさんへの授乳時のアドバイスとして、適切なのはどれか。2つ選べ。
- 3時間ごとに授乳させる。
- 児が前屈姿勢になるように支える。
- 児が啼泣している時に授乳させる。
- 児の舌の上に乳頭がのるようにくわえさせる。
- 児が大きく口を開けたタイミングで乳頭をくわえさせる。
▶次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
Aさん(37歳、女性、会社員)は、1人暮らし。11月に経理部へ異動となった。新しい人間関係と慣れない仕事で帰宅後も緊張が取れず、眠れない日が続いていた。異動から3週目の朝、会社のエレベーターに乗ると、息苦しさ、動悸からパニック発作を起こした。その後も不眠とパニック発作が出現したため、異動から2か月後、精神科クリニックを受診し、パニック障害と診断された。主治医からは、短時間型の睡眠薬と選択的セロトニン再取り込み阻害薬〈SSRI〉が処方された。また、職場の協力を得て仕事量の調整をしてもらうことになった。受診から5日後、Aさんから「昨日の朝から気分が悪くなり、下痢をするようになった」と電話があった。
▶午前112
受診後のAさんの状況に対する看護師のアセスメントで適切なのはどれか。
- ストレスの増大
- うつ症状の悪化
- 睡眠薬の持ち越し効果
- SSRIの副作用〈有害事象〉
▶午前113
受診から1か月後、Aさんは11階の職場に向かう途中、エレベーターの中でパニック発作を再び起こした。その時は、息が止まってしまうように感じた。それ以来、エレベーターを見ると、また同じようになってしまうかもしれないと思うようになり、怖くて乗れなくなり、仕事にも支障が出るようになった。
Aさんへの看護師の対応で最も適切なのはどれか。
- 「エレベーターの中で息が止まる」という認知による感情・行動を修正する。
- 同じ症状を持つ人々との話し合いを通じて症状の軽減を図る。
- 抗うつ薬の効果についての正しい知識を教育する。
- ロールプレイを通じて社会生活技能を訓練する。
▶午前114
Aさんのパニック発作は消失し、不眠も改善したため、睡眠薬の処方は終了となった。Aさんは「もともと手足が冷えて寝つきが悪かったから、睡眠薬がなくなることが少し心配です。自分で工夫できることはあるでしょうか」と看護師に尋ねてきた。看護師が以前の睡眠状況を尋ねると、睡眠時間は23時から6時までの7時間であったこと、手足が冷えて眠れない時は熱いシャワーを浴びてから布団に入っていたことを話した。
Aさんの睡眠へのセルフケアに対する看護師の指導で適切なのはどれか。
- 「休日は昼まで寝るようにしましょう」
- 「布団に入る時間を21時に早めましょう」
- 「ぬるい温度のお風呂にゆっくり入るようにしましょう」
- 「眠れるまで布団の中でじっとしているようにしましょう」
▶次の文を読み115〜117の問いに答えよ。
Aさん(75歳、女性)は、夫とは3年前に死別し、1人暮らし。喫煙歴があり、5年前に慢性閉塞性肺疾患と診断された。長女は隣県に住んでおり、時々様子を見に来ている。Aさんは受診を継続しながら、ほぼ自立して生活していた。今回、咳・痰の症状に加え呼吸困難が増強したため入院となった。入院後は酸素療法(鼻カニューレ:2L/分)と薬物療法を受け、症状が改善し、在宅酸素療法を導入し退院することになった。Aさんは初めて要介護認定を受けたところ、要支援2であった。
▶午前115
病棟看護師がAさんに行う在宅酸素療法に関する指導で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 電磁調理器の使用を勧める。
- 外出時にデマンドバルブの作動を確認する。
- 在宅酸素療法の機材が介護保険で給付される。
- 酸素濃縮器は日当たりのよいところに設置する。
- 呼吸困難時にAさんの判断で酸素流量を変更してよい。
▶午前116
退院後の生活での問題点の確認のため、カンファレンスを開催することになった。Aさんは、自宅での療養を強く希望しており、2L/分の酸素投与下で呼吸状態や日常生活動作〈ADL〉については入院前と同程度まで回復してきているが、まだ退院後の買い物や洗濯などは負荷が強く、支援が必要と判断された。また、Aさんは、呼吸困難の再発について不安を訴えている。
カンファレンスの検討内容で優先度が高いのはどれか。
- 電動ベッドの導入
- 娘の居宅への転居
- 急性増悪時の対応方法
- 介護予防短期入所生活介護の利用
▶午前117
Aさんの退院後、訪問介護員は日常生活の支援のために週1回、訪問看護師は健康状態の確認と在宅酸素療法等について必要な指導を行うため月2回訪問することとなった。退院後2週。訪問看護師が訪問すると、Aさんは時々、食後に軽い呼吸困難が生じると訴えた。
この時の訪問看護師の指導で適切なのはどれか。
- 1回の食事量を減らし、食事回数を増やす。
- 買い物を兼ねた外出の頻度を減らす。
- 食事の準備は訪問介護員に任せる。
- 食後すぐに排泄をする。
▶次の文を読み118〜120の問いに答えよ。
Aさん(81歳、女性)は、1人暮らし。7年前から糖尿病、高血圧症、便秘症で病院の内科に定期的に通院しており、近所に住む長女が時々様子を見に来ていた。本日、長女がAさん宅を訪ねたところ、Aさんは床に倒れて起き上がれなくなっていた。受診の結果、胸椎と腰椎の圧迫骨折で病院に入院した。入院時、Aさんは病棟看護師に「朝食は食べていません。朝の薬を飲んだと思うが、はっきり覚えてません。家に帰ればわかります」と話した。病棟看護師が体のことで心配なことはあるかを問うと「この半年で体重が2kg減りました。最近は疲れやすく歩くのもゆっくりで、握力も弱くなり荷物を持つのがつらいです。このまま寝たきりになるのではないかと不安です」と話した。内科のカルテには1か月前の計測で身長150cm、体重41kgと記載されていた。入院時のバイタルサインは、体温36.6℃、呼吸数16/分、脈拍80/分、血圧144/88mmHg。血糖値114mg/dLで、軽度の皮膚湿潤があった。改訂長谷川式簡易知能評価スケールは29点であった。
▶午前118
入院時のアセスメントで適切なのはどれか。
- 頻脈がある。
- 低血糖である。
- フレイルである。
- 高度な認知機能の低下がある。
▶午前119
入院後、Aさんに活性型ビタミンD製剤と鎮痛薬、胃薬が追加で処方された。追加された薬の説明は薬剤師から受けていたが、Aさんは病棟看護師に「薬は飲みたくない」と訴えた。
Aさんの訴えに対して病棟看護師が行う対応で最も適切なのはどれか。
- 医師に相談する。
- 薬を一包化する。
- 服薬の必要性を説明する。
- 服薬に対する思いを聞く。
- 薬剤師に説明してもらう。
▶午前120
Aさんは、入院中に要介護1と認定された。退院後は週2回の家事援助サービスを利用した。退院3か月後、Aさんは長女と病院の整形外科外来を受診した。長女は診察を待つ間、外来看護師に「母は最近、ご飯を食べたのに食べていない、と近所の人に言うので困っている。薬の飲み忘れも目立ってきた。どうしたらよいか」と話した。
外来看護師が長女に説明する内容で適切なのはどれか。
- 「介護度の見直しについて、介護支援専門員に相談しましょう」
- 「食べ物を目につく場所に置きましょう」
- 「近所に出かけないよう説明しましょう」
- 「入院した高齢者によくある症状です」
資料 厚生労働省「第105回保健師国家試験、第102回助産師国家試験、第108回看護師国家試験の問題および正答について」
注 当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。
▼第108回看護師国家試験
テーマ別
必修問題まとめ
①国民衛生の動向対応/②看護の倫理・対象/③人体の構造と機能・健康障害・薬物/④看護技術
年次別
第113回/第112回/第111回/第110回/第109回/第108回/第107回/第106回/第105回/第104回/第103回/第102回
平成31年2月17日(日)に実施された第108回看護師国家試験について、午前問題のうち必修問題の正答と解説を示します。
「国民衛生の動向2024/2025」で内容を解説している問題に関しては、その参照章・ページを示しているので、同書を併用しながらの利用をおすすめします。
▼第108回看護師国家試験
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厚生の指標増刊
発売日:2024.8.27 定価:2,970円(税込) 412頁・B5判 雑誌コード:03854-08
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午前 必修問題
疾病や障害に対する二次予防はどれか。
- 早期治療
- 予防接種
- 生活習慣の改善
- リハビリテーション
日本における令和5年(2023年)の部位別にみた悪性新生物〈腫瘍〉の死亡数で、男性で最も多い部位はどれか。
- 胃
- 肝及び肝内胆管
- 気管、気管支及び肺
- 結腸と直腸S状結腸移行部及び直腸
セリエ, H.が提唱した理論はどれか。
- 危機モデル
- ケアリング
- セルフケア
- ストレス反応
介護保険制度における保険者はどれか。
- 市町村及び特別区
- 都道府県
- 保健所
- 国
業務に従事する看護師は、( )年ごとに保健師助産師看護師法に定める届出をしなければならない。
( )に入る数字はどれか。
- 1
- 2
- 3
- 4
胎児循環で酸素を最も多く含む血液が流れているのはどれか。
- 肺動脈
- 肺静脈
- 臍動脈
- 臍静脈
母乳中に含まれている免疫グロブリンで最も多いのはどれか。
- IgA
- IgE
- IgG
- IgM
思春期にある人が親密な関係を求める対象はどれか。
- 教師
- 祖父母
- 友人
- 両親
令和5年(2023年)の国民健康・栄養調査の結果で、該当年代の男性における肥満者(BMI≧25.0)の割合が最も高い年代はどれか。
- 20~29歳
- 40~49歳
- 60~69歳
- 70歳以上
平成18年(2006年)の介護保険法改正で、地域住民の保健医療の向上および福祉の増進を支援することを目的として市町村に設置されたのはどれか。
- 保健所
- 市町村保健センター
- 地域包括支援センター
- 訪問看護ステーション
胆汁の作用はどれか。
- 殺菌
- 脂肪の乳化
- 蛋白質の分解
- 炭水化物の分解
チアノーゼで増加しているのはどれか。
- 血中酸素分圧
- 還元ヘモグロビン
- 酸化ヘモグロビン
- 血中二酸化炭素分圧
鮮紅色の下血が見られた時の出血部位で正しいのはどれか。
- 胃
- 食道
- 直腸
- 十二指腸
感染症の潜伏期間で最も長いのはどれか。
- インフルエンザ
- 結核
- ノロウイルス性胃腸炎
- 流行性耳下腺炎
骨髄抑制が出現するのはどれか。
- 麻薬
- 利尿薬
- 抗癌薬
- 強心薬
心音の聴取でⅠ音がⅡ音より大きく聴取されるのはどれか。
ただし、●は聴取部位を示す。
成人において胃食道逆流を防ぐために食後30分から1時間程度とるとよい体位はどれか。
- 左側臥位
- 半側臥位
- 仰臥位
- 坐位
動作を安定させるために行うのはどれか。
- 重心位置を低くする。
- 足を閉じた姿勢にする。
- 底が滑らかな素材の靴を履く。
- 重心線を支持基底面の中心より遠くする。
一般的な病室における冬季の湿度で適切なのはどれか。
- 約10%
- 約30%
- 約50%
- 約70%
黄色のバイオハザードマークが表示された感染性廃棄物の廃棄容器に入れるのはどれか。
- 病理廃棄物
- 使用済み手袋
- 使用済み注射針
- 血液が付着したガーゼ
成人の採血検査で最も用いられるのはどれか。
- 外頸静脈
- 大腿静脈
- 大伏在静脈
- 肘正中皮静脈
感染を伴わない創傷の治癒を促進させる方法で適切なのはどれか。
- 乾燥
- 消毒
- 洗浄
- ガーゼ保護
臓器の移植に関する法律における脳死の判定基準で正しいのはどれか。
- 瞳孔径は左右とも3mm以上
- 脳波上徐波の出現
- 微弱な自発呼吸
- 脳幹反射の消失
- 浅昏睡
副腎皮質ステロイドの作用はどれか。
- 体重の減少
- 血糖の低下
- 血圧の低下
- 免疫の促進
- 炎症の抑制
資料 厚生労働省「第105回保健師国家試験、第102回助産師国家試験、第108回看護師国家試験の問題および正答について」
注 当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。
▼第108回看護師国家試験
令和2年2月16日(日)に実施された第109回看護師国家試験について、午後問題のうち状況設定問題の正答と解説を示します。
「国民衛生の動向2024/2025」と合わせてご活用ください。
▼第109回看護師国家試験
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厚生の指標増刊
発売日:2024.8.27 定価:2,970円(税込) 412頁・B5判 雑誌コード:03854-08
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ネット書店
電子書籍
テーマ別
必修問題まとめ
①国民衛生の動向対応/②看護の倫理・対象/③人体の構造と機能・健康障害・薬物/④看護技術
年次別
第113回/第112回/第111回/第110回/第109回/第108回/第107回/第106回/第105回/第104回/第103回/第102回
午後 状況設定問題
▶次の文を読み91〜93の問いに答えよ。
Aさん(35歳、女性)は、昨年結婚し、夫(50歳)と2人暮らし。最近2か月で5kgの体重減少、首の違和感と息苦しさ、心悸亢進、不眠のため内科を受診した。触診で甲状腺の腫脹、超音波検査で甲状腺内に数か所の石灰化が認められたため、甲状腺腫瘍の疑いで大学病院に紹介された。
嗜好品:飲酒はビール700ml/日を週5日
趣味:ジョギングとヨガ
▶午後91
Aさんの甲状腺腫瘍の確定診断に必要な検査はどれか。
- 血中サイログロブリン値検査
- 頸部エックス線撮影
- 穿刺吸引細胞診
- 頸部CT
▶午後92
検査の結果、Aさんは甲状腺乳頭癌であり、甲状腺全摘出術を受けることになった。Aさんは、手術前オリエンテーションの際「手術後にどんな症状が起こりやすいのか教えてください」と話した。
この時のAさんへの看護師の説明で適切なのはどれか。
- 「手がつる感じがあります」
- 「目が閉じにくくなります」
- 「声が出なくなります」
- 「唾液が多くなります」
▶午後93
Aさんは、手術後に甲状腺ホルモン製剤、カルシウム製剤、ビタミンD製剤の内服が開始され、手術後1週で退院することになった。Aさんは「退院後の生活で気を付けることを教えてください。私は35歳ですし、夫と年が離れているため、できるだけ早く子どもが欲しいと思っています」と話している。
看護師が行うAさんへの1か月後の受診までの生活指導で適切なのはどれか。
- 「運動は控えましょう」
- 「1年間は妊娠を控えましょう」
- 「海藻類の摂取に制限はありません」
- 「飲酒量は入院前と同じでよいです」
▶次の文を読み94〜96の問いに答えよ。
Aさん(56歳、女性、会社員)は、夕食の1時間後から腹痛・嘔吐が出現し救急外来を受診した。2か月前から自然に消失する右季肋部痛を繰り返していた。
身体所見:身長155cm、体重82kg。体温38.2℃、呼吸数16/分、脈拍110/分、血圧126/70mmHg。眼球結膜に黄染あり。右季肋部に圧痛あり。意識清明。
検査所見:白血球14,960/μL、Hb12.8g/dL。総ビリルビン8.7mg/dL、直接ビリルビン7.2mg/dL、アミラーゼ121IU/L、リパーゼ45IU/L、尿素窒素18.9mg/dL、血清クレアチニン0.98mg/dL。CRP9.2mg/dL。
腹部超音波検査所見:胆囊壁の肥厚、胆囊の腫大、総胆管の拡張、総胆管結石を認めた。
▶午後94
Aさんの病態で正しいのはどれか。
- 急性胃炎
- 急性腎不全
- 閉塞性黄疸
- 溶血性貧血
▶午後95
Aさんは、緊急で内視鏡的逆行性胆管膵管造影〈ERCP〉を受ける方針となった。
検査前に看護師が行う説明で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 「のどに麻酔をします」
- 「磁力を使った検査です」
- 「造影剤を静脈から投与します」
- 「検査は仰向けで行います」
- 「検査後の合併症に膵炎があります」
▶午後96
Aさんには、緊急内視鏡的逆行性胆管膵管造影〈ERCP〉に続いて内視鏡的経鼻胆管ドレナージ〈ENBD〉が留置された。入院時に採取した血液培養からは大腸菌〈E.coli〉が検出されたが、抗菌薬治療とENBDにより解熱している。
入院後2日、Aさんは右季肋部の違和感を訴えた。バイタルサインは正常である。
この時の看護師の対応で正しいのはどれか。2つ選べ。
- ドレナージチューブをクランプする。
- ドレナージチューブから空気を注入する。
- ドレナージチューブの固定位置を確認する。
- ドレナージチューブからの排液量を確認する。
- ドレナージチューブをアルコール綿で消毒する。
▶次の文を読み97〜99の問いに答えよ。
Aさん(72歳、男性)は、2か月前に右中大脳動脈領域の脳梗塞を発症した。本日、病院を退院し、介護老人保健施設に入所した。
既往歴:1年前に前立腺癌のため腹腔鏡下前立腺全摘除術。
身体所見:左上下肢に軽度のしびれがある。半側空間無視がある。構音障害はない。
生活機能:改訂長谷川式簡易知能評価スケール〈HDS-R〉26点、Barthel〈バーセル〉インデックス65点。
▶午後97
Aさんは排尿コントロールについて「脳梗塞になってから、尿意を感じるとがまんできずに大量の尿が漏れてしまう。1日に何回も漏らす」と看護師に話した。
Aさんの状態のアセスメントで適切なのはどれか。
- 過活動膀胱
- 腹圧性尿失禁
- 溢流性尿失禁
- 腹腔鏡下前立腺全摘除術の後遺症
▶午後98
入所後2日、Aさんは箸を使って食事をするが、いつも左側に置かれた食器には食べ残しがあった。
Aさんへの対応で適切なのはどれか。
- スプーンの使用を勧める。
- 反復唾液嚥下テストを行う。
- 食事の途中で食器の配置を変える。
- 食器の下に滑り止めマットを敷く。
▶午後99
入所後3日、Aさんは入浴した。Aさんは自分で脱衣し、体を洗えたが、洗い残した部分を看護師が介助した。入浴後に看護師がAさんに服を手渡すと、Aさんは戸惑った表情で服を丸めたり広げたりしている。
Aさんへの更衣援助で最も適切なのはどれか。
- 着替え始めるまで待つ。
- 伸縮性のある素材の服を渡す。
- 服を着やすい向きに持たせる。
- ボタンをマジックテープに変えた服を渡す。
▶次の文を読み100〜102の問いに答えよ。
Aちゃん(5歳、男児)は、2日前に39℃に発熱して両側の耳下腺部の痛みを訴えた。昨日から同部位の腫脹がみられ、頭痛を訴えている。夜間に嘔吐が4回あり、発熱と頭痛が持続したため、本日父親に連れられて来院し、髄膜炎の疑いで個室に入院した。通っている幼稚園には、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)罹患児が数名いる。
既往歴:特記すべきことはない。
予防接種歴:年齢相応の定期接種はすべて済んでいる。おたふくかぜワクチンは未接種である。
家族歴:両親は流行性耳下腺炎罹患の既往がある。妹のBちゃん(3歳)は、年齢相応の定期予防接種は済んでいるが、おたふくかぜワクチンは未接種である。また、流行性耳下腺炎罹患の既往はない。
身体所見:体温39.2℃、項部硬直あり。両側耳下腺部の腫脹と圧痛あり。胸部聴診で異常なし。腹部は平坦で軟、圧痛なし。Kernig〈ケルニッヒ〉徴候あり。
検査所見:白血球8,760/μL。血清アミラーゼ834U/L(基準44〜132)、CRP0.1mg/dL。
▶午後100
Aちゃんに腰椎穿刺を行うことになった。看護師が検査の準備を始めると、Aちゃんは「何をするの?」と不安そうな表情をして尋ねてきた。
看護師の適切な返答はどれか。
- 「泣いちゃだめだよ」
- 「気にしないでいいよ」
- 「痛いことはしないよ」
- 「背中にお注射するよ」
▶午後101
検査の結果、Aちゃんはムンプス髄膜炎と診断された。父親から看護師に「先ほど主治医の先生から、面会やAの入院中の生活に制限があると聞きました。詳しく教えてください」と質問があった。
看護師の説明で適切なのはどれか。
- 「親の面会は可能です」
- 「Bちゃんの面会は可能です」
- 「Aちゃんはプレイルームで遊べます」
- 「Aちゃんは病室内でガウンを着てもらいます」
▶午後102
Aちゃんは入院の翌日も発熱が続いたが、頭痛は軽減し嘔気は消失したため経口摂取を開始した。入院3日、体温は微熱となり食欲が回復したことから、翌日の退院が決定した。耳下腺は縮小しつつあるが圧痛がある。父親から看護師へ「退院後、何か注意することはありますか」と質問があった。
父親への看護師の回答で適切なのはどれか。
- 「Aちゃんの精巣の腫れに注意してください」
- 「Aちゃんは退院後1週間は登園できません」
- 「Aちゃんの耳の聴こえ方に注意してください」
- 「AちゃんからBちゃんへの感染予防には明日までのワクチン接種が効果的です」
▶次の文を読み103〜105の問いに答えよ。
Aちゃん(7歳、女児、小学1年生)は、3歳ころから夜間就寝中や保育所の昼寝の時に時々いびきがあり、保育所の友達に「Aちゃんがうるさくて眠れない」と言われた。母親が心配してAちゃんを小児科外来に連れて行った。その後、Aちゃんは外来で経過観察されてきたが、今年の4月から7月までの間に、急性扁桃炎を3回起こしていることや、睡眠時無呼吸がみられるようになったことから、8月中に扁桃腺摘出術を受けることになった。
▶午後103
定期外来の受診時に、手術が決まったことが医師からAちゃんに伝えられた。
Aちゃんは「なんで手術するの」と涙ぐんでいる。扁桃腺摘出術を受けるAちゃんに対する看護師の説明で適切なのはどれか。
- 「寝ているときに息を止めてしまうことがあるからだよ」
- 「のどにいる悪い虫をとるためだよ」
- 「のどにお熱があるからだよ」
- 「いびきが大きいからだよ」
▶午後104
手術後1日。Aちゃんはベッド上で、静かにぬり絵をして遊んでいたが、昼食時には黙って涙ぐみ、食事や水分も摂ろうとしない。付き添っている母親は「痛くて食べられないようです」と看護師に言った。Aちゃんのバイタルサインは、体温37.6℃、血圧100/60mmHg。
看護師がAちゃんの痛みを把握するのに最も適切な方法はどれか。
- Aちゃんの表情を観察する。
- 母親にAちゃんの痛みの様子を聞く。
- Aちゃんに痛みの程度を話してもらう。
- Aちゃんに痛みスケールを使って示してもらう。
▶午後105
手術後1日。
看護師が行うAちゃんの術後出血の観察方法で適切なのはどれか。
- 口を開けて手術創を観察する。
- 唾液の色を観察する。
- 便の色を観察する。
- 脈拍数を測定する。
▶次の文を読み106〜108の問いに答えよ。
Aさん(30歳、初産婦)は、正常分娩で児を出産した。第2度会陰裂傷を認め、会陰縫合術を受けた。分娩3時間後に、分娩室から褥室へ帰室した。産褥1日のAさんのバイタルサインは、体温36.8℃、脈拍72/分、血圧118/70mmHgであった。子宮底は臍下1横指で、子宮は硬く触れ、血性悪露中等量、後陣痛がみられる。会陰縫合部の痛みはあるが発赤はない。乳房緊満(-)、乳管開口数は左右とも4、5本。「昨夜は興奮してなかなか眠れなかった」と言う。
▶午後106
この時のAさんの状態のアセスメントで適切なのはどれか。
- 子宮収縮は良好である。
- 縫合部に感染徴候がみられる。
- 分娩の受け止めに問題がある。
- 産褥日数に比べて進行性変化が遅い。
▶午後107
産褥2日。Aさんから会陰縫合部の疼痛の増強はないが、離開の不安から排便ができないと訴えがあった。看護師は縫合部の異常がないことを確認した。Aさんは妊娠中の便秘はなかった。
看護師の対応で優先度が高いのはどれか。
- 産褥体操をAさんに勧める。
- 水分を多く摂るようAさんに勧める。
- 医師に緩下薬の処方について相談する。
- 縫合部の離開の心配はないことをAさんに説明する。
▶午後108
産褥4日。母子ともに出産後の経過は順調である。看護師が、Aさんへ退院に向けて育児に関する話をしていたところ「赤ちゃんの顔や胸が赤くなっているのが気になっています」と相談してきた。看護師が新生児の皮膚を観察したところ、児の顔面と胸部に中毒性紅斑が数個散在していた。
この時のAさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
- 紅斑を乾燥させるよう説明する。
- 紅斑をガーゼでよく洗うよう説明する。
- 自然に消失するため心配はないと説明する。
- 抗菌薬の軟膏の処方について医師に相談すると伝える。
▶次の文を読み109〜111の問いに答えよ。
Aさん(22歳、女性、会社員)は、昼食後、自室に大量のお菓子とお酒を持ち込み、食べて飲んでいたところを母親に注意をされたことに腹を立て、母親の目の前でリストカットを始めた。慌てた母親は、父親とともにAさんを連れて救急外来に来院した。医師が傷の処置をしようとすると「死んでやる。触るな」と大声で騒ぎ暴れ始めたため、精神科病棟に緊急入院となった。
▶午後109
入院当日、Aさんに対する看護師の関わりで適切なのはどれか。
- 短期間の入院となることを伝える。
- 母親と関係修復をするように促す。
- リストカットをしないように説得する。
- Aさんの心身を心配していることを伝える。
▶午後110
入院翌日、母親が面会に来たが、Aさんに要求されるままお菓子を大量に持参した。Aさんは、面会室でお菓子をすべて食べた直後に、トイレにこもり、嘔吐していたところを看護師が発見した。Aさんは泣きながら「食べると止まらなくなる。太りたくない」と訴えた。主治医は、Aさんが右第2指を使って嘔吐していた痕跡を認めたこと、Aさんが「中学の時から過食と嘔吐を繰り返していた」と話したことから、神経性過食症と診断した。
入院時の身体所見:身長155cm、体重48kg。
入院時の検査所見:赤血球400万/μL、Hb12.5g/dL、白血球6,300/μL。Na135mEq/L、K2.7mEq/L、Cl98mEq/L、AST30U/L、ALT35U/L、γ-GTP32U/L。
Aさんの状態をアセスメントするために優先度が高い検査はどれか。
- 心電図
- 頭部CT
- 腹部超音波
- 上部消化管内視鏡
▶午後111
入院後3週、Aさんの精神状態は落ち着き、職場に早く戻りたいと意欲があったため、退院に向けての準備をすることになった。自傷行為は、入院前の1回のみだった。Aさんは「また過食をしないか心配だ」と看護師に訴えた。そのため主治医はAさんと話し合い認知行動療法が開始となった。
Aさんの退院に向けて、医師、看護師のチームと連携するメンバーで最も適切なのはどれか。
- 栄養士
- 薬剤師
- 臨床心理士
- ゲートキーパー
- 精神保健福祉相談員
▶次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
Aさん(43歳、男性、会社員)は、妻(38歳)と2人暮らし。1年前から、仕事上の失敗を上司から叱責されることが続いていた。半年前からAさんの飲酒量は次第に増えていき、最近では酒気を帯びたままの出勤や、飲酒を原因とした遅刻や欠勤をすることが増えていた。ある夜、Aさんは居酒屋で多量に飲酒し、その場で意識が消失したため、救急車で救命救急センターへ搬送され、入院となった。器質的検査および生理的検査では異常が認められなかったが、入院翌日に飲酒の問題について同じ病院内の精神科を受診した結果、Aさんはアルコール依存症と診断された。
▶午後112
入院後3日までにAさんに出現する可能性が高い症状はどれか。2つ選べ。
- 観念奔逸
- 緘黙
- 強迫症状
- 幻覚
- 振戦
▶午後113
入院後3日。面会に来た妻は、飲酒によって多くのトラブルを抱えているAさんへの対応に困っており、Aさんの飲酒行動に対する関わり方について、今後どのようにすればよいか看護師に相談した。
Aさんの妻に対する助言で適切なのはどれか。
- 「飲酒による仕事上の失敗についてAさんと議論しましょう」
- 「飲酒したいというAさんの気持ちは聞かないようにしましょう」
- 「Aさんが飲酒したことがわかっても注意はしないようにしましょう」
- 「Aさんの飲酒によるトラブルを代わりに解決しないようにしましょう」
▶午後114
入院中にAさんは、退院後に再び飲酒してしまうのではないかという不安を看護師に訴えた。
Aさんの断酒を支援するための看護師の提案で適切なのはどれか。
- 共同生活援助〈グループホーム〉への入居
- セルフヘルプグループへの参加
- 行動援護の利用
- 生活訓練の利用
▶次の文を読み115〜117の問いに答えよ。
Aさん(75歳、男性)は、妻(70歳)と2人暮らし。2型糖尿病の治療中で、2年前から1日2回朝・夕食前に混合型インスリン注射が開始となった。その後、糖尿病性網膜症による視力障害が進んだため、現在は妻と一緒に単位数や針の確認をし、インスリンの自己注射を実施している。
▶午後115
外来受診時にAさんの妻から外来看護師に「2人で協力してインスリン注射することには慣れてきました。たまには夜に夫とゆっくり和食を食べに行きたいのですが、外出時の注射で気を付けることを教えてほしい」と相談があった。
Aさんと妻への外来看護師の指導内容で適切なのはどれか。
- 「お店に着いたらすぐに注射を打ちましょう」
- 「インスリンを常温で持ち運ぶことはできません」
- 「注射ができる場所をお店の人に確認しましょう」
- 「普段よりもインスリン量を増やす必要があります」
▶午後116
インスリン治療開始後3年、Aさんは妻の付き添いで散歩を取り入れ運動療法にも取り組んでいたが、靴ずれが悪化し右第5趾に潰瘍ができた。そこで要介護1の認定を受けて訪問看護が週2回導入され、フットケアの指導が行われることになった。
訪問看護師が行う妻への指導内容で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 絆創膏は足趾全体を覆うように貼る。
- 浸出液の臭いの変化に注意する。
- 泡立てた石けんで足を洗う。
- 足浴には42℃の湯を使う。
- 大きいサイズの靴を履く。
▶午後117
訪問看護が導入されて2か月、Aさんの妻が健康診査後の精査目的で数日間入院することになった。Aさんは妻の入院中もできる限り自宅で過ごしたいと考えている。妻の入院中の対応について、サービス担当者会議が開かれた。
この時に訪問看護師が行うAさんへの提案で優先度が高いのはどれか。
- 通所介護を利用する。
- 訪問介護を利用する。
- 配食サービスを利用する。
- 訪問看護の回数を増やす。
▶次の文を読み118〜120の問いに答えよ。
Aさん(20歳、女性、外国籍)は、6月に来日し、9月に大学に入学した。入学して1週後、Aさんは大学でめまいを起こして座り込み、同じ国から昨年留学生として来日した友人に付き添われ病院の内科外来を受診した。外来では多くの患者が受診を待っており、診察までに時間がかかっていた。Aさんは、日常会話程度の日本語が話せ「身体がだるくて立っていられません」と看護師に伝えた。
▶午後118
外来の看護師の対応で優先するのはどれか。
- 外国語が話せる医師を呼びに行く。
- 付き添ってきた友人に通訳を依頼する。
- Aさんに外来の処置室で横になってもらう。
- Aさんの母国語で書かれた問診表を取りに行く。
▶午後119
Aさんは、急性骨髄性白血病と診断され、血液内科病棟の2人部屋に緊急入院になった。病棟看護師が入院オリエンテーションをするため病室を訪れたところ、同室の患者から「Aさんの香水の香りが強いので、つらい」と訴えがあり、看護師もその香りが気になった。
看護師の対応で適切なのはどれか。
- 同室の患者に別室への移動を勧める。
- Aさんに香水を洗い流すよう説明する。
- Aさんに香水の使用は医師の許可が必要と説明する。
- Aさんに香りが本人および同室の患者の治療に及ぼす影響を説明する。
▶午後120
Aさんが入院したという知らせを受けて、Aさんの家族が来日し、病棟に見舞いに来た。Aさんの家族は、Aさんの身の回りの世話を泊まり込みで行うために、大量の私物を持ち込んでいる。
看護師の対応で最も適切なのはどれか。
- Aさんと家族が納得できる解決策を話し合う。
- 希望通りAさんの病室に泊まることを許可する。
- 日本では家族の泊まり込みはできないと説明する。
- 近隣のホテルに泊まって、日中のみ通うよう勧める。
資料 厚生労働省「第106回保健師国家試験、第103回助産師国家試験、第109回看護師国家試験の問題および正答について」
注 当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。
▼第109回看護師国家試験
テーマ別
必修問題まとめ
①国民衛生の動向対応/②看護の倫理・対象/③人体の構造と機能・健康障害・薬物/④看護技術
年次別
第113回/第112回/第111回/第110回/第109回/第108回/第107回/第106回/第105回/第104回/第103回/第102回
令和2年2月16日(日)に実施された第109回看護師国家試験について、午後問題のうち必修問題の正答と解説を示します。
「国民衛生の動向2024/2025」で内容を解説している問題に関しては、その参照章・ページを示しているので、同書を併用しながらの利用をおすすめします。
▼第109回看護師国家試験
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厚生の指標増刊
発売日:2024.8.27 定価:2,970円(税込) 412頁・B5判 雑誌コード:03854-08
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電子書籍
テーマ別
必修問題まとめ
①国民衛生の動向対応/②看護の倫理・対象/③人体の構造と機能・健康障害・薬物/④看護技術
年次別
第113回/第112回/第111回/第110回/第109回/第108回/第107回/第106回/第105回/第104回/第103回/第102回
午後 必修問題
令和4年(2022年)の日本における簡易生命表で女性の平均寿命に最も近いのはどれか。
- 77年
- 82年
- 87年
- 92年
令和5年(2023年)の国民健康・栄養調査で20歳以上の男性における喫煙習慣者の割合に最も近いのはどれか。
- 6%
- 16%
- 26%
- 46%
じん肺に関係する物質はどれか。
- フロン
- アスベスト
- ダイオキシン類
- ホルムアルデヒド
日本において国民皆保険制度となっているのはどれか。
- 医療保険
- 介護保険
- 雇用保険
- 労災保険
保健師助産師看護師法で規定されている看護師の義務はどれか。
- 研究をする。
- 看護記録を保存する。
- 看護師自身の健康の保持増進を図る。
- 業務上知り得た人の秘密を漏らさない。
エリクソン, E. H.の発達理論で青年期に生じる葛藤はどれか。
- 生殖性 対 停滞
- 勤勉性 対 劣等感
- 自主性 対 罪悪感
- 同一性 対 同一性混乱
乳児期における呼吸の型はどれか。
- 肩呼吸
- 胸式呼吸
- 腹式呼吸
- 胸腹式呼吸
老年期にみられる身体的な変化はどれか。
- 血管抵抗の増大
- 消化管の運動の亢進
- 水晶体の弾性の増大
- メラトニン分泌量の増加
令和5年(2023年)の日本の人口推計で10年前より増加しているのはどれか。
- 総人口
- 年少人口
- 老年人口
- 生産年齢人口
医療法に規定されている診療所とは、患者を入院させるための施設を有しないもの又は( )人以下の患者を入院させるための施設を有するものをいう。
( )に入る数字はどれか。
- 9
- 19
- 29
- 39
大腸で吸収されるのはどれか。
- 脂質
- 水分
- 糖質
- 蛋白質
三叉神経の機能はどれか。
- 視覚
- 眼球の運動
- 顔面の知覚
- 表情筋の運動
脂肪分解酵素はどれか。
- ペプシン
- リパーゼ
- マルターゼ
- ラクターゼ
尿ケトン体が陽性になる疾患はどれか。
- 肝硬変
- 糖尿病
- 尿路感染症
- ネフローゼ症候群
下痢によって生じやすい電解質異常はどれか。
- 低カリウム血症
- 高カルシウム血症
- 高ナトリウム血症
- 低マグネシウム血症
意識レベルを評価するスケールはどれか。
- Borg〈ボルグ〉スケール
- フェイススケール
- ブリストルスケール
- グラスゴー・コーマ・スケール〈GCS〉
マズロー, A. H.の基本的欲求の階層構造で承認の欲求はどれか。
- 尊重されたい。
- 休息をとりたい。
- 他人と関わりたい。
- 自分の能力を発揮したい。
患者とのコミュニケーションで適切なのはどれか。
- 否定的感情の表出を受けとめる。
- 沈黙が生じた直後に会話を終える。
- 看護師が伝えたいことに重点をおく。
- 患者の表情よりも言語による表現を重視する。
入浴の温熱作用はどれか。
- 筋緊張が増す。
- 末梢血管が拡張する。
- 慢性疼痛が増強する。
- 循環血液量が減少する。
標準予防策〈スタンダードプリコーション〉で感染源として取り扱うのはどれか。
- 汗
- 爪
- 唾液
- 頭髪
赤血球製剤の保存温度で適切なのはどれか。
- -6~-2℃
- 2~6℃
- 12~16℃
- 22~26℃
成人で1日の尿量が100mL以下の状態を示すのはどれか。
- 希尿
- 頻尿
- 乏尿
- 無尿
仰臥位における褥瘡の好発部位はどれか。
- 踵骨部
- 内顆部
- 膝関節部
- 大転子部
成人の静脈血採血で通常用いられる注射針の太さはどれか。
- 14G
- 18G
- 22G
- 26G
資料 厚生労働省「第106回保健師国家試験、第103回助産師国家試験、第109回看護師国家試験の問題および正答について」
注 当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。
▼第109回看護師国家試験
テーマ別
必修問題まとめ
①国民衛生の動向対応/②看護の倫理・対象/③人体の構造と機能・健康障害・薬物/④看護技術
年次別
第113回/第112回/第111回/第110回/第109回/第108回/第107回/第106回/第105回/第104回/第103回/第102回
令和2年2月16日(日)に実施された第109回看護師国家試験について、午前問題のうち状況設定問題の正答と解説を示します。
「国民衛生の動向2024/2025」と合わせてご活用ください。
▼第109回看護師国家試験
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必修問題まとめ
①国民衛生の動向対応/②看護の倫理・対象/③人体の構造と機能・健康障害・薬物/④看護技術
年次別
第113回/第112回/第111回/第110回/第109回/第108回/第107回/第106回/第105回/第104回/第103回/第102回
午前 状況設定問題
▶次の文を読み91〜93の問いに答えよ。
Aさん(60歳、男性、元建設業)は、妻(57歳)と2人暮らし。2年前に悪性胸膜中皮腫と診断され、化学療法を受けたが効果がみられず、外来通院していた。2週前から、胸痛、息苦しさ、倦怠感が増強したため、症状コントロール目的で入院した。
バイタルサイン:体温36.0℃、呼吸数24/分、脈拍92/分、血圧126/88mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉86〜90%(room air)。
身体所見:両側下肺野で呼吸音が減弱しており、軽度の副雑音が聴取される。
血液所見:赤血球370万/μL、Hb8.8g/dL、白血球6,700/μL、総蛋白5.2g/dL、アルブミン3.8g/dL、CRP1.5mg/dL。
動脈血液ガス分析(room air):pH7.31、動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉40Torr、動脈血酸素分圧〈PaO2〉63Torr。
胸部エックス線写真:胸膜肥厚と肋骨横隔膜角の鈍化が認められる。肺虚脱なし。
▶午前91
Aさんの呼吸困難の原因で考えられるのはどれか。2つ選べ。
- 胸水
- 気胸
- 貧血
- CO2ナルコーシス
- 呼吸性アルカローシス
▶午前92
入院後、症状緩和のためモルヒネの内服と経鼻カニューレによる酸素療法2L/分が開始された。経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉は95%前後で維持されるようになったが、Aさんは夜間の息苦しさを訴えている。
Aさんの呼吸困難を緩和するための体位で適切なのはどれか。
- 半腹臥位
- 右側臥位
- 左側臥位
- セミファウラー位
▶午前93
入院後2週、Aさんの身体状態は急激に悪化し、Aさんは「息が吸えない。苦しい。何とかしてくれ」と訴え、眉間にしわを寄せて口呼吸をしている。軽度の喘鳴がみられ、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉は88〜92%(経鼻カニューレによる酸素療法2L/分)である。また、頻繁に体位を変えて落ち着きがなく、つじつまが合わない訴えと場所の見当識障害もみられる。毎日面会に来ている妻は「どうなってしまったのでしょうか。苦しそうでかわいそう」と涙ぐみ、ベッドから離れたところで座っている。
Aさんの妻への看護師の説明で適切なのはどれか。
- 「Aさんが場所を間違っても否定しないで下さい」
- 「口腔内吸引をするとAさんの呼吸が楽になります」
- 「タッチングをするとAさんの安心感につながります」
- 「Aさんの症状が落ち着くまで自宅で待機して下さい」
▶次の文を読み94〜96の問いに答えよ。
Aさん(56歳、男性、会社員)は、デスクワークが多い仕事をしている。40歳時の会社の健康診断で2型糖尿病と診断され、紹介されたクリニックで血糖降下薬を処方されて内服を継続していた。50歳ころから視力の低下と持続性蛋白尿を指摘され、腎臓内科を受診し食事指導を受けた。しかし、仕事が忙しく食事指導の内容を守れていなかった。1年前から、足のしびれが出現するようになった。
▶午前94
Aさんの現在の状況のアセスメントで適切なのはどれか。
- 緑内障が疑われる。
- 運動療法が必要である。
- 糖尿病性神経障害が疑われる。
- 高蛋白質の食事摂取が必要である。
▶午前95
Aさんは、3か月前に末期腎不全の状態で腎代替療法(血液透析)が必要であると腎臓内科の医師から説明された。シャント造設のための入院を予定していたが、仕事が忙しく延期となっていた。1週前から感冒症状があり、体重増加、全身浮腫、全身倦怠感、呼吸苦が出現したため、緊急入院となった。透析用のカテーテルを挿入し、緊急血液透析を行った。
入院時の身体所見:体重73kg(1週間で4kg増加)、血圧178/105mmHg。
入院時の検査所見:Hb9.5g/dL、血清尿素窒素72mg/dL、血清クレアチニン9.0mg/dL、血清カリウム6.8mEq/L、血清ナトリウム138.5mEq/L。
緊急入院時のAさんの胸部エックス線写真を別に示す。

Aさんが緊急血液透析となった病態で正しいのはどれか。
- 貧血
- 心不全
- 低カリウム血症
- 低ナトリウム血症
▶午前96
Aさんは、緊急血液透析によって全身状態が改善した。その後、シャント造設術を受け、週3回の血液透析となり、退院後は職場に近いクリニックで維持血液透析を受けることが決定した。Aさんから、退院後の生活について「仕事に復帰予定ですが、医療費の支払いが心配です」と発言があった。
維持血液透析により身体障害者手帳を取得したAさんが利用できる医療費助成制度はどれか。
- 医療扶助
- 自立支援医療
- 訪問看護療養費
- 認定疾病に対する医療の給付
▶次の文を読み97〜99の問いに答えよ。
Aさん(81歳、男性)は、妻(73歳)と2人暮らし。自宅でのADLは自立し、認知機能に障害はない。Aさんは食欲不振と腹部不快感、微熱を主訴に受診したところ、急性胆囊炎と診断され、その日のうちに入院した。Aさんのバイタルサインは、体温37.3℃、呼吸数22/分、脈拍90/分、血圧136/84mmHg。入院後は絶飲食の指示があり、持続点滴静脈内注射と抗菌薬の投与が開始された。トイレ歩行の許可は出ている。
▶午前97
Aさんの病室環境で適切なのはどれか。
- 座った時に膝関節が90度になる高さにベッドを調整する。
- 点滴スタンドをベッドに固定する。
- ポータブルトイレを設置する。
- 離床センサーを設置する。
▶午前98
入院後2日、妻がAさんについて「入院してからよく寝ています。時々ここが病院だとわからないようです。話しかけても気づかず、天井を眺めていることもあるし、しゃべり続けることもあります」と看護師に訴えた。Aさんのバイタルサインは、体温36.9℃、呼吸数20/分、脈拍88/分、血圧144/80mmHg。
Aさんの状態で最も考えられるのはどれか。
- うつ病
- せん妄
- ナルコレプシー
- 急性ストレス反応
▶午前99
入院後3週、Aさんは症状が改善し、退院することになった。Aさんは「退院したら孫たちと温泉旅行をして、おいしいものをたくさん食べることが楽しみです。何か気を付けることはありますか」と看護師に話した。
退院時のAさんへの指導で適切なのはどれか。
- 「上腹部の痛みがあったら受診してください」
- 「食事内容の制限はありません」
- 「運動は控えてください」
- 「入浴しないでください」
▶次の文を読み100〜102の問いに答えよ。
Aさん(80歳、男性)は、妻(80歳)と2人暮らし。血管性認知症でパーキンソニズムがみられる。認知症高齢者の日常生活自立度判定基準ランクⅡb、要介護2。普段は妻がAさんの身の回りの世話をしているが、妻が入院したため短期入所療養介護のサービスを受けることになった。入所時のAさんは歩行開始困難、加速歩行、すくみ足などの歩行障害がみられた。Aさんは「最近、家の中でつまずくことが多くなりました」と入所中の施設の看護師に話した。
▶午前100
Aさんへの歩行指導で適切なのはどれか。
- 歩行時の方向転換は素早く行うようにする。
- 目線を足元に向けて歩くようにする。
- 足踏みをしてから歩くようにする。
- 歩行時はすり足で歩くようにする。
▶午前101
入所初日の夜、Aさんはトイレに行った後、入所者Bさんの部屋に入ったという夜勤者からの申し送りがあった。
Aさんへの対応で最も適切なのはどれか。
- Aさんの部屋の前にAさんが認識しやすい目印を掲示する。
- 夜間は2時間ごとにAさんを起こしてトイレに誘導する。
- 夜間は尿器を使用することをAさんに勧める。
- AさんとBさんの部屋を入れ替える。
▶午前102
Aさんは「もっと歩けるようになりたい。妻の負担にならずに生活できるようになりたい」と話している。
退所後にAさんが利用する介護給付におけるサービスで最も適切なのはどれか。
- 訪問介護
- 療養通所介護
- 通所リハビリテーション
- 認知症対応型共同生活介護〈認知症高齢者グループホーム〉
▶次の文を読み103〜105の問いに答えよ。
A君(8歳、男児、小学3年生)は、父親(40歳、会社員)と母親(38歳、主婦)との3人暮らし。多飲と夜尿を主訴に小児科を受診した。尿糖4+のため、1型糖尿病の疑いで病院に紹介され、精密検査を目的に入院した。A君は身長123cm、体重27.5kg(1か月前の体重は29.5kg)。入院時のバイタルサインは、体温36.9℃、脈拍100/分、血圧98/42mmHg。随時血糖300mg/dL、HbA1c9.3%、抗グルタミン酸デカルボキシラーゼ〈GAD〉抗体陽性。尿糖4+、尿ケトン体3+。血液ガス分析pH7.02であった。
▶午前103
入院時に確認する症状はどれか。2つ選べ。
- 咳嗽
- 腹痛
- 浮腫
- 発疹
- 意識レベル
▶午前104
入院後、インスリンの持続点滴静脈内注射が開始された。入院後3日に血糖値が安定し、インスリンの持続点滴静脈内注射が中止された。ペン型注射器によるインスリン療法が開始され、看護師は母親とA君に自己血糖測定とインスリン自己注射について説明した。A君は「自分で注射するなんてできない」と言ってインスリン自己注射の練習が進まない。
A君への看護師の対応で最も適切なのはどれか。
- インスリン自己注射の必要性を繰り返し説明する。
- A君が納得するまで母親にインスリン注射をしてもらう。
- インスリン自己注射ができるようになったら退院できると話す。
- インスリン自己注射をしている同年代の糖尿病患児と話す機会を作る。
▶午前105
A君と母親は、自己血糖測定とインスリン自己注射に関する手技を身につけて退院し、外来通院となった。退院後2か月、A君と母親が定期受診で来院した際、看護師がA君に生活の様子を尋ねたところ「学校では血糖測定もインスリン注射もやっているよ。給食は楽しみで好き嫌いなく食べているよ」と話した。母親は「帰宅時に時々手の震えや空腹感を訴え、血糖を測定すると60mg/dL台のことがあり、自分で補食を選んで食べています。なぜ日によって低血糖になることがあるのでしょうか」と話している。
看護師がA君の低血糖の原因をアセスメントする際に優先して収集すべき情報はどれか。
- インスリン自己注射に対するA君の認識
- 学校内でインスリン自己注射を行う場所
- 学校での運動量
- 給食の摂取量
▶次の文を読み106〜108の問いに答えよ。(一部改題)
Aさん(28歳、初妊婦)は、夫(30歳、会社員)と2人暮らし。妊娠37週0日で妊婦健康診査のため来院した。身長160cm、体重65kg(非妊時体重54kg)。血圧122/74mmHg。Hb12.1g/dL、Ht36%。尿蛋白(-)、尿糖(-)。下肢に軽度の浮腫を認める。子宮底長32cm、推定胎児体重2,810g。Aさんは「1時間に2、3回お腹が張ることがありますが、休んでいるとおさまります」と言う。
▶午前106
このときのAさんの状態で正しいのはどれか。
- 陣痛発来
- 正常な妊娠経過
- 胎児発育不全〈FGR〉
- 妊娠高血圧症候群〈HDP〉
▶午前107
妊婦健康診査後、Aさんは「数日前から頻回に尿意を感じるようになり、夜間もトイレへ行くために目が覚め、よく眠れない」と看護師に訴えてきた。Aさんに排尿時痛および残尿感はない。
Aさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
- 水分摂取を促す。
- 骨盤底筋群の運動を促す。
- 分娩後には改善する可能性が高いと説明する。
- 睡眠薬の処方について医師に相談すると伝える。
▶午前108
Aさんは「初めての育児なので不安です。実家の母が手伝いに来てくれる予定ですが、夫は忙しくていつも22時ころにならないと帰ってきません」と言う。
Aさんへの看護師の対応で最も適切なのはどれか。
- 「新生児訪問指導の時に相談してください」
- 「夫に早く帰ってきてもらうよう相談してください」
- 「実母以外にも手伝ってくれる人をみつけましょう」
- 「育児について不安に思っている内容を一緒に確認しましょう」
▶次の文を読み109〜111の問いに答えよ。
在胎39週4日で、正常分娩で出生した児。出生体重3,000g、身長48.0cm。出生直後、児に付着していた羊水をふき取り、インファントラジアントウォーマーの下で観察を行った。体温37.5℃、呼吸数56/分、心拍数150/分、呼吸音は異常なし。看護師は観察を終え、温めておいたベビー服を着衣させ、同様に温めておいた寝具を用いて準備をしたコットに児を寝かせた。コットは壁際や窓辺を避け、空調の排気口からの風が当たらない場所に配置した。
▶午前109
看護師が児の体温保持のために行ったことと、それにより予防される熱の喪失経路との組合せで正しいのはどれか。
- 羊水をふき取ったこと――蒸散
- 観察をインファントラジアントウォーマーの下で行ったこと――対流
- 温めたベビー服と寝具を用いたこと――輻射
- 風が当たらない場所にコットを配置したこと――伝導
▶午前110
生後1日。児の状態は、体温37.0℃、呼吸数48/分、心拍数120/分、呼吸音は異常なし。体重2,850g。出生後から現在までの状態は安定していた。母親も分娩時の疲労から回復し、産後の状態も安定しているため、母児同室を開始することとなった。この施設では、自律授乳を行っている。
母親へのオリエンテーションの内容で適切なのはどれか。
- 「新生児室へ行く時は、赤ちゃんをコットに寝かせて移動してください」
- 「沐浴の時は、赤ちゃんのネームバンドを外しましょう」
- 「赤ちゃんの体温は1時間おきに測ってください」
- 「授乳は3時間ごとにしてください」
▶午前111
生後3日。看護師が朝の観察を行った時の児の状態は、体温37.0℃、呼吸数40/分、心拍数130/分。体重2,680g。顔面と胸部の皮膚に黄染が認められる。その他の部位は淡紅色である。手関節と足関節の皮膚に落屑がある。尿は6回/日、便は2回/日で移行便である。
児の状態で生理的特徴から逸脱しているのはどれか。
- 体温
- 呼吸数
- 皮膚色
- 体重減少率
- 皮膚の落屑
▶次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
Aさん(男性、26歳、会社員)は、高校時代に自閉症スペクトラム障害の診断を受け、外来通院をしながら仕事を続けていた。これまでの職場ではストレスが少なく、規則正しい生活ができていた。しかし、1か月前に新しい職場に異動になってから生活が不規則となり、数日前より無断欠勤が続いている。同居している家族に対してAさんは「家にいると仕事のことばかり考えてしまい眠れない。食欲もないし、環境を変えてゆっくり休みたい」と話したため、Aさんは家族とともに精神科外来を受診し、休養目的で任意入院することになった。
▶午前112
看護師が入院時に聴取する情報で優先度が高いのはどれか。
- 業務量の変化
- 職場での人間関係
- 最近1か月の生活状況
- 無断欠勤に対する親の反応
▶午前113
入院中のAさんは、面会や検査等の予定が急に変更になると混乱し、看護師に対して予定を繰り返し確認することがあった。
このときのAさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
- 文字や図を用いて説明する。
- 確認を繰り返す理由を尋ねる。
- 複数の情報を同時に提供する。
- 状況を考えて行動するよう説明する。
▶午前114
入院後1か月、Aさんは十分な休養が得られた。退院後の職場復帰にあたり、Aさんから「仕事がうまくいかないと、すごく混乱して落ち着かなくなってしまう。そうなった時はどうしたら良いか」と看護師に相談があった。
Aさんへの助言で適切なのはどれか。
- 「混乱するAさんを職場の人がどう見ているか想像しましょう」
- 「多くの人からアドバイスをもらいましょう」
- 「混乱した原因を周囲の人に説明しましょう」
- 「1人で落ち着ける場所に移動しましょう」
▶次の文を読み115〜117の問いに答えよ。
Aさん(57歳、男性)は、妻(55歳)と長女(28歳)の3人暮らし。4年前に直腸癌と診断され、手術を受けてストーマを造設した。その後、Aさんは直腸癌を再発し、治療を行ったが効果がなく、腹部のがん疼痛を訴えたため、疼痛をコントロールする目的で入院した。主治医からAさんと家族に余命4か月程度と告知され、Aさんは「痛みは取り除いてほしいが、延命治療は望まない。自宅で好きなことをして過ごしたい」と話している。現在、Aさんはオキシコドン塩酸塩を1日2回内服し、痛みがなければ日常生活動作〈ADL〉は、ほぼ自立している。
▶午前115
Aさんは退院後に訪問診療と訪問看護を利用することになり、今後の支援の方向性を確認するため、退院前にAさんと家族も参加するカンファレンスを開催した。
カンファレンスで確認する内容で最も優先度が高いのはどれか。
- 看取りの場所
- ストーマパウチの交換方法
- 訪問リハビリテーションの必要性
- 退院後の生活でAさんが行いたいこと
▶午前116
退院後、Aさんは痛みが強くなってきたため、主治医はオキシコドン塩酸塩を増量したが、Aさんは眠気が強くなり「薬を飲みたくない」と訴えた。そのため、フェンタニル貼付剤に切り替え、レスキュー薬としてフェンタニルクエン酸塩舌下錠が処方された。
訪問看護師によるAさんの家族への疼痛緩和のための薬物療法の指導で適切なのはどれか。
- 副作用で便秘が生じた場合には貼付しない。
- 残ったオキシコドン塩酸塩は自宅で保管する。
- レスキュー薬は使用間隔を気にせず使用してよい。
- フェンタニル貼付剤の交換時に家族が貼付面に触れないようにする。
▶午前117
退院後3か月。Aさんの食事や水分の摂取量は減り、徐々に傾眠傾向になってきた。Aさんの妻は訪問看護師に「少し怖いが、できればこのまま自宅で看ていきたい」と話した。
Aさんを自宅で看取るための訪問看護師の対応で適切なのはどれか。
- 高カロリー輸液の開始を医師と相談する。
- Aさんの清潔ケアは看護師が行うことを妻に伝える。
- 今後起こりうるAさんの状態の変化を妻に説明する。
- Aさんが亡くなるまで家族がそばを離れないように伝える。
▶次の文を読み118〜120の問いに答えよ。
Aさん(75歳、女性)は、脂質異常症と高血圧症で通院中で、定期受診のため、外来待合室で順番を待っていた。Aさんは、待合室の雑誌を取ろうと立ち上がり、歩こうとしたところ、右足が思うように動かず引きずって歩いた。外来看護師が声をかけると、Aさんは「らいじょうぶ」と返答したが、ろれつが回らなかった。
▶午前118
この時のAさんの症状はどれか。
- 痙縮
- 失語
- 構音障害
- パーキンソニズム
▶午前119
検査の結果、Aさんは左脳の運動野に脳梗塞を発症していることが分かった。Aさんは3週間の入院治療を経て転院し、2か月間のリハビリテーションを行うことになった。
転院先の医療機関に提供する情報で最も優先するのはどれか。
- 診療情報提供書
- 要介護認定の申請書
- 医療相談員の相談記録
- 使用中の車椅子の機種
- 身体障害者手帳の申請書
▶午前120
Aさんは、2か月間のリハビリテーションの結果、健側をつかってベッド上で端坐位ができるようになり、補装具をつければ軽介助で歩行できる状態まで回復した。退院後はベッド柵をつけた介護用ベッドを設置し、自宅で生活をする予定である。Aさんが自宅で使用する介護用ベッドの柵の配置を図に示す。
ベッド柵の配置で適切なのはどれか。
資料 厚生労働省「第106回保健師国家試験、第103回助産師国家試験、第109回看護師国家試験の問題および正答について」
注 当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。
▼第109回看護師国家試験
テーマ別
必修問題まとめ
①国民衛生の動向対応/②看護の倫理・対象/③人体の構造と機能・健康障害・薬物/④看護技術
年次別
第113回/第112回/第111回/第110回/第109回/第108回/第107回/第106回/第105回/第104回/第103回/第102回
令和2年2月16日(日)に実施された第109回看護師国家試験について、午前問題のうち必修問題の正答と解説を示します。
「国民衛生の動向2024/2025」で内容を解説している問題に関しては、その参照章・ページを示しているので、同書を併用しながらの利用をおすすめします。
▼第109回看護師国家試験
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厚生の指標増刊
発売日:2024.8.27 定価:2,970円(税込) 412頁・B5判 雑誌コード:03854-08
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午前 必修問題
令和5年(2023年)の人口動態統計における主要死因別の死亡率で心疾患の順位はどれか。
- 1位
- 2位
- 3位
- 4位
運動習慣が身体機能にもたらす効果はどれか。
- 肺活量の減少
- 耐糖能の低下
- 免疫力の向上
- 中性脂肪の増加
介護保険の第2号被保険者は、( )歳以上65歳未満の医療保険加入者である。
( )に入る数字はどれか。
- 30
- 40
- 50
- 60
健康保険法による療養の給付の対象はどれか。
- 手術
- 健康診査
- 予防接種
- 人間ドック
第二次性徴の発現に関与するホルモンはどれか。
- 抗利尿ホルモン〈ADH〉
- 黄体形成ホルモン〈LH〉
- 副甲状腺ホルモン〈PTH〉
- 甲状腺刺激ホルモン〈TSH〉
児の吸啜刺激によって分泌が亢進し、分娩後の母体の子宮筋の収縮を促すのはどれか。
- オキシトシン
- プロラクチン
- テストステロン
- プロゲステロン
令和4年(2022年)の国民生活基礎調査における平均世帯人数はどれか。
- 1.25
- 2.25
- 3.25
- 4.25
レスパイトケアの目的はどれか。
- 介護者の休息
- 介護者同士の交流
- 介護者への療養指導
- 療養者の自己決定支援
死の三徴候に含まれるのはどれか。
- 筋の弛緩
- 角膜の混濁
- 呼吸の停止
- 呼名反応の消失
球関節はどれか。
- 肩関節
- 膝関節
- 下橈尺関節
- 手根中手関節
脳塞栓症を生じやすい不整脈はどれか。
- 心室頻拍
- 心房細動
- 心房性期外収縮
- 完全房室ブロック
貧血を診断する際の指標となる血液検査項目はどれか。
- アルブミン〈Alb〉
- ヘモグロビン〈Hb〉
- フィブリノゲン
- プロトロンビン時間〈PT〉
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律〈医薬品医療機器等法〉による毒薬の表示を別に示す。

正しいのはどれか。
- A
- B
- C
- D
成人の橈骨動脈における脈拍の測定方法で正しいのはどれか。
誤嚥しやすい患者の食事の援助で適切なのはどれか。
- 食材は細かく刻む。
- 水分の摂取を促す。
- 粘りの強い食品を選ぶ。
- 頸部を前屈した体位をとる。
陰部洗浄に使用する湯の温度で最も適切なのはどれか。
- 30〜31℃
- 34〜35℃
- 38〜39℃
- 42〜43℃
滅菌物の取り扱いで正しいのはどれか。
- 鉗子の先端は水平より高く保つ。
- 鑷子の先端を閉じた状態で取り出す。
- 滅菌パックはハサミを用いて開封する。
- 滅菌包みは布の内側の端を手でつまんで開く。
直流除細動器の使用目的はどれか。
- 血圧の上昇
- 呼吸の促進
- 洞調律の回復
- 意識レベルの回復
経鼻経管栄養法を受ける成人患者の体位で適切なのはどれか。
- 砕石位
- 半坐位
- 腹臥位
- Sims〈シムス〉位
胃がんのVirchow〈ウィルヒョウ〉転移が生じる部位はどれか。
- 腋窩
- 鼠径部
- 右季肋部
- 左鎖骨上窩
包帯の巻き方を別に示す。

環行帯の巻き方で正しいのはどれか。
- A
- B
- C
- D
皮下注射で適切なのはどれか。
- 注射部位を伸展する。
- 注射針は18〜20Gを使用する。
- 針の刺入角度は45〜90度にする。
- 皮下脂肪が5mm以上の部位を選択する。
細菌感染による急性炎症で最初に反応する白血球はどれか。
- 単球
- 好酸球
- 好中球
- 好塩基球
- リンパ球
令和4年(2022年)の国民生活基礎調査で、男性の有訴者の症状が最も多いのはどれか。
- 腰痛
- もの忘れ
- 体がだるい
- 目のかすみ
- 手足の関節が痛む
資料 厚生労働省「第106回保健師国家試験、第103回助産師国家試験、第109回看護師国家試験の問題および正答について」
注 当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。
▼第109回看護師国家試験
令和3年2月14日(日)に実施された第110回看護師国家試験について、午後問題のうち必修問題の正答と解説を示します。
「国民衛生の動向2024/2025」で内容を解説している問題に関しては、その参照章・ページを示しているので、同書を併用しながらの利用をおすすめします。
▼第110回看護師国家試験
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テーマ別
必修問題まとめ
①国民衛生の動向対応/②看護の倫理・対象/③人体の構造と機能・健康障害・薬物/④看護技術
年次別
第113回/第112回/第111回/第110回/第109回/第108回/第107回/第106回/第105回/第104回/第103回/第102回
午後 必修問題
令和5年(2023年)の日本の出生数に最も近いのはどれか。
- 40万人
- 70万人
- 100万人
- 130万人
令和5年(2023年)の国民健康・栄養調査において、男性で運動習慣のある割合が最も多いのはどれか。
- 20~29歳
- 40~49歳
- 60~69歳
- 70歳以上
令和3年(2021年)の人口1人当たりの国民医療費で最も近いのはどれか。
- 16万円
- 26万円
- 36万円
- 46万円
患者の権利について適切なのはどれか。
- 患者は入院中に無断で外泊できる。
- 患者は治療後に治療費の金額を決定できる。
- 患者はセカンドオピニオンを受けることができる。
- 患者は自分と同じ疾患の患者の連絡先を入手できる。
看護師等の人材確保の促進に関する法律に規定されている都道府県ナースセンターの業務はどれか。
- 訪問看護業務
- 看護師免許証の交付
- 訪問入浴サービスの提供
- 看護師等への無料の職業紹介
妊娠初期の感染で児に難聴が生じる可能性が高いのはどれか。
- 水痘
- 風疹
- 麻疹
- 流行性耳下腺炎
乳歯がすべて生えそろう年齢はどれか。
- 0〜1歳
- 2〜3歳
- 4〜5歳
- 6〜7歳
男子の第二次性徴による変化はどれか。
- 精通
- 骨盤の拡大
- 皮下脂肪の増加
- 第1大臼歯の萌出
医療法に基づき高度医療の提供とそれに関する研修を実施する医療施設はどれか。
- 診療所
- 特定機能病院
- 地域医療支援病院
- 臨床研究中核病院
チーム医療で適切なのはどれか。
- 他施設との間で行うことはできない。
- チームメンバー間で目標を共有する。
- チームリーダーは看護師に固定する。
- 経験年数が同等の者でチームを構成する。
健常な成人で心臓壁が最も厚いのはどれか。
- 右心室
- 右心房
- 左心室
- 左心房
後腹膜器官はどれか。
- 胃
- 肝臓
- 空腸
- 腎臓
体温低下を引き起こすのはどれか。
- カテコラミンの分泌亢進
- 甲状腺ホルモンの分泌低下
- 副甲状腺ホルモン〈PTH〉の分泌低下
- 副腎皮質刺激ホルモン〈ACTH〉の分泌亢進
四肢のうち麻痺している部位を斜線で図に示す。
片麻痺はどれか。
痛風の患者の血液検査データで高値を示すのはどれか。
- 尿酸
- 尿素窒素
- アルブミン
- トリグリセリド
ループ利尿薬について正しいのはどれか。
- 作用発現が速い。
- 眠前の服用が望ましい。
- 抗不整脈薬として用いられる。
- 副作用〈有害事象〉に高カリウム血症がある。
経口投与後の薬物が初回通過効果を受ける場所はどれか。
- 胃
- 肝臓
- 小腸
- 腎臓
自力での摂取が困難な成人患者の食事介助で適切なのはどれか。
- 水分の少ない食べ物を準備する。
- 時間をかけずに次々と食物を口に入れる。
- 患者に食事内容が見える位置に食器を配置する。
- 患者の下顎が上がるよう高い位置からスプーンを操作する。
フィジカルアセスメントにおいて触診で有無を判断するのはどれか。
- 腱反射
- 瞳孔反射
- 腸蠕動運動
- リンパ節の腫脹
患者の洗髪の介助方法で適切なのはどれか。
- 30℃の湯をかける。
- 脱脂綿で耳栓をする。
- 指の腹を使って洗う。
- 強い振動を加えて洗う。
空気感染を予防するための医療者の個人防護具で適切なのはどれか。
- 手袋
- N95マスク
- シューズカバー
- フェイスシールド
薬物の有害な作用を予測するために収集する情報はどれか。
- 居住地
- 家族構成
- 運動障害の有無
- アレルギーの既往
成人の持続点滴静脈内注射のために選択される部位で最も適切なのはどれか。
- 足背
- 鼠径
- 前腕内側
- 肘関節付近
自動体外式除細動器〈AED〉の電極パッドの貼付位置を図に示す。
適切なのはどれか。
巨赤芽球性貧血の原因はどれか。
- ビタミンA欠乏
- ビタミンB12欠乏
- ビタミンC欠乏
- ビタミンE欠乏
- ビタミンK欠乏
資料 厚生労働省「第107回保健師国家試験、第104回助産師国家試験、第110回看護師国家試験の問題および正答について」
注 当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。
▼第110回看護師国家試験
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必修問題まとめ
①国民衛生の動向対応/②看護の倫理・対象/③人体の構造と機能・健康障害・薬物/④看護技術
年次別
第113回/第112回/第111回/第110回/第109回/第108回/第107回/第106回/第105回/第104回/第103回/第102回
令和3年2月14日(日)に実施された第110回看護師国家試験について、午前問題のうち状況設定問題の正答と解説を示します。
「国民衛生の動向2024/2025」と合わせてご活用ください。
▼第110回看護師国家試験
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厚生の指標増刊
発売日:2024.8.27 定価:2,970円(税込) 412頁・B5判 雑誌コード:03854-08
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必修問題まとめ
①国民衛生の動向対応/②看護の倫理・対象/③人体の構造と機能・健康障害・薬物/④看護技術
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午前 状況設定問題
▶次の文を読み91〜93の問いに答えよ。
Aさん(43歳、女性)は夫と2人暮らし。身長150cm、体重98kg。既往歴はない。先日、庭で転倒し右腓骨を骨折し、膝関節から足関節までのギプス固定をしている。来週、プレート固定術を受けることになっており、本日は夫と一緒に術前オリエンテーションに来院した。来院時のAさんのバイタルサインは、体温36.8℃、呼吸数16/分、脈拍80/分、血圧138/80mmHgであった。夫によると「妻は、寝ているときはいつも大きないびきと、時々無呼吸があるので、慌てて起こしている」と言う。
▶午前91
手術までの自宅でのAさんの過ごし方で、優先して指導すべき内容はどれか。
- 食事制限
- 足趾の運動
- ベッド上安静
- 体位変換の方法
▶午前92
Aさんは入院し、手術を受けた。手術室から病室への帰室後1時間、Aさんのバイタルサインは、体温35.9℃、呼吸数16/分、いびき様呼吸、脈拍60/分、血圧145/87mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉96%(鼻腔カニューレ3L/分酸素投与下)。大きな声で呼ぶと開眼し、簡単な指示に従うことができる。尿量は70mL/時、血糖値128mg/dLであった。
看護師が優先して対処すべきAさんの症状・徴候はどれか。
- 体温35.9℃
- いびき様呼吸
- 血圧145/87mmHg
- 尿量70mL/時
- 血糖値128mg/dL
▶午前93
手術後2日。Aさんはバイタルサインも安定しているため、離床の準備を始めることになった。
初回離床時に最も注意すべき訴えはどれか。
- 「息苦しい」
- 「腰が重い」
- 「痰が出る」
- 「傷口が引きつる」
▶次の文を読み94〜96の問いに答えよ。
Aさん(26歳、男性)は1か月前から動悸と20m程度の歩行でも息切れが出現するようになった。ぶつけた記憶もないのに下肢に出血斑ができるようになり、医療機関を受診した。Aさんは急性白血病を疑われ、緊急入院し、後腸骨稜から骨髄穿刺を受けた。
身体所見:意識清明、体温37.2℃、呼吸数17/分、脈拍124/分、血圧96/52mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉97%(room air)、両下肢に散在する出血斑あり。
検査所見:Hb5.1g/dL、白血球44,960/μL、血小板1.5万/μL、総ビリルビン1.1mg/dL、尿素窒素19.4mg/dL、クレアチニン0.76mg/dL、CRP2.2mg/dL。
胸部エックス線:縦郭・心陰影・肺野に異常なし。
▶午前94
Aさんの骨髄穿刺の30分後に観察すべき項目で優先度が高いのはどれか。
- 経皮的動脈血酸素飽和度
- 穿刺部の止血状態
- 下肢の運動障害
- 眼瞼結膜
▶午前95
Aさんは急性骨髄性白血病と診断された。化学療法によって寛解し、造血幹細胞移植を行う方針となった。
Aさんの造血幹細胞移植で正しいのはどれか。
- Aさんと骨髄提供者の性別が一致している必要がある。
- 移植後2週間で退院できる。
- 移植前処置が必要である。
- 手術室で行う。
▶午前96
造血幹細胞移植後、生着が確認された。皮膚にStageⅠの移植片対宿主病を発症したが、免疫抑制薬の内服を継続しつつ退院することになった。
Aさんの退院に向けた看護師の指導で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 「皮膚の状態がよくなれば免疫抑制薬は中止してください」
- 「加熱していない魚介類を食べるのは避けましょう」
- 「インフルエンザワクチンの接種は避けてください」
- 「直射日光に当たらないようにしましょう」
- 「入浴は最小限にしてください」
▶次の文を読み97〜99の問いに答えよ。
Aさん(92歳、女性)は、脳梗塞の後遺症のため要介護4で、2年前から特別養護老人ホームに入所している。入所時は、日常生活は全介助で、話しかけるとうなずいたり首を振るなど自分の意思を伝えることができた。Aさんは歌が好きで、歌に関するレクリエーションには車椅子で参加し、笑顔がみられていた。家族は週1回、面会に来ていた。入所時に、Aさんは「延命処置を望まない」、家族は「できるだけ長生きしてほしい」と言っていた。最近、ほとんど食事を摂らなくなり、閉眼していることが多く、看護師や施設職員の声かけに対する反応が徐々に鈍くなってきた。家族が面会時に声をかけると、目を開け、うなずくなどの意思表示がある。Aさんの状態から、医師と相談し看護師は看取りの準備が必要であると判断した。
▶午前97
Aさんの死の迎え方を決めるために優先されるのはどれか。
- 主治医の治療方針
- 施設の職員のケア方針
- 入所時のAさんの意思
- 現在のAさんと家族の意思
▶午前98
Aさんは、食事を全く食べず、水分も取らなくなり、皮膚も乾燥してきた。家族は毎日面会にきて声をかけているが、反応がなくなってきた。
Aさんが死に向かう中で、穏やかに過ごすための援助で適切なのはどれか。
- 好きな音楽をかける。
- 輸液療法を検討する。
- 家族の面会を制限する。
- 皮膚の清潔ケアを頻回に行う。
▶午前99
3日後、Aさんは声かけに全く反応しなくなったため、看護師は死期が迫っていると判断した。
看護師が観察するAさんの状態はどれか。
- 尿量の増加
- 流涎の増加
- 下痢便の出現
- 下顎呼吸の出現
▶次の文を読み100〜102の問いに答えよ。
Aさん(77歳、男性)は、妻(79歳)と2人暮らし。5年前にAlzheimer〈アルツハイマー〉型認知症と診断された。現在のMMSE〈Mini-mental State Examination〉は18点。家では、食事は準備すれば自分で摂取できる。排泄は尿意や便意ともにあり、トイレで排泄できる。入浴は妻の介助でシャワー浴を行っているが、機嫌が悪いと「うるさい」と怒鳴り、介助を拒否する。Aさんはにぎやかな場所が苦手であり、また、時々1人で外に出て行ってしまい家に帰れなくなることがある。最近、Aさんが妻の介助を激しく拒否し大声で怒鳴ることが多くなってきたため、妻は介護支援専門員に相談した。相談の結果、妻の介護負担を軽減する目的で、Aさんは通所介護を利用することになった。
▶午前100
通所の初日、Aさんは、初めての場所に戸惑った様子で、施設内を歩き回っている様子がみられた。妻は「夫がデイサービスに慣れるか心配です」と言って、Aさんの様子をみている。
妻への看護師の声かけで最も適切なのはどれか。
- 「Aさんが好きなことをして過ごせるようにします」
- 「入口のドアに鍵をかけてあるので大丈夫です」
- 「毎回、Aさんに付き添ってください」
- 「Aさんには1人で居てもらいます」
▶午前101
通所介護でレクリエーションが始まり、Aさんは周囲を見ていたが、しばらくするとそわそわしながら席を離れていなくなった。その後、看護師は、介護職員からAさんがゴミ箱に排尿していたという報告を受けた。
このときのAさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
- 目立たない場所にゴミ箱を置く。
- 1時間ごとに尿意を確認する。
- パンツ型おむつを勧める。
- トイレの際は同行する。
▶午前102
入浴の時間になり、Aさんは浴槽を見て「あれは、何?」と興味を示したが、介護職員が入浴を勧めると「今日はやめておく」と言う。看護師が再度入浴を勧めると、Aさんは「今日は忙しくて時間がない」と答えている。
Aさんへの看護師の対応で最も適切なのはどれか。
- 全身清拭を行う。
- 浴槽の説明を行う。
- 自宅で入浴してもらう。
- 時間をおいてから再度入浴を勧める。
▶次の文を読み103〜105の問いに答えよ。
A君(7歳、男児)は、サッカークラブに所属している。本日、練習中に転倒して右腕を地面についた後、肘周囲に腫れと強い痛みが生じたため、父親と救急外来を受診した。エックス線撮影の結果、右側の上腕骨顆上骨折と診断され、非観血的整復とギプス固定が行われることになった。A君は不安な表情で父親と処置室の前で待っている。
▶午前103
ギプス固定にあたり、A君への看護師の説明で適切なのはどれか。
- 痛くないことを説明する。
- すぐ終わることを説明する。
- ギプスが乾くときに冷たくなると説明する。
- ギプスに使うものを見せながら説明する。
▶午前104
A君は、整復術後の経過観察のため1泊入院することになった。
整復術後の合併症の観察方法で適切なのはどれか。
- 患側の肩の皮膚色を観察する。
- 患肢の観察は8時間ごとに行う。
- 感覚鈍麻の有無は患肢の手指を触れて観察する。
- 冷感はギプスの中に看護師が手を入れて観察する。
▶午前105
退院時、A君は「明日から学校に行けるかな」と看護師に質問した。看護師は、学校には行けることを伝えた後、学校生活における注意点を説明することにした。
A君への説明で適切なのはどれか。
- 「右手の指は使わないでね」
- 「ギプスは濡れても大丈夫だよ」
- 「ギプスをぶつけないようにしてね」
- 「体育の授業は休まなくてもいいよ」
▶次の文を読み106〜108の問いに答えよ。
Aさん(30歳、初妊婦)は、夫(32歳、会社員)と2人暮らし。身長は160cm、非妊時体重60kgである。妊娠8週の妊婦健康診査を受診し順調な経過と診断された。嘔吐はないが、時々嘔気があると訴え、対処法について質問があった。
▶午前106
Aさんへの説明で適切なのはどれか。
- 「空腹を避けましょう」
- 「塩味を濃くしましょう」
- 「規則正しく3食摂りましょう」
- 「市販の調理済みの食品は控えましょう」
▶午前107改題
妊娠12週の妊婦健康診査の際、「つわりが少し楽になってきて、ついつい食べてしまいます。あまり太らない方がよいですよね」と話す。
Aさんの妊娠期間中の理想体重増加量の範囲について、下限と上限の組合せで正しいのはどれか。
- 7kg――10kg
- 10kg――13kg
- 10kg――15kg
- 12kg――15kg
▶午前108
Aさんは、妊娠34週4日の妊婦健康診査を受けた。Aさんの母は祖母の介護をしており、産後の支援を期待できない。妊婦健康診査後、「産後は夫と2人で子育てをしていきます。子育てのために何か利用できる制度はありますか」と相談があった。
産後、Aさんの夫が適用となる制度はどれか。
- 育児休業
- 育児時間
- 休日労働の制限
- 勤務時間の変更
▶次の文を読み109〜111の問いに答えよ。
Aさん(29歳、初産婦)は、妊娠37週0日で2,780gの男児を正常分娩で出産した。出生後5分の児の状態は、心拍数150/分、四肢を屈曲させて啼泣している。顔面を清拭されると激しく啼泣し、全身はピンク色である。
▶午前109
このときの児のApgar〈アプガー〉スコアは何点か。
- 10点
- 8点
- 6点
- 4点
▶午前110
出生後1時間。児の状態は、直腸温37.0℃、呼吸数40/分、心拍数120/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉96%(room air)、四肢冷感やチアノーゼを認めない。哺乳は開始していない。Aさんの経過は順調である。
このときの児への看護で適切なのはどれか。
- ビタミンK2シロップを経口投与する。
- 風通しの良いところに児を寝かせる。
- 先天性代謝異常検査を行う。
- 早期母子接触を行う。
▶午前111
産褥4日。Aさんは、血圧112/80mmHg、脈拍76/分、Hb11.2g/dL、Ht37.0%。子宮底を臍下4横指に硬く触れる。悪露は赤褐色で少量。凝血の混入や悪臭はない。乳房は緊満しており移行乳が分泌している。Aさんは「夜中も3時間ごとくらいに授乳をするためほとんど眠れていません」と話している。表情は穏やかである。
Aさんのアセスメントとして適切なのはどれか。
- 貧血である。
- 産後うつ病である。
- 子宮復古は順調である。
- 乳汁分泌が遅れている。
▶次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
Aさん(19歳、男性)は、幼い頃から忘れ物や遅刻が多く、落ち着いて授業を受けることが難しかった。学校からは精神科の受診を勧められていたが、受診することなく高校まで卒業した。卒業後は事務職として働きはじめたが、仕事上のトラブルで上司や同僚から叱責を受けたことをきっかけに、仕事を無断で休むことが多くなった。産業医から精神科外来を紹介され、両親とともに受診した。本人の診察と両親からの生育歴の聴取が行われ、注意欠如・多動性障害〈ADHD〉と診断された。
▶午前112
職場でAさんにみられる可能性が高い行動はどれか。
- 仕事中に突然意識を失って倒れる。
- 退勤時に戸締りの確認を繰り返す。
- 集中して仕事をすることができない。
- 状況にふさわしくない単語の発声を繰り返す。
▶午前113
診察後、Aさんの両親は「親としてどうしたら良かったのでしょうか、私たちの育て方に問題があったのでしょうか」と外来看護師に話した。
このときのAさんの両親への対応として適切なのはどれか。
- 「Aさんは育てにくいお子さんでしたね」
- 「職場の環境が悪かったことが原因です」
- 「ご両親の育て方が原因ではないと思いますよ」
- 「もっと早くAさんの問題に気が付けばよかったですね」
▶午前114
Aさんは予約した受診日を忘れてしまい、受診できないことが度々あった。Aさんは、これまで忘れないための工夫を何もしてこなかったと外来看護師に話した。
Aさんへの対応で最も適切なのはどれか。
- 「ご家族に予定を管理してもらいましょう」
- 「忘れてしまった理由を考えてみましょう」
- 「予定を忘れたことで生じる不利益を整理してみましょう」
- 「今予約した次回の受診日をこの場で予定表に書き込みましょう」
▶次の文を読み115〜117の問いに答えよ。
Aさん(78歳、男性)は、妻(70歳)と2人暮らしである。脳血管障害後遺症による右片麻痺があり、車椅子への移乗は部分介助、要介護2である。排泄はポータブルトイレを利用している。Aさんと妻はなるべく家で過ごしたいと考え、自宅での介護はすべて妻が行っている。長女(会社員)が県内に在住しているがAさんの介護はしていない。訪問看護を週1回利用するのみで、他のサービスは利用していない。最近、妻の腰痛が悪化し、妻から訪問看護師に「主治医から介護の負担を軽減するように言われました。でも夫は家から出たくないし、私も夫をどこかに預けるのは不安です。どうしたらよいでしょうか」と相談があった。
▶午前115
このときの訪問看護師が提案するAさんへのサービスで最も適切なのはどれか。
- 通所介護
- 訪問介護
- 短期入所生活介護
- 訪問リハビリテーション
▶午前116
サービス導入後1か月。今朝、妻から訪問看護師に「夫の身体が震えています。よだれを垂らして、目が合わないです」と連絡があった。訪問看護師が訪問すると、Aさんの震えは止まっており、Aさん自身は「何が起きていたのか覚えていない」と言う。訪問時の体温36.0℃、呼吸数18/分、脈拍82/分、血圧130/62mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉95%(room air)であった。妻によると、2日間排便がなく、尿量1,500mL/日、尿の性状は黄色透明とのことだった。
妻からの連絡時にAさんに起きていたと考えられる状態はどれか。
- 感染
- 脱水
- 便秘
- けいれん
▶午前117
Aさんは入院したが、状態が安定し入院後3日で退院することが決まった。長女が「父が退院したら、母の腰痛が心配なので、私が父のポータブルトイレへの移動を手伝いたいと思います。介助の方法を教えてください」と訪問看護師に相談があった。
訪問看護師が長女に指導するベッドからポータブルトイレへの移乗の介助方法で正しいのはどれか。
- ポータブルトイレをAさんの麻痺側に設置する。
- ベッドから立ち上がる際はAさんに前傾姿勢になってもらう。
- Aさんの健側に立って介助する。
- Aさんの向きを変えるときはズボンのウエスト部分を持つ。
▶次の文を読み118〜120の問いに答えよ。
A市に住むBさん(40歳、経産婦)は、妊娠20週0日である。夫(42歳、会社員)、長女のCちゃん(5歳)の3人暮らし。朝食を終えた午前8時、大規模災害が発生し、夫は倒壊した家屋に両下肢が挟まれ身動きがとれなくなった。一緒にいたBさんとCちゃんは無事だったが、慌てるBさんのそばでCちゃんは泣きながら座りこんでいた。午前10時、夫は救助隊に救出されたが、下肢の感覚はなくなっていた。病院に搬送された夫は、その日のうちに入院となった。
▶午前118
搬送直後の夫の血液検査データで、高値が予想されるのはどれか。2つ選べ。
- カリウム
- カルシウム
- ヘモグロビン〈Hb〉
- 総コレステロール
- クレアチンキナーゼ〈CK〉
▶午前119
被災当日にBさんはCちゃんとともに避難所に入所した。被災後1日、Bさんは巡回してきた看護師に「今妊娠20週目ですが、おなかが張ることがあります」と話した。
看護師が確認する項目で優先度が高いのはどれか。
- 下肢の浮腫の程度
- 食事の摂取状況
- 性器出血の有無
- 排泄状況
▶午前120
Bさんに異常は認められなかったが、Cちゃんも不安な表情でBさんの傍にいる姿をみて、看護師はBさんとCちゃんは福祉避難所への移動が必要ではないかと考えた。
福祉避難所への移動のために看護師が連携する者で適切なのはどれか。
- 精神科医
- 民生委員
- A市の保健師
- ボランティアの保育士
資料 厚生労働省「第107回保健師国家試験、第104回助産師国家試験、第110回看護師国家試験の問題および正答について」
注 当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。
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必修問題まとめ
①国民衛生の動向対応/②看護の倫理・対象/③人体の構造と機能・健康障害・薬物/④看護技術
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第113回/第112回/第111回/第110回/第109回/第108回/第107回/第106回/第105回/第104回/第103回/第102回
令和3年2月14日(日)に実施された第110回看護師国家試験について、午前問題のうち必修問題の正答と解説を示します。
「国民衛生の動向2024/2025」で内容を解説している問題に関しては、その参照章・ページを示しているので、同書を併用しながらの利用をおすすめします。
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午前 必修問題
令和5年(2023年)の日本の総人口に最も近いのはどれか。
- 1億人
- 1億400万人
- 1億2,400万人
- 1億4,400万人
令和2年(2020年)の患者調査における外来受療率(人口10万対)で最も多い傷病はどれか。
- 新生物〈腫瘍〉
- 呼吸器系の疾患
- 消化器系の疾患
- 内分泌、栄養及び代謝疾患
大気汚染物質はどれか。
- フロン
- カドミウム
- メチル水銀
- 微小粒子状物質(PM2.5)
要介護認定の申請先はどれか。
- 市町村
- 診療所
- 都道府県
- 介護保険審査会
看護師免許の付与における欠格事由として保健師助産師看護師法に規定されているのはどれか。
- 20歳未満の者
- 海外に居住している者
- 罰金以上の刑に処せられた者
- 伝染性の疾病にかかっている者
出生時からみられ、生後4か月ころに消失する反射はどれか。
- 手掌把握反射
- 足底把握反射
- パラシュート反射
- Babinski〈バビンスキー〉反射
令和4年(2022年)の学校保健統計調査における学童期の異常被患率で最も高いのはどれか。
- 高血圧
- 摂食障害
- 心電図異常
- 裸眼視力1.0未満の者
ハヴィガースト, R. J.が提唱する老年期の発達課題はどれか。
- 子どもを育てる。
- 退職と収入の減少に適応する。
- 社会的責任をともなう行動を望んでなしとげる。
- 男性あるいは女性としての社会的役割を獲得する。
令和4年(2022年)の国民生活基礎調査で65歳以上の者のいる世帯の割合に最も近いのはどれか。
- 10%
- 30%
- 50%
- 70%
地域保健法に基づき設置されているのはどれか。
- 診療所
- 保健所
- 地域包括支援センター
- 訪問看護ステーション
後頭葉にあるのはどれか。
- 嗅覚野
- 視覚野
- 聴覚野
- 体性感覚野
胃から分泌される消化管ホルモンはどれか。
- ガストリン
- セクレチン
- 胃抑制ペプチド
- コレシストキニン
キューブラー・ロス, E.による死にゆく人の心理過程で第5段階はどれか。
- 怒り
- 否認
- 死の受容
- 取り引き
肝性脳症の直接的原因はどれか。
- 尿酸
- アンモニア
- グルコース
- ビリルビン
喀血の特徴はどれか。
- 酸性である。
- 泡沫状である。
- 食物残渣を含む。
- コーヒー残渣様である。
緩和ケアの説明で適切なのはどれか。
- 入院が原則である。
- 家族もケアの対象である。
- 創の治癒を目的としている。
- 患者の意識が混濁した時点から開始する。
カルシウム拮抗薬の血中濃度を上げる食品はどれか。
- 牛乳
- 納豆
- ブロッコリー
- グレープフルーツ
患者の主観的情報はどれか。
- 苦悶様の顔貌
- 息苦しさの訴え
- 飲水量
- 脈拍数
健康な成人における1日の平均尿量はどれか。
- 100mL
- 500mL
- 1,500mL
- 2,500mL
足浴に使用する湯の温度で最も適切なのはどれか。
- 26〜28℃
- 32〜34℃
- 38〜40℃
- 44〜46℃
感染予防のための手指衛生で正しいのはどれか。
- 石けんは十分に泡立てる。
- 洗面器に溜めた水で洗う。
- 水分を拭きとるタオルを共用にする。
- 塗布したアルコール消毒液は紙で拭き取る。
経鼻胃管の先端が胃内に留置されていることを確認する方法で正しいのはどれか。
- 腹部を打診する。
- 肺音の聴取を行う。
- 胃管に水を注入する。
- 胃管からの吸引物が胃内容物であることを確認する。
輸液ポンプを使用する目的はどれか。
- 感染の防止
- 薬液の温度管理
- 薬物の効果判定
- 薬液の注入速度の調整
1回の鼻腔内吸引時間の目安で適切なのはどれか。
- 10〜15秒
- 20〜25秒
- 30〜35秒
- 40〜45秒
成人の心肺蘇生時の胸骨圧迫の深さの目安はどれか。
- 2cm
- 5cm
- 8cm
- 11cm
資料 厚生労働省「第107回保健師国家試験、第104回助産師国家試験、第110回看護師国家試験の問題および正答について」
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発売日:2024.8.27 定価:2,970円(税込) 412頁・B5判 雑誌コード:03854-08
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必修問題まとめ
①国民衛生の動向対応/②看護の倫理・対象/③人体の構造と機能・健康障害・薬物/④看護技術
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第113回/第112回/第111回/第110回/第109回/第108回/第107回/第106回/第105回/第104回/第103回/第102回
午後 状況設定問題
▶次の文を読み91〜93の問いに答えよ。
Aさん(50歳、男性、会社員)は半年ほど前から労作時に胸痛と呼吸困難感があり、狭心症と診断され内服治療を受けている。本日明け方から胸部に圧迫感があった。出勤途中に強い胸痛を自覚し、自ら救急車を要請した。救急外来到着時のバイタルサインは、体温35.8℃、呼吸数30/分、脈拍112/分、血圧96/52mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉93%(酸素2L/分)。意識は清明。12誘導心電図はV1〜V4でST上昇、Ⅱ、Ⅲ、aVFでST低下がみられた。
▶午後91
救急外来到着時にAさんの状態をアセスメントするために優先度が高い血液検査項目はどれか。
- トロポニンT
- 乳酸脱水素酵素
- 血清クレアチニン
- アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ
▶午後92
心臓カテーテル検査の結果、Aさんは急性心筋梗塞と診断された。心係数2.4L/分/m2、肺動脈楔入圧20mmHgでForrester〈フォレスター〉分類Ⅱ群であった。
身体所見:両側下肺野で呼吸音が減弱しており、軽度の粗い断続性副雑音が聴取される。
心エコー検査:左室駆出率〈LVEF〉58%
胸部エックス線検査:心胸郭比〈CTR〉48%
このときのAさんのアセスメントで適切なのはどれか。
- 心拡大が認められる。
- 肺うっ血が起きている。
- 末梢循環不全が起きている。
- 左心室の収縮力が低下している。
▶午後93
その後、Aさんは経皮的冠動脈形成術〈PCI〉を受けた。帰室時のバイタルサインは、体温36.2℃、呼吸数20/分、脈拍58/分、整、血圧80/40mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉95%(酸素1L/分)。顔面は蒼白、冷汗を認めた。意識は清明である。
このとき看護師が最初に行うことはどれか。
- 側臥位にする。
- 除細動器の準備を行う。
- 穿刺部の出血の有無を確認する。
- 鎮痛薬の処方を医師に相談する。
▶次の文を読み94〜96の問いに答えよ。
Aさん(38歳、会社員、女性)は夫と2人暮らし。通勤中に突然の頭痛を訴えて倒れ、救急搬送された。入院後に行った頭部CT検査および頭部MRI検査で、脳腫瘍と診断された。Aさんは脳腫瘍摘出のために開頭術を受けた。
▶午後94
帰室後の看護として適切なのはどれか。
- 発熱時の冷罨法は禁忌である。
- 徐脈時は経過観察とする。
- ベッドの頭側を挙上する。
- 頸部を前屈させる。
▶午後95
脳腫瘍摘出手術の結果、膠芽腫と診断され、Aさんは放射線療法と抗癌薬内服による化学療法を行うことになった。放射線療法を開始して1週後、Aさんが頭皮のかゆみを訴えたため、副腎皮質ステロイド軟膏が処方された。
Aさんへの説明として適切なのはどれか。
- 「定期的に髪の毛をそります」
- 「かゆみが強いときは温めてください」
- 「軟膏は放射線照射前に拭き取ってください」
- 「かゆみは放射線照射の終了日にはおさまります」
▶午後96
放射線療法と化学療法が開始されて10日が経過した。Aさんはガーデニングの趣味があり、庭が気になるため週末の外泊を希望し、主治医から許可が出た。
外泊にあたりAさんへの説明として適切なのはどれか。2つ選べ。
- 「入浴は控えてください」
- 「食べ物の制限はありません」
- 「ガーデニングの時は手袋をしてください」
- 「発熱を伴わない咳は様子を見てください」
- 「性交渉の時はコンドームを使用してください」
▶次の文を読み97〜99の問いに答えよ。
Aさん(82歳、女性)は息子(57歳、会社員)と息子の妻(55歳、パート勤務)との3人暮らし。3年前にAlzheimer〈アルツハイマー〉型認知症と診断され、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準Ⅱb、要介護2である。Aさんの介護は、主に息子の妻が行っていた。Aさんは、声かけがあれば日常生活動作〈ADL〉を自分で行うことができた。しかし、Aさんは徐々に認知症が重度化し、1人で外出すると帰ってくることができなくなり、夜間に落ちつきなく動き回ることが多くなった。息子と息子の妻はAさんの介護について介護支援専門員に相談していたが、息子の妻は睡眠不足となり、体調を崩してしまった。そのため、Aさんは介護老人保健施設に入所することになった。
▶午後97
看護師からAさんに施設について説明したが、その後もAさんは「ここはどこ」と繰り返し聞いていた。息子の妻は「私がやらなければいけないことは何ですか」と聞いてきた。
息子の妻に対する看護師の対応で最も適切なのはどれか。
- 「面会に来てください」
- 「家族会に参加しましょう」
- 「まずは休息をとりましょう」
- 「認知症への対応を覚えましょう」
▶午後98
入所した日の夕方、Aさんは自分の荷物をまとめて「夕食を作らなければいけないので、家に帰ります」と施設内を歩いている。
Aさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
- 「他の入所者と話をしましょう」
- 「椅子に座ってお話ししませんか」
- 「入所中なので家には帰れません」
- 「歩くのは危ないのでやめましょう」
▶午後99
入所して1週後。Aさんは、朝、声をかけられてもなかなか目を覚まさない。午前中は看護師が他の入所者と交流することを目的に共有スペースに誘導するが、Aさんは共有スペースの椅子に座ったまま眠ってしまい、レクリエーションへ誘われても参加はしない。夕方から夜間にかけてAさんは活動的となり、施設の廊下を歩き職員に話しかけている。
Aさんへの看護師の対応で最も適切なのはどれか。
- 朝の入浴を勧める。
- 日中の散歩に誘う。
- 朝はAさんが自分で起きるまで待つ。
- 日中は椅子に座って過ごしてもらう。
▶次の文を読み100〜102の問いに答えよ。
Aさん(83歳、男性)は妻(81歳)と2人暮らし。息子夫婦は共働きで同市内に住んでいる。Aさんは自宅の廊下で倒れているところを妻に発見され、救急搬送された。Aさんは右上下肢に力が入らず、妻の声かけにうなずくが発語はなかった。頭部CTで左中大脳動脈領域の脳梗塞と診断されたため救急外来で血栓溶解療法が行われ、入院となった。血栓溶解療法による治療後2週。Aさんは右上下肢麻痺、失語などの後遺症があるが、自宅への退院を希望したため、機能訓練の目的で回復期リハビリテーション病棟に転棟した。転棟後1日。Aさんはベッドから車椅子への移乗動作の訓練を始めたが、健側の下肢筋力が低下しているため、立位のときにバランスを崩しやすい状況である。
▶午後100
Aさんへの移乗時の援助で適切なのはどれか。2つ選べ。
- ズボンのウエスト部分をつかんで引き上げる。
- ベッドの高さを車椅子の座面より低くする。
- 床に離床センサーマットを設置する。
- 車椅子をAさんの左側に準備する。
- 移乗前に血圧測定を行う。
▶午後101
Aさんは妻や看護師との話の内容は理解しているようだが、返答の際に言葉を間違えてしまうことや言葉がなかなか出てこないことがある。
Aさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
- Aさんの言葉を推測しながら話す。
- Aさんの言い誤りを訂正する。
- 大きな声で話す。
- 話題を変える。
▶午後102
転棟後5週。Aさんは歩行練習が開始となり、病棟内では日常生活動作〈ADL〉も徐々に自立してきている。食事は時々むせがみられるが、配膳すれば自力で摂取できる。排泄は車椅子でトイレへ移動しており、ズボンの着脱に介助が必要である。入浴はシャワーチェアーに座り、手が届くところは自分で洗うことができる。歯磨きは一部介助が必要である。Aさんは早く自宅に帰りたいと話し、午前と午後の機能訓練には積極的に参加しているが、機能訓練後は「疲れて何もしたくない」とベッドで横になり眠っている。夕方に面会に来た妻は「面会時にいつも疲れたと言って眠っているので、このままの状態で退院して家で世話ができるかどうか自信がありません。息子夫婦も仕事が忙しいので、介護を手伝ってもらえるかわかりません」と言っている。
看護師の妻への対応で最も適切なのはどれか。
- 施設入所の検討を提案する。
- トイレ介助の方法を指導する。
- Aさんの機能訓練中の様子の見学を勧める。
- 息子夫婦にも介護に参加してもらうよう助言する。
▶次の文を読み103〜105の問いに答えよ。
Aちゃん(2歳10か月、女児)は昨日から下痢と嘔吐を繰り返し、食事が摂れなくなったため、母親に抱かれて小児科外来を受診した。診察の結果、ウイルス性胃腸炎による中等度の脱水症と診断され入院した。入院時、体温38.2℃、呼吸数36/分、心拍数136/分であった。3日前の保育所の身体計測では身長90cm、体重12.5kgであった。
▶午後103
Aちゃんにみられる状態はどれか。
- 昏睡状態である。
- 流涙は普段と変わらない。
- 体重は3日前と変わらない。
- 排尿頻度は普段通りである。
- 皮膚のツルゴールは低下している。
▶午後104
Aちゃんは、個室隔離での入院となり、持続点滴静脈内注射が開始された。排泄が自立していないため普段から紙オムツを使用している。
Aちゃんのオムツ交換における注意点について、入院に付き添う母親への看護師の説明で適切なのはどれか。
- 布オムツに切り替える。
- 使い捨て手袋は1日1回交換する。
- オムツ交換後に石けんで手洗いを行う。
- アルコール入りのおしり拭きで殿部の清拭を行う。
▶午後105
入院2日。Aちゃんは、水様便は続いているが嘔吐はなくなった。付き添ってる母親は「Aは大泣きして、ストレスが溜まっているみたいです。アイスクリームを食べたいみたいです」と看護師に話した。
このときに看護師が母親に伝える内容で適切なのはどれか。
- プレイルームで遊べること
- アイスクリームを食べてよいこと
- 個室隔離が明日、解除されること
- Aちゃんの好きなおもちゃを自宅から持参してよいこと
- Aちゃんが静かに過ごせるよう看護師の訪室を控えること
▶次の文を読み106〜108の問いに答えよ。
Aさん(32歳、初産婦)は妊娠39週4日に3,200gの男児を経腟分娩で出産した。分娩時に会陰切開縫合術を受けた。児のApgar〈アプガー〉スコアは1分後9点、5分後10点であった。分娩時の出血量200mL、分娩所要時間12時間30分であった。分娩室から病室に帰室する前に尿意を自覚したためトイレまで歩行し、排尿があった。
▶午後106
帰室時に看護師がAさんに行う説明で適切なのはどれか。
- 「排泄後は会陰部を消毒しましょう」
- 「会陰縫合部が痛くなったら温めましょう」
- 「6時間おきにトイレに行って排尿しましょう」
- 「悪露に血の塊が混じったら看護師に知らせてください」
▶午後107
産褥2日、Aさんは、体温37.2℃、脈拍76/分、血圧112/80mmHg、子宮底を臍下2横指に硬く触れ、悪露は赤褐色で少量。会陰縫合部の発赤なし、腫脹なし。下肢の浮腫は認めない。乳房緊満があり、左右の乳頭に2本ずつ乳管が開通しており、初乳がにじむ程度に分泌している。Aさんは、看護師に会陰縫合部が痛くて歩きにくいと話している。
Aさんのアセスメントで適切なのはどれか。
- 会陰縫合部の感染を起こしている。
- 乳房の変化は産褥日数相当である。
- 深部静脈血栓症の疑いがある。
- 子宮復古が遅れている。
▶午後108
産褥4日、看護師はAさんに退院指導をすることにした。Aさんの児の経過は順調である。
Aさんと児が受けられるサービスとして、看護師が退院指導時に説明するのはどれか。
- 養育支援訪問
- 育成医療の給付
- 養育医療の給付
- 乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)
▶次の文を読み109〜111の問いに答えよ。
Aさん(35歳、男性、会社員)は妻(32歳、主婦)と子ども(2歳)と3人暮らし。5年前にうつ病と診断された。半年前に営業部門に異動し、帰宅後も深夜まで仕事をする日が続いていた。「仕事のことが気になってしまい、焦りと不安ばかりが増して眠れない。会社に行くのが苦しい、入院させてもらえないか」と訴えがあり、休養と薬物の調整を目的として精神科病院に入院となった。入院後、Aさんから「実は薬を飲むのが嫌で、途中から飲むのをやめていたんです。薬を飲みたくないのですが、どうしたらよいでしょうか」と看護師に相談があった。
▶午後109
看護師のAさんへの対応で最も適切なのはどれか。
- 薬を飲みたくない理由を尋ねる。
- 薬を飲むことを約束してもらう。
- 自己判断で薬をやめたことへの反省を促す。
- 薬の管理はAさんの妻にしてもらうよう勧める。
▶午後110
入院後1か月、面会に来た妻から、「夫の会社から休業給付が出ないかもしれないと言われました。子どもが小さく、生活費もかかるので、入院費用が払えるか心配です」と看護師に相談があった。
妻の相談に関して、看護師が連携する職種として最も適切なのはどれか。
- 公認心理師
- 作業療法士
- 理学療法士
- 精神保健福祉士
▶午後111
Aさんのうつ症状は改善し、多職種で退院に向けた話し合いを始めた。会社の休職制度を利用し休んでいるAさんは、「薬が効いたので、今後も薬を飲み続けることが大切だと思っている。異動したばかりなので仕事に早く戻らなければと思うが、休職してからずっと入院しているので、すぐに働ける自信がない」と看護師に話した。
退院に向けてAさんが利用する社会資源で適切なのはどれか。
- 就労継続支援
- リワーク支援
- 障害者社会適応訓練事業
- ジョブコーチによる支援
▶次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
Aさん(65歳、女性、要支援1)は1人暮らし。慢性心不全で定期的に外来受診していた。下肢の浮腫と息切れを自覚し、心不全の増悪があると診断されて入院となった。入院治療によって、両下肢に軽度の浮腫はあるが歩行による息切れは消失し、退院することになった。Aさんは退院後の生活について「近くのスーパーに歩いて買い物に行くのが楽しみですが、息切れが心配です。何に気をつけたらよいですか」と病棟看護師に話した。
▶午後112
買い物についてAさんに助言する内容で最も適切なのはどれか。
- 宅配サービスを利用する。
- 移動には車椅子を利用する。
- 荷物は両手に分散して持つ。
- 途中で息切れを感じたら座って休む。
▶午後113
退院後、心不全の増悪を予防する目的で訪問看護を週に1回利用することになった。Aさんは夕方に下肢の浮腫が悪化するのを気にしており、訪問看護師に助言を求めた。
訪問看護師のAさんへの助言で適切なのはどれか。
- 「靴は大きめのサイズを選びましょう」
- 「外出時は弾性ストッキングを履きましょう」
- 「下肢の中枢から末梢にマッサージしましょう」
- 「就寝時には湯たんぽを身体から2、3cm離して置きましょう」
▶午後114
退院後3週、Aさんの浮腫は改善し心不全の増悪もなかった。Aさんは「同年代の人との交流を広げたいと思っています。利用できるサービスはありますか」と訪問看護師に質問した。
訪問看護師が地域包括支援センターに相談してAさんに提案する社会資源はどれか。
- 高齢者サロン
- 療養通所介護
- 通所リハビリテーション
- 共同生活援助〈グループホーム〉
▶次の文を読み115〜117の問いに答えよ。
午前9時頃、震度5強の地震が発生した。二次救急医療機関の救命救急病棟に勤務する看護師は、自身の身の安全を確保し、揺れが収まると病院の災害発生時のマニュアルに沿って行動を開始した。病棟には人工呼吸器を使用中の患者が1人、輸液ポンプを使用中の患者が3人、酸素療法中の患者3人が入院している。
▶午後115
この時点の看護師の対応として適切なのはどれか。2つ選べ。
- 被災状況の報告
- 入院患者の避難誘導
- 傷病者の受け入れ準備
- 入院患者の状態の把握
- 使用中の医療機器の作動状況の確認
▶午後116
発災から3時間後、地震後に発生した火災現場付近から救出されたA君(6歳)と母親のBさん(32歳)の2人が搬送されてきた。A君は避難時に転倒し、左肘関節付近の腫脹と疼痛を訴えていた。バイタルサインに異常はない。Bさんは避難する際にA君が煙に巻き込まれそうになるところをかばい、髪の一部と鼻毛の一部が焦げていた。右頰部に2cm×2cm、右上肢に5cm×10cm の紅斑と水疱を認める熱傷を負っていた。バイタルサインに異常はないが、熱傷部位の疼痛を訴えていた。
トリアージの結果、看護師の初期対応として優先されるのはどれか。
- A君の既往歴の聴取
- A君への鎮痛薬の準備
- Bさんの気道確保の準備
- Bさんの熱傷部位の冷却
▶午後117
A君とBさんはともに入院して治療が始まった。発災から10日後、A君、Bさんの治療経過は良好で合併症もなくバイタルサインは安定していた。Bさんから看護師に「Aは好きなお菓子を食べず、私のそばからずっと離れず甘えてきます。昨夜はおねしょをしていたようで、びっくりしました。どうしたらよいのかわかりません」と相談があった。
看護師の対応として適切なのはどれか。
- 「お母さんがしっかりしましょう」
- 「A君が1人になる時間をつくりましょう」
- 「A君に水分を控えるよう声をかけましょう」
- 「A君が甘えてきたら抱きしめてあげましょう」
▶次の文を読み118、119の問いに答えよ。
A君(男児)は3歳の誕生日を迎えた。生後8か月のときに鶏卵の摂取でアナフィラキシーを起こしたため、かかりつけ医を受診した。それ以降、現在までA君は鶏卵の摂取を禁止するよう説明されている。鶏卵以外の食物は摂取して問題がない。今回、A君は保育所の入所にあたり、かかりつけ医からアレルギー外来のあるB病院を紹介され受診した。3歳児健康診査が今後予定されている。A君は身長95cm(50パーセンタイル)、体重15kg(75パーセンタイル)、自分の名前と年齢を答えることができる。階段を1人で昇ることができるが、スキップはできない。排泄はオムツにしている。
▶午後118
A君の発育と発達のアセスメントで正しいのはどれか。
- 肥満である。
- 言語発達に遅れがある。
- 排泄の自立に遅れがある。
- 運動発達は年齢相応である。
▶午後119
B病院の医師から母親に、アドレナリン自己注射薬を処方のうえ鶏卵の摂取制限を継続することと、近日中に鶏卵を用いた食物経口負荷試験を計画することが説明された。母親から看護師に「Aの保育所での生活や将来のことが心配です」と訴えがあった。
看護師の母親への説明で適切なのはどれか。
- 「成長とともに卵を食べられるようになる子どもは多いです」
- 「保育所でアレルギー疾患用生活管理指導表を作成します」
- 「保育所でのアドレナリン自己注射薬は保護者が投与します」
- 「給食の際は別室に移動して食べさせましょう」
▶次の文を読み120の問いに答えよ。
Aちゃん(6か月、女児)は両親と3人暮らし。母親と小児科外来に来院した。母親は「Aは昨日高さ30cmのソファから転落して泣いていました。今朝になっても痛いのか右手を動かさないので受診しました」と看護師に話した。看護師が身体計測のためAちゃんの服を脱がせると、顔面、頭部と体幹に最近できた紫斑と、生じてから時間が経った紫斑が複数あった。さらに、両足に多数の円形の熱傷痕があった。Aちゃんは身長66.5cm(50パーセンタイル)、体重6.0kg(3パーセンタイル未満)であった。母親は看護師に「Aは毎晩夜泣きをするし、夫もAにはイライラさせられています」と話した。看護師は虐待の可能性があると考えて対応することとし、母子分離を図ることとなった。
▶午後120
このときの看護師の対応で適切なのはどれか。
- 虐待にあたることを伝える。
- 乳児期に起こりやすい事故について説明する。
- 児童相談所に通告することへの母親の同意を得る。
- プライバシーを保護できる個室で話を聞くと伝える。
- 母親の代わりに父親がAちゃんに面会できると伝える。
資料 厚生労働省「第108回保健師国家試験、第105回助産師国家試験、第111回看護師国家試験の問題および正答について」
注 当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。
▼第111回看護師国家試験
テーマ別
必修問題まとめ
①国民衛生の動向対応/②看護の倫理・対象/③人体の構造と機能・健康障害・薬物/④看護技術
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第113回/第112回/第111回/第110回/第109回/第108回/第107回/第106回/第105回/第104回/第103回/第102回
令和4年2月13日(日)に実施された第111回看護師国家試験について、午後問題のうち必修問題の正答と解説を示します。
「国民衛生の動向2024/2025」で内容を解説している問題に関しては、その参照章・ページを示しているので、同書を併用しながらの利用をおすすめします。
▼第111回看護師国家試験
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①国民衛生の動向対応/②看護の倫理・対象/③人体の構造と機能・健康障害・薬物/④看護技術
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午後 必修問題
令和5年(2023年)推計による日本の将来推計人口で令和52年(2070年)の将来推計人口に最も近いのはどれか。
- 6,700万人
- 8,700万人
- 1億700万人
- 1億2,700万人
生活習慣病の三次予防はどれか。
- 健康診断
- 早期治療
- 体力づくり
- 社会復帰のためのリハビリテーション
職業性疾病のうち情報機器〈VDT〉作業による健康障害はどれか。
- じん肺
- 視力障害
- 振動障害
- 皮膚障害
介護保険における被保険者の要支援状態に関する保険給付はどれか。
- 医療給付
- 介護給付
- 年金給付
- 予防給付
看護師免許を付与するのはどれか。
- 保健所長
- 厚生労働大臣
- 都道府県知事
- 文部科学大臣
フィンク, S. L.の危機モデルで第2段階はどれか。
- 衝撃
- 承認
- 適応
- 防御的退行
次の時期のうち基礎代謝量が最も多いのはどれか。
- 青年期
- 壮年期
- 向老期
- 老年期
世界保健機関〈WHO〉が平成12年(2000年)に提唱した「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」はどれか。
- 健康寿命
- 健康余命
- 平均寿命
- 平均余命
指定訪問看護ステーションには常勤換算で( )人以上の看護職員を配置することが定められている。
( )に入るのはどれか。
- 1.0
- 1.5
- 2.0
- 2.5
左心室から全身に血液を送り出す血管はどれか。
- 大静脈
- 大動脈
- 肺静脈
- 肺動脈
内分泌器官はどれか。
- 乳腺
- 涙腺
- 甲状腺
- 唾液腺
呼吸中枢があるのはどれか。
- 間脳
- 小脳
- 大脳
- 脳幹
細菌感染で起こるショックはどれか。
- 心原性ショック
- 敗血症性ショック
- アナフィラキシーショック
- 循環血液量減少性ショック
低体温から回復するための生体の反応はどれか。
- 発汗
- ふるえ
- 乳酸の蓄積
- 体表面への血流増加
貧血の定義で正しいのはどれか。
- 血圧が低下すること
- 脈拍が速くなること
- 立ち上がると失神を起こすこと
- ヘモグロビン濃度が減少していること
全身性けいれん発作を起こしている患者に最も優先して行うのはどれか。
- 気道確保
- 周囲の環境整備
- 末梢静脈路の確保
- 心電図モニターの装着
左心不全でみられる症状はどれか。
- 肝腫大
- 下腿浮腫
- 起坐呼吸
- 頸静脈怒張
大腸の狭窄による便秘はどれか。
- 器質性便秘
- 痙攣型便秘
- 弛緩型便秘
- 直腸性便秘
左片麻痺患者の上衣の交換で適切なのはどれか。
- 左腕から脱がせ、左腕から着せる。
- 左腕から脱がせ、右腕から着せる。
- 右腕から脱がせ、左腕から着せる。
- 右腕から脱がせ、右腕から着せる。
転倒・転落を起こすリスクを高める薬はどれか。
- 降圧薬
- 抗凝固薬
- 気管支拡張薬
- 副腎皮質ステロイド薬
注射針の刺入角度が45〜90度の注射法はどれか。
- 皮下注射
- 皮内注射
- 筋肉内注射
- 静脈内注射
点滴静脈内注射で輸液ポンプを使用する際に設定する項目はどれか。
- 薬剤名
- 終了時間
- 投与月日
- 1時間あたりの流量
褥瘡の深達度分類で水疱形成のステージはどれか。
- Ⅰ
- Ⅱ
- Ⅲ
- Ⅳ
最も高い照度を必要とするのはどれか。
- 病室
- 手術野
- トイレ
- 病棟の廊下
資料 厚生労働省「第108回保健師国家試験、第105回助産師国家試験、第111回看護師国家試験の問題および正答について」
注 当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。
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①国民衛生の動向対応/②看護の倫理・対象/③人体の構造と機能・健康障害・薬物/④看護技術
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第113回/第112回/第111回/第110回/第109回/第108回/第107回/第106回/第105回/第104回/第103回/第102回
令和4年2月13日(日)に実施された第111回看護師国家試験について、午前問題のうち必修問題の正答と解説を示します。
「国民衛生の動向2024/2025」で内容を解説している問題に関しては、その参照章・ページを示しているので、同書を併用しながらの利用をおすすめします。
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午前 必修問題
日本の令和5年(2023年)の死亡数に近いのはどれか。
- 118万人
- 138万人
- 158万人
- 178万人
シックハウス症候群に関係する物質はどれか。
- アスベスト
- ダイオキシン類
- 放射性セシウム
- ホルムアルデヒド
後期高齢者医療制度の被保険者は、区域内に住居を有する( )歳以上の者、および65歳以上( )歳未満であって、政令で定める程度の障害の状態にあるとして後期高齢者医療広域連合の認定を受けた者である。
( )に入るのはどれか。
- 70
- 75
- 80
- 85
患者の選択権の行使を最も促進するのはどれか。
- 父権主義
- 医師の裁量権
- コンプライアンス
- インフォームド・コンセント
マズロー, A. H.の基本的欲求の階層で社会的欲求はどれか。
- 安全の欲求
- 帰属の欲求
- 自己実現の欲求
- 睡眠の欲求
胎児循環で胎児から胎盤に血液を送るのはどれか。
- 総頸動脈
- 肺動脈
- 臍動脈
- 臍静脈
学童期の脈拍数の基準値はどれか。
- 50〜70/分
- 80〜100/分
- 110〜130/分
- 140〜160/分
日本の女性における平均閉経年齢に最も近いのはどれか。
- 30歳
- 40歳
- 50歳
- 60歳
令和4年(2022年)の国民生活基礎調査で次の世帯構造のうち最も少ないのはどれか。
- 単独世帯
- 三世代世帯
- 夫婦のみの世帯
- 夫婦と未婚の子のみの世帯
右大腿骨前面を図に示す。

大腿骨頸部はどれか。
- ①
- ②
- ③
- ④
有害物質を無毒化し排泄する臓器はどれか。
- 胃
- 肝臓
- 膵臓
- 大腸
黄疸のある成人患者にみられる随伴症状はどれか。
- 動悸
- 難聴
- 関節痛
- 搔痒感
左前胸部から頸部や左上肢への放散痛が生じる疾患はどれか。
- 胃潰瘍
- 狭心症
- 胆石症
- 尿管結石症
成人女性の赤血球数の基準値はどれか。
- 150〜250万/μL
- 350〜450万/μL
- 550〜650万/μL
- 750〜850万/μL
Open-ended question〈開かれた質問〉はどれか。
- 「頭は痛みませんか」
- 「昨夜は眠れましたか」
- 「気分は悪くありませんか」
- 「自宅ではどのように過ごしていましたか」
深部体温に最も近いのはどれか。
- 腋窩温
- 口腔温
- 鼓膜温
- 直腸温
呼吸パターンを図に示す。

Cheyne-Stokes〈チェーン-ストークス〉呼吸はどれか。
- ①
- ②
- ③
- ④
高齢者の義歯の取り扱い方法で正しいのはどれか。
- 就寝時に外す。
- 熱湯で洗浄する。
- 保管時は乾燥させる。
- 総義歯は奥歯を起点に外す。
使用後の注射針を廃棄する容器のバイオハザードマークの色はどれか。
- 赤
- 黄
- 黒
- 橙
成人の静脈血採血で適切なのはどれか。
- 採血部位から2、3cm中枢側に駆血帯を巻く。
- 血管の走行に合わせ60度の角度で刺入する。
- 採血後は刺入部位を圧迫しながら抜針する。
- 刺入部位は5分以上圧迫し、止血する。
1回の気管内吸引を30秒以上実施した場合に生じるのはどれか。
- 嘔吐
- 感染
- 低酸素血症
- 気道粘膜の損傷
上腕出血時の間接圧迫止血の部位はどれか。
- 腋窩動脈
- 尺骨動脈
- 大腿動脈
- 橈骨動脈
成人に対する一次救命処置(BLS)において、胸骨圧迫と人工呼吸の回数比は( ):2である。
( )に入るのはどれか。
- 5
- 10
- 30
- 50
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉において、結核が分類されるのはどれか。
- 一類
- 二類
- 三類
- 四類
- 五類
資料 厚生労働省「第108回保健師国家試験、第105回助産師国家試験、第111回看護師国家試験の問題および正答について」
注 当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。
▼第111回看護師国家試験
令和4年2月13日(日)に実施された第111回看護師国家試験について、午前問題のうち状況設定問題の正答と解説を示します。
「国民衛生の動向2024/2025」と合わせてご活用ください。
▼第111回看護師国家試験
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厚生の指標増刊
発売日:2024.8.27 定価:2,970円(税込) 412頁・B5判 雑誌コード:03854-08
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必修問題まとめ
①国民衛生の動向対応/②看護の倫理・対象/③人体の構造と機能・健康障害・薬物/④看護技術
年次別
第113回/第112回/第111回/第110回/第109回/第108回/第107回/第106回/第105回/第104回/第103回/第102回
午前 状況設定問題
▶次の文を読み91〜93の問いに答えよ。
Aさん(60歳、男性、会社員)は息子2人が独立して遠方で暮らしており、2年前に妻と死別して以来、1人暮らし。直腸癌と診断され、腹会陰式直腸切断術、人工肛門造設術を行うと外来で説明を受けた。Aさんは看護師に対して「人工肛門を作ると聞いています。便が出てくる場所がどこなのかよくわからなくてイメージできない」と話した。
▶午前91
人体の前面と背面を図に示す。

Aさんの人工肛門が造設される位置はどれか。
- ①
- ②
- ③
- ④
▶午前92
Aさんの手術は予定通り終了した。
術後1日、会陰部から挿入されたドレーンからは、淡血性の排液が10mL/時で流出していた。バイタルサインが安定していることを確認した後、Fowler〈ファウラー〉位にして15分が経過したところで、Aさんからナースコールがあった。看護師が訪室すると「おしりが濡れているような気がする」と言う。確認すると、会陰部のガーゼに淡血性の浸出液を認めた。
Aさんへの対応で最も優先度が高いのはどれか。
- Fowler〈ファウラー〉位から仰臥位にする。
- ドレーンの屈曲を確認する。
- 排液バッグを交換する。
- 会陰部を消毒する。
▶午前93
術後10日、Aさんは退院日が決まり、「落ち着いたら仕事に復帰します。1人暮らしなので、自分で人工肛門を管理しないといけないですね」と述べた。
Aさんの退院に際し、人工肛門の管理に関する看護師の指導で正しいのはどれか。
- 「面板は1日2回交換してください」
- 「装具の交換は滅菌手袋を使用してください」
- 「面板除去部の皮膚はお湯で洗浄してください」
- 「定期的に人工肛門の大きさを確認してください」
▶次の文を読み94〜96の問いに答えよ。
Aさん(50歳、男性、会社員)は妻と高校生の息子との3人暮らし。仕事を生きがいに働き続けていた。慢性腎不全のため透析治療が必要になったが、本人の希望で連続携行式腹膜灌流法〈CAPD〉を導入することになり入院した。Aさんはこれからの生活がどのようになるのかを看護師に質問した。
▶午前94
Aさんに対する説明として正しいのはどれか。
- 「食事療法が必要です」
- 「通院は週に2、3回必要です」
- 「宿泊を伴う旅行はできません」
- 「カテーテル挿入術後の翌日から入浴できます」
▶午前95
Aさんはできるだけ早い職場復帰を望んでおり、入院中はCAPDの操作に熱心に取り組んでいた。退院後、CAPDを1日4回(0時、4時、12時、18時)行うことになった。
Aさんが会社の昼休みにCAPDを行うために必要な設備はどれか。2つ選べ。
- 透析液を保管する冷蔵庫
- 透析液を温める電子レンジ
- 透析液の交換時に使用する個室
- CAPDの物品を保管する専用棚
- 透析液の貯留中に使用するベッド
▶午前96
Aさんは「主治医からCAPDの合併症に腹膜炎があると聞きました。腹膜炎に早く気付くにはどうすればよいですか」と看護師に質問した。
Aさんに指導する観察項目はどれか。2つ選べ。
- 腹痛
- 体重の増加
- 腹部の張り
- 下肢のむくみ
- 透析液の排液のにごり
▶次の文を読み97〜99の問いに答えよ。
Aさん(70歳、女性)は1人暮らし。夫とは1年前に死別した。近くの診療所で高血圧症と心不全と診断され、内服治療をしていた。月1回は診療所で内服薬の処方と食事指導や体重測定などの生活指導を受けていたが、時々薬を飲んだことを忘れてしまうことがあった。日常生活は自立しており、認知機能は問題ない。週2日、事務職のパートとして働いており、電車を使って通勤していた。息子(42歳)と娘(37歳)は仕事のため遠方に住んでいる。1か月前からAさんは家事や外出するときに軽い息切れを感じるようになり、2、3日前からは咳と痰が出るようになった。両足のむくみが出てきたため、診療所から自宅近くの病院を紹介され外来受診した。
身体所見:意識は清明。身長159cm、体重61.3kg。体温37.1℃、呼吸数21/分、脈拍95/分、不整、血圧164/96mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉92%(room air)。
両下肢に軽度の浮腫を認めた。
▶午前97
外来看護師がAさんに対して優先して確認するのはどれか。
- 通院の方法
- 最近の体重の増減
- パートの仕事内容
- 自宅での1日の過ごし方
▶午前98
診察の結果、Aさんは心不全の悪化を認めたため入院することになり、個室を希望した。入院後、酸素マスクによる酸素療法や利尿薬による薬物療法、塩分制限などの食事療法が開始された。入院3日、夜勤の看護師から日勤の看護師への朝の申し送りで、昨晩のAさんは夜間全く眠っていないこと、「ここはどこですか」と繰り返し尋ねてきたこと、娘が学校から帰ってくるのを待っていると言って病室の入り口を気にしていたことが報告された。日勤の看護師は、Aさんの睡眠状況を改善する必要があると考え、Aさんへの対応について検討した。
看護師のAさんへの対応で適切なのはどれか。
- 終日、病室を明るくする。
- 日中眠っていたら覚醒を促す。
- 睡眠導入薬の使用を医師に相談する。
- 夜間覚醒している場合は、夜は眠るよう説得する。
▶午前99
入院後10日。入院治療により全身状態は改善し、夜間の睡眠もとれるようになったため、Aさんは退院することになった。Aさんは「入院していて体力が落ちてしまい、動くと疲れてしまう」と言っている。また、看護師に「医師から退院したら元の仕事はしてよいといわれました。これまでの生活を続けたいと思っています。また入院するのは嫌なので、今後の生活で気をつけることはありますか」と尋ねてきた。
このときの看護師の対応で適切なのはどれか。
- 「薬の管理はお薬カレンダーを使いましょう」
- 「通勤するときに駅の階段を使いましょう」
- 「水分は1日2,000mL摂りましょう」
- 「塩分を1日9g摂りましょう」
▶次の文を読み100〜102の問いに答えよ。
Aちゃん(生後24日、女児)は両親と3人暮らし。母親が母子健康手帳の便色カードを見て、Aちゃんの便色が気になったため、Aちゃんを連れて近所の小児科医院を受診した。Aちゃんは在胎39週、出生体重3,100g、出生時に異常はない。
現在、混合栄養で体重は3,700gである。体温37.2℃、呼吸数36/分、心拍数108/分、整、血圧78/44mmHg。眼球結膜に黄染を認める。
血液検査結果:Hb12.6g/dL、白血球7,800/μL、血小板21万/μL、プロトロンビン時間〈PT〉88%、総ビリルビン11.3mg/dL、直接ビリルビン9.5mg/dL、AST96U/L、ALT126U/L。
紹介先の病院で腹部超音波検査を実施した結果、Aちゃんは胆道閉鎖症の疑いがあり入院した。
▶午前100
Aちゃんの便として考えられるのはどれか。
- 褐色便
- 灰白色便
- タール便
- イチゴゼリー様便
▶午前101
Aちゃんは入院日に術中胆道造影検査で胆道閉鎖症と確定診断された。手術は無事に終了した。術後は絶食となり、腹腔ドレーンが挿入され、持続的点滴静脈内注射が行われている。母親は疾患や治療について理解している。術後3日、付き添っていた母親は看護師に「Aはおなかが空いて泣き止まないし、私はAを抱っこもできず、何もしてあげられません。つらいです」と涙を浮かべて話した。
看護師の母親への対応で、最も適切なのはどれか。
- 話しかけやおしゃぶりの活用など母親ができることを伝える。
- 早期発見だったのでAちゃんは早く退院できると説明する。
- 心療内科の受診を勧める。
- 患者家族会を紹介する。
▶午前102
術後5日、Aちゃんは経口摂取が可能になり順調に経過している。医師から母親に、胆汁の排泄を促すために利胆薬の内服が重要であると説明があり、散剤が処方された。母親から看護師に「赤ちゃんに粉の薬をどうやって飲ませたらよいのでしょうか」と質問があった。看護師は散剤を( )に混ぜて飲ませることを説明した。
( )に入るのはどれか。
- 果汁
- 白湯
- 人工乳
- はちみつ
▶次の文を読み103〜105の問いに答えよ。
Aさん(30歳、初産婦)はX年2月5日に妊婦健康診査のために来院した。X年2月のカレンダーにAさんの受診日と分娩予定日を示す。

▶午前103
看護師は、医師からAさんの母子健康手帳に受診時の妊娠週数と日数を記入するよう依頼された。
Aさんの受診時の妊娠週数および日数で正しいのはどれか。
- 妊娠35週5日
- 妊娠35週6日
- 妊娠36週5日
- 妊娠36週6日
▶午前104
AさんにLeopold〈レオポルド〉触診法で触診を行ったところ、第2胎向で、子宮底付近にやや柔らかい球状の塊を、恥骨結合側に硬い球状のものを触れた。
腹部前面を図に示す。

Aさんの胎児心音聴取部位で適切なのはどれか。
- ①
- ②
- ③
- ④
▶午前105
Aさんは「自分の子どもが生まれて、どんなふうにあやすかな、とか、オムツを替えるかなと自分が子育てをしている場面を思い浮かべます」と笑顔で話している。看護師はAさんの様子をルービン,R.が示した母親役割獲得過程に当てはめてどの段階にあるかをアセスメントした。
Aさんのアセスメントで適切なのはどれか。
- 空想
- 模倣
- 取り込み
- ロールプレイ
▶次の文を読み106〜108の問いに答えよ。
Aさん(34歳、初産婦)は順調な妊娠経過であった。妊娠40週5日の午前8時、10分毎の規則的な子宮収縮を主訴に来院し、医師の診察の結果、入院となった。入院時の胎児心拍数基線は130bpm、胎児の推定体重は3,300gであった。
▶午前106
入院時のAさんと胎児の状態で正しいのはどれか。
- 過期産である。
- 高年妊婦である。
- 胎児心拍数基線は正常である。
- 低出生体重児となる可能性が高い。
▶午前107
午後0時、助産師が内診したところ、子宮口開大4cmであった。Aさんは陣痛発作時に腰痛を強く訴えている。Aさんの夫(37歳)は、夫婦で出産体験を共有したいと両親学級を受講しており、入院時からAさんに付き添っている。夫はAさんの陣痛発作時、心配そうにAさんの様子を見つめているが、陣痛間欠時にはうとうとしている。訪室した看護師に、夫から「妻が痛がっているのですが、どうすればよいでしょう」と質問があった。胎児心拍数基線は140bpmであった。
このときの看護師の夫への対応で最も適切なのはどれか。
- 別室での休憩を促す。
- 分娩経過について説明する。
- Aさんと病棟内を歩行するように促す。
- 産痛を緩和するためのマッサージの実施を促す。
▶午前108
Aさんの分娩は順調に進行した。午後5時に破水し、午後6時には子宮口開大8cmとなった。「便が出そうです。もう、これ以上頑張れない」と陣痛発作時には全身に力が入っている。
このときの看護師の声かけで正しいのはどれか。
- 「リラックスするためにお風呂に入りましょう」
- 「赤ちゃんのために我慢しましょう」
- 「トイレに行って排便しましょう」
- 「息を吐いて力を抜きましょう」
▶次の文を読み109〜111の問いに答えよ。
Aさん(68歳、男性、自営業)は、妻(73歳)と2人暮らし。Aさんの就寝時刻は21時で、入眠後90分以上が経過した睡眠中に、大声で叫び、腕や足を振り回し暴れる行動が繰り返しみられたが、昼寝では夜間のような行動はみられない。日中、台所で子どもが遊んでいると言い、妻が台所を確認しても誰もいないことが何度かあった。心配になった妻がAさんとともに病院を受診し、Lewy〈レビー〉小体型認知症と診断された。
▶午前109
Aさんに出現している睡眠障害はどれか。
- ナルコレプシー
- レム睡眠行動障害
- 睡眠時無呼吸症候群
- 睡眠・覚醒スケジュール障害
▶午前110
Aさんは定期的に精神科外来を受診することになった。受診6か月後、Aさんは足の筋肉がこわばり、動きが鈍くなった。また、幻視を訴える頻度が増え、感情のコントロールができず、妻に暴言や暴力を振るうことが多くなったため、精神科病院に入院となった。入院2日、Aさんは歩行時に床に子どもが寝転んでいると訴えて、子どもをよける動作で転びそうになった。また、突然、興奮して大声で怒り出すため、同室患者が苦情を訴えた。
Aさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
- Aさんに別の病室へ移動することを提案する。
- 歩行時は看護師と一緒に歩くように声をかける。
- 怒りをコントロールできる方法を見つけるように伝える。
- 床に子どもがいるように見えるのは幻視であることを説明する。
▶午前111
Aさんの入院中に妻は自営業の仕事を減らし、自宅でAさんを介護する準備を整えた。Aさんが退院し、3か月が経過したころ、Aさんの妻が3週間程度の予定で入院して手術をすることになった。Aさんは杖を使用し散歩ができるが、入浴や食事については妻が介護を行っていた。
妻の入院中にAさんに必要なサービスはどれか。
- 短期入所〈ショートステイ〉
- 精神科病院への入院
- 重度訪問介護
- 同行援護
▶次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
Aさん(23歳、女性)は大学を卒業後、会社に就職して1人暮らしを始めた。入社後に「会社の制服が似合うようになりたい」とダイエットを始め、次第にるいそうが目立つようになった。「太るのが怖い」と言って食事を拒否するようになり、体重は1年間で10kg減少した。しかし、本人は「まだ太っているから、痩せないといけない」と話していた。久しぶりにAさんと会った母親が、過度のるいそうを心配して、内科受診を勧めた。内科ではるいそう以外に大きな異常を認めず、精神科受診を勧められた。精神科では神経性無食欲症と診断され、外来通院を開始した。その後、低血糖によるふらつきのため職場で頻回に転倒するようになった。それでも食事を十分に摂らないため、精神科病棟へ入院した。入院時、身長166cm、体重36kgであった。入院後、食事のほかに点滴による栄養補給が始まった。
▶午前112
治療開始早期に看護師が最も注意すべき観察項目はどれか。
- 脱毛
- 浮腫
- 抑うつ
- 嚥下障害
▶午前113
入院後2週が経過した。食事のときにAさんは食べ物を細かく刻み、1時間以上時間をかけるが、摂取量は全体の25%程度である。時間があるとベッド上でいつもストレッチを行っている。Aさんと話し合ったところ「私はこの病棟で太っているほうだから少しでも痩せなきゃ」と話した。
看護師の関わりとして適切なのはどれか。
- 体重測定の回数を増やす。
- 鏡でAさんの全身を映して見せる。
- 痩せたいと思う気持ちについて話し合う。
- Aさんは他の患者よりも痩せていると伝える。
▶午前114
入院後3か月が経過した。Aさんは体重が41kgまで増加し、主治医と相談して、退院の準備をすることになった。看護師に対して、Aさんは「退院後はすぐに仕事をしたい」と話したが、母親は「ゆっくり自宅で休養してほしい」と話した。母親の面会時に、今後の仕事や生活に関する話題が出ると、Aさんはイライラして母親と口論になることが多くなった。父親は仕事が忙しいことを理由に、面会に来たのは一度のみであった。
今後導入する必要性が最も高いのはどれか。
- 家族療法
- 作業療法
- 自律訓練法
- 精神分析療法
▶次の文を読み115〜117の問いに答えよ。
Aさん(73歳、女性)は夫(73歳)と2人暮らし。6年前にParkinson〈パーキンソン〉病と診断され、レボドパ〈L-dopa〉を1日3回内服している。Hoehn-Yahr〈ホーエン・ヤール〉重症度分類のステージⅢ、要介護1である。夫が付き添い神経内科外来に月1回、杖歩行で通院している。外来受診のとき、Aさんは足がすくんで転びやすくなったことを主治医に相談し、レボドパ〈L-dopa〉を1日4回に増量して様子を見ることになった。Aさんと夫は薬の副作用〈有害事象〉について外来看護師に尋ねた。
▶午前115
外来看護師がAさんと夫に説明する副作用〈有害事象〉の内容で正しいのはどれか。
- 低血糖
- 体重増加
- 呼吸器症状
- 不随意運動
▶午前116
1か月後の外来受診のときに、Aさんは「いつもと違う時間に入浴したら転んでしまった。怪我をしなくてよかった」と主治医に話した。主治医から勧められ、Aさんは訪問看護を週に1回利用することになった。
今後Aさんが安全な入浴をするために訪問看護師がアセスメントする内容で最も優先するのはどれか。
- 浴室の床の素材
- 居室から浴室までの距離
- 転倒による打撲痕の状態
- 日常生活動作〈ADL〉の日内変動
▶午前117
3か月後、Aさんは「夫は家事を楽しんでいるようで助かっていますが、友人と外出したいと言っています。私も最近は転ぶこともなくなったので、身体を動かしたり、レクリエーションに参加してみたいです」と訪問看護師に話した。
訪問看護師がAさんに提案するサービスで最も適切なのはどれか。
- 通所介護
- 訪問介護
- 訪問入浴介護
- 短期入所生活介護
▶次の文を読み118〜120の問いに答えよ。
Aさん(28歳、女性、外国籍)は3年前に日本人の夫と結婚し来日した。簡単な日本語を話せたため、来日した半年後からコンビニエンスストアでアルバイトを始めた。最近になり、夫は仕事で帰りが遅くなることが多くなった。Aさんが「お客さんが自分の悪口を言っている」と話したが、夫は気にしなかった。その後、アルバイト先の上司から「Aさんが奇声を発している」「ぶつぶつと独り言を言って歩き回っている」と夫に連絡があった。夫が病院に付添い精神科外来を受診し、統合失調症と診断されて入院となった。入院時、Aさんの髪は乱れ、誰かに見張られている気がすると怯えていた。
▶午前118
入院当日に看護師が行う情報収集で最も優先するのはどれか。
- 症状が日常生活に与える影響
- アルバイト先の人間関係
- 医療用語の理解力
- 精神疾患の家族歴
▶午前119
入院後、担当看護師は毎日面会に来ている夫の表情が気になり声をかけた。夫は「先生から統合失調症には様々な症状があるとお聞きしました。入院して妻は落ちつきましたが、これからどう接していけばいいのか悩んでいます」と話した。担当看護師はチームカンファレンスで夫の様子を伝え、主治医の判断で、夫に家族心理教育への参加を促すことになった。
担当看護師が夫に家族心理教育を勧める声かけで適切なのはどれか。
- 「Aさんの症状と対応について学ぶことができます」
- 「ご家族に参加して頂くことが退院の条件です」
- 「家族同士の自助グループです」
- 「匿名で参加できます」
▶午前120
入院後2か月が経過した。Aさんは独り言を言うことはあったが、他の入院患者と口論になることはなかった。作業療法士から「Aさんは手先が器用で、作業療法中は楽しそうに過ごしています」と情報を得た。退院に向けた担当看護師との面談で、Aさんは「手芸が楽しかった」「家に1人でいると寂しい」と話した。
退院に向けてAさんに提案する社会資源として適切なのはどれか。
- 共同生活援助〈グループホーム〉
- 短期入所〈ショートステイ〉
- 通訳のボランティア
- 精神科デイケア
資料 厚生労働省「第108回保健師国家試験、第105回助産師国家試験、第111回看護師国家試験の問題および正答について」
注 当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。
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①国民衛生の動向対応/②看護の倫理・対象/③人体の構造と機能・健康障害・薬物/④看護技術
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第113回/第112回/第111回/第110回/第109回/第108回/第107回/第106回/第105回/第104回/第103回/第102回
令和5年2月12日(日)に実施された第112回看護師国家試験について、午後問題のうち状況設定問題の正答と解説を示します。
「国民衛生の動向2024/2025」と合わせてご活用ください。
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必修問題まとめ
①国民衛生の動向対応/②看護の倫理・対象/③人体の構造と機能・健康障害・薬物/④看護技術
年次別
第113回/第112回/第111回/第110回/第109回/第108回/第107回/第106回/第105回/第104回/第103回/第102回
午後 状況設定問題
▶次の文を読み91〜93の問いに答えよ。
Aさん(61歳、男性、会社員)はデスクワーク中心の仕事をしている。今朝、職場へ出勤したが、自分の机の位置や同僚の名前が分からない等の見当識障害があり、同僚に付き添われ救急外来を受診した。頭痛、嘔吐、めまいはない。
現病歴:4年前に2型糖尿病と診断され、経口糖尿病薬が開始された。1年前から受診を自己判断で中断している。
身体所見:身長170cm、体重100kg。体温38.6℃、呼吸数22/分、脈拍112/分、整、血圧108/64mmHg。対光反射(+)、瞳孔不同(-)。歩行可能。右第1趾に発赤、腫脹、異臭がある。
検査所見:白血球19,200/μL、血糖904mg/dL、Na131mEq/L、K3.4mEq/L、ヘモグロビンA1c〈HbA1c〉9.2%、アンモニア49μg/dL、CRP22mg/dL。
動脈血液ガス分析pH7.32。血漿浸透圧394mOsm/L。尿ケトン体(±)。
▶午後91
Aさんの状態のアセスメントで適切なのはどれか。
- 肝性脳症
- 小脳出血
- ケトアシドーシス〈DKA〉
- 高浸透圧高血糖状態〈HHS〉
▶午後92
Aさんはインスリン療法、糖尿病足病変に対する抗菌薬治療で全身状態は改善した。退院へ向けて、看護師はAさんに食事指導をすることにした。
Aさんに勧める1日の摂取カロリーで最も適切なのはどれか。
- 1,400kcal
- 1,800kcal
- 2,200kcal
- 2,600kcal
- 3,000kcal
▶午後93
Aさんの糖尿病足病変の悪化を防ぐ目的で看護師が行う指導で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 「靴下を履きましょう」
- 「月に1回、足を観察してください」
- 「暖房器具に足を近づけないでください」
- 「足の傷は痛みが出てから受診してください」
- 「鶏眼〈うおのめ〉が出来た場合は自分で削ってください」
▶次の文を読み94〜96の問いに答えよ。
Aさん(53歳、女性)は休日に公園を散歩中、階段から落ちて頭部を強打し、意識を消失した状態で病院に救急搬送された。病院到着時のAさんは開眼せず、声は発しているが理解不能である。痛み刺激には逃れようとする動作がみられる。
▶午後94
グラスゴー・コーマ・スケール〈GCS〉によるAさんの意識レベルの評価はどれか。
- E1V1M2
- E1V2M4
- E2V2M2
- E4V5M5
▶午後95
Aさんは右側の急性硬膜外血腫と診断され、緊急開頭手術を受けることになった。術前のバイタルサインは、体温37.2℃、呼吸数14/分、脈拍74/分、整。血圧は、搬送時の134/84mmHgから174/66mmHgに上昇し、痛み刺激に対する反応が消失している。
このときのAさんの瞳孔の状態はどれか。
※設問不明確により省略。
▶午後96
開頭手術後2日、Aさんの全身状態は良好で、硬膜外ドレーンの排液も異常所見はなく経過している。看護師が訪室するとAさんは仰臥位で開眼し、「目が覚めたら病院にいて手術も終えていたので驚きました。今は気分もよいが、寝てばかりで背中が痛くなってきたので体勢を変えたい」と話す。
看護師の対応で適切なのはどれか。
- 仰臥位を保持する。
- 頭側を30度挙上する。
- 頭側を60度挙上する。
- 頭側を90度挙上する。
▶次の文を読み97〜99の問いに答えよ。
Aさん(75歳、男性)は1人暮らしで、妻とは5年前に死別し、子どもはいない。57歳のときに慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉と診断された。他に既往はない。20歳から喫煙していたが、今は禁煙している。エレベーターのないアパートの4階に住んでおり、家事動作時に息苦しさが出現することもあったが、日常生活動作〈ADL〉は自立していた。妻が亡くなってからは食事が不規則になり、インスタント食品ばかり食べていた。入浴はせず、週に1回シャワーを浴びていた。
1週前から日常生活動作〈ADL〉でも息苦しさが増強し、食欲がなく、ほとんど食事をしていなかったが、ジュースを500mL/日は飲んでいた。昨日の夕方に37.8℃の発熱があったため、本日かかりつけの病院を受診した。
受診時の身体所見:体温37.6℃、呼吸数24/分、脈拍94/分、整、血圧138/88mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉82%(room air)。動脈血液ガス分析(room air):動脈血酸素分圧〈PaO2〉45Torr、動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉58Torr。
検査所見:赤血球420万/μL、Hb10.3g/dL、白血球9,500/μL、総蛋白5.8g/dL、アルブミン3.4g/dL、空腹時血糖98mg/dL、CRP10.1mg/dL。
医師の診察の結果、Aさんは慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉の急性増悪と診断された。
▶午後97
このときのAさんの状態はどれか。
- うつ熱
- 高血圧
- 呼気の延長
- 皮膚の搔痒感
▶午後98
Aさんは入院し、抗菌薬の点滴静脈内注射と酸素投与が開始された。病棟内の歩行の許可が出て、食事も全粥食を半分程度は食べることができた。
Aさんに起こりうる症状で最も注意が必要なのはどれか。
- 貧血
- 便秘
- 高血糖
- CO2ナルコーシス
▶午後99
Aさんは順調に回復したため、退院が決まった。退院後の慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉の治療は、在宅酸素療法〈HOT〉は導入せずに薬物療法を継続することになった。Aさんは、看護師に「退院後も自宅で生活したい」と話している。近隣に家事を手伝ってくれる親戚や友人はいない。
Aさんへの退院指導の内容で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 肺炎球菌ワクチンの接種を勧める。
- 水分を制限するよう指導する。
- 糖分を制限するよう指導する。
- 配食サービスの利用を勧める。
- 毎日の散歩を勧める。
▶次の文を読み100〜102の問いに答えよ。
A君(5歳)は父親(40歳)、母親(38歳)と兄(10歳)の4人家族である。A君は生後6か月のときに白血病と診断され化学療法で寛解し、退院後は幼稚園に登園していた。4歳になって再発し、兄を骨髄ドナーとした造血幹細胞移植を受けた。
▶午後100
A君が利用できる制度はどれか。
- 自立支援医療
- 指定難病の医療費助成
- 未熟児養育医療の給付
- 小児慢性特定疾病医療費助成
▶午後101
A君の造血幹細胞移植は無事に終了したが、終了後6か月で2度目の再発をし、化学療法が行われたが寛解しなかった。医師から両親にA君が終末期にあること、余命2か月程度であることが伝えられた。両親は「2度目の再発と聞いて覚悟をしていた。延命するための治療はしなくてよいと考えています。在宅療養に切り替えてAと家で過ごしたいが、できることと、できないことを教えてほしいです」と話した。
両親への看護師の返答で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 「遊園地には行けません」
- 「幼稚園に登園できます」
- 「食べ物の制限はありません」
- 「痛みが出た場合、自宅では痛みを和らげる治療はできません」
- 「感染対策のため、お兄ちゃんとの接触をできるだけ制限してください」
▶午後102
数日後、両親から「Aが亡くなることをAの兄にどのように説明したらよいでしょうか。私たちでは、うまく説明できません」と相談があった。
看護師の両親への対応で適切なのはどれか。
- 「お兄ちゃんが病状を尋ねてくるのを待ちましょう」
- 「頑張っているA君のために、お兄ちゃんには治ると説明しましょう」
- 「看護師も同席してお兄ちゃんに説明する機会を設けることができます」
- 「ドナーになったお兄ちゃんががっかりするので説明しないでおきましょう」
▶次の文を読み103〜105の問いに答えよ。
A君(11歳)は両親と3人で暮らしている。5歳で気管支喘息と診断され、現在は抗アレルギー薬とステロイドの吸入薬が処方されている。本日、学校から帰ってきた後から咳嗽がみられ元気がなかった。夕食はあまり食べずに就寝した。夜間になり「苦しくて眠れない」と訴え、母親と救急外来を受診した。口元での喘鳴が著明であり、問診すると途切れ途切れに話した。受診時のバイタルサインは、体温36.9℃、呼吸数32/分、心拍数120/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉92%(room air)であった。
▶午後103
A君の気管支喘息の発作強度はどれか。
- 小発作
- 中発作
- 大発作
- 呼吸不全
▶午後104
救急外来で、吸入と点滴静脈内注射が行われA君の症状は軽快した。A君は、医師や看護師による問診には素直に答えているが、心配する母親には「病院に来るほどじゃないんだよ。入院はしないからな」と発言し、反抗的な態度をとっている。
このときの看護師の対応で適切なのはどれか。
- A君に発言の理由を尋ねる。
- A君ではなく母親から病状を聴取する。
- 母親への態度は問題行動であるとA君に忠告する。
- 親子関係に問題があるのではないかと母親に伝える。
▶午後105
A君は1年前から気管支喘息の急性増悪〈発作〉を起こして救急外来の受診を繰り返していることが分かった。看護師がA君に今の症状に対する認識を確認すると「喘息発作が起きていて、家で吸入をしても治まらなかった」と答えた。学校生活や服薬については「学校は好きだけど、体育は嫌だな。吸入が面倒くさい。吸入しなくても発作が起きなければいいんでしょ」と話した。看護師は、急性増悪〈発作〉を繰り返しているA君のセルフケアへの支援をする必要があると考えた。
A君への看護師の対応で最も適切なのはどれか。
- 毎日運動するよう勧める。
- お薬手帳を持ち歩くよう伝える。
- A君と服薬管理について話し合う。
- 喘息発作があったことを母親から担任の先生に伝えるよう提案する。
▶次の文を読み106〜108の問いに答えよ。
Aさん(28歳、初産婦)は妊娠38週1日、順調な経過で経腟分娩した。産後は夫が育児休業を取得し、自宅で夫と2人で子育てをする予定である。
産褥1日、バイタルサインは、体温36.7℃、脈拍70/分、整、血圧118/68mmHg、Hb12.0g/dL。子宮底は臍下2横指のところに硬く触れている。悪露は赤色で中等量、凝血の混入はない。Aさんは授乳時に後陣痛を訴えている。会陰縫合部に腫脹や発赤はなく、痛みは自制内である。尿意の自覚があり、残尿感や排尿困難感はない。
▶午後106
Aさんの産褥1日のアセスメントで正しいのはどれか。
- 貧血がある。
- 感染徴候がある。
- 正常な経過である。
- 子宮復古不全である。
▶午後107
産褥3日、Aさんの夫から「退院後は私が子どもの沐浴をします。子どもの身体の洗い方は動画で学んだのですが、沐浴のときに注意することはありますか。寒い時期なので心配です」と看護師に質問があった。
Aさんの夫への説明で適切なのはどれか。
- 「着替え用の衣類が冷たくないか、沐浴前に確認しておきましょう」
- 「10分程度お湯に浸けて赤ちゃんを温めましょう」
- 「ベビーバスには50℃のお湯を準備しましょう」
- 「沐浴する場所の室温は30℃に設定しましょう」
▶午後108
産褥5日、子宮収縮は臍恥中央、褐色悪露が少量、歩行時に会陰部痛がある。授乳は母乳のみで行っている。Aさんは「この子の世話が大変で、次の妊娠はしばらく考えられません。結婚前は経口避妊薬を服用していましたが、産後の避妊はどうしたらよいか教えてください」と看護師に話した。
Aさんへの説明で適切なのはどれか。
- 「基礎体温法が適しています」
- 「経口避妊薬は産後1か月から服用できます」
- 「性交再開時からコンドームを使用しましょう」
- 「母乳を与えている間は妊娠の心配はありません」
▶次の文を読み109〜111の問いに答えよ。
Aさん(58歳、男性)は、年金の給付を受けて生活している父親(82歳)と2人暮らしで、母親は2年前に亡くなっている。20歳のときに統合失調症と診断された。20歳代で何回か仕事に就いたが長続きはしなかった。40歳からは無職で、デイケアへ通所していた。1年前にデイケアを中断してからは、ほとんどの時間を自宅で過ごしているが、月1回の外来通院は継続している。Aさんが飲まなかった薬がたくさん残っていることを父親が発見し、主治医に相談した。この相談をきっかけに、週1回の精神科訪問看護を導入することになった。初回訪問時にAさんは「薬は飲み忘れたんです。心配かけてごめんなさい」と父親と訪問看護師に話した。
▶午後109
このときの訪問看護師の対応で優先度が高いのはどれか。
- 父親に薬の管理を依頼する。
- 薬を飲み忘れない方法を話し合う。
- 外来受診時に薬局の薬剤師に服薬指導を依頼する。
- デイケアの再開を主治医と相談するように提案する。
▶午後110
初回訪問から1か月、訪問看護師はAさんが適切に服薬できていることを確認した。Aさんは「調子はいいですね。やる気も少し出てきました。主治医は今の薬を飲み続けるのがいいと話しています。ただ、夜の薬は朝に眠気が残るので昼まで寝てしまいます」と話した。
このときの訪問看護師のAさんへの声かけで最も適切なのはどれか。
- 「朝起きられるように毎朝の日課を何か作りましょう」
- 「朝に眠気が残ることを主治医に相談してみませんか」
- 「来週は朝早く一緒に散歩へ行けるように訪問しますね」
- 「朝起こしてもらうようにお父さんにお願いしてみませんか」
▶午後111
初回訪問から6か月、Aさんの状態は安定し、デイケアへ週3回程度は通所できるようになった。一方で、父親は「Aは食事も作れないし、家のことができないので、自分が死んだ後のことを考えると1人で生きていけるのかが心配だ。どうしたらよいか」と訪問看護師に相談した。それを聞いたAさんも「父が死んだ後の生活が心配だ」と話した。
現時点でAさんと父親へ提案する社会資源で適切なのはどれか。
- 生活保護
- 地域移行支援
- グループホーム
- 障害者権利擁護センター
▶次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
Aさん(80歳、女性)は発熱があり、呼吸状態が悪いため、外来を受診し肺炎と診断され緊急入院となった。
入院時、病室でAさんは「ここはどこ」と話し混乱した様子であった。湿性の咳嗽があり、口唇の乾燥が著明である。同居の夫からの情報では、1週前から食事は摂れていたが、水分摂取量が減っていた。3日前から寝て過ごしていたが、トイレには自分で行くことができていた。身の回りのことは自立している。入院後に点滴静脈内注射1,500mL/日の指示があり、抗菌薬が開始された。
身体所見:身長152cm、体重45kg、体温38.0℃、呼吸数32/分、脈拍120/分、整、血圧107/80mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉93%(room air)。ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉Ⅰ-2。
検査所見:赤血球447万/μL、Hb12.5g/dL、白血球16,600/μL、総蛋白6.2g/dL、アルブミン4.0g/dL、血糖98mg/dL、Na151mEq/L、K4.0mEq/L、Cl97mEq/L、Ca8.7mg/dL、CRP23.0mg/dL。
▶午後112
Aさんの状態のアセスメントで適切なのはどれか。2つ選べ。
- 脱水
- 貧血
- 低栄養
- 視空間失認
- 電解質異常
▶午後113
入院当日、Aさんは日中は会話ができていたが、夕方からそわそわしながら落ち着かない様子であった。また、話のつじつまが合わず、朝と夕方を間違え急に大きな声を出し、夜中に起きだして自分の荷物を触っていることがあった。翌日、日中は眠気を訴えながらも眠ることなく静かに過ごし、夜間は焦燥があり眠れていない。
Aさんの状態はどれか。
- せん妄
- 睡眠時遊行症
- レム睡眠行動障害
- 睡眠時無呼吸症候群
▶午後114
入院2日、病棟の看護師でAさんへの援助の方針について話し合った。
Aさんへの対応で適切なのはどれか。
- 日中の離床を促すために歩行に付き添う。
- 夜間はベッドからの転落防止のために身体的拘束を行う。
- 睡眠時間の確保のために夕方に3時間の睡眠をとるように勧める。
- 症状緩和のためにベンゾジアゼピン系睡眠薬の処方を医師に依頼する。
▶次の文を読み115〜117の問いに答えよ。
Aさん(50歳、男性、自営業)は妻(48歳)、長男(23歳、会社員)と3人で暮らしている。3年前から歩行時のふらつきを自覚していたが、日常生活動作〈ADL〉は自立していた。最近、転倒が多くなり医療機関を受診して頭部CT検査を受けたところ、小脳と脳幹に萎縮を認め、遺伝性の脊髄小脳変性症と診断された。Aさんは「母も同じ疾患で亡くなりました。妹が同じ敷地内に1人で暮らしていますが、妹も転ぶことが多くなり、医師の勧めで遺伝子診断を受ける予定です。明日、保健所に難病の医療費助成の申請に行くのですが、保健師に伝えた方がよいことはありますか」と看護師に質問した。
▶午後115
Aさんから保健師に伝える内容で優先度が高いのはどれか。
- 長男の仕事内容
- Aさんの経済状況
- 母親の病状の経過
- 妹の遺伝子診断の予定
▶午後116
1か月後の定期受診のときに、Aさんは「長男に私の病名と遺伝性の疾患であることを伝えました。長男には何も症状はありませんが、発症前診断を受けて欲しいと思っています」と外来の看護師に話した。
看護師のAさんへの対応で適切なのはどれか。
- 長男が脊髄小脳変性症についてどの程度知っているか確認することを勧める。
- 長男には症状がないので発症前診断では発症の予測はできないと説明する。
- 両親の同意があれば長男が発症前診断を受けることができると説明する。
- 長男が頭部CT検査を受けることを勧める。
▶午後117
Aさんは仕事を辞め、妻が自営業を続け1年が経過した。Aさんは歩行器で室内を移動し、日中は1人で過ごしていた。転倒したことをきっかけに、訪問看護を週1回利用することになった。初回の訪問時に、Aさんは「妻が仕事を続けてくれて感謝しています。妻に迷惑はかけられない。妻が食卓に準備してくれた昼食を食べようと起き上がって歩行器に移ろうとしたら、立ちくらみを起こして転んでしまった」と訪問看護師に話した。
訪問看護師のAさんへの対応で適切なのはどれか。
- ベッド上で食事を摂るよう説明する。
- 移乗の介助を妻に依頼するよう勧める。
- 立位でのリハビリテーションを指導する。
- 室内の移動を車椅子に変更することを提案する。
▶次の文を読み118〜120の問いに答えよ。
午前10時、A県内で大規模災害が発生した。A県内の救命救急センターに、家屋等の倒壊現場から救助された傷病者の受け入れ要請があり病院に搬送された。直ちにトリアージが行われた。搬送されてきたBさん(45歳、男性)には頻呼吸が認められ、胸部と背部の痛みを訴え、吸気時に胸郭が陥没し、呼気時には膨隆している。
▶午後118
Bさんに考えられる状態はどれか。
- 過換気症候群
- 虚血性心疾患
- 腰椎圧迫骨折
- フレイルチェスト〈胸壁動揺〉
▶午後119
発災6時間、Cさん(60歳、男性)は、職場のがれきの下から救助され、搬送されてきた。Cさんの意識は清明、バイタルサインは、体温35.8℃、脈拍110/分、不整、血圧90/68mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉95%(room air)である。がれきに挟まれていた両下肢は、皮膚の創傷、腫脹および皮下出血が認められた。両下肢の感覚は鈍く、麻痺がみられる。足背動脈は触知できる。尿の色は赤褐色である。血液検査の結果、尿素窒素20mg/dL、クレアチニンキナーゼ〈CK〉3万IU/L、血糖値110mg/dL、Na140mEq/L、K8.2mEq/Lであった。圧挫症候群〈クラッシュ症候群〉が疑われ、救出後から輸液療法が開始されている。
このときの看護師の対応で優先度が高いのはどれか。
- 除細動器の準備
- 既往歴の聴取
- 全身の保温
- 創傷の洗浄
▶午後120
Cさんは直ちに入院となり、緊急で血液透析が開始されることになった。集中治療室のベッドサイドで血液透析が開始され、Cさんのバイタルサインは安定した。下肢の腫脹、感覚障害は持続している。Cさんは「家族は無事なのか」「また地震がきて病院が停電になったら、透析の器械は止まらないのか」と不安な表情で担当看護師に訴えた。Cさんの家族は避難所にいると連絡があったことを伝えると、Cさんは少し落ち着いた表情となった。担当看護師は、次々と搬送される傷病者の受け入れ準備をするよう、リーダー看護師に声をかけられた。
この時点でのCさんへの対応で担当看護師が優先して連携するのはどれか。
- 管理栄養士
- 社会福祉士
- 理学療法士
- 臨床工学技士
資料 厚生労働省「第109回保健師国家試験、第106回助産師国家試験、第112回看護師国家試験の問題および正答について」
注 当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。
▼第112回看護師国家試験
テーマ別
必修問題まとめ
①国民衛生の動向対応/②看護の倫理・対象/③人体の構造と機能・健康障害・薬物/④看護技術
年次別
第113回/第112回/第111回/第110回/第109回/第108回/第107回/第106回/第105回/第104回/第103回/第102回
令和5年2月12日(日)に実施された第112回看護師国家試験について、午後問題のうち必修問題の正答と解説を示します。
「国民衛生の動向2024/2025」で内容を解説している問題に関しては、その参照章・ページを示しているので、同書を併用しながらの利用をおすすめします。
▼第112回看護師国家試験
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厚生の指標増刊
発売日:2024.8.27 定価:2,970円(税込) 412頁・B5判 雑誌コード:03854-08
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必修問題まとめ
①国民衛生の動向対応/②看護の倫理・対象/③人体の構造と機能・健康障害・薬物/④看護技術
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第113回/第112回/第111回/第110回/第109回/第108回/第107回/第106回/第105回/第104回/第103回/第102回
午後 必修問題
▶午後1改題
令和4年(2022年)の0歳男児の平均余命はどれか。
- 78.1年
- 81.1年
- 84.1年
- 87.1年
▶午後2改題
健康日本21(第三次)における1日の塩分摂取量の目標値で正しいのはどれか。
- 5.0g
- 7.0g
- 9.0g
- 11.0g
▶午後3
循環式浴槽の水質汚染で発症するのはどれか。
- コレラ
- A型肝炎
- レジオネラ肺炎
- 後天性免疫不全症候群〈AIDS〉
▶午後4
国民健康保険に加入している自営業者(40歳)の医療費の一部負担金の割合はどれか。
- 1割
- 2割
- 3割
- 4割
▶午後5
看護師は正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならないと規定している法律はどれか。
- 刑法
- 医療法
- 保健師助産師看護師法
- 看護師等の人材確保の促進に関する法律
▶午後6
大泉門が閉鎖する時期に最も近いのはどれか。
- 6か月
- 1歳6か月
- 2歳6か月
- 3歳6か月
▶午後7
正期産の新生児が生理的体重減少によって最低体重になるのはどれか。
- 生後3〜5日
- 生後8〜10日
- 生後13〜15日
- 生後18〜20日
▶午後8
エリクソンが提唱する発達理論において、学童期に達成すべき心理社会的課題はどれか。
- 親密 対 孤立
- 自律性 対 恥・疑惑
- 勤勉性 対 劣等感
- 自我同一性〈アイデンティティ〉の確立 対 自我同一性〈アイデンティティ〉の拡散
▶午後9
家族成員の最少人数はどれか。
- 4人
- 3人
- 2人
- 1人
▶午後10
地域保健法に規定されている市町村保健センターの業務はどれか。
- 病気の治療
- 住民の健康診査
- 看護師免許申請の受理
- 専門的で広域的な健康課題への対応
▶午後11
副交感神経の作用で正しいのはどれか。
- 瞳孔散大
- 気管支拡張
- 心拍数の増加
- 消化液分泌の促進
▶午後12
心臓の刺激伝導系で最初の興奮部位はどれか。
- 洞房結節
- 房室結節
- His〈ヒス〉束
- Purkinje〈プルキンエ〉線維
▶午後13
成人の正常な赤血球の説明で正しいのはどれか。
- 球状の細胞である。
- 腎臓で破壊される。
- 寿命は約60日である。
- 酸素の輸送を担っている。
▶午後14
チアノーゼとは( )の絶対量が増加して5g/dL以上になり、皮膚や粘膜が紫から青紫色を示す状態のことをいう。
( )に入るのはどれか。
- ビリルビン
- ヘモグロビン
- ヘモグロビンA1c〈HbA1c〉
- 脱酸素化ヘモグロビン〈還元ヘモグロビン〉
▶午後15
飛沫感染するのはどれか。
- 疥癬
- 破傷風
- デング熱
- インフルエンザ
▶午後16
モルヒネの副作用(有害事象)はどれか。
- 出血
- 難聴
- 便秘
- 骨髄抑制
▶午後17
上腕動脈で行う聴診法による血圧測定で適切なのはどれか。
- 成人では9〜10cm幅のマンシェットを用いる。
- マンシェットの下端と肘窩が重なるように巻く。
- マンシェットの装着部位と心臓が同じ高さになるようにする。
- マンシェットと腕の間に指が3、4本入る程度の強さで巻く。
▶午後18
グリセリン浣腸を準備する際の浣腸液の温度で適切なのはどれか。
- 20℃
- 30℃
- 40℃
- 50℃
▶午後19
不活動状態が持続することで生じるのはどれか。
- 廃用症候群
- 緊張病症候群
- 慢性疲労症候群
- シックハウス症候群
▶午後20
入浴の援助で正しいのはどれか。
- 入浴前後は水分制限をする。
- 入浴時の湯温は45℃とする。
- 脱衣室と浴室の温度差を小さくする。
- 浴室に入り、始めに浴槽に浸かるように促す。
▶午後21
成人の気道の異物除去を目的とするのはどれか。
- 胸骨圧迫
- 人工呼吸
- 頭部後屈顎先挙上法
- 腹部圧迫法〈Heimlich〈ハイムリック〉法〉
▶午後22
看護師が行う処置で滅菌手袋を使用すべきなのはどれか。
- 筋肉内注射
- 口腔内吸引
- ストーマパウチの交換
- 尿道カテーテルの挿入
▶午後23
静脈血採血の穿刺時の皮膚に対する針の適切な刺入角度はどれか。
- 15〜20度
- 35〜40度
- 55〜60度
- 75〜80度
▶午後24
成人の一次救命処置〈BLS〉における胸骨圧迫の速さ(回数)で正しいのはどれか。
- 40〜60回/分
- 70〜90回/分
- 100〜120回/分
- 130〜150回/分
▶午後25
腹部前面を図に示す。

McBurney〈マックバーニー〉圧痛点はどれか。
- ①
- ②
- ③
- ④
- ⑤
資料 厚生労働省「第109回保健師国家試験、第106回助産師国家試験、第112回看護師国家試験の問題および正答について」
注 当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。
▼第112回看護師国家試験
テーマ別
必修問題まとめ
①国民衛生の動向対応/②看護の倫理・対象/③人体の構造と機能・健康障害・薬物/④看護技術
年次別
第113回/第112回/第111回/第110回/第109回/第108回/第107回/第106回/第105回/第104回/第103回/第102回
令和5年2月12日(日)に実施された第112回看護師国家試験について、午前問題のうち状況設定問題の正答と解説を示します。
「国民衛生の動向2024/2025」と合わせてご活用ください。
▼第112回看護師国家試験
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必修問題まとめ
①国民衛生の動向対応/②看護の倫理・対象/③人体の構造と機能・健康障害・薬物/④看護技術
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午前 状況設定問題
▶次の文を読み91〜93の問いに答えよ。
Aさん(47歳、男性、会社員)は妻と2人暮らしで、自宅の室内で犬を飼っている。15年前に慢性糸球体腎炎と診断され、徐々に腎機能低下が認められたので、2年前から慢性腎不全のため血液透析療法を週3回受けている。今回、弟から腎臓の提供の申し出があり、生体腎移植の目的で入院した。入院3日、Aさんの生体腎移植手術は予定通り終了した。
▶午前91
Aさんの手術直後に観察すべき項目で優先度が高いのはどれか。
- 尿量
- 血糖値
- 白血球数
- シャント音
▶午前92
Aさんは術前からタクロリムスなど複数の免疫抑制薬を服用している。Aさんは「移植したら免疫抑制薬を飲む必要があることは分かっているのですが、退院後は何に気を付ければよいですか」と看護師に質問した。
Aさんへの看護師の説明で適切なのはどれか。
- 「犬は今まで通り室内で飼育できます」
- 「グレープフルーツは摂取しないでください」
- 「感染予防のため風疹のワクチン接種をしてください」
- 「薬を飲み忘れたときは2回分をまとめて服用してください」
▶午前93
Aさんは順調に回復し、移植後の拒絶反応もなく退院することになった。Aさんは「腎臓が悪くなってから気を付けないといけないことが多かったのですが、移植してこれまでの制約がなくなりますね」と話した。
Aさんの退院後の生活で継続が必要なのはどれか。
- 蛋白質の摂取制限
- 週3回の通院
- 水分の制限
- 体重の管理
▶次の文を読み94〜96の問いに答えよ。
Aさん(28歳、女性、美容師)はゴルフが趣味である。同居しているパートナーと1週前にゴルフに行った後から、顔面の紅斑、微熱、全身倦怠感および手指の関節痛が現れた。病院を受診したところ、全身性エリテマトーデス〈SLE〉と診断され入院した。Aさんは看護師に「これまで病気をしたことがなかったので、驚いています」と話した。
バイタルサイン:体温37.4℃、呼吸数18/分、脈拍64/分、整、血圧110/60mmHg。
血液所見:赤血球260万/μL、Hb9.0g/dL、白血球7,600/μL、血小板18万/μL、尿素窒素16mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、CRP0.7mg/dL、直接Coombs〈クームス〉試験陽性。
尿所見:尿蛋白(-)、尿潜血(-)。
神経学的検査:異常所見なし。
12誘導心電図:異常所見なし。
胸部エックス線写真:異常所見なし。
▶午前94
Aさんに生じている可能性が高いのはどれか。
- 心膜炎
- 溶血性貧血
- ループス腎炎
- 中枢神経ループス
▶午前95
Aさんはステロイドパルス療法の後、副腎皮質ステロイド薬の内服治療が開始された。入院3週ころから満月様顔貌がみられたため、外見の変化に気持ちが落ち込むようになった。
Aさんへの対応で適切なのはどれか。
- 気にする必要はないと励ます。
- パートナーの面会を制限する。
- 外見よりも病気の治療を優先すると説明する。
- 薬の量が減れば満月様顔貌は軽減すると説明する。
▶午前96
Aさんは外来で副腎皮質ステロイド薬の内服治療を継続することになった。Aさんは「病気を悪化させないために退院後はどのような生活がよいでしょうか」と看護師に質問した。
Aさんへの退院指導で適切なのはどれか。
- 「すぐに復職できます」
- 「避妊は必要ありません」
- 「身体を冷やさないでください」
- 「くもりなら屋外でゴルフができます」
▶次の文を読み97〜99の問いに答えよ。
Aさん(81歳、女性)は夫(86歳)と2人で暮らしている。高血圧症で内服治療をしているが、血圧のコントロールはできている。両眼に老人性白内障があり、老人性難聴のために補聴器を使用している。認知機能は問題なく、日常生活動作〈ADL〉はほぼ自立している。1年前から両眼の羞明、霧視が強くなり、視力が低下して趣味の編み物ができなくなってきた。また、家の中を移動するときに小さな段差につまずいたりドアにぶつかるなど、歩行時の転倒の危険性が増えた。Aさんは自宅での生活を安全に送りたい、趣味を続けたいという希望があり、10日間程度の入院で両眼の超音波水晶体乳化吸引術と眼内レンズ挿入術を行うことになった。
▶午前97
入院当日、病棟の看護師がAさんに対してパンフレットを用いて手術前オリエンテーションを行うことになった。
Aさんへのオリエンテーションの方法で適切なのはどれか。
- 耳元で大きな声で説明する。
- Aさんの身体に触れてから話しかける。
- 窓際の明るい場所でパンフレットを見せる。
- 手術後の注意点はパンフレットに赤色の太い文字で書く。
▶午前98
Aさんの手術は局所麻酔下で行われ、10分程度で終了した。手術中および手術直後のバイタルサインに問題はなく、病室に戻ってきた。Aさんは眼痛や頭痛、気分不快などの症状はなく、「無事に終わって良かった」と話している。
手術後のAさんへの説明で適切なのはどれか。
- 手術直後から点眼する。
- 洗顔は手術の翌日から行う。
- 手術後24時間はベッド上で安静にする。
- 医師の許可があるまでは頭を振る動作をしない。
▶午前99
手術後2日、Aさんは日中はベッドに横になって過ごしている時間が多い。夜間にAさんから看護師に「手術後はゆっくり眠れていません。どうしたらよいでしょうか」という訴えがあった。
Aさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
- 寝る前に温かい緑茶を飲むことを勧める。
- 日中はベッドから離れて過ごすことを促す。
- 眠れなくてもベッドに横になっていることを勧める。
- 夜はよく眠っているので様子をみましょうと伝える。
▶次の文を読み100〜102の問いに答えよ。
Aさん(75歳、男性)は妻(75歳)と2人暮らしで、15年前にParkinson〈パーキンソン〉病と診断された。7年前よりレボドパ〈L-dopa〉を1日3回内服している。Hoehn&Yahr〈ホーエン・ヤール〉重症度分類のステージⅣで、要介護2である。妻は腰痛のため毎日リハビリテーション目的で通院中である。妻の介護負担を軽減するため、Aさんは毎月10日間、介護老人保健施設の短期入所〈ショートステイ〉を利用している。今回は妻の腰痛が増強したため、Aさんは予定を早めて入所した。Aさんは握力が低下しているが、スプーンを使用し自力で食事を摂取している。食事中に姿勢が崩れることが多く、むせや食べこぼしがある。
▶午前100
看護師のAさんへの食事援助で正しいのはどれか。
- 頸部を後屈した体位にする。
- 座位時の体幹を安定させる。
- 食後に嚥下体操を実施する。
- こぼさずに摂取できるよう全介助する。
▶午前101
Aさんは社交的で短期入所中はいつも介護老人保健施設の利用者や職員と笑顔で会話していたが、今回は、会話中に急に表情がなくなり声が聞きとれないほど小さくなったり、手足の震えが出現することがあった。食後に薬を内服すると症状は改善するが、内服して2時間後には同じような症状が現れることがあった。
Aさんの症状はどれか。
- オンオフ現象
- ジスキネジア
- アナフィラキシー反応
- ウェアリングオフ現象
▶午前102
妻の腰痛が改善したため、Aさんは自宅に戻ることになった。Aさんは「妻に負担をかけないように自分で動けるようになりたい。自宅でできる運動や注意することを教えてください」と看護師に話した。
Aさんへの指導で適切なのはどれか。
- 「毎日30分間の階段昇降を行いましょう」
- 「歩行時に腕を大きく振りましょう」
- 「小刻みに歩くようにしましょう」
- 「毎日1km歩きましょう」
▶次の文を読み103〜105の問いに答えよ。
Aちゃん(2歳、男児)は両親、兄(5歳)の4人家族である。3日前から発熱が続くため、母親と一緒に外来を受診した。診察の結果、川崎病と診断され、個室に入院となり左手背に点滴静脈内留置針が挿入された。入院中は母親が希望し、Aちゃんに付き添っている。Aちゃんにγ-グロブリン療法とアスピリンの内服が開始されることになった。看護師がγ-グロブリン療法の開始のために訪室すると、Aちゃんは不機嫌にぐずって泣いている。
▶午前103
γ-グロブリン療法の開始に伴う看護師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
- γ-グロブリン製剤の投与中もAちゃんと売店に行けると母親に伝える。
- 留置針の自己抜去防止のために右肘関節に抑制帯を使用する。
- 心負荷の軽減のためにAちゃんの経口水分摂取を制限する。
- 心電図モニターの装着を確認する。
- 留置針の刺入部を観察する。
▶午前104
Aちゃんの入院中、母親は一度も自宅に帰らずに付き添いを続けている。入院3日の朝に看護師が訪室したところ、母親が「夫から電話があって、Aの入院後、兄がほとんど寝ずに大泣きしているらしく、私は心配です」と話している。
母親への看護師の対応で適切なのはどれか。
- 病室内でAちゃんと兄を面会させてよいと伝える。
- Aちゃんのことに集中するべきであると伝える。
- 兄と関わる時間を持てるよう母親に帰宅を促す。
- 退院の可否を医師と相談すると伝える。
▶午前105
入院4日、Aちゃんは解熱し活気が出てきた。翌日、看護師がAちゃんを観察すると、手指の先端から皮膚が膜のように薄くむけていた。
この所見に対する看護師のアセスメントで適切なのはどれか。
- γ-グロブリン療法の副作用〈有害事象〉である。
- 皮膚のツルゴールが低下している。
- 川崎病の回復期の症状である。
- 皮膚科の受診が必要である。
▶次の文を読み106〜108の問いに答えよ。
Aさん(33歳、初産婦、会社員)は夫と2人で暮らしている。妊娠28週5日、夕方から下腹部に生理痛のような痛みを感じ、少量の性器出血があったため来院した。来院時、子宮口2cm開大、未破水、8分おきに20秒持続する子宮収縮があり、切迫早産と診断された。子宮収縮抑制薬(リトドリン塩酸塩)の点滴静脈内注射と安静による治療が開始された。
▶午前106
点滴を開始して30分後に看護師が訪室すると、AさんはFowler〈ファウラー〉位で休んでいた。
このときのAさんの状態で看護師が注意して観察すべき項目はどれか。
- 経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉
- 血圧
- 呼吸数
- 脈拍
▶午前107
切迫早産の症状がなくなり、Aさんは妊娠35週0日で退院した。妊娠36週0日に妊婦健康診査のために来院した。ノンストレステスト〈NST〉を実施中に、「気分が悪い」とナースコールがあり看護師が訪れると、Aさんは仰臥位になっていた。
Aさんへの対応で看護師が最初に行うのはどれか。
- 医師に報告する。
- 血圧測定を行う。
- 左側臥位にする。
- 酸素吸入を行う。
▶午前108
Aさんは妊娠36週5日、8時に分娩が開始した。16時30分に子宮口全開大、16時35分に自然破水、18時30分に男児を出産した。分娩時出血量は350mL、児のApgar〈アプガー〉スコアは1分後8点、5分後9点であった。
Aさんの分娩のアセスメントで適切なのはどれか。
- 早期産である。
- 異常出血である。
- 前期破水である。
- 新生児仮死である。
▶次の文を読み109〜111の問いに答えよ。
Aさん(34歳、初産婦)は妊娠39週6日に3,000gの女児を出産した。分娩後の母児の経過は順調である。
出生後12時間、看護師がAさんの児の観察を行った。児は活気がありバイタルサインは安定しており、排便が認められた。直接授乳を開始している。出生後の排尿回数は4回、排便回数は3回である。
▶午前109
便の写真を別に示す。

このときのAさんの児の便はどれか。
- A
- B
- C
- D
▶午前110
日齢2。Aさんの児の胎外生活への適応は順調に経過している。哺乳回数は1日8回。Aさんは母乳育児を希望しているが、児に乳頭を吸われると痛いと話しており、左右の乳頭に軽度の発赤が認められる。
このとき看護師が観察する項目で優先度が高いのはどれか。
- 児の体重減少率
- 乳汁の分泌状態
- 乳房の緊満状態
- ラッチオンの状態
▶午前111
日齢4。看護師がAさんの児を観察したところ、バイタルサインは、体温(直腸温)37.3℃、呼吸数55/分、心拍数134/分。経皮ビリルビン20.0mg/dLであった。
Aさんの児の状態で医師に報告が必要なのはどれか。
- 経皮ビリルビン値
- 呼吸数
- 心拍数
- 体温
▶次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
Aさん(20歳、女性)は境界性人格〈パーソナリティ〉障害の診断を受け、精神科外来に通院中である。ある日、人間関係のトラブルから処方されていた睡眠薬を過量服薬して自殺企図をしたところを家族に発見され、救命救急センターに搬送された。
▶午前112
Aさんは救急外来で治療を受け会話ができるまでに回復した。
Aさんへの看護師の最初の対応で適切なのはどれか。
- 過量服薬した場面の振り返りを促す。
- 現在の希死念慮の有無について確認する。
- 大量の睡眠薬を飲まずに残していた理由を追及する。
- Aさんと看護師の間で二度と過量服薬しないと約束する。
▶午前113
Aさんは身体的な治療を受けた後、精神科病棟に入院することになった。入院3日の22時、Aさんがハサミを貸してほしいとナースステーションに来た。日勤の看護師がいる時間帯のみ付き添いでハサミの貸出が可能という主治医からの指示を伝えると「看護師Bは貸してくれたのに。こんなひどい対応をする看護師はあなただけだ」と話し、その場を動かない。
このときのAさんへの対応で適切なのはどれか。
- ハサミの使用目的を聞く。
- 看護師付き添いのもとハサミを貸し出す。
- 看護師Bが誤った対応をしたと説明する。
- Aさんの行動が心配なので貸し出せないと伝える。
▶午前114
入院1週、Aさんは看護師ごとに言動や態度を変えることが多く、病棟ではAさんに対して共感を示す看護師と、拒否的な態度を示す看護師に分かれてしまった。そのため、病棟の看護師はチームでの対応についてカンファレンスを行った。
Aさんへの看護師のチームとしての対応で適切なのはどれか。
- Aさんと看護師が関わる頻度を減らす。
- Aさんに共感を示す看護師に担当を固定する。
- Aさんに対する感情を看護師同士で表出しないように統一する。
- Aさんの行動が患者―看護師関係にもたらす影響について評価する。
▶次の文を読み115〜117の問いに答えよ。
Aちゃん(6歳、男児)は父親(50歳、会社員)、母親(48歳)、姉(11歳)と4人で暮らしている。Duchenne〈デュシェンヌ〉型筋ジストロフィーで身体障害者手帳(肢体不自由1級)が交付されている。喀痰吸引、胃瘻による経管栄養が必要で、訪問看護を週に2回利用している。まばたきの回数で「はい」と「いいえ」の意思表示はできるが、視線や上肢の動きには誤動作もあり、構音障害もあるため家族以外では意思の判断が難しい。また、手指での細かい操作はできない。Aちゃんは次年度から姉と同じ小学校の特別支援学級に通い、通常の学級の児童と交流の予定がある。
▶午前115
入学時に担任がAちゃんの意思を確認する方法で最も適切なのはどれか。
- 五十音の文字盤を用いてAちゃんが指でさした文字を文字ずつ読み取る。
- 視線で入力できる意思伝達装置を用いてAちゃんに文字を入力してもらう。
- 閉じた質問〈closed question〉をしてAちゃんのまばたきの回数を確認する。
- 感情を絵で表現したカードを見せてAちゃんが指でさしたカードを確認する。
▶午前116
Aちゃんが小学校に入学して6か月が経過した。小学校への送迎は母親が行っており、学内での喀痰吸引や経管栄養の注入は小学校に配置されている看護師が行っている。Aちゃんは体調も安定しており、小学校での生活にも慣れてきた。Aちゃんの母親は「夫は朝早く出勤し、長女もまだ小さく、Aを小学校に連れて行くまで忙しくて大変です」と訪問看護師に話した。訪問看護師は保健所の保健師に相談し、Aちゃん宅で家族も含めてAちゃんが利用できる支援サービスを検討することにした。
Aちゃんと家族に利用を勧める支援サービスで適切なのはどれか。
- 児童発達支援
- 重度訪問介護
- 放課後等デイサービス
- 短期入所〈ショートステイ〉
▶午前117
Aちゃんは入学して1度も入院することなく2年生になった。Aちゃんの母親はケアに必要な物品を学校の看護師に渡す際に「Aは学校に通うようになり、お友達が増えて本当によかったと思います。それに比べて私は仕事をしていないし、Aに友達ができた喜びや日々の苦労を理解してもらえる友達がいません。Aの同級生の親には年齢が近くて話しやすい人がいません」と話した。
Aちゃんの母親への提案で最も適切なのはどれか。
- 「学校の行事に参加してみませんか」
- 「短時間でも仕事を始めてはいかがですか」
- 「お姉ちゃんのお友達の親に話しかけてみませんか」
- 「障害のある子どもを持つ家族の会に参加してみませんか」
▶次の文を読み118〜120の問いに答えよ。
Aさん(57歳、男性、無職)は妻(55歳、会社員)と2人で暮らしている。Aさんは、飲酒が原因で仕事での遅刻や無断欠勤が続いたため1年前に職場を解雇された。その後も朝から自宅で飲酒する生活が続き、体調が悪化したため受診し、アルコール性肝硬変とアルコール依存症と診断された。医師から断酒を指導されていたが実行できず通院していなかった。
Aさんは最近、倦怠感が強く食欲がなく、1週前から飲酒もできなくなった。妻に付き添われて受診した際、外来のトイレで吐血し倒れ食道静脈瘤破裂と診断され入院した。
身体所見:呼びかけに応じるが反応が遅い。腹水や浮腫はない。手指の振戦はない。体温37.0℃、呼吸数22/分、脈拍98/分、整、血圧92/50mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%(room air)。
▶午前118
入院時、Aさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。
- 上半身を挙上する。
- 身体を側臥位にする。
- 頭部の冷罨法を行う。
- 酸素療法の準備をする。
▶午前119
入院当日、Aさんは緊急に内視鏡的治療を受けた。入院7日、Aさんは食道静脈瘤の治療のため、食道静脈瘤硬化療法を受けることになった。治療前のバイタルサインは、体温36.7℃、呼吸数16/分、脈拍72/分、整、血圧126/70mmHgである。検査所見は、血小板15万/μL、プロトロンビン時間〈PT〉10秒85%である。入院後は吐血していない。
Aさんが食道静脈瘤硬化療法を受けた直後に注意すべき症状はどれか。
- 下血
- 胸部痛
- 皮下出血
- 手指の振戦
▶午前120
Aさんは食道静脈瘤硬化療法を終えて、アルコール依存症の治療を受けるために精神科病院に転院した。
転院して2か月、病棟ではAさんの退院に向けた話し合いが進められている。Aさんは「退院した後にお酒をやめられるか自信がない。体力が落ちており、何もしていないとお酒を飲んでしまいそうです」と悩みを打ち明けた。
Aさんへの看護師の声かけで適切なのはどれか。
- 「断酒をする意思を強く持ちましょう」
- 「肝硬変があるので、今は安静が必要です」
- 「入院中も飲酒をやめられているので大丈夫です」
- 「アルコールの問題で悩んでいる人たちとの話し合いに参加してみましょう」
資料 厚生労働省「第109回保健師国家試験、第106回助産師国家試験、第112回看護師国家試験の問題および正答について」
注 当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。
▼第112回看護師国家試験
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必修問題まとめ
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